記入(きにふ)心得(こゝろえ)(全部調査(ぜんぶてうさ)の分(ぶん)) 一、 此(この)調査(てうさ)は震火災(しんくわさい)に関(くわん)する各般(かくはん)の善後施設(ぜんごしせつ)及帝都(およびていと)其他災害地の復興(ふくかう)に付最(つきもつと)も大切(たいせつ)な基礎資料(きそしれう)となるのであり    ますから正直(せうじき)に有(あり)の儘(まゝ)を書(か)いて下(くだ)さい。 一、 此(こ)の票(へう)に書(か)かれた個々(こゝ)の事柄(ことがら)は決(けつ)して他人(たにん)に洩(もら)したり公表(こうへう)したりすることはありませんから安心(あんしん)して事実有(じじつあり)    の儘(まゝ)を書(か)いて下(くだ)さい。 一、 此(こ)の調(しら)べは災害(さいがい)を受(う)けた人(ひと)でも受(う)けない人(ひと)でも避難(ひなん)して居(ゐ)る人(ひと)でも凡(すべ)て一人毎(ひとりごと)に調(しら)べるのでありますから銘(めい)     銘(めい)に個人票(こじんへう)に調査事項(てうさじかう)を記入(きにう)し尚震災当時(なほしんさいたうじ)の世帯主又(せたいぬしまた)は之(これ)に準(じゆん)ずべき人(ひと)(《割書:世帯主が死亡し又は行方不明のときは|生残つた家族の内で世帯主に代るべき》    《割書:人| 》)に限(かぎ)り各別(かくべつ)に世帯票(せたいへう)を拵(こしら)へて下(くだ)さい若(も)し一 軒(けん)の家(いへ)に二 軒(けん)の人(ひと)が避難(ひなん)して居(ゐ)るときは世帯票(せたいへう)三 枚(まい)を作(つく)るの    であります。但(たゞ)し世帯主(せたいぬし)と家族(かぞく)が別々(べつ〳〵)に避難(ひなん)したときは世帯票(せたいへう)は世帯主(せたいぬし)の方(はう)から出(だ)し家族(かぞく)の方(はう)は個人票(こじんへう)のみ     書(か)けばよいのです。 一、 此(こ)の調(しら)べは凡(すべ)て十一 月(ぐわつ)十五 日現在(にちげんざい)に依(よ)つて調(しら)べるのであります。        一、 世帯票(せたいへう)     此(こ)の票(へう)は世帯主又(せたいぬしまた)は之(これ)に準(じゆん)ずべき人(ひと)が自分(じぶん)と現(げん)に一 緒(しよ)に居(ゐ)る家族及震災(かぞくおよびしんさい)に依(よ)り死亡(しばう)し又(また)は行方不明(ゆくゑふめい)となつた     家族(かぞく)に付(つい)て拵(こしら)へるのでありますから若(も)し他(た)の場所(ばしよ)に別(わか)れて居(ゐ)る人(ひと)があつても世帯人員(せたいじんゐん)の計算(けいざん)には入(い)れないで     下(くだ)さい。 又学屋生生徒工女職工旅行者等震災当時旅館下宿屋(またがくせいせいとこうじよしよくこうりよかうしやとうしんさいたうじりやくわんげしゆくや)とか寄宿舎等(きしゆくしやとう)に居(を)つて独立(どくりつ)の世帯(せたい)を持(も)たなかつた     人(ひと)は世帯票(せたいへう)を拵(こしら)へる必要(ひつえう)はありませぬ。    「 調査区(てうさく)」の欄(らん)には市区町村長(しくちやうそんちやう)「 調査員氏名(てうさゐんしめい)」の欄(らん)には調査員(てうさいん)が記入(きにふ)するのであります。 一、 世帯主(せたいぬし)の「住居所氏名(ぢうきよしよしめい)」欄中(らんちう)「 現居所(げんきよしよ)」には調査(てうさ)せらるゝ世帯主(せたいぬし)(又(また)は之(これ)に準(じゆん)すべき人(ひと))の現(げん)に避難(ひなん)した場(ば)     所(しよ)(避難者(ひなんしや)でない者(もの)は現住所(げんぢうしよ))を何番地何官公署(なんばんちなんくわんこうしよ)。 