平仮名ゑ入新聞 十九号        モリ本 時次郎といふ車引がミお【を】なげんとせしところおまわりに つかまりどういふわけとぎんミをしたら全ハ 女にて元甲府きんばん水上忠左衛門といふ人の 娘おゑいとてがゝいの時わかれ〳〵ニ成 何卒親兄弟にめぐりあいたい といふてしよせん女でハかなわぬと 前がミをそり こぼち 男の姿ニ なり かんなん せしとぞ                周重【歌川周重】筆 平仮名ゑ入新聞 廿号          モリ本 橋場 総泉寺ハ 今度まいそう地ニ 成に付古く有池を埋 立るのだが竜がいるとか ぬしがすむとかいつて おそれている 中からつよい ものがでて きてどん〳〵 掘ていると池の中から 六尺余りの鯰が 飛出した                周重筆 平仮名ゑ入新聞 廿一号         モリ本 朝須田村の伊藤庄八の女房女の 五人づれにて同所かねヶふちへ 草苅ニ行けるがくさの 中より壱丈余りの うハばみがぬる〳〵出たゆへ みな〳〵 おどろきかま をぶつけて にげはしる              周重筆 平仮名ゑ入新聞 廿二号        モリ本 出雲の国島根郡かぢ丁に 伊藤辰太郎の母 中風の長わづらい 辰太郎古今 孝心ものニて かん□□食事ハ □□【「去迚」カ】色【?】目ハ たのしミおさせんと四季おり〳〵の 花をもとめ母おなくさめる こと拾二年ごしついに おかミからごほふびを たぶん給りました           周重筆 平仮名ゑ入新聞 廿三号        モリ本    周重筆 武州川越町中村氏の 後家さまハよせのふし穴から まいよ〳〵のぞいていく 中入から半せんニていつも〳〵はいてくるが ある夜ふしあなにすミのぬつて有のを しらずのぞき中入過てはいつたが 高座のだいより此後家の かほがおもしろく 大わらい〳〵 平仮名ゑ入新聞 廿四号        モリ本 浜丁にすむ安野政幸ハ 十と二ヶ月なるが 久松かく校【久松学校、小学校】で 修行すること ほかのこども ハ 中〻 およ ばず 正幸の 父七十郎ハ 天朝の為に討死なし 其つまおふさハてひとつで 此子をおしへき【尽く?】し 子ハ又親へ孝行 なしくらい うちから おきてにたきお なしかく校へ 行ますが めづらしい 事てごさい□