【表題】 《割書:村里|時四郎》明烏花焼衣(あけからすはなのやけきぬ)《割書:黒雲庵立傳|山の》 【本文]】 〽そなたも共にといひた いがいとしそなたの手 をひいて動鳴(どうなる)ものそ 壁|落(おち)てつぶれた 家のはりのした おされてたむたすけ声きゝすて行 を〽取付(とりつい)てあんまりむごいなさけなや 今宵(こよひ)地震(ぢしん)で町中(まちちう)の家(いへ)をやかんす火の 手なら蔵(くら)あるとても土がおちたのみの 金(かね)もあるべきか〽金と命(いのち)を取(とり)かはす土蔵(どさう) 家作(かさく)はみんな焼(やき)〽どうでゆらんす覚悟(かくこ)なら 鹿島(かしま)の神もこれ此月はるすを幸(さい)ひもろ 共と〽なぜに揺(ゆつ)ては下さんせぬ震ておいて やかんせと鯰の髭(ひげ)に取付て地(ち)をふるはせて焼至(やけいたる)