【右丁】   三條院(さんでうのゐん) 心にも   あらで うき   世(よ)に ながらへ    ば こひしかるべき 夜半(よは)の月かな 【左丁】   六十八番 此心は御こゝちれいならずをはしまして御 位をさらんとせさせ給ひけるころ月の あかりけるを御らんじてよませ給ひけると也 御なう【「御悩」=天皇・貴人などの御病気。】ゆゑに御位をさらんとおぼしめす にもし御命もながらへさせ給はゞ此禁中 のたゞいまの月いかばかりこひしくも おぼしめしいだされんとなりまことに あはれふかき御うたならずや 【画面右下】 香蝶棲  豊国【國】画