鹿島神託所(かしましんたくしよ)より鯰共一統(なまづどもいつとふ)え申|渡(わた)しの事(こと) 鯰共の義は古来(こらい)より申|渡(わた)し置通(おくとう)り九八|病(やま)ひ五七が 雨(あめ)に四つ日でり六つ八つならば風としるべしとの御縁寿(ごゑんか)を 守(まも)り時候(じかう)不 順(しゆん)の折(おり)を見あわせ質素(しつそ)に渡世(とせい)致(いた)す べき処|諸神(しよしん)出雲(いつも)へ御出仕(ごしゆつし)之御跡(おんあ□)みて先例(せんれい)の 掟を背(そむ)き御|府内(ふない)近来とかく乱妨(らんはう)いたし家蔵(いへくら) 身体(しんたい)をゆすりちらす のみならす とうるいの 出火を 誘引(さそひ) 格別(かくべつ)の出 風もこれ なきに 数(す)ケ所(しよ)|焼(やき) はらひ候段 八百|万(よろづ)の神を 恐れさる いたし方 ふらち至極(しごく)に付 四つ手を以(もつ)て 一疋(いつひき)ももらさず すくひあけ 蒲やき所に おゐて大道さきの うへ火あふりにも 行ふべきところ 格別(かくへつ)の御|慈悲(じひ)を もつて日本六十|余州(よしう)追(つい)放 仰付らるゝものなり若(もし)此後御□頭場|所(しよ)へ立|寄(より)いたぶりがましき義これ有(ある)におゐては 早速(さつそく)地引(ぢびき)をとつてからめ取(とり)急度(きつと)酒(しゆ)菜に行(おこな)ふべきものなり                                    太平元年おち月十日目