当十月二日夜亥上刻ゟ大地 しんして同時出火と相なり 町家一どきに大半くずれ 火は追々はびこり火口四ツに成 ふか川本庄神田さく間町 辺一めんの火になり浅くさへん にて吉原さるわか町のこらず 向ふじま梅やしきさいふの天神【宰府の天神=亀戸天神のことかと】五百らかん ゑかういんれいかん島不残永代寺ひるこの 宮大あれ大そんじ死人けが人おびただしく日 本橋通り京はし大通り不残両本願寺山 王おたび所辺不残新芝御やきつゝいて 芝神明増上寺せんがくしずい正寺かい あんじ高なは辺品川不残大くづれ大橋 両国はし永代ばし此辺不残すべて市中 大半くづれ大地さけ死人けが人数 しれず古今まれなる大変なり 四日卯之刻に未火不鎮候よし 凡火口三十八ケ所に及ぶ尚くわしは 後編に差出し申候 震焼者附 市中雍 富場潤蔵