《割書:浮世|源氏》五十四帖 中 あだにうる 花とは しれど 誰(たれ)もかも まどひ いるらん山の 奥(おく)まで 浮世 げんじ 中之巻 【タイトル】 榊 【女性の台詞】 〽あれおよしあそ ばせお手(て)が よこれます ヱヽもう〳〵 どういたそう いつそよくなつて まいりました そのやうに おいばりあそ ばすほど なら どうぞほん まにあそ ばして 下さいまし アヽもう まいり ます〳〵 ハア〳〵 〳〵〳〵 【男性の台詞】 〽おもいれ だして此 手(て)を よごすほどで なければこつ ちもうれしく ないサア〳〵なま あたゝかいのが手の ひらへながれる〳〵 【タイトル】 花散里 【建物の外の人物の台詞】 〽君(きみ)にはまた あなばつりで だいぶんなて まが とれる この よう す では れいの 二番(にばん)つゞきのむし かへしはじやうぶじや イヤ又(また)あの二階(にかい)の つまおとも わるく ない 【男性の台詞】 〽ほとゝぎすよりめづら しいはそちがものぢやいつも はつものこゝちがするぞ アヽ此(この)しまりかげんは とうもいへぬ〳〵 【女性の台詞】 〽そのように気(き)やすめ ばかりぎよい あそばして わたくしふぜいを ほんのおな ぶりで ござり ませう 【柱第】五十四丁中ノ一 【タイトル、左ページ左上】 須磨 【松の木の影の女性たちの台詞】 〽ヲヤ マア どうせう ひるひなか はじめた そう だ そして蛸(たこ)の あぢが するとき 烏賊(いか)な こつ ても 〽いつそ うらやま しい もう〳〵 どこも かしこも うづ〳〵 して きた わな 【左ページ上、男性の台詞】 〽此(この)浦(うら)けしきを ながめながら 生貝(なまがい)を賞翫(しやうくわん) とはいへぬ 〳〵 【右ページ右下男性の台詞つづき】 しかし蛸(たこ)の味(あぢ)も する サア〳〵 だい ぶん 汐(しほ)が みちて きた アヽどうもこの うらからみる けしきはなん ともかとも たとへ ようの ない ほど いゝぞ 〳〵 【左ページ女性の台詞】 〽アレだれぞ まいると わるふ ござい ます から もうおよし なさいと もうしたう ヱヽどう いたそう スウ〳〵〳〵〳〵 ヲヽいゝ〳〵〳〵 アレいきます〳〵 フウ〜〜〜 【柱題】五十四帖中ノニ 【タイトル】 明石 【男性の台詞】 〽かうした ところを 遠(とほ)くから 見(み)たら 月夜(つきよ) だけに おうま  だと 思(おも)ふで あらふ 【女性の台詞】 〽アヽもう わたしやア どう しやう ねえ どうも〳〵 フウ〳〵〳〵〳〵 【柱題】五十四帖中ノ三 アレ いゝよ【いくよ?】 〳〵 ヲヽヽヽ いゝ〳〵【いく〳〵?】 〳〵〳〵 いんすい 〽どく 〳〵〳〵 ぬら 〳〵 【タイトル】 澪標 【女性の台詞】 〽アレ しづかに しておくれ いつそ こはい やうで はづ かし くつて むねが どき 〳〵 するよ 【男性の台詞】 〽なにさ あんじな さんな それもう あたまが はいり かゝつたから もうちつとだ マア今に みなぬると はいつた こゝろも ちは こたへ られ ねへ ものだ によ 【タイトル】 蓬生 【男性の台詞】 〽実(げ)に蓬生(よもぎふ) の宿(やど)のつま たとへわが 女房(にようぼう)にしろ 他(ひと)の妻(つま)にしろ庭の よもぎのはへなりが 金(かね)でかはれぬうまい ところだきれいに 手(て)いれをした女郎(ぢようろ) よりとかくはへた まゝに 信仰(しんかう)が あついものサ 【女性の台詞】 〽ヱヽもうわるくちだか おせじだかあげるのか さげるのかなんだか わからないよサアよ じつとして いな いで 【柱題】五十四帖中ノ四 【女性の台詞つづき】 ぬくとも 入(い)れるとも しておも いれやら しておく れ アヽそう だよ〳〵 ソレ そこ の ところ を きつく ハア〳〵〳〵〳〵 それ又いくよ アヽいゝよ〳〵 ハア〳〵〳〵〳〵 ゆのようないんすいが 〽どく〳〵〳〵〳〵ぬる〳〵〳〵〳〵 【タイトル】 関屋 【女性の台詞】 〽アレサ そんな いたづらを すると きゝま せんよ 【男性の台詞】 〽きゝま せんと いは ねへで おれの 心いきも ちつ とは きいて くんな アヽ もう こゝ まで てがとゝ いちやア たまら ねへ サア〳〵 ちよつ と 〳〵 【柱題 五十四帖中ノ五】 【タイトル】 絵合 【男性の台詞】 〽マア じつと して いな そこに かいて ある ような 事を して やるから サア〳〵 これは ごうぎに ぬら〳〵 だして ゐるぜ 【女性の台詞】 〽アレサはづ かしいおゝきな こゑを おしで ない よ 【タイトル】 松風 【女性の台詞】 アレ はづ れるはね アヽもう いきそう だから ぐつと おいれ よ 【男性の台詞】 〽おれ が いき そうだ から あ?