【表紙】 【前見返し】 【丸ラベル JAPONAIS/311/1】 【見返し】 【白紙】 【白紙】 【書き込み「R.B.」と「1843」を中括弧で結び、その右に「3267」】 3267 R.B. 1843 【書き込み 1058に取消線あり、その下に311】1058 311  【白紙】 【横書き】 ① 訓蒙図彙大成 Kin mô dsu I dai sei . 12 巻 in 10 Voll.■ ■■■■■■■・・・・・ 増補訓蒙図彙序  蓋聞 ̄ク陋-巷無‾術之徒 ̄ノ育_レ ̄スル子 ̄ヲ乳-哺含-飴 之餘 ̄リ動 ̄モスレバ輒 ̄チ喋々 ̄タル乎無‾稽之説以 ̄テ引_二‾伸 ̄シ怪-乱【亂】之 事_一 ̄ヲ不_レ ̄ト已 ̄マ惟 ̄レ襁‾褓 ̄ノ所_レ熟 ̄スル為_レ ̄リ性 ̄ト附_レ ̄クノ朱 ̄ニ之物為_レ ̄ルトキハ丹 ̄ト則 ̄チ 我 ̄レ恐_三 ̄ルト窃【竊】‾癖姦‾疾之子弟出_二 ̄コトヲ其 ̄ノ間_一 ̄ニ云 ̄フ昔 ̄シ者婦人 身(ハラム)_レ子 ̄ヲ自‾持有_レ ̄レトモ厳 ̄ナル猶且 ̄ツ堤_二-防 ̄ス視-聴 ̄ノ或(モシクバ)不_一レ ̄ンカト正 ̄シ及_二其 【角印 陰刻】《割書:自■【盈ヵ】|楽■【才ヵ】》 【丸印 朱  中央に冠を頂く鳥(鷲ヵ鷹ヵ)の図を囲むように円形の文字列】BIBLIOTHÉQUE IMPÉRIALE MAN. 【二重丸印 朱】 R.F./BIBLIOTHÉQUE NATIONALE :: MSS :: 【上欄書入れ】Fase.1        1     【柱】頭書増補訓蒙図彙序     甲     【柱】頭書増補訓蒙図彙序     甲 已 ̄ニ生_一 ̄ルヽニ雖_二不_レ知不_一レ ̄ト議択_レ ̄ンデ人 ̄ヲ使_レ ̄ム為_二 ̄サ之 ̄レガ則_一 ̄リヲ故 ̄ニ邪‾色 不_レ染焉淫‾声無_レ触 ̄ルヽ焉唯《割書:〴〵》善是 ̄レ倣 ̄フ所_レ謂 嬉-戯之設_二 ̄ル礼-容_一 ̄ヲ有_レ ̄ンカ本 ̄ヅノコト焉乎本立 ̄テ而道 生 ̄シ根固 ̄シテ而材成 ̄ル自_レ古記_レ之亦【今ヵ】夫 ̄レ道徳之広 皆本_二 ̄ヒテ于文-字_一 ̄ニ而問【向ヵ】_二 ̄フトキハ其津_一 ̄ヲ則 ̄チ学‾者以_レ識_レ ̄ルフ【ルヲヵ】字 ̄ヲ為 _レ本 ̄ト無_二異論_一而 ̄レドモ筆研之於_二 ̄ル孩-提_一 ̄ニ其 ̄ノ始 ̄メ若_レ ̄ク苦 ̄キガ 【二重丸印 朱】 R.F./BIBLIOTHÉQUE NATIONALE :: MSS :: 若_レ ̄シ辛 ̄キガ自_レ ̄リハ非_レ ̄ル有_二 ̄ルニ善‾誘 ̄ノ在_一 ̄ル殆 ̄ド不_レ可_レ得於_レ是有_二 ̄リ 若(カクノゴトキ)中‾村‾氏訓‾蒙図‾彙之術_一可_レ ̄シ謂 ̄ツ善‾誨 不_レ ̄ル倦者 ̄ノト頃 ̄ロ又其増‾補刻成 ̄ル其人使_三余 ̄ヲシテ讃_二 一-辞_一 ̄ヲ余一 ̄タビ披_レ ̄キ巻 ̄ヲ閲_レ ̄ス之 ̄ヲ数【類ヵ】 ̄ト与方‾名 ̄トハ不_レ容_レ ̄レ言 ̄ヲ 啓‾蒙之要‾訣記‾字之捷‾径上 ̄ミ自_二雲‾行雨‾ 施之略_一不 ̄モ至_二鳥‾飛魚‾躍之状_一 ̄ニ品‾物畢 ̄ク陳 ̄ネ 【上欄書入れ】2     【柱】頭書増補訓蒙図彙序     乙     【柱】頭書増補訓蒙図彙序     乙 図‾象可_レ愛 ̄ス設(モシ)令_レ ̄ムモ有_二 ̄ラ陋‾巷無‾術之徒_一当_下 ̄テ諸 ̄レヲ 無-稽之説引_二-伸 ̄スル怪-乱_一 ̄ヲ者_上 ̄ノニ為_二 ̄ストキハ顧-復【後ヵ】之資_一 ̄ト則 ̄チ 襁-褓 ̄ノ所_レ熟為_レ性附_レ ̄クノ朱 ̄ニ之物 ̄ハ為_レ丹乃古之道 ̄ノ之不 _レ遠 ̄カラ文 ̄ノ之習 ̄ノ之所_レ導 ̄ビク自‾然向_二 ̄ンモ立‾身之階‾梯_一 ̄ニ亦何 ̄ゾ 疑 ̄ン盛 ̄ナルカトキ哉時 ̄カ乎時也此 ̄レヲ為_レ序 ̄ト戊‾申 ̄ノ冬十一月望             越前 力丸光撰【印 陰刻】《割書:東|山》 《割書:力印|之光》 訓蒙図彙叙 夫 ̄レ学 ̄ハ須_レ ̄ク愛_レ ̄ム日 ̄ヲ也無用 ̄ノ之弁  不急 ̄ノ之察 ̄ハ君-子棄 ̄テ而不_レ治 ̄メ 然 ̄トモ力-行 ̄ノ之余 ̄マリ游-芸 ̄ノ之際 ̄タ 凡 ̄ソ典-籍 ̄ニ所_レ ̄ノ載 ̄スル之品-物欲_レ  ̄スルトキハ窮_二 ̄ント其 ̄ノ微意 ̄ノ之所_一レ ̄ヲ寓 ̄スル則必 【上欄書入れ】3     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    一     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    一 因_二 ̄テ其名_一 ̄ニ以審_二 ̄ニシ其象_一 ̄ヲ以察_二 ̄ニス 其_情_一 ̄ヲ矣夫-子以_三多 ̄ク識_二 ̄ヲ鳥 -獣草-木 ̄ノ之名_一 ̄ヲ為_二 ̄ルコト学_レ ̄ノ詩 ̄ヲ之 一-益_一 ̄ルト蓋為_レ ̄メナラン之 ̄カ也名-義情-状 ̄ハ 皆可_下以_二訓-釈_一 ̄ヲ認_上レ ̄ム之 ̄ヲ若_二 ̄キハ夫形- 象儀-文_一 ̄ノ則不_レ如_下 ̄カ験_二 ̄ムルカ于図 ̄ニ 之亮_上 ̄ナルニ於_レ是 ̄ニ乎後-世有_二 ̄リ百 -藥 ̄ノ之図_一有_二 ̄テ六経 ̄ノ之図_一而至 ̄ル _レ有_二 ̄テ三才 ̄ノ之図【訓点一】焉近 ̄コロ又得_下 ̄タリ一 巻 ̄ノ雑-字書画対-照 ̄シテ以便_二 ̄スル 于啓-蒙_一 ̄ニ者_上 ̄ヲ矣吾_家 ̄ニ有_二児 -女_一皆方 ̄ニ垂-髫焉内 ̄ニ無_二 ̄ク姆 ̄ノ可_一 ̄キ 【上欄書入れ】4     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    二     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    二 _レ従 ̄フ外無_二伝 ̄フノ可_一レ ̄キ就 ̄ク乃倣_二 ̄テ対-照 ̄ノ 之制_一 ̄ニ連_二-綴 ̄シ四-言 ̄ノ千-字_一 ̄ヲ副 ̄ルニ 以_二 ̄シ國字_一 ̄ヲ傍 ̄ルニ以_二 ̄シテ画象_一 ̄ヲ而授_レ之 ̄ヲ 矣児-女尽_日 ̄ス翫-覧 ̄シテ不_レ釈 ̄テ焉 自_ ̄ヨリ後/稍(  〳〵)覩_レ ̄テ物 ̄ヲ呼_レ ̄ヒ名 ̄ヲ聞_レ ̄テ名 ̄ヲ 弁_レ ̄シテ物 ̄ヲ以 ̄テ至_三 ̄ル略識_二 ̄ルニ字-様_一 ̄ヲ意(アヽ) 芸文 ̄ノ之学 ̄タモ猶及_二 ̄テ于実-践 ̄ノ 之暇_一 ̄ニ而多-識 ̄ノ之資 ̄ケハ又得_二于文 学 ̄ノ之余_一 ̄ニ况此閑雑 ̄ノ之事 ̄ヲヤ乎 但用_レ ̄ルコト之 ̄ヲ当_二 ̄ルトキハ其可_一 ̄ニ則亦 ̄タ不_レ為 _レ無_レ ̄ト所_レ補焉微-物 ̄ノ之難_レ ̄コト棄 ̄テ 也如_レ ̄キカ斯 ̄ノ夫此-隣 ̄ニ有_二 ̄リ書肆_一 一-閲 ̄シテ 【上欄書入れ】5     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    三     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    三 欲_レ ̄ス梓_レ ̄ニセント之 ̄ヲ初以_レ非_レ ̄ルヲ所_二 ̄ニ嘗 ̄テ期_一 ̄スル辞 _レ之 ̄ヲ然 ̄トモ以_二屡_請 ̄テ不_一レ ̄ルヲ已 ̄マ故 ̄ニ不_レ得_二 固 ̄ク拒_一レ ̄コトヲ之 ̄ヲ於_レ是 ̄ニ重-修有_レ ̄テ日而 成 ̄ル焉列_レ ̄ヌルコト図 ̄ヲ凡 ̄テ一千其_間有_二 ̄テ 複-名 ̄ノ者_一該_レ ̄ルコト字 ̄ヲ一-千一百有六- 十 ̄ニシテ而相_二_避 ̄ク同-文_一 ̄ヲ矣附 ̄スル者又四-百 余-図通-編分 ̄テ為_二 十-七類二十 巻_一 ̄ト簽 ̄シテ曰_二訓-蒙図-彙 ̄ト奈_何 ̄カセン其 所_レ ̄ノ纂 ̄ル名-物出_二 ̄ル於億-度_一 ̄ニ者雖【訓点二】 別_レ ̄テ之 ̄ヲ不_一レ ̄ト混 ̄セ而猶不_レ免_二 ̄レ間(マ)有_一レ ̄コトヲ強 ̄ルコト _レ所_レ不_レ ̄ル知 ̄ラ且印 ̄シテ而行_レ ̄トキハ之 ̄ヲ則遣_二 ̄ルノ惑 ̄ヲ 于人_一 ̄ニ之罪実 ̄ニ莫_二 ̄シ得 ̄テ辞(し)_一 ̄スルコト焉 【上欄書入れ】6     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    四     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    四 深 ̄ク恨謀_レ ̄コトノ始 ̄ヲ之不_レ ̄シテ謹 ̄マ而今剞- 劂 ̄ノ之事已 ̄ニ就_レ ̄トキハ緒 ̄ニ則無_二 ̄コトヲ以 ̄テ及_一 ̄フ矣 斯 ̄レ不_レ ̄ル得_レ已 ̄コトヲ耳何 ̄ソ敢 ̄テ逃【訓点二】 ̄ン識 ̄ル_者 ̄ノ之 譏_一 ̄ヲ唯恐 ̄クハ不_レ ̄ル識 ̄ラ者採_レ ̄テ之 ̄ヲ不_レ ̄ンコトヲ択 ̄ハ 也乃叙_二 ̄シ纂-輯 ̄ノ之所_一レ ̄ヲ由 ̄ル并 ̄ニ條_二 ̄シテ其 ̄ノ 凡-例_一 ̄ヲ以属_二 ̄クト于肆_一 ̄ニ云寛-文丙午 秋七月惕-斎識 ̄ス 【上欄書入れ】7     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    五     【柱】頭書増補訓蒙図彙旧序    五 三才千字文序(さんさいせんじもんのじよ) 先(それ)人(ひと)の智(ち)あるは自然(しぜん)也(なり)見聞(けんもん)する所(ところ)を心(こゝろ)に記(しる)して事物(じぶつ)の理(ことはり) を弁(わきま)ふるに賢愚(けんしぐ?)の別(べつ)ありといへど其/馴(なる)るに随(したが)ひて其(その)端(はし)を覚(さと) らざる者(もの)なし学問(がくもん)の優劣(ゆうれつ)他(た)なし只(たゞ)識(しき)と不識(ふsきき)とにあり近世(きんせい) 惕斎先生(てきさいせんせい)訓蒙図彙(きんもうづい)を著(あらはし)て童蒙(どうもう)に便(たより)す則(すなはち)人をして品物(ひんぶつ)の名象(めいしやう) を識(しら)しめんとする已而(のみ)吾家(わがいへ)の児女(じじよ)輩(はい)此書(このしよ)を玩(もてあそん)で先生(せんせい)の余沢(よたく)を蒙(かうむ)る 事(こと)少(すくな)からす故(ゆへ)に能書生(のうしよせ)某(それがし)に属(ぞく)し書中(しよちう)の四言千文(しごんせんもん)を筆(ひつ)せしめ剞劂(きけつ) に附(ふ)して世(よ)に伝(つた)へ童子(どうじ)をして是(これ)を玩(もてあそば)しめ傍(かたはら)書学(しよがく)に便(たより)せんとす就中(なかんづく) 本書(ほんしよ)に考(かんが)へて図画(づぐわ)訳文(やくもん)を見時(みるとき)は童稚(どうち)の識(しること)を博(ひろ)くするの一助(いちじよ)ならずや 天明元辛丑之夏謙斎序 増補訓蒙図彙凡例(ぞうほきんもうづいはんれい) 一/凡(およそ)此(この)_編(へん)事(じ)-物(ぶつ)之(の)名(めい)-称(しやう)雖(いへとも)_下/皆(みな)以(もつて)_二漢字(かんじを)_一題(だいすと)_上レ/之(これに)而(しかも)実(じつは)以(もつて)_二和(わ)-  名(みやうを)_一為( す)_レ主(しゆとす)【「しゆとす」の「す」は衍字ヵ】蓋(けだし)本(ほん)-邦(ほう)中(ちう)-華(くは)風(ふう)-土(ど)之(の)殊(ことなる)如(ごときだも)_二乾(けん)-象(しやう)坤(こん)-儀(ぎ)之(の)名(めい)-  状(じやう)飛(ひ)-潜(せん)動(どう)-植(しよく)之(の)形(けい)-色(しよく)【訓点一】猶(なほ)不(す)_二必(かならずしも)-同(おなじから)_一矣/況(いはんや)人(にん)-俗(ぞく)工(こう)-技(き)之  所(ところ)_レ習(ならふ)堂(だう)-宇(う)器(き)-服(ふく)之(の)所(ところ)_レ制(せいする)豈(あに)得(ゑんや)_二牽(けん)-強而(きやうして)合(あはすることを)_一レ之(これに)故(ゆへに)随(したがつて)_二国(こく)-  俗(ぞくの)称(しやう)-呼(こに)_一各(おの〳〵)取(とりて)_二漢(かん)-字(じ)之(の)事(じ)-義(ぎ)形(けい)-状(じやう)近(ちかく)_似(にたる)者(ものを)_一以(もつて)名(なづく)_レ之(これに)観(みる)_  者(もの)須(すべからく)【左ルビ「べし」】_二先(まづ)知(しる)_一レ之(これを)其(その)未(いまだ)【左ルビ「ざる」】_レ得(ゑ)_二 以(もつて)名(なづくること)_一レ之(これに)之(の)字(じ)者(をば)欲(ほつす)_下題(だいするに)以(もつて)_二和(わ)-名(みやうを)_一  続(つがんと)_上レ之(これに)然(しかれども)未(いまだ)【左ルビ「ず」】_レ暇(いとまあら)_レ及(およぶに)_レ此(これに) 一/凡(およそ)一(いち)-事而(じにして)数(すう)-名(めいなる)者(ものは)以(もつて)_二正(せい)-名(めいを)_一為(して)_レ標(へうと)而/注(ちうす)_二異(い)-名(みやうを)于/其(その)_下(したに)_一  或(あるひは)為(ため)_レ拘(かゝはるが)_二于/属(ぞく)-対(たいに)_一或(あるひは)為(ために)_レ避(さるが)_二于/重(ぢう)-字(じを)_一題(だいするに)以(もつてする)_二異(い)-名(みやうを)_一則(ときは)注(ちうするに)以(もつてして)_二 【左頁上欄書入れ】8     【柱】頭書増補訓蒙図彙凡例    一     【柱】頭書増補訓蒙図彙凡例    一  正(せい)-名(めいを)_一曰(いはく)某(それがし)_也/曰(いはく)某(それが)_之/一(いち)-名(みやう)曰(いはく)某(それ)謂(いふと)_二之(これを)某(それと)_一若(もし)一(いち)-類而(るいにして)  殊(しゆ)-品(ひん)一(いつ)-体而(たいにして)分(ふん)-支(しする)者(ものは)則/注中(ちう〳〵)隔(へだてゝ)_レ圏(けんを)而/附(つく)_レ之(これを)標(へう)-題(だいを)為(して)  《割書: |レ》綱(かうと)而/余(よを)皆(みな)為(するなり)_レ目(もくと)也/其(その)所(ところ)_レ図(づする)倶(ともに)主(しゆとす)_二正者(せいなるものを)_一若(もし)併(ならびに)画(ゑがく)_二附(ふする)者(ものを)_一  則(ときは)就(つひて)_二図(づ)-中(ちうに)_一識(しるし)_二-別(わかつ)之(これを)_一 一/諸(しよ)-品(ひんの)名(めい)-称(しやう)大(おほ)-抵(むね)漢字(かんじは)以(もつて)_二方(はう)-俗(ぞく)従(じう)-来(らい)熟(じゆく)-知(ち)慣(くはん)-用(よう)者(するものを)_一為(す)  《割書: |レ》標(へうと)異(い)-称(しやうは)以(もつて)_二近(ちかく)_レ俗(ぞくに)宜(よろしき)_レ今(いまに)者(ものを)_一属(つく)_レ之(これに)其(その)和(わ)-名(みやうも)亦(また)有(ある)_二俗(ぞく)-呼(こ)_一則(ときは)  必(かならず)採(とつて)_レ之(これを)不(ず)_レ避(さけ)_二鄙(ひ)-俚(り)猥(わい)-雑(ざつを)_一皆(みな)欲(ほつしてなり)_二幼(ち)【稺】童(どう)蒙士(もうしをして)易(やすからんことを)_一レ暁(さとり) 一/諸(しよ)-品(ひんの)形(けい)-状(じやう)並(ならびに)象(かたどる)_二茲(この)邦(くに)之(の)風(ふう)-俗(ぞく)土(と)-産(さんに)_一矣/凡(およそ)所(ところの)_二目(もく)-撃(げきする)_一者(ものは)   便(すなはち)【𠊳】筆(ひつして)_而/摹(もす)【うつすヵ】_レ之(これを)或(あるひは)拠(より)_二画家(ぐはか)之(の)所(ところに)_一レ写(うつす)或(あるひは)審(つまびらかに)問(とひ)_二識(しる)_者(ひとに)_一然(しかして)_後(のち)  侖(ろんじて)_レ工(こうに)描(べう)_二-成(せいす)之(これを)_一其(その)間(あひだ)有(ある)_二本(ほん)-土(との)所_レ無(なき)及(および)有(う)-無(む)未(いまだ)【左ルビ「ざること」】_一レ審(つまびらかなら)則(ときは)並(ならびに)  以(もつて)_二異(い)-邦(はうの)風(ふう)-物(ぶつを)_一補(おぎなふ)_レ之(これを)然(しかれども)豊(ほう)-偉(い)之(の)体(てい)非(あらず)_三小(せう)-図(づの)所(ところに)_二能(よく)_容(いるゝ)_一繊(せん)  宻(みつ)之(の)_文(ぶん)非(あらず)_三曲(きく)-鑿(さくの)所(ところに)_二能(よく)_鐫(ゑる)_一況(いはんや)只(たゞ)墨(ぼく)-印(いんして)而/無(なきをや)_レ施(ほとこすこと)_二暈(うん)-彩(さいを)_一乎  所(ところ)_レ得(うる)止(たゞ)依(い)-稀(ちたる)【依稀「いき」ヵ。絺「ち」。】疎(そ)-影(ゑいをや)乎 一/引(いん)-証(しよう)之(の)図(と)-書(しよ)漢字(かんじは)以(もつて)_二/三(さん)-才(さい)図(ず)-会(ゑ)農(のう)-政(せい)全(ぜん)-書(しよ)及(および)諸(しよ)-家(かの)  本(ほん)-草(ざう)之(の)図(づ)-説(せつを)_一/為(す)_レ主(しゆと)凡(およそ)訓(くん)-詁(こ)注(ちう)-疏(そ)稗(はい)-史(し)雑(ざつ)-編(へんの)-中(うち)有(ある)_二明(めい)  徴(てう)_一則(ときは)採(さい)-摭(しやして)【採摭「さいせき」ヵ「さいしゃく」ヵ】以(もつて)稗(ひ)-益(ゑきす)矣/国書(こくしよは)以(もつて)_二源氏(げんじが)和(わ)-名(みやう)-集(しうを)_一/為(し)_レ本(もとゝ)以(もつて)_二  林(りん)-氏(しが)多(た)-識(しよく)-編(へんを)_一継(つぐ)_レ之(これに)凡(およそ)類(るい)-編(へん)雑(ざつ)-抄(せう)如(ごとき)_二字(じ)-鏡(きよう)壒(あい)-囊(のう)下(か)-学(がく)  節(せつ)-用(やう)之(の)等(たぐひの)_一並(ならびに)参(まじへ)_レ之(これに)補(おぎなふ)_レ之(これを)若(もし)質(たゞし)_二諸(これを)華(くは)-人(じんの)帰(き)-化(くはする)者(ものに)_一問(とひ)_二諸(これを)  交(かう)-游(ゆうの)博(ひろき)_レ物(ものに)者(ひとに)_一咨(とひ)_二諸(これを)技(き)-術(じゆつ)親(しんする)_レ事(ことに)者(ものに)_一詢(とひ)【訓点二】諸(これを)樵(せう)-魚(ぎよ)処(しよする)_レ野(やに)者(ものに)_一  合(がつ)-巧而(こうして)独(どく)_二-断(だんする)之(これを)_一則(ときは)必(かならず)称(しようして)_二今(こん)-按(あんと)_一以(もつて)別(わかつ)_レ之(これを)其(その)未(いまだ)【左ルビ「さる」】_レ審(つまびらかにせ)者(ものは)称(しようして)_二 【左頁上欄書入れ】9     【柱】頭書増補訓蒙図彙凡例    二     【柱】頭書増補訓蒙図彙凡例    二  或(あるひは)_曰(いはくと)_一以(もつて)備(そなふ)_二参(さん)-閲(ゑつに)_一矣/敢(あへて)正(たゞすとなれや)_二其(その)-名(なを)_一也哉/即(すなはち)以(もつて)_レ疑(うたがひを)伝(つたふる)_レ之(これを)耳(のみ)  弁(べん)_二-明(めい)揀(れん)_三-繹(ゑきすることは)之(これを)_一在(あり)_レ/人(ひとに)也 一/今(いま)以(もつて)_二目(もく)-次(し)之(の)数(すうを)_一別(べつに)為(なし)_二大(たい)-字(じの)冊(さく)-子(しと)_一呼(よんで)曰(いふ)_二/三(さん)-才(さい)千(せん)-字(じ)-文(もんと)_一  無(なし)_レ他(た)便(たよりすとなり)于/戯筆(きひつに)_一也 一/原(げん)-本(ほんの)図(づ)-彙(いに)所_二遺漏(いろうする)_一随(したがつて)_レ得(うるに)補(おぎなふ)之(これを)然(しかれども)事(じ)-物(ぶつ)之(の)無(なき)_レ限(かぎり)可(べき)_レ玩(もてあそふ)  者(もの)亦(また)多(た)-端(たん)近(ちかごろ)尋(たづね)_レ彼(かれに)問(とひ)_レ此(これに)撰(ゑらび)_下益(ゑきある)_二于/愛(あい)-玩(ぐはんに)_一者(もの)数(す)-百(ひやくを)_一【訓点「上」ヵ】為(なす)_二続(ぞく)-  編(へんと)_一其(それ)行(ゆく〳〵)将(まさに)【左ルビ「すと」】_レ嗣(つがんと)_レ刻(こくを)云(いふ) 頭書増補訓蒙図彙目録(かしらがきぞうほきんもうづゐもくろく)   巻(くはん)之(の)一  天文之部(てんぶんのぶ) 両儀(りやうぎ)     七政(しちせい)     太極(たいきよく)     陰陽(いんやう)    倭国(わこく) 国常立尊(くにとこたちのみこと) 秋津洲(あきつす)     日本国(にほんごく)    大唐 (たいとう)   盤古氏(はんこし) 北辰(ほくしん)     列宿(れつしゆく)     日(じつ)《割書:ひ》     月(げつ)《割書:つき》     星(せい)《割書:ほし》 斗(と)《割書:北斗(ほくと)》    晦(くはい)《割書:つごもり》    朔(さく)《割書:ついたち》   弦(けん)《割書:ゆみはり》     望(ばう)《割書:もちづき》 参(しん)《割書:からすきぼし》  昴(ばう)《割書:すばるぼし》   彗(せい)《割書:はゝきぼし》   孛(はい)《割書:ぼつせい》     日蝕(につしよく)《割書:むしくひ》 月蝕(ぐわつしよく)《割書:むしばむ》 天漢(てんかん)《割書:あまの| がは》   牽牛(けんぎう)《割書:ひこぼし》  織女(しよくじよ)《割書:たなばた|  つめ》 長庚(ちやうかう)《割書:ゆふづく》 太白(たいはく)《割書:あかぼし》  虚空(こくう)《割書:そら》    雲(うん)《割書:くも》     煙(ゑん)《割書:けふり》     風(ふう)《割書:かぜ》 露(ろ)《割書:つゆ》     霧(む)《割書:きり》     雨(う)《割書:あめ》     氷(へう)《割書:こほり》     雪(せつ)《割書:ゆき》 【上欄書入れ】10     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        一     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        一 虹(こう)《割書:にじ》   暈(うん)《割書:かさ》    雷(らい)《割書:いかづち》 電(でん)《割書:いなづま》 雹(はく)《割書:あられ》 氷柱(へいちう)《割書:つらゝ》   巻(くわん)之(の)二  地理(ちり)之(の)部(ぶ) 山(さん)《割書:やま》   巓(てん)《割書:いたゞき》  峰(ほう)《割書:みね》   坂(はん)《割書:さか》   嶽(がく)《割書:だけ》 巌(がん)《割書:いはほ》  谷(こく)《割書:たに》    瀑(はく)《割書:たき》   丘(きう)《割書:をか》   盤(はん)《割書:いは》 崖(がい)《割書:かけぎし》  麓(ろく)《割書:ふもと》  桟(さん)《割書:かけはし》  洞(とう)《割書:ほら》   岬(かう)《割書:みさき》 村(そん)《割書:むら》   林(りん)《割書:はやし》   川(せん)《割書:かわ》   洲(しう)《割書:す》   岸(がん)《割書:きし》 海(かい)《割書:うみ》   島(とう)《割書:しま》   波(は)《割書:なみ》   渦(くは)《割書:うづ》   浜(ひん)《割書:はま》 畔(はん)《割書:くろ》   田(でん)《割書:た》    塚(ちよう)《割書:つか》   井(せい)《割書:ゐ》   韓(かん)《割書:いづゝ》 独梁(どくりやう)《割書:ひとつ| ばし》 溝(かう)《割書:みぞ》   場(ぢやう)《割書:ば》   沢(たく)《割書:さは》   池(ち)《割書:いけ》 礫(れき)《割書:さゞれいし》 石(せき)《割書:いし》   沙(しや)《割書:すな》   泉(せん)《割書:いずみ》  塘(たう)《割書:つゝみ》 道(どう)《割書:みち》   野(や)《割書:の》    畷(せつ)《割書:なはて》  園(ゑん)《割書:その》   圃(ほ)《割書:はたけ》 閭(りよ)    衢(く)《割書:ちまた》   城(じやう)《割書:しろ》   塹(せん)《割書:ほり》   封疆(はうきやう)《割書:どて》 橋(きやう)《割書:はし》  市(し)《割書:いち》    津(しん)《割書:つ》   堤(てい)《割書:つゝみ》   浮橋(ふきやう)《割書:うき| はし》 水柵(すいさく)《割書:しがら|  み》 閘(かう)《割書:ひのくち》  堰(ゑん)《割書:ゐせき》  森(しん)《割書:もり》   関(くわん)《割書:せき》 峠《割書:とうげ》   沼(せう)《割書:ぬま》   薮(そう)《割書:やぶ》   牧(ぼく)《割書:まき》   墓(ぼ)《割書:はか》   巻之三  居処(きよしよ)之(の)部(ぶ) 殿(てん)《割書:との》   棟(とう)《割書:むね》   檐(ゑん)《割書:のき》   楹(ゑい)《割書:はしら》   摶風(はふ) 蔀(ほう)《割書:しとみ》   階(かい)《割書:きざはし》 礎(そ)《割書:いしずへ》  欄杆(らんかん)   扉(ひ)《割書:とびら》 廊(らう)《割書:ほそどの》  庭(てい)《割書:には》   門(もん)《割書:かど》   牆(しやう)《割書:かき》   磚(せん)《割書:しきがはら》 【上欄書入れ】11     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        二     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        二 砌(せい)《割書:みぎり》  華表(くはへう)《割書:とりゐ》 宮(き)《割書:みや》   瑞籬(ずいり)《割書:みづ| がき》  楼(ろう)《割書:たかどの》 雪打(ゆた)     宅(たく)《割書:いゑ》   櫺(れい)《割書:まど》   厨(ちう)《割書:くりや》   窖(かう)《割書:あなぐら》 寺(じ)《割書:てら》   塔(たう)《割書:あらゝぎ》  亭(てい)《割書:あばらや》  廬(ろ)《割書:いほり》   屋(をく)《割書:や》 厠(し)《割書:かはや》  坊(ばう)《割書:まち》   店(てん)《割書:いちぐら》  槅子(かうし)    倉(さう)《割書:くら》 廡(ぶ)《割書:ひさし》  斎(さい)     窓(さう)《割書:まど》   戸(と)《割書:と》    瓦(ぐは)《割書:かはら》 蟆股《割書:かへる|   また》楗(けん)《割書:くわんのき》 扃(けい)《割書:とざし》   臥房(ぐはばう)《割書:ねや》   鋪首(ほしゆ) 壁(へき)《割書:かべ》  庁(ちやう)【廳】《割書:まんどころ》厩(きう)《割書:むまや》牢獄(らうごく)《割書:ひとや》  柵(さく)《割書:しがらみ》 閨(けい)《割書:ねや》  籬(り)《割書:ませがき》 浴室(よくしつ)《割書:ゆどの》  枢(すう)【樞】《割書:くろゝ》駅(ゑき)《割書:むまやど》 護摩堂(ごまだう)  台(たい)【臺】《割書:うてな》櫓(ろ)《割書:やぐら》 桟敷(さんじき)     蹴鞠坪(しうきくのつぼ) 輪蔵(りんざう)   護朽(ごきう)    榱(さい)《割書:たるき》   枅(けい)《割書:ひぢき》    桁(かう)《割書:けた》 藻井(さうせい)   枓(と)《割書:ますがた》  窯(よう)《割書:かはらがま》   巻(くはん)之(の)四  人物(じんぶつ)之部 公(こう)《割書:きみ》   卿(けい)《割書:きみ》   士(し)《割書:さふらい》  女(じよ)《割書:をんな》  嬰(ゑい)《割書:みどりこ》 童(どう)《割書:わらはべ》   翁(おう)《割書:おきな》  婆(ば)《割書:うば》   兵(へい)《割書:つはもの》  農(のう)《割書:ものつくり》 工(こう)《割書:だいく》  商(しやう)《割書:あきびと》  賈(こ)《割書:あきびと》 医(い)《割書:くすし》   卜(ぼく)《割書:うらなひ》 膳夫(ぜんふ)《割書:かしはで》 画工(ぐはこう)《割書:ゑし》  巫(ぶ)《割書:みこ》   祝(しく)《割書:かんぬし》  僧(そう)《割書:よすてびと》 尼(に)《割書:あま》   鍛(たん)《割書:かぢや》  冶(や)《割書:ゐものし》  陶家(たうか)《割書:すへもの| つくり》 鬼(き)《割書:おに》 仙(せん)《割書:やまびと》  仏(ぶつ)《割書:ほとけ》  薩(さつ)《割書:ぼさつ》  樂官(がくくはん)《割書:がく| にん》 伶人(れいじん)《割書:まひ| びと》 俳優(はいゆう)《割書:わざ| おき》 染匠(せんしやう)《割書:そめ| どの》 蚕婦(さんふ)《割書:こがひ》 機女(きぢよ)《割書:はた| をり》 弓人(きうじん)《割書:ゆげし》 矢人(しじん)《割書:やはぎ》 函人(かんじん)《割書:よろひ|  し》 玉人(ぎよくじん)《割書:たま| ざいく》 硯工(けんこう)《割書:すゞり|  きり》櫛引(くしひき) 【上欄書入れ】12     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        三     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        三 銀匠(ぎんしやう)《割書:しろかね| ざいく》 褙匠(はいしやう)《割書:ひやうぐ|   し》烏帽子折(ゑぼうしをり) 皮匠(ひしやう)《割書:かはざいく》 傘工(さんこう)《割書:かさ| はり》 針磨(はりすり)    牙婆(がは)《割書:す| あひ》  薦僧(こもぞう)   筆工(ひつこう)《割書:ふで| ゆひ》 石工(せきこう)《割書:いし| きり》 圬者(うしや)《割書:かべ| ぬり》  相撲使(ことりづかひ)《割書:すもふ| とり》 扇工(せんこう)《割書:あふぎ|  や》漆匠(しつしやう)《割書:ぬし》  侏儒(しゆじゆ)《割書:一寸| ぼうし》 兎脣(としん)《割書:いくち》  駝背(だはい)《割書:せむし》  蜑人(ゑんじん)《割書:あま》 釣叟(てうさう)    樵夫(せうふ)《割書:きこり》 猟師(れうし)《割書:かりう|  ど》  瞽者(こしや)《割書:もう| もく》  乞兒(きつじ)《割書:もの| もらひ》販婦(はんふ)《割書:ひさき|  め》  漁夫(ぎよふ)《割書:すなどり》 舟子(しうし)《割書:ふなこ》  牧童(ぼくどう)《割書:うしかひ| わらは》 鏡造(かゞみつくり)  娼婦(しやうふ)《割書:うかれめ》 遊女(ゆうぢよ)《割書:うかれめ》 渉人(せうじん)《割書:わたし| もり》  駕輿丁(かよてう)《割書:かご|かき》 浪人(らうにん)   傀儡師(くわいらいし)《割書:てくゞつ》馬借(ばしやく)《割書:むまさ|   し》 伯楽(はくらく)《割書:むま|くすし》  車借(くるまがし)   問丸(とひまる)   土器師(かはらけし)   《割書:大(お)|原(はらの)》黒木女(くろぎめ) 屠者(としや)《割書:ゑた》   中国(ちうごく)    朝鮮(てうせん)   蕭慎(しくしん)   蒙古(もうこ) 天竺(てんぢく)    琉球(りうきう)    安南(あんなん)   東番(とうばん)《割書:たか| さご》 暹羅(せんら)《割書:しや| むろ》 占城(せんせい)《割書:ちやん| はん》 東夷(とうい)《割書:ゑぞ》  南蛮(なんばん)《割書:みなみの| ゑびす》 呂宋(りよそう)《割書:るすん》  長脚(ちやうきやく)《割書:あしなが》 長臂(ちやうひ)《割書:てなが| じま》 崑崙(こんろん)《割書:くろ| ぼう》 長人国(ちやうじんこく)  小人国(しやうじんこく)   巻(くはん)之五  身体(しんたい)之部 頭(づ)《割書:かしら》  口(こう)《割書:くち》   眉(び)《割書:まゆ》    目(もく)《割書:め》     耳(に)《割書:みゝ》 鼻(び)《割書:はな》   歯(し)《割書:は》   舌(ぜつ)《割書:した》     鬚《割書:したひげ》  髭(し)《割書:うはひげ》 鬢(びん)    髪(はつ)《割書:かみ》   筋(きん)《割書:すぢ》    毛(もう)《割書:け》     顱(ろ)《割書:はち》 骨(こつ)《割書:ほね》   腹(ふく)《割書:はら》   背(はい)《割書:せなか》   手(しゆ)《割書:て》     脚(きやく)《割書:あし》 拳(けん)《割書:こぶし》  指(し)《割書:ゆび》   肋(ろく)《割書:あばらぼね》  乳(にう)《割書:ち》     心(しん)《割書:こゝろ》 肺(はい)《割書:ふく〳〵し》 脾(ひ)《割書:よこし》  腎(じん)《割書:むらと》   肝(かん)《割書:きも》    膽(たん)《割書:ゐ》 腸(ちやう)《割書:はらわた》 大腸(だいちやう)   小腸(せうちやう)    胃(い)《割書:くそぶくろ》  膀胱(ぼうくわう)《割書:ゆばり》 【上欄書入れ】13     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        四     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        四 包絡(はうらく)    臓腑(ぞうふ)    胞胎(はうたい)《割書:はら| ごもり》 胎衣(たいい)《割書:ゑな》   巻(くはん)之六  衣服(いふく)之部 冕(べん)《割書:たまのかむり》 纓(えい)    冠(くはん)《割書:かむり|官品玉冠(くわんひんのぎよくくはん)》幞(ぼく)    巾(きん)《割書:頭巾(づきん)|唐巾》 帽(ばう)     帽子(もうす)    笏(こつ)《割書:木笏(もくしやく)|牙笏(げしやく)》  烏帽子(ゑぼし)   緌(い) 袞(こん)     裳(しやう)《割書:も》    袍(はう)《割書:うへのきぬ》  衫(さん)《割書:かたびら》  袴(こ)《割書:はかま》 裙(くん)《割書:も》    珮(はい)《割書:をもの》   帯(たい)《割書:をび》    靴(くわ)《割書:くわのくつ》 半臂(はんひ) 缺掖(けつゑき)    布衣(ほい)    奴袴(ぬこ)     襟(きん)《割書:ゑり》   裾(きよ) 衿(れい)《割書:ゑり》    袖(しう)《割書:そで》   袈裟(けさ)     直掇(ぢきとつ)   魚袋(ぎよたい) 革帯(かくたい)《割書:いしの| をび》  韈(べつ)《割書:したうづ》  深衣(しんい)     幅巾(ふくきん)   絡子(らくし)《割書:くはら》 履(くつ)《割書:浅履(あさぐつ)|■(くり)【烏ヵ】皮履(かはのくつ)》被(ひ)《割書:ふすま|睡襖(すいをう)》帨(ぜい)《割書:てのごひ》   帕(はく)    緇布冠(しふくはん) 毛裘(もうきう)《割書:かは| ごろも》 涎衣(ぜんい)《割書:よだれ| かけ》  裹脚(くわきやく)《割書:きや| はん》 幄(あく)     帳(ちやう)《割書:かや》 幔(まん)《割書:とばり》   幕(ばく)《割書:まく》    座具(ざぐ)   縁道絹(えんどうのきぬ)   夾衣(きやうい)《割書:あわせ》 褥(し)《割書:しとね》   降緒(かうしよ)《割書:さげを》  雨衣(うい)《割書:かつは》 浴衣(よくい)《割書:ゆかた| びら》  蔽膝(へいしつ)《割書:まへだれ》 鞋(かい)《割書:糸(し)【絲】鞋(かい)《割書:いと| ぐつ》|草鞋(さうかい)《割書:わら| ぐつ》》 屐(げき)《割書:あしだ|木履(ぼくり)》   巻(くはん)之七  宝貨(はうくは)之部 金(きん)《割書:こがね》   銀(ぎん)《割書:しろかね》  鈆(ゑん)【鉛】《割書:なまり》鐵(てつ)《割書:くろがね》 銅(とう)《割書:あかゞね》 銭(せん)《割書:ぜに》    珠(しゆ)《割書:たま》   玉(ぎよく)《割書:たま》   礬(はん)     硃(しゆ)《割書:朱砂(しゆしや)|銀朱(ぎんしゆ)》 硫(いわう)《割書:ゆのあわ|発燭(はつしよく)》 硝(せう)《割書:芒硝(ばうせう)|牙硝(げせう)》   磁(じ)《割書:はりすい|   いし》 砒(ひ)《割書:どくいし|砒霜(ひさう)》  砥(し)《割書:あはせど》 礪(れい)《割書:あらと》   玻璃(はり)    瑪瑙(めのう)    硨磲(しやこ)    瑠璃(るり) 珊瑚(さんご)    琥珀(こはく)    琅玕(らうかん)    玳瑁(たいまい)    紗(しや)《割書:もじ》 【上欄書入れ】14     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        五     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        五 熨斗目(のしめ)   錦(きん)《割書:にしき》   繍(しう)《割書:ぬひもの》  縠(こく)《割書:ちりめん》   綾(りやう)《割書:あや》 綃(せう)《割書:すゞし》  緞(たん)《割書:どんす》    絹(けん)《割書:きぬ》   繻珍(しゆちん)    繻子(しゆす) 紅染(もみぞめ)   加賀絹(かがぎぬ)   線(せん)《割書:よりいと》  絛(たう)《割書:くみひぼ|《割書:又》組(そ)《割書:又》紃(しゆん)《割書:同》》 糸(し)【絲】《割書:いと》 綿(めん)《割書:わた》   八/丈島(じやうじま)  絨(しう)《割書:びらうど》  氈(せん)《割書:もうせん》   金薄(きんばく) 水銀(みづかね)   高麗織(かうらいをり)   皮(ひ)《割書:かは》   革(かく)《割書: |韋(い)》   鉄(てつ)【鐵】線(せん)《割書:はり| がね》 水精(すいしやう)《割書:みづとり|  たま》火精(くわしやう)《割書:ひとり| だま》 緑青(ろくしやう)   白粉(はくふん)《割書:おしろい》  雲母(うんも)《割書:きらゝ》 石膽(せきたん)《割書:たんはん》浮石(ふせき)《割書:かろいし》 温石(をんじやく)   滑石(くわつせき)    鱉甲(べつかう) 麒麟血(きりんけつ)  幣(へい)《割書:にぎて》   木綿襷(ゆふだすき)  石灰(せきくわい)《割書:いし| ばひ》  海鹽(かいゑん)   巻(くはん)之八  器用(きよう)之部 紙(し)《割書:かみ》   筆(ひつ)《割書:ふで》   墨(ぼく)《割書:すみ》   硯(けん)《割書:すゞり》   書(しよ)《割書:本 横巻|冊子》 画(ぐは)《割書:ゑ》    裱(へう)《割書:へうし》   帙(じつ)《割書:ふまき》   牋(せん)《割書:しきし》   印(ゐん)《割書:をして》 印色(いんしよく)《割書:いんにく》 符(ふ)《割書:わりふ》   簿(ほ)    暦(れき)《割書:こよみ》   扇(せん)《割書:あふぎ》 団扇(だんせん)《割書:うちは》  翳(ゑい)《割書:は》    筭(さん)《割書:そろばん》  尺(しやく)《割書:ものさし|摺尺(せうしやく)》 払塵(ふつぢん)《割書:ほつす》 如意(によい)    几(き)《割書:をしまづき》  案(あん)《割書:つくゑ》   蝋燭(らうそく)   鐘(しやう)《割書:つりがね》 笛(てき)《割書:ふゑ》    尺八(しやくはち)《割書: |竪笛(しゆてき)》 横笛(わうてき)《割書:よこ| ぶゑ》 鐸(たく)《割書:すゞ》   風鈴(ふりやう) 鈴子(れいし)《割書:すゞ》   鈸(はつ)     鉦(しやう)     土拍子(とびやうし)   籥(やく)《割書:こまぶえ》 鼓(こ)《割書: |大鼓也(たいこなり)》  笙(しやう)     簫(しやう)     柷(しく)     磬(けい)《割書: |銅磬(どうけい)》 律(りつ)《割書:づだけ》   琴(きん)《割書:こと》    瑟(しつ)     筝(さう)《割書:さうのこと》 阮(げん)《割書:阮咸(げんかん)|月琴(げつきん)》 琵琶(びは)    篳篥(ひちりき)     軫(しん)《割書:琴軫(ことのしん)|比巴軫(びはのしん)》 柱(ちう)     敔(ぎよ)《割書:さゝら》 枹(ふ)《割書:大鼓枹(たいこのばち)|羯鼓枹(かつこのばち)》 撥(ばち)《割書:比巴撥(びはのばち)|三絃撥(さんけんのばち)》  塤(けん)    鼗(たう)《割書:ふりつゞみ》 三絃(さんけん)《割書:さみ| せん》 【上欄書入れ】15     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        六     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        六 繫爪(けつさう)   仮面(かめん)《割書:まひの| おもて》  銅鑼(とうら)   銅鉢(とうはち)《割書:きん》  羯鼓(かつこ) 腰鼓(えうこ)   風鐸(ふうたく)《割書:はう| ちやく》  雲版(うんはん)《割書:ちやう| はん》 嗩吶(さのう)   喇叭(らは)《割書: 同|銅角(とうかく)》 六采(りくさい)《割書:すご| ろく》 棊(き)《割書:ご》     枰(へい)《割書:ごばん》  簺(さい)《割書: |骰子(たうし)》  象棋(しやうぎ) 硯屏(けんびやう)   水滴(すいてき)《割書: |水中丞(すいちうぜう)》書鎮(しよちん)   筆架(ひつか)    界方(かいはう)《割書:ひぢやう|   ぎ》 圧尺(あつしやく)《割書:けさん》 眼鏡(がんきやう)《割書:めがね》 爪杖(さうぢやう)《割書:まごの|  て》 鞠(きく)《割書:まろ》   燭台(しよくだい) 燭奴(しよくど)   灯籠(とうろう)    灯檠(とうけい)    油瓶(ゆびやう)    燭𤋎【「前+火」。