【右上枠】 【同タイトル】 《割書:地震|出火》御救(おんすくゐ)小屋(ごや)施行(ほどこし)名前(なまへ)附(づけ)            并  近辺居廻り施行 【同内容】           聖代記 天災(てんさい)地凶(ちけう)は命(めい)なり時なり人力(じんりょく)凡智(ほんち)をもて量(はか)るべからず齢命死活(しんめいしくあつ)も また然(しか)り草根木皮(そうこんほくひ)の能(よく)生(いく)べきにあらずとなん然(しか)りと雖(いへとも)禹王(うわう)の 洪水(くわすい)を納(おさめ)扁鵲(へんしゃく)の救命(きうめい)を得(う)るが如(こと)き是(これ)聖慮(せんりよ)仁術(じんしゆつ)なるが 故(ゆへ)に天道の冥(めう)助(ちよ)あり于時(これとき)安政二卯十月二日夜 不意(ふゐ)の天変(てんへん) 一時(いちし)に発(はつ)して四民(しみん)の困窮(こんきう)人命(しんめい)の死亡(しほう)家庫(いえくら)堂社(とうしや)の破(は)損(そん)焼(しやう) 亡(ほう)許多(いくばく)といふ数(かづ)を知(し)らず朝(あさ)に焼(やけ)野(の)に出て灰塵(くわいじん)に染れ夕へに 地上(ちじやう)に臥(ふし)て寒風に身(み)を晒(さら)し哀(あはれ)といふも除りありかゝる中(う)にも 官府(かんくみ)の御仁恵(おんめくみ)莫大(ばくたい)にして難民(なんみん)橅(ふ)育(いく)の御 徳沢(とくたつ)は実に太平の 御国 恩(おん)にして既(すで)に五ケ所に御救小(おすくひご)家を建(たて)させられ愁(うれ)ひを忘れて 歓喜(よろこび)を増(まし)諸人安座して万歳を唱(とな)ふ尭舜(けうしゆん)の民(たみ)仁(しん)を好(すく)し富有(ふやう)の 商家(しやうか)財(ざい)を分(わけ)て貧(まつ)しき者へ施行(せきやう)せしむ大成(おほひなる)哉(かな)善政(ぜんせい)の徳(とく)一家(いつか)仁(じん) なれば一国(いちこく)仁(しん)をなす頓首(とんしゆ)拝謝(はゐしや)して仰(あほく)へし又貴(とふと)むべしと云云(し?かいふ)    安政二卯初冬    荘土  野﨑小魚謹白    印 【仕切り線】 五ケ所  浅草広小路  深川海辺新田 御小家  幸橋御門外  同所八幡宮境内 上野火除地  東叡山御小家   上野御山下 【左表一段目】 ○浅草広小路御小屋  浅草駒形町家持 内田屋 一 味噌汁三樽    甚右衛門    右十月九日より毎日施行     同所山の宿家持 一 味噌二樽     信吉 一 梅干四十樽      同所西仲町家持 一 鱒二百本    源兵衛     同所田原町三丁目          儀兵衛店 萬屋 一 銭十貫文     松五郎     同所東仲町          家主 一 漉返紙六百帖   中     同田原町二丁目家持          三河屋            喜三郎 一 沢庵十樽 一 銭百貫文       同所西仲町家持 一 金三拾弐両弐分    安右衛門     同所東仲町伊右衛門地借 花屋 一 さつま芋十五俵    重蔵       同所家持 一 菜漬十五樽     久右衛門 一 銭七十五貫文    次郎兵衛             四郎左衛門             忠助     同所南馬道新町            忠兵衛店 一 さつま芋十俵    久兵衛     同所北馬道家持            佐の倉 一 味噌十樽      安兵衛     同所元旅籠町一丁目            家主 一 茶三百袋      茂右衛門     同所西仲町家持            堺屋 一 菓子二百六十袋   安右衛門     同所東仲町富右衛門地借            大黒屋              平兵衛     同所斎兵衛地借            鍋屋                 【以降 損じ】 【左表二段目】     本郷春木町庄兵衛地借 太之津 一 味噌十樽       新三郎 堺屋 一 むしろ百枚      伝蔵     下谷六軒町真兵衛地借 