しら つている のよ おめへが いき かゝつ たら ぐつと 入て一 しよに やらう 【柱題】五十四帖中ノ六 浮世(うきよ)源氏(げんじ)五十四情(ごぢふよしやう)中之巻 榊(さかき) 神垣(かみがき)はしるしの杉(すぎ)もなきものをいかにまがへてをれるさかきぞと野(の)の宮(みや)の辺(ほとり)なる仁木(につき)が仮(かり)のわび住居(ずまゐ)今(いま)は阿古木(あこぎ)も苦界(くがい)をのがれしばしは爰(ここ)に身(み)をよせつこれ より伊勢(いせ)へ下(くだ)るべきこゝろがまへの用意(ようい)もとゝのひ早(はや)出立(しゆつたつ)のその日(ひ)さへひと日(ひ)ふた日(ひ) となりしころ恋(こひ)しき人(ひと)の思(おも)ひもよらず忍(しの)びてこゝに問(とひ)給へば飛立(とびだつ)ほどに思(おも)へ どもあなたこなたの義理(ぎり)合(あい)よりかまへてふたゝびまみへましと一端(いつたん)おもひ切(きり)し 身(み)のなまじ逢(あ)はんもうしろめたくさればとて此(この)まゝにつれなくなさんも本(ほ) 意(ゐ)ならじと心(こゝろ)に問(とひ)こゝろにゆるし逢(あへ)ば恋(こひ)しさいやまさり娘(むすめ)磯名(いそな)のおもはく もまた空衣(からぎぬ)の手(て)まへさへついうち捨(すて)て月(つき)ごろ日(ひ)ごろ思(おも)ひきりてもわすられ ぬ逢(あひ)し夜(よ)すがのうれしきを思(おも)ひ出(だ)すほとじれつたき情所(なさけどころ)へかの君(きみ)の昔(むかし) にかはらぬ大陰茎(をゝまら)を毛際(けぎは)ものこさず入(い)れさせて上(うへ)を下(した)をと好事(このみごと)是(これ) ぞしばしの名残(なごり)の開(ぼゝ)ふたゝび逢(あ)ふまで持(もつ)ようにと腰骨(こしぼね)かぎりこんかぎり おくびの出(で)るほど犯(とぼ)させしは余所(よそ)の見(み)る目(め)もいかならん    花散里(はなちるさと) たちばなの香(か)をなつかしみほとゝぎす花(はな)ちるさとをたつねてぞ。問ふ 恋人(こひびと)のおとづれに心(こゝろ)のうち■嬉(うれ)しさは何(なに)にたとへんものぞなき〽今(いま)おつかひ につかはされました惟吉(これきち)さまがもうおかへりでござりませうマアあちらの屏(びやう) 風(ぶ)のうちでひさりぶりにつもる思(おも)ひのありたけをサアどうそわたくしにも 日頃(ひごろ)心(こゝろ)に思(おも)ふほどはらさせて下(くだ)さりませ〽ハテせわしないアノ惟吉(これきち)も野暮(やぼ)で はない斯(かう)いふ所(ところ)へまいるような心(こゝろ)きかぬ者(もの)なれば常(つね)に供(とも)には連(つれ)ぬわへ左様(さよう) なことに心(こゝろ)をおかずと勤気(つとめぎ)はなれて某(それがし)に誠(まこと)の情(じやう)をうつして為犯(させ)やれ〽アレにくら 【柱題】五十四帖中ノ一 しいわたくしに此様(このよう)に情(じやう)をうつさせてしらぬふりを遊(あそ)ばして左様(さよう)なら此度(こんど)は 上(うへ)へおのり遊(あそ)ばし下(くだ)さいましもいちど情(じやう)をうつします〽イヤ〳〵それより此(この)ような 見(み)はらしのよい所(ところ)では本手(ほんて)よりは曲(きよく)がよひ。折(をり)からのものなれば茶臼(ちやうす)こそ興(けう) あらめとむりに抱上(だきあげ)はじめから女(をんな)にひとつ気(き)をやらせしがなか〳〵陰茎(へのこ)は少(すこ)し もひるまずひときはみごとにおへかへり筋(すぢ)はあらはれぬれ色(いろ)にひかりわたれる 紫色雁高(ししきがんかう)。