燭剪ヵ燭翦ヵ】《割書:しん| きり》 灯(とう)《割書:ともしび》 挑灯(てうちん)《割書:同|提灯》  方灯(はうとう)《割書:あん| どう》  烟火(ゑんくわ)《割書:はなび》  拍板(はくはん)《割書:びん| ざゝら》 香炉(かうろ)   筋瓶(ぢよびやう)    佩香(はいかう)《割書:にほひ|のたま》  線香(せんかう)    薫籠(くんろう)《割書:ふせご》 香餅(かうべい)《割書:たどん》 空鐘(くうしやう)《割書:たう| ごま》 毬杖(きうぢやう)《割書:ぎつ| ちやう》 投壺(とうこ)《割書:つほ| なげ》  爆竹(はくちく)《割書:さぎ| ちやう》 紙鳶(しゑん)《割書:いかの| ぼり》 竹馬(ちくば)《割書:たけ| むま》  風車(ふうしや)《割書:かざ| ぐるま》 木偶(もくぐう)《割書:にん| ぎやう》 陀螺(だら)《割書:ぶしやう|  ごま》   巻(くはん)之九  器用(きよう)之部 幢(とう)《割書:はた》   幡(ばん)《割書:はた》   旗(き)《割書:はた》   纛(たう)《割書:はた》   羽葆幢(うはうとう) 銅雀幢(とうじやくとう)  兵幡(へいはん)   仏幡(ぶつはん)   鉾(ぼう)《割書:ほこ》    楯(しゆん)《割書:たて》 鎧(がい)《割書:よろひ》  冑(ちう)《割書:かぶと》   刀(たう)《割書:かたな|短刀(のだち)長刀(ながだち)》鎗(さう)《割書:やり》   鈇(ふ)《割書:をの》 鉞(ゑつ)《割書:まさかり》  戈(くわ)《割書:ほこ》   戟(げき)《割書:ほこ》   柄(へい)《割書:え》  䂎(さん)《割書:いしづき|鐏(そん)《割書:同》䥞(げき)【鐓ヵ】《割書:同》》 幟(し)《割書:はたしるし》 剣(けん)《割書:つるぎ》   鐔(たん)《割書:つば》   鞘(せう)《割書:さや》   欛(は)《割書:つか》 矢(し)《割書:や》    鏃(ぞく)《割書:やじり》   靫(さ)《割書:うつぼ》  箙(ふく)《割書:やなぐひ》  弓(きう)《割書:ゆみ》 弩(ど)《割書:おほゆみ》  砲(はう)《割書:いしはじき》 銃(しう)《割書:てつはう》  韘(てう)《割書:ゆがけ》   韝(こう)《割書:ゆごて》 的(てき)《割書:まと》   垛(た)《割書:あづち》   鞍(あん)《割書:くら》   鐙(とう)《割書:あぶみ》   鞦(しう)《割書:しりがひ》 䪊(りう)《割書:おもがひ》  銜(かん)《割書:くつわ》   鑣(せう)《割書:くつわの|  かゞみ》 韁(きやう)《割書:たづな》  鞭(べん)《割書:むち》 【上欄書入れ】16     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        七     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        七 長剣(ちやうけん)《割書:なぎ| なた》 鋼叉(かうさ)《割書:十もん|   じ》 鉄把(てつは)《割書:つく| ぼう》  鉄鞭(てつべん)《割書:かな| むち》  火箭(くわせん)《割書:ひや》 飄石(へうせき)《割書:づん| ばい》  発貢(はつこう)《割書:いし| びや》 鹿砦(ろくさい)《割書:さか| もぎ》  障泥(しやうでい)《割書:あをり》 屧脊(せうせき) 鉗(けん)《割書:くびがね》  枷(か)《割書:くびかし》  笞(ち)《割書:しもと|杖(じやう)《割書:つえ》》  棒(ばう)《割書: |棍(こん)《割書:同》》   吾杖(ごぢやう)《割書:きりこ》 碇(てい)《割書:いかり》   車(しや)《割書:くるま》   輦(れん)《割書:てぐるま》  兜(とう)《割書:かぶと》   輿(よ)《割書:こし》 輪(りん)《割書:わ》   輞(まう)《割書:おほわ》  轂(こく)《割書:こしき》  輻(ふく)《割書:や》   軸(ぢく)《割書:よこき【よこがみヵ】》 轅(ゑん)《割書:ながえ》   軛(やく)《割書:くびき》   桊(けん)《割書:はなぎ》  桟【棧】車(しや)《割書:にぐる|  ま》 籃輿(かんよ)【らんよヵ】《割書:あんだ》 帆(はん)《割書:ほ》    檣(しやう)《割書:ほばしら》  柁(た)《割書:かぢ》   舟(しう)《割書:ふね》    舶(はく)《割書:ふね》 艜(たい)《割書:ひらた》   艇(てい)《割書:をぶね》   㯭(ろ)    棹(たう)《割書:かい》    筏(はつ)《割書:いかだ》 篷(ほう)《割書:とま》   野航(やかう)《割書:わたし| ぶね》  番舶(ばんはく)《割書:ゑびす| ぶね》 車蓋(しやかい)《割書:くるまの| やかた》  轄(かつ)《割書:くさび》 軌(き)【䡄】《割書:くるまの|  よこぎ》   巻(くはん)之十  器用(きよう)之部 犂(り)《割書:からすき》  耙(は)《割書:むまくは》  鑱(さん)《割書:からすきの|    さき》 鐴(へき)《割書:からすきの|    へら》鎌(れん)【鐮】《割書:かま》  擔(たん)《割書:あふご》   輭擔(せんたん)《割書:やま| あふご》匾擔(へんたん)《割書:たび| あふご》 钁(くわく)《割書:すき》   鍤(さう)《割書:くは》 鎛(はく)《割書:こぐは》   鏟(さん)《割書:こずき》  櫌(いう)《割書:つちわり》  杈(さ)《割書:またぶり》  杷(は)《割書:さらひ》 竹杷(ちくは)《割書:こま| ざらひ》 木杷(もくは)    朳(はつ)《割書:えぶり》   鉄搭(てつたう)《割書:くまで》 火叉(くはさ) 蓑(さ)《割書:みの》    笠(りつ)《割書:かさ》   畚(ほん)《割書:ふご》   籠(ろう)《割書: かご》   篠(でう)《割書:あじか》 簣(き)《割書:あじか》   礱(ろう)《割書:すりうす》  磨(ま)《割書:いしうす》  碓(たい)《割書:からうす》  榨(さ)《割書:うちひ》 銀剪(きんせん)《割書:かな| ばさみ》 石鏨(せきせん)《割書:いしきり|  のみ》 連耞(れんか)《割書:から| さほ》 機(き)《割書:はた》   杼(ぢよ)《割書:ひ》 筬(せい)《割書:をさ》   綜(そう)《割書:へ》    筟(ふ)《割書:くだ》    篗(わく)    績纒(せきてん)《割書:へそ》 絡柅(らくち)《割書:たゝ|  り》  績桶(せきとう)《割書:おごけ》 紡錘(はうすい)《割書:つむ》  布機(ふき)《割書:しも| はた》 撥柎(はつふ)《割書:まひ|  ば》 【上欄書入れ】17     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        八     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        八 搗砧(たうちん)《割書:きぬた》 繰車(さうしや)《割書:おほが》  繀車(さいしや)《割書:ぬき| かぶり》撹車(かうしや)《割書:きわた| くり》 紡車(はうしや)《割書:いとより| くるま》 蚕連(さんれん)   蚕簿(さんはく)《割書:えびら》  針(しん)《割書:はり》   熨(い)《割書:のし》   規(き)《割書:ぶんまはし》 矩(く)《割書:まがりがね》 準(じゆん)《割書:さげすみ》  縄(じやう)《割書:すみつぼ》 釿(きん)《割書:てをの》  鐁(し)《割書:かな》 鉋(はう)《割書:つきかんな》 鋸(きよ)《割書:のこぎり》  槌(つい)《割書:つち》   木槌(もくつい)《割書:こづち》 㭬鏨(たくげき)《割書:あいづち》 柊楑(しうき)《割書:さい| づち》  鑿(さく)《割書:のみ》   鑽(さん)《割書:きり》   錐(すい)《割書:きり》   /𣖯(しん)【木偏に竹+心】《割書:すみさし》 鏝(まん)《割書:こて》   鑢(りよ)《割書:やすり》   鏨(せん)《割書:たがね》   鑕(しつ)《割書:かなしき》 鋏(けう)《割書:かなばし》 鎚(つい)《割書:かなづち》  鐇(ばん)《割書:まさかり》  斧(ふ)《割書:をの》   鞴(はい)《割書:ふいがう》  堝(くわ)《割書:るつぼ》 削刀(さくたう)《割書:こがた|   な》 裁刀(さいたう)《割書:ものたち| がたな》 楔(せつ)《割書:くさび》  釘(てい)《割書:くぎ》   索(さく)《割書:なは》 橛(けつ)《割書:くひ》   鉸具(かうぐ)《割書:てふつ|  がひ》  箍束(こそく)《割書:わ》  篾箍(べつこ)《割書:たけわ》  鉄束(てつそく)《割書:かなは》 釣鉤(てうこう)《割書:つり| ばり》  砧(ちん)《割書:あて》   轆轤(ろくろ)《割書:くる| まき》 桔槹(けつかう)《割書:はね| つるべ》 瓦竇(ぐわたう)《割書:かわら|   び》 綿弓(めんきう)《割書:きわた| ゆみ》  旋盤(せんはん)《割書:すへ| ものゝ|   ぐ》 牽鑽(けんさん)《割書:ろくろ| かな》  木梴(もくてい)《割書:てこ》  鉄梃(てつてい)《割書:かな| てこ》 絞車(かうしや)《割書:まき| ろくろ》 趕網(かんまう)《割書:さで》  攩網(とうまう)《割書:すくひ| だま》  罾(そう)《割書:よつで》   羅(ら)《割書:とりあみ》 笯(ど)《割書:とりこ》   囮(くわ)《割書:おとり》   弶(りやう)《割書:わな》   矟(さく)《割書:やす》    雀竿(しやくかん)《割書:とり| ざほ》 鷹架(ようか)《割書:たかの| ほこ》  炉工台(ろくだい)【爐工臺】籞(きよ)《割書:いけす》 石籠(せきろう)《割書:しや| かご》 筒車(とうしや)《割書:みづ| づるま》 水筧(すいけん)《割書:かけ|  ひ》 翻車(はんしや)【飜車】《割書:りう| こつしや》戽斗(ことう)《割書:なげ| つるべ》塘網(たうまう)《割書:ひき| あみ》撒網(さんまう)《割書:うち| あみ》 案山子(かゞし)   魚簗(ぎよりやう)《割書:やな》  魚簄(ぎよこ)《割書:えり》   楨榦(ていかん)《割書:ついぢ| いた》  榰柱(しちう)《割書:つかへ》 水平(すいへい)《割書:みづ| ばかり》 縄車(じやうしや)《割書:なはなひ》 障子(しやうじ)   土圭(とけい)   巻(くはん)之十一  器用(きよう)之部 簾(れん)《割書:すだれ》  屏(へい)《割書:びやうぶ》  囲屏(いびやう)【圍屏】《割書:をり| びやう|   ぶ》枕(しん)《割書:まくら》 席(せき)《割書:むしろ》 椅子(いす)    牀(しやう)《割書:ゆか とこ》 杌(ごつ)《割書:こしかけ》   墩(とん)《割書:こしかけ》  匜(い)《割書:はんざう》 【上欄書入れ】18     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        九     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        九 盥(くわん)《割書:たらひ》  鏡(きよう)《割書:かゞみ》  剪(せん)《割書:はさみ|摺(しう)【ろうヵ。訓蒙図彙は「せう」】剪(せん)。夾剪(けうせん)》 鑷(てふ)《割書:けぬき》  笄(けい)《割書:かんざし》 髪(ひ)《割書:かづら》  櫛(しつ)《割書:くし》  梳(しよ)《割書:すきぐし》  挿(さう)【㮑ヵ】《割書:さしぐし》枇(ひ)《割書:ほそぐし》 鏡台(きやうだい)《割書:《割書:かゞみ|  かけ》|鏡架(きやうか)》粉匣(ふんかう)《割書:おしろい|  ばこ》 壺(こ)《割書:つぼ》    瓶(へい)《割書:かめ》   樽(そん)《割書:たる》 櫑(らい)《割書:もたひ》  盃(はい)《割書:さかづき》  盞(さん)《割書:ちよく》   巵(し)《割書:さかづき》  爵(しやく)《割書:すゝめかうろ》 鼎(てい)《割書:あしかなへ》 鍋(くは)《割書:なべ》   釜(ふ)《割書:かま》    甑(そう)《割書:こしき》   鼎炉(ていろ)《割書:かうろ》 匙(し)《割書:かひ》   飯匙(はんし)    茶匙(さじ)    薬匙(やくじ)    香匙(きやうじ) 飯臿(はんさう)《割書:いひ| かゐ》 筋(ぢよ)《割書:はし》   火筋(くはぢよ)《割書:ひばし》  碗(わん)《割書: |盂(う)》    茶碗(ちやわん) 木椀(もくわん)   碟(せう)《割書:さら》    托(たく)《割書:ちやだい》  盤(ばん)《割書: |台盤(だいばん)》  盞盤(さんはん)《割書:さかづき|  だい》 盒(がう)《割書:じきろう》  鉢(はち)     盆(ぼん)《割書:さはち》   甕(おう)《割書:もたひ》   缶(ふ)《割書:つるべ| 汲桶》 桶(とう)《割書:をけ》   槽(そう)《割書:ふね》    杓(しやく)《割書:ひしやく》  筅(せん)《割書:ちやせん》  筅帚(せんさう)《割書:さゝら》 箕(き)《割書:み》    篩(さい)《割書:ふるひ》  筲(さう)《割書:いかき》  籃(かん)【らんヵ】《割書:かご》 竈(さう)《割書:かまど》 炉(ろ)《割書:ひたき》   燧(すい)《割書:ひうち》  火(くは)《割書:ひ》    升(せう)《割書:ます》    合(がふ) 杵(しよ)《割書:きね》   臼(きう)《割書:うす》   唾壺(だこ)《割書:ぢんこ》  湯婆(たうば)《割書:たんほ》  温壺(うんこ) 觶(たん)《割書:さかづき》  觚(こ)《割書:さかづき》 彛(い)《割書:たる》    洗(せん)《割書:はんだう》   尊(そん)《割書:たる》 罍(らい)《割書:もたひ》   簠(ほ)    簋(き)     鍑(ふ)《割書:さかり》    鐺(たう)《割書:さしなべ》   樏(るい)《割書:わりご》   笥(し)《割書:はこ》  漏斗(ろと)《割書:じやうご》  湯鑵(たうくはん)《割書:やくわん》 水罐(すいくはん)《割書:みづ| かめ》 風炉(ふうろ)    雪洞(せつとう)   銅銚(とうてう)《割書:てう|  し》  銅提(とうてい)《割書:ひさげ》  提炉(ていろ)《割書:ちや|べん| たう》 提盒(ていがう)《割書:さげ| ぢう》  耳壺(じこ)   嚢(のう)《割書:ふくろ》   鎖(さ)《割書:じやう》   吹筒(すいとう)《割書:ひふき》 絹篩(けんさい)《割書:きぬ| ぶるひ》 糊刷(こせつ)《割書:のり| ばけ》 砧板(ちんはん)《割書:まな| いた》割刀(かつたう)《割書:はう| てう》麺(めん)【麪】杖(ぢやう)《割書:むぎ| をし》 薑擦(きやうさつ)《割書:わさび| おろ|   し》 豆(とう)  擂盆(らいぼん)《割書:すり| ばち》 天平(てんへい)《割書:てん| びん》 法(はう)【㳒】馬(ば)《割書:ふん| どう》 【上欄書入れ】19     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        十     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録        十 秤(せう)《割書:はかり》錘(つい)《割書:はかりの|   おもし》橐(たく)《割書:おびぶくろ》/𨰉(さつ)【金+算+斤】《割書:くすり|  きざみ》 碾(てん)《割書:やげん》 鑰(やく)《割書:かぎ》    帚(しう)《割書:はゝき》   檯(だい)     櫉(ちう)《割書:づし》   箱(さう)《割書:はこ》 櫃(き)《割書:ひつ》 傘(さん)【𠎃】《割書:からかさ》 蓋(かい)【葢】《割書:きぬがさ》 拐(かい)《割書:かせづえ》 杖(ぢやう)《割書:つえ|拄杖》 炬火(こくは)《割書:たいまつ》 燎火(れうくは)《割書:にはび》  唧筒(そくとう)《割書:みづ| はじ|  き》 俎(そ)《割書:つくえ》   竿(かん)《割書:さほ》 梯(てい)《割書:はしご》   凳(とう)《割書:くらかけ》  標榜(へうはう)《割書:ふだ》  署扁(しよへん)《割書:がく》  胡床(こしやう)《割書:あぐら》 渾儀(こんぎ)     磁針(じしん)     佛龕(ぶつがん)《割書:づし》  仏座(ぶつざ)    華鬘(けまん) 木魚(もくぎよ)    鈴杵(れいしよ)    五鈷(ごこ)    三鈷(さんこ)    独鈷(とくこ) 宝(はう)【寶】■(ら)【偏「片」旁「票」】《割書:ほらの|  かい》 錫杖(しやくじやう)  手炉(しゆろ)《割書:えがう|  ろ》  数珠(すうじゆ)《割書:じゆす》  椸(い)《割書:いかう》 筁(きよく)《割書:をい》  石灯(せきとう)【燈】《割書:いし| どう|   ろ》 石碑(せきひ)《割書:いし| ぶみ》 神主(しんしゆ)  霊牌(れいはい)《割書:いはゐ》 押桶(おしおけ)    魚箸(ぎよちよ)《割書:まな| ばし》  摺畳椅(しうてうい)  交椅(かうゐ)《割書:きよく| ろく》  羽子板(うしはん)《割書:はご|いた》 酒帘(しゆきん)《割書:さか| ばやし》 鎹(そう)《割書:かすがい》 草薦(さうせん)《割書:こも》  竹席(ちくせき)《割書:あじろ》  鎖(さ)《割書:くさり》 𣞙(さう )【壴+桑】《割書:つゞみのどう》和卓(くはしよく)《割書:おしき》寶蓋(ほうかい)《割書:てん| がい》棺(くわん)《割書:ひつき》輀(じ)《割書:ひつき|  ぐるま》 龕(がん)     㡠禙(とうほい)   短冊(たんざく)    啄木(たくぼく)    要(かなめ) 紙手(かうで)    紙缕(しらう)《割書:かう| より》 土瓶(どびん)    滴器(できき)《割書:げすい》  柳筥(やないばこ) 皺皮(すうひ)《割書:ひき| はだ》  煙盃(ゑんはい)《割書:きせる》 抽匣(ちうかう)《割書:ひき| だし》   巻(くはん)之十二  畜獣(ちくしう)之部 麒麟(きりん)    獬豸(かいち)    獅子(しし)    騶虞(すうぐ)    虎(こ)《割書:とら》 豹(へう)《割書:なかづかみ》 犀(さい)     象(ぞう)     熊(いう)《割書:くま》    獏(ばく)【貘】 豺(さい)《割書:やまいぬ》  狼(らう)《割書:おほかみ》  鹿(ろく)《割書:しか》   麑(げい)《割書:かのこ》   麞(しやう)《割書:くじか》 麋(び)《割書:おほしか》  麢(れい)《割書:にく》   麝(じや)《割書:しやかう》  綿羊(めんよう)《割書:むく| ひつじ》 羊(よう)《割書:ひつじ》 【上欄書入れ】20     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十一     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十一 野猪(やちよ)《割書:ゐの| しゝ》 山猪(さんちよ)《割書:やま| ぶた》  豕(し)《割書:ぶた》   豚(とん)《割書:ゐのこ》   馬(ば)《割書:むま》 駒(く)《割書:こま》   驪(り)《割書:くろごま》  騮(りう)《割書:かげのむま》 驄(そう)《割書:あしげ》   駁(はく)《割書:ぶち》 牛(ぎう)《割書:うし》《割書:特牛(こというし) 牝牛(めうし)|黄牛(あめうし) 犂牛(ほしまだらうし)》 犢(どく)《割書:こうし》   驢(ろ)《割書:うさぎむま》 駝(だ)《割書:らくだのむま》 狐(こ)《割書:きつね》   狸(り)《割書:たぬき》  貉(かく)《割書:むじな》   貒(たん)《割書:みだぬき》  猫(めう)《割書:ねこ》 犬(けん)《割書:いぬ》   㺜犬(のうけん)《割書:むくいぬ》 獒犬(がうけん)《割書:たう| けん》 霊猫(れいめう)《割書:じやかう|  ねこ》 蝟鼠(ゐそ)《割書:くさぶ》 兎(と)《割書:うさぎ》   獺(だつ)《割書:かわをそ》  貂(でう)《割書:りす》   猿(ゑん)《割書:さる》   猴(こう)《割書:ましら》 鼯(ご)《割書:むさゝび》  鼲(こん)《割書:てん》   海狗(かいく)《割書:おつと| せい》  海獺(かいだつ)《割書:うみ| をそ》  猩猩(しやう〳〵) 狒々(ひひ)   水牛(すいぎう)  鼠(そ)《割書:ねずみ》  鼴(ゑん)【鼹】《割書:うごろもち》 鼷(けい)《割書:はつか|  ねずみ》 蹄(てい)《割書:ひづめ》   騣(そう)《割書:たてがみ》  牙(げ)《割書:きば》   角(かく)《割書:つの》    鼬(いう)《割書:いたち》   巻(くはん)之十三  禽鳥(きんてう)之部 鳳凰(ほうわう)   孔雀(くじやく)    錦鶏(きんけい)【雞】白鷴(はくかん)【鷳】鶴(くはく)《割書:つる》 鸛(くわん)《割書:こうづる》 鶬鴰(さうくわつ)《割書:まな| づる》 鴻(こう)《割書:ひしくひ》  鵠(こう)《割書:はくてう》  鵞(が)《割書:とうがん》 雁(がん)【鴈】《割書:かり》鴎(をう)【鷗】《割書:かもめ》鳬(ふ)《割書:かも》 鶩(ぼく)《割書:あひる》  鴛鴦(ゑんわう)《割書:をし| どり》 鸊鷉(へきてい)《割書:かいつ|  ぶり》 鷺(ろ)《割書:さぎ》   鵁鶄(かうせい)《割書:ごい|さぎ》  紅鶴(こうくはく)《割書:とき》 鷸(いつ)《割書:しぎ》 鸕鷀(ろじ)《割書:う》   鷲(しう)《割書:わし》   皂鵰(さうしう)《割書:くまだか》 鷹(よう)《割書:たか》   隼(じゆん)《割書:はやぶさ》 白鷹(はくよう)    鷂(よう)《割書:はしたか》 兄鷂(けうよう)《割書:このり》  雀(じやく)𪀚(しう)【偏「鳥」旁「戎」】《割書:ゑつさい》雀鸇(さしば) 鶲(ひたき)  鶯(あう)【鷪】《割書:うぐひす》鷦鷯(せうれう)《割書:みそ| さゞひ》  山鷄(さんけい)《割書:やま| どり》 啄木(たくぼく)《割書:てら| つゝき》 雲雀(うんじやく)《割書:ひばり》 雉(ち)《割書:きじ》   鵐(ぶ)《割書:しとゝ》   練鵲(れんじやく)   鶉(じゆん)《割書:うづら》 吐綬雞(とじゆけい)   山鵲(さんじやく)   鶤雞(こんけい)《割書:たう| まる》 雞(けい)《割書:にはとり》  燕(ゑん)《割書:つばくら》 雛(すう)《割書:ひよこ》  鷽(よ)【鸒】《割書:うそ》矮雞(わいけい)《割書:ちやぼ》 鳩(きう)《割書:はと》   青鳩(せいきう) 【上欄書入れ】21     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十二     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十二 鳲鳩(しきう)《割書:かつこ》 鴿(がう)《割書:いへばと》  鶫(とう)《割書:つぐみ》   鵙(げき)《割書:もず》   鶸(じやく)《割書:ひわ》 画眉(ぐはび)《割書:ほゝ| じろ》 鶖(しう)《割書:かしどり》  鶺鴒(せきれい)《割書:いし| たゝ|  き》 杜鵑(とけん)《割書:ほとゝ|  ぎす》 鵯(ひ)《割書:ひよ| どり》 翠雀(すいじやく)《割書:るり》 蝋嘴(らうし)《割書:まめ| どり》 烏鳳(うほう)《割書:おなか| どり》  雀(じやく)《割書:すゞめ》  鸚鵡(あふむ) 竹鶏(ちくけい)《割書:やま| しぎ》 蝙蝠(へんふく)《割書:かふもり》 鸜鵒(くよく)《割書:はゝ| てう》 鴉(あ)《割書:からす》  烏(う)《割書:からす》 鳶(えん)《割書:とび》   角鴟(かくし)《割書:みゝづく》 怪鴟(くはいし)《割書:よたか》 梟(けう)《割書:ふくろう》 鵲(しやく)《割書:かさゝぎ》 秧雞(あうけい)《割書:くひな》 鴗(りう)《割書:かはせみ》  火雞(くはけい)   羽斑鷸(はまだらしぎ)  鶚(かく)《割書:みさご》 鴋(ばん)     椋鳥(むくどり)《割書:大むく|小むく》 菊戴(きくいたゞき)  文鳥(ぶんてう)    四十雀(しじうから) 鴰(ひがら)    山雀(さんじやく)    小雀(しやうじやく)《割書:こから》尾長(ゑなが)    繍眼兒(めじろ) 駒鳥(こまとり)   九官(きうくはん)    喉紅鳥(のごどり)  風鳥(ふうてう)   /𪈿(ひよくのとり)【蠻+鳥】 深山頬白(みやまほじろ)  黄雀(きすゞめ)    鸞(らん)    蒼鷺(さうろ)《割書:あを| さぎ》  葦雀(おげら) 鴆(ちん)   雉鳩(きじばと)   犳(しやく)【杓ヵ】鴫(なぎ)  都鳥(みやこどり)  音呼(ゐんこ) 羽(う)《割書:は》    翼(よく)《割書:つばさ》   嘴(し)《割書:くちばし》 尾(び)《割書:を》    卵雛(らんすう)《割書:たまご》   巻(くはん)之十四  竜魚(りようぎよ)之部 蛟(こう)《割書:みづち》  龍(りよう)《割書:たつ》    螭(ち)《割書:あまれう》 鯪(りよう)《割書:せんざんかう》 鯨(げい)《割書:くじら》 魚虎(ぎよこ)    鰐(がく)《割書:わに》    鯖(せい)《割書:さば》  鯵(さん)《割書:あぢ》    鯼(そう)《割書:いしもち》 鮸(ばん)《割書:くち》   鯛(てう)《割書:たひ》    鮏(せい)《割書:さけ》  鰩(よう)《割書:とびうを》   鰷(でう)《割書:せいご》 鰶(せい)《割書:このしろ》 黄檣(わうしよく)【穡ヵ】《割書:はなをれ|  だひ》烏頬(うけう)《割書:すみ| やき|  だい》 尨魚(ばうぎよ) 馬鮫(ばかう)《割書:さはら》 江鮏(こうせい)《割書:あめ》  海鰻(かいまん)《割書:はも》  鰛(うん)《割書:いわし》   梭魚(さぎよ)   鰈(てう)《割書:かれい》 鯧(しやう)《割書:まながつほ》 鯔(し)《割書:ぼら》   鱸(ろ)《割書:すゞき》   鱈(せつ)《割書:たら》  䰵(し)《割書:ゑぶな》 鰹(けん)《割書:かつほ》   鰧(ちん)【䲍】《割書:おこじ》鱪(しよ)《割書:しいら》 魴鮄(ほうぼ)   江豬(こうちよ)《割書:いるか》 【上欄書入れ】22     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十三     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十三 鱣(てん)《割書:ふか》   鱠残魚(くはいざんぎよ)《割書:きす| ご》 鯄(きう)《割書:かながしら》 鮫(かう)《割書:さめ》   鯉(り)《割書:こひ》 鯽(せき)《割書:ふな》   鮧(い)《割書:なまづ》   杜父(とふ)《割書:うし| ぬす|  びと》鮞(し)【鰣ヵ】《割書:はす》鰻(まん)《割書:うなぎ》 鱓(せん)《割書:やつめ|  うなぎ》 年魚(ねんぎよ)《割書:あゆ》  黄鱨(わうしやう)《割書:ぎゞ》  金魚(きんぎよ)   鰌(ゆう)《割書:どぢやう》  河㹠(かとん)《割書:ふぐ》  鮅(ひつ)《割書:うぐひ》   鱭魚(せいぎよ)《割書: たちを》 鯃(ご)《割書:こち》   鱵(しん)《割書:さより》 魥(きう)《割書:はまち》  小鮦(しやうとう)《割書:こん| ぎり》  鱒(そん)《割書:ます》   河鰕(かか)《割書:かは| えび》 鰕(か)《割書:えび》 鰝(かう)《割書:うみえび》  醤蝦(しやうか)《割書:あみ》  麪條(めんでう)   蝦姑(かこ)《割書:しやく|  なぎ》 鰤(し)《割書:ぶり》 鰚魚(せんぎよ)《割書:はらか》 鰣(じ)《割書:ゑそ》    青前(せいせん)《割書:さごし》 矢幹魚(しかんぎよ)  鯡(ひ)《割書:にしん》 鱓(せん)《割書:ごまめ》  水母(すいも)《割書:くらげ》  土肉(とにく)《割書:なまこ》  海牛(かいぎう)   海馬(かいば) 章挙(しやうきよ)  烏賊(うぞく)《割書: いか》  鱝(ふん)《割書:えい》    海月(かいげつ)   鮪(い)《割書:しび》 䱱(てい)《割書:さんせう|    いを》鱲子(らうし)《割書:からすみ》 鰊鯑(とうき)《割書:かずの|  こ》  乾鱖(かんけつ)《割書: から| ざけ》 魚子(ぎよし)《割書:はら| らご》 鯣(しやく)《割書:するめ》  鰭(き)《割書:ひれ》   鱗(りん)《割書:うろこ》   鰓(さい)《割書:えら》   鰾(へう)《割書:ふえ》   巻(くはん)之十五  蟲介(ちうかい)之部 亀(き)《割書:かめ》   鼈(べつ)《割書:すつほん》  蟹(かい)《割書:かに》   鱟(こう)《割書:かぶとがに》 蟳(じん)《割書:しま| がに》 䘂(しん)《割書:がざめ》  螺(ら)《割書:さゞへ》   田螺(でんら)《割書:たにし》 螄(し)《割書:ばひ》   螺螄(らし)《割書:みな》 蛤(がう)《割書:はまぐり》  蚶(かん)《割書: あかゞひ》 蚌(ぼう)《割書:からすがひ》 蜆(けん)《割書:しゞみ》  毛亀(もうき)《割書:みの| がめ》 貝(ばい)《割書:たからがひ》 蟶(てい)《割書:まて》   鰒(はく)《割書:あわび》   蠣(れい)《割書:かき》   車渠(しやきよ)《割書:ほたて| がひ》 辛螺(しんら)《割書:にし》  淡菜(たんさい)《割書:みる| くひ》 梭(さ)《割書:ほらの|  かひ》  香螺(かうら)《割書:なが| にし》  玉珧(ぎよくたう)《割書:たいら|  ぎ》 帽貝(ばうばい)《割書:ゑぼし| がひ》 海燕(かいゑん)《割書:たこの| まくら》 海膽(かいたん)《割書:かぶと| がひ》 寄蟲(きちう)《割書:かうな》  郎君(らうくん)《割書:すがひ》 蛬(きやう)《割書:きり〴〵す》 螻(ろう)《割書:けら》   絡線(らくせん)《割書:こう| ろぎ》 螇蚸(けいせき)《割書:しやう|  れう》 蟷螂(たうらう)《割書: かま|  きり》 竈馬(そうば)《割書:まる| いとゞ》 蜻蛉(せいれい)《割書:とん| ぼう》 赤卒(せきそつ)《割書:あか| ゑんば》 䘀螽(ふしう)《割書:いなご》 /𧐍(しよう)【偏「虫」旁「舂」】𧑓(しよ)【偏「虫」旁「黍」】《割書:はた〳〵》 【上欄書入れ】23     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十四     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十四 蝶(てふ)《割書:あげは》  灯蛾(とうが)《割書:ひとり| むし》  蠅(よう)《割書:はへ》   金亀(きんき)《割書:たま| むし》  馬蜂(ばほう)《割書:くま| ばち》 叩頭(こうとう)《割書:ぬかづき|  むし》金鐘(きんしやう)《割書:すゞむし》𧉟(たい)【偏「虫」旁「台」】《割書:まつむし》齧髪(けつはつ)《割書:かみ| きり》鑾蟲(らんちう)《割書:くつは| むし》 斑蝥(はんばう)《割書:はん| めう》 紺蠜(かんはん)《割書:かねつけ| とん|  ばう》 蓑蟲(さちう)《割書:みの| むし》 蠧(こ)【とヵ】《割書:のんし》蝉(せん)《割書:せみ》 蜂(ほう)《割書:はち》   蟢(き)《割書:あしたかぐも》 蝸(くわ)《割書:かたつぶり》 虻(ばう)《割書:あぶ》 蛾(が)《割書:ひゝり【ひゝるヵ】》 気蠜(きはん)《割書:へふり| むし》  蠮螉(ゑつをう)《割書:さゝり》 蚊(ぶん)《割書:か》    蚋(ぜい)《割書:ぶと》   蝌蚪(くわと)《割書:かへるこ》 蛙(あ)《割書:かはづ》   青蛙(せいあ)《割書:あま| がへる》 孑孑(けつ〳〵)《割書:ぼう| ふり|  むし》蛭(しつ)《割書:ひる》   蠼螋(くしう)《割書: はさみ| むし》 蜈蚣(ごこう)《割書:むかで》  百足(はくそく)《割書:をさ| むし》 蟾蜍(せんじよ)《割書: ひき| がへる》 蝦蟇(がま)《割書:かへる》 蚰蜒(いうゑん)《割書:げじ| 〳〵》 蟫(いん)《割書:しみ》   蠓(もう)《割書:しやう〴〵》 蚯蚓(きういん)《割書:みゝ|  ず》  蠐螬(せいさう)《割書:きり| うじ》 蛜蝛(いい)《割書:おめ| むし》 蚤(さう)《割書:のみ》   虱(しつ)《割書:しらみ》  蟻(ぎ)《割書:あり》    糞蛆(ふんそ)《割書:くそ| むし》 蛆(そ)《割書:うじ》 蚘(くわい)《割書:はらのむし》 蠶(さん)《割書:かひこ》  蛣蜣(きつきやう)《割書:くそ| むし》 蜘蛛(ちちう)《割書:くも》  蠑螈(ゑいげん)《割書:いもり》 蜥蜴(せきてき)《割書:とかけ》 蝘蜓(ゑんてん)《割書:やもり》 水馬(すいば)《割書:しほ| うり》  土蠱(どこ)   水蚤(すいさう)《割書:とび| むし》 木虱(もくしつ)《割書:たにこ》 滑蟲(くはつちう)《割書:あぶら| むし》 殻(かく)《割書:から》   甲(かう)     蛻(たい)《割書:もぬけ》 繭(けん)《割書:まゆ》   蝉蛻(せんたい)《割書:うつ| せみ》 蛅蟖(せんし)《割書:いら| むし》 蚇蠖(しやくくわく)《割書:しやく| とり》 豉蟲(しちう)《割書:まひ〳〵| むし》 蛞蝓(くわつゆ)《割書:なめ| くぢ》 螲蟷(ちつたう)《割書:つち| ぐも》 壁銭(へきせん)《割書:ひらた| ぐも》 蝿虎(ようこ)《割書:はへとり|  ぐも》 螵蛸(へうせう)《割書:おほぢ| が| ふぐり》 雀甕(じやくよう)《割書: すゞめの|    たまご【たんごヵ】》蟒(もう)《割書:うばばみ》 蛇(じや)  蝮(ふく)《割書:まむし》 両頭(りやうとう) 岐首(きしゆ)    烏蛇(うじや)《割書:からす|  へみ》 銀蛇(ぎんじや)《割書:しろ| へみ》 蝆虫(へいちう)《割書:こめ| むし》 吉丁虫(きつていちう)《割書:かぶと| むし》 蛅蟖(せんし)《割書:けむし》  蠛蠓(べつもう)《割書:かつほ|  むし》 螱(い)《割書:はあり》  芋蠋(うしよく)《割書:いも|  むし》   巻(くはん)之十六  米穀(べいこく)之部 粳(こう)《割書:うるしね》  糯(だ)《割書:もちのよね》 稷(しよく)《割書:きび》   粟(ぞく)《割書:あわ》   稗(はい)《割書:ひえ》 麻(ま)《割書:あさ》   蕎(きやう)《割書:そば》   麦(ばく)【麥】《割書:むぎ》菉(りよく)《割書:ぶんどう》 豇(こう)《割書:さゝげ》 【上欄書入れ】24     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十五     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十五 豌(ゑん)《割書:ゑんだう》  藊(へん)《割書:いんげんまめ》菽(しゆく)《割書:まめ》   荅(たう)《割書:あづき》   胡麻(ごま) 蜀黍(しよくしよ)《割書:たう| きび》 罌粟(あうぞく)《割書:けし》 玉黍(ぎよくしよ)《割書:なんばん|  きび》蚕(さん)【蠺】豆(づ)《割書:そら| まめ》燕(えん)麦(ばく)【麥】《割書:からす|  むぎ》 刀豆(たうづ)《割書:なた| まめ》 黎豆(れいづ)《割書:八升| まめ》  藁(かう)《割書: わら》  穂(すい)《割書:ほ》    穀(こく)《割書:もみ》 箕(き)【萁ヵ】《割書:まめがら》 莢(けう)《割書:まめの|  さや》 飯(はん)《割書:いひ》  餅(へい)《割書:もち》  糖(たう)《割書:あめ》 糉(そう)《割書:ちまき》  饅頭(まんぢう)    索麺(さくめん)   餢飳(ぶと)    環餅(くはんへい)《割書:まがり》 巧果(あぶらもち)   煎餅(せんべい)    焼餅(やきもち)   酢漿(さくしやう)《割書:すはま》 粔籹(きよぢよ)《割書:おこし| ごめ》   巻(くはん)之十七  菜蔬(さいそ)之部 蕪菁(ぶせい)《割書:な》   莱菔(らいふく)《割書:だい| こん》 芹(きん)《割書:せり》   葱(そう)《割書:ひともじ》  蒜(さん)《割書:にんにく》 韮(きう)《割書:にら》   薤(がい)《割書:おほにら》  菠薐(はれう)《割書:からな》 胡葱(こそう)《割書:あさ| つき》  芋(う)《割書:いも》 芋魁(いもがしら)《割書: |蹲鴟(そんし)トモ》牛蒡(ごばう)   薯蕷(しよよ)《割書:やまの| いも》  胡蔔(こふく)《割書:にんじん》 苣(きよ)《割書:ちさ》 薺(せい)《割書:なづな》  芥(かい)《割書:からし》   莙薘(くんたつ)《割書:たう| ぢさ》 天蓼(てんれう)《割書:またゝ|   び》 蕗(ろ)《割書:ふき》 莧(けん)《割書:ひゆ》   野莧(やけん)《割書:くさひゆ》 蘘荷(めうが)    独活(どくくはつ)《割書:うど》  瓜(くは)《割書:うり》 冬瓜(とうぐは)《割書:かも| うり》 醤瓜(しやうくは)《割書:あを| うり》 胡瓜(こくは)《割書:き| うり》  糸瓜(しくは)《割書:へちま》 山葵(さんき)《割書:わさび》 蕈(たん)《割書:たけ》   松蕈(まつだけ)   香蕈(かうたけ)    瓢(へう)《割書:なりひさご》 蒲盧(ひやくなり) 瓠(こ)《割書:ゆふがほ》  藜(れい)《割書:あかざ》  茄(か)《割書:なすび》   水茄(ながなすび)   馬莧(ばけん)《割書:すべり| ひゆ》 薊(けき?)《割書:あざみ》  薑(きやう)《割書:はじかみ》 蘩蒌(はんる)《割書:はこべ》  蔏陸(しやうりく)《割書:やま| ごぼう》 蒟蒻(こんにやく) 蒲英(ほゑい)《割書:たん| ほゝ》  雞腸(けいちやう)《割書:よめが|  はぎ》鹿角(ろくかく)《割書:ひぢき》 芝(し)《割書:れいし》   蕨(けつ)《割書:わらび》 瓣(へん)《割書:うりの|  へた》  瓤(じやう)《割書:うりの|  なかご》 狗脊(くせき)《割書:ぜん| まい》 蓴(しゆん)《割書:じゆんさい》 石花(せきくわ)《割書:ところ| てん》 海帯(かいたい)《割書:あらめ》 紫菜(しさい)《割書:あま| のり》  昆布(こんぶ)   水松(すいせう)《割書:みる》  苔菜(たいさい)《割書:あを| のり》 燕窩(えんくは)   萆薢(ひかい)《割書:とこ|  ろ》  木耳(もくに)《割書:きくら|  げ》  石耳(せきじ)《割書:いわ| たけ》  【上欄書入れ】25     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十六     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十六   巻(くはん)之十八  果蓏(くはくは)之部 杏(きやう)《割書:あんず》  梅(ばい)《割書:むめ》   桃(たう)《割書:もも》   李(り)《割書:すもゝ》  梨(り)《割書:なし》 柰(たい)《割書:からなし》  棗(さう)《割書:なつめ》  栗(りつ)《割書:くり》   柚(ゆ)     柑(かん)《割書:くねんほ》 枳(し)《割書:きこく》   橘(きつ)《割書:みかん》  榧(ひ)《割書:かや》   榛(しん)《割書:はしばみ》  椎(すい)《割書:しい》 柿(し)【柹】《割書:かき》楉榴(じやくりう)《割書:ざくろ》来禽(らいきん)《割書:りんご》  金柑(きんかん)   銀杏(ぎんきやう)《割書:ぎん| あん》 鴨脚(いてう)樹   苺(ぼ)《割書:いちご》  樹苺(きいちご)    覆盆子(つるいちご)  蛇苺(へびいちご) 香椽(かうゑん)《割書:ぶしゆ| かん》 茘支(れいし)    枇杷(びは)    枳椇(しく)《割書:けんほ| の|   なし》胡頽(こたい)《割書:ぐみ》 楊梅(やうばい)《割書:やま| もゝ》 梬棗(ていさう)《割書:さる| がき》 菱(れう)《割書:ひし》    椒(せう)《割書:さんせう》 茶(ちや) 胡桃(こたう)《割書:くるみ》  榲桲(うんほつ)《割書:まる| める》 木瓜(もくくは)《割書:ぼけ》  葧臍(ぼつせい)《割書:くわい》 慈姑(じこ)《割書:しろ| ぐわい》 松子(せうし)《割書:からまつ|  のみ》 胡椒(こせう)    龍眼(りうがん)   鴉瓜(あくは)《割書:からす|  うり》 燕覆(ゑんふく) 甘蔗(かんしや)《割書:さたう| だけ》 甜瓜(てんくは)《割書:から| うり》 苦瓜(くくは)《割書:つる| れい|   し》 白柿(はくし)《割書:つり| がき》  烏柿(うし)《割書:あま| ぼし》 蔕(てい)《割書:へた》   莍(きう)《割書:かさ》   核(かく)《割書:さね》    仁(にん)    沙糖(さたう)《割書:しろ| ざたう》 紫糖(したう)《割書:くろ| さたう》 氷糖(へうたう)《割書:こほり| ざたう》   巻(くはん)之十九  樹竹(じゆちく)之部 松(しやう)《割書:まつ》   楓(ふう)《割書:かいで》  桧(くわい)《割書:ひのき》  檉(てい)《割書:むろ》   円柏(ゑんはく) 仙桧(せんはく)《割書:いぬ| まき》 杉(さん)《割書:すぎ》   南燭(なんてん)   桜(ゑい)《割書:さくら》  山茶(さんさ)《割書:つばき》 海棠(かいだう)   羊躑躅(れんげつゝじ)   映躑躅(あかつゝじ)  杜鵑花(さつき)  木蘭(もくらん)《割書:もく| れん|  げ》 厚朴(かうぼく)《割書:ほうの|  き》 辛夷(しんい)《割書:しで| こぶし》 槿(きん)《割書:むくげ》  芙蓉(ふよう)《割書:き|はちす》 蜀漆(しよくしつ)《割書:くさぎ》 冬青(とうせい)《割書:もち| のき》 女貞(ぢよてい)《割書:ねづ| もち》 粉団(ふんだん)《割書:てまり》 紫陽(しやう)《割書:あぢ| さひ》 薜茘(へいれい)《割書:まさき| の|かづら》 梔(し)《割書:くちなし》  錦帯花(やまうつぎ)  楊櫨(やうろ)《割書:うつ|  ぎ》  棘(きよく)《割書:いばら》  角楸(かくしう)《割書:あづさ》 【上欄書入れ】26     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十七     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十七 木槵(もくげん)《割書:つぶの|  き》 椶櫚(しゆろ)    黄楊(わうやう)《割書:つげ》  衛矛(ゑいぼう)《割書:にし| きゞ》 鉄蕉(てつせう)《割書:そてつ》 𣖾(はい)【「備」の人偏を木偏に】木(ぼく)《割書:ぬるで》 楮(しよ)《割書:かぢ》   㯃(しつ)《割書:うるし》   木樨(もくせい)   桐(とう)《割書:きり》 梧桐(ごとう)    櫟(れき)《割書:くぬぎ》   槲(こく)《割書:かしわ》  檗(はく)《割書:きわだ》  紫荊(しけい)    石南(しやくなんげ)  瑞香(ずいかう)《割書:ちんてう|   け》 狗骨(くこつ)《割書:ひいら|  ぎ》 接骨(せつこつ)《割書:には| とこ》  桑(さう)《割書:くわ》 棟(れん)《割書:せんだん》 五加(ごか)《割書: うこぎ》  枸杞(くこ)   樟(しやう)《割書: くすのき》 紫薇(しび) 石(せき)𣞀(たん)【木偏に面+且】《割書:とねり|  こ》合(がう)歓(くわん)【歡】《割書:ねむの|  き》  楡木(ゆぼく)《割書:にれ》  葉(えう)《割書:は》    株(ちゆ)《割書:かぶ》 蘖(かつ)《割書:ひこばへ》  芽(げ)《割書:ぬきざし》  寄生(きせい)《割書:やどり|  き》 白楊(はくやう)《割書:はこ| やなぎ》 水楊(すいやう)《割書:かわ| やなぎ》 柳(りう)《割書:しだり|  やなぎ》 皂莢(さいけう)《割書:さいかし》 槐(くわい)《割書:ゑんじゆ》 椋(りやう)《割書:むく》   栴檀(せんだん) 伽羅(きやら)    柴(さい)《割書:しば》    薪(しん)《割書:たきゞ》  竹(ちく)《割書:たけ》   篁(くわう)《割書:たかむら》 篠(でう)《割書:しのざゝ》  筍(しゆん)《割書:たけのこ》  箬(じやく)《割書:さゝ》  蘆竹(ろちく)《割書:なよ| たけ》  椶竹(そうちく)《割書:しゆろ| ちく》 扶竹(ふちく)《割書:ふた| また|  だけ》 紫竹(しちく)   /𥳇(ふく)【竹冠+復】《割書:さゝめ|  ぐり》籜(たく)《割書:たけの|  かは》 筒(とう)《割書:つゝ》 篾(べつ)《割書:たけの|  かつら》 無節竹(むせつちく)《割書:らう| だけ》幹(かん)《割書:から》    枝(し)《割書:えだ》   梢(せう)《割書:こずへ》 根(こん)《割書:ね》    炭(たん)《割書:すみ》   杮(し)《割書:こけら》   巻(くはん)之二十  花草(くはさう)之部 牡丹(ぼたん)    芍薬(しやくやく)   桜草(さくらさう)   錦葵(きんき)《割書:こあふ|  ひ》  葵(き)《割書:あふひ》 蜀葵(しよくき)《割書:から| あふひ》 芙蓉(ふよう)   龍膽(りうたん)    秋葵(しうき)《割書:かうそ》 莠(いう)《割書:はくさ》 金銭花(きんせんくは)  蘭(らん)《割書:ふじばかま》 秋海棠(しうかいたう)   鶏冠(けいくわん)《割書:けいとう|   げ》剪秋羅(せんしうら) 剪春羅(せんしゆんら)《割書:がん|  ひ》薏苡(よくい)《割書:ずゞ|  だま》 山丹(さんたん)《割書:ひめ|  ゆり》 巻丹(けんたん)《割書:おに|  ゆり》百合(ひやくがう)《割書:ゆり》 他偸(たゆ)《割書:ゑびね》  麗春(れいしゆん)《割書:びじん|  さう》金盞花(きんせんくは)  春菊(しゆんきく)《割書:かうらい|   ぎく》蒲公英(ほこうゑい)《割書:たん| ほゝ》 菫菜(きんさい)《割書:すみれ》 虎杖(こじやう)《割書:いた| どり》 酢漿(さしやう)《割書:かた| ばみ》  萱草(くはんざう)《割書:わすれ|  ぐさ》射干(やかん) 【上欄書入れ】27     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十八     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十八 蝴蝶花(こてうくは)   夏枯草(かこさう)   馬蘭(ばりん)    鴟尾(しび)《割書:いち| はつ》  杜若(とじやく)《割書:かきつ|  ばた》 菖蒲(しやうぶ)《割書:あやめ》  様錦(やうきん)《割書:もみぢ|  ぐさ》 桔梗(けつかう)《割書:きゝ| やう》 烏頭(うづ)《割書:とり| かぶと》 鳳仙花(ほうせんくは) 番椒(ばんせう)《割書:たう| がらし》 丈菊(じやうきく)《割書:てんがい|  ばな》杜蘅(とかう)    薔薇(しやうび)   慎火(しんくは)《割書:いは| れん|  げ》 苔(たい)《割書:こけ》   旋覆(せんふく)《割書:をぐる|   ま》 酸醤(さんしやう)《割書:ほう| づき》 藤(とう)《割書:ふじ》   石斛(せきこく) 棣棠(ていとう)《割書:やまぶ|  き》 巻栢(けんはく)《割書:いはひば》 玉栢(ぎよくはく)《割書: まんねん|  ぐさ》葦(い)《割書:あし》   蓮(れん)《割書:はちす》 菖蒲(しやうぶ)   菰(こ)《割書:まこも》   萍(へい)《割書:うきくさ》  蒲(ほ)《割書:がま》   薜(せつ)《割書:すげ》 莕(きやう)《割書:あさゞ》  藺(りん)《割書:ゐ》   芡(げん)《割書:みづぶき》  藎(じん)《割書:かりやす》  萹蓄(へんちく) 葒(こう)《割書:けたで》  蘇(そ)《割書:しそ》   蓼(れう)《割書:たで》   水蓼(すいれう)《割書:いぬたで》 菊(きく) 莣(ばう)《割書:すゝき》  荏(じん)《割書:え》    牽牛(けんこ)《割書:あさ| がほ》 鼓子(くし)《割書:ひる| がほ》  蒴藋(さくてき)《割書:そく|  づ》 水仙花(すいせんくは)  麦門冬(ばくもんどう)《割書:ぜうが| ひげ》瞿麦(くばく)《割書:なでしこ》 玉簪(ぎよくさん)《割書:ぎぼう|  し》 石竹(せきちく) 蒼朮(さうじゆつ)《割書:おけら》  木賊(もくぞく)《割書:とく|  さ》 山葱(さんさう)   馬勃(ばぼつ)    石荷(せきか)《割書:ゆきの|  した》 石韋(せきい)《割書:ひとつ|  ば》 螺厴(らゑん)《割書:まめづる》 芭蕉(ばせを)    薢(かい)《割書:ところ》  苧(ちよ)《割書:まを》 艾(がい)《割書:よもぎ》  華蔓(けまん)    鼠麴(そきく)    羊蹄(ようてい)《割書:ぎし〳〵》 藍(らん)《割書:あゐ》 陵苕(れうてう)   茜(せん)《割書:あかね》   山薑(さんきやう)《割書:いぬ| はじ|  かみ》蓖麻(ひま)《割書:たうごま》 沢漆(たくしつ) 車前(しやぜん)《割書:おほ| ばこ》 蒼耳(さうに)    龍芮(りうぜい)   防風(ばうふう)    紅花(こうくは)《割書:べにの|  はな》 積雪(しやくせつ)《割書:かきど|  をし》苦参(くじん)    蛇床(じやしやう)  鼠莽(そまう)《割書:しきみ》  紫草(しさう)《割書:むら| さき》 葛(かつ)《割書:くず》   鴨跖(かうせき)   天南星(てんなんせう)  防已(ばうい)    絡石(らくせき)《割書:ていかゝ|  づら》 水莨(すいらう)   牛膝(ごしつ)    茴香(ういきやう)   /𦻎(ち)【艹+稀。