【右丁】   六十五番 哥の心はたのみがたき人を我心 のはかなくもうちたのみてちぎり そめやう〳〵うとくなる程にうらみ わびておつるなみだにそでぬれてほすひまも なしそれさへあるに其むやく【無益。「やく」は「益」の呉音。役に立たない。むだ。】のこひゆゑに そしりをうけてわが名のくちはてん こそくちをしけれすゑをとげるこひぢ ならばそれをもいとふまじけれどゝいへる なりその心まことにせつなる哥也けり 【左丁】   相模(さがみ) うらみわび  ほさぬ    袖(そで)だに あるものを  こひにくち なん名こそ  をしけれ 【画面左側】 一陽斎  豊国【國】画