何学校何(なにがつこうなに)バラツク何仮小屋内何々方等(なにかりごやないなに〳〵かたとう)と「 震災当時(しんさいとうじ)の住(ぢう)     所(しよ)」 欄(らん)には震災当時(しんさいたうじ)住(す)んで居(ゐ)た住所(ぢうしよ)(震災地以外(しんさいちいがい)の者(もの)で震災地(しんさいち)に滞在(たいざい)して居(を)つた者(もの)は其居所(そのきよしよ))を記入(きにふ)し其下(そのした)    に氏名(しめい)を書(か)いて下(くだ)さい。 二、「 世帯人員(せたいじんいん)」 欄(らん)の「 現存者(げんそんしや)」欄中(らんちう) 「 無事(ぶじ)」とある所(ところ)には震災(しんさい)の為(た)め死傷(ししやう)しなかつた人(ひと)の数(すう)を「 重傷(ぢうしやう)」の所(ところ)には     震火災(しんくわさい)の為(た)め重傷(ぢうしやう)を受(う)け不具廃疾(ふぐはいしつ)となつた者又(ものまた)は不具廃疾(ふぐはいしつ)となる見込(みこみ)の者若(ものもし)くは三十 日以上休業(にちいじやうきふげふ)して療養(れうやう)し    た者(もの)の数(すう)を「 軽傷(けいしやう)」の所(ところ)には震火災(しんくわさい)の為(た)め負傷(ふしやう)を受(う)け七 日以上休業(かいじやうきうげふ)して療養(りうやう)した者(もの)を、「 計(けい)」の所(ところ)には以(い)     上(じやう)の合計(がふけい)を「 死者行方不明者(ししやゆくゑふめいしや)」 欄中(らんちう)「 死亡(しばう)」「 行方不明(ゆくゑふめい)」の所(ところ)には夫々(それ〴〵)震火災(しんくわさい)の為(た)め死亡(しばう)した人又(ひとまた)は行方不明(ゆくゑふめい)    となつた人(ひと)の数並(すうならび)に其(そ)の合計(がふけい)を、「 合計(がふけい)」とある所(ところ)には右現存者及死者行方不明(みぎげんそんしやおよびししやゆくゑふめい)となつた者(もの)の合計(がふけい)を「 失職(しつしよく)」    とある所(ところ)には現存(げんそん)して居(ゐ)る人(ひと)の内(うち)で震災当時職業(しんさいたうじしよくげふ)を持(も)つて居(を)つたが震火災(しんくわさい)の為(た)めに工場会社等(こうぢやうくわいしやとう)が焼(や)けたと    か解散(かいさん)したか等(とう)に依(よ)り職(しよく)を失(うしな)ひ現(げん)に職業(しよくげふ)のない人(ひと)の数(すう)を個人票(こじんへう)の職業欄(しよくげふらん)から数(かぞ)へて記入(きにふ)して下(くだ)さい、 世帯人(せたいじん)     員数(ゐんすう)には世帯主(せたいぬし)をも入(い)れて数(かぞ)えて下(くだ)さい、該当事項(がいたうじかう)のない欄(らん)には斜線(しやせん)を引(ひ)いて下(くだ)さい。 