【表紙】 【題箋】 《割書:民家|日用》広益秘事大全一.目録・巻上ノ一 【扉】 【題箋】 《割書:民家|日用》広益秘事大全 一 【右丁】 《題:広益秘事大全》【四角囲み】 【赤角印 帝國圖書館】 【赤丸印 帝圖 昭和十五・一一・二八・購入】 予(よ)諸国(しよこく)を遊歴(ゆうれき)して見聞(けんもん)するに海浜(かいひん)に属(つき)たる所(ところ)は魚(ぎよ) 塩(えん)の利(り)廻船(くわいせん)の交易(かうえき)などを業(げふ)として万(よろづ)便利(べんり)なる故(ゆゑ)に自(おのづ) から富饒(ふによう)にて貧民(ひんみん)といへども大概(おほかた)衣食(いしよく)に乏(とぼ)しからず 此(これ)に反(はん)して山村(さんそん)の僻地(へきち)には産出(なりいづ)る物(もの)も少(すくな)く且(かつ)運送(うんそう)の便(たより) わろきまゝに何事(なにごと)も困乏(こんぼう)にして甚(はなはだ)しきは飢寒(きかん)に堪(たへ)ざる類(たぐひ) 多(おほ)しそのうへ人家(じんか)間遠(まどほ)にて比隣(ひりん)相救(あひすく)ふべき由(よし)もなき所(ところ) 【左丁】 【上余白印 特1 206】           【赤角印 白井光】 などには古来(むかし)より世間(せけん)に流行(りうかう)せる事などをも曽(かつ)て 知(しら)ず質朴愚昧(しつぼくぐまい)にして憐(あはれ)むべき事(こと)どもあり海島(かいとう)僻遠(へきえん) の地(ち)も亦(また)これに准(なぞら)ふべしさる所々(ところ〴〵)にては偶(たま〳〵)大益(たいえき)ある物あれども 製(せい)すべき法(ほう)を知(しら)ず食(くら)ふべき物も調理(てうり)の術(じゆつ)を知(しら)ずして徒(いたづら)に 過(すぐ)る事/多(おほ)く又(また)医師(いし)なども拙陋(せつろう)なる上に甚(はなはだ)稀(まれ)にて急患(きふくわん)を 救(すく)ふに便(たより)なく或(あるひ)は養生(やうじやう)の術(じゆつ)踈略(そりやく)にて非命(ひめい)に死(し)する類(たぐひ)も有(あり) またさる愚蒙(ぐもう)を誑(たぶら)かして奸僧(かんそう)妖巫(ようぶ)の徒(と)漫(みだり)に奇怪(きくわい)を唱(とな)へ て物(もの)を貧(むさぼ)る習俗(ならはし)などもあり惣(すべ)て慨嘆(がいたん)すべき光景(ありさま)なるに つきていかでさるべき事どもを教(をし)へて日用(にちよう)の急(きふ)を救(すく)ふ事(こと)も がなと思(おも)ふ折節(おりふし)墨香居(ぼくかうきよ)の主人(あるじ)云々(しか〴〵)の雑書(ざつしよ)を編(あみ)て刊行(かんかう) せんと相議(あひはか)る其趣(そのおもむき)予(よ)が予考(あらかしめかんがふ)る所に同(おな)じければ門人(もんじん)等(ら)に筆(ふで)を把(とら) 【右丁】 しめて先(まづ)其(その)用(よう)ある事を諸書(しよ〳〵)の中(うち)より抄出(せうしゆつ)せしめてかく乱雑(みだりがは) しき冊(ふみ)となしぬ抑(そも〳〵)雑書(ざつしよ)と称(しやう)する物/世(よ)に多(おほ)しといへども大抵(たいてい)無(む) 益(えき)の事を記(しる)して多(おほ)くは成得(なしえ)がたく却(かへつ)て民俗(みんぞく)の害(がい)となりて 迷(まよ)ひを層(かさ)ぬること尟(すくな)【尠は俗字】からず予(よ)既(すで)に此(この)弊(へい)を識(しる)が故(ゆゑ)に清(きよ)く其(その) 害(がい)を改(あらた)めて有益(うえき)の事ならぬをば記(しる)さず奢侈(おごり)を略(はぶ)き惑(まどひ)を 醒(さま)し農工(のうこう)の職業(しよくげふ)貧家(ひんか)の女工(ちよこう)に用(よう)あらん事をのみ考(かんが)へて記(しる) したれば聊(いさゝか)済生救民(さいせいきうみん)の一端(かたはし)ともなるべき歟(か)希(こひねがは)くは 四方(しはう)の君子(くんし)予(よ)が拙陋(せつろう)を笑(わら)ふこと勿(なか)れと云(いふ)  嘉永四年辛亥秋九月      浪華市隠三松館主人識 【左丁】 【上段 挿絵】 【下段】 民家日用(みんかにちよう)公益秘事大全(くわうえきひじだいぜん)総目録(さうもくろく)  ○奇巧妙術類(きこうめうじゆつるい)第一(だいいち) 一/書物(しよもつ)を虫(むし)のはまざる法(はふ)       一丁 一/書物(しよもつ)の潮(しほ)につかりたるを直(なほ)す法 一/水草(みづくさ)を久しく活(いけ)おく法        二丁 一/銀箔(ぎんはく)の色(いろ)かはらぬ押(おし)やう 一/毛(け)の類(るい)を染(そむ)る法 一/銅器(どうき)のさびたるを洗(あら)はずして落(おと)す法 一/暑中(しよちう)食物(しよくもつ)の貯(たくは)へやう        三丁 一/新(あたら)しき刃物(はもの)を古(ふる)びさする法 一/錫(すゞ)の器(うつは)くもりたるを磨(みが)く法 一/器物(うつはもの)のわれたるを跡(あと)なくつぐ法 一/瓦石(ぐわせき)の類(るい)継(つぎ)てはなれざる法 【右丁頭書】 頭書(かしらがき)惣目録(そうもくろく) ○心易(しんえき)星宿(せいしゆく)占卜(うらなひ)類(るい)   《割書:二丁|ヨリ》 一 八卦(はつけ)のくりやう    三丁 一 同/所属(しよぞく)判断(はんだん)      四丁 一 九曜星(くようせい)のくりやう   十三丁 一 六曜星(ろくようせい)のくりやう   十七丁 一 十二/運(うん)のくりやう   廿丁 一 二十八/宿(しゆく)吉凶(きつきよう)の事    廿六丁 ○紙細工(かみざいく)のしやう    《割書:卅八丁|ヨリ》 一 屏風(べうぶ)の張(はり)やう     同丁 一 粉地(ふんち)の方       卅九丁 一 蝶(てふ)つかひの寸法 一 緑(へり)のつけやう 一 緑(へり)の寸法(すんはう) 一 屏風(べうぶ)押絵(おしゑ)の事     四十丁 一 色紙(しきし)短冊絵(たんさくゑ)おしやう 一 表具(へうぐ)の仕(し)やう 【左丁頭書】 一 腐粘(くされのり)のつくりやう   四十一丁 一 軸物(ぢくもの)巻切(まききり)の法     四十二丁 一 唐紙(たうし)うら打の法 一 にかは水(みづ)の方     四十三丁 一 仮張(かりばり)の法       四十四丁 一 煤(すゝ)のぬきやう 一 書画(しよぐわ)の破(やぶれ)をつくらふ法 一 渋紙(しぶかみ)の仕やう     四十五丁 一 焼(やき)ふのりの法     四十六丁 一 合羽(かつは)の法 一 青漆(せいしつ)の法       四十七丁 一 あかり障子(しやうじ)をはる事 一 雨障子(あましやうじ)の事 一 腰(こし)ばりの法      四十八丁 一 瓦器(ぐわき)をはる法 一 紙帳(しちやう)を造(つく)る法 一 折本(をりほん)のをりやう 【右丁本文】 一 漆(うるし)ぬり物かけたるを繕(つくろ)ふ法      四丁 一 青梅(あをむめ)を久しく貯(たくは)ふる法 一 鹿角(しかのつの)を和(やは)らかにする法 一 煎酒(いりざけ)を俄(にはか)にこしらへる法 一 悪水(あくすゐ)を清水(せいすゐ)とする法         五丁 一 餅(もち)にかびのわかぬ搗(つき)やう 一 すき油(あぶら)の方 一 花(はな)の露(つゆ)方              六丁 一 茶色(ちやいろ)の無地(むぢ)に紋所(もんどころ)つくる法 一 角類(つのるい)を染(そむ)る法 一 紙(かみ)に金砂子(きんすなご)をまく法 一 取直(とりなほ)しがたき物に砂子(すなご)をおく法 一 雨障子(あましやうじ)に油(あぶら)を用(もち)ひざる法      七丁 【左丁本文】 一 雨障子(あましやうじ)をつくらふ法 一 革(かは)を洗(あら)ふ法 一 庖丁(はうちやう)のなまぐさきを去(さ)る法 一 糊(のり)にて張(はり)たる物を鼠(ねずみ)の喰(くは)ざる法   八丁 一 衣服(いふく)あぶら垢(あか)のおとしやう 一 旅中(りよちう)などにて用(もちふ)る蒲団(ふとん)の法 一 玳瑁(たいまい)の類(るい)油(あぶら)をぬく法 一 焼物(やきもの)に穴(あな)のあけやう 一 箪笥(たんす)【司は誤記ヵ】挟箱(はさんばこ)などの脂(やに)出(いづ)るをとむる法 一 早ねた刃(ば)の合(あは)せやう         九丁 一 百里一足(ひやくりいつそく)の草鞋(わらづ)の法 一 雨風(あめかぜ)に消(きえ)ぬ炬火(たいまつ)の法 一 同(おなじく)蝋燭(らうそく)の法             十丁  【枠外丁数】目二 【右丁頭書】 一 唐本(たうほん)にうら打する法   四十九丁 一 唐紙(たうし)をうつ法      五十丁 一 地(ぢ)をしたる紙(かみ)をのす法 【挿絵】 【左丁頭書】 【挿絵】 ○万(よろづ)染物(そめもの)之(の)法(ほう)      《割書:五十一丁|ヨ  リ》 一 黒染(くろぞめ)          同丁 一 梹榔子染(びんらうじぞめ)        五十二丁 【右丁本文】 一 一寸(いつすん)八里(はちり)炬火(たいまつ)の法 一 幾夜(いくよ)寝(ね)ずしても気力(きりよく)衰(おとろ)へぬ法 一 鍋釜(なべかま)の鉄気(かなけ)をぬく法 一 油(あぶら)に水気(みづけ)あるをぬく法     十一丁 一 白鑞(びやくらう)を製(せい)する法 一 真鍮(しんちう)を色(いろ)白(しろ)くする法 一 真鍮(しんちう)金銀(きん〴〵)の類の器物(うつはもの)を洗(あら)ふ法 一 洗(あら)ひ粉(こ)の方 一 鉄醤(おはぐろ)を即座(そくざ)におとす法 一 伽羅(きやら)を久しく貯(たくは)ふる法     十二丁 一 伽羅(きやら)の香(か)をます炷(たき)やう 一 火(ひ)久(ひさ)しくたもつ灰(はひ)の法 一 酒中花(しゆちうくわ)の方 【左丁本文】 一 油(あぶら)に鼠(ねずみ)の付たるをとむる法   十三丁 一 旅(たび)にて火を絶(たえ)ず持(もち)ゆく法 一 渋(しぶ)のやけざる法 一 蒜(にら)葱(ねぶか)を食(しよく)して口中(こうちう)臭(くさ)からぬ法 一 鯉(こひ)の死(しな)んとするを活(いか)す法 一 練珊瑚珠(ねりさんごじゆ)の製(せい)法 一 小鮒(こぶな)の鱗(うろこ)をとる法       十四丁 一 小池(こいけ)の魚(うを)に鼬(いたち)の付たるを避(さく)る法 一 道(みち)に迷(まよ)ひたる時/方角(はうがく)を知(し)る法 一 井(ゐ)を掘(ほ)る時水ある地(ち)を知(し)る法 一 小鳥(ことり)の病(やまひ)を治(ぢ)する法     十五丁 一 雀(すゝめ)を飼(かひ)て白(しろ)くする法 一 金魚(きんぎよ)の死(し)を活(いか)す法 【枠外丁数】目三 【右丁頭書】 一 黒茶(くろちや)ぞめ 一 江戸(えど)茶(ちや)       五十三丁 一 こび茶 一 兼房染(けんばうぞめ)       五十四丁 一 びろうど染 一 梔子(くちなし)ぞめ 一 七りやう染 一 かしは染(ぞめ) 一 正平(しやうへい)小紋(こもん)染     五十五丁 一 同/絵具(ゑのぐ)の用(もち)ひやう 一 梅(むめ)ぞめ       五十六丁 一 桑(くは)ぞめ 一 野胡桃(のくるみ)染 一 ねずみ 一 うこんぞめ     五十七丁 一 すゝ竹(たけ) 一 柳(やなぎ)すゝ竹 【左丁頭書】 一 蘇枋(すはう)【蘓は異体字】ぞめ 一 黒(くろ)とび色(いろ) 一 黄茶(きちや)        五十八丁 一 から茶 一 べに染 一 渋(しぶ)ぞめ 一 あゐ染(ぞめ) 一 まがひ紅(もみ)      五十九丁 一 紺屋糊(こんやのり)の法 一 紋所(もんどころ)を付(つく)る法 ○万(よろづ)しみ物(もの)おとし  《割書:六十丁|ヨリ》 一 衣服(いふく)のかびをおとす法 一 墨(すみ)のつきたるを落(おと)す 一 油(あぶら)のつきたる    六十一丁 一 蠟(らう)のつきたる 一 赤泥(あかどろ)のつきたる   六十二丁 一 絵具(ゑのぐ)のつきたる 【右丁本文】 一 藍染(あゐぞめ)のおとしやう 一 衣服(いふく)の穢(けが)れて久(ひさ)しきをおとす法 一 衣服(いふく)油(あぶら)おとしの法《割書:并|》渋(しぶ)おとし 一 絹布(けんふ)あらひ張(はり)の糊(のり)の方 一 黐(とりもち)また鉄醤(おはぐろ)の衣服(いふく)に付たるを落(おと)す法 十六丁 一 味噌(みそ)の損(そん)じたるを直(なほ)す法 一 飯(めし)の片熟(かたにえ)したるを直す法 一 同(おなじく)こげくさきを直(なほ)す法 一 姜(はじかみ)をかびぬやうに漬(つけ)る法 一 紅染(べにそめ)のぬきやう 一 青昆布(あをこんぶ)こしらへやう          十七丁 一 乾松蕈(ほしまつたけ)香(か)のうせぬ法 一 碓米(からうすこめ)のくだけざるすゑやう 【左丁本文】 一 魚(うを)を養(やしな)ふ塗土池(ぬりつちいけ)のつくり様(やう) 一 鼠(ねずみ)をさる法 一 あぶら虫(むし)をさる法 一 蚤(のみ)をさる法 一 