【右丁】   恵慶(ゑけう)法師(ほうし) 八重葎(むぐら)  しげ   れる 屋どの  さびしきに 人こそ    見えね 秋は来にけり 【左丁】 右の哥の心はやへむぐらは草の名 なり其くさはびこりとぢていとさび しきわがやどをばたづぬる人もなく 何もきたるものはあるまじとおもひしに はたして人は見えねども只さひし き秋のみは来たりて木のはおち 草かれていとゞさびしくなりたり となりまことにさびしくたへがた きさま目に見ることくの哥なり 【画面左側】 香蝶棲  豊国【國】画