【表題】 差出し申御詫一札之事 【本文】 一|我等義(われらき)当十月二日|夜(よ)酒(さけ)に乗(じやう) じ鳴動(めいどう)の上  |前後亡失(ぜんごほうしつ)仕|八百萬御神(やほよろづのおんがみ)たち御|留守(るす)をも不弁(わきまへす)  御江戸町に家蔵(いへくら)等|破逆(はきやく)致し損亡(そんほう)夥敷(おひたゝしく)候に  付|神佛方(しんぶつかた)御|怒(いかり)の|段(だん)御|尤(もつとも)に御座候|然(しかる)る所   先(せん)夜|雨天(うてん)の節(せつ)津浪共打寄(つなみどもうちより)候に付|我(われ)等   |罷出(まかりいで)八大龍王(はちだいりうわう)江相|願(たのみ)右津なみ差戻(さしもどし)させ  御ぶなんに相|過(すぎ)候|依之(これによつて)蛭子(ゑびす)神を以て御|詫(わび)申  入候所ゆる〳〵御|聞済(きゝすみ)被下置|千萬(せんばん)難有奉存候  |向後(こうご)震(ふるひ)候節は鯰(なまづ)一同|蒲焼(かはやき)すつぽん煮(に)等に  被成候共|決而(けつして)一|毛(もう)の動(うごき)申間敷候|為後日(こにちのため)さし  ゆれ申上一|発仍(はつよつて)ふ断(だん)の如し    安政二年        |地震坊(ぢしんばう)       霜月二日       |大鯰(たいねん) 【下段】 【くら】 〽火事ならわたしもとくしんつくたが だしぬけにくづすとはあんまり むごひしかたじやアあるめへか 火じ 〽ヲゝそうよわしもやくきはねへけれど よんどころなくつぶされのうへで でき心りやうけんしなせへ 五重のとう 〽おめへかたはともかくもおれは なんにもじやまにはならす じしんにあたまをはりたを されるり【ヱ?】くつはねへやア かみなり 〽コウぢしん手めへやおれはよの中て 仲間トいふはしつてゐるになせおとして くれたエゝ おちていひしふんには おれかかつてに一人リておちる かぜのかみの まへも あるはへ よごれたのを ぬり直して くれろ ゑびす 〽わしも十月そう〳〵から こんなさはきかみ〴〵へも いひわけなくやう〳〵 おわびは申たなれど このごはきつと ふるふなヨ かしまさま 〽かなめいしが ひやうたんの やうになつては わしがいせへ すまぬぞきつと つゝしめ なまづ 〽ヘイ〳〵〳〵〳〵 〳〵〳〵〳〵 モウ ぬらくらは いたしませぬ