三、「 住宅罹災(ぢうたくりさい)の種類(しゆるい)」 欄中(らんちう)「 全焼(ぜんせう)」「 全潰(ぜんくわい)」「 全流出(ぜんりうしつ)」は震火水災(しんくわすいさい)の為(た)め全(まつた)く住居(ぢうきよ)することが出来(でき)なくなつたもの   「 半焼(はんせう)」「 半潰(はんくわい)」「 半流出(はんりうしつ)」は其(そ)の儘修繕(まゝしうぜん)を加(くは)へれば住居(ぢうきよ)に利用(りよう)が出来(でき)るもの「 破損(はそん)」は住居(ぢうきよ)に差支(さしつかへ)なきも震(しん)     災(さい)の為(た)め大分破損(だいぶんはそん)したもの「 無破損(むはそん)」は何等被害(なんらひがい)のないもの又(また)は壁(かべ)にヒヾが入り瓦(かはら)か多少落(たせうお)ちた位(くらゐ)な程度(ていど)の   ものを標準(へうじゆん)として夫(そ)れ〳〵区別(くべつ)して当該文字(たうがいもんじ)の右側(みぎがは)に◎ 印(じるし)を附(つ)けて下(くだ)さい。 四、 備考欄(びかうらん)には震災当時同(しんさいたうじおな)じ世帯(せたい)に居(ゐ)た人(ひと)で現(げん)に別々(べつ〳〵)な所(ところ)に居(ゐ)る人(ひと)あれば其(そ)の場所及氏名(ばしよおよびしめい)を又震災地以外(またしんさいちいぐわい)の人(ひと)    で震災当時(しんさいたうじ)一 時震災地(じしんさいち)に滞在(たいざい)し其居(そのを)つた家(いへ)や旅屋又(やどやまた)は下宿等(げしゆくとう)が焼(や)けたり潰(つぶ)れたりして災害(さいがい)を蒙(かうむ)つた場合等各(ばあひとうかく)     記入事項中説明(きにふじかうちうせつめい)を要(えう)する事柄(ことがら)を其旨書(そのむねか)いて下(くだ)さい。     世帯票(せたいへう)を拵(こしら)へる場合(ばあひ)は其世帯(そのせたい)に属(ぞく)する各人(かくじん)の個人票(こじんへう)は世帯票(せたいへう)と一 括(くわつ)して世帯票(せたいへう)の人員数(じんゐんすう)と個人票(こじんへう)の枚数(まいすう)と同(どう)    一であるかどうか数(かぞ)へて重複(ちようふく)や脱漏(だつらう)のない様(やう)にして下(くだ)さい。      二、 個人票(こじんへう) 一、「 住居氏名(ぢうきよしめい)」 欄中(らんちう)「 現居所(げんきよしよ)」「 震災当時(しんさいたうじ)の住所(ぢうしよ)」「 氏名(しめい)」は世帯票(せたいへう)(一)の説明(せつめい)に準(じゆん)じ「 世帯主又(せたいぬしまた)は世帯主(せたいぬし)との続(つゞ)    き柄(がら)」の所(ところ)には世帯主(せたいぬし)とか妻(つま)とか(《割書:内縁でも構|ひません》)長男(ちやうなん)とか妹又(いもうとまた)は女中(ぢよちう)とか世帯主又(せたいぬしまた)は世帯主(せたいぬし)との続柄(つゞきがら)を書(か)いて     下(くだ)さい。 二、「 避難場所(ひなんばしよ)の種類(しゆるゐ)」 欄(らん)には親族(しんぞく)の家(いへ)に居(を)るか知己(ちき)の家(いへ)に居(を)るか無関係(むくわんけい)の人(ひと)の家(いへ)に居(を)るかに従(したが)ひ当該文字(たうがいもんじ)の右側(みぎがは)    に◎ 印(じるし)を附(つ)け自己所有(じこしよゆう)の家(いへ)や新(あらた)に借家(しやくか)して避難(ひなん)した人又(ひとまた)は官公署学校(くわんこうしよがくかう)バラツク等(とう)に居(を)る者(もの)は其旨下方(そのむねかはう)に記入(きにふ)    して下(くだ)さい若(も)し住宅(ぢうたく)が焼流失又(せうりうしつまた)は破壊(はくわい)せずして元(もと)の家(いへ)【に】住(すま)つて居(を)る人(ひと)は斜線(しやせん)を引(ひ)いて下(くだ)さい。 