【表表紙】 琉球往来巻之二 　　　琉球人来朝先例 　　寛文十一年 　　同　十二年 　　延宝元年 　　　同　　九年 寛文十一年七月廿八日　晴 一今日琉球人御礼 　自琉球国中山王《割書：尚貞》為継目御礼使者《割書：金武王》 《割書：子》渡之当地松平大隅守下敷へ近曽到着為御 　礼今日出仕之次第 一琉球国中山王使者《割書：金武王子》松平大隅守上屋 　敷マテ今朝参上夫ョㇼ比比谷目御門ョㇼ八代洲河 　岸通龍口ノ橋ヲ越板倉内膳正屋敷ノ前ョㇼ大腰掛 　ノ後土屋但馬守屋敷ノ前ヲ通大手御門ョㇼ令登城 　右ノ従者幷供ノ族行列等松平大隅守申付之 　　但道番御歩行頭二人《割書：天野甚左衛門｜大岡弥右衛門》両組共勤之大 　　隅守上屋敷ョㇼ大手橋マテ警固ノ琉球人八代洲 　　河岸マテ来ノ時御城へ注進 一金武王子屋轎ニ乗従者十七人騎馬大手ノ先ニテ下 　馬金武王子ニ従フ金武王子事乗物橋ノ前ニテ屋轎ヨ 　ㇼ下乗 　　但旗持鉾持等其外ノ役人大手ノ腰掛ニ相残 一騎馬拾七人ノ族所謂 　越来親方（コへクヲヤカタ）　　　　　　　宇良親雲上（ウラハイキン） 　川頭親雲上（カハカミハイキン）　　　　　　金城（カナクス）親雲上 　垣元（カキモト）親雲上　　　　　　平安山（ヒアンサン）親雲上 　真井田（マイタ）親雲上　　　　　　稲福（イナフク）親雲上 　津波古（ツバノコ）親雲上　　　　　伊計（イケ）親雲上 　新川（アラカハ）親雲上　　楽人頭取　保栄茂里子（ホへモサトノシ）　 　大城里子（ヲクスサトノシ）楽人　　　　　　思次郎（オモイシロウ） 　太郎兼（タルカネ）　　　　　　　　　松兼（マツカネ） 　真三郎（マサブラフ） 一金武王子御玄関階ノ上到時大目付高木伊勢守大 　岡佐渡守出向令案内殿上間下檀着座従者拾七 　人同所次ノ間列居下官ノ族御玄関前庭上置之 一松平大隅守松平修理大夫事殿上間着座 　　但松平薩摩守者在国也 一中山王ョㇼ老中へ来書翰高木伊勢守大関佐渡守 　請取之御歩行目付引入之 　　　御礼之次第 一巳后刻大広間　　　出御《割書：御長袴》 　　御刀　　　　　　　　　　　　三枝對馬守 　上檀《割書：厚畳三畳重以唐織包之｜四ノ角ニ大総付之》 　　御褥御刀掛有之 　　　　　　　　　　　　　　　　本多土佐守 　御着座御後ニ　　　　　　　　　石川美作守 　　　　　　　　　　　　　　　　酒井壱岐守 　令列候 一西ノ方板縁ニ 　　　　　　　　　　　　　　　　松平右京大夫 　　　　　　　　　　　　　　　　松平出羽守　 　　　　　　　　　　　　　　　　松平美作守 　依　　上意右三人伺候《割書：各長袴》 　　但井伊掃部頭松平隠岐守在所保科筑前守忌中 一四品以下中大名御譜代大名無官ノ面々マテ不残御次 　間伺候《割書：各長袴》 一国持大名四品以上出仕無之 一御次ノ方南ノ板縁ニ酒井雅楽頭稲葉美濃守久世大 　和守土屋但馬守板倉内膳正列候《割書：着長袴》 一金武王子殿上間ョㇼ大広間へ高木伊勢守大岡佐渡 　守令案内之中ノ間東ノ敷居際ニ西へ向テ着座松平 　大隅守松平修理大夫列座 一大隅守修理大夫一人ツヽ下段敷居ノ内ニテ　御目見退 　去其後雅楽頭美濃守御前へ被召出之金武王子可 　出席ノ旨被仰出台命ノ趣大隅守へ右両人演達之 一自琉球国王《割書：尚貞》所献ノ品々 　出御以前ョㇼ南ノ板縁東西ョㇼ御目通ニ順々並置之 　　御大刀　　　　　　　　　　一腰 　　御馬代　　　　　　　　　　白銀五十枚 　　中央卓《割書：青貝ニ｜朱塗二》　　　　　　　数四 　　籠飯《割書：青貝》　　　　　　　　　二 　　綾芭蕉布　　　　　　　　　五十端 　　薄芭蕉布　　　　　　　　　同 　　大平布　　　　　　　　　　百疋 　　久米綿　　　　　　　　　　百把 　　泡盛酒　　　　　　　　　　　五壺 一献上ノ御太刀目録奏者番小笠原山城守請取之酒 　井河内守へ渡之中段下ョㇼ二畳目之中山王ョㇼ下 　披露之金武王子出席下段下ョㇼ四畳目ニテ五拝而則 　退座御太刀目録同人引入之終而御納戸構へノ内へ 　入御 一並置進物御勝手方へ引入之進物番着長袴役之其 　後金武王子自分之進物持出 　御目通りョㇼ少西へ寄テ並置之 　　官香　　　　　　　　　拾包 　　香餅香　　　　　　　　五箱 　　練芭蕉　　　　　　　　十端 　　綾芭蕉　　　　　　　　同 　　泡盛酒　　　　　　　　二壺 　　但車進物　出御以前ョㇼ車寄ノ間二置之其所 　　ョㇼ出之 一自御納戸様　出御御上段　御着座金武王子出 　席於板縁奉五拝奏者番松平山城守披露之御次 　間へ退去 一大隅守中段マテ被召寄　上意有之而御次間退去 　其後雅楽頭美濃守　御前え被為召之金武王子 　遠境相越辛労被思召候由御諚有之退去而大 　隅守へ述之大隅守謹而奉之金武王子演述之 　畢而　　入御進物引入之 一大隅守修理大夫退去 一金武王子儀伊勢守佐渡守令差図殿上間へ同列 　下檀置之于時雅楽頭美濃守大和守但馬守内 　膳正相越会金武王子会釈有之則退以伊勢守佐 　渡守令下知金武王子退散右両人御玄関階上マテ 　先達也従者十七人順二退去 　　但老中見送無之 一右大手下馬マテ相越ノ由注進之時諸大名其外出 　仕之面々退散ナリ 　　今日御座敷幷御城中所どう々勤番 一殿上間之次台子飾之御数寄屋坊主二人在之 一大広間御納戸構之後二御使役勤仕 一御小姓組御書院番出人六十人御書院《割書：御》番所当番二 　相加勤番何モ半袴着之 一大御番出人百人大広間之四ノ間敷居際ヨリ二間 　除之北ノ方へ並居勤番半袴着之 一御玄関ニ御目附一人《割書：石谷五右衛門》勤仕 一乗物橋ニ御目附一人《割書：河口源左衛門》勤仕 一堀重御門加番 一中御門加番 一御台所口御門番 一御玄関ヨリ中御門へ筵不敷之右ノ通勤之 一今日出仕之面々乗物は大手ノ方除之内桜田のノ腰掛 　半ヨリ南置之 一金武王子屋轎ハ乗物橋ノ張番所ノ際二置之 一龍口ヨリ板倉内膳正前ヲ相越出仕ノ面々二ハ和田倉 　橋ヨリ桜田御門可相通ノ旨兼テヨリ相触之 一蓮池御門開之出仕ノ面々相通之 一金武王子ノ外琉球人壱人モ御前へ不出也 　欽奉呈一封候抑去歳吾薩州之太守光久奉 台命而令予嗣琉球国王之爵位因茲為奉述祝詞 　《割書：小臣金武王子》附于光久献上鄙国之方物候伏 　冀以尊大老之指揮所可達 