脈(みやく)うつへのこの上反(うはぞり)を下(した)より開(ぼゝ)におしあてがひ腰(こし)をはりつゝつき 上(あぐ)れはぐすりと音(おと)してそのまゝにぐす〳〵〳〵と根(ね)もとまで毛際(けぎは)ものこらず はいりたり女(をんな)ハアヽと目(め)を細(ほそ)くし歯(は)をくひしばりてムヽ〳〵〳〵さすがつとめの身(み) ながらもなみ〳〵ならぬ大陰茎(おゝまら)の尺八(しやくはち)ほどなる上反(うはぞり)をまらの根(ね)かぎりおしこま れハアともスウとも声(こゑ)さへ出(いで)ず惣身(そうみ)もしびれておぼへもなきほどうつゝのやう になりけるが次第(しだい)にぬきさしされるほど心地(こゝち)よいとも気味(きみ)よいとも能(よく)て〳〵 どうもたまらず尻(しり)をもぢり身(み)をあせり上(うへ)よりひしとしがみつき男(をとこ)の口(くち)へ口摺(くちすり) つけ口(くち)を吸(すう)やら鼻息(はないき)やらいつそわけなき大(おゝ)よがりさいぜんよりつゞけさま四(よつ)ツ(ゝ)五(いつ)ツ(ゝ) 気(き)をやりしが今又(いまゝた)何処(どこ)へあたりしやひときはたぎりし喜悦泣(よがりなき)《割書:ハア〳〵|  フウ〳〵》スウ〳〵とへのこ のあたまへ子宮(こつぼ)の口(くち)すりつけ〳〵がば〳〵と子宮(こつぼ)の奥(おく)より滝鳴(たきなり)して湯(ゆ)のごとくなる 陰水(いんすゐ)をへのこの雁(かり)のてつぺんからかけたかと問(と)ふ開伽(ぼゝとぎ)す日頃(ひごろ)つゝしむ溜淫(ためいん)を一度(いちど)に漏(もら) してづき〳〵とどこもかしこもうづき頃(ごろ)垣(かき)の卯(う)の花(はな)それならで雪(ゆき)と見(み)まがふふ き捨(すて)の閨(ねや)に花(はな)ちる麝香紙(じやかうがみ)橘(たちばな)の香(か)もものかはならんか    須磨(すま) うきめかるいせをのあまも恋(こひ)そめて曳手(ひくて)あまたのかつら男(をとこ)に兼て思ひをこ がしたるよしある人(ひと)のまな娘(むすめ)塩屋(しほや)の煙(けふり)たへまなき心(こゝろ)をそれと汲(くみ)て知(し)る塩(しほ) くむ蜑(あま)のとしまの女(をんな)なかをとりもつ情(なさけ)知(し)り。ともなひつれて能(よき)しほに通(かよ)ふ 千鳥(ちどり)の磯(いそ)づたひいそ繰り返しとしてかの蜑(あま)の粋(すい)な心(こゝろ)を娘気(むすめぎ)に結(むす)ぶの神(かみ)と手(て)を合(あは) せ〽いつの世(よ)にかはこのお礼(れい)〽ハテわつけもない其様(そん)な事(こと)いふているそのひまにち やつと〳〵ト気(き)をせけど逢(あ)へばなか〳〵ことばさへ口(くち)へは出(いで)ぬおぼこ気(ぎ)を。としまはそば 【柱題】五十四帖中□二 でもどかしがりさいわいのアノ岩(いは)の蔭(かげ)日頃(ひごろ)の思ひを思ふさまはらさせておも らいと男(おとこ)の側(そば)へつきやつて〽仲人(なかうど)は宵(よい)のうち床盃(とこさかづき)のお吸(すい)ものモシ蛤(はまぐり)は不塩(ぶゑん)じや ぞへおまへもぬしの生酢(なます)の子(こ)の海鼠(なまこ)がいかにおいしいとてあんまりたんと食過(たべすぎ)まへ ぞへ跡(あと)で腹(はら)が張(はつ)てはならぬとおとけまじりの気(き)さく者(もの)粋(すい)を通(とほ)してはしりゆく男(おとこ) も嬉(うれ)しくそばへより能事(よいこと)には寸善尺魔(すんぜんしやくま)邪(じや)魔のないうちにこそと言葉(ことば)少(すく) なに引寄(ひきよせ)て〽わたしも此地(こゝ)へ来(き)た時(とき)から余処(よそ)ながらおまへの姿を見(み)るたび〳〵 きりやうなら姿(すがた)なら心(こゝろ)だてまで美(うつ)しくあれほとそろふた娘子(むすめご)かまたとふ たりあらうかと思(おも)ひこんだはとうの事(こと)あゝいふ娘(むすめ)に一度(いちど)でも逢(あふ)たらそれ こそ男(おとこ)の本意(ほい)と思へど及(およ)ばぬ霞(かすみ)に千鳥(ちどり)雲(くも)よりけはしはしたなく言(いゝ)よる 事(こと)もならざりしにおまへの方(はう)にもそれほどまで思(おも)ふて下(くだ)さるかこゝろさしわ すれはおかぬうれしやとそのまゝじつといだき〆(しめ)はづかしがる娘(むすめ)の口(くち)へ口(くち)をしつつけ チウ〳〵〳〵口(くち)を吸(すは)れてうれしいやらはづかしいやら上気(じやうき)してどきつく胸(むね)をおし鎮(しづ) め目(め)をねふりてゐるうちにそろ〳〵前(まへ)へ手(て)をさし入(いれ)じつとすぼめし股(また)ぐらもう ちひらけたる須磨(すま)のうらうらの見るめもはつかしと顔(かほ)あかめるをしらぬふり してまづ空割(そらわれ)よりうかゝふにそのはだのやはらかさひたひ口(ぐち)にうつすりとはへ たる薄毛(うすげ)も心(こゝろ)にくゝふつくりしたる上開(しやうかい)のあまりきれいに美(うれ)しければうつ かり見(み)とれていたりしがかくてははてじと指(ゆび)につはつけ割目(われめ)をだん〳〵撫下(なでおろ)し はや出(だ)しかけし淫水(いんすゐ)のぬめりにそろ〳〵指(ゆび)を入(いれ)くぢり廻(まは)せばスウ〳〵ト鼻息(はないき)さ へもはづかしげに上気(じやうき)の顔(かほ)へ袖(そで)をあて男(おとこ)まかせになつてゐるおぼこ娘に 手(て)だれの若(わか)もの場数(ばかず)にいたらぬ生娘(きむすめ)をしつこくいぢればはづかしさにい やがるものと知(し)りながらやわらかき手ざはりのあまりのことのこゝろよさに思(おも) はず知(し)らず秘術(ひじゆつ)をつくすに娘(むすめ)は顔(かほ)を見られるやうではづかしくてたまら ねど惚(ほれ)た男にくぢり廻(まは)され思ひおもひし心(こゝろ)の水(みづ)まだ開中(かいちう)へ本物(ほんもの)も入(い)れ ぬ先(さき)からはやまつてどつくりはづんではしり出(いで)手(て)さきへあぶるゝ溜淫水(ためいんすゐ)ハア〳〵〳〵 トすゝりなき男(おとこ)はたまらず指(ゆび)引(ひき)ぬき其(その)手にぬらつく淫水(いんすゐ)をおへきるへのこ へなすりつけすぐにあてがひ入(いれ)かけるに今(いま)までこがれてさせたい一心(いつしん)さしもの 一物(いちもつ)ぬうぬつトきしみながらも胴(とう)中まで苦(く)もなくはいりしこゝろよさ娘ははじ めて大陰茎(おゝまら)を突込(つゝこま)れてもさいぜんよりくぢりぬかれてもらしたる淫水(いんすゐ)のぬ めりにてあんじたほどにいたみもなくどこともなしに其(その)男(おとこ)がなを可愛(かあい)く なりいつ迄(まで)も斯(かう)したまゝですこしの間(あひだ)もはなれがたなく思(おも)ふなるべし男(おとこ) はそろ〳〵小(こ)きざみよりだん〳〵しげく抜(ぬき)さしして八深九浅(はつしんくせん)しづやかに秘術(ひじゆつ)を 尽(つく)しておこなふほとに開中(かいちう)一(いち)めん陰茎(へのこ)に吸付(すいつき)ぬきあげるたびずぼ〳〵トへの こをしごくしまりかげんは印籠(いんらう)の工合(ぐあい)に似(に)て無量(むりやう)のあじはひ古今(こゝん)の上開(じやうかい) もしくは世上(せじやう)に賞美(しやうひ)する明石蛸(あかしたこ)とは此(この)事(こと)ならんかそれはともあれかくもあれ 男(おとこ)はあまりのこゝろよさに三(みつ)ツまでむかへし娘(むすめ)も五六度(ごろくど)気(き)をやつてはじめて おぼへし陰茎(へのこ)の味(あぢ)に人目(ひとめ)もさらにいとはぬほど引〆(ひきしめ)しめ寄(よせ)余念(よねん)なく逢(あふ)て 思(おも)ひのますかゞみうつす心(こゝろ)の水(みづ)もらさじとかたみに結(むす)ぶ言(こと)の葉(は)によろこびいさむ 笑(ゑみ)の眉(まゆ)たがひの胸(むね)もはれわたるのどけき春(はる)の浦景色(うらげしき)つきぬ契(ちぎり)そたのしけれ         明石(あかし) 秋(あき)の夜(よ)の月毛(つきげ)の駒(こま)のそれならで雲井(くもゐ)を恋(こ)ふる煩悩(ぼんのう)をとゞめかねたる心(こゝろ) の駒(こま)忍(しの)びてかよふ枝折(しをり)の外(そと)思(おも)ひがけなき恋人(こひひと)はいのりし神(かみ)の引合(ひきあは)せト嬉(うれ)し さあまりてぶる〳〵トふるうばかりの心(こゝろ)をしつめ娘(むすめ)の側(そば)へそつと寄り〽ヲヤ〳〵 わたくしはお鳥(とり)どんかと思(おも)ひましたらもう亥刻前(よつまへ)でございませうにおひ とりで此(この)ような所(ところ)に何(なに)をしておいでなさいます〽ヲヤどなたかと存(ぞんし)たらヲホヽヽ アノわたくしはあんまり今夜(こんや)の月(つき)かおさへなさつたのでついうかれて庭(には)づたいに出(で) て見(み)ましたのさ〽ほんにま事(こと)によくさへましたが此(この)月(つき)に引(ひき)かへてとかくわたしの 胸(むね)はくもりがちさへる間(ま)とではございません人(ひと)をたのんでよう〳〵ト送(おく)りし雁(かり) の玉章(たまづさ)もそれなりけりの片(かた)だよりト聞(きい)て娘(むすめ)はあと先(さき)見廻(みまは)し〽其(その)おへんじ に人目(ひとめ)を忍(しの)び月(つき)にかこつけさいぜんからトそつとわたせし返事(へんじ)の上書(うわがき)おなじ 思(おも)ひにこがるゝ身(み)よりと書(かき)しは上出来(じやうでき)あんじるよりうむをいわさず枝折戸(しをりと)の 柱(はしら)に娘(むすめ)を寄(よせ)かけて〽中(なか)の文体(ぶんてい)見(み)るにおよばし同(おな)じ思(おも)ひにこがるゝとは此(この)身(み)にとり て嬉(うれ)しいともかたじけないとも何(なん)ともかともいふにいわれぬおこゝろいき筈(ぜん)はいそ げ人(ひと)のこぬうちサア一寸(ちよつと)ト心(こゝろ)せくまゝ立(たち)ながら枝折戸(しをりど)小(こ)だてにいだき付(つき)口(くち)ト 口(くち)チウ〳〵〳〵ト吸(すひ)ながら是(これ)ではどうも勝手(かつて)がわるいトうしろより裾(すそ)引(ひき)まくつて あてがふ一物(いちもつ)。