妖物十番斬 完 新版/妖物(ばけもの)/十番(じふばん)/斬(きり)上 はやくしまつて もどらんせ ■■か 【下へ】 女ほうおまん 【縁側右端】 ■百松■■…【百松、息子その2の名前】 【四角いはんこの下】 ■■…のけき ■■…事 もふいやな こつちや□□ 兄万市■■【万市、息子その1の名前】 【柵のようなものの横】 ■■仕合よくして ぼんにたぬきしるして くはそふそおとなしく■すをせい【留守をせい?】 【縁の下】 爰にかわづかの 三郎左衛門とてかり人 有百人に すぐれ ゆう なるもの にて 弓を■■ 射てつ   はうの 名人ま■ 是■むか…【以下破れている】 【文字の潰れとかすれが多く破れもあり、全体に不明瞭です】 山林のけだ【?】物共かわづかゞために さいしけんぞくをころされ 大にいきどをりこの あたを むくはんと □□ □… □人なればいかにと□…  すべきやうなく打過けるが   こゝに多年をへたる古たぬき■■き■のい仲間の    らう■入道と■…を【「らう■」が入道の名前か】     たのみて ■■【かり】  人    を ころ  さんと   評定     して   狐いのしゝ  を以て使とし        て 【左ページへ】 一入道をたのむ【一は汚れ?】 【右ページ下段】 われらと■□…はしゆびよく   たのみ おほ せて やり【?】ませふ ほらあなを【?】 やつて 見せ■ ませう 【左ページ】 二疋のけだもの      来り べんせつを     ふるひ 入道を   たのむ 【入道の台詞】 □ん〳〵 きゝ とゞけた にくい狩人 あだ重分【=十分?】…    にして 愚たらけだもの共 ころしつくす■■てふ おれがかたきを取て やるべい からきづかひ        するな□□         さて〳〵 こゝに 三郎左衛門が かり人仲間【狩人仲間】 両人高沢山 しゐの木村を 通りける所に三郎□…【紙の破れ】手を おひてふしゐたり□…【紙の破れ】ば【伏しいたりければ?】 大におどろきかけ□…【紙の破れ】    かいはう□…【紙の破れ】          かつて 身に覚へはないがあやしき 姿のもの大ぜい 前後より取つくをけた をしふみたをし するゆへ入道 ■やつてのど ぶへをくひ 破りぬ大事の 手なれば  正気みたれと 覚へずといひおわつて        いきたへたり 【下段】 もり山弥太八何ものが手をおふせたぞしやつつらを【しゃっ面を】 覚えてかとふじや気を はつきりと もたふ ぞや かはづか三□【郎左衛門ヵ】【紙の破れ】    さいご に至□六 もふだまらぬ ふびんやあつたら おとこをころすか なむあみだ仏〳〵 【左ページ】 かくて両人の かりうどいそぎ三郎左衛門が 方へ行さいごの有さま 物がたりする 何とも■へぬ事共もし 山神のたゝりでも 有ての事かさりとは 残念な事かみ様の 心ていさつし     ました 女ぼう   おまん   なげく しなれた人は ぜひに及ぬ是からは跡が 大事でござる はや 家来  おに介 かくて  三郎左衛門が ■■【空?】しき 日数も    立 年月も 往ければ 所の庄や ■■り【年より?】 ■【相?】たんして おまんを つがや 太郎八と いへる一家中へ 万市をそへてふたゝびよめ入をさせ 【左ページへ】 百松をば父の ぼたいのため しるべ有寺へ 弟子に  やりけり 【右ページ下、台詞等】 こんれいの したくも大かた できたそうな     めでたい〳〵 はてさてなけく事はごさらぬ わいの百も手ならひ がく   もん    し□【紙の破れ】 出世□【紙の破れ】 いかい□【紙の破れ】 力じや□ 当分は かなしかろか【悲しかろうが?】 すへがたの     もしい おまんせひなく又の ゑんをむすび 太郎八か方へ ゆくに■■りぬ 百松くひ物にきをつけ   夜はあつしとも たんときてねゝしやれ わづらふてた     もんなや 【左ページ、台詞等】 百まつ さらばよ はてかみさま おろ〳〵と あんじる事は こざりませぬ わしが三日に一度づゝは たよりきゝにいきますわいの 【右ページ下段、本文】 百松はがくもん 手ならひけだい【懈怠?】 