大時代唐土化物 【同じ本で刷りの違うものがほかにもあります。詳しくは→https://honkoku.org/app/#/transcription/4DF8B9D054DB1B4A06AFDF611085E368/1/edit】 【翻刻はゼロからやりたい人がいれば新たにしていただいてよいかと思います。】 /大(おほ)/時代(じだい)/唐(から)/土(の)化物(ばけもの) 全三冊 /宝(たから)/井(ゐ)/其角(きかく)が/鍾(しやう)/馗(き)の/自(じ)/画(ぐわ)/賛(さん)を/覧(み)はべりしに   今こゝに/団(だん)/十(じう)/郎(らう)や/鬼(おに)は/外(そと) といへる/発(ほつ)/句(く)なり/夫(それ)/鍾(しやう)/馗(き)は/疫(えき)/鬼(き)を/譲(はら)ふの/術(じゆつ)あり/俳(わざ)/優(おき) 団十郎は/其(その)/名(な)/高(たか)く/異(ゐ)/域(いき)に/聞(きこ)ゆ/就中(なかんづく)/英(ゑい)/武(ぶ)/勇(ゆう)/者(しや)の/所(しよ)/作(さ) に/妙(めう)を/得(え)て/怨(おん)/敵(てき)/退(たい)/治(ぢ)の/分(あり)/形(さま)を/藝(げい)とす鍾馗の/邪(じや)/気(き)を /退(のぞ)くの/事(こと)によく/肖(に)たればこれを/賞(せう)したる/晋(しん)/子(し)が当(たう)/意(ゐ) /即妙(そくめう)の/作意(さくゐ)/彼此(かれこれ)を/感(かん)じて/此(この)/策子(さうし)の/趣向(しゆかう)とはなしぬ  文化十三年       振鷺亭主人述  丙子春正月 【右ページ】 ちやん〳〵ぼうず から松のくわい 舊院妓女之怪 【左ページ 上】 唐土(から)の/化物(ばけもの) の/図(づ) 紅毛(おらんだ)/細工(ざいく)/吹(ふき) 矢(や)の/体(てい) 牡丹燈(ぼたんとう)の 妖怪(ようくわい) からはんにや ひとうばん から女のゆうれい 【舊院妓女 舊院・旧院は、中国明代の南京における遊郭街のことで、旧院妓女はそこの女郎を指す。吉原の太夫をイメージすれば良い】 【ひとうばんは、ろくろっ首のこと。元の伝承では頭が伸びるのではなく、空中を飛ぶので飛頭蛮と表記する】 【右ページ】 せつぶんに もふ 春風が ふくは内 おには外まで 【右ページ 下】 繪化物尽 【左ページ 上】 にほふ 梅が香 不知讀人 望之儼然 如干城之 大將就之 而不見所 畏又如優 孟之衣冠 【左ページ 下】 今こゝに 団十郎や 鬼は外    其角 【右ページ】 唐女(からをんな)幽霊(ゆうれい)の圖(づ) ここに洒落齋(しゃらくさい)といふ 戯作者(けさくしや)ありけり 一ばん合巻(がうくわん)の もんきりかたを のがれていつかう こわくないばけものといふが しゆかう【趣向】にうかみ【浮かみ】つくゑ【机】に もたれてかんがへながら ねむりしがはりうちまげ【注】に 花かんざしごたいそうにさして つむり【頭のこと】のおもさうなるかむろおかもち さげてゆくていを見たりこれはむかしの あか本にあるしよぼ〳〵あめのふるよに ばつてうかさ【注】きてとうふかいに出るこぞうに にたりてめへとうふをなん丁かつてきたといへば アイサ半丁かつてまいりんしたにサアその半丁に なつてトヾめでたし〳〵といふ所になんぞめでたい ばけものを出さねばならぬか此あんじにこまるて ヲアめでたいばけものとはしんぱん【新板】ておざりいす 本になつたらおくんなんしにへ手本にいたし ますよといふ手めへもばけならうのか こんどのばけものはひねつたものに から【唐】のばけものを見せるきだ ヲヤからのばけものなら ちんぷんかんでわつちらには わかりいすまい〽おれも さくしやはするがからの ばけものはどんなものか しらん〽そんなちんふんかんの ばけものよりやつぱりやわらかに とうふのゆうれいてもおかき なんしといふかとおもへはゆめ さめてかつ手【勝手口のこと】にとうふやの おかもちばかりのこれり これはとうふのゆうれい▲ 【左ページ 