豨(き)ヵ】 薟(れん)《割書:めなも|  み》  天茄(てんか) 青蒿(せいかう)《割書:かはら| よも|  ぎ》 茺蔚(じうい)《割書:めはじき》 玄及(げんきう)《割書:さね| かづら》 茵蔯(いんちん)   地膚(ぢふ)《割書:はゝ| きゞ》 忍冬(にんどう)   茅(ばう)《割書:かや》    藻(さう)《割書:も》    萍蓬(へいほう)《割書:かう| ほね》 萩(しう)《割書:はぎ》 【上欄書入れ】28     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十九     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       十九 菝葜(はつかつ)    建蘭(けんらん)   金灯(きんとう)   石帆(せきはん)《割書:うみ| まつ》  薹(たい)《割書:たう》 茎(きやう)《割書:くき》   蔓(まん)《割書:つる》   苞(はう)《割書:つぼみ》  葩(は)《割書:はなびら》  蕋(ずい)《割書:しべ》 萼(がく)《割書:はなぶさ》   巻(くはん)之廿一  雑類(さうるい) 右弼金剛(うひつこんがう) 左輔金剛(さほこんがう)  持国天王(ぢこくてんわう) 毘沙門天王(びしやもんてんわう) 韋駄天(ゐだてん) 鐘馗(しやうき)   弁才天女(べんざいてんによ) 福禄寿(ふくろくじゆ)  大黒天(だいこくてん)   蛭子(ゑびす) 布袋(ほてい)    寿老(じゆらう)   神農(しんのう)   伏(ふつ)𦏁(き)【羲】 倉頡(さうけつ) 黄帝(くわうてい)   老子(らうし)    孔子(こうし)   許由(きよゆう)   山越弥陀(やまごしのみだ) 維摩(ゆいま)   聖徳太子(しやうとくたいし) 出山釈迦(しゆつさんのしやか) 誕生仏(たんじやうぶつ)  達磨尊者(だるまそんじや) 不動明王(ふどうみやうわう) 龍猛(りうみやう)   善導大師(ぜんどうだいし) 天台大師(てんだいだいし)  伝教大師(でんげうだいし) 六祖大師(ろくそだいし)  役行者(ゑんのぎやうじや) 寒山(かんざん)   拾得(じつとく)    巨霊人(これいじん)   琴高(きんかう)   費長房(ひちやうばう)  太公望(たいこうばう)  上利剱(じやうりけん)   張九哥(ちやうくか) 鐡枴仙人(てつかいせんにん) 蝦蟇仙人(がませんにん) 西王母(せいわうぼ)   通玄(つうげん)    迦陵頻(かれうびん) 天人(てんにん)   衣通姫(そとをりひめ)  人麿(ひとまろ)    赤人(あかひと)《割書:以上/和歌(わかの)|三/神(じん)》白楽天(はくらくてん) 東坡(とうば)《割書:以上| 詩人(しじん)》 晋王(しんのわう)𦏁(ぎ)【羲】之(し) 小野道風(をのゝとうふう)《割書:以上|  筆道(ひつどう)》琴(きん)《割書:こと》 香(かう)     蹴鞠(しうきく)《割書:まり》  目利(めきゝ)   筭術(さんじゆつ)   諸礼(しよれい) 弓(きう)《割書:ゆみ》   馬(ば)《割書:むま》   剱術(けんじゆつ)   囲碁(ゐご)    将棋(しやうぎ) 茶湯(ちやのゆ)    立花(りつくは)   山伏(やまぶし)   鷹匠(たかじやう)    能(のう) 狂言(きやうげん)   浄留理大夫(じやうるりだいふ) 三絃(さんせん)   小弓(こきう)    芝居役者(しばゐやくしや) 人形芝居(にんきやうしばゐ) 軽業(かるわざ)   鉢敲(はちたゝき)   鹿島事触(かしまのことふれ)  猿舞(さるまはし) 【上欄書入れ】29     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       二十終     【柱】頭書増補訓蒙図彙目録       二十終 万歳楽(まんさいらく) 頭書増補訓蒙図彙目録終 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻(くはん)之(の)一   天文(てんぶん)《割書:此部(このぶ)には日月(じつげつ)星辰(せいしん)雨露(うろ)霜雪(さうせつ)のたぐひあり|日月(じつげつ)星辰(せいしん)は天(てん)の文章(ふんしやう)なれば也/易(ゑきに)曰/仰(あふひで)見(みる)_二於/天文(てんぶんを)_一》 【上段】   両儀(りやうぎ) 天地開辟(てんちかいひやく)のときかるくして 清(すめ)るはのぼりて天(てん)となりおもく してにごるはくだりて地(ち)となる 天(てん)を陽(やう)とし地(ち)を陰(ゐん)とす陰(ゐん) 陽(やう)を両儀(ちやうぎ)といふなり ○七政(しちせい)とは日月(じつげつ)と五/星(せい)と合(あは)せ ていふ又は七/曜(よう)ともいふなり 日月五/星天(せいてん)の政(まつりこと)をなすなり 木星(もくせい)を歳星(さいせい)といひ火星(くはせい)を熒(けい) 惑(こく)といひ土星(どせい)を鎮星(ちんせい)と云/金(きん) 星(せい)を太白(たいはく)といひ水星(すいせい)を辰星(しんせい) 【下段】 両儀(りやうぎ)  日(じつ)  月(げつ)    木星(もくせい)    火星(くはせい)    土星(とせい)    金星(きんせい)    水星(すいせい) 【上欄書入れ】Fase.2        2   30     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         一    【柱】頭書増補訓蒙図彙一         一 【右頁上段】 といふ木(もく)火(くは)土(ど)金(ごん)水(すい)の五/行(きやう)の 星(ほし)をめぐりて陰陽(いんやう)をなし歳(とし) をわす此(この)五/星(せい)を五/緯(い)ともいふ ○太極(たいきよく)は天地(てんち)いまたわかれず 陰陽(いんやう)わかれざるとき渾沌(まろがれ)たる 事/鶏子(とりのこ)のごとし溟滓(くゞもり)て牙(きざし) をふくめりこれを鴻毛(こうもう)の未判(びはん) といふ其(その)清(すみ)陽(あきらか)なるものは薄(たな) 靡(びき)て天(あめ)となり重(おもく)濁(にごる)ものは淹(とゞ) 滞(こほり)て地(つち)となるこゝにおゐて天(てん) 地(ち)開闢(かいひやく)して其間(そのあいだ)に万物(ばんぶつ)生(しやう)ず 開闢(かいひやく)以前(いぜん)を太極(たいきよく)といひ天地(てんち) 陰陽(いんやう)わかれたるを両儀(りやうぎ)といふ ○国常立尊(くにとこだちのみこと)は天地(てんち)既(すで)にわかれ て其中(そのなか)に物(もの)ありかたち葦牙(あしがい) 【右頁下段】 大極(たいきよく)     国常立(くにとこだち) 倭国(わこく) 【左頁上段】 のごとし則(すなはち)化(くは)して神(かみ)となる これを国常立尊(くにとこたちのみこと)といふ人の 始(はじめ)なり日本(につほん)を芦原国(あしはらごく)といふも 此(この)義(ぎ)なり是(これ)より天神(てんじん)七/代(だい)地(ぢ) 神(じん)五/代(だい)あひつゝきて人の代(よ)と なれり唐(もろこし)にては天地(てんち)開闢(かいひやく)し て盤古氏(ばんこし)はじめて出(いづ)是(これ)人の 始(はじめ)なりこれより三/皇(くはう)五/帝(てい)三/王(わう) とつゞきて人の代(よ)となる ○倭(やまと)は日本(につほん)を倭(やまと)と号(なづく)る事/天(てん) 地(ち)開闢(かいひやく)の後(のち)は地(ち)は皆(みな)山(やま)にして平(たいら) なし人の代(よ)となりて山(やま)をひら き平地(へいち)となして住(すめ)りよつて 日本(につほん)を山跡(やまあと)といふ義(ぎ)をもつて 倭国(やまとごく)とはいふなり 【左頁下段】 唐土(たうど)《割書:もろこし》     盤古氏(はんこし) 【上欄書入れ】31     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         二 【右頁上段】 ○秋津洲(あきつす)といふは 人皇(にんわう)のはじまりを 神武(しんむ)皇帝(くはうてい)と申 奉(たてまつ)る即位(そくゐ)三十一年 四月/帝(みかど)諸国(しよこく)に幸(みゆき) ましまし日本(につほん)の地(ち) 形(きやう)蜻蛉(あきつむし)に似(に)たるを もつて秋津洲(あきつす)と 名(な)づけたまふ ○それ日本国(につほんごく)は唐(もろこし) 中華(ちうくは)の地(ち)より東(ひがし)に あたるゆへに日東(につとう)と も扶桑国(ふさうごく)ともいふ 又/須弥山(しゆみせん)の南(みなみ)にあ たるゆへに南瞻部(なんせんぶ) 【右頁下段】 日本(につほん)六十四/州(しう)    外に二/州(しう) 女護島(によごのしま) 小人嶌 【横書き】秋津洲(あきつす) よし嶌 ゑぞがしま  松前(まつまへ) 【東山道】松嶌 陸奥(むつ) 出羽(では) 上野(かうづけ) 下野(しもつけ) 信濃(しなの) 飛騨(ひだ) 美濃(みの) 近江(あふみ) 【東海道】常陸(ひたち) 下総(しもおさ) 上総(かづさ) 安房(あわ) 武蔵(むさし) 相模(さがみ) 伊豆(いづ) いをしま 大嶌 みやけじま 八丈嶋 甲斐(かひ) 駿河(するが) 遠江(とを〳〵み) 三河(みかは) 尾張(をばり) 伊賀(いが) 伊勢(いせ) 志摩(しま) 【北陸道】あをしま 佐渡(さど) 越後(ゑちご) 越中(ゑつちう) 越前(ゑちぜん) 能登(のと) 加賀(かゞ)若狭(わかさ) 【畿内】山城(やましろ) 大和(やまと) 河内(かはち) 【南海道】紀伊(きい) 【左頁上段】 州(しう)ともいふ用明天皇(ようめいてんわう) のとき五/畿(き)七/道(とう)を さだめ給ふ文武天皇(もんむてんわう) の御代(みよ)に六十六ヶ国(こく) にわかちて諸国(しよこく)に守(しゆ) 護(ご)をすへ東武(とうぶ)に将(しやう) 軍(ぐん)ありて諸国(しよこく)を守(しゆ) 護(ご)せしめ西京(せいきやう)中国(ちうごく)に 天子(てんし)の都(みやこ)をかまへた まひぬ田地(てんぢ)の数(かず)凡(すべて) 九十四万七千八百一町 米高(こめだか)弐千弐百八 万五千四百八十弐 石なりとそ 【左頁下段】 日本国(につほんごく)【「日本国」は横書き】 又 倭国(わこく) 朝鮮国(てうせんごく) 【畿内】摂津(せつつ) 和泉(いづみ) 【山陰道】丹後(たんご) 丹波(たんば) 但馬(たじま) 因幡(いなば) 伯耆(はうき) 出雲(いづも) 石見(いはみ) 隠岐(をき) いわき 【山陽道】播磨(はりま) 美作(みまさか) 備前(びぜん) 備中(びつちう) 備後(びんご) 安藝(あき) 長門(ながと) 周防(すわう) 上関 【南海道】八島 淡路(あはぢ) 讃岐(さぬき) 阿波(あは) 伊豫(いよ) 土佐(とさ) 【西海道】對馬(つしま) 壱岐(いき) 大嶋  筑前(ちくぜん) 筑後(ちくご) 豊前(ぶぜん) 豊後(ぶんご) 日向(ひうが) 肥後(ひご) 肥前(ひぜん) 大隅(おほすみ) 薩摩(さつま)  平戸 五嶋(ごとう) 琉球国(りうきうごく) 【上欄書入れ】32     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         三 【右頁上段】 ○日(ひ)は陽(やう)の精(せい)なり空虚(くうきよ)にして かたどりがたしよつて烏(からす)をもつて日 の形(かたち)とす陽鳥(やうてう)なればなり三/足(そく)と するは陽数(やうすう)のこゝろなり ○月(つき)は陰(いん)の精(せい)なり空虚(くうきよ)にして かたどりがたしよつて兎(うさぎ)をもつて月 の形(かたち)とす兎(うさぎ)は陰(いん)の獣(けだもの)なればなり 白兎(はくと)陰(いん)の色(いろ)なり ○北辰(ほくしん)は北極(ほくきよく)ともいふ天(てん)の枢(くろゝ)なり 一周(いつしう)天のめぐる事/此(この)北辰(ほくしん)を枢(くろゝ)か なめとしてめぐるなり北(きた)に位(くらい)して 諸(もろ〳〵)の星(ほし)これにむかふ也/北辰(ほくしん)の座に 七/星(せい)あり四/星(せい)あり ○列宿(れつしゆく)此星(このほし)天(てん)の東西南北(とうざいなんぼく)に位(くらい) して四/方(ほう)各(おの〳〵)七/星(せい)づゝなり合(あはせ)て二十 八/宿(しゆく)なり是(これ)を三十日にくばりて 毎日(まいにち)をつかさどるなり 【右頁下段】 日(じつ)【左ルビ「にち」】《割書:ひ》    《割書:景(けい)《割書:ひ|かげ》|晷(き)《割書:同》》 北辰(ほくしん) 《割書:  紐星(ちうせい)|四輔(しほ)》 月(げつ)【左ルビ「くわつ」】《割書:つき》    《割書:月は日の|ひかりを| うく| てらさ| ざる| 所を|魄(はく)といふ》 列(れつ) 宿(しゆく) 《割書:列(れつ)はつらなるとよむ二十八/星(せい)列座(れつざ)しつらなる也|宿(しゆく)は左伝(さでん)に音秀(おんしう)とよめり座(ざ)なり》 角(かく)《割書:東方》 亢(かう) 氐(てい) 房(ばう) 心(しん) 尾(び) 箕(き) 斗(と)《割書:南方》 牛(ぎう) 女(ぢよ) 虚(きよ) 危(き) 室(しつ) 壁(へき) 奎(けい)《割書:西方》 婁(ろう) 胃(い) 昴(ばう) 畢(ひつ) 觜(し) 参(しん) 井(せい)《割書:北方》 鬼(き) 柳(りう) 星(せい) 張(ちやう) 翼(よく) 軫(しん) 【左頁上段】 ○晦(くわい)毎月(まいけつ)大なれば三十日小な れば二十九日を晦(くわい)といふ月/地下(ちか)に かくれて光(ひかり)なしよつて晦(くわい)の字(じ) をくらしとよむなり昏晦(こんくわい)暗晦(あんくわい) のこゝろなり ○朔(さく)は蘇(そ)なりよみがへるとよむ月 は十五日より晦日(つもごり)までにかけつきて 又/朔日(ついたち)よりよみがへりてはじめて 明(めい)を生(しやう)ずるといふ義(ぎ)にて朔(さく)といふ ○弦(けん)は上十五日を上弦(しやうげん)といひ下十 五日を下弦(げげん)といふ上/弦(げん)は西(にし)の方 下弦(げげん)は東(ひがし)の方(はう)なり上/弦(げん)は七日 八日九日下/弦(げん)は廿二日廿三日廿四日 にあり月の光(ひかり)よこにあり ○望(ばう)は十五日の事なり十五日は 日月/東西(とうさい)にあひ望(のぞ)むゆへに望(ばう) といふ又もち月ともいふなり日 【左頁下段】 晦(くわい)《割書:つごもり》      朔(さく)《割書:ついたち》 弦(けん)《割書:ゆみはり》       望(ばう)《割書:もちづき》    上弦 日入    下弦 日出  【上欄書入れ】33     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         四 【右頁上段】 月/相対(あひたい)して月の光(ひかり)地(ち)の方(はう)に有 て天(てん)になし故(ゆへ)に満月(まんげつ)なり ○日蝕(につしよく)は日月/天(てん)に有て日(ひ)は上(かみ) なり月は下(しも)なり朔日(ついたち)は日月の 会(くわい)なり日月/上下(しやうか)にありて道(みち)を 同(おなしく)して会(くわい)すれば地(ち)より見(み)るとき は日は月のためにおほはる是(これ)を日蝕(につしよく) といふなり ○月蝕(くはつしよく)は月はもと光(ひかり)なし日の 光(ひかり)を受(うけ)て明(あきらか)なるものなり日月 道(みち)を同(おなじう)して相(あひ)むかふ地(ち)は月にあた るゆへに日の光(ひかり)地(ち)に遮(さへきつ)而(て)月蝕(ぐはつしよく)す ○星(ほし)は陽精(やうせい)なり陽精(やうせい)日(ひ)となる 日わかれて星(ほし)となる故(ゆへ)に日(ひ)生(しやうず) とかきて星(ほし)とよむ ○斗(と)は北斗(ほくと)なり七/星(せい)有一二三四 を魁(くわい)とし五六七を杓(ひやう)とす揺光(ようくはう)は 【右頁下段】 日蝕(につしよく)《割書:むしばむ》 月    月蝕(ぐわつしよく)《割書:むしばむ》地影 地 日 星(せい)《割書:ほし》 《割書:日月/星(せい)を三/光(くはう)|といふ》 《割書:ほしのひかりを芒(ほう)と|いふ流星りうせい|よばいぼし》 斗(と) 枢(すう) 璇(せん) 璣(き) 権(けん) 玉衝(ぎよくかう) 開陽(かいよう) 揺光(ようくはう) 輔星(ほせい) 参(しん)《割書:からすき|   ぼし》 【左頁上段】 破軍星(はぐんせい)なり輔星(ほせい)はそへぼし也 ○参星(しんせい)は西方(さいはう)七/宿(しゆく)の一なり俗(ぞく) に是(これ)をからすきぼしといふ也 星(ほし)の列座(れつざ)からすきに似(に)たり ○昴星(ばうせい)は西方(さいはう)の一/宿(しゆく)なり旄(はう) 頭星(とうせい)ともいふ俗(ぞく)にすばる星(ぼし)と いふ是(これ)なり星(ほし)の列座(れつざ)間(あひ)せまく してすばりたり ○牽牛(けんぎう)は星(ほし)の名(な)おたなばたなり ひこぼしともいふ又/河鼓星(かこせい)とも いふ七月七日/織女(しよくぢよ)牽牛(けんぎう)に嫁(か)す と桂陽(けいやう)の武丁(ぶてい)といふ仙人(せんにん)がいひし より七夕(たなはた)といふ事/始(はじま)れり ○織女(しよくぢよ)は星(ほし)の名(な)めたなばたなり 七月七夕/瓜菓(くは〳〵)を庭上(ていしやう)にそなへ五 色(しき)の糸(いと)を竿(さほ)に掛(かけ)て願(ねか)ふことをいのる に三/年(ねん)の内(うち)に必(かならず)かなふと也/是(これ)を乞(きつ) 【左頁下段】 織女(しよくぢよ)《割書: | |たな| ばた|  づめ》 天漢(てんかん) 《割書:あまの| がは》 牽牛(けんぎう)  《割書:ひこ| ぼし》 昴(はう)《割書:すばる|  ぼし》 孛(はい) 《割書:ぼつせい》 彗(せい) 《割書:ずい| | はゝき|   ぼし》 【上欄書入れ】34     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         五      【柱】頭書増補訓蒙図彙一         五 【右頁上段】 巧奠(こうでん)とも七夕祭(たなはたまつり)ともいふ ○天漢(あまのかは)は天河(てんか)とも銀河(きんか)ともいふ七夕 に烏鵲(うじやく)翼(つはさ)をのべて橋(はし)とし此(この)河(かは)を渡(わた)し 牽牛(けんぎう)織女(しよくぢよ)の二/星(せい)あひ合(あふ)といへり ○孛星(ほつせい)は妖星(ようせい)なり此(この)星(ほし)出(いづ)るとき は旧(ふるき)をのぞきて新(あたらしき)に改(あらため)又は火災(くはさい)に たゝるの瑞(ずい)有/俗(ぞく)に是(これ)を御光星(ごくはうぼし)と云 ○彗星(はゝきぼし)は妖星(ようせい)なり色(いろ)青(あをき)は王候(わうこう)【「候」は「侯」ヵ】死(しす) 赤(あかき)は強国(きやうこく)おこる白(しろき)は兵乱(へうらん)おこる天(てん)下 に災(わざはひ)あるときあらはるゝ星(ほし)なり ○太白星(たいはくせい)は金星(きんせい)なりあかぼしとな づく俗(ぞく)にあかつきの明星(みやうじやう)といふ日にさ きだちて出(いづ)るなり啓明(けいめい)ともいふ ○虚空(こくう)はそらともおほぞらとも よむ太虚(たいきよ)太空(たいくう)ともいふ天(てん)なり天は 円(まとか)にして空々(くう〳〵)として物(もの)なくかたち なしよつて虚空(こくう)となつく 【右頁下段】 太白(たいはく) 《割書:あか| ぼし》 日出 虚空(こくう)《割書: |そら》 霧(む)《割書:きり》 煙(ゑん) 《割書:け|ふ| り》 【左頁上段】 ○霧(きり)は陰陽(いんやう)のみだれより生ず 地気(ちき)のぼつて天気(てんき)応(あふ)ぜざるを 霧(む)といふ天気(てんき)くだつて天気(てんき)応(あふ)せ さるを雺(ぼう)といふ風(かぜ)吹(ふい)て土をふら すを霾(つちふる)といふ ○煙(けふり)は火(ひ)の昇(のほ)る気(き)なり烟(けふり)同し 又/水(みづ)より煙(けふり)いづる ○長庚(ゆふづく)は金星(きんせい)なり日(ひ)におくれ て入/是(これ)を長庚星(ちやうかうせい)といふ俗(ぞく)に是(これ) をよひの明星(みやうじやう)といふ ○風(かぜ)は大塊(だいくわい)の噫気(あいき)なり陽(よう)の体(たい) にして散(さん)じて陰(いん)の用(よう)となる故(ゆへ)に 風(かぜ)吹(ふく)ときは土(つち)必(かならず)かはく又/旋風(せんふう)飊(へう) 風(ふう)はつじかぜ ○露(つゆ)は夜気(やき)露(つゆ)となる陰(いん)の液(ゑき)也 白虎通(びやくこつう)に露(つゆ)は霜(しも)の始(はじめ)なりと いへり露(つゆ)をばをくといふ降(ふる)といわず 【左頁下段】 長庚(ちやうかう) 《割書:ゆふづく》 入日 風(ふう)《割書: | |かぜ|のわき》 露(ろ)《割書:つゆ》 【上欄書入れ】35     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         六      【柱】頭書増補訓蒙図彙一         六 【右頁上段】 ○雲(くも)は山川(さんせん)の気(き)なり地気(ちき)のぼ りて雲(くも)となり天気(てんき)くだりて雨(あめ)と なるなり雲(くも)は陰(いん)の体(たい)なり昇(のぼり)て 陽(やう)の用(よう)となるみな雨湿(うしつ)の気(き)なり ○雨(あめ)は水(みづ)蒸(むし)て雲(くも)となりくだつて 雨となるむらさめを暴雨(ばうう)といひ ながあめを霖雨(りんう)といひ夕(ゆふ)だちを 驟雨(すうう)といひ時雨(しくれ)を澍(えう)といふ ○雷(らい)は陰陽(いんよう)あひ激(げき)する声なり 王充(わうしう)論衡(ろんかう)といふ書(しよ)に雷(らい)の形は一人 の力士(りきし)ありて累々(るい〳〵)たる連皷(れんこ)を左(ひだり)に 持(もち)右(みぎ)の手(て)に鞭(むち)をもつてうちて声(こへ) をなすといへり ○電(いなびかり)は二月に有(あり)この月/陽気(ようき)漸(やうやく) さかんにして陰気(いんき)をうつその激(げき)す るひかりを電(でん)といふ俗(ぞく)にいなびかり いな妻といふ雷神(らいじん)を電母(でんぼ)といふ 【右頁下段】 雲(うん)《割書:くも》 雨(う)《割書:あめ》 雷(らい)《割書:いか| づち》 《割書:なる| かみ》 《割書:かみ| なり》 電(でん)《割書:いなつま|いなびかり》 【左頁上段】 ○暈(うん)は日月のかたはらの気(き) なりかさといふ日/暈(かさ)あるとき はひでりし月/暈(かさ)あるときは 三日のうちに雨(あめ)ふるといへり ○雪(ゆき)は雨(あめ)こりて雪となる天地(てんち) の積陰(せきいん)あたゝかなるときは雨と なりさむきときは雪(ゆき)となる 花をなすを雪(ゆき)といひ円(まとか)なる を雹(あられ)といふ又/銀花(ぎんくは)とも六出(りくすい) 花(くは)とも銀屑(ぎんせつ)ともいふ ○氷(こほり)は陰気(いんき)のあつまるところ もれざるときはむすぼふれて ■(こほり)【「冫+氷」冰ヵ】となる氷(へう)と書(かく)はあやまり也 ■(へう)【「冫+氷」冰ヵ】と書(かく)べし■(こほり)【「冫+氷」冰ヵ】つもれると凌(へう)【訓蒙図彙は「れう」】と いふ■(こほり)【「冫+氷」冰ヵ】さかんなるを凍(とう)といふ■(こほり)【「冫+氷」冰ヵ】 ながるゝを凘(し)といふ■(こほり)【「冫+氷」冰ヵ】とくるを泮(はん) といふ氷室(へうしつ)はひむろなり 【左頁下段】 暈(うん)《割書: |かさ》 雪(せつ)《割書: |ゆき》 氷(へう) 《割書:こほり》 【上欄書入れ】36     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         七     【柱】頭書増補訓蒙図彙一         七  【右頁上段】 ○虹(にじ)は日雨(ひあめ)と交(まじはり)て質(かたち)となす也 日のひかり雨にうつるによつて虹(にじ) あらはる朝(あした)には西(にし)にあり暮(くれ)には 東(ひがし)にあり色(いろ)鮮(あさやか)なるを雄(おにじ)とし 闇(くらき)を雌(めにじ)とす俗(ぞく)に蛇(じや)のいきといふ 螮(てい)蝀(とう)霓(けい)同ともににじなり ○雹(あられ)は雪(ゆき)こほりて円(まとか)なるを 雹(あられ)といふ寒気(かんき)つよきときは雪(ゆき)と なりて軽(かろ)し寒気(かんき)うすきときは 雪(ゆき)おもくしてとけやすし又/雹(あられ)となる 瑗瑶(ゑんよう)玉粒(ぎよくりう)砕玉(さいぎよく)銀米(ぎんべい)明珠(めいしゆ) 同し雪(ゆき)雨(あめ)にまじはりふるを霰(みぞれ) といふ ○雪水(ゆきみつ)寒(かん)にむすぼふれて軒(のき) のしたゞりこほりて氷柱(つらゝ)となる 氷筋(へうきん)氷条(へうでう)とも書(かく)べし又/氷筍(へうじゆん) ともいふなり 【右頁下段】 虹(こう)《割書: |にし》 雹(はく)《割書:あられ》 氷柱(へうちう) 《割書: つらゝ》 【左頁】 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻(くはん)之(の)二    地理(ちり)《割書:此部(このぶ)には山川田園(さんせんでんゑん)林丘村市(りんきうそんし)のたぐひあり|地(ち)の条理(ぢうり)なり易云(ゑきにいはく)俯察(ふしてさつす)_二於/地理(ちりを)_一》 【左頁上段】 ○山は高大(かうたい)にして石(し)あるを いふ広雅云(くはうかにいはく)山(さん)は産(さん)なりよく 万物(ばんぶつ)を産(さん)するなり説文(せつもん)に山(せん) は宣(せん)なり ○峰(みね)は山の端(はし)なり山大にし て高(たかき)を峰(はう)といふ山小にして たかきを岑(しん)といふともにみね なり唐(もろこし)にては香爐峰(かうろはう)日(に) 本(ほん)にては冨士峰(ふじはう)なと也/嶺(みね)同 ○巓(いたゞき)は高山(かうざん)のいたゝきなり絶(ぜつ) 頂(てう)なり詩経(しきやう)に采(とり)_レ苓(れいを)采(をとる)_レ苓(れいを) 首陽(しゆやう)之(の)巓(いたゞき)といへり山巓(さんてん)とも又 【左頁下段】 山(さん) 《割書:やま》 巓(てん) 《割書:いたゞ|   き》 峰(ほう) 《割書: みね》 坂(はん)《割書:さか》 【上欄書入れ】37     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         八      【柱】頭書増補訓蒙図彙二         八  【右頁上段】 高巓(かうてん)ともいふ ○坂(さか)は坡坂(ははん)なり山中(さんちう)の高(たか) くけはしき所なり小坂(こさか)を嶝(とう) といふ磴(とう)同し ○嶽(だけ)はけはしき高山(かうざん)をいふ 山城(やましろ)如意嶽(によゐがだけ)近江(あふみ)の比良(ひら)の が嶽なとなり ○谷(たに)は両山(りやうさん)の中(なか)の流水(りうすい)なり 渓(けい)谿(けい)同し水(みつ)谿(けい)にそゝくを谷(たに) といふ山(やま)の間(あいた)に水あるを澗(かん)と いふたにがはとよめり ○丘(おか)は土(つち)の高(たか)き所(ところ)をいふ又/四方(しはう) たかくして中央ひくきを丘(きう)といふ ともあり阜(ふ)同狐(きつね)死(し)するとき は丘(をか)を枕(まくら)とす  ○盤(ばん)は大石(たいせき)なり盤石(ばんじやく)ともいふ 俗(ぞく)に大盤石(たいばんじやく)といふは重言(ぢうごん) 【右頁下段】 谷(こく)《割書: |たに》 丘(きう) 《割書: をか》 嶽(かく) 《割書: だけ》 盤(ばん)《割書: |いは》 【左頁上段】 なるべし ○巌(かん)はいはほなりさゞれ石(いし) のいはほとなりてとよめるなり 石窟(せきくつ)を巌(がん)といふ石(いし)のするど にしてたかくそびへたるをいふ 詩経(しきやう)に維石巌々(これいしがん〳〵たり)といへり 岩(がん)同 ○崖(かけきし)は山辺(さんへん)なり山(やま)の一/片(へん)に そはだちのそみたるをいふ厓(かい) 同し又/懸崖(けんかい)ともいふかけぎし 補/俗(ぞく)にがけといふなり ○瀑(はく)は滝(ろう)とも書(かく)なりながれ おつる色(いろ)白(しろ)くして布(ぬの)を瀑(さらす)が如(ごと) くなるによつて瀑布(はくふ)とも云 日本にも布引(ぬのびき)のたきといふ ありもろこしには廬山(ろさん)に名(な) 高(だか)き滝(たき)あり又/滝(たき)を飛泉(ひせん) 【左頁下段】 巌(がん)《割書: |いはほ》 瀑(はく) 《割書: たき》 崖(かい) 《割書:かけ| ぎし》 【上欄書入れ】38     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         九 ■   【柱】頭書増補訓蒙図彙二         九  【右頁上段】 ともいふ ○桟(さん)は棚(はう)なり閣(かく)なり木(き)を閣(かく) して道(みち)をなすを桟道(さんどう)とも閣(かく) 道(どう)ともいふ《割書:補》けんその山坂(やまさか)補【□の中に「補」】道(みち) きれて通(かよ)はれざるに橋(はし)をかけて 道(みち)としかよひとするをいふ ○洞(ほら)は深(ふかく)通(つう)ずるを洞(とう)といふいは あなありて道(みち)を通(つう)ずる所(ところ)也 仙洞(せんとう)は仙人(せんにん)のすむ洞(ほら)なり峒(とう)同じ 山に岩穴(がんけつ)ありて袖(そで)に似(に)たるを 岫(しう)といふくきなり ○麓(ふもと)は山足(やまのふもと)なり林(はやし)山(やま)につゞく を麓(ろく)といふ麓(ろく)は鹿(しか)のあるところ かるがゆへに字(じ)鹿(しか)に従(したがふ)【从】なり鹿(しか)は このんで林(はやし)にすめばなり ○林(りん)は平地(へいち)にして叢(むらがる)木(き)ある所を林(りん) といふ又/野外(やぐはい)を林(りん)と云/樹林(じゆりん)松林(せうりん)竹(ちく) 【右頁下段】 桟(さん)《割書:かけ| はし》 麓(ろく)《割書:ふ| もと》 洞(とう)《割書: |ほら》 【左頁上段】 林(りん)などいへり木(き)のあつまり生ず るを林(りん)といひ草(くさ)のあつまり生ず るを薄(はく)といふ薄(はく)はくさむら叢(さう)同し ○岬(みさき)は山(やま)のかたはらなり海(うみ) などへつき出(いて)たる所をいふ也 越前(えちぜん)に金岬(かねがみさき)などいふ所有 ○村(むら)は人のあつまりゐる所也 村落(そんらく)といふ本(もと)は邨(そん)につくる字(し) 通(つう)に経史(けいし)に村(そん)の字(じ)なし邨(そん)は 邑(ゆう)に従(したが)【从】ひ屯(あつまる)に従(したがふ)【从】別に村(そん)につく るは非(ひ)なり今(いま)通(つう)じもちゆ 邑(ゆう)同し ○川(せん)は穿(せん)なり地(ぢ)を穿(うがつ)てなが るゝの心をもつて川(せん)となづく又 河(かは)とも書(かく)なり補【□の中に「補」】大なるを大 河といひ小なるを小川といふ なり補【□の中に「補」】江はゑなり 【左頁下段】 林(りん)《割書: |はや| し》 岬(かう) 《割書:みさき》 川(せん) 《割書: かわ》 村(そん) 《割書:む| ら》 【上欄書入れ】39     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十      【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十  【右頁上段】 ○洲(す)は水中(すいちう)の居づき所なり 人(ひと)鳥(とり)などのあつまり息(いこふ)所也 小洲(しやうしう)を渚(しよ)といふなぎさなり水 渚(しよ)石(いし)あるを磧(せき)といふいそなり 水(みづ)沙上(しやじやう)にながるゝを瀬(せ)といふ湍(たん) 同/磯(き)はいそなり ○波(なみ)は風(かぜ)水(みづ)をうつて紋(もん)をなすを 波(なみ)といふ水波(すいは)は水紋(すいもん)なり浪瀾(らうらん) ともに同し大波(たいは)を涛(とう)といふ又 漣(れん)はさゞ波(なみ)なり又/濤(なみ)を潮頭(てうとう)と いふなり ○渦(うづ)は水(みづ)めぐるなり水めぐつて 巴(は)【左ルビ「ともへ」】の字(じ)をなすといへり又/泡漚(はうをう) 沫(まつ)はあわなり ○島(しま)は海中(かいちう)に山ありてよるべき を島(とう)といふ隝(とう)嶋(とう)嶼(よ)ならびに 同じ蓬莱(はうらい)方丈(はうじやう)瀛洲(えいしう)を海(かい) 【右頁下段】 波(は) 《割書:なみ》 渦(くは) 《割書:うづ》 洲(しう) 《割書:す》 【左頁上段】 中(ちう)の三島といふ ○海(かい)は晦(くわい)なり荒遠(くはうゑん)にして冥(めい) 昧(まい)なる意(こゝろ)なり又/海(かい)は穢(けがれ)をうけ て其(その)水(みづ)く黒(くろく)して晦のごとしとも いへり湖(こ)はみづうみなり潮(てう)はうし ほなり ○岸(がん)は水/涯(ぎの)の高(たか)き所をいふ 住(すみ)の江(え)のきしによる浪(なみ)よるさへや とよみ又/岸(きし)の姫松(ひめまつ)と歌(うた)によめり ○浜(はま)は水際(すいさい)なり涯(かい)はほとり浦(ほ)は うらならびに同し水際(すいさい)の平(へい) 沙(さ)を汀(てい)といふみぎはとよむなり 海浜(かいひん)ひろきを㵼(しや)といふかたなり 河浜(かひん)水浜(すいひん)海浜(かいひん)ともにはま也 ○田(た)は土(つち)を耕(たがやす)の名(な)囗は田(た)の四方 のかまへなり中に十の字(じ)は田(た)の 阡陌(せんはく)とてみぞのこゝろなり畎(けん)【左ルビ「たみぞ」】 【左頁下段】 島(とう)《割書:しま》 海(かい) 《割書: うみ》 岸(がん) 《割書:き| し》 濱(ひん) 《割書: はま》 【上欄書入れ】40     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十一 【右頁上段】 畝(ほ)【左ルビ「うね」】町(てう)【左ルビ「まち」】畔(はん)【左ルビ「くろ」】 ○畔(はん)は田(た)の界(さかひ)なりぐろとも又は あぜともよむなり又/塍(せう)【左ルビ「ぐろ」】堘(せう)【左ルビ「あせ」】同じ 周(しう)の国(くに)には耕(たがやす)ものは畔(くろ)を譲(ゆづる)と いふなり ○溝(みぞ)は田間(でんかん)の水(みづ)なり溝(かう)は構(かう)なり たてよこにまじへかまへたるなり 渠(きよ)同 ○独梁(ひとつばし)は独木梁(どくぼくりやう)ともいふなり 又/狐橋(こきやう)ともいふ丸木(まるき)ばし一本(いつほん) 橋(ばし)などいふ ○塚(つか)は平(たいらか)なるを墓(ぼ)といひ土(つち)を 封(はう)ずるを塚(ちよう)といふ又すぐれて 高(たか)きを墳(ふん)といふともにつかなり 塚(つか)のうへにしるしの木(き)をうゆる 事なり ○場(ちやう)は五穀(ごこく)をおさむる圃(はたけ)なり 【右頁下段】 畔(はん) 《割書: ぐろ| あぜ》 塚(ちよう)《割書: |つか》 溝(かう)《割書: |みぞ》 田(でん) 《割書: た》 独梁(どくりやう) 《割書:ひとつ|  ばし》 【左頁上段】 土(つち)を築(きつく)を壇(だん)といふ地(ち)を除(はらふ)を 場(ぢやう)といふ神(かみ)をまつる所なりと あり農民(のうにん)の米穀(へいこく)をこなす所 を場(ぢやう)といふ又ほしばなどゝいふ 市場(いちば)売場(うりば)などいふ又/塲(ば)とも かくなり ○井(せい)は伯益(はくゑき)といふ人くつりはじ め給ふなり鴆(ちん)は毒鳥(どくてう)なり羽井(はねゐ) の内(うち)におちて人その水(みづ)をのめば 死すよつて井(ゐ)のもとに桐(きり)を うゆ鴆(ちん)は鳳凰(はうわう)を懼(をそる)鳳凰(はうわう)は梧(き) 桐(り)にすむものなれば鳳(はう)のゐ んことを鴆(ちん)に懼(おそれ)しめん為(ため)也 ○幹(かん)は井垣(せいゑん)なりとあり俗(ぞく)に いげたゐづゝといふ井筒(ゐづゝ)と書(かく) はあしゝ韓(ゐづゝ)のかたはらに竹(たけ)を うゆべし鳳凰(はうわう)は竹(たけ)の実(い)をくら 【左頁下段】 塲(ちやう) 《割書: ば》 幹(かん) 《割書:い| づゝ》 井(せい) 《割書: ゐ》 【上欄書入れ】41     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十二 ふものなれば鴆(ちん)をおそるゝがた めなり ○沢(さは)は水(みづ)のあつまり聚(あつまる)ところ なり沢(さは)には杜若(かきつばた)河骨(かうほね)蓴(しゆん)さ いなどはへ螢(ほたる)とびかふ夏(なつ)の夕暮(ゆふぐれ) の景色(けしき)もおもしろし ○石(いし)は山骨(さんこつ)なり塊(つちくれ)久(ひさ)しうして 石となる石(いし)変(へん)じて金銀(きん〴〵)銅(どう)鉄(てつ) を生(しやう)ず星(ほし)おちて石(いし)となる木(ぼく) 石(せき)に怪(くわい)あり石より火を生(しやう)ず ○礫(れき)は小石(しやうせき)なりさゞれいしとも 又つぶてともよむなりその石(せき) 礫(れき)にならつて璃龍(りれう)の蟠(わだかまる)とこ ろをしらすといへり ○沙(いさご)は細散(さいさん)の石(いし)なり別(べつ)に沙(しや)【頭書訓蒙図彙「砂」】とかく はあやまりなり説文(せつもん)に水少(すいしやう)に したがふ水(みづ)少(すくなき)ときは沙(すな)あらわる 【右頁下段】 澤(たく) 《割書: さは》 礫(れき) 《割書: さゞれ|   いし》 石(せき) 《割書:いし》 沙(しや) 《割書:すな|いさご》 【左頁上段】 の義(き)なり繊沙(せんしや)はまなごなり まさごいさこすなご同訓(とうくん)なり ○池(いけ)は地(ち)をうがつて水を溜(たむ)る をいふ沼(せう)も同じ四/角(かく)なる 池(いけ)を方池(はうち)といふ ○泉(いづみ)は源水(けんすい)なり下(した)より涌(わき) 出(いづ)るを濫泉(らんせん)といふ垂(たれ)いづるを 沃泉(ようせん)といふ穴(あな)より出るを汎(はん) 泉(せん)といふ病(やまひ)を治(ぢ)するを温泉(をんせん) といふいでゆなり地下(ちか)を黄泉(くはうせん) といふ ○塘(つゝみ)は池塘(ちとう)なり池(いけ)のほとり のつゝみなり俗(ぞく)にためいけと いふ柳(やなぎ)をうへたるを柳塘(りうとう) といふ柳塘(りうとう)莫々(ばく〳〵)暗(くらし)_二啼(てい)鴉(あ)_一と 詩(し)にもつくれり ○園(ゑん)は果(くだもの)をうゆる所なり又/鳥(とり) 【左頁下段】 池(ち) 《割書: いけ》 泉(せん)《割書: |いづみ》 塘(とう)《割書: | |つゝ|  み》 【上欄書入れ】42     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十三     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十三 【右頁上段】 けだものをやしなふ所を苑 といひ垣(かき)あるを園(ゑん)といふいづ れもそのと訓ず補【四角枠の中に「補」】園(その)は今/俗(ぞく) にうらせどなとゝいふ ○圃(ほ)は菜(さい)をうゆる所をいふ也 又/果(このみ)瓜(うり)をうゆるを圃(ほ)といふと もいへり又はたけなり我(われ)不(ず) _レ如(しか)_二老圃(らうほに)_一と孔子(こうし)ものたまへる事 論語(ろんご)に見(み)へたり ○閭(りよ)は里門(りもん)なり今(いま)いふ在所(ざいしよ) の惣門(さうもん)なり又/家(いゑ)二十五/軒(けん) ほどある在所(さいしよ)を閭(りよ)といふ閭(りよ) 巷(こう)といふ ○郊外(かうぐはい)を野(の)といふなり野(の)は ひろくして平(たいらか)なるをいふ 高(たか)くして平(たいらか)なるを原(げん)と云 これをあはせて野原(のはら)といふ 【右頁下段】 閭(りよ) 《割書: さと》 園(ゑん) 《割書: その》 圃(ほ) 《割書: はたけ| その》 【左頁上段】 埜(や)同し墅と書はあやまり也 ○道(とう)は道路(どうろ)なり途(と)同し 径(けい)はこみちなり 用明天皇(ようめいてんわう)のとき五/畿(き)七/道(どう)に わかつ文武天皇(もんむてんわう)のとき六十六 箇国(かこく)をわかつ ○畷(てつ)は田(た)の間(あいた)のみちなりなは てなり俗(ぞく)に縄手(なはて)と書(かく)は縄(なは)を 引(ひき)たるがごとく直(なを)けれはなり ○衢(ちまた)は四/達(たつ)の道(みち)なりよつて 十/字街(じかい)といふちまたなり俗(ぞく) に辻(し?う?)