蝨(しらみ)をさる法              十九丁 一 頭(かしら)の蝨(しらみ)をさる法 一 虫(むし)を生(しやう)ぜぬ物(もの)だねの収(をさ)めやう 一 果樹(くわじゆ)に実(み)おほくする法 一 白紙(はくし)にて文通(ぶんつう)する法          二十丁 一 寒中(かんちう)河(かは)を渡(わた)りて凍(こゞ)えざる法 一 小(ちひさ)き蜜柑(みかん)を大にする法 一 竹(たけの)根(ね)のはびこるを防(ふせ)ぐ法 一 足(あし)のつかれたるを軽(かろ)くする法  【枠外丁数】目四 【右丁頭書】 一 煙草(たばこ)のやにの付たる 一 鉄漿(おはくろ)のつきたる 一 血(ち)のつきたる 一 灸(きう)のうみ血(ち)の付たる    六十三丁 一 漆(うるし)のつきたる 一 魚(うを)鳥(とり)のあぶらの付たる 一 紅(べに)ぞめに油(あぶら)の付たる 一 酢(す)酒(さけ)醬油(しやうゆ)のつきたる 一 渋(しぶ)のつきたる 一 鳥(とり)もちのつきたる 一 糞(ふん)によごれたるを洗(あら)ふ   六十四丁 一 びらうどの垢(あか)をおとす 一 紋所(もんどころ)のしみ物をおとす 一 白(しろ)むくの垢(あか)をおとす 一 鹿子類(かのこるい)をあらふ法 一 うるし紋(もん)をおとす 一 藍染(あゐぞめ)をぬく法 【左丁頭書】 一 茶染(ちやぞめ)をぬく法        六十五丁 一 黒(くろ)き絹(きぬ)をあらふ 一 茶色(ちやいろ)に星(ほし)出たる 一 らせいたの垢(あか)をおとす 【挿絵】 【右丁本文】 一 薫物(たきもの)の方(ほう)品々(しな〴〵)       廿一丁 一 渋糊(しぶのり)の方          廿二丁 一 渋紙(しぶかみ)のこしらへやう 一 柿(かき)のたくはへやう 一 柿(かき)の年切(としぎり)するを実(みの)らする法 廿三丁 一 白(しら)ねり酒(ざけ)の方 一 塩魚(しほうを)の塩(しほ)をぬく法 一 金箔(きんはく)のすゝけたるを洗(あら)ふ法 一 塗物(ぬりもの)のすゝけとりやう    廿四丁 一 油(あぶら)一/合(がふ)にて一月(ひとつき)ともす法 一 一寸(いつすん)にて一夜(ひとよ)ともる蠟燭(らうそく)の法 一 石(いし)に墨(すみ)の付たるをおとす法 一 しくい土(つち)の法 【左丁本文】 一 砂糖漬(さたうづけ)の方         廿五丁 一 饑(うゑ)たる時/早速(さつそく)しのぐ法 一 鏡(かゞみ)にかきたる画(ゑ)久しくおちざる法 一 鏡(かゞみ)とぎ薬(くすり)の方 一 正面(しやうめん)石摺(いしずり)の法        廿六丁 一 十日廿日/饑(うゑ)ざる法 一 鋸(のこぎり)の切口(きりくち)をきれいにする法 廿七丁 一 薄板(うすいた)に穴(あな)をあける法 一 砥石(といし)の直(なほ)しやう 一 漆(うるし)にて物(もの)書(か)く法 一 生蠟(きらう)にてものかく法 一 硝子(びいどろ)に物(もの)を彫(ほ)る法 一 池田炭(いけだずみ)の引(ひき)きりやう 【枠外丁数】目五 【右丁頭書】 一 灰汁(あく)にかふる洗汁(せんじう)の方 一 頭巾(づきん)をあらふ 一 布(ぬの)を白(しろ)くする法二条 一 畳(たゝみ)に墨(すみ)の付たる 一 同/油(あぶら)のこぼれたる     六十六丁 一 衣服(いふく)に酒(さけ)のしみたる ○居宅(きよたく)営作(えいさく)の大略(おほむね)     《割書:六十七丁|ヨリ》 一 居宅(きよたく)の大むね 一 家(いへ)を高(たか)くすまじき事 一 陽(やう)に向(むか)ふべき事 一 湿(しつ)をさくべき事      六十八丁 一 居間(ゐま)と茶室(ちやしつ)の別(べつ)     六十九丁 一 天井(てんじやう)の事 一 二階(にかい)づくりの事 一 屋敷地(やしきぢ)の事 一 こけら屋根(わね)の事 一 茅(かや)やねの事        七十丁 【左丁頭書】 一 屋根(やね)の久(ひさ)しくもつ法 一 柱(はしら)の事 一 材木(ざいもく)の事         七十一丁 一 煙出(けふりだ)しの穴(あな)の事 一 土蔵(どざう)の造(つく)りやう 一 同/用心土(ようじんつち)の事       七十二丁 一 ねり土(つち)の蔵(くら)の事     七十三丁 一 材木(ざいもく)虫(むし)はまぬ法 一 便所(べんじよ)の事         七十四丁 一 居間(ゐま)の事 一 畳(たゝみ)の敷(しき)やう 一 庭(には)の事 一 居間(ゐま)の庭(には)の事       七十五丁 一 竹(たけ)を植(うゝ)る事 一 棟(むね)を分(わか)つ事 一 居風呂(すゑふろ)の事 一 生垣(いけがき)の事 【右丁本文】 一 土瓶(どひん)のもるをとむる法     廿八丁 一 金焼付(きんやきつけ)滅金(めつき)のやきやう 一 赤銅(しやくどう)のやきやう 一 色付(いろつけ)四分一(しぶいち)のやきやう     廿九丁 一 胎内(たいない)の子(こ)男女(なんによ)を知(し)る法 一 書(かき)たる文字(もんじ)夜(よる)光(ひかり)をはなつ法 一 不浄(ふじよう)の香(か)の座敷(ざしき)へ来(きた)らぬ法 一 大酒(たいしゆ)して酔(ゑは)ざる法 一 酒(さけ)にあてられたる時の法    三十丁 一 硯(すゞり)のねばりを取(と)る法 一 蕎麦麺(そばきり)を大食(たいしよく)して満腹(まんふく)せぬ法 一 小児(せうに)の陰茎(いんきやう)はれたる時のまじなひ 一 あらひ粉(こ)の一方(いつはう)       卅一丁 【左丁本文】 一 歯磨(はみがき)の方 一 傘(からかさ)にものかく法 一 金箔(きんはく)の上に物(もの)かく法 一 墨(すみ)ぬきの方 一 咽唯(のど)のかわきを止(とむ)る法     卅二丁 一 醬油(しやうゆ)のよしあしを見分(みわく)る法 一 新(あたら)しき道具(だうぐ)を早(はや)くふきいるゝ法 一 紅(べに)を用ひずして紅染(べにぞめ)する法 一 漆(うるし)を用ひずして塗物(ぬりもの)する法   卅三丁 一 庭石(にはいし)に苔(こけ)を付る法 一 蚫(あはび)がらに生(うま)れのごとく物かく法 一 旅中(りよちう)病(やまひ)をうけぬ方 一 船(ふね)に酔(ゑは)ざる法         卅四丁 【枠外丁数】目六 【右丁頭書】 【挿絵】 ○天気(てんき)の善悪(よしあし)見やう 《割書:七十六丁|ヨリ》 一 暁(あかつき)より日出(ひので)の事 一 雨(あめ)の晴(はる)る時の事 一 雨のうかゞひやう 一 雲気(うんき)の事     七十七丁 一 白気(はくき)の事 一 日(ひ)に耳(みゝ)ある事 【左丁頭書】 一 月(つき)の暈(かさ) 一 新月(しんげつ)の事《割書:二条|》 一 気(き)月(つき)をつらぬく 一 月に黒雲(くろくも)おほふ事 七十八丁 一 寒暑(かんしよ)のきざし 一 星(ほし)の見やう《割書:二条|》 一 日(ひ)の暈(かさ)《割書:二条|》 一 又/月(つき)の暈(かさ)《割書:二条|》   七十九丁 一 大風(たいふう)の兆(きざし) 一 冬(ふゆ)の風の事    八十丁 一 昼夜(ちうや)の風の事 一 東西(とうざい)風の事 一 南風(みなみ)の事 一 鳥魚(うをとり)のきざし 一 季候(きこう)の風の事《割書:三条|》 一 火災(くわさい)の事 一 雨(あめ)の見やう《割書:五条|》 【右丁本文】 一 寒風(かんふう)の肌(はだ)をとほさぬ法 一 旅(たび)にて饑(うゑ)を凌(しの)ぎ并(ならびに)まめ出ざる法 一 蛙(かはづ)のなくを止(とむ)る法      卅五丁 一 香具(かうぐ)のたくはへやう 一 膏薬(かうやく)かぶれを愈(いや)す方 一 油(あぶら)なし燈火(ともしび)の法 一 早(はや)にべの方 一 冬(ふゆ)茄子(なすび)をならする法 一 炭(すみ)一ッにて終日(しうじつ)きえぬ煙草(たばこ)の火 卅六丁 一 紙(かみ)に血(ち)の付たるをおとす法 一 沈金彫(ちんきんぼり)の法 一 金(きん)しづめやう         卅七丁 一 鼈甲(べつかふ)をつぐ法 【左丁本文】 一 同/和(やは)らかにする法 一 目鏡(めがね)の水晶(すゐしやう)と硝子(びいどろ)とを知(し)る法 一 漆(うるし)の善悪(よしあし)を知る法 一 長命酒(ちやうめいしゆ)の方         卅八丁 一 湯香煎(ゆがうせん)の方 一 胎内(たいない)の子(こ)男女(なんによ)を知る法 一 子(こ)をまうくる法        卅九丁 一 煤(すゝ)をとく法 一 蛇(へび)のまとひたるを落(おと)す法 一 寒中(かんちう)さむからざる法 一 夏(なつ)綿入(わたいれ)を着(き)て暑(あつ)からぬ法 一 泥鰌(どぢやう)を袋(ふくろ)に入て一日死なぬ法 一 水(みづ)に溺(おぼ)れたる人を抱(いだ)き上る法 四十丁 【枠外丁数】目七 【右丁頭書】 一 雪(ゆき)の見やう《割書:二条|》 八十一丁 一 雪(ゆき)は豊年(ほうねん)の兆(きざし) 一 雲(くも)の事《割書:七条|》 一 朝(あさ)の雲色(くもいろ)の事 八十二丁 一 雲(くも)の見やう《割書:六条|》 一 天色(てんしよく)の事   八十三丁 一 気(き)の事 一 霜(しも)の事《割書:二条|》 一 雷(かみなり)の事《割書:二条|》 一 電(いなつま)の事《割書:四条|》  八十四丁 一 霞(あかね)の事 一 夕(ゆふ)やけの事 一 気節(きせつ)の日の事 一 虹(にじ)の事 一 霧(きり)の事《割書:二条|》 一 北斗(ほくと)の事《割書:六条|》  八十五丁 一 四季(しき)の事 【左丁頭書】 一 毎月(まいげつ)日(ひ)がらの晴雨(せいう)の事 一 八専(はつせん)の事 一 海上(かいしやう)の晴雨(せいう) 一 知風草(ちふうさう)の事  八十七丁 一 畜物(かひもの)のきざしの事 ○万(よろつ)禁壓呪(まじなひの)術法(ほう) 《割書:八十七丁|ヨリ》 一 鼻血(はなち)を止(とむ)るまじなひ 一 蠅(はひ)をよけるまじなひ 一 蜂(はち)のさらぬ 一 蛇(へび)のさらぬ 一 疱瘡(はうさう)のまじなひ 八十八丁 一 小児(せうに)の夜啼(よなき)を止(とむ)るまじなひ《割書:二|条》 一 銭瘡(ぜにがさ)のまじなひ 八十九丁 一 不時(ふじ)の難(なん)をのがるゝ 一 しやくりのまじなひ 一 大小便(だいせうべん)をこらへる 一 寝小便(ねせうべん)をなほす 九十丁 【右丁本文】 一 水(みづ)のかはりにあたらぬ法 一 水(みづ)のよきを知る法 一 織物(おりもの)の金(きん)の真偽(しんぎ)を知る法 一 生花(いけばな)を久しく持(もた)する法     四十一丁 一 花(はな)いけの水/凍(こほ)らざる法 一 井水(ゐのみづ)の濁(にご)るをすます法 一 汲(くみ)置(おき)たる水をすます法 一 湯茶(ゆちや)なくして渇(かわき)を止(とむ)る法 一 炎暑(あつさ)の時/煮(に)たる物を貯(たくは)ふる法 四十二丁 一 急用醋(きふようす)の方 一 果物(くだもの)を久(ひさ)しく貯(たくは)ふる法 一 西瓜(すいくわ)甜瓜(まくは)を水なくして冷(ひや)す法 四十三丁 一 瓜(うり)茄子(なすび)の粕漬(かすづけ)青(あを)くして貯(たくは)ふる法 【左丁本文】 一 茶(ちや)を久しく貯(たくは)ふる法      四十四丁 一 蜜漬(みつづけ)の菓子(くわし)の味(あぢ)を直(なほ)す法 一 破(わら)ずして玉子(たまご)の善悪(よしあし)を知る法 一 汗(あせ)臭(くさ)きをさる匂袋(にほひぶくろ)の方    四十五丁 一 闇夜(やみよ)に人足(ひとあし)を聞(き)く法 一 早糊(はやのり)の方 一 箱(はこ)の類(るい)見事(みごと)に色(いろ)付(つく)る法 一 黒柿(くろがき)のこしらへやう 一 屋根(やね)に毛虫(けむし)のわくを除(のぞ)く法 一 湯風呂(ゆふろ)水船(みづふね)等(とう)のもるを止(とむ)る法 四十六丁 一 紙(かみ)をつぎて永代(えいたい)離(はな)れぬ法 一 膠(にかは)つぎの物永代はなれぬ法 一 鉄針(てつばり)のさびざる法 【枠外丁数】目八 【右丁頭書】 一 旅中(りよちう)まめの出ぬまじなひ 一 ともし火(び)に虫(むし)の入ぬ 一 飛蟻(はあり)の出るをとむる 一 狐狸(きつねたぬき)を近(ちか)よらせぬ 一 桐下駄(きりげた)のかけぬはきやう 一 迷(まよ)ひ子(ご)をもとむるまじなひ 一 産(さん)をのぶるまじなひ   九十一丁 一 木を植(うゑ)て枯(かれ)ざる 一 芝(しば)つなぎの事 一 勝負(しようぶ)事にまけぬ 一 詞(ことは)のなまりをなほす   九十二丁 一 もろ〳〵の祟(たゝり)を除(のぞ)く 一 祟(たゝり)をはらひ妖術(ようじゆつ)をくじく 一 夜(よる)おそはるゝ 一 夫婦中(ふうふなか)よくする 一 悋気(りんき)を止(やむ)る      九十三丁 一 女(をんな)の外心(ほかごゝろ)あるを知(し)る 【左丁頭書】 【挿絵】 【右丁本文】 一 鼠(ねずみ)のあれぬ法           四十七丁 一 