下】 ▲からのばけ ものといふべしと すなはちこの さうし【草紙】のげだい【外題】にし ゆめになつては さくしやの 手がらうすく はじめから ゆめがさめたは あたらしいが とゝのつまりか やりにくしと あんじ   いつて すぢがき して ゐる ところに こつぜんと してゑん【縁】 の下より すまふ【相撲、相撲取の略】の ごとき大き なるうで【腕】 さしいだし つぎへつづく 【注 はりうちまげは、針打ち髷で針打ちの島田髷のこと】 【注 ばつてうかさは、ばっちょう笠で、真竹の皮で作った粗末な浅くて大きい笠、豆腐小僧というと通例これをかぶっている】 【禿(かむろ)は花魁言葉を使っていることに注意、~なんし、おざりいす等】 つづき しや本をかいつかんでひつこまんとすこはおもしろしと ふでのさやをもつてはつしときればには【庭】のとびいしのもと にてきへうせぬ石となつたは九太夫のばけものかきつね【狐】 たぬき【狸】のわさにしてはさしたるしゆかう【趣向】にも ならぬとつぶやけばしをり戸【注】のそとにこゑありて われ〳〵は百鬼(ひゃつき)夜行(やぎやう)のばけものなりこよひ【今宵】としこしの おにうちまめにおいはらはれやくはらひ【厄払い】につかまれん ことのこわき【恐き】ににけまどひ候者さすがは おさくしや【作者】としこしにもかまはず ばけものにおもはれの御やうすゆゑ おかきものをうばひとつてはいけん いたしたがからのばけものとの 御しゆかうからの ばけものはどんな ものでござり ますといふに▲ 【右ページ 下】 ▲しやらくさいうちわらひ 山海経(せんがいきやう)爾雅(しが)にそのかたち きわむる事あたはす博物志(はくぶつし) 輟耕録(てつこうろく)太平廣記(たいへいくわうき)本草(ほんそう)綱目(かうもく) なともせんさくして見□ さてあたらしいばけものも□□ なんぢくなんぞあたらしひ ばけやうは□いう蘇□□ 鬼話(ばけものばなし)をこのみしに□□わら ねどこかひのとぎ□とき/こ■ べしと□へばわれ〳〵も あかほのはしをも見 ましたれどみこし にうとうや一つ目 こそう などの 【左ページ 上】 □□なはげものばかりて 手本にもなりませぬちと し□□□□ばけものもこざります ればまかり出ませうがおとこのまの おかけものをおそれますればはつ してくだされましといふこれは しやうきの□けものにて「今こゝに 団十らや□には□といふキ角のくわ さん□りしやらくさいはのぞみのとふり かけものをはづしいわしひいらぎも さゝずうきにをかべとみたさくしやの いほりの内おつかながらずはいれ〳〵 ばけものヽせうかつしいけをんにしてくれんとふでもちかまへてゐれば よろにかるむしや一つきむないたに□のもんをつけ金さつをたづさへ あらはれ出たりしやらくさいさてはつ□かへんげによるさしゑにしても よろいむしやとはこふうなばけものめといへばせんせいもしちよつと 【左ページ 下】 おはな しがござり やす□□い□ くち□くは らいにばけ て くる わへ は り □ は らひ 鬼(おに)箱(はこ)を かひませうと らせうもん がしをよんで とふりますと かうしの内から ぬつと手を出て むなぐらをつかま□ はらひもんたかつ□ くんなとい□つら□ われは□はあき□ いく□にな□とき□ おにも十八□といふ□ すはらしい大江山□ てもせんたくはしかくに□ ならねとんたはけも□ つきなはしてにけにち□ うてを見たら□ざ ほりものが つき□ 【しをり戸は、枝折戸(しおりど)で、木や竹の小枝などの折ったものをそのまま並べて作った、簡素な開き戸のこと】】 【爾雅は、中国の字書。十三経の一つ】 【輟耕録は、元末の1366年に書かれた陶宗儀の随筆で、主に元の時代のさまざまな事柄を詳しく記している。】 