の字(じ)を書(かき)てつじと読(よむ) 街衢洞達(かいくのとうたつ)とあり ○城(しろ)は黄帝(くはうてい)つくりはじめ たまふとも又/鯀(こん)といふ人つくり はじめ給ふともいふ内(うち)を城(せい)と いひ外(ほか)を郭(くはく)といふ天守(てんしゆ)狭間(さま) 【左頁下段】 道(とう) 《割書:み| ち》 野(や)《割書: |の》 衢(く) 《割書:ちまた》 畷(てつ) 《割書:なは|  て》 【上欄書入れ】43     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十四 【右頁上段】 多門(たもん)  武者屯(むしやだまり) 櫓(やぐら) 犬走(いぬはしり) 虎魚(しやちほこ) ○塹(ほり)は城(しろ)をめくる水なり又 坑塹(あなほり)なり坑(かう)壕(かう)ならびに同 城郭(しやうくはく)のほりなり ○封疆(はうきやう)は土(つち)を封(はう)じて疆(さかひ)をか ぎるをいふ俗(ぞく)にこれをどてと いふ洛陽(らくやう)にむかし大閤秀吉公(たいかうひでよしこう) のとき東西南北(とうざいなんぼく)に封疆(どて)をつき て竹(たけ)をうへ給ふ今にあり ○橋(はし)はもろこし禹王(うわう)といふ聖(せい) 人(じん)つくりはじめたまへり梁(はし)とも 書(かく)なり矼(こう)はいしばしなり圯(い) はつちはしなり板橋(はんきやうは)いたばし 石橋(せききやう)はいしばし土橋(どきやう)はつちばし 歩橋(ほきやう)はふみこへばし ○市(いち)は神農(しんのう)はじめたまふ 【右頁下段】 城(じやう)《割書: |しろ》 橋(きやう) 《割書:は| し》 塹(せん) 《割書:ほり》 封疆(はうきやう)《割書: |どて》 【左頁上段】 又祝融(しゆくゆう)はじめ給ふともいふ 売買(ばい〳〵)の所(ところ)を市(いち)といふ補【四角枠の中に「補」】今 俗(ぞく)に是を店(たな)といふ魚(うを)のたな 呉服(こふく)だななどゝいふなり ○津(つ)は水(みづ)の会(あつまる)ところなり舟 つき又わたしばなり難波津(なにはつ) 大津(おほつ) 今津(いまづ) 甲斐津(かいづ)など いふたぐひなり伯(はく)【訓蒙図彙「泊」】はとまり也 ○浮橋(ふきやう)はうきはし又/浮梁(ふれう)と も書(かく)べし又ふなばしは舟(ふね)をつ なぎならべてはしとする也 水(みづ)ふかくして橋(はし)ぐい立かたき所 などふなばしをかくるなり ○堤(つゝみ)はふさぐともとゞこほる共 よむ土(つち)をもつて水(みづ)をふさぎと どこほらしむるをもつて堤(つゝみ)と いふ隄(てい)とかくはあしゝ塘(とう)堤(てい)同 【左頁下段】 市(し) 《割書:いち》 浮橋(ふきやう) 《割書: うきは|   し》 津(しん)《割書: |つ》 【上欄書入れ】44     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十五     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十五 柳堤(りうでい)は補【四角枠の中に「補」】堤(つゝみ)に柳(やなぎ)を植(うへ)たるを云 ○閘(かう)は水門(すいもん)なり俗(ぞく)にこれを 樋(ひ)の口(くち)といふ田(た)に水(みづ)を入るとき は引(ひき)あげ入ざるときはおろす ○堰(いせき)は蛇籠(じやかご)に石(いし)をいれて水(みづ)を ふさくものなり又/埭(たい)とも書也 水辺(すいへん)に田地(でんぢ)又は屋敷(やしき)あれば堰(いせき) をするなり補【四角枠の中に「補」】俵(たわら)に土砂(どしや)を入て水(みつ) ふせぎともするなり ○水柵(すいさく)は竹木(ちくほく)をあんでこれをつ くる水よけなりうたにも 山川に風のかけたるしがらみは なかれもあへぬもみち成けり とよめるなりしがらみといふは 水柵(すいさく)なり ○関(せき)はゆきゝのうたかわし き人をとゞめたゞす所(ところ)なり 【右頁下段】 水柵(すいさく) 《割書: しがら|     み》 堤(てい) 《割書:つゝ|  み》 閘(かう) 《割書: ひのく|   ち》 堰(ゑん) 《割書:ゐせき》 【左頁上段】 不破(ふは)の関(せき) 鈴鹿関(すゞかのせき) 逢坂関(あふさかのせき) これを天下(てんか)の三/関(せき)といふ今は たへてなし箱根(はこね)の関(せき)といふ あり其外(そのほか)関所(せきしよ)あり 補【四角枠の中に「補」】峠(とうげ)は山坂(やまさか)をのぼりおはりて いたゞきの所をいふあるひは山中(やまなか) の峠(とうげ)鈴鹿(すゞか)の峠(とうげ)なといふ山道(やまみち)の 往来(わうらい)には峠(とうげ)をいくつもこゆる事 なり 補【四角枠の中に「補」】森(もり)は木(き)の多(おほ)くな生(はへ)しげりた る所といふ狐(きつね)の森(もり)螢(ほたる)のもり 又/鷺(さぎ)の森(もり)などいふ所あり ○牧(まき)は六/畜(ちく)をやしなふ所を いふ又/郊外(かうぐはい)を牧といふ言(いふこゝろ)は六 畜(ちく)をはなち牧(まき)すべき所なり 国(くに)の守護(しゆご)を牧(ぼく)といふも民(たみ) をやしなふの義(き)にとる 【左頁下段】 《割書:補》森(しん) 《割書: もり》 𨵿(くわん) 《割書: せき》 《割書:補》峠 《割書:とう| げ》 【上欄書入れ】45      【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十六     【柱】頭書増補訓蒙図彙二         十六 ○墓(ぼ)は慕(ぼ)の字(じ)の意(こゝろ)にて したふといふ事なり子孫(しそん)か 先祖(せんぞ)を思慕(しぼ)するなり塚(ちよ)も 同し天子(てんし)のはかを陵(みさゞき)といふ 塋(ゑい)同し壙(くはう)つかあななり 補【四角枠の中に「補」】沼(ぬま)は池(いけ)の大(おほい)なるものをいふ 又/水(みづ)少(すくな)く泥土(でいど)なるものなり池(いけ) 沢(さわ)沼(ぬま)は同じたぐひなり山(やま) 城国(しろのくに)伏見(ふしみ)に大沼(おほぬま)あり葦(よし)芦(あし) など多(おゝ)くはへ水鳥(みづとり)の住所(すみどころ)也 補【四角枠の中に「補」】薮(やぶ)は竹林(ちくりん)なり苦竹(まだけ)淡竹(はちく)の 二/種(しゆ)を用(もち)ひて其(その)性(じやう)かたくよつて 薮となして造作(さうさく)又は器財(きざい)に用(もち) ゆる事かぞへがたし 【右頁下段】 墓(ぼ)《割書:は| か》 沼(せう)《割書:ぬま》 牧(ぼく) 《割書: まき》 薮(すう)《割書:やぶ》  【左頁】 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻之三   居処(きよしよ) 《割書:此部(このぶ)には宮殿(きうでん)門戸(もんこ)壁檣(かべかき)庭窓(にはまど)のたぐひ|すべて家居(いゑゐ)宅所(たくしよ)につきての文字(もじ)あり》 ○殿(てん)は堂(だう)の高(たか)くして大(おゝい)なる ものなり天子(てんし)の居(ゐ)給ふ所を殿(てん) といふ殿(てん)の天井(てんじやう)に藻(も)をゑがくは 藻(も)は水草(すいさう)なれは火災(くはさい)をさく るのころゝろなり ○棟(むね)は屋極(をくきよく)なり屋脊(をくせき)を甍(ほう) といふいらかなり鴟尾(しび)はくつかた 蚩吻(しふん)おにがはら ○檐(えん)は簷宇(ゑんう)同し遶(めぐる)_レ檐(のきを)点(てん) 滴(てき)如(ごとし)_二琴筑(きんちくの)_一と詩(し)にもつくれり 又/檐(のき)のあやめ檐(のき)の玉水(たまみづ)などゝ 歌によめるなり 【左頁下段】 棟(とう) 《割書:むね》 殿(てん) 《割書: との》 檐(ゑん) 《割書:のき》 榑風(はふ)【搏風ヵ】 蔀(ほう) 《割書:しと| み》 楹《割書:ゑい》 《割書:はしら》 礎(そ) 《割書:いしずへ》 階(かい) 《割書:きざは|  し》 欄干(らんかん) 《割書: おばしま》 【上欄書入れ】46     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         十七     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         十七 ○楹(はしら)は殿門(てんもん)の両方(りやうはう)にありよつ て両楹(りやうゑい)といふ柱(はしら)同じ短柱(たんちう)は つかばしらなり ○欄杆(らんかん)は階除(きざはし)の木句欄(きこうらん)なり 闌干(らんかん)とも書(かく)なり干(かん)又/檻(かん)に作(つく) るおばしまなり直欄(ちよくらん)横杆(わうかん) ○階(きざはし)は砌(みぎり)なり堂(だう)に昇(のぼ)る道(みち)也 階級(かいきう)階除(かいぢよ)階梯(かいてい)ともいふ俗(ぞく) にきざはしといふ堦(かい)につくるは あやまりなり ○摶(は)【搏ヵ】風(ふ)は風(かぜ)を摶(うつ)【搏ヵ】とよむ火災 をさくる為(ため)の名(な)なり■【逆五角形の中に○の図形。『頭書増補訓蒙図彙』では下段図中の懸魚の図形】是(これ)を 懸魚(げんぎよ)といふ魚(うを)は水に住(すむ)もの なれば火災(くはさい)をさくるの名也 ○蔀(しとみ)は屋(いへ)の檐(のき)につりあげ て光明(あかり)をさらへおほふものなり 俗(ぞく)にうはしとみといふつれ〴〵 【右頁下段】 庭(てい)《割書:には》 廊(らう) 《割書:ほそ| どの》 牆(しやう)《割書:つい|ぢ》 《割書:かき》 門(もん) 《割書:かど》 扉(ひ)《割書:とび|ら》 磚(せん) 《割書:しき|がはら》 砌《割書:せい| みぎり》 【左頁上段】 草(ぐさ)にもやり戸(ど)は蔀(しとみ)の間よ りもあかしといへり蔀はうは あかりなり ○礎(いしずへ)は柱(はしら)の下の石(いし)なり詩(し)を 作(つく)るに韻字(ゐんじ)をふむを礎(そ)と云 磉(さう)礩(しつ)并(ならび)に同し  ○庭(には)は門屏(もんへい)の内(うち)を庭(には)と云 又/砌(みぎり)といふも庭(には)なり ○門(もん)は両戸(りやうこ)あはするを門(もん)と云 楣(まくさ)閾(しきみ)棖(ほこたて)みな門(もん)にあり ○廊(ほそどの)は殿下(てんか)の外屋(ぐはいをく)なりと ありわたりどの共云/廊下(らうか)廻(くわい) 廊(らう)などなり本殿(ほんでん)へかよふ ひさしなり ○牆(かき)は墻(しやう)垣(ゑん)墉(よう)並(ならひ)に同又門 屏(へい)を蕭墻(しやう〳〵)といふ蕭(しやう)が言(こと)は 粛(しゆく)なり君臣はあひまみゆる 【左頁下段】 華表(くはへう)《割書: |とりゐ》 瑞(ずい) 籬(り) 《割書:みつ|がき》 宮(きう)《割書: |みや》 【上欄書入れ】47     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         十八     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         十八 【右頁上段】 の礼(れい)は門屏(もんへい)にいたりて粛(しゆく) 敬(けい)をくはふるなり ○扉(とびら)は木(き)にて作(つく)るを扉(ひ)といふ 竹(たけ)にてつくるを扇(せん)といふ門扉(もんひ)は 戸扉(こひ)柴扉(きいひ)【さいひヵ】竹扉(ちくひ)などいふ ○磚(せん)はしきがはらなり又/㼾(ろく) 甎(せん)ともいふ又/壁磚(へきせん)ともいふ 塼(せん)磚(せん)並同/禅堂(せんたう)などに有 ○砌(みぎり)は階甃(かいしう)なりいしだゝみ俗(ぞく) にいふいしかき通(つう)じて庭(には)の 事なり ○宮(みや)は唐(もろこし)にては至尊(しそん)の居所(ゐどころ) を宮(きう)といふ和朝(わてう)にては神(かみ)の 居(ゐ)たまふ所を宮(きう)といふ又/社(しや) とも祠(し)ともいふなり ○華表(とりゐ)は神前(しんせん)にたつる鳥(とり) 井なりとりゐといふ事は神(しん) 【右頁下段】 樓(ろう) 《割書:たか| どの》 雪(ゆ) 打(た) 宅(たく) 《割書:いゑ》 櫺(れい) 《割書: まど》 【左頁上段】 門なりともいふ又/天(てん)の字(じ)のかた ちなりともいふ鳥井(とりゐ)と名づくる 事/火災(くはさい)をさくるのこゝろの名なり ○瑞籬(みづがき)は神前(しんぜん)社前(しやせん)のかき也 玉垣(たまがき)ともいふ不浄(ふじやう)の人これ より内(うち)へ入(いる)べからず ○楼(たかどの)は重屋(ちやうをく)なり高(たか)くかさね 上(あげ)て物見(ものみ)をするなり今(いま)俗(ぞく) にちんといふ ○櫺(れい)は隔子(かくし)なり櫺子(れんじ)なり俗(ぞく) にむしこといふ木(き)のまどを櫺子(れんじ) といふ土のまどを土窓(つちまど)といふ ○雪打(ゆた)は仏殿(ぶつでん)楼閣(ろうかく)又は二/階(かい) などに有物なり雨(あめ)雪(ゆき)などの 打(うち)かゝるをうくるものなり俗(ぞく) にあま戸(ど)といふなり 【左頁下段】 厨(ちう) 《割書:くり|  や》 窖(かう)《割書:あな| ぐ|  ら》 【上欄書入れ】48     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         十九     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         十九 【右頁上段】 ○宅(たく)は択(たく)なりよき所を択(ゑらん) でいとなみたつるゆへなり又 人の詫(たく)する所といふ義も有 舎(しや)家屋(かをく)ともに同又は第宅(だいたく) ○厨(くりや)は烹飪(かうじん)する所なり今云 料理所(れうりどころ)なり又/庖厨(はうちう)といふ略(りやく) してくりともいふ補【四角枠の中に「補」】俗(ぞく)に名付て 台所(たいどころ)といふなり ○窖(あなぐら)は地蔵(じざう)なり丸(まるき)を竇(とう)と云 方(けた)なるを窖(かう)といふともにあな ぐらなり地(ぢ)をほりて穴をこし らへ家財(かざい)を入/置(をく)所(ところ)なり ○寺(てら)はもと官人(くはんにん)の居(ゐ)る所(ところ)の 名なり天竺(てんぢく)より仏経(ぶつきやう)を白(はく) 馬(ば)におほせて鴻臚寺(こうろじ)といふ 官人(くはんにん)の居(ゐる)所へ来りしより仏氏(ぶつし) の居所(ゐどころ)の名(な)とす 【右頁下段】 塔(たう)《割書: |あら| らぎ》 寺(じ) 《割書: てら》 亭(てい)《割書:あば| らや》 【左頁上段】 ○塔(たう)はもろこしの長安(ちやうあん)に慈(じ) 恩寺(をんじ)といふ寺あり塔(とう)あり鴈(がん) 塔(とう)といふ進士(しんじ)名(な)をその下に 題(たい)す塔婆(とうば) 浮図(ふと)同じ ○亭(あばらや)は道路(だうろ)の舎(やどる)所(ところ)なり亦(また) 行旅(かうりよ)宿会(しゆくくはい)の館(やどる)【舘】所(ところ)なり ともいへり俗(ぞく)にひとやどりまた はたごやなり高(たか)くた立(たて)たる楼(ろう) をも亭(ちん)といふ ○屋(をく)は舎(しや)なり大屋(たいをく)を厦屋(かをく)と いふ又まやともいふ家(いゑ)の真中(まんなか)を 母屋(もや)といふ四方面(しはうめん)の家(いへ)を四阿(あづま) 屋(や)といふ俗(ぞく)に屋(や)をやねといふ ○廬(いほり)は田(た)の中の屋(いゑ)なり稲(いね)など かり入る所なり草(くさ)にてやね をふきたる屋(いゑ)をいふ菴(いほ)同 かりほの廬(いほ)のといふに廬(いほ)の字(じ) 【左頁下段】 廬(ろ) 《割書: いほ|   り》 屋(をく)《割書: |や》 厠(し) 《割書: かはや》 【上欄書入れ】49     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十 【右頁上段】 を書(かき)たり ○厠(し)は圊(せい)なり溷(こん)なり俗これ を雪隠(せつちん)といふ古は清(せい)といふ不(ふ) 潔(けつ)を清(きよめ)除(のぞく)をもつての名なり 釈名(しやくめう)に雑(ざう)なり人そのうへに 雑厠(ざうし)するなり ○坊(まち)は邑里(ゆうり)の名ちまたなり 町(まち)なり京(きやう)二/条通(でうとをり)を銅駝坊(どうたばう)と いふがことし又は別屋(べつをく)を坊(はう)と いふ僧坊寺坊(そうはうじばう)などなり ○店(いちくら)は物(もの)をひさく所なりたな なり茶店(さてん)酒店(しゆてん)などいふなり 店屋物(てんやもの)などゝもいふ肆(し)㕓(てん) 舗(ほ)同し心(こゝろ)なり ○槅子(かうし)は格子(かうし)とも書(かく)なり組(くみ) 入槅子(いれかうし)狐槅子(きつねかうし)釣槅子(つりかうし)台槅(だいかう) 子なとあり禁裏(きんり)又は寺社(ししや)など 【右頁下段】 坊(ばう)《割書: |まち》 槅子(かうし) 店(てん)《割書: |いち| ぐら》 倉(さう)《割書:く| ら》 【左頁上段】 にあるは狐槅子(きつねかうし)なり ○倉(くら)は五/穀(こく)を入(いる)るを倉(さう)といふ 米を入るを廩(りん)といふ財宝(ざいほう)を いるゝを蔵(さう)といふ書物(しよもつ)を入るを 庫(こ)といふ土庫(とこ)はぬりごめなり 府(ふ)もくらなり ○斎(さい)は潔(けつ)なり心(こゝろ)を洗(あらふ)を斎(さい)と いふ学問所(がくもんじよ)をいふ又/燕居(ゑんきよ)の室(しつ) なり学問(がくもん)をする人/斎号(さいがう)を 付(つく)ことは我(わが)学問所(がくもんじよ)の号(な)をつく なり ○廡(ひさし)は堂下(たうか)の周廊(しうらう)なり大屋(たいをく) の四辺の重(かさなる)檐(のき)なり ○窓(まど)は釈名(しやくめう)に窓(さう)は聡(さう)なり 内(うち)より外(ほか)をうかゞひてもつて 聡(みゝとき)をなすの義なり牕(さう)牗(よう)並 に同し紙窓(しさう) 紗窓(しやさう) 【左頁下段】 齋(さい) 廡(ふ) 《割書:ひさし》 窻(さう)《割書: |まど》 瓦(ぐは)《割書: |かは|ら》 蟆股《割書:かへる|また》 戸(こ) 《割書:と》 【上欄書入れ】50     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十一     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十一 ○戸(と)は一/枚(まい)とびらの門(もん)を戸(と) といふ又/内(うち)を戸(と)といひ外(ほか)を門 といふともいへり民家(みんか)ならび つらなるを編戸(へんこ)といふ ○瓦(かわら)は唐(もろこし)夏(か)の昆吾(こんご)といふ人つ くり始(はしめ)しなりめがわらを瓪(はん)といふ おかわらを𤭆(とう)【瓦+同】といふ又/魏(ぎ)の文帝(ぶんてい) 瓦(かわら)をちて鴛鴦(をしとり)となると夢(ゆめ) 見給ふといふ故事(こじ)ありよつて 鴛鴦瓦(ゑんおうぐは)といふ ○蟇股(かへるまた)は榑風(はふ)の下にあり蟇(かへる) の股(また)に似(に)たればなり蟇(かへる)は水中(すいちう)に 住(すむ)ものなれば火災(くはさい)をさくる為(ため) なり鴨居(かもゐ)といふも同(おなじ)意(こゝろ)也 ○臥房(ぐはぼう)は寝室(しんしつ)ともいふ又/閨(けい) 房(ぼう)ともいふ天子(てんし)の御寝所(きよしんじよ)を 夜殿(よんのおとゞ)といふ 【右頁下段】 楗(けん)《割書:くわんのき》 扃(けい)《割書:とざし》 卧(ぐは) 房(ばう) 《割書:ねや》 鋪首(ほしゆ) 壁(へき)《割書:かべ》 【左頁上段】 ○楗(くわんのき)は限(かきる)門(もんを)木(き)【門を限る木】なり今いふくは んの木(き)なり𢩠(せん)【戶+睘】閂(せん)並に同 ○扃(とざし)は外(ほか)より閉(とづ)る関(くはん)なり又 門(もんの)扉(とびら)のうへの鐶(くはん)鈕なり又/関(くはん) 戸(こ)の木(き)なりくはんの木(き)又は鎖(じやう)也 ○鋪首(ほしゆ)は今/按(あん)ずるに門(もん)又は 襖(ふすま)障子(しやうじ)などのひきて鐶(くはん)なり 鈕(ちう)はつほなり ○壁(かべ)は城(しろ)のかべを壘(るい)といふしらかへ を粉壁(ふんへき)といふ又/画壁(ぐはへき)板壁(はんへき)など あり室(しつ)の屏(へい)蔽(へい)なり ○廳(まんところ)は政(まつりこと)をきく所なり検非(けび) 違使(ゐし)のゐる所なり公事(くじ)訴訟(そしやう) をとりさばきする所をいふなり 庁(ちやう)同 ○厩(むまや)は馬舎(ばしや)なり猿(さる)の異名(ゐみやう)を 馬(ば)父といふによつて厩(むまや)に猿(さる) 【左頁下段】 廳(ちやう) 《割書:まん| どころ》 《割書:ひと| や》 牢(らう)獄(ごく) 厩(きう)《割書: |むまや》 柵(さく) 《割書:し|がら| み》 【上欄書入れ】51     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十二     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十二 【右頁上段】 をもつて祈祷(きとう)とするとぞまた 厩(むまや)の上に馬をつなく木を猿(さる) 木(き)といふ ○牢獄(たうごく)は罪人(つみびと)を囚ところなり 皐陶(かうよう)といふ人つくりはじめ給ふ なり周(しう)の代(よ)には囹圄(れいぎよ)といふ今 籠(ろう)と書(かく)はあやまりなり ○柵(しからみ)は木(き)をあみて是(これ)をつくる軍(ぐん) 陣(ぢん)にて人馬(じんば)をふせぐものなり 笧(さく)同し俗(ぞく)に駒(こま)よせとも馬(むま)ふ せぎともいふ ○閨(ねや)は婦人のねやなり東坡(とうば) が月(つき)の夜(よ)故郷(こきやう)の妻(め)をおもふの 詩(し)にも閨中(けいちう)唯(たゝ)独(ひとり)看(みるらん)と作(つく)れり ○浴室(ゆどの)は沐浴(ぼくよく)して身(み)をきよむ る所なり俗(ぞく)に湯殿(ゆどの)といふ禅(ぜん) 寺(でら)には風呂屋(ふろや)を浴室(よくしつ)と額(がく)す 【右頁下段】 閨(けい) 《割書:ねや》 籬(り)《割書:ませ| がき》 浴室(よくしつ) 《割書:ゆどの》 樞 《割書:く|るゝ》 【左頁上段】 ○籬(まがき)はませともいふ竹(たけ)にてあ みたるかきなり藩芭(はんは)ともに同 陶淵明(とうえんめい)が詩(し)に 採_二 ̄テ菊 ̄ヲ東- 籬 ̄ノ下_一 ̄ニ悠-然 ̄トシテ対 ̄ス南山_一 ̄ニ ○枢(すう)はくるゝなり言行(げんかう)は君子(くんし) の枢機(すうき)なりといへり又/北極(ほくきよく)は 天(てん)の枢(すう)なりともいへり門枢(もんすう)戸(こ) 枢(すう)扉枢(ひすう)などいふ ○駅(むまやど)は道中(どうちう)のはたごや馬(むま)つ ぎをいふ駅館(えきくはん)とも又/駅舎(ゑきしや) とも駅伝(ゑきでん)ともいふ ○護摩堂(ごまたう)は護摩(ごま)は梵語(ぼんご) なり焚焼(くんしやう)【ふんしやうヵ】と翻訳(ほんやく)すしか れば護摩(ごま)たくといふは重言(ぢうごん) なり護摩(ごま)を修(しゆ)する護摩(ごま) するなとゝいふべしとぞ ○台(うてな)は四/方(はう)にしてたかきものを 【左頁下段】 驛(ゑき) 《割書:むま| やど》 護(ご) 摩(ま) 堂(だう) 【上欄書入れ】52     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十三     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十三 【右頁上段】 台(たい)といふ台上(たいしやう)に屋(をく)を架(か)する を台門(たいもん)といふ又/楼台(らうたい) 舞(ぶ) 台(たい)歌台(かたい)うてな ○櫓(やぐら)はやぐらなり城上(じやうじやう)の望(ばう) 楼(ろう)なり狭間(さま)をあけて歒(てき)の 多少(たしやう)をうかゞひのぞみ弓(ゆみ)鉄(てつ) 炮(はう)をいだす所なり又/戦棚(せんはう)と もいふなり ○桟敷(さんじき)は見物(けんぶつ)の棚(たな)なり桟(さん) 敷(じき)はうつ又はかけるなどゝいふ べからず桟敷(さんじき)かまゆるといふ べしとぞ ○蹴鞠坪(しうきくのつぼ)といふは鞠蹴場(まりけば)也 四/本(ほん)がゝりとて四/隅(すみ)に松竹 桜(さくら)楓(かへで)をうゆるなり鞠(まり)はもろ こし蚩尤(しゆう)がかうべをかたどり てける事なり 【右頁下段】 臺(たい) 《割書: うてな》 桟(さん) 敷(じき) 櫓(ろ)《割書:やぐ|  ら》 蹴(しう) 鞠(きくの) 坪(つぼ) 【左頁上段】 ○輪蔵(りんざう)は一切経(いつさいきやう)を入/置(をく)蔵(くら)也 転(まわる)やうにこしらへたるによつて 輪蔵(りんざう)とも転蔵(てんざう)とも経蔵(きやうざう)と もいふ一/度(と)転蔵(てんざう)をまわせば一 切経(さいきやう)を転読(てんどく)したる道理(だうり)なり 前(まへ)に居(ゐ)るは傅大士(ふだいし)といふ人なり 仏(ぶつ)在世(ざいせ)一/切経(さいきやう)を守護(しゆご)せし人也 ○護朽(こきう)は今いふ擬宝珠(ぎぼうし)なり 橋(はし)又は高欄(かうらん)にあり ○枅(ひぢき)は臂木(ひぢき)と俗(ぞく)に書(かく)雲(くも)がた をほり付(つく)るゆへに雲臂木(くもひぢき)と云 曲(まかれる)枅(ひぢき)を栱(けう)とも欒(らん)ともいふ枓(ますがた) をのする木なり ○枓(ますがた)は柱(はしら)の上の四/角(かく)なる栱(ます) 斗なり方枓(はうと) 栱枓(けうと) 枡枓(せうと) ともいふ又は欂櫨(はくろ)ともいふ ○桁(けた)は屋(いゑ)の横木(よこぎ)なり又足がせ 【左頁下段】 輪(りん) 蔵(ざう) 護(ご) 𣏓(きう)【木+亐】 【上欄書入れ】53     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十四     【柱】頭書増補訓蒙図彙三         二十四 【右頁上段】 頸(くび)かせを桁(かう)といふ事もあり 又/衣類(いるい)をかくるを衣桁(いかう)といふ 翡翠(ひすい)鳴(なく)_二衣桁(いかうに)_一と杜子美(としみ)が詩(し)に つくれり ○榱(たるき)は椽(たるき)なりもろこし秦(しん)の 世(よ)には椽(えん)といふ周(しう)の世には榱(さい)と いふ齊(せい)の世(よ)にはこれを桷(かく)といふ ○藻井(さうせい)は天井(てんじやう)なり藻(も)をゑかく によつて藻井(さうせい)といふ藻(さう)といひ 井(せい)といふみな火災(くはさい)をさくるこゝろ なり天井(てんじやう)と書(かく)も此(この)意(こゝろ)なり みな水(みづ)の縁(ゑん)をとる ○窯(かはらかま)は瓦竈(ぐはそう)なりかはらやくかま なり窰(よう)同このかまのうちにかは らを入/柴(しば)にてふすべやくなり 炭(すみ)やくかまも此たぐひなり 【右頁下段】 榱(すい)《割書:はへ| き》 《割書:たるき》 枅(けい)《割書: |ひぢき》 桁(かう)《割書:けた》 枓(と)《割書:ます| かた》 藻井(さうせい) 窯(よう) 《割書: かはら|   がま》 【左頁】 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻(くはん)之(の)四    人物(じんぶつ) 《割書:此部(このぶ)には士農工商(しのうこうしやう)そのほか異朝(ゐてう)の国(こく)|俗(ぞく)をすべて一さいの人類(じんるい)をあつむるなり》 【左頁上段】 ○公(こう)は三公(さんこう)なり 太政大臣(だいじやうだいじん) 左大臣(さだいじん) 右大臣(うだいじん)を三公(さんこう)といふ 内大臣(ないだいじん)ともに公(こう)なり 唐名(からな)は大師(だいし) 大傅(だいふ)大(たい) 保(ほ)といふ補【四角枠の中に「補」】図(づ)する処(ところ)は 束帯(そくたい)の図(づ)なり束(そく) 帯(たい)には帯剣(たいけん)なり是(これ) 公卿(くぎやう)ともに式礼(しきれい)の 服(ふく)なりくつも靴(くわのくつ)を めさるゝなり 【左頁下段】 公(こう)《割書:きみ》 【上欄書入れ】Fasc.3  3  54     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         一 【右頁上段】 ○卿(けい)は公卿(くぎやう)なり 大納言(たいなごん)中納言(ちうなごん)三(さん) 位(み)以上(いじやう)を公卿(くきやう)と云 又/月卿(げつけい)ともいふ 天子に付(つき)そひ給ふ 故(ゆへ)の名也補【四角枠の中に「補」】三位/以(い) 下(げ)を殿上人(てんしやうびと)といふ 図(つ)する処(ところ)は衣冠(いくわん) のていなり是(これ)常(つね) の服(ふく)にて裾(きよ)なく 下はさし貫(ぬき)なり 束帯(そくたい)はさしこ【指袴】なり 装束(しやうぞく)の色(いろ)は四/位(ゐ)以 上は黒(くろ)五/位(ゐ)は赤(あか)六 位は青色(あをいろ)なり 【右頁下段】 卿(けい)《割書: | |きみ》 【左頁上段】 ○士(し)は《割書:補》さふらひ也  学問(がくもん)して 位(くらゐ)にあるを  学士(がくし)といふ《割書:補》又   文官(ぶんぐわん)とも いふなり剣(けん)を  帯(たい)し甲冑(かつちう)を   着(ちやく)するを 武士(ぶし)といひ《割書:補》これ  を武官(ぶくわん)と称(しやう)ず 四民(しみん)といふは  士(さふらひ)農人(のうにん)工(しよくにん)   商人(あきひと)なり  すべては万民(ばんみん)とは    いふなり 【左頁下段】 士(し) 《割書:さふ| らい》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH NATIONALE  【上欄書入れ】55     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         二 【右頁上段】 ○女(をんな)はいまだ   嫁(よめいり)せさるを    女(ぢよ)といひ すでに嫁(よめいり)  したるを婦(ふ) といふ嫁(よめいり)しても  父母(ふぼ)よんで    女(むすめ)といふ ○婆(ば)は嫗(あう)媼(おう)   ならひに同じ とりあけうばは   穏婆(をんば)    とも  早婆(さうは)とも   いふなり 【右頁下段】 婆(ば)《割書: | |うば》 女(ぢよ)《割書:をんな|むすめ》 【左頁上段】 ○嬰(ゑい)は人(ひと)始(はじめ)てむまる るを嬰児(ゑいじ)といふ胸(むね)の 前(まへ)を嬰といふこれを 嬰前(ゑいぜん)にかゝへて乳養(にうよう) す故(ゆへ)に嬰といふ又女を 嬰(ゑい)と云/男(おとこ)を児(じ)と云 ○童(どう)は男(おとこ)十五/以下(いか)を 童子(どうじ)といふ童(とう)は獨(どく) なり言(いふこゝろ)はいまだ室家(しつか) あらざるなり鬣子(うないこ)【𩮓子】 総角(あげまき)みな童子(どうじ)の 事なり ○翁(おう)は長老(ちやうらう)の称(しやう)也 又人の父(ちゝ)を称(しやう)じて 翁(おう)といふ叟(そう)【左ルビ「おきな」】同 【左頁下段】 童(どう)《割書:わら|  はべ》 嬰(ゑい)《割書:みどり|   こ》 翁(おう)《割書: |おきな》 【上欄書入れ】56       【柱】頭書増補訓蒙図彙四         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         三 ○兵(へい)は武具(ぶぐ)の   惣名(さうみやう)なり 今(いま)甲冑(かつちう)を  帯(たい)する武士(ぶし)   を兵(へい)といひ ならはせり  戎(つはもの)同し 《割書:補》 頭(かしら)たる者(もの)を   将(しやう)といひ従者(じうしや)    を士卒(しそつ)と  いふ又軍士(ぐんし)   軍兵(ぐんべう)など    いふなり 軍勢(ぐんぜい)は士卒(しそつ)の  惣名(さうみやう)なり 【右頁下段】 兵(へい)《割書: | |つはも|   の》 【左頁上段】 ○農(のう)は厲山氏(れいさんし)子(こ)   あり農(のう)と     名(な)づく 百穀(ひやくこく)をうゆる  事(こと)を能(よく)す   よつて物(もの)を 作(つく)るものを農人(のうにん)  といふ又/神農(しんのう)    五穀(ごこく)を植(うゆ) る事をおしへ  たまふよつて   農(のう)と名(な)  づくるとも   いふなり 【左頁下段】 農(のう) 《割書:もの| つくり》 【上欄書入れ】57      【柱】頭書増補訓蒙図彙四         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         四 ○工(こう)は百工(ひやくこう)とて    もろ〳〵の     細工人(さいくにん)  の惣名(さうみやう)なり   工匠(こうしやう)ともいふ   木工(もくこう)は大工(だいく)なり    漆工(しつこう)は     塗師(ぬし)也 《割書:補》 其外(そのほか)指物(さしもの)  桧物(ひもの)ざいく 絹布(けんふ)織物(をりもの)るい  金物(かなもの)ざいく すべて工(こう)といふ  是(これ)を職人(しよくにん)と     もいふ也 【右頁下段】 工(こう)《割書:たくみ| だいく》 【左頁上段】 ○商(しやう)はひさき人(びと)   又あきびと也 居(ゐ)ながら売(うる)を  賈(こ)といひもち    ゆきて うるを商(しやう)といふ  商(しやう)と書(かく)べし   啇(しやう)とかくは あやまりなり  《割書: |補》商(しやう)賈(こ)通用(つうよう)す     ともにあき 人の事なり  販(ひさく)といふは    売(うる)事     なり 【左頁下段】 賈(こ)《割書: |あき| びと》 商(しやう) 《割書:あき| びと》 【上欄書入れ】58      【柱】頭書増補訓蒙図彙四         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         五 ○医(い)は病(やまひ)を治(ぢ)   するには酒(さけ)を もつて薬(くすり)を製(せい)  すよつて酉(ゆふ)の字(じ) に書(かく)と有/和朝(わてう)  いにしへは和気(わけ) 丹気(たんけ)といふ医家(いけ)  あり俗人(ぞくじん)なり ○卜(ぼく)は卜筮(ぼくせい)なり  卜(ぼく)は赴(ふ)なり来(らい) 者(しや)の心(こゝろ)を赴(むかふる)なり  亀(かめ)を灼(やい)てうら なふを卜灼(ぼくしやく)といふ  又/蓍(めど)をとりて    うらなふ 【右頁下段】 醫(い)《割書: | |くすし》 卜(ぼく)《割書: | |うら|  なひ》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH ・ NATIONALE 【左頁上段】 ○膳夫(ぜんぶ)は腹部(かしはて)【膳部ヵ】   ともいふなり     今いふ 料理人(れうりにん)なり  包丁(はうてう)といふ人     能(よく)牛(うし)を 解(とく)事(こと)を得(え)たり  今その名(な)を    かつて 刃物(はもの)の名(な)とす  又/膳夫(ぜんぶ)の名(な)    として   包丁人(はうてうにん)とは     いふ      なり 【左頁下段】 膳夫(せんふ)《割書:かしはで》 【上欄書入れ】59     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         六     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         六 【右頁上段】 ○画工(ぐわこう)は絵師(ゑし) なり《割書:補》唐(もろこし)には名(めい) 画(ぐわ)あまたありて かぞふるにいとま あらず日本(ひのもと)にて は巨勢(こせ)の金岡(かなおか) 古法眼元信(こほうけんもとのぶ)又 雪舟(せつしう)などむかし の名画(めいぐわ)なり中(ちう) 古(こ)は永徳(えいとく)探幽(たんゆう) 等(とう)その外(ほか)あまた あれどもこれを 略(りやく)す土佐家(とさけ)は 禁裏(きんり)の御/絵所(ゑどころ) なり 【右頁下段】 画(ぐわ)  工(こう) 《割書: ゑし》 【左頁上段】 ○祝(しく)は祭(まつる)に賛(さん)  詞(し)をつかさどる 者(もの)なりとあり  神前(しんぜん)にてのつ とをあぐる神主(かんぬし)  なり《割書:補》又/神職(しんしよく) ともいふあるひは  祢宜(ねぎ)ともいふ ○巫(ふ)は女(をんな)の神(かみ)に  つかゆるもの也 巫(ふ)は神(かん)をよろこば  しむるものなり ともあり《割書:補》按(あん)する  に神楽(かぐら)みこ   なるへ      し 【左頁下段】 祝(しく)《割書:かんぬ|   し》 《割書: はふ|  り》 巫(ふ)《割書:かん| なぎ》 《割書: み|  こ》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】60     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         七     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         七 【右頁上段】 ○僧(そう)は浮図(ふと)の 教(をしへ)にしたがふ者(もの) なり沙弥(しやみ)沙(しや) 門(もん)委門(さうもん)比丘(びく)苾(ひつ) 芻(すう)ともいふなり 又/僧正(そうじやう)僧都(そうづ)上(しやう) 人(にん)和尚(おしやう)長老(ちやうらう)など は《割書:補》僧官(そうぐわん)なり国師(こくし) 大師(だいし)号(がう)あり ○尼(じ)は女僧(ぢよそう)なり 比丘尼(びくに)なり仏(ほとけ)の 四/部(ぶ)の弟子(でし)なり 尼姑(じこ)ともいふ《割書:補》 尤(もつとも)宗門(しうもん)によりて 僧官(そうぐわん)異(こと)なり 【右頁下段】 尼(に)《割書:あま》 僧(そう)《割書:よすて|  ひと》 【左頁上段】 ○鍛(たん)は磨(ま)なり    推錬(すいれん)なり 金(かね)を治(ぢ)する  にて鉄(てつ)を   鍛ものなり 鍛冶(たんや)といふべし  鍛治(かぢ)と字(じ) 似(に)たるかゆへ  にむかしより あやまり  きたりて 鍛治(かぢ)とはとな  ふるなり   といへり 【左頁下段】 鍛(たん) 《割書:かぢ| や》 【上欄書入れ】61     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         八     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         八 【右頁上段】 ○陶家(たうか)は土(つち)にて 茶碗(ちやわん)鉢(はち)皿(さら)などを つくるものをいふ陶(たう) 冶(や)ともいふ《割書:補》瓦工(ぐはこう)は瓦(かはら) さいくしなり舜(しゆん) 河濱(かひん)にすへものつ くりすといへりしか れば此さいくは舜(しゆん)を はじめとするか ○冶(や)は鋳匠(たうしやう)とも 炉匠(ろしやう)ともいふ《割書:補》鍋(なべ)釜(かま) 火鉢(ひばち)其外(そのほか)金(かな)どう 具(く)をゐるものなり 唐(もろこし)の蚩尤(しゆう)といひし ものつくりはしめし とかや 【右頁下段】 陶家(たうか) 《割書: すへもの|   つくり》 冶(や)《割書: |ゐもの|   し》 【左頁上段】 ○鬼(き)は人(ひと)死(し)して 肉(にく)骨(こつ)は土(つち)に帰(き)【皈】し 血(ち)は水(みづ)に帰(き)【皈】し魂(こん) 気(き)は天(てん)に帰(き)【皈】すそ の陰気(いんき)せまり 存(そん)して依(よる)ところ なしかるがゆへに 鬼(き)となる ○仙(せん)は遷(せん)なり飛(ひ) 行(ぎやう)してこの山(やま)より かしこの山へうつ るゆへに仙人(せんにん)と名(な) づく《割書:補》唐(もろこし)にはあまた 有/和朝(わてう)にも久米(くめ) の仙人(せんにん)とて有 【左頁下段】 鬼(き)《割書:おに》 仙(せん)《割書:やま|  びと》 【上欄書入れ】62     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         九     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         九 【右頁上段】 ○仏(ぶつ)《割書:補》は西方(さいはう)の  聖人(せいじん)なり 如来(によらい)ともいふ  仏(ほとけ)は人に弗(あらず) とよむ凡人(ほんにん)に  あらざれば      なり ○薩(さつ)は菩薩(ぼさつ)  なり菩(ぼ)はあま ねく薩(さつ)はすくふ  とよむあまね く衆生(しゆじやう)を  すくふといふ   こゝろなり 【右頁下段】 薩(さつ)《割書:ぼさつ》 仏(ぶつ)《割書:ほとけ》 【左頁上段】 ○楽(がく)は八/音(をん)を   ならして 奏(そう)するなり 《割書:補》楽人(がくにん)といふ 黄帝(くわうてい)のとき  伶倫(れいりん)といふ者(もの) 楽(がく)をよくす  よつて楽人(がくにん) を伶人(れいじん)といふ 《割書:補》楽(がく)を管絃(くわんげん) ともいふ日本(ひのもと)の  楽(がく)を神楽(かぐら) といふかぐら男(お)  などいふもの      あり 【左頁下段】 楽官(がくくわん) 《割書: がく|   にん》 伶(れい)  人(じん) 《割書: まひ|   びと》 【上欄書入れ】63     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十 【右頁上段】  俳優(はいゆう)《割書:わさ| をき》 ○俳優(はいゆう)は雑戯(ざうけ)  なりとあり しかれば今(いま)いふ   狂言師(きやうげんし)の  たぐひ   なるべし 猿楽(さるがく)の類(るい)  とはすこし   違(ちが)ひある     べし 素盞烏(そさの)の   みことより  はじまると     いへり 【右頁下段】 俳優(はいゆう)《割書:わざおき》 【左頁上段】 ○染匠(せんしやう)はべにや 紺屋(こんや)茶染屋(ちやそめや)な どのるいなり ○蚕婦(さんふ)は蚕(かいこ)をか   ひてわたを とる女(をんな)なりむかし  親(おや)に孝行(かう〳〵)なる 女(をんな)死(し)して   蚕(かいこ)といふ むしとなり  庭(には)の桑(くわ)の木(き)に きたり綿(わた)を  はきて親(おや)を やしなひけるより  はじまれり 【左頁下段】 染匠(せんしやう) 《割書:そめどの》 蠶婦(さんふ)《割書:こがひ》 【上欄書入れ】64     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十一     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十一 【右頁上段】  機女(きぢよ)《割書:はた| をり》 ○機女(きぢよ)はもろこし  より呉服(くれは)   綾織(あやは)と いへる二人の   女きたりて をりはじめ 《割書:補》これよりくは    しくなり しとかや上機(かみはた)は  万(よろづ)の織物(をりもの)を をる下機(しもはた)は  布(ぬの)木綿(もめん)   などをる      なり 【右頁下段】 機女(きぢよ)《割書:はたをり》 【左頁上段】 ○矢人(しじん)は矢作(やはぎ)なり 矢(や)は唐(もろこし)にては牟夷(ぼうゐ)と いふ人/作(つく)り始(はじ)む又/浮(ふ) 遊(ゆう)と云人/始(はじむ)ともいへり 和朝(わてう)は神代(かみよ)に始(はじま)る ○弓人(きうじん)は弓削師(ゆげし)也 弓(ゆみ)は庖犧氏(はうぎし)より始(はじまる) 又/黄帝(くわうてい)尭(げう)舜(しゆん)より 始(はじまる)とも又/黄帝(くわうてい)の臣(しん) 揮(き)と云人/始(はじむ)ともいふ 日本にては神代(かみよ)に始(はじまる) ○函人(かんじん)は鎧(よろひ)ざいく也 鎧(よろひ)は蚩尤(しゆう)始(はじめ)て作(つく)る 又/黄帝(くわうてい)の時/玄女(げんぢよ) 始(はしめ)て作(つく)るともいふ 日本は神代(かみよ)に始(はしま)る 【左頁下段】 矢人(しじん)《割書:やはぎ》 弓人(きうじん)《割書:ゆげし》 凾人(かんじん)《割書:よろひ| ざいく》 【上欄書入れ】65     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十二     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十二 