【表題】 泰平鯰退治(たいへいなまづたいじ) 【本文】 大ぜい〽アリヤ〳〵〳〵〳〵 む忠〽ヤアぬらくらものゝなまづ ぼうずめおのれがわるくふざけるゆへせけん のさはぎ諸人のなんぎ おど六〽家くらのみかたい せつなるきも玉までぶつつぶさし あは九郎〽まだ〳〵 其上火なんのうれい や吉〽老若(ろうにやく)きせんの さべつなく まち〽いとしい新造(しんぞう)に のじゆくをさせ いへ〽おいら迠も やどなしどうぜん たか〽いちどならず今にも どろ〳〵 もん〽あんまりあこぎのあみはのが れぬ みなさく〽なまづ坊主(ほうず)めかくごいたせ 大ぜい〽サア じんぜうにくだばつてしまへ なまづ〽ハヽヽヽハヽヽヽ ハテそう〴〵しひがらくたやろうめおのら十万 百万でもものかづとは思はず金剛夜叉(こんがうやしや) 五大力でもちつともおそれぬわがいき おいそれ知(しり)ながらギヤア〴〵とうろたえへ廻(まは)る おくびやうものわるくさはぐとあばらやのごとく こなみじんにふみくだくぞ あは九〽ヤアこまごと ぬかすな初(はじめ)は出しぬけだからおそれたが 今は命(いのち)もかくごの我々(われ〳〵) む忠太〽ことにかしまさま の守(まもり)もあれば やし吉〽鉄門(てつもん)よりは大丈夫(だいぜうぶ) まち〽一分でも 動(うごき)はしねへぞ くら〽たはこといはせずぶつちめよと 双方(そうほう)より立けるをなまづはしゆうに はたらきて取ては投(なげ)のけはねとばしあるひは ころり押倒(おしたおし)せうぎだおしにばた〳〵〳〵なまづは きおいにあたりを見廻し なまづ〽アラこゝちよや 是よりは思ひのまゝ天地おもくつがへしわが まゝにしてくれんといふおりからもふしぎの 霊験(れいけん)鹿島(かしま)の神の守にやたをれしもの 一度に起立(おきたち)四天王の勇(ゆう)を顕(あらは)しヤツと声(こへ)かけ 左右(さゆう)よりおつ取かこみうちければなまづも動(はたら)く 心なれど一身(いつしん)しびれてはたらきがたくむねんの いかりはがみなすをなんなくしめる神しばりみな 一同にいさみたち ぢさく〽サアこれからは此なまづを八つさきに して腹(はら)いせしやう かべさく〽極悪非道(ごくあくひどう)のらんぼうもの やね〽まづことも なく取しづめ つし〽天下太平(てんかたいへい)国土安穏(こくとあんおん) くら〽鯰(なかづ)を火にあぶり いはいのさかもり さら八〽サアうしやアがれ なまづ〽おいらいやだ さう八〽ヤアいやだと ぬかしてゆるしておかふか ぢさく〽サアうしやアがれ なまづ〽ひどいめにあはせるからいやだ おど〽あいつひけうなやつだソリヤ知たことだ あは九らう〽たいがいのことですませるものか いへ〽はら いつはひくるしませてやるのだ なまづ〽ナゼそんなにおれをにくむのだ たか平〽とぼけな うぬ自身におぼへがあろう 大ぜい〽うぬはいつこくのおふゆすりめだわい 【絵の中の歌】 土天葊 末ひろき御世を しめたる要石うこかぬ 国と あふぐ 神風 【絵の署名】 延壽戯画作