つゝきありやとなん□と見□ばわ□□なへのもん しなひてゐはどうでありますといひすてゝ しやらくさいたいらのとももりかれい□り □つほどおち□□るさきでひめこ□□た こんどはなにか こわいものが出る だろうと ところに▲ 【右ページ 下】  ▲そのた□ 一丈あまり□ おにわかし のすもふた すつくと□ いのくまたこ□ めんに□ぶへ おちさん□も か□とおとれ しやらくさい へいきて見て ゐれはおらはことも【子供】 しゆ【衆も】も御ぞんしの みこしにうとう なるかあまり ふるくさい ゆへし□ をあん□ にんけん はけ□ 【右ページ 中】 出たところ ねつからこわく ないかしでわが うてをふでのさや にてきりゐふそのうでかへせと なくしやらくさいたこならあしてあり さうなものじやがといへばたこにもうてたこが ありますとりくつをいつてうせてげり 【左ページ】 さてばけものゝ出るときは ものさびしきものなるに にわかになにかにぎやかになりて わや〳〵がや〳〵とゆやじようるりを うたひ出すいたこすくよなうわきな おまへ《割書:テト》〳〵ころしもはげしき山あらし のふ〳〵その女こそげんじがたなんときいたり さくら丸がつてん〳〵【合点〳〵】せきひじやうじゆ なす□は□□□が身は□いせろ 一合取《割書:ツ》てゆさむらいの家に生れた 十郎兵へとの金ゆゑだいじの 忠兵へさんかねにうらみはかず〳〵 ござる□□はいとヾしやくり上 ちいさい子どもかなんぞの やうに高砂や《割書:ア》さんげ さんげ六こんしかう〴〵と 大さわぎになるしやらくさい こゑあつてかたちなきは どんなばけものかゆけに あがらぬうちにはやく出ろと □□ばまつかなこそうひよろ〳〵して □□□り□わつちや《割書:ア》子ゆやにいる □かなめこぞう【垢なめ小僧】のばけものでござりやすが にんげん□□あつて目をまわしやした みつ□いつぺいのまして つぎへつゞく   【右ページ 上】 岩 由 【右ページ 下】 つづき おくんなせへ べらもぼうめそんな ばけざまがあるものかと しかりけしぬ 俊 【左ページ】 本 小 定 梅 勘 【右ページ 右上】 ときしもいきな女のすがた見ゆるあついたの まへおびしませいらつのちりめんのこそでに うらはくろじゆすあいぎはうづらかわの むく二《割書:ツ|》をついにかさねすそわたたつぷり ゆうれいにしては▲ 【右ページ 左上】 ▲すそが あり いゝころな としまで 子のねへつらは さてはうぶめかといへば おなかにたまるりそくさへ やつきもまたでしちやのうち ながれかんじやううたかたの あはれはかなきかりぎにて みへぼうものゝしだらなし ひきずり女のまよひのもので ごさんすついたけしゆばんはすそから 【左ページ 右上】 ←ばかりあいぎは二つついのやうても すそまわしばかりでくちわたの にんぎやうじたてどうをおめに かけたらきもがつぶれて目を まわしなさらふうわきはみつものの いろあげひるすぎと申たいがよるの うし みつごろ これが ほんの きものの おばけ さといふ しやらく さいなる ほど きものゝ おばけとは よつほどこんたんした いしやうづけもあだなり やぼからぬばけもの どんなつらか見てやらうと いへばおこそづきんをとる つむりはべつかうのばかしもの かほはおばあおやつかな とんだばけものだ〽なんと きもつぶしかへじよせへのねへ▼▲ 【右ページ 右下】 ▼▲よの中にんげんがおばけをきなさる ならばけものははだかでにげます 〽それだからばけものより大 みそかゞこわいよ〽なぜへ〽はて 夜あかしだからばけものは 出めへが人のかほが ながくみじかく おつかなく 見えらア なんと● 【右ページ 左下】 大みそか いふをだい にして米酒 さかなみそ すきをしゆかう にしてばけて 【左ページ 右下】 見せねへかかけとりほど こわいものはねへぜ 〽なんだいだがはけて おめにかけや せう が わつ ち が こわ か らう と いふ ゆゑ なぜ 〳〵 といへは わつ ちやア 女の かけとりさと やつきとしてうせに けるしやらくさいなるほど 女のかけとりはこわからふきて だいを出したがなにが出るかと にわをながめ〽なんどきか雪はしきりにつも りけりとうろうを見れば風あり夜の雪と口ずさむ 【右ページ 