浮世   五十四帖 上 源氏 宇喜豫  源氏     上の巻 しら鷺(さぎ)の    しらずと  人に   こたへても   物(もの)おもふ姿(すがた)        かくす         よし           なき 源氏(げんじ)帚木巻(はゝきゞのまき)雨夜(あまよ)の品定(しなさだ)めに。 人(ひと)の見(み)及(およ)ばぬ蓬莱(ほうらい)の山(やま)。あら海(うみ)に いかれる魚(うを)。からくにのはげしきけものゝ かたち。目(め)に見(み)えぬ鬼(おに)の顔(かほ)など。ものおそろ しくかきなせば。誠(まこと)の形(かたち)の是非(ぜひ)は知(し)らず。只(たゞ)見(み)し 所(ところ)勢(いきほ)ひありて。人毎(ひとごと)にまづ思(おも)ひつくものぞとて。 心(こゝろ)のうちは知(し)らずもあれ。うち見(み)。粋(すゐ)に花(はな)やか なる。女(をんな)の上(うへ)に是(これ)を喩(たと)へ。人(ひと)の常(つね)に目馴(めなれ)たる 遠山(とほやま)のたゞすまひ木(こ)だち物(もの)ふかく家(いへ)居(ゐ)まぢ かきあたり。籬(まがき)のうちにどこまやかに心(こゝろ)をつけて 能(よく)かきたらんを。実殊(じつ)なる女(をんな)に比(ひ)しけるこそ。 実(げ)に此(この)是(みち)の分知(わけし)りなるべし。手(て)書(かく)わずも これにおなし。爰(こゝ)かしこの点(てん)をはねちらしたる。いか さま見事(みごと)に思(おも)はるれど。心(こゝろ)正(たゞ)しき時(とき)は筆(ふで)たゞしと。 格(かく)を乱(みだ)さず心(こゝろ)をこめしは。只(たゞ)見(み)。さまでの手迹(しゆせき)に見(み) ねど。かの刎散(はねちら)したるに並(ならぶ)れば。見(み)るほどに見(み)ざめせず。 芸能(げいのう)さへに実躰(じつてい)にしかとなきにまして女(をんな)の 上(うへ)にをや。人(ひと)の心(こゝろ)の花染衣(はなぞめごろも)に。粋風(すゐふう)の見(み)せかけ 姿(すがた)。上辺(うはべ)ばかりの仇(あだ)なる色(いろ)は。一期(いちご)の妻(つま)とは つゞむまじきと。さしも粋好色(すゐこうしよく)の 馬(うま)の頭(かみ)も。指喰(ゆびくひ)。木(こ)がらしの女(をんな)に手(て) ごりしたる過去(こしかた)話(ばなし)に。光君(ひかるきみ)を始(はじ)め頭中将(とりのちうじやう) 惟光(これみつ)などを笑(ゑ)つぼに入(い)らせし詞(ことば)をかり。今(いま)や 世上(せじやう)の処女(をとめ)のさま〴〵。上(かみ)。中(なか)。下(しも)の品(しな)をわけ。五十四帖(ごじふよじやう)の 行方(ゆきかた)を。心(こゝろ)のまに〳〵説(とき)かけしがいかにせん紙数(しすう)に 限(かぎり)あるをもて。いまだ半(なかば)に三巻(みまき)となりぬ。されば 残(のこ)りの二十七 帖(でふ)大尾(たいび)の夢(ゆめ)の浮橋(うきはし)まで。只(たゞ)夢(ゆめ)のまに 編(へん)を続(つぎ)。五十四帖(ごしふよでふ)を全部(まつたう)して。兼(かね)て開好(ぼこう)を    御贔屓(ごひゝき)の諸君(しよくん)の御意(ぎよい)にいらばやと。     扇(あふぎ)を笏(しやく)におつとつて。彼(かの)馬頭(うまのかみ)が    口真似(くちまね)を。序言(じよげん)にかへて爰(こゝ)にしるしつ                    淫 水 亭 〽もう このごろ ではいたい ことはある    まいが 〽イヽエ。そして いつそ もう〳〵 うれし うご ざい ま す 【右頁】 〽床(とこ)の海(うみ)にいき かう気も目に 見へぬこつぼの 内とはいへど ひとの仕およば       ぬ 蓬莱(ほうらい)の 嶋田(しまだ)わげ その玉門にも さま〴〵品の あるものかな 〽も つと お入  れ あそ ば せ 【左頁】 〽どう ぞわた くしを ほんまに なさつて 下さい まし 【右頁】 〽蝉(せみ)のこへを  きゝながら  こゝろもちよく  午睡(ひるね)をもよ   ほしたが   もう七ツ   さがりと   見へる  日も西(にし)に  昼(ひる)のあつ さをとりかへす とは此ときだ どうもいへぬ  こゝろもち      の     うへ     寝(ね)     起(おき)     と    いふ   もの    で 【左頁】 とかく おへるには   こまる  もう あつさは とりかへ  すし とりかへし ついでに 夜前(ゆうべ)の 仕(し)のこり    を とり  かへそう  〽どういた      そう   わたしを      むりに  此様(こんな)ものへのせて アレサおちそうで いつそこわい そして  こういふ所(ところ)を ひとに   見られる      と  はづかしい      ねへ 〽垣根(かきね)にしろく   ほの〴〵と     花の    夕がほ    夕げ    しやう   うつくしい  此 顔(かほ)で こうもおれを まよはしたる これはどうも  たまらぬ〳〵 人のこぬうち ちよつと〳〵 〽アレおよしよ  おもてなかで どうしたもんだへ エヽモウ  わたしやア はづかしい     ねへ  〽それでも   ぬら〳〵    でた   ようだ     ぜ  〽おぼろ 月夜(つきよ)にく  ものぞ なきころたには あるがわたしならこのおぼろ   まんぢうにしゝ   ものはなしと      よむ      の       さ 〽それはこうきでん とやらのほはどのだとサ おまへのものはよつ ぽどふと どの  だ ねへ 〽けふは おまつりを   けん   ぶつに    きて   