【巻物の題箋】
百人一首絵【繪】抄  二十

【本文】
此哥の心は宇多の帝のおん時
かのみやす所にしのびて通ひける
にあらはれて後によみてつかはしたる
哥也わびぬればとはよろづの思ひの
つもりてやるかたなきをいふ也されば此
事あらはれたる二人ははじめも今も名
の立たる事同じければもはや身を
つくしてもあはんと思ふ也といへり
身をつくしてもとは身をはたし
てもといふ事なり

【絵札】
  元良親王(もとよししんわう)
わびぬれば
今(いま)
 はた
おなじ
  難波(なには)
   なる

【字札】
身を
 つくし
   ても
逢(あは)んとぞ思ふ

【画面右下】
国【國】貞改二代
  豊国【國】画