上聴奉抑候誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　寛文十年庚戌五月廿五日　　　　尚貞 　　　　酒井雅楽頭殿 　欽奉呈一封候抑去歳吾薩州之太守光久奉 台命而令予嗣琉球国王之爵位因茲為奉述祝詞 《割書：使小臣金武王子》附于光久献上不腆之土冝候伏 　冀以諸大名之指揮所可達 　聴奉抑候誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　中山王 　寛文十年庚戌五月廿五日　　　　　尚貞 　進上　　板倉内膳正殿 　　　　　土屋但馬守殿 　　　　　久世大和守殿 　　　　　稲葉美濃守殿 　使者金武遥来芳墨入手傾然不残抑琉球国可 　被伝続之旨去年自薩摩国守光久就申達之為 　安堵之慶賀而進献土産如目録使者持参登 　城即遂披露奉備 上覧之處被召使者於 　御前奉拝謁畢 　御気色快然可託幸也莫労遠想猶使者可演説 　者也不宣 　寛文十一年八月　日 　　　　　　従四品左近衛少将兼雅楽頭源朝臣忠清 　回答　　中山王 　　　　　　　　館前 　使价金武来貢芳簡被閲面話惟同抑去年自薩 　州太守光久就申達琉球国伝封之儀為安堵之 　賀儀被献進土冝件々使者捧之登　営如数披 　露之奉備 台覧之處使者被召出而奉拝 御前　　御気色宜幸甚々々可被安遠懐猶示諭使 　者畢不宣 　寛文十一年八月　日 　　　　　　従四品侍従兼内膳正源　朝臣重矩 　　　　　　　従四品侍従兼但馬守源　朝臣数■ 　　　　　　　従四品侍従兼大和守源　朝臣廣之 　　　　　　　従四品侍従兼美濃守越智朝臣正則 　回報　　中山王 　　　　　　　　館前 　　白銀　　　　　　　　五千両 　　越前綿　　　　　　　五百把 　　　右自 　公方様被遣中山王也 　　寛文十一年八月　日 　　越前綿　　　　　　　弐百把 　　寛文十一年八月　日　　　酒井雅楽頭 　　　　中山王 　　　白銀　　　　　　弐百両 　寛文十一年八月　日　　　　酒井雅楽頭 　　　　金武王子 寛文十一年七月琉球来朝 　使者 　　金武王子 　　 　　従者之輩 　　　越来（コへク）親方　　　　宇郎親雲（ウラハイキン）上 　　　川上（カハカミ）親雲上　　　金城親雲上 　　　垣元（カキモト）親雲上　　　平安上親雲上 　　　真井田（マイタ）親雲上　　稲福親雲上 　　　津波古（ツバメコ）親雲上 《割書：楽人頭取》伊計（イケイ）親雲上　　新川（アラカハ）親雲上 　《割書：小姓》保栄茂里子（ホエモサトノシ）　　大城（ヲ丶クスク）里子 　　　思次（ヲモイシ）郎　　　　　太郎（タル）兼（カネ） 　　　松兼（マツカネ）　　　　　　真三郎（マサラフ） 同年八月八日前橋少将第琉球楽有之 　楽五通 　　大平楽（タイヒンヤウツ）　　　萬歳楽（ハンスイヤウツ）　　　同 　　難来郎（ナンライラフ）　　　　同 　歌楽四通 　　送親親（ソンツインニ）　　　　一更裡（イキンリ）　　　　相思病（シヤンスヒン） 　　為學當（ウイシヤウサン） 　上官 　　頭取　　　　　　　　　　　　　　越来親方 　中官 　　頭取　　　　　　　　　　　　　　宇良　親雲（ヲヒヤキン）上 　　楽歌頭取　　　　　　　　　　　　金城親雲上 　　楽頭取　　　　　　　　　　　　　伊計親雲上 　　簟篥吹　　　　　　　　　　　　　新川親雲上 　　楽人　　　　　　　　　　　　　　保栄茂里子 　　同　　　　　　　　　　　　　　　大城里子 　　同　　　　　　　　　　　　　　　玉城（タマグスク）思次郎 　　同　　　　　　　　　　　　　　　佐辺（サベ）太郎兼 　　同　　　　　　　　　　　　　　　新城（アラグスク）松兼 　　同　　　　　　　　　　　　　　　小橋川（コハシカハ）真三郎 越来親方ハ武官ニテ将軍ト称ス琉球薩摩ト海路三百 七十里ヲ隔ツ若シ途中ニテ金武不慮ノ事モアレバ越来仮 ノ使者トナツテ登　城拝謁セシメンタメナリ 保栄茂以下六《割書：人｜■》皆十七八五六計ノ童子ナリ今度薩摩 マデ来ルモノ百人ニアマレリ江戸ニ来ルモノ七十余人ト云々 八月八日酒井雅楽頭宅へ越来以下従来ノ輩呼集メ 楽等幷歌楽ヲ聴ク 九日金武王子登　城雅楽頭諸老列坐ニテ中山王へ 銀五百枚綿五百把金武へ銀二百枚従来惣中ニハ銀三 百枚被下御暇被下由ヲ被申渡其晩美濃守宅へ越 来以下従来ノ輩ヲ呼集メ楽ヲキク 十九日大隅守家臣島津図書金武王子以下ヲ引ツレ 江戸ヲ発ス 一（イッカ）更（イン）《割書：裡（リ）》難（ナン）挨（ヤイ）燈（テン）落（ラク）也（ヤイ）花（ハ）喬（キヤウ）才（ツアイラ）恋（イン）酒（チウツ）在（アへ）推（スイ）家（キヤ）自（ツツ）嗟（アイ）呀（カ）叫（キヤウ）人（ジン） 提（テイ）起（キ）泪（レ）如（ジ）麻（マ）多（タウ）因（イン）是（ス）你（ニ）乖（クハイ）非（へイ）于（アン）是（ス）俺（カン）差（ツアイ）枕（チン）辺（ヒヤイン）言（ヤイン）錯（ツウ）聴（チン） 了（リヤウ）当（タン）初（ハウ）話（ハ）思（ス）量（リヤン）別（ハイ）尋（シン）也（ヤイ）個（コ）悄（シヤウ）冤（イン）家（キヤ）又（ヨ）恐（コン）怕（ハ）温（ウン）存（ツウシ）不（ホウ）似（ス） 也（ヤイ）他（タ）我（カウ）的（テ）天（タイン）哪（ナヲ）撇（ヒイ）下（シヤ）難（ナン）々　撇（ヒイ）下（シヤ） 　二（ロツカ）更（イン）裡（リ）難（ナン）挨（ヤイ）月（ヤイ）照（ケヤウ）也（ヤイ）窓（テヤン）停（テン）針（チン）無（ウ）語（イ）對（トイ）銀（二ン）缸（カン）損（クン）柔（チウ）腸（ケヤン）圍（ウイ） 　屏（セン）斜（シヤイ）倚（イ）盻（ハン）才（ツアイ）即（ラン）人（ジン）児（ル）不（ホツ）見（キヤイン）来（ライ）影（イン）児（ル）不（フツ）得（タイ）双（サン）何（ハウ）時（ス）了（リヤウ）留（リヨ） 　却（キヤウ）相（シヤン）思（ス）帳（チヤン）軽（キン）移（イ）蓮（ライン）歩（ホ）出（チ）蘭（ラン）房（ハン）問（ウン）卜（フ）金（キン）銭（チヤイン）年（キヤイン）少（シヤウ）也（ヤイ）我（カウ）的（テ） 　天（タイン）哪（ナヲ）障（チヤン）人（ジン）々（チイ）磨（マウ）障（チヤン） 　