【タイトル】 三国大一山の図 【右図右上枠内下】 絶頂(ぜつてう)より北の方西の方と 見る所 釈迦(しやか)割石(わりいし)より甲州(かうしう) 身延山(みのぶさん)は酉の五分に見へる 飛州(ひしう)乗鞍(のりぐら)ヶ嶽(たけ)は酉の九分に 見へる信州(しんしう)諏訪(すは)の湖(うみ)は 亥ノ刻に見へる勢至(せいし)ヶ窪(くぼ) より駿州(すんしう)沼津(ぬまづ)の駅(ゑき)は巳ノ 八分に見へる豆州(づしう)下田(しもだ)の湊(みなと) は丑の六分に見へる同(おなじ)大嶋(おふしま)は 丑の正中に見へる天城山(あまぎやま)は 巳の五分に見へる観音(くわんおん)ヶ嶽(たけ) より相州(そうしう)江(え)の嶋(しま)は卯ノ二分に 見へる胎内(たいない)は北ノ方 裾野(すその) にあり白糸(しらいと)の滝(たき)は西ノ方 裾(すそ) にあり此図(このづ)は五合目(ごがふめ)より 北の方 登山(とさん)の景(けい)なり 【タイトルなし】 【右図はコマ一の左図に同じ】 【左図左上】 ふじの山登りて 見れば何もなしよしも あしきも我こゝろなり