《割書:餅|酒》腹中能同志 完 《割書:餅|酒》腹中能同志《割書:少嬪堂作|清長画》二冊 【検索用タイトル:餅酒腹中能同志】 【検索用、国会図書館登録著者名:女嬪堂】 こゝにきやうのいなかのかたほとり なんとしやう兵衛【なんとしようのもじり?】といふ かたおやし【片親父?】 子二人あつて うとくにくらしけるが しかるにあにはうまれ ついて大さけ をのみ をとゝは いつさいけこにして めくり【江戸期にめくり餅なる和紙を食すものあり、江戸ではめくりかるたもあり】 にさへもちくい となつけるとかや こをおもふことおや にしかすとしやう 兵衛かおもふやら けんこうほうしの たはむれにもけこ ならんとそ【係り結び?】 おのこは よけれとあれば 上戸なる子は心元 なし又よのたとい にけこのたてたる くらもなしといへば けこなる 子にもよを ゆづられずと子ゆへのやみふみまよいたる【ふのように見えるのは挿絵の葉脈?】 くたひれやすめ ついとろ〳〵の くいねむり 一すいのゆめを むすひける フウ 〳〵 〳〵 【もちさけ 一丁】 こゝにしん川の しやう主【上酒?】九年 しゆ【酒】とよはれ しはさけなか ま【酒仲間】のすい【随】一と あをかれいなる あくざけ【悪酒】にて もこれにした かい其なにも 小あら【濁点?】はせしか 【挿絵人物右】 けんひし【着物の紋が清酒剣菱】 なんそ其【も?】【剣菱の台詞】 けんきの ない もち くわし めら【餅菓子めら】 ふつゝ ふして くりやう【次頁にまたがる台詞】 【挿絵人物中】 しやうちう【着物紋にしやうちう の文字】 そうさ〳〵【焼酎の台詞】 【挿絵人物左】 あはもり【着物の柄が琉球絣の紋様に近似】 【もちさけ 二丁表】 入とひ庄兵衛か かとく さために 心をくるしめけるよしをきゝ なにとぞわれ〳〵をひとつてう あいし給ふあにきみの かとくにせんとしよ〳〵【諸ゝ】 のししや【使者】をよひ よせまつ弟公 のてうあいし 給ふもちかし【餅菓子】 めらこそしやま【邪魔】の 一つなりまつこれを ほろほさんと むほんを をこし ける 【画面上段人物】 九年しゆ【袴に九年酒の丸囲い文字】 【画面左下 九年酒の台詞】 おの〳〵こゝろをいちにして たゝかははなにほどの ことかあらん 【団十郎煎餅の台詞】 もしいくさかはし まつたらひさしふり たとおもつてアゝ つかも ねヱ はたらきを してみせよう 【本文】 さるほとに九ねんしゆか くはたてたれいふとなく【企て誰言ふとなく】 もちかたへ【餅方へ】きこへけれは いまさかの【今坂】しやうしゆ【城主】 こしたかまんぢうこう【腰高饅頭公】 これをきこしめし につくき九ねんしゆ かはからい以てこのほう より一いくさせんと の給いけれはちう しんいくよもちの かみ【幾代餅守】すゝみいてゝいふ 【左ページへ続く】 やうこはごたんりよなる をんあらせ一まつことの しつふを□しいよ〳〵 むほんにきわまらは さかよせにおしよせ 給ふへしとい□いけれは 大しやうけふもととうし 給いおそはにありける よつやすけそうといふ ものをしててきの やふすうかゝはしめ 給ふ 【右ページ下、すけそう焼きの台詞】 いさいかしこまり たてまつりました さつそくたちこへ ましやう 【この後ろ二行は人物名】 【左ページ左下、幾代餅守の台詞】 ずい  ぶん きをつけめされ 【挿し絵人物の名前】 たんぢうらう せんへい【団十郎煎餅】 大ふつ もち すけそう やき【助惣焼】 いくよ もちのかみ【幾代餅守】   【左ページ本文】 かくてすけそうは 大将のおうせを うけやつこある 平【有平糖】をめしつれ まんくわんしの さくらんほうけん ふつにことよせて酒 かたのやうすをうかゝふ しかるにさけかたのとをり 者みりん酒と云ぼつ とりものすけそうを みそめひとしれす くとく すけそうもてきのやうすを みるてかゝりにもとおもひ いれをいちやつく されはみりんしゆは もちかたと ゑんをくみし ゆへいまに けこの く ち に あふと かや やつこ ある平 は大つう にて みな ふり する【みなふり返る、の意】 【右ページ下、本文続き】 さけなかまのわる者 おにころしのとふ六 かねてみりんしゆに こゝろをかけていたり しか此ていをみて あつくなる けちいま〳〵しい やつらた 【みりん酒の台詞、ある平を見ながら】 アゝ もう とう しやう のふ 【助惣の台詞】 それは ありかたいの 【ある平の台詞】 コリヤ旦那は ちうしや【市川中車】と きているわヱ とふ六は是をみてさん ねんにおもひ大ぜいのこ もかふりをたのみ 助惣みりん酒を ふみつけんと大ぜいを たのみけんくわをしか ける 助惣みりんしゆうまい はなしのさいちう 大せいのこもかふりとも きたり二人を手こ めにしけるところへ 奴ある平一さんに かけきたりこも かふりともを ふみこかし【踏み転かし】のみ くちをきりおとし ける やくにも たゝぬかん たい【緩怠?】