三（サン）更（カイン）難（ナン）挨（ヤイ）香（シヤン）燼（ナン）也（ヤイ）炉（ル）離（ルイ）人（ジン）愁（ツウ）閟（モン）聴（テン）銅（ハン）壺（ツフ）怎（ツアイン）支（ツ）吾（ウ）和（ハウ） 　衣（イ）恋（フイン）枕（チン）怨（カイン）身（シン）孤（マ）奴（ノフ）非（イ）薄（ハウ）倖（シン）人（ジン）遭（ツアウ）逢（ホン）薄（ハウ）命（シン）夫（ツウ）可（カウ）怜（シン）把（ハ）奴 　青（ツイン）■（ナイケン）悞（ナイウ）佳（キヤ）期（キ）約（ヤウ）定（テン）在（ツアイ）春（チン）初（ツウ）秋（チヨ）雁（カンナイ）南（ナン）来（ライ）書（シ）信（シン）也（ヤイ）無（ウ）我（カウ）的（テ） 　天（タイン）哪（ナウ）辜（コウ）負（フウ）奴（ノヤイ）々　辜（コウ）負（フウ） 　四（ス）更（カイン）裡（リ）難（ナン）挨（ヤイ）被（ヒイ）冷（リン）也（ヤイ）寒（ハアン）忽／（フウ）聴（テン）撨（チヤラ）楼（ライツ）鼓（コウ）聲（シン）喧（シヤイン）好（ハアウ）憨（カウ）煎（イヤイン）傷（シヤイン） 　情（ツイン）自（ツ）覚（キヲ）損（ソン）容（ヨン）顔（ヤイン）■（ニヨ）扣（カイツ）漸（ソアン）々　鬆（リン）帯（タイ）漸（ソアン）々　寛（クハン）悲（へイ）々　切（チヤイ）々 　誰（スイ）為（ラエ）伴（ハン）賨（セン）鴻（フ）不（フツ）肯（アイン）把（ハウ）書（シ）傳（チヤイン）一（イツ）且（タンナイ）閑（ヒヤイン）愁（ツウ）眉（メイ）上（シヤン）攅（ツアン）我　的（テ）天（タイン） 　哪（ナウ）留（リツ）恋（ライン）誰（スヤイ）々　留（リツ）恋（ライン） 　五（ウ）更（カイン）裡（リ）難（ナン）挨（ヤイ）鶏（キイ）唱（チヤン）也（ヤイ）鳴（ミン）烏（ウ）鴉（ヤ）啼（テ）散（サン）満（マン）天（タイン）星（スイン）好（ハアウ）難（ナン）握（ヤイ）反（ハン） 　来（ライ）復（フ）去（キ）夣（モン）難（ナン）成（チン）天（タイン）台（タイ）路（ル）又（ヨウ）高（ヤウ）藍（ラン）橋（キヤウ）水（スイ）又（ヨウ）深（タン）可（カウ）怜（レン）把（ハカ）悶（モン） 　殺（サ）人（ジン）孤（コ）另（リン）早（ツアフ）晨（シン）梳（フ）洗（スイ）告（カウ）神（シン）明（シン）提（テ）起（キ）他（タ）的（テ）夫（タイン）哪（ナヲ）孤（コ）男（リン）人（ジン） 　人（シン）孤（コ）男（リン）名（ミン）児（ル）心（スイン）肝（カン）く（ヤイ）疼（トン）我　的（テ）天　哪（ナヲ）孤（コ）人（シン）々（ナイ）孤（コ）男（リン）送（ソン） 　親（ツイン）親（く）直（チイ）送（ソン）陽（ナイヤン）関（ナイハン）外（ハイ）千（チ）叮（インチン）嚀（リン）萬（ナイハン）嘱（ツウ）付（フ）早（ツアク）些（シヤイ）囘（へイ）来（ライ）家（キヤ）中（チヨン）没（ナイモウ） 　今（カウヤイ）親（ツインナイ）人（シン）在（ツアイ）身（シン）上（シヤン）又（ヨウ）有（ユウ）病（ロン）肚（トヲ）　裏（リ）有（コウ）懐（ハイ）胎（タイ）愛（ア）吃（キリ）酸（サウン）梅（メイ）哥（カウ）誰（スイ）人（ジン） 　替（テ）奴　買（マイ）　々　々　々　々 　念（ヒヤン）親（ツイン）々（く）有（ヨ）時（スズイ）々（く）停（テイ）住（チイ）誰（スイ）似（ス）我（ワツ）自（ヤイツ）子（ツ）時（ス）想（シヤン）到（タウ）■　（ハアイ）時（ス）没（モ）黄（ハンナイ） 　昏（ホン）児（ルヤイ）没（モヤイ）白（ハイ）日（チイ）杷（ハア）心（スイン）肝（カン）脾（ヒイ）碎（スイ）一（イ）月（アイ）三（サン）十（シ）日（チ）一（イ）日（チ）十（シ）二（ロ）時（ス） 　歌（カウ）時（ス）■（カイ）想着你々　々　々　々 　慰（ラツ）斗（チヤフ）児（ル）不（ホ）開（カイセイ）眉（メイヤイ）間（ケヤイン）皺（ツアイラ）快（クハイ）剪（チヤン）刀（タウセイ）剪（チヤイン）不（ホ）断（タン）我（タン）心（スイン）内（ノエ）愁（ツウ）綉（シウ）花（ハヤイ） 　針（ケン）児（ルヤイ）綉（シウヤイ）不（ホ）出（チイ）鴛（イン）鴦（ヤイン）扣（カイヲ）両（リヤン）下（シヤ）都（ト）有（ヨ）意（イ）両（リヤン）人（シン）不（ホ）敢（カンナイ）偸（タイソ）情（ツイタ）哥（コウ） 　我（カウ）的（テン）姻（イン）縁（ヤイン）也（ヤイ）々　々　々　々 　葵（ツアイ）伯（ハイ）皆（キヤイ）問（モン）坐（ツアフ）書（ヤーンヤ）房（イハン）内（ノエ）叫（キヤウ）一（イ）聲（シンナイ）牛（ミヨウ）小（シヤウ）姐（チヤイ）我（カウ）的（テ）嬌（キヤウ）妻（チ）你（二）令（リン） 　尊（ツウシ）招（チヤウ）我（カウ）為（ヤイ）門（ウエヤイモン）■（ンイ）到（タウ）如（ン）今（キンナイ）陳（チン）普（リヨ）遭（ツアウ）荒（ハン）早（ハカン）三（サン）載（ツアイ）遇（イ）飢（キ）寒（ハン）本（ホン） 　待（タイ）要（ヤウ）同（トン）帰（タイ）妻（チ）令（リン）尊（ツウン）捨（シヤイ）不（ホ）你（二）々　々（ヤイ）々 　為（ウイ）斈（シヤウ）當（タン）知（チ）■（ツイ）向（シヤン）論（ロン）修（シウ）身（シン）須（シイ）盡（チン）譲（チヤン）温（ウン）良（リヤン）求（キウ）仁（ジン）未（ウエ）仲（チヨン） 　由（コン）■（アフ）堂（タン）安（カカン）貧（ヒン）且（チヤイ）臥（アツ）顔（ヤイン）囘（へイ）巷（ハアン）是（ス）男（ナン）児（ル）志（ツ）氣（キ）努（ノ）力（ン）自（ツ）強（キヤン）聖（シン） 　賢（シヤイン）経（キン）傳（チヤイン）潜（ツアン）心（スイン）會（ホイ）講（チヤン）奎（クイ）光（クハ）直（チ）透（トウ）三（ヤン）千（チヤイン）丈（チヤン） 　相（シヤン）思（ス）病（ヒン）我（ヤウ）為（ウイ）你（ネ）多（タウツ）愁（アウ）多（タツ）悶（モン）相（シヤン）々思（ス）病（二ン）害（ハイ）得（タイ）我（カウ）非（ネへ）軽（キン）鵲（チヤフ） 　巣（ツアフ）都（ト）是（ス）假（キヤ）燈（テン）花（ハ）有（ヨ）不（フ）明（ミン）周（チヨ）王（ハン）先（スヤイン）生（スヤン）■■■先（スヤイン）生（スヤン） 　哥（カウ）奴（ノ）身（シン）快（ロハイ）你（ネ）易（イ）卜（ツ）差（ツア）池（チ）卦（ユハ）児（ル）断（タン）不（フ）準（チン） 　