刀(かたな)脇差(わきざし)柄糸(つかいと)のつもりやう 一 鏡(かゞみ)のとぎやう 一 釘貫(くぎぬき)なくして釘(くぎ)をぬく法 一 ちやんの方 一 絵絹(ゑぎぬ)に物かき損(そん)じたるをぬく法   四十八丁 一 どうさせぬ物に墨(すみ)のちらぬ法 一 藁筆(わらふで)のこしらへやう 一 青竹(あをだけ)を白くする法 一 盆山(ぼんさん)庭石(にはいし)等のわれたるを継(つぎ)補(をぎな)ふ法 四十九丁 一 磁器類(やきものるい)に穴(あな)をあくる法 一 鉄(てつ)かな物に錆色(さびいろ)を付る法 一 書物(しよもつ)の表紙(へうし)にひくどうさの方 【左丁本文】 一 模様紙子(もやうがみこ)の法           五十丁 一 うら打紙(うちかみ)を水に入ずして離(はな)す法 一 ○即効(そくかう)妙薬類(めうやくるい)第(だい)二(に) 一 難産(なんざん)せざる方           五十一丁 一 産(さん)をする時の心得(こゝろえ)        五十三丁 一 難産(なんざん)にて久しく産(むま)れざる時の薬  五十四丁 一 同(おなじく)横逆産(よこゞさかご)手足(てあし)先(まづ)出(いづ)るまじなひ 一 懐妊(くわいにん)したるを試(こゝろみ)る法      五十五丁 一 子(こ)腹中(ふくちう)にて死(し)したる時の薬 一 産後(さんご)血(ち)上(あが)りめまひする薬 一 産後(さんご)陰門(いんもん)ひろがりて閉(とぢ)ざる薬 一 乳(ちゝ)のやぶれて痛(いた)む方 一 小児(せうに)乳(ち)を呑(のま)ざる時の妙方(めうはう) 【枠外丁数】目九 【右丁頭書】 一 雷(かみなり)よけ 一 人を富貴(ふうき)ならしむ 一 物忘(ものわす)れせぬ 一 よく眠(ねむ)る人を眠らせぬ 一 夜(よる)ねられぬ人を寝(ね)さする   九十四丁 一 時疫(じえき)瘟病(うんびやう)をはらふ 一 痢病をはらふ 一 疱瘡目にいらぬ        九十五丁 一 小児(せうに)夜啼(よなき)のまじなひ 一 小児/寝(ね)らぬ事 一 物(もの)に見入られたる 一 道(みち)に迷(まよ)はず狐狸(こり)に迷(まよは)されぬ 九十六丁 一 剱難(けんなん)よけ 一 願(ねが)ふ事/成就(じやうじゆ)する 一 狐(きつね)を穴(あな)へかへさゞる 一 猪(ゐのしゝ)田畠(たはた)を荒(あら)さゞる 一 つき物の知(し)れぬをしる    九十七丁 【左丁頭書】 一 五穀(ごこく)を食(しよく)せずして饑(うゑ)ざる 一 悪瘡(あくさう)凍瘡(あかぎれ)をふせぐ 一 子(こ)をまうくる 一 男子(なんし)をまうくる 一 難産(なんざん)をうまする 一 樹(き)に毛虫(けむし)を生ぜぬ      九十八丁 一 炭火(すみび)のはねぬ 一 蓮池(はすいけ)の用心 一 漆(うるし)にまけぬ 一 疣(いぼ)をぬくまじなひ 一 かん強(つよ)き馬(むま)を驚(おどろ)かさぬ   九十九丁 一 虱(しらみ)のわかぬ 一 人の臥(ふし)たるを起(おこ)さぬ 一 ねても〳〵ねむたきを直(なほ)す 一 小児の寝小便(ねせうべん)せぬ 一 息(いき)の臭(くさ)きをなほす      百丁 一 雀目(とりめ)を治(ぢ)する 【右丁本文】 一 乳(ちゝ)足(たら)ざる時の方 一 小児(せうに)乳(ちゝ)をはく薬 五十六丁 一 孕婦(はらみをんな)の胎(たい)動(うご)きて堪(たへ)がたき薬 一 胎漏(たいろう)の薬 一 孕婦(はらみをんな)腹痛(ふくつう)する時の薬 一 はやめ茶             五十七丁 一 崩漏(ほうろう)の薬 一 赤子(あかご)生(むま)れてやがて死(し)するを救ふ方 一 陰門(まへ)腫(はれ)たる時の薬 一 陰門(まへ)かゆき薬           五十八丁 一 男(をとこ)にあふごとに陰門(まへ)より血(ち)の出る薬 一 月水(ぐわつすゐ)のめぐりわろき薬 一 同/久(ひさ)しく通(つう)ぜず腹(はら)はりたる薬 【左丁本文】 一 同/月水(ぐわつすゐ)をのばす法 一 月水(ぐわつすゐ)したゝりて止(やま)さるを治する方 五十九丁 一 つはりの薬 一 血(ち)の道(みち)黒(くろ)薬           六十丁 一 婦人(ふじん)こしけしら血(ち)なが血の薬 一 痔(ぢ)の薬 一 疥癬(ひぜん)の薬 一 薬湯(くすりゆ)の方             六十一丁 一 雀薬(すゝめぐすり)の方 一 疥癬(ひぜん)湯薬(ゆぐすり)の方           六十二丁 一 陰癬(いんきん)の薬 一 発泡(はつはう)の薬 一 小児(せうに)五疳(ごりん)の薬           六十三丁 【枠外丁数】目十 【右丁頭書】 一 魚(うを)の骨(ほね)喉(のど)へ立たる ○暦(こよみ)中段(ちうだん)下段(げだん)の略解(りやくげ)  《割書:百一丁|ヨリ》 一 中段(ちうだん)十二/客(かく)の事 一 天一天上の事     百三丁 一 つちの事       百四丁 一 彼岸(ひがん)の事 一 八専(はつせん)の事 一 土用(どよう)         百五丁 一 十方暮(じつはうぐれ)        百六丁 一 三伏(さんふく) 一 八十八/夜(や) 一 二百十日 一 半夏生(はんげしやう) 一 社日(しやにち)         百七丁 一 下段/日並(ひなみ)吉凶(よしあし)の事 一 鬼宿(きしく)         百八丁 一 天恩(てんおん) 【左丁頭書】 一 月徳(ぐわつとく) 一 母倉(ぼさう) 一 神吉(かみよし)         百九丁 一 天赦(てんしや) 【挿絵】 【右丁本文】 一 蚘虫(くわいちう)くだし薬 一 諸(もろ〳〵)の毒(どく)に中(あた)りたる時の薬/品々(しな〴〵) 一 諸(もろ〳〵)金瘡(きんさう)の薬《割書:并|》介抱(かいはう)の心得   六十七丁 一 打撲(うちみ)落馬(らくば)の薬         六十九丁 一 口中(こうちう)ふくみ薬         七十丁 一 気歯(きは)の痛(いたみ)を治(ち)する薬 一 喉痺(こうひ)の薬 一 喉(のど)に食(しよく)つまりたる薬      七十一丁 一 湿気(しつけ)の薬 一 深山(しんざん)の瘴気(しやうき)をはらふ方 一 蝮蛇(まむし)にかまれたる薬      七十二丁 一 蜂(はち)に螫(さゝ)れたる薬 一 毛虫(けむし)にさゝれたる薬      七十三丁 【左丁本文】 一 蜈蚣(むかで)にさゝれたる薬 一 牛馬(うしむま)に囓(かま)れたる薬 一 鼠(ねずみ)にかまれたる薬       七十四丁 一 病狗(やまいぬ)にかまれたる薬 一 同(おなじく)禁忌(きんき)の心得(こゝろえ)        七十五丁 一 瘤(こぶ)ぬき薬           七十六丁 一 鼻血(はなち)をとむる法 一 腫物(しゆもつ)を他所(たしよ)へうつす法 一 腫物(しゆもつ)おし薬 一 疵(きす)いやし薬 一 瘤落(こぶおと)し薬 一 餅(もち)の咽喉(のど)につまりたる時の方 一 打撲(うちみ)の薬           七十七丁 【枠外丁数】目十一 【右丁頭書】 一 五墓日(ごむにち) 一 復(ふく)日 一 重(ぢう)日 一 帰巳(きこ)【己】      百十丁 一 血忌(ちいみ) 一 凶会(くゑ)日 一 天火(てんくわ)地火(ちくわ) 一 十死(じつし) 一 受死(じゆし)日 一 往亡(わうもう) 一 歳下食(さいげじき) 一 滅(めつ)日/没(もつ)日 一 滅門(めつもん)大過(たいくわ)狼藉(らうしやく) 一 地子(ちし)日 ○雑菜(ざふさい)料理(れうり)の仕(し)やう《割書:百十一丁|ヨリ》 一 若菜(わかな)       同丁 一 水菜(みづな) 【左丁頭書】 一 よめ菜(な)     百十三丁 一 蒲公英(たんほゝ) 一 とう菜(な) 一 ちさ 一 蕗(ふき) 一 わけ葱(ぎ) 一 わらび 一 若牛蒡(わかごばう) 一 葉にんじん    百十四丁 一 かいわり菜 一 平豆(ひらまめ) 一 さや豆(まめ) 一 えんどう 一 竹(たけ)の子(子) 一 菠䔖草(はうきんさう)      百十五丁 一 しゆんきく 一 夏ねぶか 【右丁本文】 一 手足(てあし)を折(くぢ)きたる薬 一 同/骨(ほね)砕(くだ)けたる薬 一 痣(あざ)ぬき薬 一 癜(なまづ)の薬 一 虫(むし)くひ歯(ば)の薬 一 同/禁厭(まじなひ)の法          七十八丁 一 魚毒(うをのどく)を消(け)す方 一 喉(のど)に物(もの)の立(たち)たるを治(ぢ)する方 一 瘧(おこり)のまじなひ         七十九丁 一 同/妙(めう)薬 一 同/截(きり)薬            八十丁 一 魘(おそ)はれて死(し)したるを活(いか)す方 一 驚(おどろ)きて物(もの)言(いは)ざるを治する方  八十一丁 【左丁本文】 一 労咳(らうがい)の薬 一 蒲萄疔(ふとうてう)の薬 一 やみ眼(め)の薬 一 眼(め)に物(もの)の入たるを治(ぢ)する方   八十二丁 一 目(め)をまはしたる時の方 一 耳(みゝ)に物入たる時の方 一 耳(みゝ)より膿(うみ)出(いづ)る薬 一 湯火傷(やけど)の薬 一 痢病(りびやう)の薬           八十三丁 一 同/除(よけ)る方           八十四丁 一 寸白(すんばく)の薬 一 疝気(せんき)の薬 一 同まじなひ          八十五丁 【枠外丁数】目十二 【右丁頭書】 一 茄子(なすひ) 一 胡瓜(きうり)    百十六丁 一 しろ瓜 一 冬瓜(かもうり) 一 南瓜(なんきん) 一 青大角豆(あをさゝげ) 一 隠元(いんげん)豆 一 さつま芋(いも) 一 さと芋   百十七丁 一 唐(たう)のいも 一 松茸(まつたけ) 一 大こん   百十八丁 一 蕪菁(かぶら) 一 胡蘿蔔(にんじん) 一 牛蒡(ごばう) 一 くわゐ   百十九丁 一 葱(ねぶか) 【左丁頭書】 一 芹(せり) 一 鮪(しび)     百二十丁 一 赤(あか)えひ 一 堅魚(かつを) 一 ぶり 一 烏賊(いか)    百廿一丁 一 蛸(たこ) 一 生海鼠(なまこ) 一 太刀魚(たちうを)   百廿二丁 一 のうそうぶか 一 蜆(しゞみ) 一 蜊(あさり) 一 はまぐり 一 田螺(たにし) 一 鮒(ふな) 一 鮠(はえ)     百廿三丁 一 もろこ 【右丁本文】 一 臁瘡(はぐきがさ)の薬 一 疝気(せんき)偏墜根(へんつゐね)をたつ薬 一 衝目(つきめ)の薬 一 底(そこ)まめを治する薬         八十六丁 一 胡臭(わきが)の薬 一 烟(けふり)にむせびて死(し)したる人を甦(よみがへ)らす法 一 乳(ちゝ)の出る薬 一 癰疔(ようちやう)腫物(しゆもつ)の薬 一 切疵(きりきず)ふすべ薬           八十七丁 一 切疵(きりきず)の薬 一 同/即座(そくざ)の血止(ちとめ)薬         八十八丁 一 河豚(ふぐ)の毒(どく)にあたりたる時の薬 一 水(みづ)に溺(おぼ)れたるを救(すく)ふ方 【左丁本文】 一 縊(くび)れたる人を救(すく)ふ法        八十九丁 一 達者(たつしや)薬              九十丁 一 白髪(しらが)を黒(くろ)くする薬 一 髪(かみ)の抜(ぬけ)る時ぬけざる薬 一 髪(かみ)のうすき所/禿(はげ)たる所に付る薬 一 髪(かみ)かれて澤(うるほ)ひなきを治(ぢ)する薬 一 手負(ておひ)の生死(しやうじ)を知(し)る法       九十一丁 一 疱瘡(はうさう)をやすくする法 一 同(おなじく)痕(あと)つかぬ方 一 同/草気(くさけ)まじり出かぬるを出す法 一 痘痕(みつちや)を愈(いや)す方 一 面皰(にきび)を治(ぢ)する薬          九十二丁 一 人身(ひとのみ)の朽入(くちいり)たるを治する薬 【枠外丁数】目十三 【右丁頭書】 【挿絵】 【左丁頭書】 一 なまづ 一 鰯(いはし) 一 つなし      百廿四丁 一 このしろ 一 ざこの類(るい) 一 さいら 一 塩鯛(しほだひ) 一 塩(しほ)ぶり 一 鯨(くじら)       百廿五丁 一 塩(しほ)いはし 一 さば 一 塩鰆(しほさはら)      百廿六丁 一 しいら 一 小あゆざこ 一 ごまめ 一 ぼう鱈(たら) 一 いりがら     百廿七丁 【右丁本文】 一 鮫肌(さめはだ)をなほす薬 一 酒(さけ)の酔(ゑひ)をさます薬 一 船(ふね)に酔(ゑは)ざる法 一 中風(ちうぶ)の薬           九十三丁 一 乳(ちゝ)の腫物(しゆもつ)を治する薬 一 淋病(りんびやう)の薬 一 筋気(すぢけ)の薬 一 膈(かく)の薬 一 雷(かみなり)に驚(おどろ)き死したるを活(いか)す方  九十四丁 一 木舌(もくぜつ)の薬 一 金(かね)を呑(のみ)たる時の方 一 腫気(はれけ)の薬 一 上戸(じやうご)を下戸(げこ)にする方      九十五丁 【左丁本文】 一 霜(しも)やけの薬 一 前陰(まへ)に虱(しらみ)わきたるを治する方 一 小児(せうに)の陰嚢(きんたま)腫(はれ)たる薬 一 毛(け)はえ薬 一 