なくせい出し ければ師の僧【?】       も たのもしくめを    かけ給ひ       ける ある   時 うたゝね     の 夢に 父か   ■■     かぐ【?】 さいごの    ていを あり   〳〵と見る 【上段吹き出しの中、百松の夢の内容】 【紙の破れ】…なれけたものゝ命をとる                   事 【紙の破れ】…かきりなしそのむくひに                  よつて 【紙の破れ】…たゞ今汝が 【紙の破れ】…命をうばふ 【紙の破れ】…たれ 【紙の破れ】…なりと 【紙の破れ】…〴〵の■ふ□… ■取□…   ■て□…夢さめ ぬ 【左ページ】 百松は夢さめ かつはとおき是■し〳〵【?】又の家に つげ給ふと覚へたり天地の間に 住もの ならば うつにうたれぬ事 あらんやその たか沢山にわけ入てかの 入道めが首とつて なき父に手向んと    それより      □…【紙の破れ】 【左上、百松の台詞】 ししやう様の御おんはわすれ■              ませぬ    有がたふごさり          ます 【右端中ほど、人物名】 かみゆひ時左衛門【?】 いかさまこれ■■ふしぎが 御■そんなら わたしが ■■ぼ【ゑぼし?】【なづけ?】 おやに なつて りよ 外な がら【慮外ながら】 わたし■ ■■を そつて【とつて?】 時五郎と お名のりなされと        いふ 【下段】 それより□…【紙の破れ】 さんにふ□…【紙の破れ】 来りし■□……【紙の破れ】 わ…【紙の破れ】 か…【紙の破れ】 ■…【紙の破れ】 ■…【紙の破れ】 ■ ■れ   を【と?】 たのむ ■■【土間?】入て ■■■    ■ ゑんなりとて もの事に何そ【あそ?】 かれ■■■ もらひたし      と物【持ヵ】合わせの【ゐ合せの?】 鳥目   二百文やる 兄万市男になり養  父の名  字をつき つがや一九郎と名  のる  かゝる所へ 時五郎忍び来り  夢に見し  父の かたきの事を  かたり兄弟   もろ■とも 入道をうたんと いふ お袋様かきか しやつたら 大てい    の こゞと   しや 有まいきの    どくな かやう存■【し?候?】て は学問も身に しみませぬ はゝへも久〳〵             おめ               に               かゝり                ま                せぬ                お                まへ               け【つ?】れ■              いて下              ■りませ       その夢に見し           入道めは        成程きゝ及し       かたき也■れは父      かわづか■敵を討■     くれいとのその      れいこん■■           ■■【■の?】     何にもせよ■【父? の?】み    いつてやうすを        見やう    【上段中ほど、人物説明】 はゝおやおまん 【おまんの小言】 こりや百松よ我は父の ぼたいのため出家になれと こそ言【云?】付たればけもの たいぢせよとは おりやいわ【ワ?】ぬ ぞよ出家     に なるがいや さにゆめに かづけて寺を【夢に被けて】 【おまんの下へ続く】 にげたる ゆめは 五ざうの【五臓の】 なす わざ にて うつする時は【鬱する時は?】 さま〴〵の事を見る物じや 夢にみたとてそれをかたきしやとは たわいもないりやうけん【了見】とかくわれはおやの跡を とふらふ心さしはないと見へたそんなふちうな子はおりや【?】いらぬ けふよりしてかんだう【勘当?】