【右頁上段】 ○硯(すゞり)は黄帝(くわうてい)玉(たま)を 以(もつ)て始(はじめ)て造(つくり)給ふ と有/硯(すゞり)を墨池(ぼくち)と云 ○銀匠(ぎんしやう)は白(しろ)かねざいく をいふ刀(かたな)のかざり目(め) 貫(ぬき)又/鍼(はり)等(とう)のさいく 人なり ○玉人(きうじん)は玉(たま)を琢磨(たくま) するものなり山よ り出(いづ)るたまを玉(きよく)と云 海(うみ)より出(いづ)るを珠(じゆ)と云 ○櫛(くし)は伊弉諾尊(いざなぎのみこと) の御ときつくりは じめたり是(これ)を楊(ゆ) 津(づ)の爪櫛(つまぐし)と     いへり 【右頁下段】 櫛引(くしひき) 硯工(けんこう) 《割書: すゞり|   きり》 銀匠(ぎんしやう) 《割書: しろかね|    ざいく》 玉(きう)  人(じん) 《割書:たま| ざい|   く》 【左頁上段】 ○烏帽子折(ゑぼうしをり)は京(きやう) 都(と)室町(むろまち)三/条(でう)に あり烏帽子(ゑぼうし)は立(たて) 烏帽子(ゑほうし)是は高位(かうゐ) の着(ちやく)し給ふ物なり 風折(かざをり)梨打(なしうち)左折(ひたりをり) 右折(みきをり)小結(こゆひ)荒目(あらめ) 等(とう)なり ○褙匠(はいしやう)は今いふ   表具師(へうくし)の     事なり 表補(へうほ)とも表褙(へうはい)  ともいふ表(へう)   紙(し)も同      じ 【左頁下段】 烏帽子折(ゑぼうしをり) 褙匠(はいしやう) 《割書: ひやうぐ|     し》 【上欄書入れ】66     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十三     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十三 【右頁上段】 ○傘工(さんこう)は雨傘(あまがさ)日(ひ) 傘(がさ)挑灯(ちやうちん)をはる さいく人(にん)なり ○皮匠(ひしやう)は今いふ足(た) 袋屋(びや)などなり 又/切付(きりつけ)屋とて 皮(かは)ざいくする人 をもいふ ○針磨(はりすり)は京(きやう)姉(あねが) 小路(こうぢ)の名物(めいぶつ)なり 今は三/条(でう)寺(てら)町の 辺(へん)に多(おほ)く有み すやといふ者(もの)長崎(ながさき) より針(はり)を取よせ 売弘(うりひろ)めたるより名(な)         付(づく) 【右頁下段】 皮匠(ひしやう) 《割書: かはざいく》 傘(さん)  工(こう) 《割書:かさ| ばり》 針磨(はりすり) 【左頁上段】 ○牙婆(かば)は今いふ すあひなり衣(い) 類(るい)をきもいりて うりかいするもの なり ○筆工(ひつこう)は筆結(ふでゆひ)也 筆(ふで)はもろこしに て蒙恬(もうてん)といふ人 つくりはじめ給ふ ○薦僧(こもぞう)は梵論(ぼろ)と もいふ梵論字(ほんろんじ)漢(かん) 字(し)ともいふ又/暮(ぼ) 露(ろ)とも書(かく)なり尺(しやく) 八(はち)をふき諸国(しよこく)を修(しゆ) 行するなり 【左頁下段】 薦僧(こもぞう) 牙婆(がは) 《割書: す|  あひ》 筆(ひつ)  工(こう) 《割書:  ふで|   ゆひ》 【上欄書入れ】67     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十四     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十四 【右頁上段】 ○石工(せきこう)は石(いし)を切(きり)て 石/垣(かき)石/灯籠(とうろう)いし 橋(ばし)石塔(せきたう)などする ものなり石にて 器(うつはもの)をつくるさいく 人をもいふ石を芋(いも) 茎(じ)をもつて煮(に)れ はやわらかになるとぞ ○圬者(うしや)は今いふ 左官(さくわん)なり圬人(うじん) とも泥工(でいこう)とも泥(でい) 匠(しやう)ともいふなり 圬(う)は杇(う)【𣏓】につくるべし 竈(へつい)その外(ほか)土(つち)ざいく するものも同じ 【右頁下段】 石工(せきこう)《割書: | |いし| きり》 圬者(うしや) 《割書: かべぬり》 【左頁上段】  相撲使(ことりづかひ) ○相撲(すもふ)は乃見(のみの)   宿祢(すくね)と    橛速(くゑはや)【蹶速ヵ蹴速ヵ】と いふもの二人  取(とり)はじめ    たり  角抵(かくてい)と云   膂力(りよりよく)を    争ふ   わざ     なり 【左頁下段】 相撲使(ことりづかひ) 《割書: すもふ|   とり》 【上欄書入れ】68     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十五     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十五 【右頁上段】 ○扇(あふぎ)はもろこし   にては舜(しゆん)と いふみかどつくり  はじめ給ふ 日本(につほん)にては  神功(しんごう)皇后(くわうかう)の とき蝙蝠(かふもり)の羽(はね)  を見てつくり はじめしとなり  京(きやう)にてはみゑい 堂(どう)を賞(しやう)ず ○漆匠(しつしやう)はうるし  ざいくするもの をいふ今は  塗師(ぬし)といふ 【右頁下段】 扇工(せんこう) 《割書:あふ| ぎ|  や》 漆(しつ)  匠(しやう) 《割書:ぬ| し》 【左頁上段】 ○侏儒(しゆじゆ)はかたち短(みじか) き人をいふ今いふ 一寸(いつすん)ぼうしなり短(たん) 人(しん)ともいふ ○駝背(たはい)はせむし也 医書(いしよ)にては亀背(きはい) といふ背(せ)の高(たか)き馬(むま) を橐駝(たくた)といふ駝馬(だば) に似(に)たるゆへせむしの 人を駝背(たはい)といふ也 ○兎唇(としん)は欫唇(けつしん)とも 兎欫(とけつ)ともいふ兎欫(いぐち) は赤子(あかご)のとき上手(じやうず) の外科(げくわ)に切てぬ はすれば成人(せいじん)して みへぬものなり 【左頁下段】 駝背(だはい) 《割書: せむし》 侏儒(しゆじゆ)《割書: |一寸|  ぼうし》 兎唇(としん) 《割書:いくち》 【上欄書入れ】69     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十六     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十六 【右頁上段】 ○蜑(あま)人は海中(かいちう)  に入て蚫(あはび)貝(かい) 昆/布(ぶ)あらめの   たぐひを      とる ものなり   海人(あま)とも書(かく) 女(をんな)の業(わざ)なり   又/塩(しほ)くむ女    もあまと いふいづれ海(かい)   辺(へん)のわざ  なればともに   同じ類(たぐひ)    なるべき       か 【右頁下段】 蜑(あま)  人(しん) 《割書:  あま》 【左頁上段】 ○釣叟(てうさう)はつり   するおきな をいふ太公望(たいこうばう)  厳子陵(けんしれう)が   たぐひなり 《割書:補》日本(ひのもと)にも神代(かみよ)   よりありし    よしなり ○樵夫(せうふ)は薪(たきゞ)を   とるものなり 又は山賤(やまがつ)とも  いふ《割書:補》木(き)つくり    杣人(そまひと)なども 此たぐひのもの  なるべし 【左頁上段】 釣叟(てうさう) 樵夫(せうふ) 《割書: きこり》 【上欄書入れ】70     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十七     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十七 【右頁上段】 ○猟師(れうし)は弓(ゆみ)   鉄炮(てつはう)を以(もつ)て 鳥(とり)獣(けたもの)をとる    ものなり 虙羲氏(ふつきし)の世(よ)に  天下(てんか)に獣(けたもの)多(おほ)く 田畠(でんはた)をそこ  なふ故(ゆへ)に人に 猟(かり)をおしへ給ふ  より始(はじま)りし      とそ 《割書:補》 冬(ふゆ)の猟(かり)に利(り)  ありとす又 海(うみ)河(かは)にて魚(うを)を  とるを魚猟(きよれう)と云 【右頁下段】 猟師(れうし) 《割書: かり|  うど》 【左頁上段】 ○瞽者(こしや)は目(め)なき   ものなり盲(もう)    目(もく)盲人(もうじん)とも いふ論語(ろんご)に冕(へん)  者(しや)と瞽者(こしや)とを   見(み)てはと有 《割書:補》 又/琵琶法師(びわほうし)とも  いひてむかしは びわを弾(たん)じ平家(へいけ)  をかたりし今は琴(こと)   三絃(さんけん)をわさとす  座頭(ざとう)ともいふ尤(もつとも)   検校(けんげう)勾当(こうとう)四分(しぶん)    などゝて位階(ゐかい)        あり 【左頁下段】 瞽者(こしや) 《割書: もう|  もく》 【上欄書入れ】71     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十八     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十八 【右頁上段】 ○販婦(はんふ)はあき   なひをする 女(をんな)をいふ買婆(ばいば)   ともいふなり 《割書:補》 都(みやこ)にはすくなし  鄙(いなか)におほく   あるもの也 ○乞児(きつじ)は乞丐人(こつがいにん)   なり又/乞(こつ)    食(じき)とも      いふ ものもらひ  なり又/非人(ひにん)    ともいふ 人/非(ひ)人/外(ぐわい)の義      なり 【右頁下段】 乞児(きつじ) 《割書:  ものもらひ》 販婦(はんふ)《割書: | |ひさき|    め》 【左頁上段】 ○漁父(ぎよほ)はすな   どりするもの なり燧人氏(すいじんし)の  世(よ)に天下(てんか)に水(みづ) おほし故(ゆへ)に人(ひと)  におしゆるに 漁(すなどり)をもつてす  《割書:補》   今/猟師(れうし)と    いふなり ○舟子(しうし)は今いふ   船頭(せんどう)なり海(うみ) を渡(わた)す舟(ふね)に有  又/篙工(かうこう)とも棹(とう) 子(し)ともいふ但(たゝ)し  川舟(かはふね)にも船頭(せんどう)と         云 【左頁下段】 漁父(きよほ) 《割書: すなどり》 舟(しう) 子(し) 《割書:ふなこ》 【上欄書入れ】72      【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十九     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         十九 【右頁上段】 ○牧童(ぼくどう)は広野(くわうや)   にて牛馬(きうは)    に牧(まき)する  童(はらわ)なり牧童(ほくとり)   遥(はるかに)指(さす)杏花(きやうくはの)    村(そん)と詩(し)に  も作(つく)れり牛飼(うしかひ)   はらわなり必(かならず)     笛(ふへ)を吹(ふく)  よつて牧笛(ぼくてき)と いふ詩(し)に牧童(ぼくどう)寒(かん)   笛(てき)倚(よつて)牛(うしに)吹(ふく)と  いへるも太平(たいへい)      の姿(すかた)       なり 【右頁下段】 牧童(ぼくどう) 《割書: うし|  かひわら|      わ》 【左頁上段】 ○鏡造(かゞみつくり)鏡(かゞみ)と   いふは神代(かみよ)に 天(あま)の糠戸(ぬかど)といふ  神(かみ)天照太神(てんしやうだいしん)   の御影(みかげ)を うつして始(はしめ)て  つくり給ふと也 《割書:補》 鏡(かゞみ)は姿(すかたの)善悪(よしあし)  を見(み)るも心(こゝろ)の    曲直(きよくちよく)を 正(たゞ)し改(あらた)めんが為(ため)  なりとかや 神前(しんぜん)に鏡(かゞみ)を  掛(かゝ)るもこの   いわれなるべし 【左頁下段】 鏡造(かゞみつくり) 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】73      【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿 【右頁上段】 ○娼婦(しやうふ)は倡優(しやうゆう)と て女の楽(かく)を奏(そう)する ものなり娼(しやう)は誤(あやま)り なり倡(しやう)と書(かく)べし 又/倡妓(しやうき)ともいふと有 《割書:補》 是むかしの事にて 今は絶(たへ)てなき也/敢(あへ) て聞及(きゝおよ)ばす中比(なかごろ)白(しら) 拍子(びやうし)といふものあり 今いふ遊女(ゆふぢよ)舞子(まいこ) などの類(たぐひ)ならんか 傾城(けいせい)又/傾国(けいこく)など いふものは別(べつ)なるもの ならんむかしより ありしやうに聞(きゝ)    及びしなり 【右頁下段】 娼婦(しやうふ) 《割書:   うかれめ》 遊女(ゆうぢよ)《割書: |う| かれめ》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【左頁上段】 又/髹工(きうこう)ともいふ  蒔絵師(まきゑし)と いふも此(この)類(るい)の   ものなり ○渉人(せうじん)は渡(わたし)    守(もり)なり 大河(おほかは)小川(こがは)を  舟(ふね)にてむか ふのきしへわた  すものなり 大河(おほかは)には   所々(しよ〳〵)に舟(ふな)  わたしありて 往来(わうらい)の人の  たすけと   なるなり 【左頁下段】 渉(せう)  人(じん) 《割書:わた|  し| もり》 【上欄書入れ】74      【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿一 【左頁の「髹工ともいふ蒔絵師といふも此類のものなり」は106コマ「漆匠」の乱丁か。】     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿一  ○駕輿丁(かよてう)は   駕輿(かご)かきの     事なり 酒(さけ)を漉酌(こしかい)   藤二【杜氏】を漉酌(ろくしやく)    といふすぐれ て大なる男(おとこ)とも  なり駕(かご)かく男(おとこ)   も漉酌(ろくしやく)といふ ○浪人(らうにん)とは所領(しよれう)に   はなれて流(る)     浪(らう)する 人をいふ牢人(らうにん)と  書(かく)はあやまり     なり 【右頁下段】 駕(か)輿(よ)  丁(てう) 《割書: かごかき|  ろく|   しやく》 【左頁上段】 ○傀儡師(くわいらいし)は   人形(にんぎやう)まはし の事なり  でくゞつと いふ淡路島(あはぢしま)   といふ所より 毎年(まいねん)正月に  きたりしよし 近年(きんねん)絶(たへ)てこの  ものなし又 田楽法師(でんがくほうし)と  いふものありし よし今(いま)はその  名(な)ばかり残(のこ)     れり 【左頁下段】 傀儡師(くわいらいし)《割書:でくゞつ》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】75      【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿二     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿二 【右頁上段】 ○車借(くるまかし)は車(くるま)つかひ の事なり鳥羽(とば)白(しら) 川(かは)にあるよし庭訓(ていきん) にみへたり今はさが 其外(そのほか)所々(しよ〳〵)にある也 天子(てんし)の車(くるま)つかひを 御者(ぎよしや)とも徒御(くるまぞへ)と も舎人(とねり)ともいふ ○問丸(とひまる)は今(いま)いふ問(とひ) 屋の事なり売買(ばい〳〵) の相場(さうば)を毎日(まいにち)問(とひ) あはする宿(やど)なり よつて問(とひ)屋と云 又/道中(だうちう)にて問(とひ)屋 といふは馬(むま)駕輿(かご)を 出す所(ところ)なり 【右頁下段】 くるま   つかひ 問(とひ)  丸(まる) 《割書: とひや》 【左頁上段】 ○馬借(ばしやく)は馬奴(まご) 又は馬口労(ばくらう)とも いふ大津(おほつ)坂本(さかもと)の 馬借(ばしやく)と庭訓(ていきん)に あり今(いま)は馬(むま)さし を馬借(ばしやく)といふ又 馬口労(ばくらう)といふもの 別(べつ)にありて牛馬(ぎうば) の売買(うりかい)のせわを する者(もの)なり ○伯楽(はくらく)は馬(むま)の病(やまひ) をりやうぢする人 を伯楽(はくらく)といふむか しは京(きやう)室町(むろまち)にゐ けるにや室町の 伯楽(はくらく)と庭訓(ていきん)に有 【左頁下段】 馬借(ばしやく) 《割書: むまさし》 《割書:むま| くすし》  伯楽(はくらく) 【上欄書入れ】76     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿三     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿三 ○土器(かはらけ)は京(きやう)   西山(にしやま)嵯峨(さが) 又/北山(きたやま)畑枝(はたゑだ)  下(しも)は深草辺(ふかくさへん) よりつくり出(いだ)   せり庭訓(ていきん) にも嵯峨(さが)  がはらけとあり ○大原(おはら)の黒木女(くろぎめ)は   京/北山(きたやま)大原(おはら) の女(をんな)黒木(くろぎ)をいたゞ  きて京(きやう)に出(いで)て あきなふ事は  むかし平(たいら)の惟盛(これもり) の妻(つま)阿波(あわ)の内侍(ないし)  平家(へいけ)亡(ほろ)びて後(のち) 【右頁下段】 土器(かはらけ)   師(し) 大原(おはらの)  黒木女(くろぎめ) 【左頁上段】 おはらに住(すみ)  て世(よ)わたり のため売(うり)給ひし  より始(はじま)れり そのほか八瀬(やせ)  又は雲(くも)が畑(はた)高(たか) 雄(を)の梅(むめ)が畑(はた)など  同く女(をんな)木柴(きしば) をあきなふなり ○屠者(としや)は牛(うし)馬(むま)の   肉(にく)を屠(ほふり)割(さく)もの なり今いふ   穢多(えた)なり  又/屠児(とじ)とも    いふなり 【左頁下段】 《割書: ゑた》 屠(と)  者(しや) 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】77     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿四     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿四 ○中国(ちうごく)は中華(ちうくは)とも漢(かん) とも唐(とう)どもいふ近(ちか)き比(ころ) まで明(みん)といひしが韃(たつ) 靼(たん)にしたがひ今(いま)は大(たい) 清(しん)といふみやこなり ○朝鮮国(てうせんごく)はむかしは三(さん) 韓(かん)とて三/国(ごく)なり新羅(しんら) 百齊(はくさい)高麗(かうらい)といひしが 今(いま)は一/国(こく)もなる日本(につほん)に したがふなり ○琉球国(りうきうごく)は中山国(ちうざんごく)と名(な) つく日本(につほん)にしたがへり男(おとこ) は羽毛(うもう)をもつて冠(かんふり)とし 珠玉(しゆぎよく)をかざる女(をんな)は白羅(うすもの) をもつて帽(はう)として雑(ざつ) 毛(もう)を衣(ころも)とす 【右頁下段】 中国(ちうごく) 琉球(りうきう) 朝鮮(てうせん) 【左頁上段】 ○天/竺(ちく)は仏(ほとけ)出(いて)し所(ところ)也 また大国(たいこく)の大熱国(だいねつこく) なり国内(こくない)に聖水(せいすい)あ りてよく風濤(ふうたう)をや む商人(あきびと)瑠璃(るり)の壺(つぼ)を もつて水(みづ)をもりたくはふ ○蒙古(もうこ)は韃靼(たつたん)の一種(いつしゆ) なりむかし日本(につほん)へ攻(せめ)来(きた)り 神風(じんふう)に吹(ふき)破(やぶ)られしと なり是(これ)を蒙古国(むくりこく)裏(り)といふなり ○肅慎(しくしん)は女直(ぢよちよく)とも女(じよ) 真(しん)ともいふ国人(くにひと)足(あし)かる くして道(みち)をゆく事 鳥(とり)のとぶかごとしよつ てあしはせと名(な)づく 【左頁下段】 天竺(てんぢく) 蒙古(もうこ) 肅慎(しくしん) 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】78     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿五     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿五 【右頁上段】 ○占城(せんせい)はちやんはん といふ安南(あんなん)に近(ちか) き国(くに)なり大象(だいざう) 多(おほ)し国に鰐(わに)有 公事(くじ)訴訟(そせう)の者(もの) ありて《割書:補》理非(りひ)分明(ふんみやう) なれば鰐(わに)にあたふ 科(とが)あるものは鰐(わに)こ れを食(くらふ)といへり ○安南国(あんなんこく)は交趾(かうち) とも東京(とんきん)とも云 男子(をとこ)は盗(ぬすみ)をこのみ 女は淫(いん)をこのむ女(をんな) をめとるに媒(なかだち)なし みづからあひ合(あふ)国(くに) に肉桂(につけい)おほし《割書:補》他国(たこく) 【右頁下段】 占城(せんせい) 《割書: ちやん|   はん》 【左頁上段】 にいだす此/国(くに)の肉(につ) 桂(けい)を上品(じやうひん)とす ○暹羅(せんら)は国(くに)に海(かい) 浜(ひん)おほし男子(なんし)はい とけなきより陽(やう)を さく甘波邪(かぼちや)とも いふ此国(このくに)の染色(そめいろ)を にせて日本(につほん)にしや むろといふなり ○東番(とうばん)はたかさご 《割書:補》 とも又たいわん国 ともいふ安南(あんなん)にちか きゑびす国(くに)なり 《割書:補》 むかし国性耶(こくせいや)この 国(くに)をきりとり住(ぢう)せ しなり今(いま)唐(とう)に従(したが)ふ 【左頁下段】 安南(あんなん)《割書:かうち》 暹羅(せんら) 《割書:  しやむろ》 東番(とうばん) 《割書:  たかさご》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】79     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿六     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿六 【右頁上段】 ○南蛮(なんばん)は阿媽港(あまかう) 人(じん)なり阿蘭陀(おらんだ)も 此/類(るい)なり《割書:補》すへて 南(みなみ)の島国(しまぐに)をなん ばんといふ其(その)品類(ひんるい) 多(おほ)くありて人物(じんぶつ) 種々(しゆ〴〵)にわかれり 西(にし)のゑびすを西(せい) 戎(じう)といふ是(これ)もその 数(かず)多(おほ)くあり ○東夷(とうゐ)は蝦夷人(ゑぞびと) なり人物(じんぶつ)勇猛(ゆうまう)に して常(つね)に山野(さんや)に 出(いで)て獣(けだもの)を射(ゐ)とり 《割書:補》 又は海中(かいちう)の魚類(きよるい) をとりて食(しよく)とす 【右頁下段】 南蛮(なんばん)《割書:みなみの| ゑびす》 東夷(とうゐ)《割書:ひがしの| ゑびす》 《割書: ゑぞ》 呂宋(りよそう)《割書: |るすん》 【左頁上段】 ○惣(さう)じて中国(ちうこく)より 東(ひがし)にある島国(しまぐに)を 東夷(とうゐ)といひ西(にし)に有 島国(しまぐに)を西戎(せいじう)といひ 南(みなみ)にあるを南蛮(なんばん) といひ北(きた)にあるを 北狄(ほくてき)といふ ○呂宋(りよそう)はるすんと て中国(ちうごく)にちかき 国(くに)なりよく器(うつはもの)を 製(せい)し絹(きぬ)をおり いだす ○長脚(ちやうきやく)は足(あし)ながき 国(くに)なりよくはし る事/獣(けだもの)のごとし 【左頁下段】 長脚(ちやうきやく) 《割書: あし|   なが》 【縦長楕円印 朱】MSS/BIBLIOTH. NATIONALE ・ 【上欄書入れ】80     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿七     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿七 ○長臂国(ちやうひごく)は 東海(とうかい)の  しまぐになり 国人(くにびと)手(て)ながく  して地(ち)にたる 布衣(ふい)をきる  長(たけ)一/丈(じやう)三尺八寸 又/臂(ひぢ)なき  くにもあり  無臂国(むひごく)といふ 又/臂(ひぢ)ひとつ   ある国(くに)も  あり一臂国(いつひこく)    といふ      なり 【右頁下段】 長(ちやう) 臂(ひ) 国(ごく) 《割書: てなが|   じま》 【左頁上段】 ○崑崙(こんろん)は西南(せいなん) の海中(かいちう)の島国(しまぐに)也 その人物(しんぶつ)色(いろ)くろ きこと黒漆(こくしつ)のご とし海底(かいてい)に入(いり)て 自由(じゆう)をなすまた よく高(たか)きにのぼる ことを得(え)たりと よつて異国(ゐこく)の渡(と) 海(かい)の船(ふね)にはかならず 此(この)崑崙(くろんぼう)をした がへりといふ世(よ)に色(いろ) 黒(くろ)きものを崑崙(くろん) 坊(ぼう)といふなり 【左頁下段】 崑(こん)崙(ろん) 《割書: くろ|  ぼ|   う》 【上欄書入れ】81     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿八     【柱】頭書増補訓蒙図彙四         廿八 【右頁上段】 ○小人(しやうじんごく)此(この)国(くに)東(とう) 方(ばう)にあり身(み)の長(たけ) 九/寸(すん)又は一/尺(しやく)五/寸(すん)と もいふ此(この)国(くに)に鶴(つる)に 似(に)たる鳥(とり)ありて小(しやう) 人(じん)をとりくらふこれを おそれてひとり行(ゆく) ことなしあまたつれ たちゆくといへり ○長人国(ちやうしんごく)はむかし明(みん) 州(じう)の人(ひと)難風(なんふう)に船(ふね)を 吹(ふき)ながされてある 島(しま)にいたる人(ひと)の長(たけ) 一/丈(じやう)余(よ)なりよく水(みづ) をおよぐとなり 【右頁下段】 長人(ちやうじん)  国(ごく) 《割書: せたかじまと|      いふ》 小人(しやうじんごく) 《割書: こびとじまと|     いふ》 【左頁】 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻(くはん)之五    身体(しんたい)【體】《割書:此部(このぶ)には耳目(みみめ)鼻口(はなくち)毛髪(けかみ)頭足(かうへあし)のたぐひ|すへて人(ひと)の身(み)のうへの事あるなり》 【左頁上段】 ○頭(づ)頂(いたゞき)顖(おどりこ)蟀谷(こめかみ)【蜶谷】額(ひたい)頬(ほう)輔(つら) 車(がまち)頷(おとがい)頸(くび)結喉(のんど)このほか靨(ゑくぼ) 黒子(ほくろ)黒痣(あざ)皺(しは)など有/首(しゆ)同 ○口(くち)吻(ふん)咡(じ)ともにくちわき とよめり脣(しん)はくちびる人中(にんちう) ははなの下のみぞ齶(がく)はあぎと ○目(め)眼(まなこ)は肝(かん)の臓(ざう)のつかさ どる所なり睛(ひとみ)眸(まな)眶(まかぶら)瞼(まぶた)外(ま) 眥(しり)内眥(まがしら)眵(まぐそ)翳(まけ)【「翳」ひまけヵ】涙(なみだ)雀目(とりめ)近(ちか) 視(め)瞟眼(すがめ) ○耳(みゝ)は腎(じん)のつかさとる所也 【左頁下段】 頭(づ)《割書:かしら》    蜶谷(こめかみ)     頸(くび)        頬(ほう) 輔車(つらがまち) 顖(あたま) 額(ひたい)      頷(おとがい) 結喉(のんど)        頬(ほう) 輔車    蜶谷(こめかみ)     頸(くび) 耳(に)《割書:みゝ》 輪廓(りんかく) 垂珠(すいしゆ) 鼻(び)《割書: |はな》 口(こう) 《割書:くち》 目(もく) 《割書:め》 上瞼 外眥 下瞼 上眥 眉(び) 《割書:まゆ》 歯(し) 《割書:は》 牙(げ)《割書:きば》   板(いた)歯(ば) 【上欄書入れ】Fasc.4   4  82     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         一 【右頁上段】 輪廓(りんくわく)はみゝのわ垂珠(すいしゆ)はみゝの たびら耳門(にもん)はみゝのあな完(くわん) 骨(こつ)はみゝのほね■(てい)【日+丁、耵ヵ】聹(ねい)はみゝ くそ聤耳(ていに)はみゝだり聾(しう)は みゝしひ ○鼻(はな)は肺(はい)のつかさとる所 なり頞(あつ)ははなばしら鼻梁(びりやう) 同/準(じゆん)はなさき皶鼻(さひ)はざ くろばな洟(てい)すゝばな衂(ちく)は はなぢなり ○眉(まゆ)年(とし)たけたるを眉寿(びじゆ) といふ睫(まつげ) ○歯(は)は骨(ほね)のあまり腎(じん)のつか どる【つかさどるヵ】所なり牙(きば)板歯(むかば)齨(うす) 歯(ば)齲歯(むしくひば)齦(はぐき)齗(同)歯(は)■(がすみ)【「浦+土」。歯垽(はがすみ)ヵ】 ○舌(した)は釈名(しやくみやう)に舌(ぜつ)は巻(けん)なり 【右頁下段】 舌(ぜつ)《割書:した》 鬚(すう)《割書: |したひげ》 髭(し)《割書:うは|  ひげ》 鬢(びん) 髪(はつ)《割書: |かみ》  筋(きん)《割書:す| ぢ》 毛(もう)《割書:け》 顱(ろ)《割書:は| ち》 骨(こつ)《割書: |ほね》 【左頁上段】 食物(しよくもつ)を巻(まき)制(せい)して落(おち)ざら しむ涎(ぜん)はよだれ唾(だ)はつば き心(しん)の臓(さう)これをつかさどる ○髪(ばつ)は頭髪(づばつ)なり胎髪(たいばつ) はうぶかみ髻(けい)はもとゞりなり 鬟(くわん)はみづら ○鬚(すう)は釈名(しゃくみやう)に秀(しう)なり 物(もの)成(なつ)て秀(ひいで)人(ひと)成(なつ)て鬚(ひげ)生(しやう) す髯(せん)はほうひげ ○髭(し) 字彙(じい)に髭(し)は口上(こうじやう) の毛(け)を髭(し)といふ下にある を鬚(すう)といふ頬(ほう)にあるを髯(せん) といふなり ○鬢(びん)は額(ひたいの)傍(かたはら)の髪(かみ)也/鬂(びん)髩(びん) 同/䭮(ふつ)はひたいがみ蝉髩(せんびん)はつと ○筋(すぢ)は絡脈(らくみやく)【脉】なり肝(かん)の臓(ざう) 【左頁下段】 腹(ふく)《割書:はら》    肋 缺盆 胸 鳩尾 臍 小腹    肋 背(はい)《割書:せなか》  腢   膁     臀   胛 ■【月+毎】 項  脊     尻   胛 ■【月+毎】  腢   膁     臀 【上欄書入れ】83     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         二 【右頁上段】 のつかさどる所なり色(いろ)あをし 醋(す)をのめば筋(すぢ)ゆるぐ ○毛(け)は血(ち)のあまりなり毫(がう) 同/肺(はい)のつかさどる所なり 旋毛(せんもう)つし皮(ひ)かわ膚(ふ)はだへ 皴(しゆん)しは ○顱(ろ)は頭骨(づこつ)なり顱会(ろくはい)は 頭(かしら)のはち髑髏(どくろ)はしやれかう へ脳(のう)はなづき ○骨(こつ)は肉核(にくかく)なり骸(かい)同/髄(すい) ほねのあぶら節(せつ)ふし ○腹(はら)欠盆(かたほね)【缺盆】胸(むね)肋(あはらぼね)鳩尾(みづをち) 臍(ほそ)小腹(ほがみ)乳(ち)肚(わきばら)前陰(ぜんいん)陰(いん) 茎(きやう)陰嚢(いんのう)脂似(しじ)なり ○背(せなか)項(うなじ)肩(かた)腢(かたさき)胛(かひかね)■(そじゝ)【月+毎。膂宍(そじし)】腰(こし) 膁(よはごし)髂(こしぼね)尻(しり)臀(いざらひ)膂(せほね)脊(せ) 【右頁下段】 脚(きやく) 《割書: あし》 腿(たい) 《割書:もゝ》 膕(くわく)《割書:ひかゞみ》  腓(ひ)《割書: |こむら》  内踝(ないくわ)《割書:うち| くるぶし》 踵(てう) 《割書:きび| す》 内臁(ないれん) 《割書: むかばき》 跗(ふ) 《割書:あしの| かう》 蹠(せき) 《割書:あしの| うら》 手(しゆ) 《割書: て》 掌(しやう)《割書:たな| ごゝろ》 腕(わん) 《割書:うでくび》 臂(ひ)《割書: ひぢ》 肱(かう)《割書:かい| な》 肘(ちう)《割書:ひぢしり》 【左頁上段】 ○手(て) 掌(しやう)はたなごゝろ腕(わん)は たゞむきうで臂(ひ)はひぢ肘(ちう)は ひぢしり肱(かう)はかいな ○脚(あし) 足(そく)同/胯(こ)また腿(たい)もゝ 膝(しつ)ひざ脛(けい)はぎ臁(れん)むかばき 膕(こく)ひつかゞみ腓(ひ)こむら跗(ふ)あし のかう蹠(せき)あしのうら踵(てう)くびす ○指(ゆび)大指(たいし)おほゆび拇(ぼ)同/食(しよく) 指(し)ひとさしゆび中指(ちうし)たけたかゆ び又/将指(しやうし)ともいふ無名指(むみやうし)べに つけゆび小指(しやうし)こゆび又季指(きし)共いふ ○掌(けん)は手(て)を屈(かゞむ)るなりにぎ りこぶしなり ○乳(ち) 説文(せつもん)に人(ひと)および鳥(とり)子(こ) をうむを乳(にう)といふ獣(けだもの)を産(さん)と いふ嬭(ねい)奶(ない)ならびに同じ 【左頁下段】 拳(けん)《割書:こぶし》 肋(ろく) 《割書:あばら| ぼね》 指(し)《割書: |ゆび》 心(しん)《割書:むね|こゝろ》 《割書:肺系|脾系|肝系|腎系》   肺(はい)《割書:ふく〳〵|   し》 乳(にう)《割書:ち》 脾(ひ)《割書:よこし》 【上欄書入れ】84     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         三 【右頁上段】 ○肋(あはらほね)は釈名(しやくみやう)に肋(ろく)は勒(ろく)なり 五/臓(ざう)を検勒するゆゑん也 かたはらぼねたすけのほね あばらぼね液(えき)脇(けう)脅(けう)なら びにわきなり ○心(しん)は五/臓(ざう)のうちにして 一身(いつしん)の主(しゆ)なり胸(むね)のあいだ にあり色(いろ)あかし火(ひ)なり ○肺(はい)は五/臓(ざう)のうちなり胸(むね) のあいたにあり蓮花(れんげ)をうつ むけたるかたちのごとし 六/葉(よう)両耳(りやうに)あり孔(あな)ありて よく声(こゑ)をいだし痰(たん)を生(しやう) ず色白し金(かね)なり ○脾(ひ)は五/臓(ざう)のうちなり土 なり食(しよく)ふくろなり色(いろ)黄(き) 【右頁下段】 腎(じん)《割書: |むらと》 膽(たん)《割書:ゐ》 肝(かん)《割書:きも》 膀(ぼう) 胱(くわう)《割書: |ゆばり》 包絡(はうらく)   胃(い)《割書:くそ| ぶくろ》 【左頁上段】 なり腹(はら)の中脘(ちうくわん)にあり ○腎(じん)は五/臓(ざう)のうちなり 腰(こし)にあり水(みづ)なり色(いろ)くろ しかたち卵(たまご)のごとし左(ひだり) にあるは腎(じん)なり右(みぎ)に有 は命門(めいもん)なり ○肝(かん)は五/臓(ざう)のうちなり 左(ひだり)のわきにあり木(き)なり 【左頁下段】 臓(ざう) 腑(ふ) 腸(ちやう)《割書:はらわた》 小(せう) 腸(ちやう) 大(だい) 腸(ちやう) 胞胎(はうたい)《割書:はら| ごもり》  胎衣(たいい)《割書:ゑな》 膻中  臍  丹田  溺道  精道  穀道  尻 脳 髄海 至陰 通骶 喉通気 咽通食 肺 肺 肺 肺 肺 肺 心 心包 脾系 胃系 肝系 腎系 隔膜 脾 脂𫆳【月+曼】 幽門 胃 賁門 肝 肝 肝 肝 肝 肝 膽 腎 小腸【膓】 闌門 大腸【膓】膀胱 命門 直腸【膓】   【上欄書入れ】85     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙五         四 【右頁】 色(いろ)あをし七/葉(よう)あり魂(こん)のかくるゝ所なり○膽(たん)は肝(かん)の臓(ざう)の腑(ふ)なり肝(かん)の下に有 膽(たん)のぼるときは人いかりを生(しやう)ず○小腸(しやうちやう)は心(しん)の臓(さう)の腑(ふ)なり色(いろ)あかし小便(しやうべん) これよりつたへて膀胱(ばうくわう)にいづるなり○大腸(だいちやう)は肺(はい)のさうの腑(ふ)なり腰(こし)にあり 十六/廻(くわい)あり色(いろ)しろしはらわたといふはこれなり○胃(ゐ)は脾(ひ)のざうの腑(ふ)なり食(しよく) 物を脾(ひ)よりつたへて大腸(だいちやう)にをくるくそぶくろなり○包絡(はうらく)は心包絡(しんはうらく)なり命門(めいもん) の下/右腎(うじん)の上にあり心包絡(しんはうらく)といふその腑(ふ)を三/焦(せう)といふ○膀胱(はうくわう)は腎(じん)の臓(ざう)の腑(ふ) なり小便(しやうべん)ぶくろなり水分(すいぶん)の穴にて水(すい)穀(こく)分利(ぶんり)して穀(こく)は大腸(だいちやう)へゆき水(みづ)は膀胱(ばうくわう) へゆくなり ○臓腑(ざうふ) 心(しん) 肝(かん) 腎(じん) 肺(はい) 脾(ひ)を五/臓(ざう)といふ小腸(しやうちやう) 大腸(だいちやう) 胃(ゐ) 膀胱(ばうくわう) 三/焦(せう) 膽(たん)を六/腑(ふ)と いふ○包胎(はうたい)はらごもりなり五/臓論(ざうろん)に曰一月は珠(たま)露(つゆ)のごとし二月は桃花(もゝのはな)のごと し三月は男女(なんによ)わかる四月は形象(かたち)そなはる五月は筋(すじ)骨(ほね)なる六月は毛(け)髪(かみ)生(しやう)ず 七月はその魂(こん)をあそはしむ児よく左(ひだり)の手(て)をうごかす八月はその鼻(はな)をあそばしむ 児(に)よく右(みぎ)の手(て)をうごかす九月は三たび身(み)を転(てん)す十月は気(き)をうくる事/足(たる) 【左頁】 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻之六   衣服(いふく)《割書:此部(このぶ)には衣裳(いしやう)冠帯(くわんたい)すべて|きる物(もの)のたぐひあり》 【左頁上段】 ○冕(へん)は天子(てんし)の冠(かふり)なり十二/流(りう)有 前(まへ)にたれたるは邪(よこしま)を見まじき ためなり旁(かたはら)に黈纊(とうくはう)といふ物あり 讒言(さんげん)を聞(きく)まじき為(ため)なり ○冠(くわん)は貫(くわん)なり髪(かみ)を貫(つらぬき)つゝむ也 と釈名(しやくみやう)にみへたり冠(かんむり)は首(かしら)にある ゆへ元(けん)に从(したが)ふ法制(ほうせい)有ゆへ寸(すん)に从 ○和冠(わくわん)は漆塗(うるしぬり)にして紗(しや)也/髪(かみ)を おほふ物を巾子(こし)と云うしろに立(たち) たる物を羅(ろ)と云/貫(つらぬく)物を串(くし) といふ又/簪(かんざし)ともいふ ○纓(ゑい)は冠(かむり)のうしろにたるゝ物也 今/燕尾(ゑんび)といふ紗(しや)にて作(つく)る 【左頁下段】 ○冕(べん) 《割書:たま| の|かむり》 冠(くわん)《割書:かう| ぶり|かむり》 巾子  簮  串 緌(い) 纓(えい) 唐冠(たうかふり) 官 品ノ 玉- 冠 【上欄書入れ】86     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         一 【右頁上段】 ○幞(ぼく)は後周(ごしうの)武帝(ふてい)のつくり はじめ給ふ唐人(とうじん)のかむり也 幅巾(ひとはゞのぬの)を戴(たい)して四/脚(あし)を出す ○緌(い)は両方(りやうはう)耳(みゝ)をおほふ物なり 冠(かむり)の紐(ひも)なり領【訓蒙図彙では「頷」】の下に垂(たる)る物也 ○巾(きん)は頭巾(づきん)なりその製(せい)品(しな) おなじ方(けた)なるを巾(きん)といひ円(まとか) なるを帽(ばう)と云ともいへり ○帽(ばう)は頭衣(づい)なり唐(もろこし)には上 官(くわん)より下官(げくわん)にいたるまでも 帽(はう)をきる冠(かむり)の下(した)にきる物なり ○帽子(もうす)は僧(そう)の冠(かむり)なり仏会(ぶつゑ) 法事(はうじ)のとききるなり ○笏(こつ)は手板(しゆはん)なり天子(てんし)は玉(たま) 諸候(しよこう)【「候」は侯の当て字】は象牙(ざうげ)太夫(たいふ)は魚須(うをのひれ)文(ま) 竹(だけ)士(し)は木(きに)籀文(こもんじ)をほりてみな 用(もち)ゆ官人(くわんにん)の手(て)にもつ物なり ○烏帽(うばう)は紙(かみ)にてつくり漆(うるし)に 【右頁下段】 幞(ぼく) 幞頭 唐巾 巾(きん) 頭巾(づきん) 帽(ばう) 帽子(もうす) 笏(こつ)《割書: |しやく》  木笏(もくしやく) 牙笏(げしやく) 烏帽(うばう) 《割書: ゑ|  ぼし》 【左頁上段】 てぬるなり左折(ひたりをり)は侍従(じしう)以上 着(ちやく)す右折(みきをり)は五/位(い)已上(いしやう)これを 着(ちやく)す侍従(じじう)以上(いじやう)は糸(いと)の緒(を)四 位(い)已下(いげ)は紙(かみ)の緒(を)にて結(むす)ぶ ○袞(こん)は天子(てんし)の御衣裳(おんいしやう)なり 一に龍(れう)二に山(さん)三に花虫(くはちう)【雉子】四に 火(くは)五に虎(とら)以上/衣(ゐ)に有六に 藻(さう)七に粉米(ふんべい)【米粒】八に黼(ほ)【斧の形】九に黻(ふつ)【「亜」字形】 以上/裳(しやう)にありこれを九/章(しやう) の御衣(ぎよい)といふ ○裳(しやう)は上(うへ)を衣(い)といひ下(した)を 裳(しやう)といふ裳(しやう)の紋(もん)の事/藻(さう) 粉米(ふんべい)黼(ほ)黻(ふつ)なり九/章(しやう)の内(うち) なり天子(てんし)御衣(きよい)の裳(しやう)なり ○珮(はい)は官人(くわんにん)の腰(こし)におぶるもの なり上(かみ)に双衡(さうかう)あり衡(かう)の長(なが) さ五寸ひろさ一寸/下(した)に双璜(さうくはう) あり璜(くはう)のわたり三寸也/蠙(ひん) 【左頁下段】 袞(こん) 裳(しやう) 《割書: も》 珮(はい)《割書:をもの》  帯(たい)《割書: |をび》 【上欄書入れ】87     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         二 【右頁上段】 珠(しゆ)をその間(あいた)におさむ ○帯(たい)は字(じ)のかたち珮玉(はいぎよく)を つなぐかたちなり石帯(いしのおび) あり下帯(さげおひ)有/掛帯(かけをび)あり ○袍(はう)はながき繻絆(じゆばん)なり 今(いま)朝廷(てうてい)へ出仕(しゆつし)のとききる 服(ふく)を袍(はう)といふ又ふるわたを いれたる服(ふく)を緼袍(をんはう)といふそ めたるを素袍(すはう)といふ ○衫(さん)は小襦(しやうじゆ)なりはだぎ也 袖(そで)端(はし)なきを衫衣(さんい)といふ又 紗衫(しやさん)布衫(ふさん)偏衫(へんさん)あり 類(るい)おなじ公服(こうふく)の下着(したぎ)なり ○袴(こ)は股衣(こい)なり又/大口(おほくち) 袴(はかま)あり襞襀(ひだ)あり俗(ぞく)に 上下(かみしも)といふ上(かみ)を褶(しう)といひ下(しも) を袴(こ)といふ ○靴(くわ)は革(かは)のくつなり官人(くわんにん) 【右頁下段】 袍(はう)《割書:うへの| きぬ》 衫(さん) 《割書: かた|  びら》 袴(こ)《割書: |は| かま》   靴(くわ)《割書: |くわのくつ》 【左頁上段】 これをはく石公(せきこう)が靴(くつ)李白(りはく) が殿上(でんじやう)の靴(くつ)これなり日本(につほん)に ては鞠(まり)の靴(くつ)これなり官人(くわんにん) 僧(そう)などの韈(くつ)は異(こと)なり ○裾(きよ)は衣裳(いしやう)のあとにさがる ものなり俗にとびの尾(お)と いふなり ○裙(くん)は婦人(ふじん)の下(した)にきる裳(も) なり帬(くん)につくるべし唐(から)に もあかく染(そむ)るゆへに茜(せん)【左ルビ「あかね」】裙(くん)と いふなり ○半臂(はんひ)は楽人(がくにん)又/能衣裳(のふいしやう) などにあり袖(そで)のゆきみじ かくして半(なかば)臂(ひぢ)いづるゆへに なづくるなり ○奴袴(ぬこ)はさし貫(ぬき)のはかま也 禁中(きんちう)にて女中(ぢよちう)のきるは かまなり女のきるは色(いろ)赤(あか)く 【左頁下段】 裾(きよ)   裙(くん)《割書:も》 半臂(はんひ)   奴袴(ぬこ)《割書:かり| ば|  かま》 【上欄書入れ】88      【柱】頭書増補訓蒙図彙六         三      【柱】頭書増補訓蒙図彙六         三 【右頁上段】 そむるなり ○欠(けつ)【缺】掖(ゑき)は大臣(だいしん)のしやうぞく 又は能衣裳(のふいしやう)にあり両掖(りやうわき) 欠(かけ)【缺】ほころびたるゆへになづく ○襟(きん)は衣(ころも)の衽(ゑり)にまじはる 所なり内襟(ないきん)はしたがひ外(げ) 襟(きん)はうはがひなり ○袊(れい)はころものくびなり領(れい) とおなじ綱領(かうれい)要領(ようれい)といふ も領(れい)は衣(ころも)のゑりぐひの事 にとる ○布衣(ほい)は狩衣(かりきぬ)に紋(もん)なきを いふ下官(げくわん)の服(ふく)するものなり 紋(もん)あるを狩衣(かりぎぬ)といふこれは 高位(かうい)のめさるゝ服(ふく)なり ○袖(しう)は衣(ころも)の袂(たもと)なり長袖(ちやうしう)はふ りそで袪(きよ)はそでぐち ○袈裟(けさ)は大衣(たいゑ)七/条(でう)五/条(てう)是(これ) 【右頁下段】 缺(けつ) 掖(ゑき) 袊(れい) 《割書:ゑ|り》 襟(きん) 《割書:ゑり》   布衣(ふい) 袖(しう) 《割書:そ|で》 【左頁上段】 を三/衣(ゑ)といふ大衣(たいゑ)は九/条(てう)より 二十五/条(てう)にいたる僧衣(そうい)なり ○直掇(ぢきとつ)は僧服(そうふく)なりいにしへ は偏衫(へんさん)𢂽(くん)【巾+君】子(す)を服(ふく)すのちに 上下(じやうげ)をつらねて直掇(ちきとつ)と名(な) つくるなり ○魚袋(ぎよたい)は官人(くわんにん)の腰(こし)に帯(おぶ)る ものなり公卿(くぎやう)は金魚袋(きんぎよたい)四(し) 品(ほん)以下(いげ)は銀魚袋(ぎんぎよたい)なり ○革帯(かくたい)は公家衆(くげしう)装束(しやうぞく)の 上(うへ)にする帯(をび)なり金帯(きんたい)玉(ぎよく) 帯(たい)石帯(せきたい)角帯(かくたい)あり ○韤(べつ)はたびなり足袋(たび)と も単(た)【單】皮(び)とも書(かく)なり又は 韤子(へつす)といふ ○絡子(らくし)は又/掛子(くはし)となづく又 掛絡(くはら)ともいふ俗(ぞく)あやまつて 環(くわん)を掛落(くはら)とよぶ 【左頁下段】 袈裟《割書:けさ》   直掇(ぢきとつ) 魚袋(ぎよたい) 韤(へつ) 《割書:したう|   づ》 革帯(かくたい) 《割書:いし|  の| をび》 【上欄書入れ】89      【柱】頭書増補訓蒙図彙六         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         四 ○幅巾(ふくきん)は白(しろ)ききぬにてつ くる深衣(しんい)をきて緇布冠(しふくわん) してこれをもつて冠上(くわんじやう) をつゝむなり唐人(とうじん)の装(しやう)ぞく也 ○緇布冠(しふくわん)はくろきぬのにて つくるなり ○帨(せい)は手(て)のごひなり帨巾(せいきん) ともいふ手(て)のごひかげを帨(せい) 架(か)といふ ○帕(はく)は紅絹(もみのきぬ)にて額(ひたい)を■(つゝむ)【抺ヵ】 をいふとあり帛(はく)はふくさ物 帊衣(はい)包袱(はうふく)並同 ○履(り)は草(くさ)を屝(ひ)といふ麻(あさ)を 屦(ろう)といふ皮(かわ)を履(り)といふされ ども木(き)にてつくる ○被(ひ)は寝衣(しんい)なり俗(ぞく)に夜(よ) 着(ぎ)といふ又/睡襖(すいをう)ともいふ 又/被(かふむる)_レ襖(ふすまを) 【右頁下段】 絡子(らくし)《割書: | |くは|  ら》 履(り) 《割書:く|つ》 ■(くり)【烏ヵ】皮履(かはのくつ) 淺履(あさぐつ) 幅巾(ふくきん) 緇(し) 布(ふ) 冠(くわん) 被(ひ)《割書:ふすま》 睡襖(すいをう) 帨(せい)《割書: |ての| こい》 《割書:ころも|つゝみ》 帕(はく) 【左頁上段】 ○毛裘(もうきう)は鹿子(かこ)又/狐(きつね)の皮(かは)にて つくる衣服(いふく)なり寒気(かんき)を よくふせぐ異朝(いてう)にて上人(じやうにん) 冬月(とうけつ)これをきる ○深衣(しんい)は儒者(じゆしや)の着(ちやく)する 衣服(いふく)なり白(しろ)き布(ぬの)にてつ くる帯(をび)も白(しろ)し五采(さい)の糸(いと) をもつて帯(をび)のむすひめを 固(かた)む又/黒色(くろいろ)にそむるも有 ○涎衣(せんい)は小児のよだれか けなり■(い)【湋ヵ瑋ヵ。