是から世直し     厄(やく)はらい アヽラ珍(めづ)らしいなへこんど此度の大地震世の諺(ことわざ)にもいふ通り地震雷 火事(くわじ)親父(おやぢ)こはい物の四天王その二ツがかたまつてくわら〳〵ひつしやり と江戸中がつぶれて焼た座頭株(ざかしらかふ)吉原ばかり仮宅(かりたく)の場所(ばしよ)尽で 払ひませう大見勢小見勢おいらんを突(つき)出す鐘の浅草の 大 悲(じ)のちかい深川に嘘(うそ)か本所のはし女郎六ツ限り 路次の鉄棒(かなぼう)も廻り南枝のわらふうめ なじみの客を松井町 常磐(ときは)のいろの 花川戸上る二 階(かい)の山之宿引付座敷へ 入船町たばこのけむり瓦(くわら)町アイと 返事の長岡(なかおか)町かふろがこぎ出す 御船蔵のりこむ今戸山谷堀 土手馬道や広小路 聖天町のにこゞりに はなれぬ 二人りが 仲町は 仕かけの すそつぎ やぐら下八まん かねの綱打場(つなうちば) ごんの御 旅(たび)に弁てんの 一イ二ウ三ツ四ツ五ツ目の 五百らくわんの五百日 取込(とりこむ) ゆりこむ世直しと所はんじやう かりたくの格子(かうし)のさきまでやまを する悪魔(あくま)けとうにつきうまの 地(ぢ)まはりなまづのごろ付(つき)を このやくはらいがかいつかみ まかりし塔(とう)の九りんから 西河岸とは おもえども ふか川 つくだ丁へ くわらり