此たび     は   この神    さまの   おひき   あはせで    あらう そしてかもの おまつり    とは おいらと  おまいの   ことサ 〽ヲヤなぜへ 〽ハテ いとこ どうし だから 浮世(うきよ)源氏(げんじ)五十四情(ごじうよじやう)上の巻         桐壷(きりつぼ) いときなき初(はつ)もとゆひにながきよをちぎるはじめのうゐこうむりむすぶ 二葉(ふたば)のそれならで思(おも)ひそめにし藤(ふぢ)が枝(え)はおなじ所(ところ)にありながらこだかき みきにまつはれて手折(たおら)んことも空(そら)おそろしくさりとて思(おも)ひやみがたければ せめてのことの思(おも)ひ出(で)にとゆかりもとめて春(はる)の野(の)に若(わか)むらさきの壷(つぼ)すみれ 恋(こい)には闇(やみ)のくらまの奥(おく)その垣間見(かいまみ)の折(をり)よりもおさなきものを思(おも)ひわび いとまめやかにとひおとづれとかくなしつゝよう〳〵とはかりて手(て)もとへうつし うへ今日(けふ)ぞ妹脊(いもせ)の新(にい)まくら。コレいつまでもそのようにはづかしがることはない 此上(このうへ)はそれがしをまことの親(おや)ともおつと共 思(おも)ひとり何(なに)ごとなりともうちかた らひかならず心(こゝろ)おき給(たま)ふな。まづうちとけてへだてなくこなたへちかく 寄(よ)り給へと肩(かた)へ手(て)をかけ引(ひき)よすればむらさきはいとゞなをおそろしくもはづか しくも思(おも)ふものから身(み)もふるひ顔(かほ)にあてたるふりの袖(そで)つゝむにあまる上気(じやうき)の 色(いろ)むねとゞろかすばかりにて只(たゞ)あい〳〵さへ口(くち)のうちあどなきとりなり可(か) 愛(あい)さにそのまゝじつとひきしめて顔(かほ)をかくせし振袖(ふりそで)をむりにおしのけ恥(はづ) かしがる口(くち)をチウ〳〵吸(すひ)ければ顔(かほ)はます〳〵火(ひ)のごとくむねはどき〳〵手元(てもと)さへ ふるうばかりの初事(ういごと)ながら日蔭(ひかげ)の豆(まめ)も色付(いろづく)としごろいかにおぼこの生(さ) 質(が)とはいへどはやそろ〳〵と玉茎(なまもの)のかたちも見(み)たく生(なま)ごゝろもしきりに 催(もよほ)す真最中(まつたゞなか)おさな心(ごゝろ)に日頃(ひごろ)よりよいとのごじやと思(おも)ひそめ馴(なれ)まつわり てしたひたる其(その)男(おとこ)に抱〆(だきしめ)られうれしさこはさはづかしさ。気(き)もうはづりて わく〳〵するを男(おとこ)はせかずそろ〳〵トせななでさすりいろ〳〵トおさなき心(こゝろ)にあ ふようなるはなしなどしかくるにすこしは心(こゝろ)おちつくよりいつしかうるほふ心(こゝろ) の水(みづ)。ひよつと男(おとこ)が知(し)らうかト心(こゝろ)ではぢらうそのけはひそれとさつして しどけなくみだれし寝間着(ねまき)の下(した)前(まへ)へそつと手(て)を入(いれ)玉門(おんこと)を男(おとこ)はしづかにい らふにぞなをはづかしさやるせなくむねうちさわぎてせんかたなけれどもと よりいなにはあらぬ身(み)のじつとこらへているうちに男(おとこ)はなをもかた手にてせ なをなでつゝいたわりながらまだうい〳〵しきまたぐらにあるかなきかとつ まみもならぬ小ざねのうへをやわらかく指(ゆび)のはらにてそろ〳〵いぢりやがて割(われ) 目(め)をうかゞへばそのやわらかさ蒸(むし)たての饅頭(まんぢう)とはおろかなこと羽二重餅(はぶたえもち)とも なんともかともいふにいわれぬ上々開(じやう〴〵かい)ふつくりとして手(て)ざわりのあまりのこ とのこゝろよさに撫(なで)さすりていたりしがかくてははてじと其(その)手(て)をひき指(ゆび)へつ ばきをどろりとねやしまたわりこみてわれめをおしわけぬらつくゆびにてその 穴(あな)さぐりそろり〳〵トすゝますれば是(これ)にてはつトむらさきはそのはづかしさか ぎりなく顔(かほ)をかくして息(いき)ざしも只(たゞ)ならずぞ見(み)えければ片手(かたて)にしかと抱(だき) 〆(しめ)ながらコレこわい事(こと)なないほどにマアじつとしていてみやれ痛(いた)くはじきにい たいと云(いひ)やれむりな事(こと)することではないかならず気(き)づかひしやるなトいゝつゝ例(れい) のゆび先(さき)を一寸(いつすん)ばかり入(いれ)かけてそろり〳〵ト気(き)をながくあちこちしづかにいぢ るうち処女(おとめ)もすこし下(した)はらへ気(き)がめぐりしやぬら〳〵ト薄淫水(うすいんすゐ)を出(だ)しかけ て玉中(ぎよくちう)しだいにぬらめくにぞ一寸(いつすん)ばかり入(いれ)たるゆびをまたすこししめかけ だん〳〵深(ふか)くいぢるほどにむらさきはいきだしもせぐるしきほどせわしくなり いとはづかしげにスウ〳〵トかすかにきこゆる鼻息(はないき)の下(した)から此度(こんど)にぬら〳〵ト湯(ゆ) よりもあつき淫水(いんすゐ)をしたゝかに出(だ)しかければ男(おとこ)はもはやたまりかね最前(さいぜん)より おへきつてどつき〳〵ト脉(みやく)高(たか)く火(ひ)のごとくいきりたちその色(いろ)赤(あか)く紫(むらさき)だちし一(いち) 物(もつ)へつばきこて〳〵ぬめらせてさも愛(あい)らしき玉門(ぎよくもん)へ押(おし)あてさまに手(て)にもち そへぬるり〳〵トこね廻(まは)しやがて図星(づぼし)へあてがひていろ〳〵すれど雁首(かりくび)か蓋(ふた)に なつてはいりかねせめてはあたまばかりもとさま〴〵に気(き)をもめども鈴口(すゞぐち)が半(はん) 分(ぶん)ほど穴(あな)の中(なか)をのぞいたばかりどうしてみてもはいらねばまづ鈴口(すゞぐち)をつつこみ 置(おき)わきの下より両手(りやうて)をまはし肩(かた)をおさへて心見(こゝろみ)にぐつとひとつおしてみれ ば。