【表題】 安政二卯ノ十月 ニ日夜四ツ時  |萬(まん)歳(ざい)楽(らく)鯰(ねん)大(だい)危(き)事(じ) 有此大変 【本文一段目】 天(てん)災(さい)【黒地の四角の中に白抜き文字】   天の木 十月朔日あけの ミやうぜう ひかり月の ごとし二日の そら米のごとし 六【黒地の丸の中に白抜き文字、以下同じ】   へい木 十一日のぢしん よほどつよし へいきのへいざへ もん小家を にげいださず 三   火のそばの水 まち〳〵野ぢんを はつてぢしん まつゆるぐ たび〳〵おどろく 声夜打の入たるが如し 八   かなづちの金 ゐんきよふるくぎを なをして手の さきしだいニ たことなる 十三  のこらずやく火 おふりでにげだしたる むすこ手ぬ ぐゐをもらふて ゑつちうにする 十八   はんしやうの金 ぢしんの夜じしん ばんにて出を かけざるハじ しんのばんのミ をして人のばんを せさるニや 二   あこ木【木に濁点】 ざいもくや はないきあら くして手おい じゝのごとし 二   やねの土の土 左官めんぼく なげニ 出入場を みまふ 猿若【黒地の四角の中に白抜き文字】   市川の水 ひやうたんころげて なまづ はねかへる 六【黒地の丸の中に白抜き文字】   ぎんがミの金 すのこの月 おちて ならくへ めりこむ 吉原【黒地の四角の中に白抜き文字】   はやき火 その夜出火 よしはらを 第一ばん とする 六【黒地の丸の中に白抜き文字、以下同じ】   田のあぜの土 百千のかぶろ わらを かぶつて こゞへふす 十一   土手の土 日本つゝミ大ニ 口をあいて 人をのむ事 両三人 十六   口の甘木【木に濁点】 たいこもち へんじて つちもちと なる 仏閣【黒地の四角の中に白抜き文字】   はかバの土 ゑかうゐん らいじんかい ちやう有て のちぢしん のもうじや山をなす 六【黒地の丸の中に白抜き文字吉原】   こまる火 もんぜんのしやくや しきミくさき 水をのミ せきとうをへつ ついとする 恩仁【黒地の四角の中に白抜き文字】   ありがた木 深川上野浅草 幸橋御門外 おすくひ 小家できる 【本文二段目】 二【黒地の丸の中に白抜き文字、以下同じ】   地の木 二日の夜江戸中 たちまち地 ごくとなる 人くち〴〵に ゑんまも子と唱ふ 七   たき火【火に濁点】 十四日の夜大ニ さむふして 野宿の人 ぢしんより猶 つよくふるふ 四   つゐへの金 両国中村のさか ゐににしきを きたるほね ぬきどぜう おほし 九   ほねつ木【木に濁点】 中ばしやげんぼり 千住等 何百番と ばんづけをよんで りやうぢする 十四   つんだるよ木【木に濁点】 人をまもりて はりなげし のよう じんをする 十九   命めうがの土 芝金すぎニて 十四才の娘 五十七才の 老母白犬一疋 ほり出ス七日の事也【左下「戌」参照】 三   するどき金 丸太はねがはへて とびこばいた ふかぬうちニ 小ばんとなる 三   ちからづくの金 このせつ車力の ながすあせ ひとつぶ五玉 ほどにあたる 二   わらじの土 りくわんやけがねを つんで 大ざかへ かへる 七   ゑんぎだなの金 かミだなの ふくすけ おのれと なりうごく 二   迷の火 大門おのつから しまりて にげ出ること あたハず 七   ねんり木 彦太郎のおぐらぎ 客人ごん げんのかごよつて 部屋つぶれず 十二   ごろつ木 女郎をおくり きたれバ おへやして とうわくする 神社【黒地の四角の中に白抜き文字】   護国土 かミ〴〵三日の あさ いづもの国え おんたち 二【黒地の丸の中に白抜き文字、以下同じ】   いかりの金 あさ草かミなり もんの雷神 たいこを おとす 七   もふからぬ金 てら〴〵のそう れいたゞ うめる ばかり 二   同木 国恩をおもふて 施行する 人々へ ほうびをたまハる 【本文三段目】 三【白丸の中に文字】   前後をミづ ちり〴〵ばら〴〵に にげてつまを よび子をよぶ こゑきやう くわんぢごくの如し 八【黒地の丸の中に白抜き文字】   海の水 十八日大風海 大ニあれて らいのごとし 諸人ふたゝび きもをひやす 五【白丸の中に文字、以下同じ】   なミだの水 山谷坂本へんより 非人を車ニ つミてゑかう ゐんへおくる 十   名をうる木 はなしかしんせうを ふるつて なぐらのりやう ぢ人へべんとうを ほどこす 十五   どろ水 すいどう くづれて 諸人 さながら ふなのごとし 廿   こゑをたて金 浅草北じんまちニて 化物女のかほを つかミ子共を 二人しめころす 四   ふとゞ木 大こん一本六十四文 わらじ一足壱□【匁?】 