【右丁】  五十二番 歌の心は夜の あけぬればおきい でゝゆかしき人にわか れてかへるそのつらさも またほどなく日のくるれ ばしのびてもこらるゝなり われもそれとはしりながらわかるゝ ときのわびしさにのちの事は おもひもやらずたゞ此あさぼらけが うらめしと也世の中のならひ後はさも あらめ先当【當】坐を悲しむ心おもしろき歌也 【左丁】   藤原道信朝臣(ふぢはらのみちのぶあそん) 明(あけ)ぬれば  くるゝもの    とは しり  ながら 猶(なほ)うら  めしき 朝(あさ)ぼらけ   かな 【右下】 一陽斎  豊国【國】画