アイタ。トいゝてのり出(いだ)す。こゝまでははづかしさにこらへて声(こゑ)もださがりしがたまり かねてや。アーどうもわたくしはアヽいたうございますトあるかなきかのふるへごへ男 はすでに此 期(ご)にいたり此まゝにもやみかたく〽はじめはちつといたいものじやがすこ ししんぼうしてみやれ直(じき)に後(あと)ては美快(よく)なるものじやトぬうウ〳〵トおしければ 少(すこ)しはいりし塩梅(あんばい)ゆゑそつと手(て)をやつもさぐりて見れどあたまはおよそは いりしが雁(かり)のひらきがつかへてはいらず是はとても急(きふ)にはゆかじトまづ此 夜(よ)は 是(これ)ぎりに入(いれ)ずに仕舞(じまひ)夫(それ)よりさま〴〵娘(むすめ)をいたわり二晩(ふたばん)三晩(みばん)うちかゝり て第四日目(だいよつかめ)の夜(よ)によう〳〵トかりくびがはいりしかばサア是(これ)からはもうらくじやコレ もうさのみ痛(いたみ)はせまい〽ハイ〽それみやれまんざらなものでもあるまいがやアヽ どうも中のやわらかさはどうもいへたものではないトいかにもしづかに小腰(こごし) につかへばむらさきも今(いま)ははや心(こゝろ)もすこし落付(おちつい)てはづかしながら男(おとこ)のする まゝ自由(じゆう)になつているうちにだん〳〵陰茎(へのこ)が深(ふか)く入(い)りはじめいたさに引(ひき)かへ て其(その)心地(こゝち)よさうれしさにしきりにうるほふよがり水男は猶(なほ)も開中(かいちう)をしづかに へのこでうかゞへば〆(しめ)るがごとくやわ〳〵としごく気味(きみ)よさこゝろよささすが好色(かうしよく) 手(て)だれの身(み)にも是(これ)までおぼへぬあぢわひにこらへかねてハア〳〵〳〵鼻息(はないき)あ らく早腰(はやこし)に思(おも)はずふかく突込(つきこみ)てどく〳〵〳〵ト気(き)をやりしまいまづ引(ひき)ぬいてほ つと息(いき)是(これ)ぞ妹脊(いもせ)の初(はつ)ちぎりたがひに心(こゝろ)とけあふてかわるまへぞへかわらじと かはすことばのすゑかけて幾千代(いくちよ)永(なが)く契(ちぎる)らん         箒木(はゝきゞ) 数(かず)ならぬふせ屋(や)におふる名(な)のうさにあるにもあらでと詠(ながめ)たる箒木(はゝきゞ)目(め)さ へうち流(ながし)降(ふり)くらしたる庭(には)もせをながめて雨戸(あまど)をもくらずともし火(び)のもとに うちくつろぎて御心(おんこゝろ)知(し)りの太郎高直(たらうたかなほ)と世(よ)の中(なか)の色事咄(いろごとばなし)などかたみに物(もの)がたり 興(けふ)じ給ふ折(をり)から例(れい)の馬之丞(うまのじやう)来(きた)りいよ〳〵はなしに身(み)が入(いり)後(のち)は女(をんな)の品定(しなさだめ)はて は烏丸(からすまる)なる枇杷印(びはしるし)のいたづら娘(むすめ)にうちこみて早蕨(さわらび)の手(て)をはなるゝやと詠(よみ) かけたる指(ゆび)喰(くひ)のものがたりにみな〳〵興(けふ)に入相(いりあひ)より後夜過(ごやすぎ)までのながばなし 御(お)ひけの時(とき)申(もうし)に皆(みな)〳〵にも休息(きうそく)給はりそのまゝ閨(ねや)に入(い)り給ひしが雨(あめ)はます〳〵 降(ふり)しきりていとしめやかなる閨(ねや)に肌(はだ)さびしく宵(よひ)の程(ほど)よりの色(いろ)ばなしにて しきりに淫心(いんしん)催(もよほ)す折(をり)しも二葉(ふたば)のまへより御(おん)つかひとして御腰元(おこしもと)の中空(なかぞら)が まいりしをよきさいわいと引寄(ひきよせ)給ふ時(とき)藤(ふぢ)の方(かた)よりも御尋(おんたづね)に杉(すぎ)ばへの代(かはり)として氷(ひ) 室野(むろの)といふおこしもと菓子(くわし)くだものを送(おく)りけるに是(これ)もまたさいわいなりととゞ め置(おき)まづこゝろみに此ふたりの玉門(ぎよくもん)の品定(しなさだめ)をして見(み)んと閨(ねや)の戸口(とぐち)に海老錠(ゑびぢやう) をおろし〽かよういたせば両人(りやうにん)ともに迯(にげ)るとも道(みち)なかるべし中空(なかぞら)はうちわの事(こと) ひむろのは藤(ふじ)の方(かた)よりの御使(おんつかひ)なればまづ此(この)かたよりもてなさん其(その)馳走(ちさう)には我(わが) 所持(しよぢ)の松茸(まつだけ)を手料理(てれうり)してふるまうべしと最前(さいぜん)よりおへきつたる陰茎(へのこ)を いだして見(み)せければひむろのは兼(かね)てより惚(ほれ)ぬいていたれどもおよばぬ事(こと)と思(おも) ひつゝが今宵(こよひ)はからず此 次第(しだい)其上(そのうへ)ことに勝(すぐ)れたる御一物(おんいちもつ)をこゝろよくおやし給ふを 見(み)るよりもとゞろく胸(むね)ともろともに先走(さきばし)りの淫水(いんすゐ)出(いで)股(また)ぐらはいちめんにぬら ぬらづき〳〵熱(ねつ)しきり嬉(うれ)しさまぎれに此方(こつち)からすぐに抱付(たきつき)交(し)てもらひたく 思(おも)へどもさすがに中空(なかそら)が見る目をかねもぢ〴〵としている所(ところ)ひきよせてくぢり かけるにはやにちや〳〵ぬら〳〵と上(うは)すべりしてらちなければその侭(まゝ)へのこをの そませてつはきもいらずぬつと入ればまだ生物(なまもの)もたび〳〵は通(とほ)さぬしるし あらはれてすこしくきしみてぬら〳〵ト半分(はんぶん)ばかりはいりしに中やわらかくあ たゝかにてしまりもかたく一 物(もつ)を喰(くひ)きるごとき心地(こゝち)なれば上々(しやう〴〵)吉の位(くらゐ)は 慥(たしか)にありと思ひながらそろり〳〵とつかひかけやがてしつくり根(ね)もとまで入けれ ばひむろのは早(はや)こらへかねスウ〳〵スウ〳〵ハア〳〵トしきりにすりつけ中空(なかぞら)が見(み)るをもい とわず喜悦(よがり)なきたちまちどく〳〵どく〳〵ト湯(ゆ)よりもあつき淫水(いんすゐ)が子宮(こつぼ)の 奥(おく)よりはしり出(いで)陰茎(へのこ)のあたまへかゝる気味合(きみあい)是(これ)は大(しろだい)【大は白抜き文字】ぐらゐのほうひは付(つけ)ても にくからじト女(をんな)にしたゝか気(き)やらせて其(その)身(み)はいまだやらぬうち中空(なかぞら)をこゝろ みんとへのこ引(ひき)ぬき中空(なかぞら)の手(て)を握(にぎ)つて引(ひき)よせれば是(これ)は中(なか)〳〵日頃(ひごろ)より惚(ほれ)てゐ るとはまだな事(こと)此(この)君(きみ)ならば命(いのち)でもおしまぬほどのはりこみながら人目(ひとめ)の 関(せき)をこへかねて色(いろ)にも出(いだ)さずいたりしが夜(よ)をかけてのこのおつかひはねがふ処(ところ)と 飛(とび)たつばかりこよひこそ日頃(ひごろ)の思(おも)ひをうちあけて是非(ぜひ)とも一番(いちばん)交(し)てもらひ たくどうぞさせたい〳〵ト思(おも)ひ込(こん)で来(きた)りしに今(いま)目前(もくぜん)にて氷室野(ひむろの)をとぼすを 見(み)ては猶(なほ)さらに心(こゝろ)をみだし気(き)もうつとりふたりのよがりをもらひなき思(おも)はず 鼻息(はないき)出(で)る処(ところ)を引寄(ひきよせ)られて其(その)まゝに開(ぼゝ)をくぢられ気(き)もとろけうつゝ心(ごゝろ) に上気(しやうき)した頬(ほう)おしあてれば心得(こゝろえ)て口(くち)を吸(す)はれるうれしさきみよさくぢられた ばかりてさへもうどく〳〵ト気(き)をやれば〽是(これ)はまたけしからぬはづみようかなさら ば本物(ほんもの)にてうかゞはんト今(いま)ひむろのにやらせたばかりまだ気(き)のいかぬ一物(いちもつ)なれ ばいよ〳〵おへきり筋(すぢ)ふとくどきん〴〵トはねかへる陰茎(へのこ)をおさへてぬつと入(いれ) ればさいぜんよりわけもなくぬら〳〵どろ〳〵出(だ)したる開(ぼゝ)さすがの大物(おゝまら)いつときに 毛際(けぎは)までこゝろよくぬつとはいれば中空(なかぞら)はハア〳〵ト身(み)をもがき何(なん)といつてもまだ としは二九(にく)にたらざる玉門(ぎよくもん)なれば頬返(ほうがへし)もならぬほど開(ぼゝ)いつぱいにはびこる一(いち) 物(もつ)時(とき)に不思儀(ふしぎ)や開中(かいちう)の肉合(にくあい)いちめん一(いち)もつにからみ付(つく)がごとくにて抜差(ぬきさし)する たびすぽ〳〵ト雁胴中(かりどうなか)にまとひ付(つき)吸込(すひこむ)ようなる味(あぢ)わひは是(これ)なん世(よ)にいふ 蛸(たこ)ならめト興(けふ)に乗(じやう)じて大腰(おほごし)にすり〳〵トつき廻(まは)せば夢中(むちう)によがりハアアヽ〳〵ト 身(み)をもだへ尻(しり)をもぢりて気(き)をやる淫水(いんすゐ)あぶれながらも一物(いちもつ)をくわへてはなさ ぬ自然(しぜん)の上開(じやうかい)男(おとこ)もひたと一物(いちもつ)を喰〆(くひしめ)られて思(おも)はずもハア〳〵〳〵トよがり の鼻息(はないき)側(そば)に見(み)ている氷室野(ひむろの)もともに正体(しやうたい)とりみだしたまりかねてすり寄(よる) を男(おとこ)はすかさず手(て)を延(のば)し気(き)をわるがる氷室野(ひむろの)が開(ぼゝ)をしきりにくぢるにぞハア と声(こゑ)あげ玉門(ぎよくもん)をすりつけ〳〵息(いき)をつめくぢる手(て)さきへぬら〳〵〳〵男(おとこ)も是(これ)に て一物(いちもつ)へぐつと気(き)をもち中空(なかぞら)が開(ぼゝ)の中(なか)にていよ〳〵いかり雁先(かりさき)するどくひらくに つけぬきさしするたび開中(かいちう)の道具(たうぐ)を雁(かり)にてかき出(だ)すことくたがひの気味(きみ)よさ こゝろよさハア〳〵ハア〳〵フウ〳〵〳〵。スウ〳〵ムウ〳〵フウ〳〵〳〵ト三人一度(さんにんいちど)に気をやりてがつかりつ かれてホツト溜息(ためいき)藤(ふぢ)の方(かた)にも二葉(ふたば)にも使(つかひ)のかへりを待(まち)わびんトなはれかたな き両人(りやうにん)に仕度(したく)直(なほ)させかへしやりまづ中空(なかぞら)の玉門(きよくもん)を大上々吉(たいしやう〳〵きち)と位(くらゐ)をさだめ猶(なほ) 是(これ)よりは外々(ほか〳〵)のおくの女(をんな)の玉門(ぎよくもん)を品さだめしてたのしまんト其夜(そのよ)は猶(なほ)も降(ふり)しきる 雨(あめ)の音(おと)を聞(きゝ)ねいりにさすがにくたびれまとろみ給ひぬ         空蝉(うつせみ) うつせみの身をかへてける木(こ)のもとに涼風(すゞかぜ)かよふ夏気色(なつげしき)あつき恵(めぐみ)の代に住(すめ)ば 栄耀(ゑよう)に倦(あき)てうき旅(たひ)も浦(うら)山しさの江嶋詣(しまもうで)是(これ)もうはもり己(おの)が住家より相模(さがみ)の 方角(はうがく)へ今年(ことし)は方(はう)がわるしとて方(かた)たがへト理屈(りくつ)をつけ知音方(しれるかた)の別荘(へつそう)なる隠居(いんきよ)に 右をたのみ置(おき)きのふの夕(ゆふ)より此(この)隠居所(いんきよじよ)へとまりがけ爰(こゝ)より出立(しゆつたつ)するつもりは二三日(にさんち) 