【巻子本】 【ラベル】 SMITH-LESOUËF    1517 F  JAP 134(2) 【巻子本の巻いた状態の上部】  【巻子本の巻いた状態の下部】 【表帯、押さえ竹、見返し】 あはれ女ともいかゝおほえたふ薄衣ひとつを なかひきに引しをかくめて度御ほんぞとも きかさねてくさりたるをこ【わヵ】れも御をしへによりて かくなりけれはたゝをんなともの御とくとそ おもふいかゝおほへ給ふ とみくさり      たる へをひり  給ふぞ    かし         あはれとくはかり            おさめはや あまりいたくつけは かひなたゆくこそ  あれ           てもたゆく             日暮らし                たる                 よね                   かな たはのとを     との     から  もて参りたる      にへなり       かうしきしはおはする                にや       中将殿にめし侍りめて                 たく       つかまつりたる人めてたきろくとも              まふけられたり                  いかゝこのとなりのかう                  しきしのけうのさえ                          して                  とひとになりたるは                  おほえたふよしなき                  とねまつりことして                           人                  にのられていはれ                         たふは                  やくなき事にて                  このかうしきしにでし                          ぶみ                  いたしてこのさえ                          ならひ                  たへかしいみしうこそ                   うら山しけれ けに〳〵まろもさ思ふ でしふみとらし       たり        とも 心やすくをしへて         んやは こゝろみにてしぶみ とら【他本「せ」】てならはむと   おもふ事なり としころもいかで申まさむとおもふたまへつれとも 其事となくてまゐり来つれはこのしたふ ざえをしへたうべとておひ〳〵でしぶみたいまつり つるなりかならずてをつくしてをしへたうへ  かゝるざえはひとりあるはたゆる事   なればつたへまさむとて申なり やゝ申さむよく〳〵しりてたもち給へでしぶみいたしてたうはずとも ならはむとあらん事をいかてをしへ申さゞらむいはんや                        でしぶみ                            を たうたればいとかたしけなしこの事 申たる事 又人にきかせ給ふなさらはえなら   ひとり給はじ おのがしわさをしへたうひしかはとし                 ころ  かくして今かゝる をしへのまゝにし侍る          なり ゆめ〳〵ならひとらんと           おほさは 口よりとに出し給ふなにき            はし からぬ殿はらのみもとに参りて のたまはむやうはかう〳〵てい            はうひち               〳〵と 三たびいふてひてたけまろかつかふま                 つる さえをめてたしと殿はらのおほせ 給ふはおこの事なりふくどみがかたはしをしへて侍也                        と のたまはく人聞て申とほしてんきこしめしてつかふ まつれと仰給はゞ酒をまつたうべていのりごとして つかうまつらんと申されば其をりに朝かほのみを十ばかり さりけなしにうちくゝみて酒【他本「うけ」】してすゝきいれてさてはらさぶ めかんをりにたちはしりてしりをこそめていきみ給へ さらはえもいはぬ声はひでたけがするよりもはなやかに ひり出し給ひてんとをしふれはてをすりて喜ひて ふくとみは七条のほうのとねなり 此秀武といふやつのするだにとの はらはめてさせ給也すやつ            は ふくとみがかたはしをしへたるをだにめてさせ給ふなりまして ふくどみがはしなれはをさめてとうてひりつゞけむは殿はらの めでさせ給ひなんかしといへはいそぎてましに入ぬれは めしをたちてたてるほどにいぬゐのかたに向ひて ひでたけかをしへつるやうに かう〳〵ていほうひち〳〵と             三度 いひてねうしたてり             しはしたゝいこれ             中将殿に申さん あなゆゝしたゝおいにおひ出            されよかし              あまはかゝる事               あはれおふけなきやつかな                是は七条のふくとみには                    あらすや こやつたゝうておいいてよ みめよりはし めていみ しう にくし しり   こしを しぬ■■【他本「はか」】りふめ  いみ■■【他本「しう」】き■■【他本「たな」】しこる はかりおふせよ            本よりひりけるに社【こそ】あめれ             殿に■【他本「ひ」】りてかくせんと              思ひけるいと恥なし               こるはかりよく                かうせよ 年よつたる物は       あはれ         し  けにたゞとく追出し         てはや    何事を      の給ふそ      かばかりの       盗人        をば       よく        かうしで        こそ          やら            め                    たすけ給へや                     なをしばし                      御覧せよ                     さりとも                      ならひ                        たる                       ところ                        さふらふ をれは何事申そ  こるばかりたゞ   よくかうぜよ        物見よおきなのくそひりて         こうせらるゝ              を とういきて見よ今そ 杖にすかりて   よろほひ     ゆく      める   あはれよしなき女の物うら              やみに  すゝめられてひてたけまろに   すかされていかて     家にあゆみ     つかむ      すら       ん      いなあれは七条の       ふくとみにいます■りか【他本「いまするか」】  いかにしてさるめは      見たまへるぞ                おほちはいろ〳〵の                 おほんぞどもかづきて                  おはすめり                      ふるきぬ                   皆やきてんあな                      うれしや       とく〳〵やけかゝる古衣の        またなけなるはやきいるそよき           いろ〳〵のおほんぞ             かつきて                おはすれは               これは何か                   せむ またしきにもやき  給ふ物哉たし       かに   見てこそ焼      たまはめ                何しにかはまだしきには                 