三、「 体性年齢死傷病(たいせいねんれいしゝやうびやう)」欄中(らんちう)「 男女(だんぢよ)の別(べつ)」とある所(ところ)には男又(おとこまた)は女(をんな)と書(か)き「 年齢(ねんれい)」の所(ところ)には数(かぞ)ヘ年(どし)を何歳(なとさい)【なんさいの誤りか】と書(か)き「 重(ぢう)     傷(しやう)」「 軽傷(けいしやう)」「 病気(びやうき)」「 死亡(しばう)」「 行方不明(ゆくゑふめい)」の所(ところ)には震火災(しんくわさい)に因(よ)り重傷(ぢうしやう)を受(う)けたか軽傷(けいしやう)を受(う)けたか(《割書:区別の標準は世帯|票の説明に依る》)     死亡(しぼう)したか行方不明(ゆくゑふめい)となつたか又(また)は病気(びようき)に罹(かゝ)つたかに依(よ)り夫々当該文字(それ〴〵たうがいもんじ)の右側(みぎがは)に◎ 印(じるし)を附(つ)けて下(くだ)さい死亡行(しばうゆく)     方不明等現存(ゑふめいとうげんぞん)しない人(ひと)に付(つい)ては世帯主家族知人調査員等(せたいぬしかぞくちじんてうさゐんとう)に於(おい)て便宜判明(べんぎはんめい)する事項(じかう)のみ記入(きにふ)して下(くだ)さい、一 世(せ)     帯全部死亡行方不明(たいぜんぶしばうゆくゑふめい)になつた家族(かぞく)がある場合(ばあい)も右(みぎ)に準(じゆん)じて世帯票個人票(せたいへうこじんへう)を拵(こしら)へて下(くだ)さい。 四、「 職業(しよくげふ)」 欄中(らんちう)「 震災当時(しんさいたうじ)の職業(しよくげふ)」「 現職業(げんしよくげふ)」の所(ところ)には「 何工場何工(なにこうぢやうなにこう)」とか「 何銀行出納員(なにぎんかうすゐたふいん)」とか「 生魚小売商(なまうをこうりしやう)」    とか仕事(しごと)の種類(しゆるゐ)を可成詳(なるべくくは)しく書(か)き職業(しよくげふ)なき時(とき)は斜線(しやせん)を引(ひ)き現(げん) 職業(しよくげふ)あるも一時的(いちじてき)の職業(しよくげふ)に従事(じうじ)する者(もの)は其職(そのしよく)     業(げふ)と共(とも)に一時的(いちじてき)なるや否(いな)やを書(か)き「 希望職業(きばうしよくげふ)」の所(ところ)には現(げん)に職業(しよくげふ)なき者又(ものまた)は一時的(いちじてき)の職業(しよくげふ)に従事(じゆうじ)する者(もの)に限(かぎ)    り希望(きばう)する職業(しよくげふ)を書(か)いて下(くだ)さい。 五、「 住宅罹災(ぢうたくりさい)の種類(しゆるゐ)」 欄(らん)は世帯票(せたいへう)(三)の説明(せつめい)に準(じゆん)じて書(か)いて下(くだ)さい。 六、「 今後(こんご)の住所(ぢうしよ)」 欄(らん)には今後住居(こんごぢゆきよ)しようとする府県郡市(ふけんぐんし)( 区(く))の名(な)を書(か)いて下(くだ)さい、但(たゞ)し現居所(げんきよしよ)の其儘居(そのまゝを)らんと    する者又(ものまた)震災当時(しんさいたうじ)の住所(ぢうしよ)に帰(かへ)らんとする者(もの)は「現居所(げんきよしよ)」又(また)は「震災当時(しんさいたうじ)の住所(ぢうしよ)」と書(か)いても差支(さしつかへ)ありません    「現居所(げんきよしよ)に在留見込期間(ざいりうみこみきかん)」の所(ところ)には現(げん)に居(ゐ)る場所(ばしよ)に今後尚何日住居(こんごなほなんにちぢうきよ)する見込(みこみ)であるかに依(よ)り「 何年位(なんねんぐらゐ)」「何月(なんげつ)     位(ぐらゐ)」「 何日位(なんにちぐらゐ)」と記入(きにふ)して下(くだ)さい。 七、 備考欄(びかうらん)は世帯票(せたいへう)(四)の説明(せつめい)に準(じゆん)じて下(くだ)さい。