此(この)かたこの隠居(いんきよ)へ泊(とま)り居(ゐ)るおもやからの娘客(むすめきやく)是(これ)をせしめん下心にてさてこそ斯(かく)は はかりしか其(その)計略(はかりごと)図(づ)にあたり夜前(ゆうべ)うま〳〵手に入たるに爰(こゝ)の隠居(いんきよ)は碁(ご)が道(だう) 楽(らく)にて今日(けふ)外(ほか)方(かた)に碁会(ごくわい)ある事 承知(しやうち)なれは〽兼(かね)ておはなしの碁会(ごくわい)是非(ぜひ) 御出ならは今(いま)一日(いちにち)のばしお留守(るす)をせんといへば隠居(いんきよ)は大(おほき)によろこび夜前(やぜん)のことは夢(ゆめ) にも知らず〽いつはともあれ今日(けふ)はぜひゆかねばならぬが孫娘(まごむすめ)がたま〳〵泊(とま)りに 来(き)ているをひとり置(おい)ても行(ゆか)れずどうしたものトあんじた所(ところ)それなればわたしも 安心(あんしん)孫(まご)めに例(れい)の芝居(しばゐ)はなしなとして聞(きか)せて下(くだ)されそのお礼(れい)には昼(ひる)は大(だい) 金の蒲焼(かばやき)夕飯(ゆふはん)は百川(もゝかは)へわしが行がけに言付(いひつけ)て行(ゆき)ますト隠居(いんきよ)はよろこび出(いで)て行(ゆく)。 扨(さて)も是(これ)は江(え)のしまの弁天(べんてん)さまの御利益(ごりやく)まだまいらぬ先(さき)から能事(よいこと)だらけ実に 開運(かいうん)をさづけ給ふとめつそうなる御利生(こりしやう)かなト飯(めし)たき権助(ごんすけ)の目(め)をしのび朝(あさ)涼(すゞ) のうち一ばん出(で)かけ朝(あさ)やりによがらせければ娘(むすめ)もうれしく今日(けふ)一日を百とせのおもひ にむつびかたらひけるはや昼前(ひるまへ)と思ふころ浮世小路(うきよせうぢ)の鰻屋(うなぎや)の男〽ヘイ大金(だいきん)て ごさりますとあつらへの蒲焼(かばやき)も来りければ娘(むすめ)もともに権助(ごんすけ)に言(いひ)つけて酒燗(おかん)を つけさせるやう酒(さけ)道具(だうぐ)を出(いだ)すやう早酒(はやさけ)ごとになれど娘(むすめ)は下戸(げこ)なり。男(おとこ)思(おも)ふ は権助(ごんすけ)におもいれ呑(のま)せ酔(よひ)だおれにしておいてその間(ま)にゆるりと楽(たの)しまんト娘(むすめ)に ものみこませ二人(ふたり)して権助(ごんすけ)にむしやうやたらに呑(のま)せるに下地(したぢ)は好(すき)なり御意(ぎよい)はよし ぐつすり酔(よつ)たる大生酔(おほなまゑい)そのまゝ勝手(かつて)の隅(すみ)へ行(ゆ)きたおれたなりの大(おほ)いびきし すましたりと思(おも)へとも権助(ごんすけ)にのませんとて男(おとこ)もだいぶん呑過(のみすご)しついとろ〳〵ト 一(ひと)ト寝入(ねいり)娘(むすめ)はそこら取片付(とりかたつげ)【ママ】もう男(おとこ)がおきるかと見(み)れども是(これ)もねいりこみ娘(むすめ)は すこしあてがちがひ只(たゞ)いたづらに股(また)ぐらをぬらせつかせてとやかうと思(おも)ふほど猶(なひ) 玉門(ぎよくもん)がずき〳〵うづけどよく寝(ね)ているをさすがにも。起(おこ)さんこともはづかしく。さも交(し) 度(た)そうに思(おも)はれんトこらへているほど淫水(いんすゐ)が汗(あせ)とひとつにぬら〳〵びちや〳〵兎(と) 角(かく)するうち永(なが)き日(ひ)のあつさもよほどさるの刻(こく)娘(むすめ)はいつそぢれつたく目覚(めざめ)よ うに物音(ものおと)させれば男(おとこ)はふつと目(め)をさましなむさん思はず寝過(ねすご)したト有無(うむ)をも いわず娘(むすめ)をおしふせやにはに股(また)ぐらひきまくり寝起(ねおき)にぬつとおへかへりしへのこをあて がひあらけなく突込(つきこま)れるそのうれしさ気(き)をもみぬいたる淫水(いんすゐ)が一度(いちど)にぶつ〳〵 ぷウ〳〵トきんたまぎはまではしり出(だ)す男(おとこ)も気(き)をせき早腰(はやごし)にこんかぎりとりの めせばつゞけ〳〵おびたゝしく気(き)をやる娘(むすめ)のよがり顔(がほ)男(おとこ)は猶(なほ)も大(おほ)ごしにすかり〳〵とぬ きあげるに雁(かり)のひらきがむしやうにこすれぞく〳〵するほど能(よく)なると思(おも)ふとその まゝツウ〳〵〳〵ドツク〳〵ドツク〳〵〳〵ト我身(わかみ)ながらもとこ迄(まで)出(て)るかと思(おも)ふばかりにとめどもなく 淫水(いんすゐ)したゝか出(いで)けるがやかて十分(ぢうぶん)やりしまひ一ト息(いき)ついていたりしがまたそろ〳〵トむ しかへしてさへかへる喜悦(よがり)ごゑふたりの鼻息(はないき)権助(ごんすけ)が寝耳(ねみゝ)に入(いつ)て目(め)をさましなん でもあやしい物音(ものおと)とそろ〳〵一ト間(ま)をうかゝへばふたりは夫(それ)と心付(こゝろづき)ずぼりトぬいた。も ぬけの陰茎(まら)空蝉(うつせみ)ならぬうづく身(み)のうまい楽(たのしみ)せみしぐれぬいた股(また)ぐらふくまも なく娘(むすめ)はそつと身(み)をすりぬけふすまの蔭(かげ)へこがくれぬ        夕顔(ゆふがほ) よりてこそそれかとも見(み)めたそがれにほの〳〵見(み)ゆる夕化粧(ゆふげしやう)花(はな)の顔(かほ)ばせほんの りと色(いろ)香穂(かほ)に出る合惚(あいほれ)に〽もう日(ひ)が暮(くれ)るに何をしておいでだ大かたかあい人 でも待(まつ)ておいてのだらう〽ヲヤにくらしいわたくしはそんなものはございませんよそし てわたくしのやうなものにかまいてはございませんのさ〽ヲヤ〳〵うまくおつしやるもん だねもしかまいてがあつたらどうなさる〽あるはいやなり思ふはならすさ〽それご らんなさいわたしらがやうな者(もの)がうつかりかまふととんだ恥(はぢ)をかくところであつた 〽アレおまいさんに恥(はぢ)をかゝせるといついゝましたへ〽それではわたしらがかまつても はちをかゝせないとおいゝのかへ〽それでもわたくしはそんな事はそんじませんもの を〽それやつぱりおいやだらう〽そうぢやアないがねトあたりを見廻し。