「幃」の当て字ヵ。】涎(せん)同 ○裹脚(くわきやく)ははゞきなり脚(きや) 絆(はん)なり裹脚(くわきやく)は裹(つゝむ)_レ脚(あしを)と よめり又/脛巾(けいきん)行纏(かうてん)行(かう) 縢(とう)ならびにはゞきとよむ ○幄(あく)は上下/四方(しはう)こと〴〵く まとふて宮室(きうしつ)にかたど るを幄(あく)といふ大将(たいしやう)の居(ゐる)所 【左頁下段】 毛(もう)裘(きう)《割書:かはごろも》   涎衣(ぜんい)《割書:よだれかけ》 深(しん) 衣(い) 裹(くわ) 脚(きやく)《割書:きや| はん》 【上欄書入れ】90      【柱】頭書増補訓蒙図彙六         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         五 なり物見(ものみ)なきを幄(あく)といふ 周(しう)の世(よ)よりはじまれり ○幕(まく)は周(しう)の世(よ)よりはじまれ りよこ幅(はゞ)にして物見(ものみ)あるを 幕(まく)といふ布(ぬの)十二/端(たん)を二/張(はり)と して十二/月(つき)を表(へう)し乳数(ちかず)廿 八を廿八/宿(しゆく)に表(へう)す ○幔(まん)は十二/幅(はゞ)紋(もん)を出(いだ)さず竪(たて) 幅(の)ばかりにして上(うへ)のよこ■(の)【田+町】 なし下(した)のぬひはづし纐(きく) 纈(とぢ)なし乳付(ちつき)又はぬひなく ■【見ヵ】にもするなり ○座具(ざぐ)は僧衣(そうい)なり仏(ほとけ)を礼(らい) するとき下(した)にしく物也/三衣(さんゑ)一(いち) 鉢(はつ)座具(ざぐ)漉水嚢(ろくすいのふ)これを僧(そう) の六/物(もつ)といふ ○縁道絹(えんどうのきぬ)は法事(はうじ)のとき客(きやく) 殿(でん)より堂(だう)へ行(ゆく)道(みち)に布(ぬの)をしく 【右頁下段】 幄(あく)《割書:あ|げ|ば|り》 幔(まん)《割書:と|ば|り》 《割書:まだ| ら|まく》 幕(はく) 《割書:ま| く》 座具(ざぐ) 【左頁上段】 を云又/打敷(うちしき)水引(みづひき)を云ともいへり ○夾衣(かうい)は今(いま)云あはせなり裌(かう) 袷(く)同し単衣(たんい)はひとへもの 絮衣(ぢよい)はわたいれ 表(へう)《割書:お|も|て》裏(り)《割書:う|ら》 ○帳(ちやう)は女(をんじゃ)のかたなる【元禄八年版「かくるる」】所也/几帳(きちやう) 帷帳(いちやう)なり又/蚊帳(かちやう)緞(どん)帳/綿(めん) 帳(ちやう)紙帳(しちやう)あり ○褥(じく)はしとねなり臥具(ぐはぐ)なり 蓐(しく)茵(いん)并(ならびに)同/蓐茵(しくいん)は草(くさ)のし とねなり褥(しく)は絹(きぬ)のしとねなり 俗(ぞく)に蒲団(ふとん)とするは非(ひ)なり 蒲団(ふとん)は円座(えんざ)の類(るい)なり ○降緒(さげを)は刀(かたな)にあり太刀(たち)のは 平緒(ひらを)といふ ○雨衣(うい)はあまがつはなり襏(はつ) 襫(せき)とも云/紙(かみ)にてつくるを油(ゆ) 衣(い)といふ毛織(けをり)の類(るい)にてする を氈(せん)【毡】衣(い)と云/此(この)図(づ)は異朝(いてう)の 【左頁下段】 縁(えん) 道(どうの) 絹(きぬ) 降緒(さげを) 帳《割書:ちやう|かや》 夾(きやう) 衣(い) 《割書:あ| わ|  せ| き|  ぬ》 褥(しく)《割書:し|とね》 【上欄書入れ】91      【柱】頭書増補訓蒙図彙六         六     【柱】頭書増補訓蒙図彙六         六 【右頁上段】 氈(せん)【毡】衣(い)なり ○浴衣(よくい)はゆかたびらなり又/明(めい) 衣とも書(かく)なり又ゆてのごひ を浴巾(よくきん)といふ ○蔽膝(へいしつ)ひざをおほふとよめり まへたれなり韠(ひつ)同 ○鞋(かい)は糸鞋(いとぐつ)麻鞋(まぐつ)あり草鞋(わらんぢ) は屩(わらぐつ)とも屝(わらぐつ)とも書(かく)べし ○屐(げき)は木履(ぼくり)なり俗(ぞく)にあし だといふはなをゝ屐系(げきけい)と云 又/鼻縄(びじやう)といふ又/檋(や?しき)【かしきヵ。かんじき】といふ物 あり雪中(せつちう)にはく物なり ○嚢(ふくろ)底(そこ)あるを嚢(のう)といひ底(そこ) なきを橐(たく)といふともにふく ろなり袋(たい)同 ○道服(だうぶく)は道者(だうしや)の衣服(いふく)なり 胴服(どうぶく)とかくはあしゝ俗(ぞく)これを はおりといふ 【右頁下段】 雨衣(うい) 《割書:あま| がつは》 蔽膝(へいしつ) 《割書: まへだれ》 浴(よく) 衣(い) 《割書:ゆ| かた| び|  ら》 嚢(のう)《割書:ふくろ》 鞋(かい)《割書:いと| ぐつ》 絲鞋(しかい) 《割書: わら| ぐつ》 草(さう) 鞋(かい) 屐(げき) 《割書:あし|  だ》 木(ぼく) 履(り) 【左頁】 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻之七   宝貨(はうくは)《割書:此部(このぶ)には金銀(きん〴〵)珠玉(しゆぎよく)銅鉄(とうてつ)石(せき)甲(かう)錦(きん)|鏽(しう)【元禄八年版は「繍」】綾羅(れうら)すべて一さいの宝(たから)をあつむ》 【上段】 ○金(きん)は紫磨(しま)黄金(わうこん)沙金(しやきん)な どあり日本(につほん)にてはむかし 奥州(おうしう)より出(いで)たり鍍金(ときん)はめつ きなり ○銀(ぎん)は白銀(はくぎん)なり南鐐(なんりやう)銀(ぎん) 鉼(べい)など有/俗(ぞく)にはへぶきと云 又/銀鈑(ぎんはん)といふはいたがねなり ○鉛(えん)は青金(せいきん)なり錫(しやく)しろ なまり俗(ぞく)にすゞなまりと云 白鑞(びやくらう)同/鉛(なまり)をやいて丹(たん)となる ○鐵(てつ)は黒金(こくきん)なり鉄(てつ)同/鉎鐵(せいてつ) はなまがね鍒(しう)同し鋼鐵(かうてつ)はは がね鏽(しう)はさびなり日本(につほん)むかし 【下段】 金(きん)《割書:こがね》   銀(ぎん)《割書:しろ|か|ね》   鉛(ゑん)《割書:なまり》 鐵(てつ) 《割書:くろ| かね》 銅(とう)《割書: |あか| がね》   銭(せん)《割書:ぜ| に》   珠(しゆ)《割書:たま》 【上欄書入れ】92      【柱】頭書増補訓蒙図彙七         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙七         一 【右頁上段】 は越中(えつちう)より出たり ○銅(とう)は赤金(しやくきん)なり黄銅(くわうとう)鍮(ちう) 石(しやく)真鍮(しんちう)あり又/紫銅(しとう)はから かねなり褐銅(かつとう)同し白銅(はくとう) はさはりかね紫金(しきん)はしやく どうともに山より出る ○説文(せつもん)に銭(ぜに)の字(じ)の旁(つくり)上(うへ)に 一の戈(ほこ)の字(じ)下(しも)に一の戈(ほこ)の字(じ)有 銭(ぜに)は人をころす物にして人 さとらずといへり孔方(こうはう)青銅(せいとう) 鵝眼(ががん)ともに銭(ぜに)の異名(いみやう)なり ○珠(しゆ)は海(うみ)より出るたまを云/珊(さん) 瑚珠(ごじゆ)真珠(しんじゆ)のたぐひなり珍(ちん) 珠(じゆ)蠙珠(ひんじゆ)は貝(かい)のたまなり龍(りやう) 魚(ぎよ)虫(ちう)蛇(じや)の類(るい)みな珠(たま)あり ○玉(ぎよく)は山(やま)より出(いづ)るたまな り石(いし)の美(び)なるものを玉といふ 璞(はく)はあらたまいまだみがゝさる 【右頁下段】 玉(ぎよく)《割書:たま》 《割書:     璞》 礬(はん) 硃(しゆ)《割書: |朱砂  銀朱》 硫(いわう)《割書:ゆの| あわ》    《割書:発|燭》 硝(せう) 《割書:𦬆【芒】硝》 《割書:牙|硝》 磁(じ)《割書:はり| すい| い| し》 砒(ひ)《割書:どく| いし》  《割書:砒霜》 瑪(め) 瑙(のう)    玳瑁(たいまい) 【左頁上段】 物なり唐(もろこし)崑崙山(こんろんさん)より 玉(たま)をいだす ○礬(はん)は礬石(はんせき)なり和名(わみやう)たう すといふ光明(くわうめい)なるを明礬(みやうばん) といふ黒色(くろいろ)なるを黒礬(こくはん)と いふ緑色(みとりいろ)なるを緑礬(ろはん)と云 やきて赤(あかき)物(もの)を絳礬(かうはん)と云 ○硃(しゆ)は朱砂(しゆしや)なり辰州(しんしう)より出(いづ) るを辰砂(しんしや)といふ又/水銀(みうかね)を化(くは) して朱(しゆ)とするを銀朱(ぎんしや)と云 朱砂(しゆしや)は服(ふく)すれば心(しん)を鎮(しづ)め 神(しん)をやしなふ ○硫(いわう)は石硫黄(せきいわう)土硫黄(といわう)あり付(つけ) 木(き)を発燭(はつしよく)といふ硫黄(いわう)の出(いづ)る 山にはかならず温湯(いでゆ)あり 摂州(せつしう)有馬(ありま)又/加州(かしう)の山中(やまなか) なとのごとし ○硝(せう)は硝石(せうせき)なり木硝(もくせう)につくる 【左頁下段】 硨磲(しやこ)    瑠璃(るり) 琥(こ) 珀(はく) 玻瓈(はり) 琅玕(らうかん) 《割書: あをだま》 砥(し) 《割書:あは| せ| ど》 珊瑚(さんご)    熨斗目(のしめ) 礪(れい) 《割書:あら| と》 紗(しや) 《割書:も|じ》 【上欄書入れ】93      【柱】頭書増補訓蒙図彙七         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙七         二 【右頁上段】 焔硝(えんせう)火硝(くはせう)ともに同しよく 火(ひ)につく鉄鉋(てつほう)にもちゆ又/芒(はう)【𦬆】 硝(せう)牙硝(げせう)は薬石(やくせき)なり痰(たん)をの ぞき燥(かわき)をうるほし小便(せうべん)を 通(つう)ずる能(のふ)あり ○磁(じ)は山(やま)の陽(みなみ)に鐵(てつ)を産(さん)す るものは陰(きた)にかならず磁石(じしやく) あり二/物(ぶつ)同気(どうき)なればなり よく針(はり)を引(ひき)すものなり ○砒(ひ)は砒石(ひせき)なり大毒(だいどく)あり練(ねり)た る物を砒霜(ひさう)といふ腫物(しゆもつ)の 毒(どく)を消(せう)し瘧(おこり)をきる外科(げくは) の用(もち)ゆる石(いし)なり斑猫(はんめう)と同 しく毒(どく)あり ○瑪瑙(めのう)は玉(たま)なり七/宝(はう)の内(うち) なりこの玉(たま)の色(いろ)馬(むま)の脳(のう)に似(に) たりよつて馬脳(めのう)となづく色(いろ) 黄(き)なり 【右頁下段】 綿《割書:きん》【訓蒙図彙では「錦」】 《割書:に|し|き》     繍《割書:しう|ぬい| もの》 絨(しう) 《割書:びらう| ど》    紅染(もみぞめ) 加(か) 賀(が) 絹(ぎぬ) 縠(こく)《割書:ちり| めん》 《割書:あこ| め》    繻子(しゆす)    繻珍(しゆちん) 綾(りやう)《割書: |あや    》綃(せう)《割書: |すゞし》    緞(たん)《割書:どん|  す》 【左頁上段】 ○硨磲(しやこ)は玉(たま)の名(な)七/宝(ほう)の一つ也 石(いし)の玉(たま)に似(に)たるなり一/名(めい)海(かい) 扇(せん)和名(わみやう)いたやがい ○玳瑁(たいまい)は亀(かめ)の名(な)甲(かう)に文(もん)あり 器(うつはもの)につくるべし櫛(くし)簪(かんざし)香(かう) 合(ばこ)などにつくる ○瑠璃(るり)は玉(たま)の名石(ないし)のひかり あるものなり七/宝(ほう)の内(うち)なり 色(いろ)あをし ○琥珀(こはく)は松脂(まつやに)地(ち)におちて 千年(せんねん)にして琥珀(こはく)となる能(よく) 塵(ちり)をすふ玉(たま)なり色(いろ)黄(き)也 ○玻瓈(はり)は玉(たま)の名七/宝(ほうの)一つ也 西国(さいこく)の玉(たま)なり頗黎(はり)とも かくへし ○琅玕(らうかん)は玉(たま)のひかりあるもの なり崑崙山(こんろんざん)に琅玕樹(らうかんじゆ)有 色(いろ)あをし 【左頁下段】 絹(けん) 《割書:き|ぬ》    線(せん)《割書:より|いと》 絲(し) 《割書:い| と》 絛(たう)  組  紃 《割書:くみ| ひ| ぼ》 綿(めん)《割書: | |わた》    八/丈嶋(じやうじま) 氊(せん) 《割書: もう|  せん》 金(きん) 薄(ばく)    水銀(みづかね) 高麗(かうらい)   織《割書:を| り》 【上欄書入れ】94      【柱】頭書増補訓蒙図彙七         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙七         三 【右頁上段】 ○珊瑚(さんご)は海中(かいちう)の珠(たま)なりいろ あかし鐵網(てつもう)をもつて是(これ)を取(とる) 七/宝(ほう)の一つなり ○砥(し)は細(さい)砺(れい)【礪】石(せき)なり硎(まと)とも書(かく)べ し黄砥(わうし)はあはせどなり ○礪(れい)は麁砺石(それいせき)なりあらとなり 磑(あらと)とも書べし ○紗(しや)は金紗(きんしや)銀紗(ぎんしや)紋紗(もんしや)等(とう) ありうすものなり又/法螺漏(ほらろ) などいふ有/戻子(もじ)といふも有 ○熨斗目(のしめ)は筋(すぢ)ある織物(をりもの)也 祝義(しうき)に侍(さふらひ)のきる服(ふく)なり 又/能役者(のふやくしや)などもきるなり ○錦(きん)は五色(ごしき)の糸(いと)を織(をり)て錦(にしき) とす俗(ぞく)にいふ金襴(きんらん)の類(たぐひ)也 ○繍(しう)は五/采(さい)の刺文(しもん)なり ぬいもの ○絨(じう)は細毛布(さいもうふ)なりその美(び)な 【右頁下段】 革(かく) 《割書:つくり| かは》  《割書:韋》  《割書:革》    鐵線《割書:はりがね》 皮(ひ) 《割書: かは》 水精(すいしやう)《割書:みづとり|  だま》    火(くわ)精《割書:ひ| とり| だま》    緑青(ろくしやう) 雲(うん)  母(も) 《割書:き| らゝ》 【左頁上段】 る物を天鵞絨(ひらうと)といふ褐(かつ) 子(す)氆氌(ふら)兜羅綿(とらめん)みな毛(もう) 布(ふ)なり ○紅染(もみぞめ)は紅なり紅梅(こうばい) 緋(ひ) 桃色(もゝいろ)中紅(ちうもみ)茜(あかね)などあり共(とも) にあか色(いろ)なり ○加賀絹(かがきぬ)は加州(かしう)小松(こまつ)よりお りいたす絹(きぬ)なり ○縠(こく)は縐紗(そうしや)なり今(いま)いふちり めんなり俗(ぞく)に縮緬(ちりめん)とかく ○繻子(しゆす)は五/色(しき)有/島(しま)もあり ○繻珍(しゆちん)は五/色(しき)あり繒(かとり)【縑ヵ】を もつて織(をる)なり ○綾(りやう)はあやなり又/綾子(りんす)也 花綾(くはれう)は紋綾子(もんりんず)なり光(くはう) 綾(れう)はぬめ綾子(りんず)なり ○綃(せう)はすゞしなり生綃(さんせう)と 書べし熟絹(じゆくけん)はねりぎぬ 【左頁下段】 白(はく) 粉(ふん)《割書:おしろい》 石膽(せきたん) 《割書:たん|はん》 浮石(ふせき) 《割書:かろ| いし》 温石(をんじやく) 滑(くわつ) 石(せき) 鱉(べつ) 甲(かう) 麒(き) 麟(りん) 血(けつ)    幣(へい)《割書:にぎて》    木綿襷(ゆふだすき) 【上欄書入れ】95      【柱】頭書増補訓蒙図彙七         四 綿(めん)はまわた絮(ちよ)は木(き)わたなり○八/丈島(じやうじま)は日本(につほん)八/丈(じやう)か島(しま)よりをりいだす公方様(くばうさま)へ 貢(みつぎ)にそなゆるなり外(ほか)に八/丈島(じやうしま)といふはみなにせをりなるよし○氈(せん)【氊】はむしろ なり毛氈(もうせん)あり線氈(せんせん)あり花氈(くはせん)あり毛氈(もうせん)のすぐれたるを山/水(すい)といふ○金薄(きんばく)は 金(きん)をうすくのべたる物(もの)なれば薄(はく)といふなり薄(はく)はうすしとよむ銀(ぎん)銅(あかゞね)の薄(はく)同箔(はく) 同じ○水銀(みづかね)は性(しやう)寒(かん)なり毒(どく)あり馬歯莧(すべりひゆ)にも水銀(みづかね)あり又/汞(みづかね)とも書(かく)丹砂(たんしや)より いづるなり○高麗織(かうらいをり)は京(きやう)西陣(にしぢん)よりをりいだす○皮(ひ)かはけだものゝ皮(かは)に毛(け)あるとき の名(な)なり虎皮(とらのかは) 豹皮(へうのかは) 熊皮(くまのかは) 狐皮(きつねのかは) 麑皮(?にゝのかは)【鹿兒皮ヵ】などなり○革(かく)はけだものゝ皮(かは)なり毛(け)をさる を革(かく)といふ生(しやう)なりあらかは熟(じゆく)するを韋(い)といふなめしかはなり○鐵線(てつせん)ははりがね なり銅線(とうせん)はあかゞねのはりがね又/銅糸(とうし)ともいふなり○水精(すいしやう)みつとりだまなりい水中(すいちう)の石(いし)の美(び) なる物(もの)をいふ水晶(すいしやう)同し又/硝子(せうし)もみづとりだまなりびいどろなり○緑青(ろくしやう)は石緑(せきろく)とも いふ銅(あかゞね)のさびなり銅緑(とうろく)ともいふ水飛(すいひ)して画工(ぐはこう)采(いろとり)の具(く)とす○火精(くわしやう)ひとりだまなり火(くは) 斉(せい)同この火(ひ)をとりて灸(きう)をすゆれは虚熱(きよねつ)をさます○雲母(うんも)はきらゝ也/廬山(ろさん)の中(うち)よりいづる 五/色(しき)あり白(しろ)きものよし服(ふく)する事十/年(ねん)すれは雲気(うんき)つねにその上(うへ)におほふ膏薬(かうやく) にねる又/地紙(ぢかみ)にぬる○白粉(はくふん)おしろいは鉛粉(えんふん)なり鉛(なまり)をやきてつくるとうのつちといふ 又/銀粉(ぎんふん)ははらや粉霜(ふんさう)はやきかへし白粉(おしろい)は蕭史(しやうし)といふ人つくりはじめて秦(しんの)穆公(ぼくこう)のむ すめ弄玉(ろうぎよく)にぬらしむとなり○石膽(せきたん)たんはんは銅(あかゞね)ある所より出(いづ)煎(せん)し煉(いり)てなる石中(せきちう) 【上欄書入れ】96      【柱】頭書増補訓蒙図彙七         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙七         四 【右頁上段】 ○緞(だん)は段子(どんす)なり花段(くはだん)錦(きん) 段(だん)毛段(もうたん)金段(きんだん)あり ○絹(けん)は加州(かしう)より出(いで)丹後(たんご)より いづる縑(けん)はもろぎぬなりまた かとりなり ○線(せん)《割書:補》はよりいとなりいとすじ とよむ綫(せん)同/漢(かん)の宮女(きうぢよ)冬(とう) 至(じ)の日より日ながくなりて 一/線(せん)のながきをそふると いへり ○糸(し)【絲】はいとなり蚕(かいこ)【蠺】のはく所 なり緒(しよ)はいとくち纇(るい)いとふし 縷(ろ)いとすぢ経(けい)たて緯(い)ぬき 麻(ま)苧(ちよ)紵(ちよ)まを纑(ろ)うみを【績麻】 ○絛(たう)はくみひぼなり匾(ひらたき)を組(そ) といふ円(まるき)を紃(しゆん)といふ ○綿(めん)わた也/蚕(かいこ)【蠺】をかふてとる 精(くはしき)を綿(めん)といふ麁(あらき)を絮(ちよ)と云 【右頁下段】 海盬(かいゑん) 《割書: しほ》 石(せき) 灰(くわい) 《割書:いし| ば| ひ》 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻之八   器用(きよう) 《割書:此部は武具(ぶぐ)農具(のうぐ)そのほか|日用(にちよう)のうつはものをしるす》 【上段】 ○紙(かみ)は楮(かち)の木(き)にてつくる 後漢(ごかん)の祭敬仲(さいけいちう)といふ人 始(はじめ)てつくるといへりむかしは 帛(きぬ)に物(もの)をかきしゆへに紙(かみ) といふ字(じ)糸篇(いとへん)をかける ○筆(ふで)は秦(しん)の蒙恬(もうてん)といふ人 つくりはじむとなり蒙恬(もうてん) 此(この)功(こう)によつて管城(くわんじやう)といふ 所に封(ほう)せらるよつて筆(ふで)の 異名(ゐみやう)を管城子(くわんじやうし)といふ ○硯(すゞり)は黄帝(くわうてい)玉(たま)をもつて 【下段】 紙(し)《割書: |かみ》  帋(し)同    牋(せん)《割書:し|き|し》 筆(ひつ)《割書:ふで》  筆管(ひつくわん)  《割書: ふでのぢく》    筆帽(ひつほう)《割書:ふでの| さや》 墨(ぼく) 《割書:もく》 すみ 硯(けん) 《割書:すゞ|  り》 研(けん)同 書(しよ) 《割書: ふみ》 本同  《割書:横|巻》  《割書:冊子》 裱(へう)《割書:へう| し》 【上欄書入れ】97      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙七         五 の汁(しる)なり膽礬(たんはん)なり○浮石(ふせき)かるいしは水花(すいくは)ともいふ水(みづ)のあわ化(け)して浮石(かるいし)となる 西国(さいこく)よりいづる○温石(をんじやく)は一/名(めい)烏滑石(うくはつせき)といふ和漢(わかん)ともにあり■(い)【硫ヵ】黄(わう)のある山より出(いづ) る正真(しやうじん)まれなり火(ひ)にあたゝめて熨(のす)ときはよく痼疾(こしつ)をいやし瘀血(をけつ)を散(さん)ず ○滑石(くはつせき)はかわきをとめ小べんをつうじ油(あぶら)のものにしみたるに滑石(くはつせき)をふりかくれば 油(あぶら)けとるゝ白色(はくしき)なる物よし○鼈(べつ)【鱉】甲(かう)たいまい也/鼈(べつ)【鱉】は海中(かいちう)の大かめなり甲(かう)をはぎて うすくすけば斑文(はんもん)いづるこれを櫛(くし)笄(かんざし)香盒(かうばこ)等(とう)のうつは物につくる玳瑁(たいまい)といふ も同し又/藥(くすり)に用(もち)ゆ○麒麟血(きりんけつ)は麒麟(きりん)の血(ち)なりといへとも麒麟(きりん)といふけだもの つねに有ものにあらず馬血(ばけつ)なり血(ち)とめによし○幣(へい)はにぎて𧸁(へい)【敝+貝】とも書(かく)葈(からむし)にて するを白和幣(しらにきて)といふ麻(あさ)にてするを青和幣(あをにぎて)といふ串(くし)をもつてはさむ神(しん) 前(ぜん)秡(はらひ)【「祓」の誤字ヵ異体字ヵ】の具(ぐ)なり手(て)ににぎるといふ義訓(ぎくん)なり○木綿襷(ゆふだすき)は幣(へい)をとる時(とき)にかく るたすきなり木綿(もめん)のくみひぼなりむかしは楮(かうつ)の皮(かわ)にてつくれる幣を白木(しらゆふ) 綿といふ○海(かい)塩(ゑん)【盬】しほ也/食(しよく)塩(ゑん)【盬】なり海中(かいちう)の潮(うしほ)をくんで竈(かま)にてにて塩(しほ)【盬】とす賢(しん)に入(いり) て歯(は)をかたくす鹵(ろ)あらしほ鹵(ろ)丘(きう)【坵】はしほしり塩盤(ゑんはん)はしほがま○石灰(せきくはい)は火(ひ)にて石(いし)を やきて灰(はい)となす毒(どく)あり一切(いつさい)の腫物(しゆもつ)を治(じ)す又/白堊(しらつち)にして壁(かべ)をぬる     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         一 【右頁上段】 はじめてつくり給ふといふ ○墨(すみ)は煤(すゝ)に膠(にかわ)を合(あはせ)てつくる 油煙(ゆえん)松煙(せうえん)あり子路(しろ)といふ 人つくりはじむといふ ○書(しよ)はむかしは竹(たけ)をあみ小(こ) 刀(がたな)にて彫付(ほりつけ)てこれを書(しよ)と すよつて巻(くわん)とも冊(さつ)とも云 ○裱(へう)は裱紙(へうし)なり書(しよ)のうは 紙(がみ)なり褾(へう)同/簽(せん)は外題(げだい)也 ○画(ぐは)【𦘕】は絵(ゑ)なり采(いろどり)たるを 絵(ゑ)といふ唐(もろこし)にては舜璵(しゆんきよ)日(につ) 本(ほん)にては雪舟(せつしう)今(いま)は狩野家(かのけ) 其外(そのほか)名人(めいじん)あり ○帙(じつ)は書(しよ)のうは包(つゝみ)なり袠(ぢつ) 同じ又/文巻(ふまき)文匣(ぶんかう)あり又 書(しよ)をすべて帙(じつ)ととなふ 【右頁下段】 𦘕(ぐは)【畫】 掛軸(くはちく)《割書:かけもの》 驚燕(きやうゑん)《割書:ふうたい》  帙(じつ) 《割書:ふ|ま|き》    簿(ほ) 印(ゐん)《割書:をして》  印色(いんしよく)《割書:いんにく》 扇(せん)《割書: あふぎ|箑(さう)同》 團扇(だんせん)《割書: |うちわ》    尺(しやく)《割書:ものさし|摺尺(せうしやく)》    暦(れき)《割書: |こよみ》 【左頁上段】 ○璽(じ)は王者(わうしや)の印(いん)なり玉 をもつてつくる庶人(しよじん)は金石(きんせき) にてつくる ○扇(あふぎ)は舜(しゆん)つくり給ふ共また 武王(ぶわう)つくり給ふともいへり日(につ) 本(ほん)にては神功皇后(じんぐうくわうこう)三韓(さんかん) 征伐(せいばつ)のとき蝙蝠(へんふく)の羽(は)を 見てつくりたまふ ○尺(しやく)は粟(あわ)より生(しやう)ず十/粟(ぞく) を分(ぶ)とし十/分(ぶ)を寸(すん)とし十 寸(すん)をを【「を」一字衍字】尺(しやく)とす尺(しやく)は人(ひと)の体(たい)を もつてはかる指(ゆび)を布(しゐ)て尺(しやく) を知(しる)股(ひぢ)【肘・肱の誤字ヵ】をのべて尋(ひろ)しる 尋(ひろ)は八尺なり ○簿(ぼ)は手板(しゆはん)なり事(こと)を書(かき) しるすものなり簿書(ほしよ)簿(ほ) 【左頁下段】 符(ふ)《割書:わりふ》    筭(さん)《割書: そろ|  ばん| |さんぎ》 几(き)《割書:をしま| づき》    如意(によい)    蝋燭(らうそく) 翳(ゑい)《割書:は|さしは》    拂塵(ふつじん)《割書:はいはらい| |ほつす》 【上欄書入れ】98      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         二 【右頁上段】 籍(せき)と云今いふ帳(ちやう)なり ○暦(こよみ)は黄帝(くわうてい)つくり給ふとも いふ又/容成(ようせい)つくるとも又/𦏁(ぎ)【羲】 和(くは)つくるともいへり ○符(ふ)は符契(ふけい)符信(ふしん)といふ わりふなり竹(たけ)長(なが)さ六寸にし て分(わけ)て相合(あいあはせ)て信(しん)とす又/木(き) にてもつくるなり ○几(き)は今いふつくゑなりまた 脇息(けうそく)なり憑几(へうき)なり又/几(き)に つくる ○筭(さん)は長(なが)さ六寸/暦数(れきすう)を もつてはかるものなり黄帝(くわうてい) のとき頴首(ゑいしゆ)【隷首ヵ】算数(さんすう)をつくる 筭(さん)はあやまりなり算(さん)につくるべし  ○蝋燭(らうそく)は蝋(らう)に油(あぶら)をいれてね 【右頁下段】 案(あん)《割書:つくゑ》    鐘(しやう)《割書:つりがね》    鐸(たく)《割書:すゞ》 笛(てき)《割書: |ふえ》 《割書:尺八(しやくはち)|《割書: 竪笛(しゆてき)》》  《割書:横(くわう)|笛(てき)》 風鈴(ふりやう) 《割書:鈴子(れいし)|《割書: すゞ》》    鈸(はつ) 《割書: | | |土(と)|拍(びやう)|子(し)》 【左頁上段】 り竹(たけ)の筒(つゝ)に入かため燭(ともしび)とす 銀蝋燭(ぎんらうそく)あり朱蝋燭(しゆらうそく)あり ○如意(によゐ)は木(き)竹(たけ)又/象牙(ざうげ)玳瑁(たいまい) などにてつくる物(もの)をわすれ まじきために書付(かきつけ)手(て)にもつ 物(もの)なり文殊(もんじゆ)の持(もち)給ふ物なり ○翳(ゑい)は天子(てんし)のうしろにかざす 物なり女嬬(によじゆ)の役(やく)なり ○払塵(ふつぢん)ははいはらひなり禅家(ぜんけ) には払子(ほつす)といふ揮指(しき)する具(ぐ) なり麈(しゆ)の尾(を)白熊(はぐま)にて作(つくる) ○案(あん)は今(いま)いふ几(つくゑ)なりふつくゑ 又/卓(しよく)ともいふ几案(きあん)ともいふ ○鐘(しやう)つきかねは十二/調子(てうし)の中(うち) 黄鐘(わうしき)の調子(てうし)をよしとすよ つて鐘(しやう)といふ 【左頁下段】 籥(やく) 《割書:こま| ぶえ》    鼓(こ)《割書:たいこ 大鼓(たいこ)なり》    鉦(しやう) 柷(しく) 簫(しやう)    笙(しやう) 《割書:管(くだ)》 《割書:匏(ほう)《割書:つぼ》》 《割書:簧(わう)《割書:した》》 【上欄書入れ】99      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         三 ○笛(ふえ)は篴(てき)同/漢武帝(かんのぶてい)の時(とき) 丘仲(きうちう)といふものつくれりと 云日本にては天(あま)の香久(かく) 山(やま)の竹(たけ)にてつくる ○鐸(たく)は金鐸(きんたく)は金鈴(きんれい)金舌(きんせつ)也 軍法(ぐんほう)にこれを用(もち)ゆ木鐸(ぼくたく)は 金鈴(きんれい)木舌(ぼくせつ)なり文(ぶん)教(かう)【けうヵ】に用(もち)ゆ ○鈴(れい)は風鈴(ふれう)なり一/名(みやう)簷鈴(ゑんれい) といふ○鈴子(れいし)はすゞなり一/名(みやう)を 円鈴(ゑんれい)といふ ○鈸(はつ)は僧具(そうぐ)なり銅鈸子(どうはつし)は土(と) 拍子(びやうし)なり南齊(なんせい)の穆七素(ほくしそ) といふ人(ひと)つくれり ○籥(やく)は高麗笛(こまぶえ)なりふく所 をのぞいて六の穴(あな)あり又/穴(あな)三 つあるもあり 【右頁下段】 磬(けい) 《割書:石(せき)|磬(けい)》  《割書:銅(どう)|磬(けい)》 律(りつ)《割書: |づだけ》    琴(きん)《割書:こ| と》    瑟(しつ)    筝(さう)《割書:さう| の|こ| と》 塤(けん)    鼗(たう)《割書: |ふり| つゞみ》 【左頁上段】 ○鼓(こ)は大鼓(たいこ)なり楽器(がくき)なり ○柷(しく)は木音(もくゐん)なり中(なか)に柄(え)有 これをうごかして左右(さゆふ)にうた しめて楽(がく)をおこすものなり ○鉦(しやう)は小鐘(ちいさきかね)なり楽器(がくき)なり 鼓(つゞみ)を節(ほとよく)し鼓(つゞみ)を止(やむる)ときうつ なり鐘鼓(しやうこ)となづく ○簫(しやう)は楽器(がくき)なり小竹管(せうちくくわん)を あみてつくる鳳凰(ほうわう)の翼(つばさ)にか たどる大(おほひ)なるは二十三/管(くわん)長(なが)さ 尺(しやく)四寸/小(せう)なるは十六/管(くわん)長(なが)さ 尺(しやく)二/寸(すん)なり ○笙(しやう)は女媧(ちよくは)これをつくる大(たい) 笙(しやう)は十九/簧(わう)小笙(せうしやう)は十三/黄(わう) ○磬(けい)は冉句氏(せんこうし)【冉は毋ヵ。母句氏】のつくりはしめ たるものなり石磬(せきけい)あり銅(とう) 【左頁下段】 篳篥(ひちりき) 敔(ぎよ)《割書:さゝら》 琵(び) 琶(わ)     撥(ばち) 《割書:琵琶撥(ひわのばち)|三(さん)|絃(けんの)|撥(ばち)》 三絃(さんけん) 《割書:さみ| せん》    柱(ちう)《割書: | |こと|  ぢ》 阮(けん)《割書:阮咸(けんかん)|  月琴(げつきん)》 【上欄書入れ】100      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         四 【右頁上段】 磬(けい)あり磬(けい)をかくるものを簨(しゆん) 簴(きよ)といふ ○律(りつ)は楽器(がくき)なり陽律(やうりつ)六/陰(ゐん) 律(りつ)六/合(あはせ)て十二/律(りつ)なり六/律(りつ) 六/呂(りよ)ともいふ黃帝(くわうてい)の臣(しん)作(つく)る ○琴(きん)はむかし五十/絃(けん)あり 後(のち)に二十五/絃(けん)となる今は十 三/絃(けん)あり日本(につほん)にては天(あま)の 香弓(かゆみ)をならべ絃(つる)をかけて ならしはじむ ○瑟(しつ)は絃(けん)数(かず)多少(たせう)あり大瑟(たいしつ) は五十/絃(けん)なり舜(しゆん)これを作(つくる) ともに楽器(がくき)なり大なるを 瑟(しつ)といふ小なるを琴(きん)と云 ○筝(さう)は秦(しん)の蒙恬(もうてん)つくり出(いだ) せり長(たけ)一/尺(しやく)絃(けん)十三/絃(けん)柱(ちう)の 【右頁下段】 軫(しん) 《割書:琵(び)|琶(わの)|軫(しん)| |琴軫(ことのしん)》    枹(ふ) 《割書:大鼓枹(たいこのばち)|羯鼓枹(かつこのばち)》 《割書:かけ|づめ》 繫爪(けいそう)    銅鉢(とうはち)《割書:きん》 羯(かつ) 鼓(こ)    腰鼓(えうこ) 銅(とう) 鑼(ら) 【左頁上段】 高(たか)さ三寸十一二三の三/絃(けん)を 斗(と)為(い)巾(きん)といふ  ○塤(けん)は土(つち)をやいてこれをつく る六の孔(あな)ありてこれをふく 楽器(がくき)なり ○鼗(たう)は鞉(てう)【たうヵ】と同(おな)じ楽器(がくき)也 一名を揺鼓(ようこ)といふふりつゞみ ○篳篥(ひちりき)は一名/笳管(かくわん)と云 楽器(がくき)なり胡人(こひと)ふいて馬(むま)を おどろかす ○敔(ぎよ)は木虎(ぼくこ)なりせなかに くひちがひをきざみ木(き)を以(もつ) てこれをすりて楽(がく)をやむ るものなりさゝらなり竹(たけ)を 破(わり)てもつくるなり ○琵琶(びわ)は長(たけ)三/尺(じやく)五寸四/絃(けん)也 【左頁下段】 假面(かめん) 《割書:まひの| おもて》 雲版(うんはん) 《割書:ちやう| はん》 喇叭(らは) 《割書:  嗩吶(さのう)【さとつヵ】| 喇叭|銅角(とうかく)》 【上欄書入れ】101      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         五 【右頁上段】 下(しも)より逆鼓(さかさまにひく)を琵(ひ)といふ 上(かみ)より順鼓(しゆんにひく)を琶(わ)といふ一名 胡琴(こきん)漢(かん)の王昭君(わうせうくん)ひけり ○阮咸(けんかん)は四/絃(けん)十/柱(ちう)あるひは 五/絃(けん)十三/柱(ちう)なり月琴(げつきん)同し ○三絃(さんけん)は三味線(さみせん)なり三絃(さんけん) 子(し)といふ琉球国(りうきうごく)より渡(わた)りし 楽器(がくき)といふ ○撥(ばち)は琵琶(ひわ)の撥(ばち)三絃(さんけん)の撥(ばち) 羯鼓(かつこ)の撥(ばち)みなかたちもちが ひ文字(もんじ)もちがひ有/棙(れい)同(おなし) ○柱(ちう)は琵琶(びわ)にては柱(ちう)ととな へ琴(こと)にてはことぢといふかたち すこしちがひあり ○軫(しん)は琴軫(きんしん)転手(てんじゆ)なり琵(び) 琶(わ)三味線(さみせん)ともにあり 【右頁下段】 風(ふう) 鐸(たく)《割書: はう| ちやく》 棊(き) 《割書: ご》 六采(ろくさい) 《割書:すご| ろく》 象(しやう) 棊(ぎ) 枰(へい)《割書:ごはん》 簺(さい) 《割書:骰子(たうし)》 【左頁上段】 ○枹(ふ)は大鼓(たいこ)のばちなり桴(ふ) とも書(かく)べし棙撥(れいはつ)は琵琶(びわ)の 撥(ばち)又/三味線(さみせん)の撥(ばち)なり ○繋爪(けいさう)はことのつめなりかけ つめといふ義甲(ぎかう)仮甲(かかう)なら びに同し ○銅鉢(とうばち)は僧家(そうけ)には磬(きん)といふ きんは唐音(とういん)なり ○羯鼓(かつこ)は楽器(がくき)なり唐(とう)の玄(げん) 宗(そう)よくうちて花(はな)を催(もよほ)す ○腰鼓(ようこ)は腰前(ようぜん)にさしはさむ つゞみなりつねの鼓(つゞみ)を指鼓(しこ) といふ ○銅鑼(どら)は今(いま)いふさふらなり 楽器(がくき)なり一/説(せつ)に臍(へそ)ある鉦(しやう)と いへり 【左頁下段】 鞠(きく)《割書:まり》    硯屏(けんびやう)    書鎮(しよちん) 壓(あつ) 尺(しやく) 《割書:け|さ|ん》 水(すい) 滴(てき)    水中丞(すいちうぜう) 爪杖(さうぢやう) 《割書: まごのて》    筆架(ひつか) 【上欄書入れ】102      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         六     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         六 【右頁上段】 ○仮面(かめん)は今いふ舞(まひ)の面(おもて)なり 代面(たいめん)とも戯面(きめん)ともいふ能(のう)又は 楽(がく)に着(き)るなり ○雲版(うんはん)はちやうはんなり飯斉(はんさい) の時(とき)大衆(たいしゆ)をあつむるときう つものなり ○嗩吶(さのう)は大平簫(たいへいしやう)といふふえ なり嗩哪(さの)鎖(さ)■(の)【口偏+柰。