欽奉呈一封候抑去歳之秋《割書：金武王子｜》為使价奉述 　　陋邦継目之祝詞處同仲冬初八致帰国御返簡 　　辱奉拝見候剰因大老之命《割書：金武｜》致登　城奉拝 　貴大君誠以不堪恐懼之至且復所賜之真綿白銀 　謹而頂戴畏悦無窮候加之《割書：金武｜》並従官等品々拝 　領之冥加至極不知所謝候因茲《割書：小臣保栄茂親方｜》 　附于吾太守充久奉伸謝詞萬一仍献上土冝微物 　宜達 　台聴儀奉抑候誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　寛文十ニ年壬子六月朔日　　　　尚貞 　　進上　　酒井雅楽頭殿 　謹奉呈一翰候抑去歳之秋為奉述鄙国襲封之 　賀詞令《割書：金武王子｜》為専使拝礼相済同仲冬初八 　致帰国何幸如之是併因尊大老之指南也且賜 　精綿辱拝受之《割書：金武｜》亦蒙恩賜誠懇篤之至不能 　伸謝詞候猶《割書：小臣保栄茂親方｜》申■■誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　寛文十二年壬子六月朔日　　　　　　尚貞 　　謹上　　　酒井雅楽頭殿 　欽令呈一封候抑去歳之秋令《割書：金武王子｜》為使价 　奉述陋邦継目之祝詞處同仲冬初八致帰国御 　返簡辱奉拝見候剰依諸大老之命《割書：金武｜》致登 　城奉拝 貴大君誠以不堪恐懼之至且復所賜之真綿白銀 　謹而頂戴畏悦無窮候加之《割書：金武｜》並従官等品々 　拝領之冥加至極不知所謝候因茲《割書：小臣保栄茂｜》 　《割書：親方｜》附于吾太守充久奉伸謝詞候萬一仍献土 　冝徴物冝達 台聴儀所抑候誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　寛文十二年壬子六月朔日　　　　　　　尚貞 　　　　　板倉内膳正殿 　　　　　土屋但馬守殿 　進上　　久世大和守殿 　　　　　稲葉美濃守殿 　奉呈一翰候抑去歳之秋為奉述鄙国襲封之賀 　詞令《割書：金武王子｜》為専使拝礼相済同仲冬初八致 　帰国何幸如之是併因諸大老之指南也且賜精 　綿辱拝受之《割書：金武｜》亦蒙恩賜誠篤懇之至不能伸 　謝詞候猶《割書：小臣保栄茂親方｜》申含候誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　寛文十二年壬子六月朔日　　　　　　　　　尚貞 　　　　　板倉内膳正殿 　　　　　土屋但馬守殿 　謹上　　久世大和守殿 　　　　　稲葉美濃守殿 　　 　　　進上 　　　　官香　　　　　　　　十包 　　　　香餅　　　　　　　　五香合《割書：青貝｜》 　　　　紬布　　　　　　　　十疋 　　　　綾芭蕉　　　　　　　十端 　　　　泡盛酒　　　　　　　三壺 　　　　　以上 　　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　尚貞 　六月朔日芳翰自薩摩少将達之去年之秋使者 　金武参　　府被述　　貴国継封賀礼之處登 城奉拝 台顔且　　恩賜数品并使者及従官等亦有賚物由 　是恐悦之余令使人保栄茂到薩州献《割書：上｜》土産奉謝 　之其趣少将具達之即如目録言上畢可被安遠 　想猶少将可被申之候恐々不具 　　寛文十二年壬子　　　　　酒井雅楽頭 　　　　九月十六日　　　　　　　　　忠清 　回報　　中山王 　　　　　　　　館前 　芳墨披見去年之秋使者金武参 府登 城賀謝之礼儀事畢帰国洪慶之旨固冝其時我 　亦贈徴物報来信今度使价保栄茂到薩州奉謝 　之趣乃達 台聴畢莫労違想也委曲自薩摩少将可被伝達之 　恐々不宣 　　寛文十二年壬子　　　酒井雅楽頭 　　　　九月十六日　　　　　　　忠清 　　回復　　中山王 　　　　　　　　館前 　六月朔日芳墨薩摩少将被達之去年之秋為 　貴邦相続之賀儀使价金武参 府之處登 城奉拝 台顔且　　恩賜件々并金武及従官等亦賓物恐 　歓之余遣使者保栄茂於薩州進上土冝奉謝之 　少将具述其趣即如目録披露之勿労遠懐其余 　自少将可達之恐々不備 　寛文十二年壬子　　　　　板倉内膳正 　　　九月十六日　　　　　　　　　重矩 　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守 　　　　　　　　　　　　　　　　　数直 　　　　　　　　　　　　　久世大和守 　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　廣之 　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守 　　　　　　　　　　　　　　　　　正則 　　　回酬　　中山王 　　　　　　　　　　館前 　芳簡被閲去年之秋使者金武参 府登 営畢賀謝之礼儀海陸無恙帰国傾悦之由尤得来 　　旨其時我輩共贈薄品以酬遠信今度使者保栄 　　茂渡薩州奉謝 高恩之趣乃達 台聴畢莫労遠想也猶自薩摩少将可被演説之恐 々不宣 　　寛文十二年壬子　　　　板倉内膳正 　　　　九月十六日　　　　　　　　重矩 　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守 　　　　　　　　　　　　　　　　　数直 　　　　　　　　　　　　　　久世大和守 　　　　　　　　　　　　　　　　　　廣之 　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守 　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則 　　回答　　中山王 　　　　　　　　　館前 　　追而令啓達候従中山王私へ預音問候其所不載書 　　簡候懇志之至謝礼可然様従其之伝達等希候 　恐惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭 　　　　九月十六日　　　　　　　　忠清 　　　　松平大隅守殿 　　　　　　　　　人々御中 美濃守　大和守　但馬守　内膳正連状文言同前 寛文十三年秋琉球使者薩摩マテ来ル同九月二十 五日大隅守光久江戸ニテ言上之趣 　　　　覚 先年大清国へ差渡候貢納舩二艘之内一艘大清 