はづか しいものを〽ほんとうにさうかへエゝどうもこたへられないよトいゝつゝそこへおしこかす にあたりをはゞかり恥(はづ)かしがるをむりに割込(わりこみ)玉門(ぎよくもん)へつばきへつたりねやしつけおの れの陰茎(へのこ)のかり首(くび)へもこて〳〵つけておしあてがひぬウう〳〵と大陰茎(おほまら)を半分(はんぶん) ばかりおしこめば〽なんだかいたいようだよ〽あんまりそうでもあるまいト小腰(こごし)にすか〳〵 つかふうちぬめりとともにどうやらかうやら根(ね)もとまでぬつと入(い)る〽アヽもうわたしやア フウ〳〵〳〵アヽどうせうねへ〽どうでもおまへのかつてにおし〽エヽにくらしいヨトしがみつき 開(ぼゝ)の奥(おく)からかたまつた湯(ゆ)のやうな淫水(いんすゐ)をどく〳〵〳〵ト出(だ)しかけハア〳〵〳〵アヽもう もうフウ〳〵〳〵〽おまいのようにそうよがられてはわたしももうたまらねへソレいく〳〵 いく〳〵ト互(たがひ)に出(だ)しあふ溜淫水(こゝろのためみづ)垣(かき)に咲(さき)出(で)し夕顔(ゆふがほ)の花(はな)に置(おき)そふしら露(つゆ)もかくや とばかりおもわれけり         若紫(わかむらさき) 手(て)につみていつしかも見(み)んむらさきのねにかよひける若(わか)くさやとしさへゆかぬ 生娘(きむすめ)のまだ恋(こひ)しらぬあどなさは手飼(てがひ)の雀(すゞめ)を小女(こをんな)がつい迯(にが)せしとてたちはらた ちしたひむづる顔(かほ)にさへ愛敬(あいけう)づきし莟(つほみ)のはなまして盛(さかり)の年頃(としごろ)にもなりなん にはと思(おも)ひやられて兼(かね)てより心(こゝろ)をかけし若(わか)おのこ三五の春(はる)を今(いま)ははや時待(ときまち) 得(え)たる心地(こゝち)してそろ〳〵手(て)なづけ言(いゝ)よれどわけて他(ひと)より晩稲(おくて)な生(うま)れとかく おぼこのおさな気(ぎ)なれば人形(にんぎやう)手遊(てあそ)ひ草(くさ)ざうし芝居役者(しばゐやくしや)の贔屓(ひゐき)ばなしより 取入(とりいつ)てとう〳〵その気(き)に引寄(ひきよせ)てまだ毛(け)もはへぬ玉門(ぎよくもん)をいらうまでにはしたれども 指(ゆび)一本(いつぽん)さへきしむくらゐ是はちよつとはらちあくまいトさま〴〵工夫(くふう)をめぐらせ しがあるとき海蘿(ふのり)を煮(に)とろかし衣漉(きぬごし)にして其まゝにぬめり薬(くすり)の手(て)ごしらへ 娘(むすめ)にとつくりとくしんさせ痛(いた)ければ直(すぐ)によすからマアじつとして居(ゐ)て見(み)なトいふ に娘(むすめ)も日頃(ひごろ)から可愛(かあい)がられるうれしさにおさないだけにけつくの事(こと)思(おも)ひし程(ほど) は恥(はづ)かしがらず自由(じゆう)になつてまかせるにぞかの海蘿(ふのり)を玉門(ぎよくもん)の割目(われめ)へどろりと ながしこみへのこへもべつたりぬりつけ押(おし)あてがひてつきまはすにぬらりくらりと すべり廻(まは)りどこともなしに気味(きみ)よきにや娘(むすめ)もスウ〳〵息(いき)だしするに男(おとこ)はたまら ず一物(いちもつ)が張(はり)きるばかりにおへかへれば手(て)に持(もち)そへてこねまはすに思(おも)わず知(し)らず雁(かり) くびが手(て)もなくぬるりとはいりしかば娘(むすめ)はハアトのり出(だ)せどさして痛(いたい)といゝもせず 只(たゞ)もし〳〵と受兼(うけかね)る様子(やうす)なれば〽とうだ痛(いたい)かいたくはもうよそうかト言(い)へどもだ まつてゐる故にやがてそろ〳〵やりかけるに又(また)雁下(かりした)が一寸五分(いつすんごぶ)ほどはいりしかば〽アレ 〽いたいか〽そんなでもないけれどなんだかいつそせつないよ〽そんならマアいゝ子(こ)だから もうちつとがまんしな今(いま)にぢきよくしてやるからトどうやらかうやら新開(あらばち)をいた まぬようにわりおゝせしはかの北山(きたやま)のひじりめんおこなひすませし御法(みのり)にあらで 是はふのりの徳(とく)ぞかし         末摘花(すゑつむはな) なつかしき色(いろ)の浮世(うきよ)に老若(らうにやく)のへだてはあらじ愛着心(あいぢやくしん)角前髪(すみまへがみ)の身(み)ながらも 末摘(すゑつむ)としの中(ちう)どしまどこやら残(のこ)る花(はな)の香(か)にふと袖(そで)ふれしその日(ひ)よりたがひにし たうあぢな縁(えん)〽ひとは浮気(うはき)で上手(じやうず)にいきな三味(さみ)せんでも弾(ひい)たり琴(こと)をよくしら べたりする人に惚(ほれ)るがわたしは又(また)おまいのように長(なが)うたの三味せんもよくおひきだ がそれはちやんと棚(たな)へあげて明(あけ)ても暮(くれ)ても御亭主(ごていしゆ)さんばかり大切(だいじ)にかけてあく せくと針仕事(はりしごと)おまいのごていしゆさんはまことに仕合(しあはせ)ものだと思(おも)ふよそれにつけ てもおまいのようなおかみさんをもつたらさぞうれしからうトふつと思(おも)ひそめたのが わたしのいんぐわさつい道(みち)ならぬ事(こと)になつたがおまへは主(ぬし)ある身(み)わたしは年(とし)もいか