めらいて ものみせんと いふなかに これはさと な おたんな 様なさ けて こさり ます もふし 〳〵〳〵 あい た 〳〵〳〵 こもかぶりこも のみぐちをき られみな〳〵 むなしくなる ある平でかした【助惣の台詞】 〳〵〳〵 わたくしらをぶつ【みりん酒の台詞】 たかわりにふみ のめされてよいきみ の とぶ六いまはたまりかね ある平にとつてかゝるをある平 □□【破れ】入をれ□しあとにのこり とふ六をとろた【泥田】へふみこみける されば今にとぶ六はにごりあるなり なんと此ある平が てなみのほどを 思ひしつたか 〳〵 〳〵 どふ六どろたへ ふみこまれ そこら一めんに にごりけるゆへ にごりさけと あだなをつけ られる あい たし【あいたー?】 こゝら がしん ぼう どころ だ 【左ページ、滲み多し】 かくて すけそふ はある平に あとをまかせ みりんしゆをと もない大しやうの ごぜんへいでてきの やうすをちく一( チ)申 あげける まんちう大つうにてみりんしゆを すけそうがやどのつまにくださる むほんにそういなくばそう〳〵 うつたらん【?】でかした〳〵 助そう みりん酒 あ□□□ふ【ありかたふ】 ぞんじ たてまつり まする 【左ページ左上、登場人物名】 まんちう □□て【かくて】さけかたの大 しやう九ねんしゆか たてこもるこなからが【?】 さきかんなべのしろ【燗鍋の城】といふは まへにいづとがはといふ大がを ひかへ左( り)はおとこ山といふ けん山をかたどりやうがい けんこ【要害堅固】のしろなりしかるに てきよりさかよせにきたる をみていづみ川のはし〴〵 ひきていまやおそしと まちいたる もちかたの せんしんてきの やふすをうかゝふ はや〳〵たゝかい たいもんだ ヱイ〳〵 おふ 【左ページ本文、かすれと破れ多し】 よせて【?】やふいやしたり けんまへかぜかるやき【軽焼き?】を はしにわたしてやす〳〵と わたりてきのしろ きわちよく よせけれはしやう ちうにはたまりかね 九ねんしゆが こ□りのしかん しやうちう あわもりの 二人うつていで さん〴〵にふみ ちらしける さればいまにしやうちう あわもり□□きついさけ □□いゝつたへけり かのこもち にげるよりほかは なかりけりあいつがなりはにんぎやうてう【人形町?】のしこみと きている 【右ページ下、登場人物名】 あわもり しやうちう 【左ページ下、大仏餅の台詞】 なむ さん すな たらけに してのけ □□□【破れ】【た、いま?】 〳〵 しい 大ぶつ もち 【右ページ本文、大きな破れとかすれあり】 こゝに□□…… のむねときの□…… □る□□十郎□…… □□□□かつきとうげ にひかへていたりしが このていをみて いつさんに かけきたり そはありける 大ほくをひき ぬきあくさけ めらをさん〴〵に うちゝらす よつてそのひの いくさはごかくの たゝかいなり いでものみせんと いうまゝにありや 〳〵 〳〵 コリヤ 〳〵〳〵〳〵 はや〳〵人にのまれて しまへばよかつたに いくさにでゝ【た】からふみ つけられた これおやだま【おやごま(親駒)?】 しづかにふみ ねへ アゝ つがも ない そりや 〳〵 きたぞ 〳〵 にげろ 〳〵 〳〵 かくてりやう大しやうとみだれて たゝかいければ大つう神これを きゝしらぬふりにもなりがたく此とこ ろへきたり給いりやうじんを取し【り?】しづめ【取り鎮めるなら争いを止めること】 たかいにわぼくをとりむすひける よつて事まろくしてかどのとれたる 人を大つうとは このときよりぞはじ まりける いくさなどゝは やぼらしい ぶんながせ 〳〵〳〵 なんとりやう人このたんざくをみて かならずやしんをおこすへからす また庄兵衛にも二人のこにかとくを わけてあたへなばすへはんしやう ならんかならず うたがう事なかれ ぴイ〳〵でん〳〵と 云所だ 【大つう神が持つ短冊】 しん川は上戸の立た くらばかり すゞき越後をみせよともくら【?】【鈴木越後なら当時の菓子屋】 【一同の台詞】 ありがとふ ぞんじたて まつり ます 【酒樽の枠内】 酒方 けん びし 九年 酒【挿し絵着物に】 【蒸篭の枠内】 餅方 まんぢう【挿し絵着物に】 だんぢう ろう せんべい 【本文、大きな破れあり】 庄兵衛□□□□□のおゝせ ありが□□□□□しんきもに めいじ子ゆへのやみも□し ゆめもいつときにさめにけれはりやう 人□こどもに しんしやうを わけてあたへし かはかぢやう□お こたりなくめで たきはるをむかへ してすへはん じやうに さかへける やれ〳〵ながいゆめ をみたの 五十ぞう【誰?】 くた びれた 〳〵 【庄兵衛のかたわらにある箱、鳥居清長の草双紙のタイトル】 女嬪堂戯