髪(かみ)の赤(あか)きを直(なほ)し光澤(つや)を出す方 九十六丁 一 黄疸(わうだん)の薬 一 ねぶとの薬 一 諸(もろ〳〵)腫物(はれもの)の薬          九十七丁 一 痰(たん)の薬 一 脱肛(だつこう)を治する薬 一 癩風(かつたい)の薬 一 あせもの薬           九十八丁 一 脚気(かつけ)の薬 【枠外丁数】目十四 【右丁頭書】 一 鯡(にしん) 一 するめ 一 十二/月(つき)雑料理(ざふれうり)献立(こんだて)  百廿八丁 ○調味(てうみ)こしらへやう  《割書:百卅六丁|ヨリ》 一 桔梗玉子(ききやうたまご) 一 白(しろ)でんがく 一 とろゝ汁(じる) 一 みかん膾(なます)      百卅七丁 一 兵庫煮(ひやうごに) 一 芹(せり)づけ 一 いちご汁 一 雲懸(くもかけ)豆腐(とうふ) 一 春駒(はるこま)どうふ 一 串貝(くしがひ)はや煮(に) 一 牡蠣飯(かきめし)        百卅八丁 一 小倉(をくら)田楽(でんがく) 一 茄子(なすび)おろし汁 【左丁頭書】 一 早烏賊(はやいか) 一 干大根(ほしだいこん)あへ物 一 若狭(わかさ)にしん鮓(すし) 一 隠里(かくれざと)吸(すひ)もの 一 松茸(まつたけ)早(はや)ずし 一 うどん鮑(あはび)       百卅九丁 一 焼(やき)あはび 一 大原苞(おはらづと) 一 豆(まめ)の葉(は) 一 蒜汁(にゝくじる) 一 えびあへ 一 煎(いり)松(まつ)たけ 一 塩釜(しほがま)やき 一 酒(さか)めし        百四十丁 一 富士(ふじ)あへ 一 蛸(たこ)なます 一 なのりそ       百四十一丁 【右丁本文】 一 そげぬき薬        九十九丁 一 そら手(て)を直(なほ)す方 一 血(ち)とめの一方 一 魚骨(うをのほね)喉(のど)にたちたる薬    百丁 一 霍乱(くわくらん)の急方(きふはう)  ○経験灸治類(けいげんきうじるい)第三(だいさん) 一 四花(しくわ)           百一丁 一 患門(くわんもん)           百二丁 一 亥眼(ゐのめ)           百三丁 一 風市(ふじ) 一 騎竹馬(きちくば) 一 斜差(すぢかひ)           百四丁 一 鬼哭(きこく) 【左丁本文】 一 章門(しやうもん)           百五丁 一 三里(さんり) 一 絶骨(ぜつこつ) 一 中脘(ちうくわん)           百六丁 一 水分(すゐぶん) 一 天樞(てんすう) 一 承筋(しようきん) 承山(しようざん)       百七丁 一 犢鼻(どくび) 一 膝眼(しつがん) 一 上廉(じやうれん) 下廉(げれん)         百八丁 一 聴会(ちやうゑ) 一 合谷(がふこく) 一 隠白(いんはく) 【枠外丁数】目十五 【右丁頭書】 一 たつくりあへ 一 交趾(かうち)みそ 一 芋豆腐(いもとうふ) 一 いせどうふ 一 えびたゝき 一 奈良菜飯(ならなめし) 一 すゝり団子(だんご) 【挿絵】 【左丁頭書】 一 芋蒲鉾(いもかまぼこ)     百四十二丁 一 赤貝(あかがひ)にんじん 一 酢(す)大こん 一 溝(みそ)しりむし 一 焼出(やきだ)し 一 黒豆汁(くろまめしる) 一 しらあへ 一 油(あぶら)ぬき 一 縮鮑(ちゞみあはび) 一 花茗荷(はなみやうが) 一 ちゞみ芋(いも)    百四十三丁 一 おろし鮑(あはひ) 一 鳴門煮(なるとに) 一 春(はる)の雪(ゆき) 一 白蓮根(しろれんこん) 一 玉子餅(たまごもち) 一 茄子(なすび)だんご 【右丁本文】 一 百会(ひやくゑ)              百九丁 一 大陵(たいりやう) 間使(かんし) 一 鬲兪(かくゆ) 肝兪(かんゆ) 脾兪(ひゆ)  ○草木種植類(さうもくしゆしよくるい)第四(だいし) 一 種(たね)をまく法           百十一丁 一 こやしの事 一 接木(つぎき)の事            百十三丁 一 剌木(さしき)の仕(し)やう         百十六丁 一 草木(さうもく)の虫(むし)を除(のぞ)く事       百十七丁 一 稲(いね)   百十九丁  一 畠稲(はたけいね) 一 麦(むぎ)   百二十丁  一 小麦(こむき) 一 蕎麦(そば)        一 粟(あは) 一 黍(きび)         一 蜀黍(たうきび)  百廿一丁 【左丁本文】 一 稗(ひえ)         一 大豆(だいづ) 一 赤小豆(あづき)       一 菉豆(ぶんどう) 一 蚕豆(そらまめ)        一 豌豆(えんどう) 一 豇豆(さゝげ)  百廿二丁  一 扁豆(あぢまめ) 一 刀豆(なたまめ)        一 胡麻(ごま) 一 薏苡(つすだま)  百廿三丁  一 罌子粟(けし) 一 大根(だいこん)        一 蕪菁(かぶらな) 一 菘(な)   百廿四丁  一 油菜(あぶらな) 一 芥子(からし)        一 胡蘿蔔(にんじん) 一 茄子(なすび)        一 菠䔖(はうれんさう)  百廿五丁 一 萵苣(ちさ)        一 莙薘(たうぢさ) 一 茼蒿(しゆんきく)       一 百合(ゆり) 一 葱(ねぎ)         一 韮(にら) 【枠外丁数】目十六 【「剌木」は「刺木」の誤ヵ】 【「菠䔖」は「菠薐」の誤ヵ】 【右丁頭書】 一 浪(なみ)よせ          百四十四丁 一 焼(やき)だこ 一 ふくさ芋(いも) 一 琉球(りうきう)みかん 一 浜(はま)みやげ 一 甘(あま)まひ          百四十五丁 一 ふくさあへ 一 きせ綿(わた) 一 精進(しやうじん)あはび 一 早青豆(はやあをまめ) ○菓子(くわし)のこしらへやう    《割書:百四十五丁|ヨリ》 一 かすていら 一 みそ松風(まつかぜ) 一 葛(くず)まんぢう 一 水蟾饅頭(すゐせんまんぢう) 一 同(おなじく)葛切(くずきり)         百四十六丁 一 薯蕷(じよよ)まんぢう 【左丁頭書】 一 すくひ羊羹(ようかん) 一 ようかん         百四十八丁 一 求肥飴(ぎうひあめ) 一 南京(なんきん)あめ 一 小倉野(をくらの) 一 養命糖(やうめいたう)          百四十九丁 一 餡(あん)の製法(せいほう) 一 砂糖蜜(さたうみつ)の製法(せいほう)      百五十丁 一 寒晒(かんさらし)の粉(こ)製法(せいほう)    已上目録畢 食療(しよくれう)の概略(あらまし)【四角で囲み】 飲食(いんしよく)は人の生命(せいめい)を保(たも)つもの にして一日も欠(かぐ)べからず至(いたつ)て 大切(たいせつ)の物ながらその性(せい)を審(つまびらか)にし その量(りよう)をはかりて用ひざれば 【右丁本文】 一 蒜(にゝく)         一 薤(らつけう) 一 薑(しやうが)        一 款冬(ふき) 一 独活(うど)        一 紫蘇(しそ) 一 芋(いも)         一 甘藷(さつまいも) 一 瓜(うり)         一 冬瓜(かもうり)  百廿八丁 一 番南瓜(ぼうぶら)       一 壷盧(ゆふがほ) 一 糸瓜(へちま)        一 西瓜(すゐくわ) 一 瓢(ふくべ)   百廿九丁  一 筍(たけのこ) 一 薯蕷(やまのいも)        一 甘蔗(さたう) 一 梅(むめ)   百三十丁  一 桃(もゝ)   百卅一丁 一 杏(あんず)         一 李(すもゝ) 一 梨(なし)         一 柿(かき) 一 蜜柑(みかん)  百卅二丁  一 香橙(くねんぽ) 【左丁本文】 一 金柑(きんかん)        一 柚(ゆ) 一 石榴(ざくろ)        一 葡萄(ぶどう)  百卅三丁 一 林檎(りんご)        一 栗(くり) 一 楊梅(やまもゝ)        一 無花果(いちじく) 一 蜀椒(さんしやう)        一 枇杷(びは)  百卅四丁 一 桜桃(ゆすら)        一 茶(ちや) 一 楮(かうぞ)         一 漆(うるし) 一 桑(くは)         一 木綿(もめん) 一 麻(あさ)   百卅六丁  一 藍(あゐ) 一 紅花(こうくわ)        一 烟草(たばこ)  ○畜蔵菜果類(ちくざうさいくわるい)第五(だいご) 一 青梅(あをむめ)を収(をさ)めおく法        百卅八丁 一 瓜(うり)茄子(なすひ)を貯(たくは)ふる法 【枠外丁数】目十七 【右丁頭書】 却(かへつ)て害(がい)となる事多し此(この)巻(まき)の 末(すゑ)に飲食(いんしよく)の事を出すが故に 聊(いさゝか)そのあらましを余紙(よし)に記(しる)し て老人(らうじん)小児(せうに)などの為(ため)にす ○凡(およそ)常(つね)の飲食(いんしよく)は淡味(たんみ)なる野(や) 菜(さい)の類(るい)を用ひて養(やしな)ふべし貴(き) 賤(せん)となく老少(らうせう)となく唯(たゞ)身命(しんめい) を養(やしな)ふものぞといふ事を忘(わす)れ ず飢(うゑ)ざるを限(かぎり)として止(やむ)べし美味(びみ) を好(この)み魚鳥(ぎよてう)酒餅(しゆへい)を大食(たいしよく)し 手足(てあし)をはたらかざれば病(やまひ)多く して必(かならす)短命(たんめい)なりされども脾胃(ひゐ) よわき人はをり〳〵魚鳥(ぎよてう)を用ひて そのよわきを助(たす)くべし一度(いちど)に多 く食(しよく)すべからず ○血気(けつき)盛(さかん)なる人/魚鳥(きよてう)酒餅(しゆへい)を 飽(あく)まで食(くら)ひ酒(さけ)を過飲(くわいん)すれば 【左丁頭書】 脾胃(ひゐ)を充満(じうまん)せしめ皮肉(ひにく)もこえ ふとるをよき事のやうに思へども 養生(やうじやう)の道(みち)には大にわろしたとへば 肥(こえ)たる地(ぢ)に糞汁(ふんじう)を沃(そゝ)ぎ過(すぐ)れば 草木(さうもく)のたけのび枝葉(えだは)盛(さかん)なれ ども却(かへつ)て根入(ねいり)あさく風雨(ふうう)に 堪(たへ)ず実(み)を結(むす)ぶ事も少(すくな)きが如し 魚(うを)鳥(とり)酒(さけ)の精(せい)にてこやし過(すぐ)れば 【挿絵】 【右丁本文】 一 山椒(さんしやう)を漬(つけ)る法        百卅八丁 一 蜜柑(みかん)を夏まで貯(たくは)ふる法 一 梨子(なし)をたくはふる法 一 柿子(かき)をたくはふる法 一 松茸(まつたけ)のたくはへやう      百卅九丁 一 青柚(あをゆ)のたくはへやう 一 塩辛(しほから)の味(あぢ)かはらざる法     百四十丁 一 筍(たけのこ)を貯(たくは)ふる法 一 鳥肉(とりのみ)を久(ひさ)しく貯(たくはふ)る法 一 林檎(りんご)をたくはふる法 一 冬瓜(かもうり)をたくはふる法      百四十一丁 一 牛蒡(ごばう)山葵(わさび)土筆(つく〴〵し)など貯る法 一 蓴菜(じゆんさい)海松(みる)をたくはふる法 【左丁本文】 一 葡萄(ぶどう)のたくはへやう 一 甜瓜(まぐはうり)を貯(たくは)ふる法 一 蕨(わらび)をたくはふる法       百四十二丁 一 瓜(うり)のたくはへやう 一 梅(むめ)柚(ゆ)柿(かき)梨(なし)のたくはへ様一方 一 青小角豆(あをさゝげ)の漬(つけ)やう       百四十三丁 一 金柑(きんかん)をたくはふる法 一 茄子(なすび)梨子(なし)を貯ふる法 一 干瓜(ほしうり)の仕やう 一 青柚(あをゆ)のたくはへ様一方 一 鰹節(かつをぶし)のたくはへやう      百四十四丁 一 暑中(しよちう)魚肉(うをのみ)をたくはふる法 一 桃(もゝ)をたくはふる法 【枠外丁数】目十八 【右丁頭書】 痰火(たんくわ)逆上(ぎやくじやう)し中風(ちうぶ)癰疽(ようそ)下血(げけつ) 痔漏(ぢろう)等の難症(なんしやう)となる事/必(ひつ)せり さればとて又/性(せい)虚弱(きよじやく)なる人は さやうにばかりもなりがたしたとへば 痩地(やせち)にこやしなくては草木(さうもく)も おひたゝずちゞみて枯(かれ)ゆくが如く なればほど〳〵に魚鳥(きよてう)を食(しよく)して その弱(よわ)きを補(をきな)ふべし俗人(ぞくじん)は養生(やうじやう) とさへいへばたゞ魚(うを)鳥(とり)の類(るい)を食(くは) ぬことゝのみ覚(おほ)えたるはさる事な がら又/一偏(いつへん)なる事也 ○人々/好物(こうぶつ)【「う」不鮮明】とて愛(あい)する物あり その一種をのみ朝夕(あさゆふ)にくらひて 数日(すじつ)止(やむ)る事なきは末(すゑ)に至りて 病(やまひ)を生ずべし菜(さい)肉(にく)ともに偏食(へんしよく) なきをよしとす ○味噌(みそ)醬油(しやうゆ)酢(す)酒(さけ)の類(るい)は古(ふる)きを 【左丁頭書】 用ゆべし新(あたら)【「ら」重複に気付き止めたヵ】らしきは湿熱(しつねつ)生じやす く痰飲(たんいん)犯(おか)し易(やす)し ○諸書(しよ〳〵)に能(のう)をいへる食物(しよくもつ)も生冷(せいれい) の物は毒(どく)となる事/多(おほ)しさればとて 