上】 ときしもゆきふみわけてくるもの ありしろむくのふりそでにまるわた きてからかさをさしたるはさぎむすめの いてだちごゐ さぎの ばけた のか ゆき 女 に し て は ち と いろ がくろいやうだと あざわらへばつんとして 此しろむくがくろいとはへ 〽さればあるほつくに大ゆきやさぎほど くろい鳥はなしとしろいものをくろいといつたが おもしろむくのゆきのふりそであらひはりでもしたら よからう〽そりやなぜてごさんす〽はてふるいといふ事さ 【左ページ 右上】 ようさりよりよてどちよふみならふてと うたひもせぬさぎむすめとはこふうな やつおしどりのしよさ事ともやらいでな 〽いやいなアわたしや▲ 【左ページ 左上】 ▲しろい〳〵上はくの きむすめでござんす〽《割書:ハア|》上はくにしてはいろk くろいがつきやうがたりぬじやまで〽くろい しろいはお手にとつてみやしやんせ〽どう見ても くろむくじやさぎむすめならゑりあかのふるぎを ぬかであらひおとしばけなをして見せいでな〽のふしんまいのしらはをば▼▲ 【右ページ 右下】 くろいとはおなさけない〽イヤひねつ こびたむすめだぽんぽちまいならしろ みづでててうづをつかいぬかぶくろのひつ きれるほどとぎなをせ〳〵〽あらはづ かしやわれはこれいろのくろいがほんしやう ぞや〽さて こそな さぎ むす め とは ば け そ こ なひ め 〽アイ わつ ちやア からす むすめ さと ゆきに ■きれて 【左ページ 右下】 きへうせける しやらくさい今出たはけむしのせいれいはなるか さくらはおれが出し□なんだいのとふり さけさかなみそまきのはけものを 出すだろうこんどはなにが出るかと おもふところにかつをエヽかつをそと たかくよぶこへしてむかふはちまき めくらましのはらかけ一ワでちうを とんてくるさかなうりモシヨヘだんな はつがつをがめいりやしたいふに しやらくさいきもをつぶしよそば かりさへ出ぬ此ゆきにきのきいた ばけものはあしをあらつて ひつこみゆき女ももこさつで とけてるじぶんに はつがつをうりとは そこがばけもの なんとあたら しうござい やせう ほど さし づめ てつ ほ う と いふところを□るふりに初がつをとはしゆかうは ふるせでもねへがとしのくれにしほかつを じやアねへかといへばしほものをうるやうな しみつたれなかさばうりじやヤごぜいや せんばけものでも いさみさかしへかひ 出にめいりゆたら はつがつをがきたと なにがほてへどもが ばつちらがつて けんくわづらをし ひらめをふん いふすゆら たいが   ▲ ▲めだまを とびだすやう □いさわぎ べりやアねへ りうぐうに 手あいまちの あつたやうさ 所をわつちが いさくさなしに おめへさんに うらうと 思つてひつ ざらるてめいり やたとはん切を あけて見せるなる ほどあづまつ子だおねだん にはおかまひないがねおしよう たるかろうなといふとかつをにはねがはへて トヒヨ〳〵ととんでゆくやぼしやアねへ きのきいたばけものだといへば さかなうりこれははく さかなうりこれははこねからきつちの ばけものさとしやれてきえぬ しや らくさい へけへけもの にもせにもせよ はつ がつを ならひと くち と おも いし に から し みては いら ねへが ゆどうふの▲ ▲ねぎみそてがほしいと思ふ所に むすめどうじやうじのばけ ものあらはれるなぜ どうしやうじが みくてつさけに ななると思へば手まり かたをうたふ つぎへつヾく つヾき ほんのぼたもち□もんもちより むまいあづきにあまいきなこに むりのはやぐひ これがほんに くふじやひい ふうみはよう テンツヽツン 〳〵 テンツヽ 〳〵 テンツヽ ツン とおどる ひやうしに かづらは おちてむすめが ぼうずぼうずが やらうになつて さつさア ござれや せきぞろほつぽう テレツ〳〵とやみ へしくたとおどるゆゑ しや らく さい まて〳〵 こいつらはあら あまりちやるしたばけものめうたもあらふに ぼたもちどうぜうじとはやぼなやつ今出た   