新版東海道地震双六 東都 亀名堂板 ふり出し 【以下右下より五十三次の順番】 【起点.日本橋】 日本橋 ニり 大きい じしんは 江戸では ゆられまいじしん ばんにおそれて 【町内警備の自身番を地震番に掛ける】 【絵は自身番と鯰】 【1.品川】 品川 三り半 いそがしいとき じしんが ゆり用を品川 にげる 【忙しい時に地震が来たので用をしないで逃げる、しなを品川に掛ける】 【絵は逃げ出す女性】 【2.品川】 川さき ニり半 どんな 人でも かほは 川さき 【顔を先にし逃げるの意、顔先を川崎に掛ける】 【絵の右側は走って逃げる男性】 【3.神奈川】 かながわ 一り九丁 しんぶつを いのつても とても かな川 【神仏に祈っても叶わない,かなを神奈川に掛ける】 【絵は祈っている女性】 【4.保土ケ谷】 ほどがや 二り九丁 むさしの 内はすこし ゆへきもはつぶ してもいへは つぶれぬ 【ほどがやのやを家と見立てる】 【絵はつぶれていない家々】 【5.戸塚】 泊 とつか 二り うちをこは されてもあい てがぢしん ゆへとつか まらぬ 【とつかまらぬを戸塚に掛ける】 【絵はつぶれている家から逃げ出している男性】 【6.藤沢】 ふじ沢 三り半 これが ほんの ふじ さはだ 【不時(ふじ)の障(さわ)りで、ふじさわの洒落】 【絵は突然生理になった女性ヵ】 【7.平塚】 平つか 廿七丁 てんさゐと いふことを 平つか 【まっぴらを平つかに掛けるヵ】 【絵は腰を抜かしている男性】 【8.大磯】 大いそ 四り いたんだ所は きうのふしん で大いそぎ 【大急ぎを大いそに掛ける】 【絵は新しく建てた蔵】 【9.小田原】 小田原 四り八丁 よめのそう だんもこの ぢしんで 小田はら になり 【小田原評定、つまり長話になった意】 【絵は長話している嫁】 【10.箱根】 はこね 三り廿九丁 はこねの山もこの ぢしんてよこに なつたといふ ことだそれでは よこねの とうげだ 【箱根の山が地震で横になったので、箱根の峠でなく横ねの峠だと洒落る】 【絵は箱根の峠】 【11.三島】 三しま 一り半 つぶれ てやけた あとを みしま 【見しを三島に掛ける】 【絵は焼けている家々】 【12.沼津】 ぬまづ 一り半 この宿も半 ぶんやけて大 さはぎ ししんの ゐるうちはぬまず よいたろう 【ぬまず→住まずをぬまづに掛ける】 【絵は焼けている家々】 【13.原】 はら 二り六丁 ぢしんでくわ づに【食わずに】あるいたら はらが へつた 【腹が減ったを原に掛ける】 【絵は富士山】 【14.吉原】 泊 よし原 二り十九丁 ぢしんでたし かけた名ぶつ のしろ ざけ 【出すは酒店用語で買うの意で、買いかけた白酒の意】 【絵は白酒の看板】 【15.蒲原】 かんばら 一り くそやけだ くつと一ッぱゐ さけの かん原 【酒の燗をかん原に掛ける】 【16.由比】 ゆい 二り十二丁 【17.興津】 おきつ 十九丁 内はみんな つなみでなが れ ねどころ かない【寝どころ】 かないからはやく おさ【きの誤刻ヵ】つ 【早く起きつを興津に掛ける】 【絵は津波】 【18.江尻】 ゑぢり 二り半 つなみでながれた 人はさめや くじらの ゑぢりと なる 【鮫や鯨の餌食をゑぢりに掛ける】 【絵は津波】 【19.府中】 ふちう ニり半 いのちが ほしいとて 主人おいて にげるのは ふちうだ 【不忠を府中に掛ける】 【絵は逃げる武士】 【20.鞠子】 泊 まりこ 二り ぢしんのこにめはなが ついたとき それは名物 じしんの かたまり 【かたまりでまりこに掛ける】 【絵は赤子をおんぶしている女性、看板は名物のとろろ汁】 【歌川広重の「東海道五拾三次之内鞠子」に登場する子守の姿】 【21.岡部】 おかべ 一り半 このじしんは おかべでみた よりまた おゝきい 【岡目(おかめ、傍目のこと)で見るより大きい。おかめをおかべに掛ける】 【絵は腰の抜けた男性】 【22.藤枝】 ふじ枝 二り このじしんてわたしの 内はたをれました それはとんだ ふじゑだ 【内(うち)は家のこと】 【藤枝→ふじゑだ→不時家だ、災難の家だの洒落】 【絵は倒れた家】 【23.島田】 しまだ 一り 大井川大水で とうりう【逗留】の内 あのしまだを ひとゆりゆら してみたい 【京都の島田で遊んでみたいの意】 【絵は大井川】 【24.金谷】 かなや 一り三十丁 さよの 中山あめ のもち【飴の餅】が つぶれた それはとん だめに相の宿 【小夜の中山は、金谷宿と日坂宿の途中の峠】 【飴の餅は、小夜の中山の名物和菓子】 【とんだめにあい→とんだ飴にあいの洒落】 【絵は中山の峠ヵ】 【25.日坂】 泊 日坂 一り三十丁 【26.掛川】 かけ川 二り半 つぶれて やけて内には いられない みんなほかへ かけ川 【他へかけ川→他へ出かけの洒落】 【絵は焼けた家々】 【27.