どぞうひとつ 七両ニてたゝミ手を しろへまハさるゝ 四   ぶらさがる金 ひようとり はねをひろ げてやけ はらを かける 三   あのよの一本木 こくらくより 江戸ばしへ 三升だるの みまいものあり 八   たびかせ木【木に濁点】 富士のすねを かじり《割書:甲ふ|すんぷ》 きんのしやち ほこをなめる 三   おそろしき火 五丁まちへんじて あび ぢごくと なる 八   をとこ木【木に濁点】 さのづち【佐野槌のこと】の後家 よくはたらきて ゆうじよと きんす諸道具 までやかず 十三【黒地の丸に白抜き文字、以下同じ】   うしミつの金 もうじやの なきこゑ 五丁町ニミつ 男女の死亡 凡千五百人 二   おまくらの木 かしまさま しばし うたゝね し玉ふ 三   九りんの金 五重のとう すこしも ゆるがず きんりうの角 西へまがる 八   ふし木【木に濁点】 神仏霊あり 堂ミや 九分ハ つぶれず 三   太平の土 悪人こゝろを 正ふなほりて 戸ざゝぬ 御代となる 【本文四段目】 四   井の水 ゐどがハよりふき こぼれ或ハ ひしやくにて くめる此内ゆへニ 火事すくなし 町家【四角の中に文字】   ふしぎの水 九月廿一日蔵前 薬や福本 のにハへ清水 わき出る是ぢしん のぜんちやうならん 六【黒地の丸に白抜き文字】   あやしき土 芝うだかわ町ニ どぞうさかさニ なりてたつ 土すこしも くづれず 十一【白丸の中に文字、以下同じ】   まるたの木 つかいぼうの つよき事 むさしぼう のごとし 十六   どぞうの土 どぞうはちまき をおとして 主人の づつうをます 廿一   せうちう火【火に濁点。焼酎火のこと】 よくどしき ゆうれい 本所ふか川 にてとらハるゝ 五   かりふ木 こやをふくわら こめより たかし 五   むかふ水 にわかじよくにん にた山より 出てよくの つのをふる 四   れいこんの火 ばんどうがハの 水をもつて 勘弥の むねをまもる 九   おかしまの土 あらき地のだいこ をハりの ミやしげへ たねをまきにゆく 四   身のけのよだつ火 十丈斗の 火ばしらたつ その火勢 うらたんぼの人 をまきたふす 九   不覚の井水 三うらのていしゆ ゐどへはいる 女房ぎりを たてゝ子と共に やけ死す 十四【黒地の丸に白抜き文字、以下同じ】   にぎハ火 小ごうしのしよ らうねづ やなかへんの 狐穴にひそんで なじミをたらす 三   ごまの火 ふどうそんを しんずるもの さらにけがをし うごか ざる理なり 四   あまだりおちの くわんおんの 水 ゆかしたに あたまの黒キ 鼠すをくふ 九   同木 けがなき人の たもとに かならず毛あり 死したる ものニハなし 清   歎はつた木 その夜ハ歎【題?】に はなくといへ共 日々野じんの 入用打まけ此万 歳楽を當て元手とする 【本文五段目】 五【白丸の中に文字、以下同じ】   雨の水 八日の夜小雨 ふる是より むしろるい ねだんあがる 二   苦しき木 牛のごとき ねぼう おほく はりをしよつて 死す 七   ひつ木【木に濁点】 てんすいおけそう めんなハ四斗 だるのるい かんをけとなる 十二   はんぶんあん土 二かいほどよく たふれて ひらやとなる 人之あめつゆを しのぐ 十七   わきの下の水 ぢしんのたび〳〵 ひやあせ ながれ出て たきのごとし 商人【白地の四角の中に文字】   はん木 野(や)子(し)といふもの 堀より出て さきをあら そふてうれひを しよくす 職人【白地の四角の中に文字】   目から出る火 大工かなづち 一丁にて 八てんぐ はたらく 六【白丸の中に文字、以下同じ】   たてよこの木 鳶からすより くろくなる はたらく事 はやぶさのごとし 五   まつくろな木 やけあとにたけ 十二けん ばかりの 大牛のこる 十   ひやうし木 きやうげんがた 番太郎と 改名する 五   日本堤の土 うちかけの おいらん はじめて わらじをはく 十【黒地の丸の中に白抜きの文字、以下同じ】   しらねの火 おかもとの主従 三十六人 やけ死す じよろう三人のこる 十五   小づかい金 かりたくいまだ さだまらず ゆうじよほそ おびにてぢま いをかせぐ 四   ふしんの材木 しバしんめいの ごぞうゑい しばらく ゑんいんか 五   にぎハし木 こんきうにん おく山ニ来りて だいぞうの ふくちうニやどる 【雷神の絵の左側】 十月 廿六日改 餘ハ二へんに しるす 【右下、絵画中の文字】 子 大根一本六十四文 さり【つ?】とうをくわぬやう きをつけてくふべし 丑 桧のせい 御用うしと な□て さ□わか まち の そ ら より おち る 寅 此とら ぢしんを おそれてたか やぶ【竹藪】ににげ入る 卯 アヽラあやしや 此けものミヽを ながふするハ やしの まわし者 にやあらん 辰 とふり ものゝ こつてう 水をまかずに 金でもちつと まきなせへ 巳 ミまちしに べんてんを いのるかねもち 諸しよくにんの さくりやうに あをだい しようを つかふ 午 おす くい米の もちはこび実ニ おほねが をれ 玉ふ 未 梅干入の もつそうを かミごと くらふ 申 ぢしんのまへ 大さかにて さる木より おつる 酉 コレにわとり てんちかい びやくの ごとく ふたゝび 大地を ふミ なら す べし 戌 芝金杉 ぢしんの夜 より五日目 壱人の老 母壱人の むすめ と此白 狗を 土中より 出る実に 此狗人間ニちかし 亥 ざいもくがし ゐのしゝ おほしニ