しやらくさいねぎみそ  ならゆどうふとも やうかたうふきみそとは のろまなばけものと わらつてゐるところに 又せいのたかさ一丈あまあまり のきりかむろどうじ がうしのこそでをき大 さかづきをもちいぼがね うつたるてつのほうと 見ゆるは一丈あまりの たこのあらをひつさげ たるにてすつ〳〵と あらはれこれを さかなにいつこん くまんといふにぞ しゆてんどうじ とはさけのばけ ものといふことか さけのだいでは おもしろくばけ やうがめりさうなもの うちつとあんじなをせあまり手がないといへば 手を出してあしをいたヾくたこざかなとかけて なんととくといふしやらくさいしれとるをの九太夫と とくそのころはあしばかりでしつこしがない おれが又ひとつかけようゆらの□とかけて なんととくそらなまゑひかい□〳〵 そんなるらいくわうの 山いりととくその こヽろはかたきのくびを とつておにのくびを とつたようようれい がるやるかいはんや やつぱりそらなま ゑひに又ゆら大じんと かけてなんととく しやうき大じんととく そのこヽろはおにころしか いかにもととこのまに あるしやうきのかけものを さつとひらけば たちまちどうじは ほんしやうをかしなひ そのたけ一丈あまりの きじんとなつてあれなる まきべやにあるたヽあんの さかだるはおさかだるはおにころしの あきだるなるがその気 のこつてあくしゆのどくきを あらはせしにしやうきのなくわうに▲ ▲お□てれを なし御家内 にはおり がたし おには そそとへと にげ いで たり  しばらくしてなにやらかつたびし□□と してふきやのごとくはせいだすばけ ものありすりこきにはねがはへてとび出し すりばちにあしがはへてころげ出しおたふく があんどうさげてかけ出しあんまがまつだけ かついでにげ出すまないた目はなが あいてげたとなればちりとりにめがついて わさびおろしとがけるはつたくさして たヽみがもちあがるこいつは□さわぎ ばけものヽすはきかと思へばゑんの したからかぢわらがかたちのものはひ 出る此げぢ〳〵めがといへばおすヽとり ゆ□しつけむしもにげまするといふて きえうせぬ又まきべやのうちさわがしく 何事かとうかヾへば四十七き夜うちの ていにてまきべやなれbまきべやなればたくあんの かうのものなふとはこぢつけたが かたきはくどうさゑもんとはハテ めづらしいたいめんじやなアといふ あまりばけやうがいりくんでくどうさゑ もんちうしんぐらに十ばんぎりとは ばけものもこれぎりかときいてゐれば ばけものどもはなしあふやう大みそかの こわいといふだいで米さけさかなみそ まきなどのばけものも出しそがと ちうしんぐらのかたきうちで ばかして しまはふと おもつた所 忠孝といふ 二/字(じ)には うたれぬそが きやうだいゆらの助と いふしゆかうかあくま よけになつて しやうきのぐわうぞう かけものからぬけ出 市川□□郎か ふんぬのさうを あらはしあくま がうぶくの大だちを もつていでもの見せんと いふまヽにおにうちまめを うつごとくはらり〳〵となぎはらふ つぎへ つヾき げにいさ□しき はたらきに おそおそれを なして かなはねば はや たいさん と いふ こゑし 百鬼(ひやつき) 夜行(やぎやう)は きえ うせて 夜は ほの 〴〵 と ▲ ▲ あけわたり ああさひ はな やかに かヾ やき ければ しや らく さい きゐ の 思ひ を なし  つぎへつヾく つゞき とこの間に鍾馗(しやうき)の画像(ぐわ□う)を たれて拝(はい)をなすに 今こヽに団十郎や       鬼□□ と其角(きかく)の妙句(めうく)鬼神(きしん)を感(かん)じ 邪気(じやき)をはらひし事/疑(うたが)ひなし 易(ゑき)に鬼神(きしん)を説(と)くこれ造(ざう)/化(くわ)の 作者(さくしや)なり阮(げん)/膽(せん)/無(む)/鬼(き)/論(ろん)を取(とつ)て 鬼におどされし ためも ありと わらつて やうやく▲ ▲さうしも かきおわるところに とひやからしや本が