余(あま)りに熱(ねつ)せしめて食(くら)ふもよからず よく熟(じゆく)したるを少しさまして食(くら)ふ べし鮓(すし)鱠(なます)の類は病人(びやうにん)には用捨(ようしや) あるべし ○甚(はなはだ)飢渴(きかつ)するを堪忍(たへしの)ぶべからず 脾胃(ひゐ)虚(きよ)して気(き)を損(そん)ず寒暑(かんしよ)の 時は殊更(ことさら)に用心すべし旅中(りよちう)など は殊に心をつけて飢渇(きかつ)すまじ きなりすべて寒中(かんちう)土用中(どようちう)など は食物(しよくもつ)をえらびよきほとに食(くら)ひて 身(み)を養(やしな)ふをよしとす老人(らうじん)小児(せうに) 病人(びやうにん)などは別(べつ)して心(こゝろ)を尽(つく)して氷(こほ)り たる物/臭(くさ)れたる物を食(くら)ふべからず 【右丁本文】 一 大根(だいこん)をたくはふる法 一 栗(くり)を貯(たくは)ふる法         百四十五丁 一 餅(もち)を久(ひさ)しく貯ふる法 一 霜柿(つるしがき)をたくはふる法 一 万年浅漬(まんねんあさつけ)の方 一 栗(くり)のたくはへやう一方 一 蕃椒(たうからし)のたくはへやう     百四十六丁 一 紅生姜(べにしやうが)のつけやう 一 柑子(かうじ)をたくはふる法 一 初茸(はつたけ)の漬(つけ)やう 一 塩(しほ)ぬきの法          百四十七丁 一 梅干(むめぼし)の法 一 梅(むめ)びしほの方 【左丁本文】 一 煎梅(いりむめ)の方 一 あちやら漬(づけ)の方        百四十八丁 一 南蛮漬(なんばんづけ)の方 一 金山寺味噌(きんざんじみそ)の方 一 柚(ゆ)びしほの方         百四十九丁 一 ひしほの方 一 柚(ゆ)べしの方 一 越瓜(しろうり)を青(あを)きながら貯(たくはふ)る法 一 奈良漬(ならづけ)の方          百五十丁 一 丸山(まるやま)びしほの方 一 白柿(つるしがき)の貯(たくは)へやう《割書:|并(ならびに)》あはせ柿(がき)の法 【枠外丁数】一 【右丁頭書】  【挿絵】  【赤角印 帝國圖書館蔵】 【左丁頭書】  【挿絵】 【右丁本文】 《題:《割書:民家(みんか)|日用(にちよう)》広益秘事大全(くわうえきひじだいぜん)巻上(まきのじやう)》  奇巧妙術類第一【四角囲み】  ○書物(しよもつ)を虫(むし)のはまざる法  一 書物(しよもつ)の間々(あひ〳〵)へ朝㒵(あさがほ)の葉(は)または実(み)を紙(かみ)に つゝみて入(い)れおくべし此方(このはう)すぐれてよし  ○書物(しよもつ)の潮(しほ)につかりたるを直(なほ)す法 一大なる桶類(をけるい)に水をいれ塩(しほ)を少し加(くは)へて 書物(しよもつ)の表紙(ひやうし)をはづして水に浸(ひた)ししづかに 潮(うしほ)をあらひ出して板(いた)にて上下(うへした)よりつよく はさみ押(おし)をかけおき其後(そのゝち)にほすべし干(ひ) 【左丁本文】 たる時/打盤(うちばん)にてむらなくうてば皺(しは)おのづから のびてもとのごとし  ○水草(みづくさ)を久しく活(いけ)おく法 一/蓮(はちす)河骨(かうほね)沢桔梗(さはぎきやう)などの水草(みづくさ)を活(いけ)んと おもはゞ先(まづ)糸(いと)にて根(ね)をくゝり其下より 切るべし水をふくみて久しくしをれず 二三日にしてしぼむ花(はな)も十余日(じうよじつ)はたもつ べきなり  ○銀箔(ぎんはく)の色(いろ)かはらぬ押(おし)やう 一/銀箔(ぎんはく)をおしたる上に礬水(どうさ)をうすく引 べし久しくさびず  ○毛(け)の類(るい)を染(そむ)る法 一/馬(むま)の毛(け)を早稲藁(わせわら)の灰汁(あく)にてよくあらひ  【枠外丁数】二 【右丁頭書】  心易(しんえき)星宿(せいしゆく)占卜(うらなひ)類(るい) 【四角囲み】 凡(およそ)卜占(うらなひ)は事(こと)を行(おこな)はんとする 時に疑(うたがは)しき事ありて決断(けつだん) しがたきを吉凶(きつきよう)を考(かんが)へて 決断(けつだん)する時に用ゆる事なり されば身(み)を清(きよ)め心(こゝろ)を浄(きよ)め て慎(つゝし)みて天地(てんち)の神明(しんめい)を拝(はい) し奉り又おの〳〵信(しん)ずる処の 神仏(かみほとけ)などへ深(ふか)く祈誓(きせい)して 其/神託(しんたく)を承(うけたまは)り奉るやうに すべき事なりされば一時(いちじ)の 慰(なぐさ)みなどにするものには非(あら)ず また悪(わろ)き事のあればとて 幾度(いくたび)も占(うらな)ひ直(なほ)しなどする ときは倍(ます〳〵)疑(うたが)ひをかさねて 【左丁頭書】 惑(まど)ふべきなればたゞ一度に てさてやむべしさて占筮者(うらなひじや)の 専(もつは)ら用るは周易(しうえき)の六十四/卦(くは)にて する事なれどそれは甚(はなはだ)大造(たいそう) なる事にてよく小冊(せうさつ)に尽す 事にあらずされば唯(たゞ)昔(むかし)より 有来りたる簡易(かんい)【左ルビ ヤスイ】なる法を こゝに挙(あげ)て民家(みんか)日用の一助(いちじよ) とす簡易(かんい)なればとてその 占文(うらかた)のあたらぬといふ事はなき ものなればよく〳〵其身(そのみ)の上其 事に引あてゝ考(かんが)へ見るべし さて又/卜(うらな)ひたる処に大小わろき 事ありともさのみおどろくへから ずよき事ばかりありとも又さ のみ喜(よろこ)ぶべからず畢意(ひつきよう)は銘(めい)々 善悪(ぜんあく)のおこなひに仍(より)て善(よき)も 【右丁本文】 米泔汁(しろみづ)に三日ほど漬(つけ)おき水にてよく洗(あら)ひ 日にほして後/染(そむ)べし染汁(そめしる)は蘇木(すはう)百目/肥松(こえまつ) 十匁/熊笹(くまざゝ)の葉(は)十/枚(まい)入(いれ)よく煎(せん)じ塩(しほ)十匁/醋(す) 少くはへぬる湯(ゆ)かげんにして染(そむ)べし熱(あつ)きは悪(わろ)し 但(たゞし)二日ほどつけ置/取出(とりいだ)し色(いろ)あひを見日に よくほし三日ほど過(すぎ)て水にてさら〳〵と洗(あら) ふべし青(あを)く染るには緑青(ろくしやう)を醋(す)にてとき少し せんじ底(そこ)にゐつかざるやうにかきまはし少し さまして染(そむ)べし牛(うし)の毛(け)尤(もつとも)よくそまる  ○銅器(どうき)のさびたるを洗(あら)はずして落す法 一 唐金(からかね)銅(あかゞね)の道具(だうぐ)器物(うつはもの)の金物(かなもの)さびたるはその さびたる処へ米粘(こめのり)のつよきをつけ紙(かみ)にてはり 日にほして乾(かわ)かし置そのゝち紙(かみ)をとるべしさび 【左丁本文】 粘(のり)にうつりて残(のこ)らずおつる也  ○暑中(しよちう)食物(しよくもの)の貯(たくは)へやう 一 夏(なつ)の比(ころ)煮(に)たる物をたくはふるには番椒(たうがらし)をそ の食物(しよくもつ)の上におくべし臭気(しうき)【左ルビ クサミ】つかず 【挿絵】  【枠外丁数】三 【右丁頭書】 悪(あし)きとなり凶(あし)きもよくなる 事あれば唯(たゞ)ふかく慎(つゝし)みて信心(しん〴〵) して怠(おこた)るべからず然(しか)らばたとひ 凶(あし)き卦(け)に中りたるも吉くなる べき事/疑(うたが)ひなし  ○八卦(はつけ)のくりやう 八卦のくりやう色々ありといへ ども道具(たうぐ)のなき所にては心易(しんえき)の 法をよしとすその見やうは先(まづ) 占(うらな)はんとする時の年月(としつき)日時(ひとき)の すべての数(かす)を合せて八にて払(はら)ひ その残(のこ)る数を卦(け)の数にあてゝ 見るなりたとへば子(ね)の年二月 十五日六ッ時に占(うらな)ふならば子の 年一ッ《割書:年はえとの数にて|子一ッ丑二ッと定むべし》二月二ッ 十五日十五六ッ時六ッ合せて廿 【左丁頭書】 四あるを三八(さんはち)二十四とする時は一ッ あまる是/乾(けん)の卦(け)なりとしるべし 八の数に余(あまり)なきは坤(こん)の卦(け)なり扨 その卦(け)の下にて其(その)占(うらな)ふ事をくり 出して見るべし八卦(はつけ)の名は次(つぎ)にいふが                ごとし 【挿絵】 【右丁本文】  ○新(あたら)しき刃物(はもの)を古(ふる)びさする法 一 新(あたら)しき小刀(こがたな)の表(おもて)に鼠(ねずみ)の糞(ふん)をぬり醋(す)を入 たる桶(をけ)のうへにわたし一夜(いちや)醋(す)の気(き)をうけし めて後/削(けづ)りされば古刀(こたう)のごとし  ○錫(すゞ)の器(うつは)くもりたるを磨(みが)く法 一 錫(すゞ)の道具(だうぐ)くもりたるは砥(と)の粉(こ)又/石灰(いしばひ)にて みがくべし又/古(ふる)き木綿(もめん)ぎれにてみがくもよし  ○器物(うつはもの)のわれたるを跡(あと)なくつぐ法 一 塗物(ぬりもの)の木具(きぐ)又は磁器(やきもの)にてもわれたるをつ ぐには汞粉(はらや)を小麦(こむぎ)の粉(こ)にくはへ鶏卵(たまご)の白(しろ)み にてねり合せてつぐべし跡(あと)なくして永(なが)く はなれず  ○瓦石(ぐわせき)の類(るい)継(つぎ)てはなれざる法 【左丁本文】 一 楡(にれ)の木の白皮(しらかは)をとり湿(しめ)し搗(つき)て糊(のり)の如く なし石瓦(いしかはら)のたぐひをつげばきはめて強(つよ)く してはなれず硯石(すゞりいし)石灯籠(いしどうろ)などをつぐ にも甚(はなはゞ)よろし  ○漆(うるし)ぬり物かけたるを繕(つくろ)ふ法  一 古(ふる)き布(ぬの)ぎれを細(こま)かに剉(きざ)み漆(うるし)によくまぜ合 せたるを以てつぎ合せよく乾(かわ)きたる時/継(つぎ) 目(め)より出たる漆(うるし)を小刀にてこそげ取こくそを かひ又/乾(かわか)して木賊(とくさ)にてみがきその上を漆(うるし)に てぬるべし色(いろ)は好(このみ)にしたがひ漆にあはせて ぬるなり  ○青梅(あをむめ)を久しく貯(たくは)ふる法 一 青梅(あをむめ)の枝(えだ)を折(をり)葉(は)も実(み)も藁(わら)にてぐる〳〵  【枠外丁数】四 【右丁頭書】  ㊀ 乾(けん) ○見物は尊(たつと)き物。剛(こは)き物。果(このみ)。骨(ほね)。 四足あるもの。天(てん)。光り物。足なへ。 ○聞事は実(まこと)にあらず。主(しゆ)親方(おやかた) 師匠(ししやう)の前を人の支(さゝ)へたるかたち。 ぬす人のさた。いつはり事○得(え) 物は惜(をし)むくひ物。武具(ぶぐ)。丸き もの。辛(から)き物○待人(まちひと)は。定 まらず。戌亥の日来るべし。 北西より来るべし○怪事は 光り物。烏(からす)。犬。狐のわざ。 物おきか。厠(かはや)にての事なるべし。 ○失物(うせもの)は なし。盗人(ぬすびと)取也。 金物。食物。衣類。鏡(かゞみ)。丸き物。 刃(やいば)。冠(かんふり)の類。○願事は 成就(しやうじゆ) しがたし。身上(しんしやう)の望(のぞみ)ありて日天(につてん) に願をかくれども凶(わろ)し○出行は 【左丁頭書】 【挿絵】 あきなひはわろし。口舌(くぜつ)。ぬす人に あふ。人に逢にゆくにもわろし。 西北へゆくはよし。○沙汰(さた)詫言(わびごと)は そら事をいふ。けしきすさましき 人なるべし。○病人は頭面(づめん)の病 熱気(ねつき)おこりさめて有。足なゆる 事あり。 丙(ひのへ) 丁(ひのと)巳(み)午(むま)の日を慎(つゝし)む 【右丁本文】 巻(まき)にし別(べつ)に梅(むめ)をむきて水につけ醋(す)を出し その醋(す)一升に寒(かん)の水(みづ)一升五合まぜて漬(つけ)おく べし入用の時とり出し水に生(いけ)かゆへし葉(は)も 実(み)も落(おち)ずしてよくたもつ也  ○鹿角(しかのつの)を和(やは)らかにする法 一 鹿角(ろくかく)を細工(さいく)につかふ時/鯔(ぼら)の骨(ほね)にても肉(にく)にて も少し入て煮(に)るに和(やは)らぐ事妙なり好(この)みに したがひて形(かたち)を作るべし  ○煎酒(いりさけ)を俄(にはか)にこしらへる法 一 生酒(きざけ)五合に白大豆(しろまめ)一合半/白柿(つるしがき)七ッ八ッ茄(なす) 子(ひ)香物(がうもの)一ッ入/急(きふ)なる時は焼火(たきび)にて煎(せん)じ出すに 鰹(かつを)ぶしをいれて煎(せん)じたるよりは一段(いちだん)風味(ふうみ) よろし 【左丁本文】  ○悪水(あくすい)を清水(せいすい)となす法 一もし上水なき所(ところ)にては悪水(あくすい)をとりしば〳〵 煮沸(にわか)してすまし置/冷(ひゆ)るにしたがひ泥滓(どろかす)を去(さり) また是を煮(に)れば清水となる也  ○餅(もち)にかびのわかぬ搗(つき)やう 一 餅米(もちごめ)壱斗の中へ氷砂糖(こほりざたう)壱両とり水の 中へいるればいつまでもかび出ず  ○すき油の方 一 胡麻油(ごまあぶら)一合に生蠟(きらう)六匁入てねるべし但(たゝ)し これは十月より正月までの方也四月より八月 までは蠟(らう)を二匁ましてねる也又方 一 石膏(せきかう)二斤/薩摩蠟(さつまらう)五斤/種白(たねしろ)しぼり《割書:一ばい|》 但し油(あぶら)壱升のかけめ四百五十目のつもりの割(わり)  【枠外丁数】五 【右丁頭書】 べし。