【巻物の巻いた状態の写真 手書き文字のラベル有るも読み取れず】 【巻物の天、或は地から撮った写真】 【巻物の天、或は地から撮った写真】 【ここに注記を書きます大】 それわかてう【我が朝】は秋津しまとよあし 原なかつ【「い」に見えるが「つ」とあるところ】くにむかし天神七代地神 五代いしやう十二代はみな神の代也 かの地しん第五の御神ひこなきた たすうかふやふたあはせすのみことの 第二の御子しんむ天皇と申たて まつるは人わうのはしめにておはし ますそれよりこのかた人わう十六代 の御すゑおう神天わうと申は今の 八まん大ほさつの御事也御ちゝ ちうあいてんわうの御宇かのとのと り【辛の酉】二年にしんらこく【新羅国】よりくんひやう【軍兵(ぐんぴょう)】 おほひきたつてほんてうをうちとら むとす天わうきちよく【毅直=しっかりして信念を曲げないこと】しての給はく くはうこうの宮むこになすへしかし めしたらはりうわうのきさきに なすへしといふにしかるにちうあい 天わう九年かのえたつ【庚辰】二月六日 つくしかしゐ【香椎】の宮よおゐてほとなく ほうきよおはんぬそのゝち神くうく はうこうしんら【新羅】白さい【「はくさい」=百済のこと】かうらい【高麗】をうち したかへんかためにちんせい【鎮西】へおもむ かせ給ひしときのせいもむ【誓文】を□て させ給ふとそきせいせられけるはねか はくは天たう【天道】われにちからをそへて かのいこくのてきをほろほさしめ てわかくにをあんをんになさしめ 給へと申給ひしかはいつくよりとも なく白はつのらうおうひとりきた れりくはうこうとふての給はくいか なるらう人ならんとの給へはらうしん こたへていはくきみしんらはくさいか うらいをうちしたかへんとおほしめし たゝせ給ふおきなも御とも申て御 ちからになりたてまつらんとてまいり て候なりと申ときにくはうこう御 こゝろのうちにおほしめすやうは かのらう人のていさしてわかちから になるへしともおほえすと        おほし          めしな           から         もしへん           けの          ものにて             もや        あるらん           とて          ちんせいへ           くたら             せ            給ふ 【絵画 文字無し】 ひせんのとまりにつかせ給ひしとき たけ十ちやうはかりなるうしきたつ てくはうこう【皇后】ののせ給ふ御ふねを そんせんとすときにこのおきなかの うしのつのをとつてうみのなかへ つきいれぬよつて此とまりをはう しまとゝ申也もんしにはうしまろは しとかくなりしかるにこのうしそ このうみの中にしてひとつのしま となりていまも侍りきそれよりし てくはうこうこのらうしんをたのもしき ものとおほしめしてちかくめして           なにとも             おほせ              あらせ             られ              けり 【絵画 文字無し】 そのゝちくはうこうもしのせきより かみにおほうはかさきと申とまりに つかせ給ふ時にしほこと〳〵【ことごと=すべて】ひあかり て御ふねかよふへきやうなしそのとき かのおきなたゝ一人して御ふねをおし たてまつるさてあしやの津につかせ 給ふときかのとまりにておきなゆみ やをもつてい侍りけるを御らんすれ はゆくゑもなきいはのさき十ちやう はかりさし出たるをいけるにそれはも のにてもなくやす〳〵といとをし けれはくはうこう        いよ〳〵御心を          ひとつにし               て            御ともに             めしく              し【召し具し=(貴人が)連れて行く】給ふ 【絵画 文字無し】 そのゝちくはうこうかすゐのはまと申 所につき給ふくはうこうらうしんをめし て仰けるはしんら白さい【新羅百済】のてきをは なにとしてほろほすへしとの給へは らうしん申やう是よりにしにしかの島と 