【表題】 《割書:おつま|八郎兵衛》難中(なんじう)時世(ときよ)の近在借家(いなかや) 【本文】 〽世(よ)の中(なか)の、またとあるまひ大騒(おほさわぎ)こん 度(ど)まごつく気(き)苦労(ぐろう)はふゐに往(い)かれ ぬ、縁者(えんしや)でもせ(合わ□)めてくわして いなか家(や)の、こまるといへど、 かりの舎(やど)誰(合 たれ)もお江戸を、跡(あと)に して、へんぴへいそぐ旅心(たびごゝろ)重(おも) き包(つゝみ)をさしになひ 〽コリヤたまりませぬ走(はし)る 人さんどもに往(い)かふとま ご〳〵して、アノ下町(したまち)をでぬ先(さき) は、たとへ日々のらにもでるかくご、 しらぬ遠方(えんぽ)でたゞひとり ひつそりくらすやうになり かなしう思(おも)ふもせかいがら