日天あみだ八幡のと がめ。四足(しそく)のたゝり。女の生(いき)れう ○夢見(ゆめみ)は水へん。老人。盗人。 大郡。高き処。こはゝすみやか なる者也。四足の物。おそろしき 体なるべし  ㊁ 兌(だ) ○見物は金物。かけたる器(うつは)物。 小女。魚。鳥。穴虫(けつちう)のるい也○聞 事は実なる事。喜悦(きえつ)なる事。 口舌。兄弟。下人。女の事也。 ○得物はあり。金物。書物。器 物。欠(かげ)たる物。色白きもの○ 待人は酉の日か二四九の日来る。 にしより来る。○怪事(けじ)は鶏(にはとり) のよひ鳴。鳥(とり)家内(いへのうち)へとび入か。 【左丁頭書】 虫のわく事。○失物はなし。 然れども丑寅の方の女が取ば 半分は有べし。印判。書物。 脇ざし。小刀。衣物。つかひ道具。 ○願事は半吉なり。兄弟か。 妻かさては口(くち)の芸(げい)。手をかく 事か。三ヶ月/不動(ふどう)に立願(りうぐわん)して吉 ○出行は病事あり。商(あきな)ひは悪し。 西のかたへゆくはよし○病事は 大病なり。長びくべし。鼻(はな)を すゝりしはぶきして息(いき)急(きう)にむね くるしき病。三ヶ月/不動(ふどう)の咎(とがめ)。 欲(よく)とくに付て出家山伏下人 の死りやうつるぎの霊ありと しるべし○夢事は本尊。 山伏。水辺。沢辺。鳥。さては 人のかたより物をもらひて悦ぶ 【右丁本文】 【挿絵】 合にねる也/油(あふら)は胡麻(ごま)より白絞(しらしぼ)りのかた光沢(つや)を 出してよろし石膏(せきかう)は細(こま)かなるをよしとす唐(から)のは いよ〳〵よしこれは油のかたまりよきゆゑなり ねり様(やう)は石膏(せきかう)を鉢(はち)にいれ蠟(らう)と油(あぶら)とをよく たき其中へ少し入かきまはしおきかたまる時分(じぶん)は 鉢(はち)のふち目(め)はなれする時あとより又/蠟(らう)と油の 【左丁本文】 たきたるをいれよくさましおく也  ○花(はな)の露(つゆ)方 一にほひ油(あぶら)一合に生蠟(きらう)五匁/竜脳(りうのう)一分入て ねる也/蠟(らう)に時候(じこう)の加減(かげん)あるべし  ○褐色(ちやいろ)の無地(むぢ)に紋所(もんどころ)付る法 一 褐色(ちやいろ)の衣服(いふく)紋(もん)なきに紋(もん)を付んとおもはゞ その紋所(もんどころ)たけ橙実(だい〳〵)のしぼり汁をつけて 乾(かわか)すればその所たけ白地(しらぢ)となるをよく〳〵 つくろひて上絵(うはゑ)をかくべし  ○角類(つのるい)を染(そむ)る法 一 磁器(やきもの)にて小むぎの醋(す)にて紅(べに)をとき紅(べに)一匁 に生塩硝(しやうえんせう)五分入れ炭火(すみび)にかけ紅(べに)烹(にえ)あがり たる時/象牙(ざうげ)或は鹿角(ろくかく)馬骨(ばこつ)鯨(くぢら)の白骨(しらほね)の類  【枠外丁数】六 【右丁頭書】 【挿絵】 体(てい)なり ㊂ 離(り) ○見物は中女。牛馬。狐(きつね)。雉子(きじ)。 亀(かめ)。蟹(かに)。蜂(はち)。火事(くわじ)。葬礼(さうれい)の類 ○聞事は生きたる物をころす 沙汰か。高位の人のわざはひか。 【左丁頭書】 いづれにても口舌事也。○得物 はなし。金物。食物。うつはもの。 牛馬。木竹の類也。○待人は 午の日か三二七の日来るべし。 南よりきたる○怪事は電(いなづま) 血刀(ちがたな)。鳴物。炉(ろ)に物のはえたるか。 釜の鳴。○失物はなし。西方の 男取去るなりつよくせんさく すれば半分はかへる。文書。金物。 武具(ぶぐ)。色あらきもの。○願事は 廿三夜の月。稲荷(いなり)を信心(しん〴〵)して よし深(ふか)く念(ねん)ずれば何事も成(じやう) 就(じゆ)することもあるべし○出行は ゆくべし。南へゆくによろし。船は 行べからず。ゆきたるさきにて 火事口舌ぬす人を慎(つゝし)むべし ○沙汰(さた)詫言(わびごと)ははやく埓(らち)あく也 【右丁本文】 を染(そむ)るに色(いろ)大に紅(くれなゐ)になるなり  ○紙(かみ)に金砂子(きんすなご)をまく方 一 先(まづ)箔(はく)を切て箔(はく)篩(ふるひ)にいれ置/砂子(すなご)蒔(まく)べき 紙(かみ)に海蘿(ふのり)を引(ひき)篩(ふるひ)の切箔(きりはく)をふりかけさて 紙をあてゝそつとなでつけ乾(かわか)すべしかわき たる時/羽箒(はばうき)にてはくなり  ○取直(とりなほ)しがたき物に砂子(すなご)をおく法 一 張付床(はりつけどこ)などの取(とり)なほしがたき物に砂子(すなご)を まくには別(べつ)の紙(かみ)を油気(あぶらけ)ある綿(わた)を一重(ひとへ)紙(かみ) にてつゝみたるにてかろくなで切箔(きりはく)にても もみ箔(はく)にてもその紙(かみ)にまけば油気(あぶらけ)ある故 に箔(はく)の紙につくを砂子(すなご)まくべき所を常(つね)の ごとく糊(のり)を引右の砂子まきたる紙(かみ)を持行(もちゆき) 【左丁本文】 おしあてそとなでゝ紙をとるべし  ○雨障子(あましやうじ)に油(あぶら)を用ひざる法 一 蘿蔔(だいこん)あるひはかぶらの絞汁(しぼりしる)を用ひて紙(かみ)に 引ときは色つかずして雨水(あまみづ)を防(ふせ)ぐなり蠟(らう)を ひくは三四年も損(そん)せずされど点(てん)じたる跡(あと)あ りてよき所には用ひがたし  ○雨障子(あましやうじ)を繕(つくろ)ふに粘(のり)つかざるを付る法 一 雨障子(あましやうじ)の類ふるきには粘(のり)つかぬ物なり 其時は粘(のり)の中へ生姜(しやうが)のしぼり汁を加ふべし 粘よくつきてはなれず  ○革(かは)のよごれたるを洗(あら)ふ法 一 革(かは)の類(るい)垢(あか)つきたるをあらふには糯糠(もちぬか)にて もみあらひ糠(ぬか)を去(さら)らずして干(ほし)てもむべし和(やは)  【枠外丁数】七 【右丁頭書】 明らかなるうつたへなるべし○ 病事は目のやまひ。心の病ひ。 上焦(じやうせう)ねつ病。舌。口びる。夏の 卜(うらな)ひならば伏暑(ふくしよ)といふべし。壬 癸又亥子の日をつゝしむべし。 観音(くわんおん)廿三夜の月を信心す べし○夢は中女。火事。 血の類。葬礼(さうれい)。牛馬。けんくわ 口論。旅の心かさては狐(きつね)など の住やしろへ参詣(さんけい)のこゝろか。 苦(にが)きものを食ふ類 ㊃ 震(しん) ○見物は長男(ちやうなん)。児(ちご)。医者(いしや)出家 堂寺(だうじ)。茶酒。小鳥。蛇(へび)。いそ がしき市○得物はあり。半吉。 書。けさ衣。米。草木の類。 【左丁頭書】 ○待人は二人か四人か八人か三 人かなり。東より来る。卯(う)の日 きたる。○怪事は竜蛇(りうじや)。光(ひかり)物。 諸鳥。いづれも鳴物なり。雷(かみなり) 木(き)折(をる)事か○失物はなし。人の ぬすみし也つよくせんさくすれば 出るなり。東(ひがし)の方木の下をみる べし。書物。丸きもの。衣類。 茶酒の道具也。○願事は吉。 身上かへたき心か。出家は堂塔(たうとう) を建立(こんりう)の望みか○出行はあき なひにゆくは半吉也。当(あて)にして ゆく事のかはる心あり○沙汰詫 言は半吉也。あつかひ人の心 かはりて驚く事あれども吉 なり。公事(くじ)は健(すくやか)なり○病は 肝(かん)の臓(ざう)の病。足のやまひ。 【右丁本文】 らぎて垢(よごれ)落(おつ)る也又/革類(かはるい)水につかりてこはく なりたるには酒(さけ)を革(かは)のしめりわたるほど 吹(ふき)かけ畳(たゝみ)の下に敷(しき)つけおき乾(かわ)きたるとき 取出しよくもむべし和(やは)らかになるなり  ○庖丁(はうてう)のなまぐさきを去(さ)る法 【挿絵】 【左丁本文】 一 庖丁(はうてう)のなまぐさきは生姜(しやうが)の葉にてよく するべし腥気(なまくさけ)さつそくに去る  ○糊(のり)にて張(はり)たる物を鼠(ねずみ)の喰(くは)ざる法 一 粘(のり)の中へこんにやく玉を少し加(くは)へてはれば 鼠(ねずみ)くはず又/竈(かま)の灰(はひ)をまぜるもよし  ○衣服(いふく)あぶら垢(あか)おとしやう 一 衣服(きもの)のあぶらあかは飯(めし)を包(つゝ)み水にてもみ つけあらふべし其後(そのゝち)清水(せいすい)にてあらひおとせ ばよくおつる事妙也  ○旅中(りよちう)などにて寒気(かんき)をふせぐふとん   のこしらへやう 一 藁(わら)のはかまをよくやはらげて蒲団(ふとん)の中へ 入おけば一枚(いちまい)にても寒気(かんき)をふせぐへし又/白鳥(はくちやう)  【枠外丁数】八 【右丁頭書】 庚辛の日をつゝしむべし。出 家女のおもひ也。東のかたに住 もの也○夢は雷竹林山木 しげり栄ゆる所。楼閣かなり。 又/酸(す)きものを喰ふか ㊄ 巽(そん) ○見物は長女。出家。びくに。 【挿絵】 【左丁頭書】 【挿絵】 鶏(にはとり)海川也○聞事は海川。 船。商売(しやうばい)。旅行(りよかう)のさた也○得物 は半吉なり。食(しよく)物。薬物。縄(なは)。 すぐなる物。竹木の器(うつは)物。袋(ふくろ)に 入たる物なるべし○怪物は飛(とぶ)物か。 には鳥。虫鳥の類也○失物は有。 東南のすみ又山をたつぬべし ○願事はよし。田地(でんぢ)。商ひ。 【右丁本文】 の腹毛(はらけ)をも入べし甚(はなはだ)和(やは)らかにて寒を防(ふせ) ぐなり衣服(いふく)脚半(きやはん)などに入てもよし  ○玳瑁(たいまい)の類の油をぬく法 一たいまいの類(たくひ)櫛(くし)笄(かうがい)をあらふにあつき湯(ゆ) にて洗(あら)ふべからず肥皁(ひさう)【皂は俗字】を冷水(ひやみづ)にて挼(もみ)て洗(あら)ふ べし次(つぎ)に水ばかりにてあらひ又水に塩(しほ)を入て ふたゝびあらふべし如此(かくのごとく)すれば色を出して 光沢(つや)をおとさず新(あたら)しくなる也  ○焼物(やきもの)に穴(あな)のあけやう 一 磁器(やきもの)に穴をあくるには金剛砂(こんがうしや)を一つまみ 其所におきて杉木(すぎのき)のきりにてもむべし ひたともめばあなあくなり  ○箪司(たんす)【笥】挟箱(はさんばこ)などに脂(やに)出るをとむる法 【左丁本文】 一 檜(ひのき)にて作(つく)りたる道具(だうぐ)類/新(あたら)しきうちは脂(やに) いづるもの也用ひざる内に藁(わら)をいれおきその わらに脂(やに)つきたるを取さりて後(のち)物を入るべし しゆんけい塗(ぬり)などにも出ることあり綿(わた)に油(あぶら)を つけ火にてあつくあぶりて拭(のご)ふべし外のもの にてはおちぬなり  ○早根刃(はやねたば)のあはせやう 一 刀(かたな)の刃(は)を此方(こなた)へ向(むけ)ておし立左の手に鋒(きつさき)を もちなるほどよき剃刀砥(かみそりど)を厚(あつ)さ二分ばかりにし て右の手に持(もち)唾(つば)を用ひて剣背(みね)の方(かた)へおすべし 猶予(ためら)ひて手のうちなづむときは刃(は)つかず 刀(かたな)のために砥(と)の削(けづ)れるほどに急(きふ)に刃(は)を付べし さて指面(さしおもて)に刃(は)付たる時/指裏(さしうら)は刀(かたな)を倒(さかしま)に鋒(きつさき)を  【枠外丁数】九 【右丁頭書】 婚姻(こんいん)也○出行はよし。商ひ。 旅の懸(かけ)。海川吉也/殊(こと)に東南へ ゆきてよろし但(たゞし)秋はわろし○ 沙汰詫言は半吉なり尼出家 をたのみてよし。訟(うつたへ)はやはらぐる によし。他人のせめに逢ふを慎 むべし○病は長びくべし。腫(しゆ) 物。疱瘡(はうさう)。股(もゝ)肱(ひぢ)のやまひ。風の やまひ。中風(ちうぶ)。寒(かん)を感(かん)ずる病。 水神/荒神(くわうじん)のたゝり。出家女の 一念など也。辰巳のかたに住て をるなり○夢は諸鳥か。旅の てい。富貴(ふうき)の体。青きものか。 すき物を食ふか也 ㊅ 坎(かん) ○見物は雪。霜。露。水辺。 【左丁頭書】 井 泉(いづみ) 魚 出家 舎利(しやり)なり ○聞事は身上の事。妻子(さいし)の 事。出家の事也○得物は有。 すこしおそし。酒のうつは物。水 の道具。衣類/米(こめ)○待人は 来れども中途(ちうと)にとゞまる事 あり。子の日か北方よりならば 来るべし○怪事は寝所(ねどころ)に 血(ち)の骨(ほね)かある也。又は生れ子を 四足の物かくはゆるか○うせ物は あり。水辺(すいへん)か穴の中に有。足に はく物か。食物。四ッ足。○願事 は吉。身上の望みなるべし。観(くわん) 音(おん)をいのりてよし○出行は遠(とほ) くゆくはわろし。北へゆくはよし。 舟にてゆく所もよし。