上州草津温泉大図【横書き】 【表題の上の枠内】 当温泉は 人皇四十四代 元正天皇御宇 養老五年 四月八日行基 菩薩当山に 登温泉を成 給ふ其後 建久年中 将軍頼朝公 当国崎御 道て温泉に 浴し給ふ其湯 を御座の湯と 名付に頼朝公 の御宮有委は 温泉記に有 天正年中 近衛龍山公 御入湯有御歌に ▲里はまた 紅葉の秋に 時しらぬ 白根に今朝は 雪ぞふりけり 【右下の枠内】 板元 《割書:あふみ屋|としまや》 草津温泉より【一段目から八段目までベタ打ち】 三り  羽尾 六り  狩宿     御関所     沓掛 十八り みやうぎ 三り半 長の 三り  須ヶ尾 二り  大戸     御関所 三り半 三のくら 三り  かみ山 三り  たかさき 原 二り  川原湯 三り半 岩下 一り半 江原 一り半 川戸 四り  はるな 三り  室田 三り半 【たかさき】 四り  しま 二り  生須 四り八丁 沢渡 六り  いかほ 一り半 水沢 三り  柏木 三り 二り  中の条 一り  あり川 二り  入須川 二り  相又 一り  猿ヶ京     御関所   【中の条】 七り  八ツ崎 七り  花わ 六り  竹木 四り  足尾 五り  日光 四り  大前 一り  大さゝ     御関所 八り峠 仁礼 一り半 わた打【綿内】 □り半 ふく島 二り  舟わたし 善光寺 七り峠 渋湯 一り半 中の     立ヶ花     舟わたし 二り 浅の 一り廿六丁 吉田 □り 【善光寺】 【右側中央、「ねつの湯」の説明】  ねつの湯【横書き】 此ゆは日に三度づゝおんねつの かはり有て服病はやわらかなる 時入べしうちみくぢきによし ひつひぜんにはごくあつきとき いりてよし▲汲水の湯になる          ほどのあつさ哉 【中央上、「御座ゆ」の説明】 御座ゆ むかし頼朝 此ゆに入給ふ なん病の 人はこれに 入てよし 【中央中ほどの右、「かつけのゆ」の説明】  かつけのゆ こう法大師 かつけにて御なんぎ のせつ此ゆにて 御くわいき あり かつけと しやく つかへの 名湯 なり 【「かつけのゆ」の下、「馬のゆ」の説明】  馬のゆ 馬の病に 入て吉 【中央中ほどの左、「わたのゆ」の説明】  わた□□【のゆ】 やわらか なるゆにてよは き人ひへしやう の人は長く 入るはげんきをまし 子なき女はくわいにんする也 【中央の下、十七本の打たせ湯の説明】 滝は大小十七本有 いづれの病にもをり〳〵 入ときはのぼせをひき さげ気血を廻らし 百びやうとして治 せづという事なし 【中央の下、中町の左側の書き入れ】 汲てゆくいづれ 姿の水かゞみ よいのもあれば わるいのもあり 【左側上、「じぞうのゆ」の説明】  しぞうのゆ むかしこゝに虫の病有 人一七日こもり入にまんずる にゆめのつげに此下に おんせん有これに入 時はむしのねを切也 無病の人おり〳〵 入ば道中にて雨風に あたりてもゆはもど らづ じそうの せいがん也 【左側下、「わしのゆ」の説明】  わしのゆ 此ゆはむかしわしとび 来て日に三度づゝ足を ひたし人〻ふしぎに おもいみればてつぽうに うたれたるきづ有て これを湯治する也 ほどなくへいゆにして とび行うちみくじきの 名湯なり