娘(むすめ)も承知(しやうち)の受腰(うけごし)は人(ひと)もや来(こ)んと気(き)のせくまゝはづかしい場(ば)は うちすてゝはやく〳〵トいわぬはかり男(おとこ)は豊年(ほうねん)秋(あき)の夜(よ)の月毛(つきげ)の馬(うま)をもあざ むく大陰茎(おゝまら)おやすませしそのさまはさもおそろしきありさまなるをつばき ものして入(いれ)かけるに娘(むすめ)は開(ぼゝ)がさけるほど痛(いた)さにたへかね手(て)をやつてさぐつて見(み) れはこはいかに擂子木(すりこぎ)ほどの一物(いちもつ)にびつくりせしが今(いま)さらに迯(にげ)るにも迯ら れずどうしたものと思案(しあん)のうち男(おとこ)はさま〴〵気(き)をもみぬき我手(わがて)ににぎつて 穴(あな)の口(くち)入(い)れん〳〵とあせるうちつい門口(かどぐち)でどく〳〵ト気(き)をやる淫水(いんすい)玉門(ぎよくもん)にあ ぶるゝぬめりに嬉(うれ)しくもさすがの大物(たいぶつ)ぬら〳〵ト半分(はんぶん)ばかりはいりしかは娘(むすめ)は ハアト一生(いつしやう)けんめい枝折(しをり)の柱(はしら)へしがみ付(つき)いたさをこらへてうけかねるを男(おとこ)は今(いま)ぞ大(だい) 願成就(ぐわんじやうじゆ)ト秘術(ひじゆつ)をつくしておこなふほどに娘(むすめ)もしだいに鼻(はな)いきあらくたがい に出(だ)したるいんすゐに今(いま)はいたさに引(ひき)かへてむしやうにどく〳〵気(き)がいけば男(おとこ)も爰(こゝ) ぞと精心(せいしん)こめくも手(で)かくなわ十文字(じふもんじ)くもゐをかけれ早腰(はやごし)に日頃(ひごろ)の本望(ほんもう)今(いま) こそと血気(けつき)の早(はや)わざときの間(ま)に四五丁(しごてう)つゞけし駒(こま)の白泡(しらあは)女(おんな)も男(おとこ)もフウ〳〵スウ〳〵 折(をり)しもわたる逢夜(あふよ)の雁(かり)よがりぬいたる互(たがひ)の喜悦(きえつ)実(げ)にも明石(あかし)の浦山(うらやま)しと やいはん        澪漂(みをづくし) かずならでなにはのこともかひなきに何(なに)みをつくしいつしかに思(おも)ひそめたる惚(ほれ) たどちつい馴染(なれそめ)しむつごとにたがひの胸(むね)もすみよしの四所(ししよ)のおまへの逢瀬(あふせ)さへ あきぬつらさをわすれぐさ〽わしや此様(こん)な所(とこ)ではいやじやへ〽ハテだんなは誰(たれ)も来(く) る事(こつ)ちやないわしも浪花(なには)生れのちやき〳〵ぢや今日(けふ)一日(いちにち)は爰(こゝ)のさびし事(こと) 承知(しやうち)でそもじをさそふて連立(つれだつ)て来(き)たも此たのしみ仕(し)ようばかりぢやマアち やつと爰(こゝ)へもたれたがよい〽此(この)反橋(そりはし)へかいな〽そうぢや。まそつと前をひろげいな 〽そぢやてゝわしやはつかしい〽ハテ誰(たれ)も見(み)るものはありやせんがトそりはしへよ せかけて娘(むすめ)の前(まへ)をぐつとまくりあげ割込(わりこみ)ながら其(その)身(み)も前を引(ひき)まくりふん どしをはづしておへきつた一 物(もつ)をぴんといだし棹(さほ)を握(にぎ)つてへのこのあたまへつば きをこて〳〵ぬり廻(まは)し其(その)まゝぬつと入かけてすり〳〵とやりかけるに娘も初(はつ) の事ではなし下(した)からもじ〳〵持上(もちあげ)〳〵目をぬぶりスウ〳〵〳〵ト鼻息(はないき)せはしくアヽ もうじきにいくわいな〽アせわしないまそつとこらへて一 所(しよ)にやりイな〽そぢやてゝ アヽ〳〵どうもならんフウ〳〵〳〵アヽつい行(い)たわいな〽もうやつたかいな。