ノ地於海塘山東寧舩ノ輩海賊仕候就夫去冬東寧 舩へ被遂御穿鑿候上過料銀三百貫目被召上拝 領仕難有仕合忝頂戴仕候左様ノ御礼為申上使 者平郎親方ト申者差上候品迄目録ノ通献上之仕 度候可然様二奉頼候委細者書翰ニ申上候以上 　　　九月廿五日 　進上 　 　　太平布　　　　　　　百疋 　　芭蕉布　　　　　　　五十端《割書：内綾織｜廿五端》 　　細布　　　　　　　　十疋 　　編布　　　　　　　　十端 　　硯屏《割書：玉｜》　　　　　　　一雙 　　八重山熬海鼠　　　　一箱 　　泡盛酒　　　　　　　三甕 　　　以上 　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　大平布　　　　　　　三十疋 　　戸川漬　　　　　　　　一壺 　　泡盛酒　　　　　　　　一甕 　　　以上 　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　欽定奉呈一封候抑去　歳（戌）自予之持内差渡大清 　候貢税之小舩於大清之地海塘山為賊舩被破 　却之處吾太守少将光久到 御奉行所相達旨趣之由候依之則被糺彼賊舩東 　寧之輩為過料白銀三百貫目取上之賜予之由 　光久伝達之候際辱奉頂戴候因茲為奉展徴志 　差《割書：小臣平郎親方｜》奉献鄙国之方物候伏冀宜達 台聴儀奉仰大老之指南候誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　寛文十三癸丑年六月朔日　　　　　尚貞 　　進上　　酒井雅楽頭殿 　　欽令呈一封候抑去戌歳自予之持内差渡大清 　　候貢税之小舩於大清之地海塘山為賊舩被破 　却之処吾太守少将光久到 御奉行所相達旨趣之由候依之則被糺彼賊舩東 　寧之輩為過料白銀三百貫目取上之賜予之旨 　光久伝達之候際辱奉頂戴候是併 御政道之遠及異域儀奉恐感候因茲為奉伸微志 　差《割書：小臣平郎親方｜》奉献鄙国之方物候伏冀冝達 台聴儀所抑諸大老之指南候誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　寛文十三年み癸丑六月朔日　　　　　尚貞 　　　板倉内膳正殿 　　　土屋但馬守殿 　　　久世大和守殿 　　　稲葉美濃守殿 　謹奉呈一翰候抑去戌歳自予之持内差渡大清 　候貢納之小舩於大清之地海塘山為賊舩被破 　却之處吾太守少将光久到 御奉行所相達旨趣之由候依之則被糺彼賊舩東 　寧之輩候儀誠誼誠之遠所及異邦候且復至賊 　従者為過料白銀白銀三百貫目取上之賜予之旨光 　久伝達之候際辱頂戴仕候是全在大老之恩恵 　處奉恐察候因茲差《割書：小臣平郎親方｜》奉述寸忱之 　序進献不腆之土冝候猶不能尽縷々耳仍寄小 　价之口頭偏奉抑御省察候誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　中山王 　寛文十三年癸丑年六月朔日　　　　尚貞 　謹上　　酒井雅楽頭殿 　奉呈一翰候抑去戌歳自予之持内差渡大清候 　貢納之小舩於大清之地海塘山為賊舩被破却 　之処吾太守光久到 御奉行所相達旨趣之由候依之則被糺彼賊舩東 　寧之輩候儀誠誼政之遠所及異邦候且復至賊 　従者為過料白銀三百貫目取上之賜予之旨光 　久伝達之候際辱頂戴仕候是全在大老之恩恵 　処奉恐察候由茲差《割書：小臣平郎親方｜》奉述寸忱之 　序里上不腆之土冝候猶不能尽緌々耳乃寄小 　价之口頭偏所抑御省察候誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　寛文十三年癸丑年六月朔日　　　　　尚貞 　　謹上　　稲葉美濃守殿 　奉呈一翰候抑去戌歳自予之持内差渡大清候 　貢納之小舩於大清之地海塘山為賊舩被破却 　之処吾太守少将光久到 御奉行所相達旨趣之由候依之則被糺彼賊舩東 　寧之輩候儀誠誼政之遠所及異邦候且復至賊 　従者為過料《割書：白銀｜》三百貫目取上之賜予旨光久伝 　達之候際辱頂戴仕候是全在大老之恩恵処奉 　恐察候因茲差《割書：小臣平郎親方｜》奉述寸忱之序呈 　上不腆之土冝候猶不能《割書：尽｜》縷々耳仍寄小价之口 　頭偏所仰御省察候誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　寛文十三年癸丑年六月朔日　　　　　　　　　尚貞 　謹上　　久世大和守殿 　奉呈一翰候抑去戌歳自予之持内差渡大清候 　貢税之小舩於大清之地海塘山為賊舩被破却 　之処吾太守少将光久到 御奉行所相達旨趣之由候依之則被糺彼賊舩東 　寧之輩候儀誠誼政之遠所及異邦候且至賊 　使者為過料白銀三百貫目取上之賜予之旨光 　久伝達之候際辱奉頂戴候因茲差《割書：小臣平郎親｜》 《割書：方｜》奉述寸參之序呈上不腆之土冝候猶奉寄小 　价之口頭候誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　寛文十三年癸丑六月朔日　　　　　　尚貞 　謹上　　酒井河内守殿 　使者平郎遠来抑庚戌之歳自其地遣大清之舩 　到海塘山遇賊舩破滅之旨自大隅守光久依啓 　達之乃於長崎被遂糺断之処賊徒東寧之輩伏 　罪捧白銀三百貫目贖其科由是使光久伝達右 　銀記足下拝載被辱存之述礼謝被献土産如数 　披露之書中之趣言上之可被安遠想猶自光久 　可有演説也不備 　　延宝元年癸丑　　　　　酒井雅楽頭 　　　　九月廿八日　　　　　　　　忠清 　回答　　中山王 　　　　　　　　館前 　使者平郎遥至抑庚戌之歳自其地被遣大清之 　舩於海塘山而賊徒破滅之旨自大隅守光久啓 　達之乃於長崎被遂糺断之處賊徒東寧之輩伏 　罪捧白銀三百貫目贖其　罪（科）由是使光久伝達右銀 　於其地　足下頂戴拝謝之余為謝礼献土冝如 　目録披露之書中之趣具達 尊聴勿遐想委曲光久可達之者也不宣 　　延宝元年癸丑　　　　　土屋但馬守 　　　　九月二十八日　　　　　　数直 　　　　　　　　　　　　　久世大和守 　　　　　　　　　　　　　　　　廣之 　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守 　　　　　　　　　　　　　　　正則 　回復　中山王 　　　　　　　館前 　