【一段目右から】  平のかねもり 下田をきゆら れにけりなおろしや ぶね みなよひ きみと 人のいふまで  けん徳公 あはれともいふべき とこは三嶋じく 家がつぶれて こまるべきかな  中なごんかね平 みなはらへたをれ いるのをなが むればわが ていしをば こひしかるらん  大弐の三み ありま山火 のみのうへは ひどかろふたつた ひとりでこはいめをする  左京の大夫みち政 今はたゞをう らいたへてはる より一人たちと とふすよしも かな うみのおとたへて 久しくなり ぬればまた つなみかと人は にげけり  大なこんきんとう   藤原清すけあそん なきながら ていしは 二どの大 ししん湯もとよりも 畑がかなしい  源のむねゆき 山ざとはゆるぞ 久しくかぎり なく人もその 身もしすとおもへば 【二段目右から】  かんけ 此たびは大工 しやかんはかねの山 もちばのしごと きうのまに〳〵  西行ほうし なげきつゝ神や ほとけをいのりても こういふときは きかぬものかな  文やのやすひで ゆるからに秋はの 町もしをれて 山も地しんと 人はいふらん  清正なごん 夜をふけて 鳥のなくまで 子ぞうさんどうぐの ばんはきつとゆるさじ  中なごん行平 たちいでゝにけ ゆくとこは山の うへをちつく時は またかへりこん  さきの大僧正きやうそん もろともに あはれと おもへ大地 しんやふよりほかに ゐるとこはなし  かはらの左大じん 道なかへたをれ ふしたる大 じしん地こそ ひらいてわれ ならなくに  みぶのたゞみね ありがたき つゞく天下 のおひざもと 水屋のとよで江 戸はけがなし 【三段目右から】  そぜいほうし 今に又いると おもふて人々が したくこそして まちゐづるかな  しゆ徳いん せをはやく岩で くだけしひがき ぶねもふこれからは のらんとぞおもふ  藤原よしたか きみがため おしからざりし 命でも此 じしんでは にげにけるかな  右大じんみちつなのはゝ なげきつゝ役者は みんなやすみゐる いかに久しき ものとかはしる  三じやうのう大じん なにしおふ ふた子の山も あれぬればいしが ころげてくる よしもがな  やうせいゐん つりがねもうへ よりをつる 大地しんおとぞ ひゞきてみゝへなりぬる  大江の千さと いりぬればひゞに 心もかなしけり わが身ひとりの 事にはあらねど  じゆん徳いん もゝ引や古き じばんでかけ いだしあまりに つよきじしん なりける