名石千歳刎(めいせきせんざいはね)《割書:男之助|せりふ》 あゝらあやしやな今(いま)荒石要之助照火出(あらいしかなめのすけてるひで)高天(たかま)が 原(はら)の集会(しうくわい)によつて出雲(いづも)の社(やしろ)へ旅立(たびだち)の 留主(るす)にゆるんだ大石(たいせき)の常陸(ひたち)をぬけて 大江戸(おほゑど)の家(いへ)蔵(くら)震(ふる)とはいさしらず 噂(うはさ)を聞(きく)と途中(とちう)から取(とつ)てかへして 丁度(てうど)能(よく)どふしたひやう りの兵丹(ひやうたん)めうぬも 只(ただ)の瓢(ひさご)ぢやあ あるめへ此後(このご)に地(ぢ) 震(しん)もあらがねの土(つち)に 根生(ねをひ)の要石(かなめいし)動かぬ 御代(みよ)の万歳楽(まんざいらく)此(この)銕槌(てつつい)を 喰(くら)はぬ内(うち)きり〳〵神国(このち)を立去(たちさ)れえ