のつけからゑらう 出(だ)したさかいぐしや〳〵していつこやくたいぢや〽うそいゝなはづかしい〽ヤそうかういふ うちコリヤわしもたまらんアヽスウ〳〵〳〵〳〵ハア〳〵〳〵ト男(おとこ)はしきりに腰(こし)をはやめすり〳〵 すり〳〵ずぼ〳〵ぐちや〳〵ずぼり〳〵と八深九浅(はつしんきうせん)惣身(そうみ)の力(ちから)をへのこに入上(いれあげ)精(せい) 心(しん)こらしてつき立(たて)れば娘(むすめ)はいつそ夢中(むちう)のごとくよがりぬいたる喜悦(きえつ)の鼻(はな)いき 身(み)を反(そり)かへりそり橋(はし)へ穴(あな)も明(あけ)べきありさまに尻(しり)を廻(まは)して橋板(はしいた)をゑぐるが如(ごと)く 身(み)をもみてどく〳〵ぬら〳〵気(き)をやりづめ男(おとこ)もすでにゆくべきをこらへるうちの その気味(きみ)あいどうともかうともいわれぬ美(うま)味さへのこははりきりしびれる ばかり今(いま)ははや男(おとこ)も女(おんな)もたもちかねこらへ〳〵し淫水(いんすゐ)が一時(いちど)にへのこへ突(つゝ)かけ来(きた)り鈴口(すゞぐち) せましと走(はし)り出(いだ)しつう〳〵つう〳〵どつくどくどつく〳〵ト淫水(いんすゐ)つくし。身(み)をつくし たるやりくりは岸(きし)に生(おふ)てふ姫小松(ひめこまつ)いく代(よ)へのこや淫水(いんすゐ)の青(あを)ひと臭(ぐさ)のたへせぬ ためし神(かみ)もみゆるし給ふらん         蓬生(よもぎふ) たづねてもわれこそとはめ道(みち)もなく生(お)ひしだりたる蓬(よもぎ)の宿(やど)は鐘(かね)も聞(きこ) ず鶏(とり)も無(なく)ふたり寝(ぬ)るゝ夜(よ)のかくれ家(が)にや常(つね)には人(ひと)げも稀々(まれ〳〵)なる受地辺(うけぢあたり)の 下(した)ゆきは世(よ)のなりわひのことしげきうきをなぐさむ遊山(ゆさん)場所(ばしよ)ことにこの程(ほど)妻(つま)を むかへまだめづらしき内(うち)ながら物堅(ものがた)き両親(りやうしん)のひとつ座敷(ざしき)に卧(ふし)ければよく〳〵 よい間(ま)に女房(にようぼう)の夜着(よき)へはい込(こみ)こそ〳〵トすましてしまふばかりにて思(おも)ふよう には睦言(むつごと)もならぬ所(とこ)から思(おも)ひつき先(せん)の隠居(いんきよ)が求置(もとめおき)たる受地(うけぢ)の地面(ぢめん)の隠居(いんきよ) 所(じよ)を建(たち)ぐらさしにして置(おき)しが是(これ)さいわひの事(こと)なりと月(つき)のうちに二三度(にさんど)づゝ 保養(ほよう)と号(ごう)して夫婦(ふうふ)づれこの下ゆきの水入(みづい)らず日頃(ひごろ)のうさの捨(すて)どころ律義(りちぎ) ものゝ下男(げなん)の佐助(さすけ)がいつもきまりで前日(ぜんじつ)より掃除(そうじ)ばんたん煮焚(にたき)の世話(せわ)つかひ 早間(はやま)の調法者(てうほうもの)今日(けふ)は其(その)日(ひ)と夫婦(ふうふ)づれ朝(あさ)から此処(こゝ)へ来(く)るわいな佐助(さすけ)に言(いゝ) 付(つけ)まづ武(む)さしやへ色々(いろ〳〵)と酒(さけ)肴(さかな)の注文(ちうもん)其ついでに長命寺(ちやうめいじ)前(まへ)の山本屋(やまもとや)の桜(さくら) 餅(もち)いつもの程(ほど)籠(かご)に入(いれ)させお袋(ふくろ)へ鼻薬(はなぐすり)に持(もつ)て行(ゆき)そして貴(き)さまは明日(あす)の夕(ゆふ)がた 爰(こゝ)へむかひに来(く)れはそれでよいはト別(べつ)に金弐朱(なんいち)はづみ是(これ)でどこぞて一盃(いつぱい)呑(のん) で行(ゆく)がよいト佐助(さすけ)をもよろこはせ出(いだ)しやりしあとにはふうふのさしむかひ〽サア直(すぐ)に はじめやう〽いかなこつてもまだ朝(あさ)ツはらでございますはねそして今(いま)こゝへまいつた ばかりでなんぼなんでもヲホヽヽヽヽ〽ハテ爰(こゝ)にやア誰(だれ)も遠慮(えんりよ)なものはなし気(き)まゝに 交(し)ようためにくる所(ところ)だあさつぱらでも下(した)ツ腹(ぱら)でもさし合(あい)なしだマアなんにしろ 爰(こゝ)まで歩行(あるい)てねれた処(ところ)が賞翫(しやうくわん)だトいきなりにおしこかし女房(にようぼ)のまたぐらへ手(て) を入(い)れくぢりかければはや出(だ)しかけてぬる〳〵ぬら〳〵〽こんなに出(で)しているくせにが まんな女(をんな)だ〽それだと申て男(おとこ)のようになんぼ夫婦(ふうふ)の中(なか)でもそんな事(こと)が口(くち)へ出(だ) されますものかね〽口(くち)へ出(だ)されねへかわりに下(した)の口(くち)へこんなに出(だ)すのかそこで女(をんな)といふ ものはつみがふかいといつたもんたらうトいひながらむしやうにくぢり廻(まは)はす〽アヽモウ フン〳〵〳〵そんな事(こと)をなさるくらゐならとうにどうかなさいまし〽それでも 