袋井】 ふくろ井 一り半 この宿はじしんが やすいから袋井 へいれて江戸へ おみやげ 【地震を袋に入れてお土産にする】 【絵は地震を入れた袋】 【28.見付】 見つけ 四り八丁 ないしやう【内証】で やつたじしんを みつけられ 【みつけられ→見付の洒落】 【絵は屏風に隠れていたところを見付けられた所ヵ】 【29.浜松】 はま松 三り廿丁 はま松で ふられた客 人となりのじしんか うら山しい 【はままつから待つに掛けている】 【絵は待ちぼうけの客】 【30.舞坂】 まい坂 一り この宿はゆら はなしじしん がよはいに でかけたなら 御女ちうかたは まいさかの御用心 【まいさか→まさかのご用心と掛ける】 【絵は夜這いで断れている光景ヵ】 【31.新居】 あらい 一り廿七丁 御せき所より 一里ほど あらゐつなみ でながされた 【津波があらゐ→あらいの洒落】 【絵は荒い津波】 【32.白須賀】 泊 しらすか 一り しらすかと ふた川との 二宿じしんの 大やすうり 【絵は女性が男性客を客引きしているが素通りするところ】 【33.二川、ふたがわ】 二川 一り半 三百文で ゆりしだい そんなら こゝでとまりま しよふ 【絵は女性が男性客を強引に客引きしているところ】 【34.吉田】 よしだ 一り半 しつゝこい じしんだもう よし田 さい 【地震がしつこいので、よし田さい→よしなさいの洒落】 【絵は嫌がっている女性】 【35.御油】 ごゆ 十八丁 なんぼじしん がしやうばゐ【商売】 でもこうゆられ てはたまらぬ ごゆるし〳〵 【ご許し→ごゆに掛ける】 【絵はしつこい男から逃げようとする女性】 【36.赤坂】 泊 赤さか 二り こむすめがぢしん のはなしで かほを あかさか 【顔を赤らめ→あかさかの洒落】 【絵は顔を赤らめている娘】 【37.藤川】 ふじ川 二り半 みかはゝじしん がゐるはづだ まんざい らくので所だ 【絵は三河万歳の男性】 【38.岡崎】 岡ざき 四り おかざきの ほうはいた まないかね やはぎ【矢矧】いたみ ました 【やはりと、やはぎを掛けている】 【絵は矢矧(やはぎ)の橋】 【歌川広重の東海道五拾三次の岡崎 矢矧之橋を写している模様】 【39.池鯉鮒】 ちりう 三り ちりふと なるみの あいの宿 ある丁の 【末尾1行分の文字が消えているヵ】 【なるみの合いの宿と「なるみの藍」を掛けている、「なるみの藍」は藍色の絞り染め】 【絵は三河地方の特産品であった木綿】 【40.鳴海】 なるみ 一り しぼりやも このぢしんでは しんしやう【身上】を しぼりました 【鳴海絞りとしぼりを掛けている】 【鳴海絞りとは、鳴海町付近で生産される絞り染め、綿布をさまざまに絞って藍染めしたもの】 【絵はしぼりやの男性】 【41.宮】 泊 みや 七り みやとくわな つなみでながれ るはづた □□ たまつた 【絵は津波】 【42.桑名】 くわな 三り八丁 【43.四日市】 四日市 三り ぢしんは五日 ほどゆり ました てうと 四日市にちだ 【5日揺れたから、4日+1日で四日市と洒落る】 【絵は歌川広重の東海道五拾三次の四日市宿に登場する旅人】 【44.石薬師】 泊 石やくし 二り廿七丁 やくしの宿を【「と」では】 いふはづだめし もり【飯盛】のつらが しやくしだ 【いしやくしと杓子を掛ける】 【つらが杓子だとは額とあごが張り出て中凹の顔つき。】 【絵は顔を鏡で見ている女性】 【45.庄野】 しやうの 一り これは大 へんどう しやう のう 【どうしようの→庄野の洒落】  【絵は慌てている女性】 【46.亀山】 かめ山 二り おれが内 さへのこれば かめやま 【家さえ残ればかめやま→かまやしないの洒落】 【絵は無事に残った家】 【47.関】 せき 一り半 ぢしんを すまふ【相撲】に とりくんたら こんどのがせき 【関取→関の洒落】 【絵は相撲取り】 【48.坂下】 坂の下 二り半 石がころげて あふない 坂の下 【絵は坂の下の石】 【49.土山】 泊 土山 一り半 【50.水口】 みな口 三り まんざ【「い」の漏ヵ】 らく【万歳楽】とみな くち〳〵に いふばかり 【絵は万歳楽を示すヵ】 【みなくち〳〵を水口に掛ける】 【51.石部】 いしべ 二り ぢしんのさい中 いしべを すかし はなを つまんでおゝ くさつ 【屁からいしべ、おお臭から草津に掛ける】 【絵は屁をすかしている男性】 【52.草津】 くさつ 三り廿丁 【53.大津】 大津 四り半 ぜに【銭】のない きやく【客】ぢしん くひにけ【食ひ逃げ】を し とつかまつて とんだめに大津 【とんだ目におおた→大津の洒落】 【絵は食い逃げして捕まった客】 【京都】 上 京はゆりませんが しまばらに ぢしんのとひや【問屋】が こさります 【島原は京都市下京区に位置する、幕府公許の遊郭街】 【絵は島原の大門を吉原の大門風に表現したものヵ】 一ッあまれば大津へかへる 二ッ〃   くさつへ〃 三ッ〃   いしべへ〃 四ッ〃   みな口へ〃 五ッ〃   みやへ〃