こゝに安政二年 十月二日の夜 大地震(おほちしん)ゆりて 家たをれ 蔵(くら)くづるゝこと おびたゞしく 猶(なほ)死亡(しぼう)の人(ひと)多(おほ)かる 中(なか)にけがもなく あやうき命(いのち)を たすかりたる 人々(ひと〴〵)は伊勢(いせ) 太神宮(だいじんぐう)の 御たすけ也 その故(ゆゑ)は 彼時(かのとき)御馬 御府内(こふない)を はせめぐり 信心(しん〴〵)の輩(ともがら)を      すくひ玉ふにや たすかりし人々(ひと〳〵)の衣類(いるゐ)の袂(たもと)に 神馬(じんめ)の毛(け)入(いり)てある といふをきゝてその人々 あらため見るにはたして 【馬の】毛(け)出(いづ)る也 是(これ)こそ 【大御神 おほんかみ の守 まも らしむる所なりと云々】 〽かみさまがでゝはおれ  たちはかなわねへはやく  にげだせ〳〵 〽アヽいてへ〳〵もふ〳〵  でませんごめん〳〵