朝(あさ)ツぱらからなんぼ何(なん)でもといつたじやアねへか〽エヽもう人(ひと)ぢらしなト男(おとこ)の股(また)へ 手(て)を入(いれ)へのこをにぎれば木(き)のごとくにおやしている〽それおまいさんこそこんなにして おいでなさるくせにトしめつゆるめつにぎられて男(おとこ)はたまらず〽アヽモウこたへられ ねへトいみわれそうになつたやつをすつぱりのぞませぬつトいれすり〳〵とお こなへば女房(にようぼ)は下(した)からしがみつき開(ぼゝ)の宿(やど)おり天井(てんじやう)ぬけハア〳〵スウ〳〵遠慮(ゑんりよ)なく 気(き)をやりづめの大(おゝ)よがり男(おとこ)は精根(せいこん)つゞくたけト其日(そのひ)一日(いちにち)その晩(ばん)も夜中(よぢう)女房(にようぼ)を よがらせぬきあくる日(ひ)のむかひ開(ぼゝ)夕方(ゆうがた)までの入(いれ)びたしはまけずおとらぬ好者(すきしや) なりかし        関屋(せきや) 逢坂(あふさか)や人目(ひとめ)の関(せき)をうち越(こへ)て忍(しの)び逢(あ)ふ身(み)のうれしさにつもる思(おも)ひの数々(かず〳〵) も先(まづ)さしあたるはかの一義(いちぎ)はなしのうちよりくぢりかけ入(いれ)ぬさきから気を やらせぬらつく所(ところ)へつばきもつけずかりくびのぞませ一(ひと)ト押(おし)おせばすこしきしん でぶり〴〵ト雁下(かりした)五六分(ころくぶ)はいるやいな娘(むすめ)はスウ〳〵フウ〳〵ト男(おとこ)にしつかりしがみつ き腰(こし)をもじ〴〵するうちにぬるり〳〵ト奥(おく)ふかく子宮(こつぼ)にとゞくこゝろよさ〽なん だかいつかの時(とき)よりおまいのものが大(おゝ)きくなつたようでフウ〳〵アヽどうもよくつて よくつてアヽもういくよ〳〵ハア〳〵〳〵トたちまちにどくり〳〵ト気(き)をやれど男(おとこ)はちつ ともびくともせずすり〳〵ト半時(はんとき)ばかりぬかずふかずのおへづめに娘(むすめ)はたまら ず気(き)をやりづめ〽アヽもうわたしはこんなに出(で)るのおまいは何(なん)ともないのかへ〽わた しもいゝ事(こと)はいゝが気(き)のいかないまじないをしてきたからさ〽長命丸(ちやうめいぐわん)とやらでもお付(つけ) ぢやアないかへ〽よくお当(あて)だ〽ヲヤいやだねへ〽いやならもうよそうか〽アレサその事(こと) ぢやアない長命丸(ちやうめいぐわん)とやらがきみがわるいからそれで〳〵アヽモウぢれつたいフウ〳〵 ソレまたいゝわねへハア〳〵〳〵〳〵〽きみがわるいのぢやアない気味(きみ)がいゝからそんなに気(き) がいゝのだらう〽エヽモしらないよウ。プン〳〵〳〵〳〵          絵合(ゑあはせ) うきめ見(み)しそのをりよりもけふはまた過(すき)にしことにこりづまにまだ小娘(こむすめ)の水揚(みづあげ)を いつかは〆(しめ)んと心(こゝろ)がけつけつ廻(まは)しつ口説(くとき)よるは花壇(くわだん)のもとの猫(ねこ)なで声(ごゑ)むつるゝ小蝶(こてふ) をわんぐりと。してやらんとするどら猫(ねこ)ならで此(この)近所(きんじよ)なる道楽息子(どらむすこ)〽此 間(あひだ)お まいのお尻(しり)をわたしがつめりもしないものをつめつたのなんのといつて大(おゝ)ぜいのなかで わたしによく恥(はぢ)をかゝせたねそのいしゆがへしはソレかうだト娘の尻(しり)をぴしやりトたゝく 〽アヽ痛(いたい)わつちやアいやだよ此(この)間(あひだ)もつめつてどうするか見ろト男(おとこ)をつかまへ脊中(せなか)を ぴしや〳〵打(たゝ)く〽アヽあやまつた〳〵もうかんにんしなそのかわりいゝものをやるから〽ソレよ はむしのくせに〽能物(いゝもの)をやらうか〽いらないよまた人(ひと)をだまそうと思つて〽ナニだ ますのぢやアねへこんなもんだト十二組(じうにくみ)のわらひ画(ゑ)のたとうを懐(ふところ)から一寸(ちよつと)出(だ)しかけ て見(み)せる〽ヲヤきれいだちよつと〳〵お見せ〽マアやるから爰(こゝ)を放(はなし)なトちよいとなげ てやる娘はたとうをひらいて見ると男(おとこ)と女とさもよさそうにやらかしている絵(ゑ) なればすこし顔(かを)をあかくして〽いやだよわつちやアこんなものは入らないよ〽マア一寸(ちよつと) 見ねへなうまいぢやアねへか此(この)娘(むすめ)はてうどおめへのようだぜトだん〳〵下(した)のを出(だ)して 見せるに娘 心(ごゝろ)に恥(はづ)かしいのがいつぱいゆへ顔(かほ)を真赤(まつか)にして迯出(にげだ)しそうな所(ところ)かなか なか今時(いまどき)の小娘(こむすめ)にそんな晩稲(おくて)はなし〽いやだねへ此様(こんな)ものははやく持(もつ)ておいでト云(いゝ)ながら 見(み)ぬふりをしてしきりに見たがる淫好(すけべい)。