ない身(み)けつく思ひの種(たね)をまいたようなものだねへ〽オヤマアとしもいかないおまいに 左様(さう)いわれるとわたしは何(なん)ともいゝようがないよわたしもほんにすまない事(こと)と思(おも)つては いるけれどどうした事(こと)かせんどふつとおまへとあんな事(こと)をしてからもう〳〵かわゆくて かわゆくてどうもこうもならないといふもほんにおまへのいふとほりいんぐわとやらだよ 今日(けふ)はわたしの内(うち)の人(ひと)か二酔(じすゐ)さんにさそはれて向(むか)ふ嶌(じま)へ雪見(ゆきみ)に行(いつ)たから晩(ばん)まで かへるきづかひはないからゆつくりとあそんでゐてもよいよそして此(この)雪(ゆき)では誰(だれ)もくる ことてはないからマア一寸(ちよつと)二階(にかい)へおいで〽今日(けふ)は二階(にかい)へいかずともいゝぢやアないかへ〽そんなら 爰(こゝ)の中仕切(なかしきり)を一寸(ちよつと)しめてさアレサまくんなさんなマアわたしが能(よい)ようにして上(あげ)るから ト若(わか)しゆの下(した)まへゝ手を入へのこをにぎると木(き)のやうにおやしている〽ヲヤモウこんなに おやしてさトうれしそうににつこりしながら股(また)ぐらをほつかりひろげすつはりと 割(わり)こませつはきもつけずあてがはするにかねて気(き)ざしてぬら〳〵トぬらつかして いる気(き)のわるさとぼしざかりの中(ちう)どしまの少(すこ)し毛(け)ぶるの上開(しやうがい)へわかしゆながらも 美事(みごと)な一物(いちもつ)ぬるりと入(いれ)ればいんすゐのぬめりでわけなく根(ね)もとまでつぶ〳〵〳〵ト はいりしきみよさ〽エヽもうかわいゝのうト両方(りやうはう)よりひしげるばかりだき〆(しめ)あひ 口(くち)を吸音(すふおと)チウ〳〵〳〵         紅葉賀(もみぢのが) ものおもふにたちまふべくもあらぬ身(み)の袖(そで)につゝめどおのづからほにあらはるゝ 紅葉狩(もみちがり)〽みんなのおつかアたちはとうした〽皆(みんな)がたいそう酔(よつ)てさわいだりおばさん がおどつたりしている間(ま)にそつとぬけて来(き)たのだよ〽そうかそりやアいゝが此(この)間(あひだ)から はなさなければならねへ事(こと)があるといつたがなんだ〽アヽその事だがねもう〳〵 わたしやア苦労(くらう)になつてならないから〽そりやア気(き)がかりだ早くいつて聞(きか)せねへ 〽わたしやアどうしたらよからうかと思ふよ〽なんの事(こと)だなはやくいゝねへな〽アノウ わたしやァね〽エヽ〽今月(こんげつ)で四月(よつき)ばかり月のものを見(み)ないからよ〽エ○なむさんおれこん だか。そいつァ大(たい)へんだ〽ソレおまいがそんなにびつくおしだから今迄(いまゝで)はかくしていたがも ういよ〳〵それにちがひないようだからどうせうかと思(おも)ふよ〽どうせうと言(つ)てとても 此事がおめへの処(とこ)のちやんに知(し)れると大(おほ)さわぎだからいつそ二人(ふたり)でにげようぢやァね へか〽おまへは聞(きく)とぢきに其様(そんな)に大さわぎをするがマア落付(おちつい)でどうか考(かんが)へて見てお くれなわたしが思(おも)ふにはおまいもまだ独身(ひとりみ)だしわたしもどうせ何処(どこ)かへ縁付(かたづけ)な ければならないトおとつ さ(〇)んもおつかさんもいつているのだからおまいの所(とこ)から表(おもて)むき でいゝこんでそれでおまへの処へもいかれないようならにげるかどうかしようと思 ふよとてもわたしやァほかへかたづく気(き)はないものを〽なるほど寝耳(ねみゝ)に水(みづ)でそこへ気か つかなんだそう相談(さうだん)がきまつたら久(ひさ)しぶりで一寸(ちよつと)出(で)かけようぢやァねへか〽おまいも マアほんとうに気楽(きらく)ぢやァないかわたしをこんな身にさせておいてわたしやァ苦労(くらう)で くらうで夜(よる)もろくに寝(ね)られないほどだわね〽つまらねへ事をいふぜ夜(よる)寝ずにいたと つてそれが直(なほ)りはしめへしどうせ孕(はらん)だものを今(いま)さら交(し)ねへからといつてはじまら ねへひとり孕やァもうはらむきづかいはねへから能(いゝ)ぢやァねへか〽それもそうだねへ しかしこんなところぢやァ〽かういふ中(なか)で所(ところ)のよりきらいをしてはいられねへ夕(ゆふ)がたまで はまだ間(あひだ)があるからゆつくりとしても誰(だれ)も爰(こゝ)へくる気(き)づかひはねへはなトはなしの うちよりおへきつた陰茎(へのこ)へつばきをつけて〽マア此(この)足(あし)をこつちへ斯(かう)またぎねへトまたがせる ひやうしにへのこのあたまがてうど開(ぼゝ)の口(くち)へあたると其(その)まゝぐつとこしを〆(しめ)るとねもと までぬつとはいる〽ハアヽヽアヽよい事(こと)はよいがおなかゞおせたらねんねへがせつなからう〽ま だそれほどになるものか〽それでもおまいの子(こ)だから大切(だいじ)だよ         花(はな)の宴(えん) いづれぞと露(つゆ)の宿(やど)りをわかぬまにをざゝがはらの風(かぜ)ならでさわらば落(おち)ん小笹(おさゝ) のあられ夜(よる)の桜(さくら)の下雫(したしづく)柳(やなぎ)の糸(いと)の細殿(ほそどの)におぼろ月夜(づきよ)のおもわせぶり〽マア一寸(ちよつと) 爰(こゝ)へ来(き)て御覧(ごらん)なさいよ朧月(おぼろづき)の夜桜(よざくら)ほどいきなものはございませんねへ〽なるほど おまへのおつしやるとほりだがまだ是(これ)よりいきなものがございます〽是よりよい