じや 【左ページへ】 もふふためとも見ぬぞ立ていけ〳〵 【右ページ右下、鬼介の右ら下へ】 おれがたふあらふと思は■…【紙の破れ】 こゝへつれて…【紙の破れ】 …【紙の破れ】 …【紙の破れ】 【左ページ左上、義父つがや太郎八の台詞】 母のりくつ尤 至極な事    じや わるふきかぬが よいぞや しかし父の かたきうち    これと【したいとヵ】 【左の人物下へ続く】 思ふ 心ざしも ■ぎなれ ふびんなもの共     じやな 【人物名】 養父  つがや太郎八 【左ページ左下】 いな事としてはは【はゝ?】のきげんを そこねて跡へも【後へも?】 さきへも いかぬは どふぞ兄じや人【?】 おわびをたのみ       まする 時五郎あやまり入り なみだをながす かくて 兄弟 父の かた き を うたんと 頃はさ月の廿日過 たいまつたづさへ      ■■■へ ひそかに 山へぞ   わけ    入ける 【下段】 ■■■■やうすいかさま■■■ 【紙の破れあり】 【紙の破れあり】 【紙の破れあり】 父のかたきは ゐそふな■■ ごさります あれ〳〵 いびきの 音が 聞ゆる そろ〳〵 かはらひ【?】 うつて   ■よふ 【左ページ】 げたう ■らう 入道は せ■もしらず まるい■ら【紙の破れ】 よし■【紙の破れ】 はさん【紙の破れ】 大音を■【紙の破れ】 汝が手にかけし かわづか三郎左衛門が わすれがたみつがや 一九郎 同弟の【之の字?】 時五郎ねんらいの おやのかたきかくご せよとさん〴〵に切         ちらす なますに してくれうぞ こよひの森付【?】 つがやへ弟   けんぞく 【紙の破れあり】 あゝ ゆるせ 〳〵 きびつの 大の ゑんの下つちろれ■【???】 それより 入道が 手下の ばけ物ども すはようち こそ入たり     と 上をしたへと こね かへ す ろくろくびの おぬけ 時五郎を    なちる【詰る?】 兄弟しのび化もの ■■■■に出たる       よし つがや 家内 おど  ろき ふたいの【ふたりの? ふたい=譜代の?】 【左ページへ】 けらい 鬼介 郷三郎 の 兄弟を む  かひ   にやる あれ〳〵    若だんなが見へるぞ         ほうい〳〵 【右ページ下】 御■風【?】のおまんが とめた〳〵 【その下】 これ…【紙の破れ】 【紙の破れ】 【時五郎(百松)の台詞】  なで きり  だそ 【左ページ下】 三つ目の こめつき だんごの ばけもの して やられる おのれ まへか■【紙の破れ】 してやら■【紙の破れ】 ■あづきた【?】■【紙の破れ】      ■【紙の破れ】 年来の大まう【大望】 しゆびよくうち おほする事中〳〵 凡慮のなす所       に あらずと みな  〳〵 よろ こぶ 【おまんの横】 でか しやつた〳〵 【その下】 やれ〳〵    こわい かほじや 【下段】 かくて 兄弟のもの 父のかたきを□□        討て 首を 持参 し  ければ つがや ふうふ 大に悦び    則かん当を ゆるし所の しゆごへ一〳〵【一つ一つ? いちいち?】 うつたへければ 世にめづらしきかたきうち やうす御尋有べき間 罷出べきよし仰下さる 【左ページ】 ねんぐわん じやう   じゆ いたし  ました からは 此上 母人の 御意に した   がひ 出家仕り  亡父の跡を とふらひ    ませう 【下段】 大ぶんおもう ござります これほどな すいくはを【西瓜を】 たべたい 所の領主 へ召出され      かたきの      始終家 老中を もつて つぶさ に御尋     有通力を 得たるへんげのものをたやすく 討とる条古今未曾有 のかたきうちなりとて 【中段へ】 新知五百石つゝ 両人へ下され 御かゝへ有へきとの御意にしたがひ 則御やしきはい領仕り両親を 引取孝行他にことにして 長くはん昌しけるとぞ めて度春の 物がたり 【右下隅】 兄弟のもの めし   出さるゝ 戯作【印:丈阿?】