やきすて給ひつるとねいま                            して                  こそのちもやきすて                     たまはめ 何事をの給ふそあなあさまし年は六十余になりてとねまつりこと                             し                             給へとも 三つ子に引をとり給ひけりあさかほのみは一ツにてたにはら                           とくる                             物を それに十つぶをむなしばらにすきいれてんには かきる事にこそあなれかしかしこう是 まてよろぼひいましたるけうの事              なり   まつはらとゞめん事をやは     くすりくひてかまへ            たまひね ひてたけかえもいはぬ  おほんそをたまはれはぬしも   あやにしきを給はりて    いますると         こそは     見つれふる衣      ともはやき          つるそ       かし        たれかかく       いみしきめは        見たまふらんと            おもふそ            ふるひはしぬともさるものを             いかにきんずるそさま〳〵に              おとこせたむるをんな                   ともかな           いてやわをうなとものちゞに           かくわびしきめをみする            きつきてたに見たまひて            をのれやけといはむ             をりこそはやかめ              おぼすに              此事まば                 ゆき【他本「此の事ははゆき」】              事と                おほ                 ゆる                  そ                   なれはえ                    ならは                      じ                      と                   いひしを                  などかでしぶみ               いたしてねんころに             いはゝおしへてんとのたま           ひしかはうしろめたき事          のたまはんやはとてこそでしぶみ        いたしてならはんといひしかばよろこび       たる顔してねんころにをしへしを誠と      ふかくたのみておしへしまゝにせしぞ     かし朝顔のみの事を人にゆめ〳〵といひ    しははやう腹とくる事なれはしりたる   人有てもしいひとゝむるとてあなかちにいひし  なりけり本よりひてたけまろはさるがう                  するや                    つ なれはこのざえするもいとよしふくとみか此事 せんと思ひけるが       あさまし也 こゝもとをふむへきか  いかはかりふみをられ   たるぞやおひ〳〵                あれはしぬやよしなき                をんなの物うらやみに                 老のはてにかゝる                  めを見つる                     かなしさ                         よ                   是をまつひとつ                    すゝりまゐれ たかむこのひてたけといふやつのわかいのちをかけて  たのむといふ人のふくとみをすかしてあさかほ                       の   実をすかせたるはかきりなきつみなり                   くやつ    みさきのかみたちまちくる     はしておほちみちに      うちふせて    まどわせ        給へ     あなかし         こ          や             おい              〳〵 やあかきみかくのたまひそとても  かくてもをうなともの   し給ひたる事と         思へは    むかひ申も      うと       まし        き         也                 これはいみしきくすり也                   たゝ一すゝり                      すゝり                       給へ      かくてはいかゝし給はんずるぞ       をうなをまどはし               たまはん                  ずるか あさかほのみは ひとつたにはらと くるものなり 十まてすきてん にはよき事 ありなむや さりとも 此藥をすきては けしはあらし  これをす  かすへき     なり         この女は七条のふとねの            おきなのめにてさふらふ             あやつ■【他本「あやつゝ」】のへひりの                      ひて               たけにはかされて                朝顔のみすすき                たれは其のち                     かく                ひるとこそうけ                給はれ心をえ                     させ                給ひてちをうせ【早稲田大学図書館本「給ひてくすりを」】                たまふへき也                ひてたけと申す                やつのをとこにて                さなしぬ【他本「さふらふ」】おきなを                すかして朝かほの                実を十つぶはかり                すかせてさぶらへは                其のちよりはら                ねとけてはさうの                みつをいたす                     やうに                有りまつれは年老                たるものゝかくさふらへは                何をたのみ候へき                       そ ふとねかめのする事も       ことわりなり いみしうたけき女哉   かうしきし     し■【他本「あ」】つかひ     にた       り       たゝついまろはして          いねかし     人見は〳〵だゞしなんと思ふそ       おい        〳〵      やゝかくなし給ひそいと見くるし人       見るとよはなち給へ あれをみよ     えほしも  落にたり     あなおかしや          〳〵 かうしきしとねがめと■り■みたるを              わらふとそ                  きく                 何を                  わらふそ なにをみるそおれら        詞書写           實仲 【巻子本の表】 【ラベル】 SMITH-LESOUËF    1517 F  JAP 134(2) 【箱の中に巻子本二巻入】 【ラベル】 SMITH-LESOUËF    1517 F  JAP 134(2) 【箱の外側】 【ラベル】 SMITH-LESOUËF    1517 F  JAP 134(2) 【箱の墨書き】 糞書  物語 巻 物 二 【箱の外側】 【箱の墨書き】 糞書  物語 巻 物 二