【表紙】 【右上】 Japonais 4500 【文字なし】 【文字なし】 それ我てうと申はあまつこやねのみことの゛あまのい はとををしひらき゛てる日のひかりもろともに゛かすか の宮とあらはれてこつかをまほり給ふなり゛されは にやかすかを春の日とかく事は゛夏の日はこくねつ す秋の日はみしかし゛ふゆの日はさむけし゛春の日は のとけくしよくはんふつ【万物】をしやうちやうす゛四きに ことさらすくれ゛めい日なるによりつく゛春の日とかき たてまつてかすかとなつけ申なり゛かの宮のうち子 は藤はらうちにておはします゛藤はらのその中に 大しよくはんと申は゛かまたりのしんの御事なり゛はしめ はもんしやうせう【文章生】にて御さありけるか゛いるかのしんを たいらけ゛大しよくはん【大織冠】になされさせ給ふ゛そも此くはんと 申は゛上代にためしなし゛さてまつたいに有かたきめ てたきくはんとなりけり゛是によつて此君をはふひ とうとも申゛いつもかまをもち給えはかまたりのしんと も申す゛されはにやかすかの宮にさんろう有て゛あま たのくはんをたてさせ給ふ゛中にもこうふく寺の こんたうを゛さいしよにこんりう有へしとて゛しやう こん【荘厳】七ほうをちりはめ゛しやこんたう【社金堂】をたてさせ 給ふ゛くはほうはそれよりもあまくたり゛国のなひき したかふ事は゛ふる雨のこくとをうるほし゛たゝさうよ う【草葉】の風になひくかことし゛きんたちあまたおはし ます゛ちやくによ【嫡女】をはくはうみやうくはうくう【光明皇后】と申た たてまつつて゛しやうむ天わう【聖武天皇】のきさきにたゝせ 給ふ゛しによにあたり給ふを゛こうはく女となつけて 三国一のひしん【美人】たり゛しかるに【右肩に小さく「かゝる」】彼ひめきみのゆふに【優に】や さしき御かたち゛たとへをとるにためしなし゛かつらの まゆ【桂の眉=三日月のような美しい眉】は゛あほふしてゑんさんににほふ゛かすみにに゛もゝ【右に「ふし」】の こひ【百の媚】あるまなさきは゛ せきやうのきりのまに゛ゆみは り月のいるふせい゛ひすひ【翡翠】のかんさしは゛くらふしてなか けれはやなきのいとを゛春風のけつるふせひにこ とならす゛【右に「ことは」】すかたは三十二さうにし゛なさけは天下に ならひもなし゛かゝるゆふなる御かたちの゛いこくまても きこえのあり゛七つかとのそうわう゛たいそうくはう てい【太宗皇帝カ】はつたへきこしめされ゛いろ見ぬこひにあこかれ゛