柰=奈、「㖠」ヵ】ならびに同 ○喇叭(らは)◦銅角(とうかく)ともに唐人(とうじん) ぶゑなり又/唐音(とうゐん)にてちやる めろといふ ○風鐸(ふうたく)は宝鐸(ほうちやく)なり又は檐(ゑん) 鐸(たん)ともいふ堂(だう)の檐(のき)にあり ○棊(ご)【碁】は帝尭(ていぎやう)つくり始(はじめ)給ひて 子(こ)の丹朱(たんしゆ)にをしへ給ふ所なり 黒白(こくびやく)の石(いし)は昼夜(ちうや)にかたどり 【右頁下段】 界(かい) 方(ほう) 《割書:ひ|ぢ|や|う|ぎ》 眼鏡(がんきやう) 《割書:め|が|ね》    燭臺(しよくだい)    燭奴(しよくど) 燈(とう)《割書:ともしび》    燈檠(とうけい) 燭(しよく) 剪(せん) 《割書:しんきり》 油(ゆ) 瓶(ひやう) 《割書:あぶら| がめ》 【左頁上段】 三百六十は日(ひ)の数(かず)を表(ひやう)する なり碁(ご)いしを碁子(きし)といふ 碁笥(ごけ)を碁奩(きれん)といふ ○枰(へい)は碁盤(ごばん)なり又/棊局(ききよく) ともいふ棊盤(ごばん)の目(め)を路(ろ)と云 棊石(こいし)を子(し)といふ棊笥(ごげ)を 奩(れん)といふ ○六/采(さい)は双六(すごろく)なり黒白(こくびやく)の石(いし) は昼夜(ちうや)なり十二の目は十二月 なり盤(ばん)を局(きよく)といふ ○簺(さい)は日月の二つに表(ひやう)す四 角(かく)は四/方(はう)にかたどる骰子(たうし)は 筒(つゝ)なり杸子(とうし)【投子】同 ○象(しやう)棊(ぎ)【棋】は周公旦(しうこうたん)作(つくり)出して成王(せいわう)に 教(をし)へ給ふとなり大中小の将棊(しやうぎ)有 又摩訶陀象戯(まかだしやうぎ)といふもあり 【左頁下段】 燈籠(とうろう)    挑燈《割書:ちやうちん》 提燈(ていとう)《割書:ちやうちん》 方(はう) 燈(とう)《割書:あんどう》 烟火(ゑんくは) 《割書:はな|  び》 《割書: びん|  さゝ|   ら》 拍板(はくはん) 【上欄書入れ】103      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         七     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         七 【右頁上段】 ○鞠(まり)は蚩尤(しゆう)が頭(かうべ)をかたどり て蹴(ける)なり飛鳥井(あすかゐ)どのこの 家(いゑ)なり地下(じげ)には左近(さこん)と云 ものあり ○硯屏(けんべう)は硯(すゞり)のむかふにたつ る屏風(べうぶ)なり硯(すゞり)の墨(すみ)を風(かぜ) にかはかせまじきため又/塵(ちり) ふせぎなり ○書鎮(しよちん)は風(かぜ)ふくときの書 おさへなり文鎮(ぶんちん)とも圧(あつ)【壓】書(しよ) ともいふ ○圧(あつ)【壓】尺(しやく)は卦筭(けさん)なり具足(ぐそく) の草摺(くさずり)を卦筭(けさん)といふかた ちににたれは卦筭(けさん)といふ ○水滴(すいてき)みづいれは硯(すゞり)のみづいれ なり玉蟾蜍(きよくせんぢよ)ともいふ蟾蜍(ひきがへる) 【右頁下段】 香(かう) 爐(ろ) 《割書:香鼎  香猊(かうけい)|香鴨(かうあう)  香毬(かうきう)》 香(かう) 盒(がう) 線(せん) 香(かう) 香(かう) 案(あん)    筋瓶(ちよびやう) 【左頁上段】 のかたちにつくる水いれ也 又/硯滴(けんてき)ともいふ ○爪杖(さうじやう)は掻杖(さうじやう)ともいふ麻(ま) 姑(こ)といふ仙女(せんぢよ)の手(て)鳥(とり)の爪(つめ) のごとしよつて麻姑(まご)の手(て) ○筆架(ひつか)は筆(ふで)もたせなり 筆格(ひつかく)筆峰(ひつほう)筆山(ひつさん)とも云 ○界方(かいはう)は今(いま)いふ樋定木(ひでうぎ) なり ○眼鏡(かんきやう)はめがねなり靉靆(あいたい) ともかくなり ○燭台(しよくだい)は蝋燭(らうそく)たてなり又 燭架(しよくか)ともいふかたちさま〴〵 かはりあり ○燭奴(しよくど)はらうそくたてに人(にん) 形(ぎやう)あるをいふなり 【左頁下段】 薫(くん) 籠(ろう) 《割書:ふ|せ|ご》    佩香(はいかう) 《割書:にほ|ひ| の|たま》 毬杖(きうちやう)《割書:ぎつちやう》 空鐘(くうしやう) 《割書:たう| こま》 投壺(とうこ)《割書:つぼなげ》 香(かう) 餅(べい) 《割書:たどん》 【上欄書入れ】104  【柱】頭書増補訓蒙図彙八         八     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         八 【右頁上段】 ○燈(とう)は灯(とう)同し燈盞(とうさん)はあぶ らつき燈心(とうしん)は燈柱(とうしゆ)ともいふ 燈花(とうくは)はちやうじかしら ○燈檠(とうけい)は長檠(ちやうけい)あり短檠(たんけい) あり灯台(とうだい)といふもありまた 灯架(とうか)といふ ○燭剪は今いふしんきりなり ○油瓶(ゆへう)は今(いま)いふあふらさし なり又/油注(ゆちう)ともいふ ○燈籠(とうろう)は燭篭(しよくろう)とも灯毬(とうきう)と もいふ又/灯篝(とうこう)ともいふ ○挑燈(ちやうちん)は丸(まるき)を俗(ぞく)に酸槳(ほうづき)挑(ちやう) 灯(ちん)といふ紗(しや)にて張(はり)たるを 紗篭(しやらう)といふ ○方燈(はうとう)は今(いま)いふ行燈(あんとう)なり四 方なるゆへ方燈(はうとう)といふ紗(しや)にて 【右頁下段】 爆竹(はくちく)《割書:さぎちやう》    竹馬(ちくば)《割書: | | |たけ| む|  ま》 紙(し)  鳶(ゑん) 《割書:いかの|  ぼり》    木偶(もくぐう)《割書:にん|   ぎやう》 風車(ふうしや)《割書:かざ|  ぐる|   ま》    陀螺(だら)《割書:ぶしやうご|     ま》 【左頁】 ○はるを紗篭(しやろう)といふ○提燈(ていとう)は今(いま)いふ挑灯(ちやうちん)なり懸火(けんくは)ともいふ○烟火(えんくは)ははなびなり花炮(くはほう) ともいふ地鼡(ちそ)花兒(くはじ)流星(りうせい)走線(そうせん)なとの名あり○柏(はく)【訓蒙図彙では「拍」】板(はん)は今(いま)いふびんざゝらなり又/柏(はう)【訓蒙図彙では「拍」】子(し)と もいふ○香炉(かうろ)は薫炉(くんろ)ともいふ又は香(かう)晢(てい)【鼎ヵ】香猊(かうけい)香鴨(かうあう)などの名(な)ありかたちによつて名 のかはりあり香毬(かうきう)は俗(ぞく)にまはり香炉(かうろ)○香毬(かうきう)はてまりのごとくなるをいふまはり香炉(かうろ)なり 鴨(かも)のかたちにつくりたるを香鴨(かう〳〵)といふ○香盒(かうがう)は香(かう)ばこなり漆盒(しつかう)磁盒(じかう)および金銀(きん〴〵)銅(どう) 錫(しやく)等(とう)にてつくる○香案(かうあん)は今(いま)いふ卓(しよく)なり又は香几(かうき)といふ○線香(せんかう)は線(せん)はいとすじとよむ いとすじのごとくなる香(かう)なり炷香(しゆかう)ともいふなり南京(なんきん)よりきたる○筋瓶(じよへい)はひばし をさすものなり火筋(ひばし)をこぢといふ火筋(こぢ)をさしはさむものなりと○薫籠(くんろう)は今(いま) いふせごなり又/火篭(くはろう)とも衣篝(いかう)ともいふ○佩香(はいかう)は今(いま)いふにほひのたまなり腰(こし) におぶるものなり香嚢(かうのう)はにほひぶくろ○毬杖(きちやう)は蚩尤がかうべにかたどりて正月にうつ なり玉毬春(たまきはる)ともいふ○空鐘(くうしやう)はとうこまなり独楽(とくがく)ともいふ小児(せうに)のもてあそびもの なり○香餅(かうへい)は今(いま)いふ炭団(たんどん)なり又は炭餅(たんへい)ともいふ火(ひ)いけなり又/炭墼(たんげき)とも炭麟(たんりん) ともいふ○投壺(たうこ)はもろこしの射法(しやほう)なり壺(つぼ)に矢(や)をなげいるゝ事(こと)なり○爆竹(はくちく) は竹(たけ)の火(ひ)にもゆる声(こゑ)このこゑをきゝて役鬼(えきき)おそるとよつて年(とし)のはしめに 爆竹(さぎちやう)すとなり又/天竺(てんぢく)より中国(ちうごく)へ仏経(ぶつきやう)わたりしとき仏経(ぶつきやう)を左(ひたり)道経(どうきやう)を 右(みぎ)にをき火(ひ)をかけたれば仏経(ぶつきやう)やけずよつて左(さ)の義長(ぎちやう)ずるとて左義長(さぎちやう)ともいへり 【上欄書入れ】105      【柱】頭書増補訓蒙図彙八         九     【柱】頭書増補訓蒙図彙八         九 ○竹馬(ちくば)はわらんべのたわむれなりいとけなきときの友(とも)を竹馬(ちくば)の友といふなり ○紙鳶(しゑん)はいかのぼりなり紙鴟(しし)風鳶(ふうゑん)ともいふ声(こゑ)あるを風筝(ふうさう)といふ○木偶(もくくう)は木(き)にてつくりたる人形(にんぎやう)をいふ土(つち)にてつくりたるを土偶人(どくうじん)といふ紙(かみ)にてつくりたるを紙偶人(しくうじん)と云 ○風車(ふうしや)はかざぐるまなり○陀螺は今いふぶしやうごまなり辺土(へんど)の小児(しやうに)のもてあそぶもの也 頭書増補訓蒙図彙(かしらがきぞうほきんもうづゐ)巻之九   器用(きよう) 《割書:注(ちう)前(まへ)に見(み)へたり》 【上段】 ○幢(とう)は翳(ゑい)なり旗(き)旂(き)のた ぐひなり楚(そ)には幬(とう)といふ 關(くわん)の東西(とうせい)には幢(とう)といふ ○銅雀幢(とうしやくとう)は幢(はた)のかしら に雀(すゞめ)を銅(あかゞね)にてつくりたる なり此(この)幢(はた)にてまねくとき ははやくきたること雀(すゞめ)のごと くなりとかや ○幡(はた)は兵家(へいか)に立(たつ)るはたなり 源家(けんけ)は白(しろ)平家(へいけ)は紅(もみ)藤氏(ふぢうち) は水色(みづいろ)橘家(たちばなけ)は黄色(きいろ)なり 其外(そのほか)は家々(いゑ〳〵)のこのみによるなり 【下段】 幢(とう)《割書:はた》 《割書:羽葆幢(うはうとう)|銅雀幢(とうぢやくとう)》    纛(たう)《割書:はた》 幡(ばん)《割書:はた》 《割書:兵幡(へいはん)|佛幡(ぶつはん)》  【上欄書入れ】Fasc.5   5  106     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         一 ○纛(とう)は皂(しろ)【「皂(くろ)」の誤りヵ】糸にてつくる 蚩尤(かうゆう)【元禄八年版では「蚩尤(しゆう)」】が首(くび)ににたり黄帝(くわうてい) のとき玄女(げんぢよ)これをつくる ○旗(き)ははたの惣名(さうみやう)なりと 黄帝(くわうてい)よりはじまる軍将(くんしやう) のたつる所なり幟(し)ははた じるし旈(りう)ははたあしなり ○冑(かぶと)は兜䥐(とうほう)といふ黄帝(くわうてい) これをつくり給ふ■(しころ)【韋+每。𩊱ヵ】の板(いた)の 数(かず)にて何(なん)■(まい)【韋+每。𩊱ヵ、枚ヵ】冑(かぶと)といふ ○鎧(よろひ)は金物(かなもの)は十三所/上座(しやうざ)上(あげ) 巻(まき)矢返(やがへし)志加(しか)【志加は執加緒の執加(しか)ヵ】の鐶(くわん)水呑(みづのみ)の 鐶(くわん)再幣付(さいはいづけ)等(とう)こと〴〵 くそなはれり故(ゆへ)に具足(ぐそく) といふ ○鉾(はう)は長(なが)さ二/丈(じやう)兵車(へいしや)に 【右頁下段】 旗(き)《割書:はた》  《割書:幟(し)《割書:はた| じる|  し》》 冑(ちう) 《割書:かぶと》 鎧(き)《割書:よろ|  ひ》 鉾(ほう)《割書: |ほこ》 鎗(さう)《割書:やり》 鈇(ふ)《割書:をの》 鉞(ゑつ)《割書:まさ| かり》 【左頁上段】 たつるものなり矛(はう)同 ○鎗(やり)は応仁(おうにん)分明(ぶんめい)の比(ころ)より つくり始(はじめ)たり唐(もろこし)にては黄(くわう) 帝(てい)蚩尤(しゆう)たゝかひの時(とき)始(はじま)る ○鉞(ゑつ)は斧(をの)の大(おほい)なるものなり 重(おも)さ八/斤(きん)あり柯(え)大なり ○刀(かたな)は黄帝(くわうてい)首山(しゆさん)の銅(あかゞね)を とつて始(はじめ)て鋳(い)て刀(かたな)とす ○短刀(たんたう)は能太知(のだち)今(いま)いふわき ざしなり ○楯(たて)は榎木(ゑのき)樟木(くすのき)等(とう)を もつて作(つく)るあつさ三四五 寸はゞ一二尺の内外(うちそと)長(ながさ)三 五尺/盾干(しゆんかん)樐(かつ)【訓蒙図彙では「樐(ろ)」】牌(はい)並同 ○柄(へい)は剣(けん)【劔】頭(とう)なりつかといふ 鎗(やり)長刀(なぎなた)にてはゑといふなり 【左頁下段】 刀(たう)《割書:かたな》《割書:長刀《割書:ながたち》|短刀《割書:のだち》》 楯(しゆん)《割書:たて》 柄(へい)《割書: |ゑがら》 《割書:つか  から|え   かひ》 䂎(さん)《割書:いし| づき》 《割書:鐏《割書:そん》|䥞(けう)【訓蒙図彙は「鐓(たい)」】》 戈(くわ)《割書:ほこ》 戟(げき)《割書:ほこ》 【上欄書入れ】107     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         二 【右頁上段】 桿(かん)同 ○鐏(そん)は柄(え)の底(なみ)【そこヵ】の鋭(するど)なるを云 ○鐓(たい)は柄(え)の底(なみ)【そこヵ】の平(たいら)なるを いふともにいしつき ○戈(くは)は双(ならび)たる枝(ゑだ)あるを戟(げき)と し単枝(ひとつゑだ)を戈(くは)といふ ○戟(けき)は両辺(りやうへん)へよこに出(いで)たる刃(やいば) 長(なが)さ六/寸(すん)中(なか)の刃(やいば)長(なが)さ七寸 半(はん)よこの刃(やいば)柄(え)にまじはる 所/長(ながさ)四/寸(すん)半(はん)ひろさ寸(すん)半(はん) ○剣(けん)【劔】は葛天盧(かつてんろ)の山(やま)をあばひ て金(きん)を出(いだ)す蚩尤(しゆう)うけて 剣(けん)【劔】をつくるこれ剣(けん)【劔】のはじ めなり ○鞘(さや)は鞩(さや)とも遰(さや)とも書(かく)べし 刀室(とうしつ)なり𩏪(たく)【韋+睪】䪝(ご)はをひとり 【右頁下段】 劔《割書:けん|つるぎ》 鐔(たん) 《割書:つば》 鞘(せう)《割書: |さや》 𣠽(は)【木+覇】 《割書: つか》 矢(し)《割書: |や》  靫(た)《割書:うつ|  ぼ》  鏃(ぞく)《割書:|やじり》 【左頁上段】 鏢(へう)はこじり ○鐔(たん)は剣(けん)【劔】鼻(び)人(ひと)のにきる所 の下にあるよこに出るもの也 鍔(がく)同 ○𣠽(は)【木+覇】は杷(つか) 柄(つか)同/琫(こいぐち)【鯉口】鐺(こじり)栗(くり) 形(かた) 切羽(たつは)【せつはヵ】 反角(かへりつの) 裏瓦(うらのかはら) ○矢(や)は牟夷(はうゐ)といふ人/初(はじめ)てつくる 箭(せん)同/矢(や)はたけ三/尺(しやく)羽(は)六/寸(すん) 箆(の)簳(から)筈(はづ) ○鏃(やじり)は鏑根(やしりね)等(とう)の名(な)あり そのほか雁(かり)【鴈】また蟇目(ひきめ)猪(ゐの) 目(め)等(とう)あり ○靭(うつぼ)【靱】は箭(や)をもる室(いへ)なり又 箭(や)を入(いる)る所を空(うつ)といふ上(うへ)に 穂(ほ)を付(つけ)たるゆへ空穂(うつぼ)と云 ○平(ひら)箙(やなぐひ)はかたち平(たいら)なるゆへ 【左頁下段】 箙(ふく)《割書:やなぐひ》  《割書:つぼやなぐひ》 《割書:ひら| やなぐい》  《割書:ゑびら》 垛(た) 《割書:あ|づち》 的(てき) 《割書:ま| と》 韝(こう)《割書:ゆごて》 韘(てう) 《割書: ゆがけ》 弓(きう)《割書:ゆみ》 《割書:   彇(ゆはづ)弣(ゆづか)弦(ゆづる)幹(ゆがら)弓袋(ゆぶくろ)》 銃(しう) 《割書:てつ|は| う》 【上欄書入れ】108     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         三 【右頁上段】 の名(な)なり弓矢(ゆみや)を入(いる)る ものなり ○壺箙(つぼやなぐゐ)は弓矢(ゆみや)をもる物 なりかたち壺(つぼ)のごとくな るゆへつぼやなぐゐと名(な) づくゑひらともいふ ○箙(ゑびら)は弓矢(ゆみや)をもるうつは 物(もの)なり獣皮(けだものゝかわ)をもつてつく る胡籙(やなぐゐ)も同(おな)じ箙(ゑびら)に矢(や) をさす事(こと)廿四すぢ又五 筋(すぢ)もさすなり ○弓(ゆみ)は黄帝(くはうてい)つくり始(はじめ)給ふ 日本(につほん)にては神代(かみよ)より始(はじめ)る ○的(まと)は尭(ぎやう)舜(しゆん)のときより はじまる大的(おほまと)小的(こまと)あり ○𢁿(せい)【巾+正】臬(けつ)同し 【右頁下段】 砲(はう) 《割書:いし| はじ|  き》 長劔(ちやうけん)《割書:なぎなた》 鋼叉(かうさ)《割書:十もんじ》 鐵(てつ) 杷(は)  《割書:つくぼう》 弩(と)《割書:おほ| ゆみ》  火箭(くわせん)《割書:ひや》 鐵鞭(てつへん)《割書:かなむち》 【左頁上段】 ○韘(ゆがけ)は的(まと)韘(ゆがけ)は右(みぎ)の手(て)ばかりに かくるなり三/指(し)にさすは略(りやく) 用(よう)なり弽(せう)同 ○韝(ゆごて)は射(いる)とき左(ひだり)の臂(ひぢ)を つゝむ弦(つる)を利するものなり 捍(かん)同 ○垛(た)は的をたつるあづち なり又/垜(だ)とも書(かく)べし 寸法(すんほう)射家(しやけ)に定(さだまり)あり ○銃(じう)は鉄炮(てつはう)なり鳥銃(てうじう)と いふ波羅多国(はらだこく)【ナバラ王国】の仏来釈(ぶつらいのしやく) 古(こ)【フランシスコ 】といふものはじめて作(つく)る ○砲(はう)は機(き)をもつて石(いし)を発(はつ) して城(しろ)をせむるの具(ぐ)なり ○長剣(ちやうけん)【劔】今(いま)いふ長刀(なぎなた)なり 薙刃(なぎなた)【䉜刄】とも偃月刀(なぎなた)眉尖刀(なぎなた) 【左頁下段】 鞍(あん)《割書:くら》    鐙(とう)《割書: |あぶみ》 銜(かん) 《割書:くつ|  わ》 鏕(へう)【鑣(へう)の誤りヵ】 《割書:くつわの|  かゞみ》 鞦(しう) 《割書:しり| がい》 䪊(りう)《割書:おも|がい》    鞭(べん)《割書: |むち》 【上欄書入れ】109      【柱】頭書増補訓蒙図彙九         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         四 【右頁上段】 とも書なり ○鋼叉(かうさ)今(いま)いふ十/文字(もんじ)の鎗(やり) なり又/鏜釵(とうさ)といふ ○鉄杷(てつは)は釠棒(つくばう)鉄鈀(てつは)同 ○弩(と)は黄帝(くはうてい)つくり給ふ又 楚(そ)琴氏(きんし)始(はじめ)てつくるともいへ り弓(ゆみ)をよこたへ臂(ひぢ)につけ機(き) をほどこし郭(くわく)をもふけ是(これ) に加(くはふ)るに力(ちから)をもつてす ○火箭(ひや)は敵(てき)【歒】の陣屋(ぢんや)へ射(ゐ) てやぐらをやくものなり炮(はう) 樚火矢(ろくひや)大国火矢(たいこくひや)などゝて あるなり ○鉄鞭(てつべん)は雑色(ざうしき)のもつかな ぼうなりかなぶちといふ ○鞍(くら)は■(あん)【穴+革。鞌ヵ】同鞍橋(あんきやう)くらぼね 【右頁下段】 韁(きやう) 《割書:たづ| な》    屧脊(せうせき)《割書:はだ| つけ》    障泥(しやうでい)《割書:あをり》 鉗(けん) 《割書: |くび| がね》 枷(か)《割書: |くびかし》    發貢(はつこう)《割書:いし| びや | 》 【左頁上段】 鞍(くら)は三/代(たい)のとき制(せい)す鞍(くら)に 名所(なところ)多(おほ)し今(いま)略(りやくす)_レ之(これを)鞍褥(あんにく) くらしき鞍被(あんひ)は鞍(くら)おほひ 綏(すい)はしほてなり ○鐙(あふみ)は鐙(あふみ)の頸(くび)逆靻(ちからかわ)をかく る所を鉸具(かく)といふ頸(くび)の 輪(わ)を鉸具頭(かぐがしら)といふ ○銜(かん)はくゝみ又はくつばみとも いふ馬銜(ばかん)なり又は馬勒(ばろく)啣(かん) 鉄(てつ)ならびに同し馬口(ばこう)の うちにあり俗(ぞく)にくゝみと云 ○鑣(せう)は馬口(ばこう)のほかにあり俗(ぞく) にくつわのかゞみといふ又響(きやう) 鉄(てつ)ともいふ轡(ひ)同 ○鞦(しりがい)は馬(むま)の尾(を)の間(あいだ)をはさ むものなり䋺(しう)同/当胸(むながい)【當胷】 【左頁下段】 笞(ち)《割書:しもと》 杖(ぢやう)《割書:つえ》 棒(はう)《割書:ぼう》 《割書:棒|棍(こん)》 吾杖(ごぢやう) 鹿(ろく) 砦(さい)《割書:さかもぎ》    碇(てい)《割書:いかり》 【上欄書入れ】110      【柱】頭書増補訓蒙図彙九         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         五 【右頁上段】 腹帯(はらおび) ○䪊(おもがい)は馬(むま)の頭(かしら)をまとふ飾(かざり) なり又/絡頭(らくとう)とも書(かく)べし ○鞭(むち)は策(むち)筴(むち)同又/檛(むち)と も書(かく)べし馬(むま)のむちなり ○韁(きやう)は手綱(たづな)なり口(くち)にある を鞿(き)といふ八/尺(しやく)又は九尺二 三/寸(すん)のものなり ○屧脊(せうせき)は鎧(よろひ)のしたにきる はだつけなり鉄(てつ)にてつくる ○障泥(しやうでい)は鞍(くら)のかざりなり韂(せん) 𩍲(し)【革+𤕨(爾の異体字)】同/熊(くま)鹿(しか)の皮(かわ)にて作(つく)る ○鉗(けん) 枷(か)ともに罪人(つみひと)を禁(きん) 獄(ごく)する具(ぐ)梏(くびかせ)【てかせヵ。くびかせは鉗・枷等】桎(てがせ)をくはへて 三ツ道具(どうぐ)といふ ○枷(か)はくびかしなり脚械(そくかい)とも 【右頁下段】 輿(よ)《割書: |こじ》 兜(とう)《割書:たご|し》 車(しや) 《割書:きよ》《割書:くる|  ま》    輦(れん)《割書:てぐる|   ま》 【左頁上段】 いふ梏(こう)は手がしなり手械(しゆかい)と もいふ ○発貢(いしびや)は西漢(せいかん)といふ州(くに)より つくりはじむ南蛮(なんばん)より房(はう) 酉(いう)といふもの日本(につほん)に献(けん)ず ○笞(ち)はしもとなり杖(じやう)はつえ なり ○棒(はう) 棍(こん)も棒(ばう)なり 吾杖(ごじやう)は今(いま)いふ切木棒(きりこのばう)也 ○飄石(へうせき)は今(いま)いふづんばいなり 又/礫(づん)■(ばい)【礫碆ヵ】とも書(かく)べし ○鹿砦(ろくさい)は■(いばらの)【木+棘。棘ヵ】木(き)なり地(ち)に うへて人馬(にんば)のあゆみをさま たげて軍(いくさ)の要害(ようがい)とす ○碇(いかり)は舟(ふね)を鎮(しづ)むる石(いし)なり といへり𦩘(てい)【舟+定】同(おなじ)いかりなり 【左頁下段】 輞(まう)《割書:おほわ》 輪(りん)《割書:わ》 轂(こく)《割書:こし|  き》 軸(ちく)  《割書:よ|こ|か|み》 轅(ゑん) 《割書:なが| え》 桊(けん)《割書: |はなぎ》    輻(ふく)《割書: |や》 【上欄書入れ】111      【柱】頭書増補訓蒙図彙九         六     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         六 【右頁上段】 纜(ともつな)𥾣【糸+支】《割書:ひきづな》 ○車(くるま)は少昊(しやうかう)のとき牛(うし)を駕(か) し禹(う)のとき馬(むま)を駕(か)す今(いま) 図(づ)する所は日本(につほん)の五緒(ごしよ) 車(くるま)なり天子(てんし)女御(にようご)など乗(のり) たまふくるまなり ○輦(れん)は天子(てんし)ののり給ふ御(み) 輿(こし)なり御輦(ぎよれん)とも玉輦(ぎよくれん)と もいふ又/鳳輦(ほうれん)ともいふ ○輿(こし)は手輿(たこし)なり肩(かた)にのせ かくを肩輿(けんよ)といふ竹(たけ)にて あみたるを竹輿(ちくよ)といふ今(いま) いふかごなり ○兜(とう)は手(た)がしなり兜橋(とうきやう) とも腰輿(ようよ)ともいふ和尚(おしやう)上人(しやうにん) 国師(こくし)禅師(ぜんじ)などのる輿(こし)也 【右頁下段】 軛(やく) 《割書:く| び|  き》    棧車(さんしや)《割書:に|くる| ま》 籃輿(かんよ)【らんよヵ】《割書: |あん|  だ》    柁(た)《割書: |かぢ》 㯭(ろ) 棹(たう)《割書:かい》  【左頁上段】 ○輞(まう)は車(くるま)の輪(わの)外(そと)のかこみ なり大輪(おほわ)なり輮牙(しうか)と云 ○輪(わ) 車輪(しやりん)は古(いにしへ)の聖人(せいじん)轉(てん) 蓬(ほう)を見(み)て車(くるま)をつくる ○轂(こしき)は輻(や)の湊(あつまる)所/轂口(こくこう)の錧(てつ) をは釭(こう)といふ ○軸(ぢく)は車(くるま)の輪(わ)をもつもの なり轄(かつ)はくさひなり ○轅(ながへ)は車(くるま)の前(まへ)の曲(まがり)たる木(き)を いふ輈(しう)同 ○桊(けん)は牛(うし)の鼻(はな)をつらぬく ものなり牶(けん)■(けん)【龹+石+廾。𢍕[卷+廾]ヵ】並同 ○輻(や)は轂(こしき)につく三十の木(き)也 ○軛(やく)は牛(うし)の頸(くび)にかゝる所なり 軛(やく)衡(かう)ならびに同 ○桟車(さんしや)今(いま)いふにぐるまなり 【左頁下段】 艇(てい) 《割書:を|ぶね| |はや|ふね》 檣(しやう)《割書: | |ほばし|   ら》    帆(はん)《割書:ほ》    艜(たい)《割書: |ひらた》 舶(はく) 《割書:ふ| ね》 舟(しう) 《割書: ふね》 【上欄書入れ】112      【柱】頭書増補訓蒙図彙九         七     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         七 【右頁上段】 役車(えきしや)を車なり ○籃輿(かんよ)【らんよヵ】は今(いま)いふあんだ あをだなり箯輿(べんよ)竹輿(ちくよ) 同し ○柁(だ)は舟(ふね)のかぢなり柁(だ)舵(だ) 同又/櫂(かぢ)とも書(かく)べし ○㯭(ろ)は櫓並同/縦(たて)に用(もちゆる)を 櫓(ろ)といふ横(よこ)に用(もちゆる)を槳(かぢ)と云 ともに舟具(ふねのぐ)なり ○棹(かい)【左ルビ「さほ」】は舟(ふね)をやる物なり篙(さほ) おなじ ○舟(ふね)は黄帝(くはうてい)の二/臣(しん)共鼓(くはうく) 貨狄(くはてき)舟(ふね)をつくる又/虞姁(ぐこう)舟(ふね) をつくる又/伯益(はくえき)つくる工倕(こうすい) つくるとまち〳〵説(せつ)おほし ○艇(てい)は船(ふね)のちいさくして 【右頁下段】 筏(はつ)《割書: |いかだ》 《割書:わた|し| ぶ|  ね》 野(や) 航(かう) 篷(ほう) 《割書:と| ま》 番(ばん)  舶(はく) 《割書:ゑびす|  ぶね》 【左頁上段】 長(ながき)をいふ又二百/斛(こく)以上を 艇(てい)といふ舸同 ○舶(はく)は海中(かいちう)の大船(たいせん)なり 市舶(しはく)商人ぶね米ぶね也 ○艜(たい)も小船(しやうせん)なりひらたふ ね船(ふね)ちいさくしてふかき物 舼(きよう)ともいふ俗にたかせといふ ○帆(ほ)は舟上(しうしやう)の幔(まん)なり風(かぜ)に したがひて船(ふね)をうかむるもの なり帆維(はんい)はほなはなり ○檣(しやう)は桅(き) 帆竿(はんかん)ともに同 ほばしらなり○篷(とま)は𥴣(とま)【竹冠に艂】同/竹(たけ)ををりて箬(たけ)をあみて船(ふね)をおほふものなり ○野航(やかう)は小船(しやうせん)なりわたしぶね舴艋(そもう)【さくもうヵ】同○筏(いかだ)は竹(たけ)を編(あむ)をいふ水(みづ)をわたるものなり木を ■(ひ)【篺(ひ)ヵ𥴖(べ)[竹冠に椑(ひ)]ヵ】といふ竹(たけ)を筏(ばつ)といふ桴(ふ)同○番舶(はんはく)は南蛮(なんばん)ふねなり○軌(き)【䡄】はくるまのよこ木なり ○轄(くさび)は車の輪(わ)にあるものなり ○車蓋(しやかい)は車(くるま)のやかたなり■(こう)【𨎐(ち)ヵ】同一に黄屋(くわうをく)ともいふ蓋(かい)はきぬがさなり 【左頁下段】 車蓋(しやかい)《割書:くるまの|  やかた》    轄《割書:くさび》 《割書:くるまの| よこ|   ぎ》 䡄(き) 【上欄書入れ】113      【柱】頭書増補訓蒙図彙九         八 頭書(かしらがき)増補(ぞうほ)訓蒙(きんもう)図彙(づゐ)巻之十   器用(きよう) 《割書:注(ちう)前(まへ)に見(み)へたり》 【上段】 ○犂(り)からすき ◦轅(えん)はとりくひ俗(ぞく)に是(これ)を ねりといふ◦底(てい)はのきり【「のきり」は訓蒙図彙「ゐさり」】 俗(ぞく)にこれをとこといふ ◦梢(せう)はをひたて◦箭(せん)はたゝ りがた◦槃(はん)はしりがせ ○鑱(さん)は犂(からすきの)鉄(かね)なり ○鐴(へき)は犂(すきの)耳(みゝ)なり ○耙(は) むまぐは 䎱(は)同 耖(さう)耙(は)なり 馬杷(ばは)同 【下段】 犂(り)《割書: |から| すき》 梢《割書:おひ| たて》  箭(たゝりかた)  底(とこ)  轅(ねり) 槃(はん) 《割書: しり|  がせ》 鐴(へき)《割書: からすきの|  へら》 鑱(さん)《割書:からすきの|    さき》 耙(は)《割書:むまくは》  䎱(は)同 鐮(れん)《割書: | |かま》 【上欄書入れ】114      【柱】頭書増補訓蒙図彙十         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙九         八     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         一 【右頁上段】 ○鎌(れん)【鐮】はかま 鍥(かま)なり 新月(しんけつ)似(にたり)_レ磨(みがくに)_レ鐮(かまを)と杜甫(とほ) が詩(し)にもつくれるなり ○鍤は鍫(くは)なり 𦥛(さう)【臿】 𠚏(さう)【「臿」の臼の中央にある「一」を「人」に替る】 鍫(せう) 鍬(せう)ならび に同じ ○钁(くわく)な大鉏(おほすき)なり 農具(のうぐ)は黄帝(くはうてい)これを つくり始(はじめ)て民(たみ)におしへ て田地(でんぢ)をうへしめ給ふ 鐯(ちやく) 钃(そく)ならひに同 ○鎛(はく)はこぐはなり 【右頁下段】 鍤(さう) 《割書:く| は》 钁(くわく) 《割書:す| き》 鎛 《割書:こぐ| は》 鏟(さん) 《割書:こず| き》 櫌(いう) 《割書:つち| わり》 朳(はつ) 《割書:え|ぶり》 【左頁上段】 これはせまき田地(でんぢ)の草(くさ) をさる具(ぐ)なり ○鏟(さん)はやすりなり 杴(けん)をこずきとよむ杴(けん)は 鏟(さん)のたぐひなり ○櫌(いう)はつちわりなり 耰(いう) 堛(ふく) 槌(つい)ならびに同じ ◦櫌(いう)は塊(つちくれ)をうつ槌(つち)なり又 田(た)を摩(する)器(き)なり ○杷(は)は田具(でんぐ)なり麦(むぎ)を おさむる器(き)なりこまざら ひなり木(き)にてつくる 【左頁下段】 杷(は)《割書:さら|  ひ》 《割書:こま| さら|  ひ》 竹(ちく) 杷(は) 鉄(てつ) 搭(たう) 《割書:く|ま|で》 木(もく) 杷(は) 杈(さ) 《割書:また| ぶり》 火  叉 輭(せん) 擔(たん) 楤 擔 【上欄書入れ】115     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         二 【右頁上段】 ○鉄搭(てつたう)は塔(たう)はつくともかゝると もよむ俗(ぞく)にくまでといふ ○竹杷(ちくあ)はこまさらひといふ木(この) 葉(は)をかくものなり竹(たけ)にて作(つく)る ○朳(はつ)は㭭(はつ)同えぶりなり朳(はつ)は 杷(さらひ)に歯(は)なきものなり土(つち)を かきよするものなり ○檐(たん)はになふなり背(せなか)を負(おふ)と いふ荷(になふ)を檐(たん)といふ檐杖(たんしやう)輭(せん) 檐(たん)はやまあふご匾擔(へんたん)はたび あふごなり ○杈(さ)は岐枝木(またゑだのき)なりまたぶり ○蓑(さ)は雨衣(うい)なり田夫(でんふ)の服(ふく)也 みのなり ○笠(かさ)は箬笠(たけのこがさ)なり天(てん)のかた ちは笠(かさ)のごとしよつて敗(やぶれ)笠 【右頁下段】 蓑(さ) 《割書:み| の》 笠(りつ) 《割書:かさ》    籠(ろう)《割書:かご》 畚(ほん)《割書: |ふご》    簣(き)《割書: | |あじ| か》 篠(でう)《割書: | |あじ|   か》 《割書: からさほ》 連(れん) 耞(か) 【左頁上段】 を破天公(はてんこう)といふ ○籠(かご)は土(つち)をあぐる器(うつはもの)なり竹(たけ) にてつあくる ○畚(ふご)は土(つち)をもる器(うつはもの)なり藁(わら) にて作(つく)るふごといふ ○篠(あじか)は草(くさ)を去(すつる)うつはものなり わらにてつくる ○蕢(あじか)は土(つち)をもるかごなり 竹(たけ)にてつくる ○連耞(からさほ)は麦(むぎ)粟(あわ)などをうち て穂(ほ)をくだく具(ぐ)なり ○礱(ろう)はもみすりうすなり土(つち) あるひは木(き)にてつくる䉪(らい) 礧(らい)ならびに同し ○磨(うす)はみがくともするとも よむよくすりみがきて精(くはしく)す 【左頁下段】 銀(ぎん) 剪(せん) 《割書:かな|ば|さ| み》 石(せき) 鏨(せん) 《割書:いしきり|  のみ》 礱(ろう)《割書:すりうす》    磨(ま)《割書:いしうす》 榨(さ) 《割書:うちひ》 碓(たい) 《割書: から|  うす》 【上欄書入れ】116      【柱】頭書増補訓蒙図彙十         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         三 【右頁上段】 るなりすりうすなり䃺(ま)磑(ぎ) いしうす𠏉(かん)【龺+余。訓蒙図彙は「榦」、異体字ヵ】はひきゞなり ○銀剪(ぎんせん)ははさみなり俗(ぞく)に こみばさみといふ夾剪(けうせん)同  ○榨(うちひ)は醡(さ)と同(おな)し酒(さけ)又は油(あぶら) をしぼる具(ぐ)なりしめ木(ぎ)なり ○石鏨(せきせん)は石(いし)をきるのみなり 石匠(せきしやう)これをもつ ○碓(からうす)は宓犧(ふつき)杵(きね)臼(うす)を制(せい)す後(のちの) 世(よ)に巧(たくみ)をくはへ身(み)を借(かり)て碓(からうす) をふむ利(り)十/倍(ばい)す ○機(き)ははたなり織(をる)なり経(たて) をもつものを榺(ちきり)といふ緯(ぬき) をもつものを杼(をさ)といふ椱(いしあし)【いのあしヵ】 卧機(くつむき)【くつびきヵ】機躡(まねき) ○綜(そう)は機(はた)をおるへ【遍】なりまた 【右頁下段】 機(き)《割書:はた》   綜(そう)《割書: | |へ》   杼(ちよ)《割書:ひ》   筬(せい)《割書: | |を| さ》 筟(ふ)《割書:くだ》   篗(わく)  績(せき) 纒(てん) 《割書: へ|  そ》 《割書:つ| む》紡(はう)錘(すい) 【左頁上段】 紉綜(じんそう)【綜絖ヵ】とも書(かく)べし ○杼(ちよ)はひなり梭(さ)同/機(はた)を織(をる) とき緯(ぬき)をもつものなり ○筬(せい)はをさなり紉梳(しんじよ)同し 簆框(こうきやう)は今いふおさかまち ○筟(ふ)は筳(てい)と同/繀(さい)はくだいと ○篗(わく)は籰(わく)𧤽(わく)【角+閒】榬(わく)同し わくの柄(え)を柅(ぢ)といふ又/檷(ぢ) 鑈(ぢ)ならひに同 ○績纏(せきでん)は苧(お)をうみためて 丸(まる)くまきたるが臍(へそ)のごと くなるより名(な)づく ○紡錘(はうすい)はつむなり又は楇(くは) とも瓦(くは)とも書(かく)へし ○撥柎(はつふ)はわくのめくり舞(まふ) ものなり蟠車(はんしや)とも撥車(はつしや) 【左頁下段】 撥(はつ) 柎(ふ)《割書:まひ|  ば》 絡柅(らくち) 《割書:たゝ|  り》 績桶(せきとう) 《割書:おご|  け》 布機(ふき) 《割書: しも|   はた》 【上欄書入れ】117      【柱】頭書増補訓蒙図彙十         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         四 【右頁上段】 ともいふ ○絡柅(たゝり)は糸(いと)をくる台(だい)なり 絡垛(たゝり)とも書(かく)なり ○布機(ふき)は布(ぬの)をおるはたなり 機(はた)に上(かみ)はた下(しも)はたあり これは下はたなり ○績桶(せきとう)はをおけ【苧桶(おぼけ)ヵ】なりあやま りておごけといふ茶釜(ちやがま)を ちやまがといふたくひなり ○繰車(さうしや)は蚕(かいこ)をにて糸をとる 具(ぐ)なり繅車(さうしや)同又/縿車(さうしや)と も書なり ○蠺連(さんれん)は蚕種紙(さんしゆし)なりかい ごたねをいふ ○蠺薄(さんはく)は蚕(かいこ)をうくる具(ぐ) なり筁(きよく)同じえびら 【右頁下段】 繰(さう) 車(しや) 《割書:おほ| が》 蠶(さん) 薄(はく)《割書:えびら》 蠶連(さんれん) 《割書:かひこだね》 繀(さい)  車(しや) 《割書: ぬきかぶり》 【左頁上段】 ○繀車(さいしや)は糸(いと)を筟(わく)につくる 具(ぐ)なり緯車(いしや)同 ○紡車(はうしや)は糸(いと)よりくるま也 綿筒(めんとう)を俗(ぞく)にあめといふ ○攪車(かうしや)は木綿(きわた)をくりて 核(さね)を攪(かき)とる車なり ○搗砧(とうちん)はきぬ巻(まき)をうつを いふ卧杵(くはしよ)はよこづちなり ○火熨(くはい)は火(ひ)をもつてしは を熨(のす)なり鈷䥈(こまう) 鈷鉧(こもう)な らびに同し ○針(はり) 物(もの)ぬふと病(やまひ)を治(ぢ)する と同(おなし)く通(つう)じ用(もち)ゆ医者(いしや)鍼(はり) をもつて病(やまひ)を治(ぢ)すよつて人(ひと) をいましむるを箴(しん)といふ視(しの) 箴(しん)聴箴(ていのしん)のごとし 【左頁下段】 紡(はう) 車(しや) 《割書:いとより| くる|   ま》 攪(かう) 車(しや) 《割書:き|わた|くり》 搗(たう) 砧(ちん) 《割書:きぬた》 火(くわ) 熨(い) 《割書:ひのし》 《割書:ひ|の|し》 針(しん) 《割書: は|  り》 【上欄書入れ】118      【柱】頭書増補訓蒙図彙十         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         五 【右頁上段】 ○矩(く)は方(けた)【かたヵ】なるをつくるもの也 匠人(しやうじん)の具(ぐ)なり曲尺(きよくしやく)なりま がりがねといふ ○規(き)は円(まとか)なるをつくるもの也 俗(ぞく)にいふぶんまはし ○準(じゆん)【凖】は水(みづ)をもつて高下(かうげ)をは かるものなり水(みつ)もりさげず み垂準(すいじゆん)同じ ○縄(じやう)はなわを引(ひい)て物(もの)の高下(かうけ)を はかるものなり番匠(ばんしやう)のもつ すみつほなり墨斗(ぼくと)といふ ○/𣖯(しん)【木偏に竹+心】は竹筆(ちくひつ)なり䈜(しん)同じ 番匠(ばんしやう)のすみさしなり ○釿(きん)は手斧(てをの)なり ○鐁(し)は木(き)を平(たいらか)にするものなり つき鐁(かんな)やり鐁(かんな)あり 【右頁下段】 矩(く)《割書:まがり|  がね》 鐁(し) 《割書: かな》     《割書:やり| がん|   な》 釿(きん) 《割書: てを|   の》 規(き)《割書:ふんまは|   し》 準(じゆん)《割書:さげ| ずみ》 鋸(きよ) 《割書:の|こ|ぎ|り》    鉋(はう)《割書: | | |つき| かん|  な》 縄(じやう) 《割書:すみ|つ|ぼ》 𣖯(しん) 《割書:すみ| さし》 【左頁上段】 ○鋸(つきかんな)は刀鋸(とうきよ)なり大(おほい)なるを前(まへ) 引(びき)といふのこぎりなり ○鉋(つきかんな)は木(き)を平(たいらか)にする具(ぐ)なり 推刀(すいたう)敲刀(かうたう)同 ○鑿(さく)は鏨(のみ)なり三/分(ぶ)鑿(のみ)五/分(ぶ) のみとてあり刻刀(こくたう)はくはのみ捲(けん) 鑿(さく)はまるの ○錐(すい)は円錐(ゑんすい)はつきとをし方(はう) 錐(すい)は四方(しはう)ぎり ○鑽(さん)は物(もの)をうがつ錐(きり)なりとを しぎり三ツめぎりといふ ○槌(つい)はうつとよむ又かけや【掛矢・椓撃】といふ もあり柊楑(さいづち) 椓撃(あいつち) ○鑢(りよ)は摩錯(まさく)の器(き)なりやすり なり錯鏟(さくさん)ともに同 ○鏨(せん)は金石(きんせき)をきるたがねなり 【左頁下段】 鑿(さく) 《割書:の| み》 鑽(さん) 《割書:き| り》 錐(すい) 《割書:き| り》 《割書:四| 方|き|り》 《割書:椓撃(たくげき)《割書:あいづち》》   《割書:柊楑(しうき)《割書: | |さい|づち》》 槌(つい)《割書:つち》 《割書:木(もく)|槌》 《割書:こ|づち》 鑢(りよ) 《割書:やすり》 鏝(まん) 《割書:こて》 鏨(せん)《割書: |たがね》    鎚(つい)《割書:かな| づち》 【上欄書入れ】119      【柱】頭書増補訓蒙図彙十         六     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         六 ○鏝(まん)は壁(かべ)をぬる具(ぐ)なり釫(う) 杇(う)【𣏓。偏「木」+旁「亐」】圬(う)同(おな)じこてなり ○鎚(つい)は金槌(かなづち)なり ○鋏(けう)はかなばさみ火鉗(くはけん)火鈐(くはげん)同 ○鑕(しつ)は鉄砧(てつちん)なり鉄鍖(てつちん)鉄鉆(てつちん) 同かなしきなり ○削刀(さくたう)は小刀(こがたな)なり ○裁刀(さいとう)図(づ)のごとしものたちこが たななり ○鐇(はん)は刀斧(とうふ)なり斧(よき)の刃(は)ひ ろきなり ○斧(をの)は神農(しんのう)始(はじめ)てつくり給ふ 木(き)をきる具(ぐ)なり柯(か)はをのゝ柄(え) ○釘(てい)はくぎなり物(もの)にうつて はなるゝを閉(とづ)るものなり ○楔(せつ)は木釘(きくぎ)なり又/栓(せん)といふ字(じ) 【右頁下段】 鋏(けう) 《割書:かな|ば|し》    鑕(しつ)《割書:かな|しき》 《割書:こが|た| な》 削(さく) 刀(たう) 《割書: |ものたちがたな》裁刀(さいとう) 鐇(ばん) 《割書:まさ| かり》     斧(ふ)《割書: |をの》    釘(てい)《割書:  | |くぎ》《割書:浮漚釘(ふをうてい)|砲頭丁(はうとうてい)》   楔(せつ)《割書:くさ| び》 【左頁上段】 の音(こゑ)をもつてよぶ ○索(さく)は大(おほひ)なるを索といひ小(すこしき) なるを縄(じやう)といふ ○浮漚釘(ふをうてい)はのがたのくぎなり 俗にいふくわんかう鐶甲(くわんかう)なり 砲頭丁(はうとうてい)は俗(ぞく)にいふべう ○堝(くわ)はるつぼなり坩堝(かんくわ)とも云 壦(けん)同/型(けい)模塑(ほさく)は並(ならび)にいかた ○鞴(ふいかう)は槖籥(たくやく)とも書(かく)べし蹈(たう) 鞴(はい)はたゝら ○橛(けつ)は木段(もくたん)なり杙(くゐ)なり橜(けつ) 樁(さう)ならびに同くゐなり ○鉸具(かうぐ)は蝶(てふ)つがひ鐷(えう)■(えう)【偏「金」+旁「棄」】同 ○釣鉤(てうこう)はつりばりなり釣(てう) 竿(かん)はつりざほ釣線(てうせん)はつりいと 餌(じ)はゑ泛子(はんし)はうけなり 【左頁下段】 索(さく)《割書: | |なは》    堝(くわ)《割書:る|つぼ》    鞴(はい)《割書:ふい| がう》 橛(けつ)《割書: |くひ》    鉸具(かうぐ)《割書: | |てふ|つがひ》 釣鉤(てうこう)《割書: | |つり|ばり》    《割書:たけわ|篾箍(べつこ)|鉄束(てつそく) 《割書: | |かな|  わ》》箍(こ)束(そく) 【上欄書入れ】120     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         七     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         七 ○鉄束(てつそく)かなわなり鉄箍(てつこ)同 ○箍束(こそく)は桶(をけ)の輪(わ)なり竹に てつくる篾箍(べつこ)ともいふ ○砧(ちん)はあてなり枮(ちん)碪(ちん)同共 に衣(きぬ)をうつ具(ぐ)なりきぬた ともいふ ○桔槹(けつかう)ははねつるべなり𣚃(けつ)【偏「木」+旁「絜」】 槹(かう)同し ○轆轤(ろくろ)は水(みづ)をくむ《割書:補》つるべにかく る具(ぐ)なりくるまきといふ独楽(かま)【こまヵ】 ざいくに轆轤(ろくろ)といふ物(もの)あり ○瓦竇(ぐはたう)かはらにてつくれる樋(ひ) なり陰溝(いんかう)むめみぞ又/暗溝(あんかう) とも書(かく)なり ○綿弓(めんきう)は木(き)わたをうつゆみ なり弓(ゆみ)に唐(たう)ゆみ小弓あり 【右頁下段】 砧    桔槹(けつかう)《割書: | |はねつるべ》 瓦(くわ) 竇(たう) 《割書:か| わ|  ら|   び》 轆(ろく)  轤(ろ)  《割書:くるまき》  《割書:き|わた| ゆ|  み》 綿(めん) 弓(きう) 【左頁上段】 ○牽鑽(けんさん)はろくろかな錫(すゞ)又/角(つの) などをひく物(もの)なり車鑽(しやさん)同 ○旋盤(せんはん)は茶碗(ちやわん)天目(てんもく)をつくる くるまなり釣(きん)均(〳〵)ならびに同 すへものつくりのくるま ○木梃(もくてい)はてこなり鉄梃(てつてい)はかな てこなり ○攩網(たうまう)は俗(ぞく)にすくひだまと いふなりながれ川(かわ)の子魚(こうを)を すくふあみなり《割書:補》たまさでと もいふ ○弰(さく)【矟ヵ】は鯨(くじら)鼈(すつほん)【鱉】などをつく物(もの) なりもろこしにては馬上(ばしやう)に もつほこを弰(さく)【矟(さく・ほこ)ヵ】といふ■(く)【竹冠+由+衣の亠を除く。