一 手拭一筋宛      与兵衛     池上本門寺末       武州足立郡鳩ケ谷在            青木村 一 ふかし芋三樽     宗信寺    ○深川海辺新田御小屋     同所木場町家持 一 銭 百三十五貫文   和助    ○ 一 さつま芋二十俵    無名氏 一 銭弐百文宛      某 一 銭六百文宛    ○同所八幡境内御小屋     同所木場町家持 一 銭六十貫文      和助    ○幸橋御門外御小屋     新両替町四丁目半二郎地借            瓦師 一 當百銭三十貫文    六右衛門 一 小銭弐十貫文 木挽町五丁目上納地家持 一 銭弐百文宛      徳三郎 一 手拭 一筋宛    ○上野火除地御小屋 同所北大門町定吉地借            鳫鍋 一 さつま芋十五俵    万吉     同所宮様御小屋江 一 金五両 一 さつま芋十俵     同所山下瀬川屋敷伝兵衛地借            甘泉堂 一 銭三十貫文      善兵衛 一 下駄 百足     同所宮様御小屋江     【以降 損じ】 【左表三段目】     佐々木道太郎様御代官所      下総国相馬郡布佐村            百性              十郎兵衛 一 菜漬一樽 一 らつきやう一樽 一 生姜漬一樽 一 梅干三樽 本郷春木町二丁目庄兵衛地借            大三津 一 味噌五十樽      新三郎    ○近辺施名前之部     深川佐賀町家持五左衛門        勢州住宅に付            店支配人 一 金二百十三両弐分弐朱 庄兵衛      外に町内江二分宛 一 白米七石弐斗    御褒美銀七枚  外に二枚     深川北川町家持            近江屋 一 金百七十四両二分   喜左衛門      外に町内江一分宛    御褒美銀七枚     同所佐賀町家持 一 金弐十壱両二分    勇三郎 一 玄米四十五石三斗六升     此代五十四両二分    御褒美銀五枚     同所同町家持清兵衛        阿州住宅に付            店支配人   一 金三十一両三分    忠兵衛    御褒美銀二枚     同所同町家持安兵衛        阿州住宅に付            店支配人              忠助 一 金三十五両弐分    御褒美銀二枚          同所同町    宮本某  一 金壱朱宛            同所同町    池和屋 一 金壱朱宛      同所同町     【以降 損じ】 【左表四段目】            南新堀        一 白米一斗五升宛    伊坂氏      外に 五日の間たき出し施      南かやば町             永岡 一 白米五升宛      儀兵衛      新右衛門町            川村 一 白米五升宛      伝左衛門      日本橋萬町            谷口 一 白米五升宛      熊五郎            関口    御屋敷様 一 米三斗五升宛   御門前町家へ 一 米五斗二升宛   源介町へ        深川佐賀町 ちくま 一 金一分宛 出入船頭へ     七日の間味噌諸人江施      北新堀   長島屋 一 金壱朱百文宛 町内其外      同所    北村氏 一 金壱朱百文宛 右同断        同所    後藤氏 一 白米五升宛  右同断      霊がん島  丸甚 一 金壱朱 白米一升宛      同所      鹿島 一 金一分宛 十八ケ町へ施 本店      芝露月町  堺屋 一 金弐朱宛 町内へ 一 壱朱宛  柴井町へ              同所同町  杵屋 一 金弐朱宛 町内へ 一 金壱朱宛 柴井町へ      神田紺屋町 某 一 金一分宛 居廻り江        浅草堀田原          池田屋            市兵衛   三日の間    小豆粥差出       同所御そうじ町       【以降 損じ】