六月朔日芳墨披読庚戌之歳所遣大清国之 　貴国之舩於途中海塘山遇賊舩破滅之旨自薩 　摩少将光久依啓之使長崎奉行糺責彼賊徒東 　寧之輩則贖其罪呈白銀三百貫目乃諭光久伝 　達其地足下拝載被辱存之余以使者平郎親方 　奉拝謝之書翰之趣具言上之可被安遠懐且吾 　曹有土産之恵芳志不少如数受之其余使者可 　述之不宣 　　　　　　　　　　　　 　　延宝元年癸丑　　　　酒井雅楽頭 　　　　九月二十八日　　　　　忠清 　回答　中山王 　　　　　　　館前 　六月朔日芳翰披見庚戌之歳　貴国之舩於大 　清国途中海塘山遇賊舩被掠破之由薩摩少将 　光久依申之而彼賊舩東寧之輩命長崎奉行糺 　察之以白銀三百貫目令贖之罪乃賜　足下自 　光久被達之頂戴被辱存以使者平郎親方奉拝 　謝之言上之趣具達 尊聴可被安緬懐且吾済預土冝之恵異域芳志不 　浅如目録領之猶示諭使者訖不宣 　　延宝元年癸丑　　　　稲葉美濃守 　　　　九月二十八日　　　　　正則 　回復　　中山王 　　　　　　　　館前 　六月朔日芳墨披誦庚戌之歳　貴国之舩於大 　清国途中海塘山遇賊舩被掠破之由自薩摩少 　将光久依申之而彼賊舩東寧之輩命長崎奉行 　糺察之以白銀三《割書：百｜》貫目令贖其罪乃賜　足下自 　光久被達之頂戴被辱存以使者平郎親方奉拝 　謝之旨趣具達 上聞可安緬懐且吾済預土冝之恵異域芳志不浅 　如條目領之猶自光久委曲可被達者也不宣 　 　延宝元年癸丑　　　　　　　　久世大和守 　　　　九月二十八日　　　　　　　　廣之 　回復　　中山王 　　　　　　　　館前 　使者平郎遥来抑庚戌之歳自其地被遣大清之 　舩於海塘山而賊徒破却之旨自薩摩少将光久 　言上之乃於長崎被遂糺断之処賊徒東寧之輩 　陳科献白銀三百貫目贖其罪於是使光久伝達 　右銀於其地　足下拝謝歓忭之余為謝礼献上 　労遐懐猶使者可演説也不宣 　延宝元年癸丑　　　　　従四　位兼（品侍従）河内守 　　　九月二十八日　　　　　　　　　　源忠明 　　　回復　　中山王 　　　　　　　　　　館前 　謹呈上一簡去歳庚申仲夏初八日 前大樹薨御同秋訃音達陋邦驚痛絶言語候由是 　今度遣《割書：小臣上間親方｜》到薩州就于我太守中将 　光久恭述吊詞以緒大老之指南奏達所抑候誠 　惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　延宝九年辛酉四月十九日　　　　　　尚貞 　　　　　大久保加賀守殿 　　　　　土井能登守殿 　　進上　堀田備中守殿 　　　　　板倉内膳正殿 　謹ンテ一簡ヲサシ上申候去歳五月八日 前大樹薨御マシマスノ由秋ノ比我邦ヘ聞ヘ驚キ哀ミ絶 　言語候依之今度上間親方ト申候者ヲ薩摩ノ国 　マテ遣ハシ我太守中将充久マテ乍恐吊詞ヲ申候此 　ノ由諸大老宜キ様ニ御披露所抑候 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　　延宝九年辛酉四月十四日　　　　　尚貞 　　　　　大久保加賀守殿 　　　　　土井能登守殿 　進上　　堀田備中守殿 　　　　　板倉内膳正殿 　芳翰披誦如示去歳仲夏八蓂遇 国哀百姓如喪考妣可以推察焉 嗣大君治世海内静謐兆民安所武威弘宣政教広 　覃可安遐想今般遣弔使上間親方于薩州延哀 　儀矣太守充久伝達之千里之厚情豈不謝之哉 　暑中之趣具達於 尊聴莫介于懐恐々不備 　　天和元年辛酉十一月十一日 　　　　　　　　従四位下豊後守阿部正武 　　　　　　　　従四位下侍従兼筑前守紀正俊 　　　　　　　　従四位下侍従兼加賀守藤原忠朝 　　回復　　中山王 　　　　　　　　　館前 　　芳札披見如示去歳五月八日 　国哀ニ遇テ人皆父母ヲウシナヘルカ如ク哀ミ候段推察セラルヘシ 嗣大君世ヲ治給ヒテ海内静謐ニ万民所ヲ安シテ及ヒ　■（御）威光大 ヒニ弘マリ御政あマネク下々マテ及ヒ候遠キ想ヲ安ンセラルヘク候 度弔使トシテ上間親方ヲ薩州マテサシ越サレ候段太守充久ヨリコ レヲ伝達ス千里之厚情感シ入候書中ノ趣具ニ 尊聴ニ達シ候キツカイ有マシクそう恐々不備 　　延宝九年辛酉十月　日 琉球往来巻之三 　　琉球人来朝先例 　延宝元年 　天和二年 　【右丁白紙】 　　欽差奉呈書翰恭聴 　　貴国 大君昭代御連続四海無事万祥共臻如吾小邦亦 　隔千里称万歳方今小使《割書：名護王子｜》捧不腆方物 　従我薩摩少将光久々寅奉述賀儀伏　尊大老 　指揮之達 台聴誠惶謹言 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　延宝九年辛酉五月十八日　　　　　尚貞書判 　　進上　　稲葉美濃守殿 　欽差使价呈上書簡恭聴 　貴国 大君昭代御連続四海無事万祥共臻如吾小邦亦 　隔千里称万歳方今小使《割書：名護王子｜》捧不腆方物 　従我薩摩中将光久謹奉述賀儀伏冀　諸大老 　採訪之達 台聴誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　　延宝九年辛酉五月十六日　　　　　尚貞 　進上　　　大久保加賀守殿 　　　　　　土井能登守殿 　　　　　　堀田備中守殿 　　　　　　板倉内膳正殿 　ツ丶シンテ使者ヲツカハシ書簡ヲゲタテマツリ候ハ丶シニテキ 　ク　貴国ノ 大君御代御相続アソバサレ四海無事ヨロツノサイハイトモニ 　イタルト我カ小邦千里ヘタヽリ候トモ万歳ト目出度イハ 　タテマツリ即使者名護王子ヲツカワシ軽微ノ土産ヲ献 　上シ我薩摩中将光久二ヨリテ賀儀ヲノベタテマツリ候 　尊大老御サシヒキナサレ 上聞二達シ候様二ネガヒタテマツリ候誠惶謹言 　延宝九年辛酉五月十六日 　　　　　　　　　　　　　中山王尚貞 　欽差使价呈上短章恭聞 　貴国 大君昭代御連続累葉興隆万祥駢臻如吾裔夷之 　属国亦豈敢後華之祝方今小使《割書：名護王子｜》献不 　腆方物依我薩摩中将光久謹備来聘之儀伏冀 　諸大老様納之達 青宮聴聭誠惶不宣 　　　　　　　　　　　　　　　中山王 　延宝九年辛酉五月十六日　　　　　　尚貞書判 　進上　大久保加賀守殿 　　　　土井能登守殿 　　　　　　堀田備中守殿 　　　　　　板倉内膳正殿 　ツ丶シンテ使者ヲ遣シ短札ヲタテマツリ候　貴国ノ 大君御世相続アソバサレ御代々ノ御威光イヨ〳〵ナリ 　