申ところにあんとんのいそらと申もの有 かれをめしてりうくうへつかはしかんしゆ【干珠=海中に投げ入れると潮を引かせる霊力を持つといわれる珠(たま)】 まんしゆ【満珠=海に投げ入れると潮が満ちる呪力があるという珠】と申二ツの玉をかり給はゝかの くにしたかへんことやすかるへしと申さて くたんのわらはをなにとしてかめすへき と仰ける是人申さくこのわらはせい のう【細男】と申まひをことにあひし侍る也 此まひをはならまひとも申此まひをは 誰人かまふへきやと仰けれは此らう 人まはんとてかい中にふたいをはり てすなはちまひすまし侍けりこのふ たい今にいしとなつて侍りき 【絵画 文字無し】 その時くたんのいそらこのまひに めてゝふねにのりてふたいちかくそ きたれるくはうこうらう人をめして かの玉の事なんちいつく申へきとお ほせけれはその時是人いそらにむかつて 申さくなんちしらすや日本のこくわう御 ほんいをとけ給はんために今しんらはく さいへわたらせ給ふ日ほんのうちに有なから こくわうのおほせをはいかてそむき申 へきはやく御ちからとなりてりうくうに ありける二ツの玉をかりてたてまつるへ へしといひけれはいそらかしこまつて さらはとてかへりぬつきの日かのふたつ の玉をもちてまいりくはうこうにた てまつるそのときくはうこう           御よろこひは             かきりな               し 【右丁 絵画 文字無し】 さて白さいこく【百済国】へわたり給ふみかたの御ふね は四十八そうくくんひやうのかす【軍兵の数】一千三百七 十五人也又いこくの舟は十万八千さうくん ひやうは四十九万六千よ人也かのくにのも のてくろうしていはくかたきくに【読みに自信ありません】也女人を大 將としてむかふ也とてうんか【雲霞】のことくせめき たつてくはうこうをうたんとすその時かんしゆ をうみの中に入給ひしかは大かい皆〳〵ひあかつ て平ちのことしかのくにのものよろこひて しほひ【潮干】につきてせめかゝりしかはすなはち もとのかんしゆをとりあけ又まんしゆをかい 中になけ入給へはなみほうらいのことく みなきつておほうみもとのことくにみち しかはいこくのおんてきしほみつにうつ もれて一人ものこらすしつみうせぬある えんきにいはくひせんのくにさかのこ ほりにましますかいしやうの宮にかのふた つの玉をおさめ給ふかしらは二寸ありて おのほそき玉なりとうん〳〵【云々=~という】 【絵画 文字無し】 そのときかのくにの大わうちかひをた てゝいはくわれ日本のいぬとなりてかの くにのもの日ほんをまほらんまつたく けたい【懈怠】あるへからすもしきやくしん【逆心=主君にそむく心】あらは てんたうのせめをかうふらんとうん〳〵【云々】 よつてくわうこういしのうへにしんらこく【新羅国】 の大わうは日ほんのいぬなりと御ゆみ のほこのさきにてかきつけさせたまふ てきてう【帰朝】まし〳〵けりそのゝちこと しつまりてまつたいまてもくにのはち たるへしとて此もんしをすりけさんと するにいよ〳〵あさやかになりけれは なをも見くるしとてくすりをぬり てやきうしなはんとすれともうせすし ていまも此もんたしかにしてありと うん〳〵  楚首八幡大菩薩舟現神通  度取生行深十悪為十善覆  護取生能与楽 【絵画 文字無し】 そのゝちくはうこう【皇后】かのくにをうちし たかへてちくせんのくにゝかへり給ひ て十日と申にその羽をもつて うふやをつくり給ひて       えんしゆ【槐】の木に          とりつかせ             給ひて        わうしを            うみたて             まつり それより       給ひし  一わを        あひ   さり          た     て   かのところ             をは この日は           なん時      うみの      に                   宮と    なる        なつけ     そと        たり        て