【右丁】   能因法師(のうゐんほうし) あらし吹(ふく)  みむろの 山の   紅葉(もみぢ)   ばは たつたの川の  にしき成(なり)けり 【本文】   六十九番 のうゐんはそくみやう【俗名】をながよし【「ながやす(永愷)」とあるところ。】といへ り出家してこそへの入道とがうす【号す=称す】哥道 にめいよありけり天の川なはしろ水に せきくだせあまくだります神ならは かみといふ哥にて雨をふらせたり其外 白川の関の哥なからの橋板の ことなどかず〳〵古抄にのせ たることおほし今この かたのこゝろはあり〳〵と聞 えてあれはしる      さず 【画面右側】 香蝶棲  豊国【國】画