サカン二ヨロツノ祥ナラビイタリ候我島ノ夷ニ候へ 共 　貴国ニシタカヒタテマツルユへ華封ト云処ノ人ノ尭ヲ祝セ 　ルニヲトラシトイワヒタテマツリ使者名護王子ヲ遣シ軽 　少ノ土産ヲ献上シ我薩摩中将光久ニヨリテ賀儀ヲノ 　ベタテマツ　リ（ル）諸大老此段ヲ御トリモチ 若君様へ宜様ニ御披露ネカイ申候誠惶謹言 　延宝九年辛酉五月十六日　　中山王 　使者名護王子遥来去歳仲夏芳翰落手如示 尊大君継前諸国家間暇太平重光兆民安所依之 　遠表慶賀之祝儀千里厚情可以焉即披露之 　使者捧土冝数品登 　城拝礼事畢 台顔快可慰緬懐也 　恩賚如目録可領受之猶使者可演説也不宣 　　　　　　　　　　従四位下左近衛少将兼筑前守 　天和二年壬戌四月十六日　　　　　　　　紀正純 　回復　　中山王 　　　　　　　　館前 　使者名護王子トラクキタリ去歳五月ノ芳札手二入候 　シメンノコトク我カ 尊大君御代御相続アソバサレ国家無事御代々太平 　ノヒカリヲカサネ万民ミナ所ヲヤスンシ候コレニヨリテハルカ 　ニ慶賀ノ祝儀ヲノヘラレ千里ノコ丶ロ屮サシアツク 感シ入候 　即披露トケ候処ニ使者音物ヲケ登 城首尾ヨク御目見　　御機嫌ヨク候遠ヲモヒヲナクサ 　メラルヘシ且又目録ノ如ククダサレ候受納セラルヘシ猶 　使者演説スへキモノ也不宣 　使者名護王子遠来去歳仲夏芳翰入手如諭 尊大君継前列国家間暇太平重光兆民安所依之 　遥表慶賀之祝儀千里芳志可以嘉焉即披露之 　使者捧方物数品登 　城拝謁畢 台顔傾然勿労遥遐也 　恩賚如目録可領納之猶使者可演説也恐々不 　備 　天和二年壬戌四月十六日 　　　　　　　　　　従四位下侍従兼山城守 　　　　　　　　　　　　　　　　藤原忠昌 　　　　　　　　　　従四位下侍従兼豊後守 　　　　　　　　　　　　　　　　阿部正武 　　　　　　　　　　従四位下侍従兼加賀守 　　　　　　　　　　　　　　　　藤原忠朝 　答復　　中山王 　　　　　　　　館前 　使者名護王子ハルカニキタリ去歳五月ノ芳札到来披見 　候我 若君様日ヲヲヒ御成長アソバサレイヨ〳〵安全ノサイワイ 　ヲカサネ長久ノ基ヲカタクス我国ノヨロコヒ推察セラルヘシ 　使者土産ヲサ〵ケ登　城賀儀ヲノヘ候段スナハチ言上 　申候千里ノ音物感シ入候 若君様ヨリモ目録ノゴトククタサレ候受納セラルヘク候 　天和二年壬戌四月十六日 　　　目録 　白銀　　　　　　　五千両 　綿　　　　　　　　五百把 　　　　以上 　天和二年壬戌四月十六日 　　是ハ　公方様ヨリ中山王へ被遣御目録也名護并 　　ニ使者ハ拝領物　御城ニテ被下候目録無之 　　先例ハ右自　公方様被遣於中山王者也ト以上ノ 　　次二行ニカクナリ今度除之 　　　目録 　白銀　　　　　　　三千両 　時服　　　　　　　二十領 　　　　以上 　　天和二年壬戌四月十六日 　　　目録 　　綿　　　　　三百把 　　　以上 　　　　　　　　　　　　従四位下少将兼筑前守紀正俊 　天和二年四月十六日 　謝復　　中山王 　　　目録 　　白銀　　　　三百両 　　　以上 　　　　　　　　　　　　従四位下少将堀田筑前守 　壬戌四月十六日 　　　　名護王子 　天和二年壬戌四月十一日琉球人来朝御礼登 　城松平大隅守上屋敷ヨリ比比谷通八代洲河岸 　龍口松平日向守上屋敷大腰掛ノウシロ松平因幡守 　屋敷前ヨリ登　城道筋ノ屋敷へ御歩行目付巡見面 　々屋敷ヨリ警固コレヲ出ス琉球人八代洲河岸マテ来ル 　時　御城へ言上ス 一中山王使者名護王子屋轎ニ乗り従者十九人大手ノ 　先似ニテ下馬名護従フ名護乗物橋ノ前ニテ屋轎ヨリ 　下乗 　　但旗持鋒持等其外ノ役人大手ノ腰掛ニ相残ス 一騎馬十九人 　知念親雲上（チネンヲヤクモへ）　　恩納親方（ヲンナヲヤカタ） 　濱比賀（ハマヒカ）親雲上　平識（へイシキ）親雲上 　照屋（テリヤ）親雲上　　糸数（イトカス）親雲上 　當真（タウマ）親雲上　　屋冨祖（ヤフソ）親雲上 　具志堅（グシケン）親雲上　上江洲（ウへス）親雲上 　稲峰（イナミネ）親雲上　　宮平（ミヤタヒラ）親雲上 　小橋川（コハンカハ）親雲上　野里里主（ノサㇳサトヌシ） 　濱川里之子（ハマカハサトノシ）　　伊舎堂真満刈（イシヤダウママカル） 　識名（シキナ）里之子　　佐邊松兼（サへマツカネ） 　佐鋪思徳（サシキヲモヒトク） 一名護御玄関階上へ至ル時大目付彦坂壱岐守内藤 　出羽守出向令案内殿上間下壇着坐従者十九人同 　所次ノ間列居下官ノ族御玄関前庭上置之 一松平薩摩守登　城殿上間着座 一なｋ中山王書簡壱岐守出羽守請取之 一巳后刻大広間　出御　御長袴 　　御刀　　　　　　　　有田伊勢守 　上壇《割書：厚畳三畳重以重唐織包之四ノ角ニ｜大総付之御褥御刀掛有之》 　御着坐御後ニ牧野備後守板倉市正金田遠江守 　御縁ガハニ御小姓衆小納戸衆 　御下壇御目通ニ堀田筑前守進ミ出 　西ノ方板縁ニ井伊掃部頭保科肥後守着坐南ノ方 　ノ板縁ニ大久保加賀守阿部豊後守戸田山城守列居 一板縁ノ次ニ堀田下総守高家衆奏者番詰衆諸番頭 　大目付町奉行諸物頭其外余ノ役人列居各長袴 一三ノ間ニ御譜代衆外様ノ中大名列居 一国持大名四品以上出仕無之 一名護殿上ノ間ヨリ大広間へ壱岐守出羽守令案内之 　中ノ間東ノ敷居際ニ西へ向テ着座薩摩守モ同坐ス 一薩摩守下壇敷居ノ内ニテ御目見 一琉球国王ヨリ献スル処ノ品々　出御以前ヨリ南ノ板縁 東南ヨリ御目通ニ順々並置之 　　　御太刀　　　　　　　一腰 　　　御馬　　　　　　　　一匹 　　　　諏訪部文九郎庭上へ引出之 　　　中央卓　　　　　　　二面 　　　大硯屛　　　　　　　一対 　　　大籠飯　　　　　　　一対 　　　羅紗　　　　　　　　二十間 　　　白繻紗　　　　　　　五十間 　　　綾芭蕉布　　　　　　五十端 　　　太平布　　　　　　　百匹 　　　久米綿　　　　　　　百把 　　　寿帯香　　　　　　　三十包 　　　香餅　　　　　　　　同 　　　弁心香　　　　　　　百把 　　　泡盛酒　　　　　　　十壺 一献上ノ太刀目録奏者番請取之中段下ヨリに二畳目 　置之中山王ヨリト披露之名護出席下段ヨリ四畳 　目ニテ九拝シテ退坐 一名護重ネテ出席自分之御礼板縁ニテ申上太刀目録 　奏者番披露ス進物兼テ並置之 　　官香　　　　　　　