行たる先 にて盗(ぬす)人を用心すべし○病は 【右丁本文】 下になし物(もの)に押立(おしたて)て右のごとく一拍子(ひとひやうし)に ずい〳〵と刃(は)を付べし鈍刀(どんたう)にても一旦(いつたん)は切(きれ)ず といふ事なし  ○百里(ひやくり)一足(いつそく)の草鞋(わらづ)の法 一 鯨(くじら)のひれを冬ならば五十日/夏(なつ)ならば三十日 泥(どろ)の中へつけ置て後取出し槌(つち)にてよく打 くだきて苧のごとくやはらかにしこれにて草(わら) 鞋(づ)をつくれば百里(ひやくり)はゆくべし但(たゞし)木綿(もめん)のさし たるをあてゝはく也  ○雨風(あめかぜ)に消(きえ)ぬ炬火(たいまつ)の法 一 桜(さくら)の皮(かは)を厚(あつ)くへぎ硫黄(いわう)を焼酎(しやうちう)にてとき 二遍(にへん)ほどぬりて日にほしつけ松明(たいまつ)につくれば 風雨あらき時も消(きゆ)ることなし又/葭(よし)四五/本(ほん)に 【左丁本文】 木綿(もめん)をまき松脂(まつやに)をぬりほしつけ束(つが)ねて 炬松(たいまつ)とすれば雨にも消(きゆ)る事なし  ○同/蠟燭(らうそく)の法  一 膽礬(たんはん)《割書:八匁|》樟脳(しやうのう)《割書:五匁|》松脂(まつやに)《割書:十匁|》硫黄(いわう)《割書:三匁|》  焰硝(えんしやう)《割書:五分|》 右/蠟燭(ろうそく)のごとくかためて先(さき)に口薬(くちぐすり)を少し 【挿絵】  【枠外丁数】十 【右丁頭書】 心の病。腹の下り。耳(みゝ)のなる。腰(こし) のいたみ。寒のとがめ。腎(じん)をもら す久しき持(ぢ)病。やまひ下部(げぶ)に有。 又はつらくあたりし人女の念(ねん)と しるべし。観音いなりを信すべし ○夢は岸よりおつる体。きつね。 いたち。蛇 生れ子。水辺に死た るを見たるゆめ也 ㊆ 艮(ごん) ○見物は少男。霧(きり)。島(しま)。山。家(いへ)。 石城。墳墓(はか)○聞事は婚姻(こんいん) のなりがたき噂か。山伏。女。祢宜(ねぎ) 金物のさた○得物はあり。 金物。衣類。雑穀(ざこく)。瓜(うり)。果(このみ)。石。 土。土中の物なるべし○待人は はやく来る。又丑寅の月日七 【左丁頭書】 五十の数の月日来る。東北よ りきたるべし○怪事は鼠(ねずみ)。猫(ねこ)。 家の柱(はしら)鳴(な)るか。棟木(むなぎ)折るか也。○ 失物はなし。女の手に有。土の器 【挿絵】 【右丁本文】 入れともすべし水をかけても消(きえ)ず  ○一寸(いつすん)八里(はちり)炬火(たいまつ)の法 一くぬぎの木を百目ほど池水(いけみづ)にひたし置て 後こまかにたゝき砕(くだ)き炬火(たいまつ)にすれば一寸にて 八里は行べし但(たゞし)四寸廻りの積(つも)りなり  ○幾夜(いくよ)寝(ね)ずしても気力(きりよく)衰(おとろ)へざる方 一 昼夜(ちうや)寝(ね)ざる事/連日(れんじつ)なれば気力(きりよく)つかれて 事をつとめがたし此時/牡蠣(かき)の殻(から)を粉(こ)にし てのむべし疲(つか)るゝ事少しもなし  ○鍋釜(なべかま)の鉄気(かなけ)をぬく法 一 鍋(なべ)の中にて藁(わら)をたき灰(はひ)となしさまし 置て後/灰(はひ)を取去(とりさ)り鍋(なべ)の内へ油(あぶら)をぬり竈(かまど) の下にぬる火を置て油気(あぶらけ)を乾(かわ)かすべし 【左丁本文】 かくの如くして即時(そくじ)に用るに鉄気(かなけ)少しも出 る事なし  ○油(あぶら)に水気(みづけ)あるを防(ふせ)ぐ法 一 燈油(ともしあふら)に水気まじりはぢけて火(ひ)消(きえ)んとする 時ともし口の燈心(とうしん)に塩(しほ)を少しおけば忽(たちまち)に止(やむ)也  ○白鑞(しろめ)を製(せい)する方 一 鉛(なまり)《割書:壱斤|》唐錫(たうすゞ)《割書:十両|》をふきわりて和すれば しろめとなる  ○真鍮(しんちう)を色(いろ)白(しろ)くする法 一 米醋(こめず)梅醋(むめす)拓榴醋(じやくろす)柚醋(ゆず)四味ひとつに和(まぜ)て 砥(と)の粉(こ)をときてみがけば真鍮(しんちう)銀(ぎん)のごとくなる  ○真鍮(しんちう)金銀(きん〴〵)の類の器物(うつはもの)をあらふ法  一 真鍮(しんちう)金銀(きんぎん)鍍(めつき)などの器(うつは)久しくよごれたるは  【枠外丁数】十一 【右丁頭書】 物の類なり。ぬすみ手は初めは しれず後にしるゝ也○願事は よし。家やしき。土石。金物。瓜。 木の実(み)の類。○出行は遠方へ ゆくはよろしからず阻(へだて)あり。山か 陸(りく)をゆくにはよろし。南は吉と しるべし○沙汰詫言はよし。 しかし貴人へだつる事有。引連(ひきつゞき) て二度めほどに埓(らち)あく也○病 事は手指(てゆび)の病。脾肺(ひはい)の病。唇(くちびる) かわきて不食す。女は産後(さんご)のわ づらひ也。女の念あるべし。年徳(としとく) 神 山の神のとがめもあるべし。 信心すべし○夢は雲。山。丘(をか)。 墓(はか)。少男。大/虎(とら)の類也。また 甘(あま)きものを食(くら)ふ事もあり。又 山に登(のぼ)る事のたぐひなるべし 【左丁頭書】 ㊇ 坤(こん) ○見物は霧(きり)。田野。老女。農(のう)人 肥(こえ)たる人。布綿。五穀。輿(こし)。釜。 ○聞事は田地(でんぢ)。土橋。倉(くら)。母の 便宜(べんぎ)をきくか。公事(くじ)沙汰か。人の 腹立るをきく也○得物はあり。 金物。糸類。笋(たけのこ)。山の芋(いも)。五穀 のたぐひなるべし○怪事は牛。 狐。からす。百獣(ひやくじう)。衣に血(ち)かゝる也 ○うせ物は有。日の中に尋(たづ)ぬべし 品あしくなるとも半分は出べし。 古着(ふるぎ)。金物。食物。四角(しかく)なる物。 やはらかなるもの。袋(ふくろ)に入たる物也 ○願事よし。知行(ちぎやう)。倉。田畠(たはた)。 牛馬の望なるべし○出行は 西南へはよし。里(さと)に利あり。陸(くが) 【右丁本文】 たやすく落(おち)ぬもの也/醋(す)を熱(あつ)くわかして 洗(あら)ふべし疵(きず)付(つか)ずしてよくおつる也又すいも 草にてみがくもよし  ○洗(あら)ひ粉(こ)の方 一 豆腐(とうふ)の滓(かす)を二三日/天気(てんき)つゞきに陰干(かげぼし)とし よく乾(かわ)きて後/貯(たくは)へ置/朝夕(あさゆふ)湯(ゆ)をつかふ時の あらひ粉(こ)とすべし油垢(あぶらあか)をおとし艶(つや)を出す 事よのつねにあらず天気(てんき)つゞかぬ時は臭(くさ)み つきて用にたへず  ○鉄醤(おはぐろ)を即座(そくざ)におとす法 一 笹(さゝ)の葉(は)をくろくやきて灰(はひ)とならざるを 指(ゆび)につけて歯(は)を摺(す)ればおはぐろ忽(たちま)ち落(おち)て 白歯(しらは)となるなり 【左丁本文】 【挿絵】  ○伽羅(きやら)を久しく貯(たくは)ふる法 一 黒砂糖(くろさたう)を水にてこね竹(たけ)の皮(かは)を入れ能(よく) せんじその竹(たけ)の皮(かは)にて伽羅(きやら)をよく包(つゝ)み 壺(つぼ)に入(い)れ蓋(ふた)をよくしてたくはふればいつま でも朽(くち)しをれず  【枠外丁数】十二 【右丁頭書】 をゆくにもよし。春はわろし ゆきたるさきにて喧嘩(けんくわ)するか口舌 にあふか也慎むべし○沙汰詫言 は吉。理順(りじゆん)なり。大勢の情(なさけ)を を【重複ヵ】得る也。二度めにかなふなり ○病は大事。久病也。腹の病 脾胃(ひゐ)。飲食とゞこほりつむ。 老女の死霊(しりやう)。日天/庚申(かうしん)土公(どこう)神 のとがめ有信心すべし○夢は 雲。郷里(さと)。平地(ひらち)。老母。大勢。釜(かま)。 おもきもの。又は黄色(きいろ)黒色の 物。甘(あま)きものを喰(くら)ふ類なり  ○右/八卦(はつけ)に属(ぞく)する所のものは  たゞその概略(あらまし)のみなり天地(てんち)の  間の万物(ばんぶつ)これにかぎるべからねど  悉(こと〴〵)くあぐるに遑(いとま)あらずおの〳〵  その類をおして発明(はつめい)して断(ことわ)るべし 【左丁頭書】  ○九曜の星くりやう 【掌の中の図】    木  羅 【小指】  月   土 【薬指】 計    水 【中指】  火 日 金 【人指指】          【親指】 九曜星(くようせい)のうらなひ古(いにしへ)よりある こと也これは当年(たうねん)のよしあしを 見ること也/図(づ)のことく掌(て)の中(うち)に 羅(ら)土(ど)水(すい)金(きん)日(につ)火(くわ)計(けい)月(げつ)木(もく)と 指(ゆび)のふしにておぼえおきてさて 男(をとこ)は羅星(らせい)より女(をん[な])は金星(きんせい)より 一ッ二ッと順(じゆん)にくりて当年(たうねん)何(なん)十 才(さい)になるといふにあたる星(ほし)をその 【右丁本文】  ○伽羅(きやら)の香(か)をます炷(たき)やう 一 香敷(かうしき)の下へ竹(たけ)の引粉(ひきこ)をくべてたけばす がりもよく五壮(ごさう)も十さうにますべし  ○火久しくたもつ灰(はひ)の法 一 池(いけ)に生(はえ)たる菱(ひし)の蔓(つる)と葉(は)を干(ほし)て焼(やき)たる 灰(はひ)を用れば火久しくこたゆる也/香炉(かうろ)に 用ひてよろし  ○酒中花(しゆちうくわ)の方 一 たらうの木の心(しん)に人形(にんぎやう)にても花鳥(くわちやう)にても 画(ゑが)き剃刀(かみそり)にて絵(ゑ)なりに切(きり)まはしすかす所は 小刀(こがたな)にてほりてふちを絵具にて彩色(さいしき)しむら なきやうに薄(うす)くきりたゝみつけるひらかせ様 の跡先(あとさき)は跡にひらかする方に糊(のり)を付るなり 【左丁本文】  ○油(あぶら)に鼠(ねずみ)の付たるをとむる法 一 萆麻子(ひまし)の油(あぶら)を少し加(くは)ふれば鼠/再(ふたゝ)び来ず  ○旅(たび)にて火を絶(たえ)ず持ゆく法 一 杉原紙(すぎはらがみ)を黒焼(くろやき)にしふのりにてねりかため 火をつけ板にてはさみ懐中(くわいちう)するに火(ひ)消(きえ)ず して久しくたもつなり  ○渋(しぶ)のやけざる法 一 渋(しぶ)は夏(なつ)焦枯(こげかれ)て貯(たくは)へがたきものなり茄子(なすび)を 切片(きりへぎ)て入おけばやけず  ○蒜(にゝく)葱(ひともじ)を食(しよく)して口中(こうちう)臭(くさ)からぬ法 一 紙(かみ)をかむべし臭気(しうき)やがて去る又/砂糖(さたう)を なめるもよし又/酢(す)をわかして口中を洗(あら)へば 臭(くさ)きことなし  【枠外丁数】十三 【右丁頭書】 【挿絵】 年(とし)と見て下に記(しる)すところの 星(ほし)の下(した)に引合せて見るべし ●第一/羅睺星(らこうせい) この星(ほし)にあたる年は大にわろし 万事(ばんじ)信心(しん〴〵)すべし信心とはたゞ 神仏(かみほとけ)にいのる事のみならず心(こゝろ)に 信(まこと)ありて嘘(うそ)をつかず物を貪(むさぼ)らず 【左丁頭書】 よろづ慎(つゝし)みて上(かみ)をうやまひ 下(しも)をあはれみさて神仏(かみほとけ)を尊(たふと)み て災難(さいなん)を遁(のが)れさせ給へといのる也 信(しん)あれば万(よろつ)の難(なん)をのかるべしもし 不信心(ふしん〴〵)なれば正四五月に病有 病(やまひ)なければ損(そん)をするか口舌(くぜつ)ごと有 六七月に盗(ぬす)人に逢(あ)ふ十一月に 出行(しゆつかう)すれば口舌(くぜつ)ありて金銀(きん〴〵)田(でん) 宅(たく)を失ふ事ありつゝしむべし 羅(ら)計(けい)火(くわ)の三星(さんせい)とて九曜(くよう)中 にての悪(あく)星なり来年(らいねん)羅睺(らこう)に あたればはや今年(ことし)よりあしき ほど也/故(ゆへ)に羅睺(らこう)の前年(ぜんねん)とも いふ事ありつゝしむべし   星(ほし)の黒(くろ)きは皆(みな)あしきしるし也   白(しろ)きは吉(きち)なり半黒(はんこく)半白(はんはく)は   半吉也なぞらへてしるべし 【右丁本文】  ○鯉(こひ)の死(しな)んとするを活(いか)す法 一 生(いき)たる鯉(こひ)を遠方(えんはう)へ贈(おく)る時もし死(しな)んとせば 蒜(にゝく)のしぼり汁(しる)を口にそゝぐへし忽(たちま)ち活る也 また鯉(こひ)のあがりたるに挽茶(ひきちや)をかけておけば損(そん) ずる事なし  ○練珊瑚珠(ねりさんごしゆ)の製(せい)法 一 象牙(ざうげ)の粉(こ)を羽二重(はぶたへ)の絹(きぬ)ぶるひにてふるひた るを三匁/天草砥(あまくさと)の粉(こ)を壱匁/光明朱(くわうめうしゆ)三匁 辰砂(しんしや)三匁いづれもよく和合(まぜあは)せ極(ごく)上の晶膠(すきにかは)を うすくたき海蘿(ふのり)のたきたると等分(とうふん)にあはせ 右の篩(ふるひ)にてこし其/汁(しる)にて粉を練(ねり)合せ緒〆(をじめ) によきほとに丸(まる)め柳(やなぎの)木(き)を細く紐とほしの太(ふと) さに丸く削(けづ)り胡桃(くるみ)の油をつけ右の練玉(ねりたま)を 【左丁本文】 突(つき)さし五十日ほど乾(かわか)し置て後(のち)しめしたる 木賊(とくさ)にて磨(みが)きその上を椋(むく)の葉(は)にてみがき 掌(て)の中(うち)にてまろめるやうにしてみがけは透(すき)と ほるやうに艶(つや)よくなる阿媽港(あまかは)薄色(うすいろ)本珊瑚(ほんさんご)に まがふ尤(もつとも)秘伝(ひでん)なり  ○小鮒(こぶな)の鱗(うろこ)をとる法 一小鮒をいかほでにても雷盆(すりばち)へいれその中へ 篠(さゝ)の葉(は)を入てもめば悉(こと〴〵)く落る也  ○小池(こいけ)の魚(うを)に鼬(いたち)の付たるを避(さく)る方 一 瓢簞(ひやうたん)を釣(つり)おくべし再(ふたゝ)び来らず  ○道(みち)に迷(まよ)ひたる時/方角(はうがく)を知(し)る法 一 旅(たび)にて山路(やまみち)にまよひたる時は水(みづ)の流(ながれ)に随(したが)ひ て下(くだ)るべし必(かなら)ず道に出る也/野径(のみち)に迷(まよ)ひたる時は  【枠外丁数】十四 【右丁頭書】 ◑第二/土曜星(どようせい) この星にあたる年は吉にして 売買に利得(りとく)おほしもし不信心 なれば正四五六七月に住所(ぢうしよ)屋(や) 敷(しき)にはなるゝ事あるか病損の 憂(うれへ)来るなり公事(くじ)沙汰(さた)すれば 宝(たから)をうしなふ又/父母(ふぼ)妻子(さいし)に 気(き)づかひあり奉公人は牢々(らう〳〵) する事有べし又川をわたりて 災難(さいなん)あり中にも三六九月を つゝしむべし ◑第三/水曜星(すいようせい) 此星にあたる年は信心すれば 宝(たから)を得(う)人のすゝめに依(よつ)て悦(よろこ)び にあふ百姓(ひやくしやう)は田地(でんち)を得(う)るかその 年の耕作(こうさく)に利(り)あるか也/商人(あきんど)は 売買(ばい〳〵)に利あり遠(とほ)くゆきては 【左丁頭書】 富貴(ふうき)になる不信心なれば淫(いん) 乱(らん)によりて口舌(くせつ)あり秋冬を つゝしむべし又/海川(うみかは)を慎(つゝし)むべし 水損(すいそん)にあふ年なり ◐第四/金曜(きんよう)星 このほしに当る年は信心(しん〴〵)なれば 万事/成就(じやうじゆ)して売買(ばい〳〵)にも耕作(かうさく) にも利ありて福(ふく)来る也もし 不信心なる人はわざはひありて 口舌おこる金物(かなもの)にて命(いのち)を失ふ 事あり七八九十月に金物の損(そん) あるか病か口舌かありて夫妻(ふさい)子(こ) にたゝること有又/父母(ふぼ)主(しう)にはな るゝか目をわづらふか也よく〳〵 つゝしむべし 〇第五/日曜(にちよう)星 此星にあたる年は福徳(ふくとく)をおこし 【右丁本文】 【挿絵】 沢瀉(おもだか)をもとめて葉(は)の向(むき)たる方をさして行(ゆく)べし 沢瀉(おもだか)は人ぢかき方へむかふ物なり  ○井(ゐ)を掘(ほる)とき水ある地を知る法 一井をほらんと思ふ時は夜気(やき)晴明(せいめい)なる時/桶(をけ)盥(たらひ) の類に水をいくつも入て井(ゐ)を掘(ほら)んと思ふ辺(あたり)に 【左丁本文】 ならべおきいづれの水に星(ほし)の光(ひかり)大に明(あき)らかに うつるぞと見てその所をほれば必(かなら)ずよき水 出(いづ)るものなり  ○小鳥(ことり)の病(やまひ)を治する法 一 小鳥(ことり)のわづらふときは螻蛄(けら)を取て餌(ゑ)とすれ ばすなはち活る又/番椒水(とうがらしみづ)もよろし  ○雀(すゞめ)を飼(かひ)て白くする法 一 雀(すゞめ)の子(こ)殻(から)を出ていまだ羽(はね)あがらざる時/蜜(みつ)を 飯(めし)に交(まじ)へて飼(かへ)ば白雀(しろすゞめ)となる  ○金魚(きんぎよ)の死を活(いか)す法 一三七のしぼり汁を飲(のま)しむべし活(いく)ること妙也  ○藍染(あゐぞめ)のおとしやう 一 衣服(いふく)の藍(あゐ)を落(おと)すには豆腐(とうふ)からを釜(かま)へ入  【枠外丁数】十五 【右丁頭書】 人のすゝめによりて財宝(ざいほう)を得る 凶(あし)き事も変(へん)じて吉事となる 殊(こと)さら五六七月に宝を得よろ こび来る旅(たび)へ出てます〳〵よし 商人(あきんど)は売買に十分の利あり 但し不信心の人は妻子(さいし)に付て 口舌(くぜつ)ありつゝしむべし ●第六/火曜(くわよう)星 この星にあたる年はわろし とりわけ火事を慎(つゝし)むべし此星 信心の人は万の難(なん)をのがる不信(ふしん) 心なれば二三五七九十一月/住所(ぢうしよ)に はなるゝか煩(わづら)ふか也又/主(しう)おやかたに つきて憂(うれへ)あり又/妻子(さいし)につきて 苦労(くらう)あり諸事(しよじ)おもひ事/絶(たえ)ぬ 星なりつゝしむべし ●第七/計都(けいと)星 【左丁頭書】 【挿絵】 此星にあたるとしは大に悪し 信心すれば難(なん)をのがるもし不信 心なれば正二三六月/住所(ぢうしよ)に付 おもひ事ありさては病あるべし 八月南へ行てわろし九月/田(でん) 地(ぢ)にたゝる春三月女と口舌(くぜつ)あるか また病か損失(そんしつ)か公事(くじ)にあふか 【右丁本文】 その中にて煮(に)れば藍(あゐ)こと〴〵く落る也  ○衣服(いふく)の穢(よご)れて久しきをおとす法 一 酸醬(かたばみ)の汁(しる)にてあらへば速(すみやか)に脱(おつ)るなりその 酸醬(かたばみ)汁の色/消(きえ)ざる時は木槵子(むくろうじ)或は赤小豆(あづき) の粉にてふたゝびそゝぎ洗(あら)へばおつる也  ○衣服(いふく)油(あぶら)おとしの法《割書:并|》渋(しぶ)おとし 一油の付たるは大根(だいこん)のおろしたるをもみ付 おき熱湯(にえゆ)にて洗(あら)へば奇妙におつる也/渋(しぶ)の つきたるは白砂糖(しろさたう)をもみ付てあらふべし  ○絹布(けんふ)あらひ張(はり)の糊(のり)の方 一 羽二重(はぶたへ)加賀(かゞ)日野紬(ひのつむぎ)の類は葛(くず)と粘(のり)と等分(とうぶん)に してとき刷毛(はけ)にて引べし緞子(どんす)紗綾(さや)は端(たん)に 粘(のり)一文がほどに大白(たいはく)砂糖(さたう)五分/海蘿(ふのり)三分ほど入て 【左丁本文】 よくときて布(ぬの)にて漉(こ)しはけにて引へし縮(ちり) 緬(めん)は粘(のり)を少し減(げん)ししやうふ五分入てとき刷(は) 毛(け)にて引べし  ○黐(とりもち)また鉄醬(おはぐろ)の衣服(いふく)に付たるをおとす 一とりもちの付たるは鰌(とじやう)のぬめりにてあらひ 鉄醬の付たるは醋(す)にてあらふいつれも速(すみやか)に落る なり  ○味噌(みそ)の損(そん)じたるを直す法  一みその味(あぢ)そんじたるには生松(なまゝつ)の皮(かは)をむきさり 大小によりて二ッにも三ッにもわり味噌の中へ幾(いく) 箇(つ)も打こみ七八日ほどおくべしかならず味よく なるすべて味噌/桶(をけ)は肥(こえ)たる松を底葢(そこふた)にすべし がわにもしたるはいよ〳〵よし  【枠外丁数】十六 【右丁頭書】 とかく春夏わざはひ来る三六 月を殊(こと)につゝしみ信心してよし ○第八月/曜(よう)星 この星(ほし)にあたる年は吉なり さりながら月のとがめ有/慎(つゝし)む べし信心あれば竜(りやう)の水を得た るがごとく運(うん)をひらき貴(き)人に 引立られ悦(よろこ)び両三度までかさ なり四十月は主(しゆ)人より宝(たから)を 得る不信心なれば二五月金 物につきて損(そん)あり百姓は牛馬 にたゝる六九月/土公(どくう)神のたゝり あり冬三月の内に住所をは なるゝか牢(らう)人するかなるべし また水神のたゝりにて下部(けぶ)の 煩(わづら)ひあるべし ○第九/木曜(もくよう)星 【左丁頭書】 この星にあたる年は万事吉 なりさりながら正二八月木を きらば口舌の田地牛馬にたゝる 信心なる人は男女をえらばず 枯(かれ)木の春(はる)にあひて花ひらく がごとく運(うん)をひらきよろこび 重(かさ)なる不信心なる人はよろづ たゝりてわづらふ百姓は田畑(たはた)牛 馬にたゝる冬三月のうち病か 損(そん)かあり遠く行て悪し或 寺の造作(さうさく)にたゝる也慎みて信 心すべし  ○六/曜星(ようせい)のくりやう これは毎日の吉凶を判断(はんだん)す るうらなひ也くりやうはわが年 の数(かず)と月と日の数とを合せて 【右丁本文】  ○飯(めし)の片熟(かたにえ)したるを直す法 一飯のかたにえしたる時は酒を少しうちて 葢(ふた)をし火気(くわき)を通(とほ)すべしよきめしとなる也  ○同こげくさきを直す法 一なはどうしを洗(あら)ひてめしの上におき葢(ふた)をして しばらくおけばこげくさき香(か)失(うす)ること妙也  ○薑(はじかみ)をかびぬやうに漬(つけ)る法 一はじかみ水気をよくさりて梅醋(むめず)に漬んと する時からしを少し絹(きぬ)につゝみて底(そこ)にいれ置 べしかやうにすれば一年を経(へ)てもかびず  ○紅染(べにぞめ)のぬきやう 一染たる衣服(いふく)の紅をぬくには早稲藁(わせわら)の灰汁(あく) にてもみあらふべしよくおちる也 【左丁本文】  ○青昆布(あをこんふ)のこしらへやう 昆布を銅鍋(あかゞねなべ)にて煮(に)れば青緑色(みどりいろ)となる也 海蘊(もづく)蕨(わらび)狗脊(ぜんまい)も同じ  ○乾松蕈(ほしまつたけ)香(か)のうせぬ法 一 新(あたら)しき松たけの茎(くき)を去(さ)り二三日よき天/気(き) に乾(ほし)て後(のち)陰干(かげほし)にしてとりをさむべし翌(よく)春夏 【挿絵】  【枠外丁数】十七 【右丁頭書】 六にてはらひ残る数を第一よ りかぞへ合せて其事のよしあし を考ふべし ◐第一/先勝(せんしよう) ○【中に┣】第二/友引(いういん) ◑第三/先負(せんふ) ●第四/仏滅(ぶつめつ) ○第五/大安(だいあん) ●【中央❚白抜き】第六/赤口(しやくこう) ○第一先勝の星にあたる日は 何事も急(きう)にしてよし昼(ひる)を過 てはわろし取わけ公事(くじ)訴訟(そしよう)を し諸勝負事など此方より仕(し) 【左丁頭書】 懸(かけ)るに利(り)あり又/婿取(むことり)よめ 取の相談(さうだん)他国(たこく)へゆく門出(かどで)によし 待人はおそければ来らず此星 酉卯にあたるゆゑよろつその方 へゆくかその時にあたりてよかる べし男は勇猛(ゆうまう)にして殊(こと)に吉事 あり晩(ばん)には何事をも慎(つゝし)むべし 【挿絵】 【右丁本文】 にいたりても損(そん)せずこれを煮(に)るに香(か)はなはだ よし茎(くき)は硬(かた)くして食するにたへず  ○碓米(からうすこめ)のくだけざるすゑやう 一 碓は棹(さを)の長きがよし石はおもく付るは わろし棹(さを)おもきは石を付ぬがよし重(おも)き 棹にては米/砕(くだ)けやすし先のさげやうは凡(およそ) 棹(さを)八尺あらば六寸四分さぐる也/石臼(いしうす)のかた むきも此かねにて見はからふべし《割書:案に近来|京大坂の》 《割書:米屋に用るからうす棹をかろくして|踏むとき棹の直(すぐ)になるほどあぐる也》  ○魚(うを)を養(やしな)ふ塗土池(ぬりつちいけ)のつくりやう 一魚を養ふ小池をたゝき土をもてつくるは 水を入ざる前(まへ)に藁(わら)をたくべし久しく損(そん)ぜ ず魚を入るは五十日或は七十日ほとの間(あひだ)水 【左丁本文】 をたゝへ三四日めに水をかゆべし油(あぶら)塩(しほ)の気(き) さりて魚(うを)よく生(いく)る也水をたゝへて青み たる苔(こけ)出る頃をよしとすはやく魚を入れば 魚/活(いき)がたし但(たゞし)魚(うを)を養ふには地中(ちちう)に瓶(かめ)を いけておくべし  ○鼠(ねずみ)をさる法 一 坐敷(ざしき)の下の土をとりて泥(どろ)とし鼠(ねずみ)の穴(あな)を ふさげは百日が間に鼠こと〴〵くさりて復(また) 来ることなし又方 正月/始(はじめ)の辰(たつ)の日/并(ならび)に毎(まい)月/庚寅(かのへとら)の日/壬辰(みづのへたつ)の 日/暦(こよみ)の上段の満(みつ)の日に鼠の穴をふさぐべし 又三月/庚午(かのへむま)の日鼠をとり尾(を)をきりて その血(ち)を屋(いへ)の梁(うつばり)にぬれば鼠来らず  【枠外丁数】十八 【右丁頭書】 ○第二/友引(いういん)の星にあたる日は 朝夕よし午(むま)の刻(こく)はわろし公(く) 事(じ)諸勝負(しよしようぶ)事は格別(かくべつ)勝負な かるべしあつかひ和談に及ひて よし出家(しゆつけ)神主(かんぬし)医者(いしや)山伏(やまぶし)な どの類長袖にて人あつめする 人にはよろしむことり嫁取(よめどり)に 尤(もつとも)よし待人は来る辰戌にあ たる方よしその方へゆきては利 あるべし女は此日/懐胎(くわいたい)すべし商(しやう) 売(ばい)は人と共(とも)にして利あり出行は 同道の人あるはよしひとりゆくは よからず ○第三/先負(せんふ)の星(ほし)にあたる日は よろづひかへめにしてよし午時 過ては吉なりよろづの事此方 より手ざしすればかならずわろし 【右丁本文】  ○あぶら虫をさる法 一 青蒿(かはらよもぎ)の茎(くき)葉(は)をかまどの間におくときは 油むしたゆる事妙なり  ○蝿(はひ)をさる法 一 陳茶(ふるきちや)の末(まつ)を煙(けふり)にたけば蝿(はひ)即時(そくじ)にさる  ○蚤(のみ)をさる法 一 三月三日/楝樹(せんだん)の葉(は)をたゝみの下にしき ておけば蚤(のみ)蝨(しらみ)出る事なし又方 芸香(うんかう)の葉(は)を席(たゝみ)の下におけばよし又/砂(すな)に て築(きづき)たる新宅(しんたく)には蚤(のみ)多(おほ)きもの也/塩(しほ)のにが りを床(ゆか)の下にうてば蚤(のみ)を生ぜず又/小児(せうに)の 肌着(はだぎ)を当薬(たうやく)をせんじて染(そむ)れば蚤(のみ)蝨(しらみ)を 防(ふせ)ぐなり又/席(たゝみ)の下に苦参(くらゝ)をしくもよし 【見返し】 【裏表紙】