男(おとこ)は斯(かう)なくてはならぬ筈(はづ)と色々(いろ〳〵)と絵(ゑ) 説(とき)をしながら娘(むすめ)にすりつく娘も見入(みいり)てすこし鼻息(はないき)がせわしくなる所(ところ)をかんがへ そろ〳〵手を入(い)るに〽アレいやだよおよしなト言(いひ)なから迯(にげ)もせぬはどんなものかさせて 見たい気(き)もあると見えたり男はかまわずさぐつて見るにまだ毛(け)もはへぬ玉門(ぎよくもん)から ぬら〳〵ト出(だ)しているゆへすぐに指(ゆび)をぬつと入(い)れそろ〳〵くぢるに娘はもはや色気(いろけ) たつぷり大(おゝ)きな声(こゑ)もせず〽アレおよしよ〳〵〽マアいゝわなトおしあい〳〵とう〳〵わり込(こみ) すつぱり新開(あらばち)を割(わり)おかせふたりはホツト溜息(ためいき)〽(娘)にくらしいよ        松風(まつかぜ) 身(み)をかへてひとりかへれる故郷(ふるさと)に聞(きゝ)しに似(に)たる砧(きぬた)の音(おと)はむかしなじみの新家(しんや)の娘 いも見ざる間(ま)にげんぶくして好(この)もしざかりの愛敬者(あいけうもの)〽ヲヤマア久(ひさ)しぶりで今(いま)おかへりかいな もう〳〵おまへの内(うち)の女房(にようぼ)さんが明(あけ)ても暮(くれ)てもおまへの事(こと)ばかり待(まち)こがれてじや早(はや)う いんで顔(かほ)見(み)せて嬉(うれ)しからせてあげたがよいわいな〽わしは又(また)嗅(かゝ)の事(こと)よりそもじの事 ばかり思(おも)ふて居(ゐ)たがさだめし今(いま)では能(よい)亭主(をとこ)もつて中(なか)むつましうしてわしが事(こと)な ぞは思ひ出(だ)してもくれはせまい〽なにいふてじやいな恥(はづ)かし事じやがわたしが十五(じふご)の 歳(とし)にはじめておまいに新開任(おそわつた)のぢやもの其(その)時(とき)の事(こと)わすれるものじやないわいな 〽イヤどうかしれぬわへわすれたかわすれんか一寸(ちよつと)浚(さらつ)て見(み)ちやどうじや〽どうなと 〽しかしそもじの御亭主(ごてさん)に見(み)つかつちやわるい〽いゝゑいな今日(けふ)は遠方(ゑんはう)へやとはれて 行(いん)でぢやゆへ明日(あす)でなければ戻(もどり)はせぬわいな〽そりやうまい。さいわひ爰(こゝ)は人(ひと)もなし 帰国(きこく)早々(さう〳〵)間男(まおとこ)もめづらしい久(ひさ)しぶりでこりやたまらぬト女の前(まへ)へ手(て)を入(いれ)くぢりか け〽大(だい)ぶん広(ひろ)うなつたようぢや〽にくて口(ぐち)いふてかいなおまへ江戸(えど)さんがいへ行(い)てあく 所(しよ)ぐるいしてへりはせぬかへトへのこをさぐりじつと握(にき)り〽けつく前より大(おゝ)きうなつたな 〽故郷(こきやう)へ土産(みやげ)にすこやかに育(そだて)あげたつもりじや〽女房(おうち)さんにかへな〽なんのいそもじに 〽嘘(うそ)や〽うそかほんか此(この)勢(いきほ)ひ見さんせトくぢりぬいた開(ぼゝ)へあてがい一度(いちど)にぬつト根 まで入(いれ)れば女(をんな)ハアヽヽヽトしがみつき〽久(ひさ)しぶりアヽよいわいな〽毎晩(まいばん)亭主(ていしゆ)にさせるで めづらし事(こと)もあるまい〽又(また)かいなもと木(き)にまさるうら木(き)なしじやわいなソレみなさ れよいと思(おも)へばこそもうゆくわいハア〳〵〳〵アヽこんなに〳〵ヘエヽヽもうよくて〳〵ならん わいな〽そもじのものが此(この)ようによい味(あぢ)ぢやものわしもわすれた事(こと)はないアヽどう もどうもアヽいく〳〵〳〵〽ハア〳〵〳〵〳〵スウ〳〵ウヽヽヽヽいく〳〵わたしももう〳〵いきつゞけでアヽ又(また) いゝ〳〵〳〵ト開(ぼゝ)の奥(おく)から湯(ゆ)のやうな淫水(いんすゐ)がへのこのあたまへどく〳〵〳〵男(おとこ)もハア〳〵スウ〳〵 ト遣(や)つてもなへぬ腎張(じんばり)陰茎(まら)ずぼり〳〵ト大(おゝ)ごしに奥(おく)から口(くち)までこすりたて子宮(こつぼ) をまとにつきこくれば女(をんな)はハア〳〵スウ〳〵トむしろの上(うへ)をもちまはりはめをはづした 大(おゝ)よがり淫水(いんすゐ)あぶれてどこもかもぬら〳〵ぬる〳〵どろ〳〵〳〵ふたりが喜悦(よがり)の鼻(はな) 息(いき)はふきすさびたる松風(まつかぜ)の音(おと)にもましてすさまじき