ものは何(なん)でございませう〽直(ぢつき)きん所(ぢよ)にあるものさ〽それではアノ山吹(やまぶき)でございますか へ〽なァに此(この)花(はな)の事(こと)さト女(おんな)のほうべたを指(ゆび)にてちよいとつゝく〽ヲヤにくらしいそんな におなぶんなさいますなおまへさんこそいきで通人(つうじん)で程(ほど)がよくッておいでなさる からそれでお月(つき)さまも顔(かほ)をおかくしなさるのでございませう〽おまへこそお世事(せし) がお上手(じやうず)だ〽ヲヤおせじではございませんまことに真実(しんじつ)からそう思(おも)つておりますは〽そ れではおたがひにねがつたりかなつたりだトいわせておいて押(おし)のつよいやつだトおわ らいなさるのであらう〽イヽエほんとうでございます〽イヽエうそ〽イヽエほんとう〽イヽエ うそ〽イヽエほんとう〽そんならかうしたらうそだとお言(いゝ)だらうト娘(むすめ)の手(て)をじつと にぎる〽ほんとうだよ〽そんならわたしもほんとうに斯(かう)するがいゝかへトぐつと割込(わりこむ)ひやう しに最前(さいぜん)よりおやしていた陰茎(へのこ)がふんどしをつきはづし前(まい)の合(あは)せめからぬつト 出(で)るト月の光(ひかり)にて雁(かり)くびがてら〳〵どつき〳〵ト脉(みやく)をうちすさまじくおへきりし 一物(いちもつ)を見(み)て据膳(すゑぜん)に十分(しふゞん)こちから持(もち)かけたはじめには似(に)もつかず此斯(このご)にいたりぶる ぶるト手(て)もうちふるう尻込(しりごみ)を娘(むすめ)の情(じやう)と男(おとこ)はかあゆくへのこのあたまへこて〳〵とつば きをつけてのぞますれはこれにてます〳〵むねうちさわぎくわつと上気(じやうき)の桜(さくら) 色(いろ)おぼろ月夜(づきよ)の空(そら)われにながめもふかき夜(よる)の露(つゆ)うるほふ情(なさけ)のたゞなかへ陰(への) 茎(こ)をすつぽりおしあてがひぬつと入(いれ)たるこゝろよさそのまゝすか〳〵つかふうちぬる りぬるりと奥(おく)ふかく根(ね)もとまではいりしかば女(おんな)はこらへし鼻(はな)いきのたもちがたく てスウ〳〵〳〵フウ〳〵〳〵ト喜悦泣(よがりなき)男(おとこ)も是にたまりかねしきりに腰(こし)をつかふほどに娘は たちまち気(き)をやりてどく〳〵〳〵トあぶるゝ淫水(いんすゐ)男(おとこ)も初(はつ)の出合(であい)といゝめづらしけれ ばこらへ得(え)ずともに喜悦(きゑつ)の鼻息(はないき)もろとも陰茎(へのこ)の胴(どう)がどき〳〵トひゞきわたつ て気のいゝ淫水(いんすゐ)もれてながれてぬら〳〵ト露(つゆ)のやどりもわかぬまでよがりあふ こそうれしけれ         葵(おふい) はかりなき千尋(ちひろ)の底(そこ)の心(こゝろ)をもあけて見(み)せたき我(わが)思(おも)ひいつか〳〵と待(まつ)うちにけ ふは卯月(うづき)の中(なか)の酉(とり)の日(ひ)加茂(かも)の祭(まつり)が互(たがひ)の縁先(えんさき)客(きやく)を憩(いこは)す茶屋(ちやや)の奥(おく)にわかき 男女(なんによ)のふたりづれ〽此(この)間(あひだ)はちとかげんがわるいト聞(きゝ)ましたがもうおこゝろよいかへ〽ハイ まだよろしくもございませんが今日(けふ)おまいさんがこのお祭(まつり)へおいでゆゑ一所(いつしよ)につ れていつてもらふがよいお祭でも見(み)たらちつとは気(き)の晴(はれ)る事(こと)もあらうとおつ かさんやおとつさんがおつしやるゆへあなたはおいやだらうとは思(おも)ひましたが〽なに他(た) 人(にん)ではなしことにおまいとわたしはいとこどうしの事(こと)なり何(なに)遠慮(ゑんりよ)がいるものかね 〽おまへさんがそんなにやさしくおつしやつておくんなさるといつそ涙(なみだ)がこぼれてなり ません〽そんなあわれつぽい事(こと)をおいゝのもやつぱり病気(ひやうき)のせいだからもうそんな ことはお言(いゝ)でない〽今日はあなたと御一所(ごいつしよ)ゆへ病気もわすれたやうでございます 〽なにわたしが病気の支配(しはい)でもしやアしまいし〽イヽエわたしの病気(びやうき)はおまいさんゆゑ でございますものどうせなをるきづかひはございません〽エアノわたしに〇そうしてお まへの両親(りやうしん)も〽アイうす〳〵承知(しやうち)てけふの首尾(しゆび)親(おや)のお慈悲(じひ)はうれしけれど此上(このうへ) おまへにきらはれたらわたしやいきてはいぬ心(こゝろ)〽きらうどころかわたしもとうから惚(ほれ) た心は此方(こつち)が先(さき)伯父貴(おぢき)が承知(しやうち)の上なれば必竟(ひつきやう)親(おや)のゆるした中(なか)誰(たれ)に遠慮(ゑんりよ)があ らうかト恋(こひ)の病(やまひ)におもやせし顔(かほ)引(ひき)よせて口(くち)ト口〽エヽうれしいわたしや此(この)まゝ死(しん)でも よいよ〽どうして死(し)なしてよいものかトまたぐらへ手(て)を入(いれ)れば〽アレこんな所(ところ)ではづかし い〽もうこうなつてどう此(この)まゝト思(おも)ひ〳〵し玉門(ぎよくもん)へ指(ゆび)を入てくぢるにぞ娘(むすめ)はいつそ上(じやう) 気(き)してはづかしがるをおしこかしひときは太(ふと)くたくましきへのこへつばきをねやしつけとう とう根(ね)までぬる〳〵〳〵させたい交(し)たいの二人(ふたり)が思(おも)ひすつぱりはれて薄紙(うすがみ)でぬぐつ てとつたる娘が全快(ぜんくわい)是(これ)より親々(おや〳〵)談合(だんかふ)して従弟合(いとこあはせ)の夫婦中(ふうふなか)いとむつまじく 楽(たのしみ)くらし諸白髪(もろしらが)までそひとげしとなん 浮世源氏(うきよげんじ)上の巻終