籗(ひし・たく)ヵ】同 一名(いちめい)魚叉(ぎよさ)といふ ○絞車(かうしや)はまきろくろ大石(たいせき)又は 【左頁下段】 木(もく) 梃(てい)《割書: |てこ》    鉄梃(てつてい)《割書:かなてこ》 牽(けん) 鑽(さん) 《割書:ろくろ|かな》 攩網(たうまう)《割書: | |すくひ| だま》    矟(さく)《割書:やす》 旋(せん) 盤(はん) 《割書:すへ| ものゝ|  ぐ》 絞(かう)  車(しや) 《割書:まき|ろく| ろ》 【上欄書入れ】121     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         八     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         八 家(いゑ)蔵(くら)堂(たう)などをひくろく ろなり ○趕網(かんまう)攩網(たうもう)ともに小/魚(うを)を とる具(ぐ)なり俗(ぞく)に左手(さで)と云 ○罾(そう)はうをとるあみなり又 方張(はうちやう)といふ此たぐひのあみ 数品(すひん)あり此(この)図(づ)は四ツでといふ あみなり ○網(もう)はあみなり庖犧氏(ふつきし)の つくりはじめ給ふ罟(こ)同し 俗(ぞく)にとうあみ又うちあみと いふなり ○羅はとりあみなり芒氏(ばうし) はじめて羅(あみ)をつくる鳥罟(てうこ)也 絹糸(きぬいと)又/麻糸(あさいと)にてつくる也 かすみといふ有又たちこし 【右頁下段】 趕網(かんまう) 《割書:さ| で》 羅(ら)《割書:とり| あみ》 罾(そう) 《割書:よ|つ| で|又|はう|ちや|  う》 囮(くわ) 《割書:おとり》    網(まう)《割書:あみ》 【左頁上段】 ○囮(おとり)はなれたる鳥(とり)をつな いで外(そと)の鳥(とり)をいざなひ来(きた) らしむるを囮(おとり)といふなり 㘥(くわ) 媒鳥(はいてう)同 ○雀竿(じやくかん)は黐竿(ちかん)同ゑさ しさほなり黐(ち)はとりもち なり ○笯(ど)はとりかごなり庭篭(にわこ) 丸篭(まるこ)などあり ○炉工台(ろくだい)は釜(かま)をかけて火(ひ) をたく台(だい)なり俗(ぞく)にをき へついといふ ○鷹架(たかほこ)は鷹(たか)のとまる 木なり ○弶(りやう)は罟(あみ)をみちにもふけて 狐(きつね)兎(うさぎ)などをとるものなり 【左頁下段】 笯(ど) 《割書:とり|  こ》 雀(じやく) 竿(かん) 《割書:とり|ざ|ほ》 弶(りやう) 《割書: わな》 爐工䑓(ろくだい)  《割書:たかの|   ほこ》 鷹架(ようか) 【上欄書入れ】122     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         九     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         九 ○陥阱(かんせい)おとしあななり ○石篭(せきろう)は水(みづ)ふぜきなり 竹(たけ)を《割書:補》あみかことし中(なか)へ石(いし)を 入て堤(つゝみ)の水(みづ)をよけるもの也 臥牛(くはぎう)ともいふ俗(ぞく)にいふじや かごなり ○撒網(さんもう)【訓蒙図彙は「さつもう」】は魚(うを)をとるあみなり 罨(あう)罩(さう)同俗にうちあみと云 又とうあみともよぶ ○魚簄(ぎよこ)は海中(かいちう)にて魚(うを)を とる竹(たけ)なり俗(ぞく)にえり【魞】といふ 魚箔(ぎよはく)なり槮(しん)ふしづけ【柴漬】 ○籞(いけす)は池(いけ)のうち《割書:補》又川などに 竹(たけ)がきをあみて魚(うを)をやし なふものなり簖(たん)同 【右頁下段】 石籠(せきろう) 《割書:じや|かご》    魚簄(ぎよこ)《割書: | |え|り》 撒(さつ) 網(まう)《割書:うち|あみ》 籞(ぎよ)《割書:いけ| す》 【左頁上段】 ○翻車(はんしや)は龍骨車(りうこしや)なり 日(ひ)でりのとき田地(てんぢ)に水(みづ)を とる具(ぐ)なり《割書:補》ひきゝ【低(ヒキ)し 連体形】所(ところ)の水 を高(たか)き田(た)へ入(いる)るに用(もち)ゆ ○筒車(とうしや)はみづぐるまなり 淀河(よどがは)《割書:補》そのほか所々(しよ〳〵)にあり これもひきゝ所(ところ)の水(みづ)を高(たか) き田(た)へとるものなり又/水(みづ)の力(ちから) をかりて米穀(べいこく)をしらげは たくの具(ぐ)なり ○水筧(すいけん)はかけひ山より水(みづ)を とるものなり連筒(れんとう)同 梘(けん) はとゐなり又/槽(さう)につくる ○案山子(かがし)は鳥(とり)おどしなり 人(ひと)かたをつくりて田(た)の中(なか)に 立(たて)て鳥(とり)けだものをおどす物也 【左頁下段】 水筧(すいけん) 《割書: かけひ》 翻(はん)  車(しや)   《割書:りう|こつ|しや》 案山子(かがし)  《割書:とり| おど| し》 筒(とう)  車(しや)  《割書:みづ| ぐ| る| ま》 【上欄書入れ】123     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         十     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         十 【右頁上段】 ○戽斗(こと)は桶(をけ)になわをつけ て田(た)へ水(みづ)を入るものなり是(これ) もひでりのときもちゆる具(ぐ) なり戽桶(ことう)同 ○魚梁(ぎよりやう)は海中(かいちう)に竹(たけ)の簀(す) を入(いれ)て魚(うを)をとるものなり 罶(りう)同/俗(ぞく)にやなといふこれ なり筍(じゆん)同 ○塘網(たうあみ)は引(ひき)あみといふ《割書:補》大海(だいかい)に て魚(うを)をとるあみなり方(はう)一里(いちり) にうけの桶(おけ)をつけて大(おほ)ぜい の人/引(ひき)よするなり ○榰柱(しちう)は家(いゑ)のゆがみたるを なをすつかへなり牮(たい)【訓蒙図彙は、牮(せん)】は今(いま) いふうしなり ○楨幹(ていかん)【𠏉「龺+余」】は両題(りやうたい)を楨(てい)といふ 【右頁下段】 戽(こ) 斗(とう) 《割書:なげ| つるべ》 塘(たう)  網(まう)   《割書:ひき| あみ》 魚(ぎよ) 梁(りやう) 《割書:や| な》 【左頁上段】 両傍(りやうはう)を幹(かん)【𠏉「龺+余」】といふついぢいた なり ○水平(すいへい)はみづばかりなり 水(みつ)なわを引(ひき)て高下(かうけ)を はかるものなり《割書:補》番匠(ばんしやう)に もちゆる具(ぐ)なり度竿(とかん) 同じ ○土圭(とけい)は図(と)【圗】景(けい)とも時計(とけい)とも 書(かく)なり昼夜(ちうや)十二/時(とき)を はかるうつはものなり 《割書:補》しやくどけいといふあり時(と) 計(けい)に大小(だいしやう)あり ○障子(しやうじ)は障(しやう)の字(じ)へだつ るとよむ風(かせ)をへたてふせく のこゝろなり子(じ)は付字(つけし)也 あかり障子(しやうし)腰障子(こししやうじ)あり 【左頁下段】  《割書:つかへ》 榰(し) 柱(ちう) 水(すい) 平(へい) 《割書:みづ| ばかり》 楨(てい)  榦(かん)   《割書:ついぢ| いた》 【上欄書入れ】124     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         十一     【柱】頭書増補訓蒙図彙十         十一 【右頁上段】 ○戸(と)はひらき戸(ど)たて戸(と)引(ひき) 戸(ど)妻戸(つまど)あり杉戸(すぎど)まいら 戸(ど)【舞良戸】などその品(しな)多(おほ)くありいら 戸(こ)といふあり ○縄車(じやうしや)はろくろ縄(なわ)幕(まく)の 縄(なわ)なとをよる車(くるま)なり 【右頁下段】 土(と) 圭(けい) 障(しやう)   子(じ) 戸(と) 縄(じやう)   車(しや) 《割書:なは| なひ》 【左頁】 頭書(かしらがき)増補(ぞうほ)訓蒙(きんもう)図彙(づゐ)巻之十一   器用(きよう) 《割書:註(ちう)前(まへ)に見(み)へたり》 【上段】 ○屏(へい)は屏風(べうぶ)なり画(ぐは)【畫】屏(べう) 繍屏(しうべう)金屏(きんべう)石屏(せきへう)硯屏(けんへう) 格子屏(かうしへう)あり又/囲(ゐ)【圍】屏(べう)と云 ○簾(れん)はすだれ箔(はく)同/翠(すい) 簾(れん)みすなり簾/鈎(かう)はつり ばりなり ○枕(しん)は珊瑚(さんご)の枕(まくら)瑪瑙(めのふ)の 枕など有/貉枕(かくしん)などゝいふ もあり ○杌子(ごし)はこしかけなり ○椅子(ゐす)は方椅(はうゐ)あり円(ゑん)【圓】椅(ゐ) あり交椅(かうゐ)あり椅踏(ゐたう)は今(いま) 【下段】 屏(へい) 《割書:びやう|  ぶ》 簾(れん) 《割書: すだれ》 圍屛(いびやう) 《割書:をり| びやう|  ぶ》 枕(しん) 《割書:ま| く| ら》 杌(ごつ)《割書:こし| かけ》 【上欄書入れ】125     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         一     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         一 【右頁上段】 いふ承(ぜう)【𣴎。「羔」のレッカを外して下に「水」】足(そく)なり ○席(せき)はむしろなり筵(ゑん)同 蒲席(ほせき)莞席(くはんせき)竹席(ちくせき)あり ○牀(しやう)は榻(しち)なりゆかともとこ ともいふ八尺を牀(しやう)といふ身(み) を安(やすん)ずる物(もの)なり牀几(しやうぎ) ○匜(い)ははんざうなり柄(え)のな かに水(みづ)のいづる道(みち)あり柄(え)の 半(なか)ばその内(うち)に挿(さしはさ)むよつて 半挿(はんざう)といふ ○盥(くわん)はたらひなり盥盤(くわんはん) 盥盆(くわんぼん)同又/頮(くはん)につくる匝盤(いはん) はみゝたらひ角盤(かくはん)はつのだらひ ○墩(とん)は腰(こし)かけなり坐(ざ)【㘴】墩(どん)とも いふ又は草墩(さうどん)といふもあり ○鏡(かゞみ)は天照太神(てんせうだいじん)のかげをう 【右頁下段】 椅(い) 子(す) 《割書:椅(い)|踏(たう)》 匜(い) 《割書:はん| ざう》     《割書:匜盤(みゝたらひ)》 盥(くわん) 《割書: たらひ》  《割書:角(つの)|盥(だらひ)》 牀(しやう) 《割書:ゆかとこ》 席(せき) 《割書:む| し|  ろ》 《割書:こしかけ》  墩(とん) 【左頁上段】 つしてゐ給ふより初(はじま)る今の内(ない) 侍所(しどころ)といふは神鏡(しんきやう)なり手鏡(しゆきやう) は柄付(えつき)のかゞみ円(えん)【圓】鏡(きやう)はまるかゞみ 鏡奩(きやうれん)はかゞみのすなり ○鏡台(きやうだい)【臺】は鏡架(きやうか)ともいふ又 粧台(さうたい)【臺】ともいふなり今/按(あん)ずる にかゞみかけ ○粉匣(ふんかう)はおしろいばこなり ○剪(せん)ははさみ剪刀(せんとう)なり 剪子(せんし) 剤刀(せいたう)ならびに同今 按(あん)ずるに夾剪(けうせん)摺剪(らうせん)有 ○鑷(でう)はけぬきなり鼻鑷(びてう)は はなげぬきなり ○笄(かんざし)は女(をんな)の髪(かみ)にさす具(ぐ) なり楴(てい)同/抿(みん)子かうがい ○櫛(せつ)はくし総名(さうみやう)なり梳(しよ)は 【左頁下段】 鏡(きやう)《割書: |かゞみ》 《割書:鏡架(きやうか)|  かゞみかけ》 鏡(きやう) 臺(だい) 剪(せん)《割書:はさみ》 《割書:摺(らう)|剪|  夾|  剪(せん)》    鑷(てふ)《割書:けぬき》 《割書:おしろいばこ》 粉(ふん) 匣(かう) 笄(けい) 《割書:かんざし|かうがい》 櫛(せつ) 《割書: くし》  《割書:枇(ひ)《割書:ほそぐし》》 《割書:梳|すき| ぐ|  し》   《割書:挿【㮑ヵ】|さ|し|ぐ|し》 【上欄書入れ】126     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         二     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         二 すきぐし枇(ひ)はほそぐし挿(さう) 梳(しよ)はさしぐしなり ○髲(ひ)は髢(てい)と同かづらなり 𩫹(しゆ)【髟+巾】 鬠(くわい)もとゆひ ○壺(つぼ)は酒(さけ)をいるゝうつは物也 又/陶(とくり)ともいふ ○樽(たる)は酒(さけ)をいるゝうつはもの なり木樽(もくそん)あり漆樽(しつそん)あり 瓦樽(くはそん)あり陶樽(たうそん)あり榼(かつ)【かふヵ】同 ○瓶(へい)はかめなり水瓶(すいひん)酒瓶(しゆひん) 尿瓶(しひん)あり鉼(へい)同 ○注子(ちうし)は水(みづ)さし湯盥(たうくはん)湯(たう) 釜(ふ)に湯(ゆ)のあつきとき水を うめる具(ぐ)なり ○櫑(らい)は酒(さけ)をいるゝたるなり 雲雷(うんらい)のかたりをゑがくよつ 【右頁げ段】 髲(ひ) 《割書: かつら》    壺(こ)《割書:つぼ》 樽(そん)《割書: |たる》    瓶(へい)《割書:」|かめ》    注子(ちうし)《割書: |みづさし》 櫑(らい) 《割書: もたひ》 盃(はい) 《割書:さ|か|づ| き》    琖(さん)《割書: |ちよく》 【左頁上段】 て櫑といふ ○盃(はい)は盞(さん)ともにさかづき也 𨢩(しやう)【傷の人偏を酉偏に替える】とも書(かく)べし又/鸚鵡盃(あふむはい) 椰子盃(やしはい)瑪瑙盃(めなふはい)など有 ○琖(さん)は猪口(ちよく)とも書(かく)なり ○巵(し)はさかづきなり玉巵(ぎよくし)と いへり𨢩(しやう)【傷の人偏を酉偏に替える】同 ○爵(しやく)はさかづきなり爵(すゞめ)は 淫乱(いんらん)なるものなり酒(さけ)を のめば淫乱(いんらん)なるゆへに さかづきに爵(すゞめ)をほり付 ていましめとすその盃(さかづき) を爵(しやく)といふ又/爵炉(しやくろ)【爐】は香(かう) 炉(ろ)のかたち爵(すゞめ)に似(に)たれは なり ○鼎炉(ていろ)【爐】は香(かう)をたくもの 【左頁下段】 巵(し)《割書:さかづき》    爵(しやく)《割書:すゝめかうろ| さかづき》 鍋(くわ)《割書:なべ》 《割書:鑊(くわく)|鏊(かう)|砂鍋(さくは)》     釜(ふ)《割書:かま》 鼎(てい) 爐(ろ) 《割書:かう| ろ》 鼎(てい) 《割書:あし|か|なへ》 甑(そう) 《割書:こ|し|き》 筋(ちよ)《割書:は| し》   火筋(くはちよ)《割書:ひばし》 【上欄書入れ】127     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         三     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         三 【右頁上段】 なり ○鼎(てい)はあしかなへなり五 味(み)を煮(に)和(くわ)するうつはもの なり方鼎(はうてい)あり円(ゑん)【圓】鼎(てい)あり ○甑(そう)は物(もの)をむすこしき也 鬵(しん)同■(へい)【単のツ冠を竹冠に替える。箄ヵ】はこしきのすだれ 炊巾(すいきん)はこしきぬのなり ○鍋(くわ)大なるなべを鑊(くわく)といふ あさきなべを鏊(かう)といふ又/砂(さ) 鍋(くわ)はいりかはら ○釜(ふ)はかまなり鬴(ほ)䥖(てん)鍑(ふ)な らびに同じ瓦釜(ぐわふ)はつち がまなり ○筋(ちよ)箸(ちよ)櫡(ちよ)ならびに食(しよく) 筋(ちよ)なりはしなり 火筋(くはちよ)は火ばし 【右頁下段】 碗(わん) 《割書:盂(う)| |茶(ちや)|碗(わん)》   《割書:木椀(もくわん)》    碟(せう)《割書:さら》 匙(し)   《割書:薬匙(やくじ)》 《割書:飯(はん)|匙(し)》   《割書:茶(さ)|匙(じ)》   《割書:香(きやう)|匙(し)》   《割書:飯臿(はんさう)| いひ| かゐ》 盤(ばん) 《割書:托(たく)|ちや|だ| い》   《割書:盞(さん)|盤(はん)|さかづき|   だい》   《割書:臺盤(だいばん)》     鉢(はち) 【左頁上段】 ○碗は食碗(しよくわん)茶碗(ちやわん)あり木(もく) 椀(わん)磁椀(じわん)あり大なるを盂(う)と いふ深(ふかき)を甌(おう)といふ今(いま)いふ天(てん) 目(もく)建盞(けんさん)なり ○碟(せう)は土(つち)の皿(さら)を磁碟(じせう)といふ木(き) の皿(さら)を漆碟(しつせう)といふ碟(さら)は皿(さら)也 又/木(き)ざら楪子(ちやつ) ○香匙(きやうじ)は香(かう)すくひ ○飯匙(はんじ)は律僧(りつそう)禅家(ぜんけ)に 用(もちゆ)るものなり飯(はん)をすく ひくふ物なり ○茶匙(さじ)は茶杓(ちやしやく)【𣏐。偏「木」旁「夕」】なり ○薬(やく)【藥】匙(じ)は医家(いか)に用(もち)ゆる 茶匙(さじ)なり ○飯(はん)■(さう)【亠+𦥔。元禄八年版は臿の異体字「𦥛」。揷の旁。】は今(いま)いふいゐがひ也 𣠺(さう)【木+簽】同し 【左頁下段】 《割書:じ|き|ろ|う》 盒(がう) 盆(ぼん)《割書:ほ|と|ぎ》   《割書:磁(じ)|盆(ぼん)|さはち》 甕(おう) 《割書:も| たひ》   《割書:瓿(ほう)》 《割書:汲桶(きうとう)《割書:つるべ》》 缶(ふ) 《割書:つるべ》 桶(とう) 《割書: をけ》   《割書:浴桶(よくとう)《割書: |ゆぶ| ね》》   《割書:提桶(ていとう)《割書:てを|  け》》   酒桶(さかをけ) 【上欄書入れ】128     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         四     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         四 【右頁上段】 ○盤(ばん)はすべて物(もの)の台(だい)【臺】なり 円(まとか)【圓】なるを盤(ばん)といふしかれ ども方(けた)なるをも通(つう)じて 盤(ばん)といふ事もあり ○台(だい)【臺】盤(だい)は今(いま)いふ三方(さんばう)なり ○托(たく)は茶碗(ちやわん)天目(てんもく)の台(だい)【臺】也/托子(たくし) 托盤(たくばん)並同又/槖(たく)につくる ○鉢(はち)は仏(ぶつ)【佛】氏(し)の盂(ほとぎ)なり鉄(てつ) 鉢(はち)あり銅鉢(どうはち)あり木鉢(もくはち)有 仏(ほとけ)【佛】のもち給ふは鉄鉢(てつはち)なり ○盞盤(さんばん)はさかづきの台(だい)【臺】なり ○盒(がう)は合子(がうし)なり今いふ食篭(じきろう) なり本(もと)円(まろ)【圓】き器(うつはもの)なり今は方(けた)に もするなり ○盆(ぼん)はまるきうつはものゝ名(な) 盎(あう)同/磁盆(じぼん)はさはち【砂鉢】なり 【右頁下段】 槽(そう)《割書:ふね》 《割書:さ|か|ぶ|ね 酒(しゆ)|  槽(そう)》   《割書:む|ま|ぶ|ね| 馬(ば)| 槽(そう)》 竃(さう) 《割書:かま| ど》 杓(しやく)  《割書:ひ|しや| く》 《割書:筅(せん)|帚(さう)|《割書:さゝ| ら》》 筅(せん) 《割書:ちや|  せん》 篩(し) 《割書:ふ|る|ひ》 火(くわ) 《割書:ひ》 燧(すい) 《割書:ひ|うち》    爐(ろ)《割書:ひ| たき》 【左頁上段】 ○甕(おう)もたい■(をう)【雍+厶+巫。訓蒙図彙は「罋」】瓮(をう)■(たん)【偏「金」旁「曇」。罎ヵ】■(たん)【偏「金」旁「曇」。罎ヵ】 共(とも)に同大なるを甕(をう)といひ小(すこしき)なるを 瓿(ほう)と云ともに酒(さけ)を入るつぼなり ○桶(とう)はおけなり提桶(ていとう)は手(て)をけ 浴桶(よくとう)はゆぶね杅同 ○酒桶(さかをけ)は五/石(こく)入(いれ)十/石(こく)入ありよく 口(くち)をふうじてたくはふ ○缶(ふ)はつるべなり瓦(かはら)にてつくり 水をくむものなり綆(きやう)つるべなわ 繘(きつ)汲索(きうさく)ならびに同し ○汲槽(きうとう)は木(き)にて作(つく)りたるつるべ也 ○酒槽(しゆさう)さかぶねなりこの槽(ふね)に 酒袋(さけぶくろ)を入しぼりて桶(おけ)に入たくはふ ○馬槽(ばさう)はむまふねなり馬(むま)の 四/足(そく)【『元禄八年版「馬の四足(すそ)」=裾(すそ)】するふねなり槽櫪(さうれき)は むまだらいなり 【左頁下段】 《割書:合(がう)》 升(せう)  《割書: ます》 臼(きう) 《割書:うす》 杵(しよ) 《割書:き|ね》 筲(さう) 《割書:い|かき》【笊籬(いかき)】 籃(らん) 《割書:かご》    箕(き)《割書: |み》 【上欄書入れ】129     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         五     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         五 【右頁上段】 ○杓(しやく)は水をくむもの勺瓢(しやくへう)なら びに同/俗(ぞく)にひしやくといふ ○筅(せん)は茶(ちや)を泡(あは)だつるものなり 悪茶(あくちや)を茶筅(ちやせん)にてふりたつる を蟹眼(かいかん)【左ルビ「かにのめ」】といふ ○竈(さう)はかまどなり灶(さう)同 行(ぎやう) 竈(さう)はくどなり烓(けい)同 ○篩(し)は簁と同又/籭(さい)とも書(かく) へしふるひなり ○燧(すい)は木(き)をもみ石(いし)をすりて 火(ひ)をもとむるなり火鑚(くわさん)同 ○炉(ろ)【爐】はひたきなり火函(くはかん)【凾】火牀(くはしやう) ならびに同/地炉(ちろ)はすびつ俗 にいろり地炕(ちかう)同/焙炉(ほいろ)火燵(こたつ) ○火(ひ)は煨(わい)煻(たう)ならひにおき也 燼(じん)もへくひ焰(えん)炎(えん)ならびに 【右頁下段】 唾(だ) 壷(こ)《割書:ぢんこ》 《割書:さかつき》 觶(たん)     湯婆(たうは)《割書:たんほ》 婆(うん) 壷(こ)     觚(こ)《割書:さかつき》 罍(らい) 《割書:もた| ひ》 鐺(たう)  《割書:さし| なべ》 漏(ろ) 斗(と)《割書:じやうご》 【左頁上段】 ほのほ灰(くわい)はい煙(えん)けふり煤(はい)すゝ ○升(せう)は一/升(しやう)ます斗(と)はとます 十/龠(やく)【𠎤。「龠」の口を一つ外す】を合(がう)とし十/合(ごう)を升(しやう) とし十/升(しやう)を斗(と)とし十/斗(と)を斛(こく) とす概(がい)【槩】はとかきともますか きとも又/斗格(とかく)とも書(かく)べし ○筲(さう)は竹器(ちくき)なり俗にいふ いかき䈾(さう)䉛(をく)淘(たう)籮(ら)並(ならびに)同 ○籃(らん)は竹器(ちくき)なり篭(かご)なり 筐(きやう)同かたみともいふ ○箕(み)は物を簸(ひる)ものなり ○臼(きう)はつきうすなり ○杵(しよ)はきねなり味噌(みそ)又は 餅(もち)をつく杵(きね)なり細腰杵(さいえうきよ) は手(て)ぎねなり ○唾壺(だこ)【壷】は痰(たん)はきなり今按 【左頁下段】 彛(い)  《割書:たる》    簠(ほ) 尊(そん)【酋+寸】  《割書:たる》 笥(し)  《割書:はこ》 湯鑵(たうくはん)《割書:やくはん》    《割書:はん|だう【飯銅】》洗(せん) 【上欄書入れ】130     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         六      【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         六 【右頁上段】 するに塵壺(ぢんこ)【壷】の事か ○温壺(うんこ)【壷】はいにしへ湯(ゆ)を入て手(て) 足(あし)をあたゝむるものなり今 は花瓶(くはひん)にもちゆ ○觶(たん)はいにしへのさかづきなり 今は花瓶(くはひん)にもちゆよつて花(くは) 觶(たん)といふないり ○觚(こ)はいにしへのさかづきなり 唐音(たうゐん)にこれをこつふと云 今(いま)花瓶(くはひん)にもちゆ ○罍(らい)はもたいなり酒(さけ)を入る ものなり雲雷(うんらい)のかたちを ゑがくゆへ罍(らい)といふ ○鐺(たう)はなべのたくひ耳(みゝ)足(あし)有 酒鐺(しゆたう)薬(やく)【藥】鐺(たう)などあり ○湯婆(とうば)はたんほなり桐(きり)銅(あかゞね) 【右頁下段】 耳壷(じこ)     簋(き) 鍑(ふ) 《割書:さ|か|り》     風爐(ふうろ) 樏(るい) 《割書:わ|り|ご》 水(すい)  罐(くはん)《割書:みづ| かめ》 【左頁上段】 陶(つち)などにて作(つく)り湯(ゆ)を入て足(あし) をあたゝむるもの也/脚婆(きやくは)湯媼(たうあう) ともいふ今は酒器(しゆき)に用(もち)ゆ ○漏斗(ろと)は今いふ上戸(じやうご)なり酒(さけ)を うつすものなり ○尊(そん)【酋+寸】はいにしへの酒(さけ)を入るたる なり今は花瓶(くはひん)にもちゆ ○彝(い)【彛】は古(いにしへ)の酒尊(しゆそん)なり今(いま)香(かう) 炉(ろ)【爐】とす彝(い)【彛】炉(ろ)【爐】といふ ○笥(し)はげなり箱(はこ)の通称(つうせう)なり 食物(しよくもつ)又は/衣類(いるい)を入るはこなり ○洗(せん)は古(いにしへ)に盥洗(くはんせん)のすて水(みづ)をうくる の器(き)也/俗(ぞく)にこれを飯銅(はんとう)といふ ○簠(ほ)は古(いにしへ)の祭(まつり)のうつはもの なり黍(あわ)稷(きび)をもるものなり ○湯鑵(たうくはん)は湯(ゆ)をわかすなべなり 【左頁下段】 銅銚(とうてう) 《割書:てう| し》 銅提(とうてい)  《割書:ひ| さげ》     雪洞(せつたう) 囊(なう) 《割書:ふ|く|ろ》 吹(すい) 筒(とう) 《割書:ひ|ふ|き》 提爐(ていろ) 《割書:ちや| べんたう》 提(てい) 盒(がう)《割書:さげぢう》     鎻(さ)《割書:じや| う》 【上欄書入れ】131     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         七     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         七 【右頁上段】 銅(あかゝね)にてつくるを銅鑵(とうくわん)といふ今 は薬鑵(やくわん)といふ ○耳壺(じこ)【壷】はいにしへの酒(さけ)を入る つぼなり今は花瓶(くわひん)とす ○鍑(ふ)ははがまなり又くわんす なり茶(ちや)を煮(にる)【煑】かまなり ○簋(き)は簠(ほ)と同し祭器(さいき)也 食物(しよくもつ)を入て先祖(せんぞ)にそなへ まつるものなり ○樏(るい)は食物(しよくもつ)を入る物なり 今いふわりごなり ○風炉(ふろ)【爐】は茶炉(ちやろ)薬炉(やくろ)とも に同又/釜櫓(ふろ)とも書(かく)べし塗(ぬ) 師(し)のふろは蔭室(ふろ) ○水缶(すいくはん)【罐】はみづを入るかめな り罐(くわん)と鑵(くわん)と同 【右頁下段】 絹篩(けんさい) 《割書:き| ぬ|ぶ| る|ひ》      豆(とう) 薑(きやう) 擦(さつ) 《割書:わさ| びお|  ろし》     麪杖(めんぢやう)《割書: | | |むぎ| を|  し》 擂盆(らいぼん) 《割書:すり| ばち》     割刀(かつたう)《割書: |はうてう》 砧(ちん) 板(はん) 《割書:まな| いた》 【左頁上段】 ○銅銚(とうてう)は今いふ銚子(てうし)なり 酒(さけ)をいるゝものなり ○銅提(とうてい)は今いふ提子(ひさげ)也 酒(さけ)をくはゆるものなり ○提炉(ていろ)【爐】は今いふ茶弁当(ちやべんたう) なり又/携炉(けいろ)【爐】ともいふ ○提盒(ていがう)は今いふ提重(さげぢう)なり 又/行厨(あんちう)ともいふ ○雪洞(せつとう)は一に育(いく)とも云/茶(ちや) 炉(ろ)をおほふものなり竹に 紙(かみ)をはりてつくる ○囊(のう)は袋(たい)帒(たい)ならひに同 ○吹筒(すいとう)は火ふきなり篍火(しうくは) 管(くはん)ともいふ今すつほんと いふ火(ひ)ふきあり ○鎖(じやう)【鎻】は音(こゑ)未(いまだ)【左ルビ「す」】_レ詳(つまびらかなら)ひつを鎖(さ)【鎻】 【左頁下段】 糊(こ) 刷(せつ)《割書:のり|はけ》 天平(てんへい)《割書:てん|び| ん》     法馬(はうば)《割書: | | |ふん| ど| う》 秤(せう) 《割書:は| かり》 錘(つい)《割書:  || |はかり|  の|おもし》 橐(たく) 《割書:おび| ぶくろ》 【上欄書入れ】132     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         八     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         八 【右頁上段】 管(くはん)といふはねを鎖須(さじゆ)と云 ○絹篩(けんし)はきぬふるいなり 今(いま)按(あん)するに薬(くすり)をふるふを 羅合(らがう)といふ麵(めん)【麪】粉(こ)をふるふを 羅斗(らと)といふ ○擂盆(らいぼん)はすりばちなりおと 雷(らい)のごとしよつて擂盆(らいぼん)と云 擂木(らいき)擂槌(らいつい)はともにすりぎ也 ○豆(とう)は祭(まつり)に肉(にく)をのするもの なり仏氏(ぶつし)には菓子(くはし)をのす ○薑擦(きやうさつ)はわさびおろし也 ○砧板(ちんはん)は今(いま)いふまないた也 又/㭢几(けいき)とも書(かく)べし肉机(にくき) 魚盤(きよはん)ならびに同 ○割刀(かつたう)は今(いま)いふ包丁(はうてう)なり魚(うを) をきる刀(かたな)なり菜刀(さいたう)はながたな 【右頁下段】 𨰉(さつ)【金+算+斤】 《割書:く| すり|きざ|  み》 碾(てん) 《割書:や|げ|ん》 鑰(やく)  《割書:かぎ》 帚(しう) 《割書:は|は|き》 櫃(き) 《割書:ひ|つ》 櫉(ちう) 《割書:づし》 【左頁上段】 ○麺杖(めんじやう)は今いふ麺棒(めんばう)なり 一に衦麺杖(かんめんじやう)ともいふ ○天平(てんびん)は今(いま)いふはり口(ぐち)なり 平は秤(ひん)の字(じ)の略(りやく)なりそら につりたる秤(はかり)なり ○法馬(はうば)は今(いま)いふ分銅(ふんどう)なり 法子(はうし)鋾馬(とうば)ともいふ ○秤(せう)は釐等(れてぐ)なりさう【「さう」は「さら」ヵ】を 盤(はん)といふさほを衡(かう)といふおも りを権(けん)【權】とも錘(つい)ともいふなり 杠秤(こうせう)はちぎなり ○錘(つい)ははかりのおもしなり鎚(つい) 権(けん)【權】ならびに同/衡(かう)ははかりの さほ梁(りやう)同 ○糊刷はのりばけなり ○橐(たく)は底(そこ)なきふくろなり 【左頁下段】 檯(だい)     箱(さう)《割書:はこ》 傘(さん)  《割書:から| かさ》 杖(ぢやう)《割書: | |つえ》 《割書:拄杖》 《割書:拐(かい)|かせづえ》 【上欄書入れ】133     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         九     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         九 【右頁上段】 俗(ぞく)にうちがへといふ ○/𨰉(さつ)【金+算+斤】は薬刀(やくたう)なりもとは草(くさ)を きる具(ぐ)なり今(いま)はくすりきざ みにもちゆ ○碾(てん)はもと農具(のうぐ)なり今は薬(くすり) を粉(こ)にする具(ぐ)とすよつて薬(やく) 碾(てん)とも薬研(やげん)ともいふ ○櫃(き)はひつなり書物(しよもつ)衣服(いふく)を 入るものなり唐櫃(からひつ)半櫃(はんびつ)長(なが) 櫃(びつ)あり ○橱(ちう)は厨子(づし)なり書厨(しよちう)なり 又衣厨(いちう)といふもあり ○鑰(やく)は鍵(けん)鎰(えき)ならびに通(つう)じ もちゆかぎなり ○帚(しう)は箒(しう)同/條帚(でうしう)はわら はゝき掃帚(さうしう)はたけばゝき独(どく) 【右頁下段】 蓋(かい)《割書: | |きぬ| がさ》 凳(とう) 《割書:くら| かけ》 梯(てい)《割書: | |はし|  ご》 炬火(こくは)  《割書:たい| まつ》 燎火(れうくは)  《割書:にはび》 唧筒(そくとう)  《割書:みづは|  じ|   き》 【左頁上段】 帚(しう)ははゝき木(き)はゝき棕帚(そうしう)は すろはゝきなり ○檯(たい)は几案(きあん)のたぐひなり 食物(しよくもつ)の檯(たい)を飯檯(はんだい)といふ ○箱(はこ)は篋(けう)匣(かう)ともに同じ筥(はこ) とも書(かく)なり屧(てう) 【訓蒙図彙は「屜」】はかけご【掛子・懸け籠】抽匣(ちうかう)は 引(ひき)ごしなり蓋(かい)はふたなり ○傘(さん)はからかさなり雨傘(うさん)は あまがさ涼傘(りやうさん)はひがさ ○杖(じやう) 鳩杖(はとのつえ)は鳩(はと)は物(もの)にむせぬ 鳥(とり)なりよつて老人(らうじん)の物に むせぬためとて杖(つえ)のかしら に鳩(はと)のかたちをきさみたるを 鳩杖(はとのつえ)といふなり ○蓋(かい)はもろこしには車上に たつるかさなり 【左頁下段】 爼(そ)《割書: | | |つく| え》      竿(かん)《割書: |さ| ほ》 標榜(へうはう)  《割書:ふだ》 胡床(こしやう) 《割書:あ| ぐ|  ら》      署扁(しよへん)《割書: |がく》 【上欄書入れ】134     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十 【右頁上段】 ○梯(てい)は俗(ぞく)にいふのぼりはし なり又はしご ○凳(とう)はくらかけなり踏凳(たつとう) ともいふ ○炬火(こくは)たいまつなりたち あかしともいふ松明(せうめい)同 ○燎火(りやうくは)にはびなり庭燎(ていりやう) とも門燎(もんりやう)ともいふ神代(じんだい)より はじまる禁中(きんちう)節会(せちゑ)に有 ○唧筒(そくとう)は今いふ水はじき なり火事(くはじ)のときもちゆ 又は庭(には)の樹木(じゆもく)に水をうつに もちゆるなり ○俎(そ)は祭(まつり)にいけにへをのす るものなりまないたと訓(くん) ずつくえなり 【右頁下段】 渾儀(こんぎ)《割書:こんてんぎ》 磁(じ) 針(しん) 佛(ぶつ) 龕(がん)《割書:づし》      佛𫝶(ぶつざ)【座】 錫杖(しやくじやう) 花(け) 鬘(まん) 【左頁上段】 ○胡床(こしやう)は俗(ぞく)にこれを床(しやう) 机(ぎ)といふ又あぐらとふ ○竿(かん)はさおなり笐(かう)は物 ほしさほ𥮕(かう)【竹冠に抗】同 ○標榜(へうはう)はふだなりまた 簡版(かんはん) ○署扁(しよへん)は今いふ額(がく)なり 扁額(へんがく)扁牌(へんはい)ならひに同 ○渾儀(こんぎ)は渾天儀(こんてんぎ)又は璇(せん) 璣玉衡(きぎよくかう)ともいふ日月の運(うん) 行(かう)をはかる物なり ○磁針(じしん)は磁石(ししやく)に針(はり)をさし て東南(とうなん)をしるものなり広(くはう) 野(や)海上(かいしやう)にたづさゆる物也 ○仏龕(ぶつがん)は今いふ仏像(ぶつざう)を いるゝ厨子(づし)なり 【左頁下段】 椸(い)《割書:みそ|かけ》  《割書:い| かう》 木(もく) 魚(ぎよ) 鈴(れい)杵(しよ) 《割書:鈴(れい)|五鈷(ごこ)|三鈷(さんこ)|獨鈷(とくこ)》 手爐(しゆろ) 《割書:えがうろ》 寶(はう)■(ら)【偏「片」旁「票」】 《割書:ほ| らの|  かい》 《割書:じゆず》 数珠(すうじゆ) 筁(きよく) 《割書:を》【「を」は元禄八年版「をい」】 【上欄書入れ】135     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十一     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十一 【右頁上段】 ○仏座(ぶつざ)は蓮座(れんざ)なり獅子(しし) 座(ざ)須弥座(しゆみざ)荷葉座(かようざ)岩(いわ) 座(ざ)唐座(からさ)等(どう)なり ○華鬘(けまん)は西域(さいいき)の女(をんな)の首(かしら) のかざりなり瓔珞(やうらく)なり頸(くび) のかさりなり ○錫杖(しやくじやう)は梵(ぼん)には隙棄(げきき) 羅(ら)といふなり ○椸(い)は衣服(いふく)をかくるものなり 又/衣桁(いかう)とも衣架(いか)ともいふ ○木魚(もくぎよ)は木(き)にて鯨魚(くじら)のかたち をつくりその声(こゑ)の大(おほい)なるにとれ りよつて鐘(つりがね)を鯨(げい)といふ禅家(ぜんけ) にもちゆ ○鈴(れい)は口金舌(こうきんぜつ)なり真言(しんごん)修(しゆ) 法(はう)の具(く)なり 【右頁下段】 押(おし) 桶(おけ)      石燈(せきとう)《割書:いしどう|  ろ》  《割書:まなばし》 魚(ぎよ) 箸(ちよ) 《割書:摺疊椅(しうでうい)》    交椅(かうゐ)《割書:きよく|   ろく》 神主(しんしゆ)    霊牌(れいはい)《割書: |いはゐ》 【左頁上段】 ○杵(しよ)は独鈷(とくこ)三/鈷(こ)五/鈷(こ)の三色 ありともに真言家(しんごんけ)の具(ぐ)なり ○手炉(しゆろ)【爐】はえがうろ和尚(おしやう)上人(しやうにん) 是(これ)を持(ぢ)して仏前(ぶつぜん)にむかふ ○数珠(じゆず)は念珠(ねんじゆ)なり諸宗(しよしう)かは りあり ○宝(はう)■(ら)【偏「片」旁「票」】はほらのかいなり海中(かいちう) の梭尾螺(さひら)をふくなり法螺(はうら)と も梵貝(ほんはい)ともいふ修験(しゆげん)の家又 は軍陣にふく ○筁(きよく)はおいなり山伏(やまぶし)のおふ ものなり笈(おい)とも書(かく)べし ○押桶(をしおけ)は産(さん)のとき胎衣(ゑな)を 入る桶(おけ)なりまげ物にじて鶴(つる) 亀(かめ)をゑがく ○石灯(せきとう)【燈】は仏神(ぶつじん)の前(まへ)にあり 【左頁下段】 羽 子 板《割書:はごいた》      石碑(せきひ)《割書:いしぶみ》 酒(しゆ) 帘(きん) 《割書:さか| ばやし》 鎻(さ)《割書:く|さり》      鎹(そう)《割書: | | |かす|がい》 𣞙(さう)【壴+桑】 《割書:つゞみ| の|だ| う》 和(くは) 卓(しよく)《割書:おし| き》 草(さう) 薦(せん) 《割書:こも》 竹(ちく) 席(せき) 《割書:あ|じ|ろ》 【上欄書入れ】136     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十二     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十二 【右頁上段】 又/在家(さいけ)手水鉢(てうづばち)の前(まへ)にも立る いしどうろ ○魚箸(ぎよちよ)はまなばし也/魚鱠箸(まなばし) 又は肉箸(まなばし)とも書(かく)べし ○交椅(かうい)は今いふ曲录(きよくろく)のこ となり字未不(しいまだつまびらかなら)【「なら」は「ならず」ヵ】 ○摺畳椅(しうでうい)はたゝみ曲录(きよくろく)なり ○神主(しんしゆ)は廟主(べうしゆ)なり儒者(じゆしや) のいはゐなり神主(しんしゆ)をおほ ふさやを櫝(とく)といふ ○霊牌(れいはい)は仏者(ぶつしや)のいはゐ也 かたちさま〴〵かはりあり ○石碑(せきひ)は墓所(むしよ)にたつる石(せき) 塔(たう)なりいしぶみといふ碑(ひ)に 銘(めい)を書(かく)なり ○羽子板(はごいた)は正月に羽(はね)をつく 【右頁下段】 㡠禙(とうほい) 短(たん) 冊(さく)      要(かなめ) 啄(たく) 木(ぼく) 紙手(かうで) 紙(し) 缕(らう) 《割書:かう|よ|り》 土(ど) 瓶(びん) 滴器(てきき) 《割書:げすい》 柳(やない) 筥(ばこ)      抽匣(ちうかう)《割書:ひきだ|  し》 煙(ゑん) 盃(はい) 《割書:きせ|る》 皺(すう) 皮(ひ)  《割書:ひ|き|は|だ》 【二重丸印 朱 R.F./BIBLIOTHÉQUE NATIONALE :: MSS::】 【左頁上段】 ものなり胡鬼板(こきいた)ともいふ ○酒(しゆ)帘(うん)【「うん」は「れん」ヵ】はきかばやし【「きかばやし」は「さかばやし」ヵ】なり 一に望子(ばうし)ともいふ酒望子(さかばうし) といふをあやまりてさかばや しといふ ○鎹(そう)はかすがいなり鉄(てつ)にて これをつくる鈌(けう)【けつヵ。「鈌」は元禄八年版「鋏(けう)」】同 ○鎖はくさりなり鉄鎖(てつさ)銅(とう) 鎖(さ)ならびに同又/鋃鐺(らうたう)とも 書(かく)べし ○/𣞙(さう) 【壴+桑】はつゞみのたうなり又 ■(くは)【偏「木」旁「瓦」】とも書(かく)なり ○和卓(くはしよく)はこゑをあやまりて をしきといふよつて折敷(をしき) とも書なり ○草薦(さうせん)はこもなりわら 【左頁下段】 寶蓋(ほうかい) 《割書:てん|がい》 棺(くわん) 《割書:ひ|つ|き》 輀(し) 《割書:ひつ| き|ぐる| ま》 龕(がん) 【上欄書入れ】137      【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十三     【柱】頭書増補訓蒙図彙十一         十三 にておりたるむしろなり○竹席(ちくせき)は今(いま)いふあじろなり簟(たん)同し篾(べつ)【𥯣】席(せき)も同し たかむしろ○㡠禙(とうほい)はかけ物に小べりなき■(ひやう)【表ヵ】具(ぐ)をいふ道背(たうほ)㡠補絵(とうほゑ)とも書(かく)なり へりほそきを輪補(りんほ)といふ○紙手(りうで)【元禄八年版「かうで」】は物を入る紙(かみ)のふくろなりかうでんといふはあやまり也 紙縷(しらう)【缕】はかうより○短冊(たんざく)は一に短籍(たんしやく)とも探䇿(たんさく)とも書(かく)べし色紙(しきし)○要(かなめ)はあふきのかな めなり一に鹿目(かなめ)とかく○啄木(たくほく)は表具(ひやうぐ)の紉(ひも)なり組糸(くみいと)のかたち鳥(とり)の木(き)を啄(つゝき)たるあとに にたれは啄木(たくぼく)といふ○柳筥(やないばこ)はをくり経歌(きやううた)の題(だい)又は硯(すゞり)鞠(まり)冠(かふり)などのする台【臺】なり木(き)の数(かす) 丁半(てうはん)のわかちあり○抽匣(ちうかう)は箱(はこ)のひきだしなり又は抽斗(ちうと)とも書(かく)なり○土瓶(どひん)は陶(つち)に てつくり茶(ちや)を煮(にる)器(き)なり○滴器(てきき)はげすいなり下水(げすい)とも書(かく)べし水(みづ)こぼしなり ○煙盃(えんはい)はたばこをのむきせるなり但(たゝ)し和字(わじ)なるべし○皺皮(ひきはた)はしぼみかわなり 刀(かたな)わきざしのすふくろなり蟇皮(ひきはだ)同○宝蓋(はうかい)は天蓋(てんがい)なり仏(ほとけ)のうへにおほふものなり ○棺(くわん)はひつきなり死人(しにん)をいるゝはこなり■(すう)【柩(キュウ・ひつぎ)ヵ。偏「木」旁「肉」ヵ】同/棺(くわん)をいるゝ外(そと)を槨(くわく)といふ寸法(すんほう)さだまり あり○輀(じ)は喪車(そうしや)なり今(いま)は大輿(たいよ)【轝】竹格(ちくかく)をもちゆ僧家(そうけ)にこれを龕(がん)といふ 【丸印 朱  中央に冠を頂く鳥(鷲ヵ鷹ヵ)の図を囲むように円形の文字列】BIBLIOTHÉQUE IMPÉRIALE  MAN. 【二重丸印 朱】 R.F.|BIBLIOTHÉQUE NATIONALE :: MSS :: 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【見返し(遊び紙)】 【後見返し(効き紙)】 【裏表紙】 【背:KIN MÔ/DSU I/DAI SEI   I   】 【丸ラベル JAPONAIS/311/1】 【天】 【小口】 【地】