ゆへに  空へ  ひま   あふの   なり    かせ    と     給ふ     いふ   【絵画 文字無し】 その時の御ことはにわれをはせきた いうんけんとはいふへしとあつてしやうかく なり給てのちかの山のいたゝきに三 のいしとなり給へりそのいしのうへより こんしきのひかりみやうへさしたりにんとく 天わうあやにちよくしを立られてかの山 に尋ゆきてみるにこかねのたかとあら はれ給ふすなはち山のふもとにやしろをつ くりあかめ給ふかいちやうゑ【戒定慧】のはこをうつみた まひししるしの松のもとに主より八ツの はたふりたりあかはたやつ白はたやつ ふりたるゆへに白はたの宮あかはたの みやと申て二ところにあかめたてまつる ほんちはしやか【釈迦如来】たほう【多宝如来】也八まんとあらは れ給ふ事はこのはたの八ツふりしに よつて申也百わう【百王=代々の帝王】しゆこ【守護】の神と成 給はんと御たくせんありし也大ほさつ の本地しさいわうほさつ也 【絵画 文字無し】 人王第三十代きんめい天わう十二年に あたりはしめて神明とあらはれ給ふ大 くしふにんちやう【補任帳】にはそうとく三年とも云 ひぜんのくにうさの郡れんたいし山のふ もとたにのおくにかち【鍛冶】するおたな有その すかたはなはたきたい【希代=世にもまれなこと】也大神のひえい是 を見つけてたゝ人にあらすとおもひて 五こくをたちて三年のあひたきうし してのち御へいをもつていのりていはく われ三年まて五こくをたちろうきよ【籠居=自宅に引きこもっていること】し てきうしするそのすかたたゝ人にあらさる なりもし神ならはわかまへにあらはれ給へ といふこのときおきなうせて三さいは かりのちうとあらはれて竹のえたに のりてたくせんしての給はくわれは日 ほんの人わう十六代のうんたの天王也 われはうれいけんいりき【威力=神仏のもつ力】しんつう【神通】大 しさいわうほさつといへり 【絵画 文字無し】 その時まては大ほさつことはかへし給ふこと たゝ人にむかふかことしその時せうとく天 わうは女ていにておはしますひきのちよくし にきよまるをつかはして申させ給へとも さらにりやうしやうなしきよ丸みかとの御い をそむけはたうしのおそれ又しんりよ【神慮】の御 しけん【示現】をそむけはけんたうのおそれ有へ しとおもひてくたんのしさいを申あけぬ その時みかとけきりんありてなんちわか心を しれりかやうの返事申にとてたちまち御 ふしんをかうふりてあしをきりてうつほ舟【空舟=大木をくりぬいて作った舟。丸木舟】 にのせてかのきよまるを大かいにはな たるしかるにこのふねなみにたゝ よひて七日七夜と申にふせん【豊前】のくに いはまのはまと申ところにいたりぬ そのところにたちまちにしりきたつ てきよまろをのせてかの大ほさつの 御ほうせん【宝前=神前・仏前の敬称】にまいりぬ 【絵画 文字無し】 その時御てんより五しきのせうしや いてゝきよまるかあしをねふるにすな はちあしもとのことくいてきぬたゝし むかしは六年に一度ちよくしをた て給ひしかともこの大臣時より三 ねんに一度ちよくしをたて給ふ きうたのみやみなみをうく われわうしやうちかくいはしみつのほとりに うつすへしわれくにたみをまほらんとし けんありきやうけう【意味不明】わうしやうにのほり てくはんしやう申たて          まつらん             とて            おもひ              たち               ける 【絵画 文字無し】 さてかのおとこ山にいたり給ひて 御さところをさためんとおもふところに きやうけうのころもにこんしきのひ かりさし給ふきやうけうかたしけなく てかんるいをゝさへかたくさてうかゝ ひ申されけるはこの山はひろくさふらふ さていかなるところにすませ給ふへき をしへた給へと申されけれはすなはち いはしみつのほとりにさか木三もと おひたりきやうけうこれを見たて まつりてうつし給ふ        おとこやまは           みなみを             うく 【絵画 文字無し】 【巻末 文字無し】