十包 　　綾芭蕉布　　　　　二十端 　　寿帯香　　　　　　十包 　　大平布　　　　　　二十疋 　　泡盛　　　　　　　二壺 一御礼畢テ名護殿上間へ退居筑前守加賀守豊後 　守山城守対面従者十九人壱岐守出羽守ヲ以テ退 　出セシム名護退出ス壱岐守出羽守御玄関階上マテ 　先ツ従者十九人順々二退出 一名護大手下馬マテ退出ノ左右アリテ諸大名退散ス 一今日所々ノ屏重門ハ天野弥五衛門中御門ハ布施孫 　兵衛御台所口ハ筧新兵衛御玄関前ヨリ中御門マ 　テ莚ヲシク 一今日出仕ノ面々乗物ハ大手ノ方の除之内桜田ノ腰掛半 　ヨリ南二置之 一名護屋轎ハ乗物橋ノ張番所ノ際二置之 一龍口ヨリ松平日向守前ヲ相越出仕ノ面々二ハ和田倉橋 　ヨリ内桜田御門可相通之旨兼日ヨリ相触之 一蓮池御門開之出仕ノ面々相通之 一名護ノ外琉球人一人モ御前へ不出 　　　　十二日 一名護王子西ノ丸へ出仕国王ノ太刀目録進物ヲ献上ス 　且自分ノ進物モ献上ス阿部豊後守戸田山城守奏者 　番三人大目付小目付三人参会ス 　　　　十四日 一巳ノ刻白書院へ出御下壇御着座琉球人二音楽ヲ 　被　仰付　御聴聞 一白書院御下壇際ノ襖障子開之御簾掛之敷居ノ 　外ニ牧野備後守伺候 　　　　　難（ナン）無（ナイ）楽（ライ） 　　鎮吶　　　　　　　　　　　　照屋 　　鼓小鉦　　　　　　　　　　　濱川 　　三金　　　　　　　　　　　　野里 　　三板　　　　　　　　　　　　松兼 　　　　　同 　　半笙（ハンシヤウ）　　　　　真満刈 　　鼓小笙　　　　　　　　　　　濱川 　　鉦着板　　　　　　　　　　　識名 　　三金　　　　　　　　　　　　野里 　　三板　　　　　　　　松兼 　　　　　萬歳楽 　　鼓着板　　　　　　　濱川 　　鉦　　　　　　　　　識名 　　三金　　　　　　　　野里 　　三板　　　　　　　　松兼 　　　　　唐歌 　　立笙　　　　　　　　濱川《割書：野里｜真満刈》 　　瑟　　　　　　　　　識名《割書：思徳｜松兼》 　　　　　同 　　立笙　　　　　　　　濱川 　　二線　　　　　　　　真満刈 　　三線　　　　　　　　識名 　　同　　　　　　　　　思徳 　　　　　三線歌 　　三線　　　　　　　　識名《割書：濱川｜野里》 　　同　　　　　　　　　松兼《割書：一真満刈｜思徳》 　　　　　十六日 一名護へ御暇下サルヘキ旨被　仰出コレニ依テ松平薩摩 　守登　城名護■登　営ス御玄関マテ来ル時ル時 　階ノ上板縁へ彦坂壱岐守坂本右衛門出向フ 　城中ノ御作法申上候時ノ如シ 一大広間二ノ間ニ堀田筑前守おお大久保加賀守阿部豊 　後守戸田山城守牧野備後守并ニ堀田対馬守稲 　葉石見守北ノ方ニ着座松平薩摩守南ノ方ニ着座壱 　岐守右衛門佑案内ニテ名護殿上ノ間ヨリ大広間ノ 　中間敷居ノ際西ニ向テ着座老中ニ対メ一礼アレアリ老中 　会釈ス 一名護敷居ノ内ヘ出座此時筑前守　上意ノ趣ヲ延ヘ中 　 　山王へ下サレ物アリ名護登　城ノ前ヨリ下サレ物ヲ大広 　間下壇ニ並へ置ク御襖障子前方ヨリ開之名護退 　座御襖障子閉之 一名護ヘ下サレ物アリ大広間中間敷居一畳隔テ中央 　ヨリ東ノ方へ寄置進物番持出名護出座中間中央 　ニ着座戸田山城守白銀弐百枚時服十被下之旨申 　渡ス 一右過テ名護カ従者ヘ白銀三百枚下サル西ノ御縁ヨリ 　持出名護重ネテ出座中央ニ座ス白銀従者ヘ被下ノ 　ヨシ山城守申渡ス名護御礼畢テ松ノ間へ退居 一薩摩守出座御礼申上ク 一殿上間ニテ中山王へ被候銀子綿ノ目録并老中ヨ 　リノ返簡壱岐守右衛門佑名護ヘ渡ス名護退去老 　目付御玄関マテ送之 一去ル十四日楽被　仰付候輩ヘ時服三ツ丶下サル薩摩守 　ヘ申渡シ大隅守家来ヘ申遣シコレラ渡ス 　濱比賀（ハマヒカ）親雲（ハイキン）上　　　照屋（テリヤ）親雲上 　宮平（ミヤタヒラ）親雲上　　　　稲峰（イナミネ）親雲上 　濱川（ハマカハ）里之子（サトノシ）　　　　野里（ノサト）里主（サトヌン） 　識名（シキナ）里之子　　　　伊舎堂（イシヤダウ）真満刈（テマル） 一御次間左ノ方ニ堀田筑前守阿部豊後守右ノ方ニ大 　久保加賀守戸田山城守伺候ス 一御向ノ畳縁ニテ音楽アリ奏者番大目付堀田下総守 　伺候ス 一御下壇左ノ方畳縁ニ堀田対馬守稲葉石見守其外 　近習ノ面々伺候 一御連歌ノ間襖障子ニ間コレラ開テ其内ニ高家衆詰 　衆番頭物頭諸役人列居ス 　　　　太平楽 　鎮吶（シチリキ）　　　　　照屋親雲上 　鼓小鉦（ツコトラ）手拍子　　　濱川里之子 　鉦着板（ドラチヤツハン）　　　　　識名里之子 　三金（ミツカネ）　　　　　　　野里里主 　三板（サンハン）　　　　　　　松兼 　　　　萬歳楽 　鎮吶　　　　　　　　照屋親雲上 　鑼（ラウ）　　　　　　　　　識名 　鼔着板　　　　　　　濱川 　三金　　　　　　　　野里 　三板　　　　　　　　松兼 　　　佐鋪思徳（サシキヲモヒトク）　　　佐邊（サヘ）松兼（マツカネ） 　　　右十人七人ハ楽人二人ハ役者一人ハ肝煎ナリ 一奏者番御留守居衆番頭物頭南ノ御縁西ノ方ヨリ御 　東寄ニ並居 一高家衆詰衆中ノ間南ノ方敷居ノ際東ノ方へ着座 一御書院番一組御小姓組ニ組ヨリ出人四十人大番三組 　ヨリ出人七十人何レモ半袴ニテ勤任ス《割書：是ハ十一日出仕ノ時モ如是｜》 一御歩行衆肩衣袴コレヲ着メ拝領物ヲ車寄ヨリ御玄関 　マテコレラ引テ松平大隅守家来ニ渡ス 一今日御玄関前ハ長谷川久三郎同朋口ノ御門ハ夏目藤 　右衛門中御門ハ坪内惣兵衛警固 一今日雨天ユヘ御玄関前莚敷カス 一松平薩摩守同道ニテ名護西ノ丸へ参上御暇下サル丶ノ御礼 　申上ク大久保加賀守阿部豊後守奏者番并坂本右衛門列 　座　若君様ヨリ中山王へ白銀三百枚時服十被遣 一中山王へ　公方様ヨリ白銀五千両綿五百把名護ヘ銀二百枚 　時服十従者中ヘ銀三百枚　若君様ヨリ中山王へ銀三千両時服二十 　領名護王子ヘ綿百把下サル従者へハ下サレモノ無之堀田筑前守ヨリ 　中山王へ綿三百把大久保加賀守阿部豊後守戸田山城守牧野備 　後守ハ綿二百把若老中ハ綿百把遣之名護王子ヘ筑前守ハ銀三 　十枚加賀守豊後守山城守備後守ハ銀二十枚若老中ハ銀十枚 琉球往来巻之三大尾《割書：于時明治七年七月十八日乞得外務省秘庫｜書謄写校読了残炎猛烈苦悩》 　　　　　　　　　　　【角朱印あり】