とび 「ヘイごめんなさいやしわちきア とびで ごぜへエスが このたびは いろ〳〵おせはくださり おかげさまで まうかりました これはあげでこぜいす ほんのしるしばかり とびにあふらげとは この事てござい あなぐら大工 「ヘイわたくしは たいくの あなはちと まうしますが これは ひやうたんぐすりでござりますが あなたさまに 大みやうやくで ございます いたみのところへ つければ なまずは ひやうたんで をさへますと まうします どかた 「チトごめんなさいまし わたくしは どかたて ございます このごろは どかたの ねへほど かねが もうかるから ちつとたれかにかして やりたいものだ ほねつぎ 「わたくしは ほねつきで ございますがこのあいた まで しやうじや からかさのほねつぎで こざり ましたが おかげさまで まうかりました さかん 「ヘイごめんなさい わたくしは ぬり五郎てござり ますが おい〳〵さかんに こて〳〵まうかりますから なまづで さけが うまうございます ざいもくや 「わたくしは ざいもくや木へいと まうしまうします このたびは をう木に うれました けや木も もめずに くろがきも しのぎました たくさんまうけすぎました いくらもめても 木は もめません 四もんや 「わたくしは しもんやで ございますが ぢしんさま おか げでにしんが うれるから さんちんがししんで せつちんが くさからう だいく 「ヘイわたくしは たいくのいたすけと まうします なまづ くはつに おりましたが ぢしんさまのおかげで おかねがたいそう もうかりました このしなものは せけんを おだやかに ふるへのなをる 大工(だいく)すりで ごさります ちうげん 「わたくしは あかいこもんのかみさまの ちうげんで こざりますが わらじで もうけましたおれいに おにしめを もつてまいりました かづもよつぽど こざいます ぢしんあき【み?】なるかずおほく やねや 「ヘイわたくしは やけやのとんすけとまうしますが このたびは おかげさまで やねはちしんぶきになり まして おかねが まうかりますて こしや【引越屋じゃなくて葬儀屋なのかな?】 「わたくしは こしやのうめ八でこさいますが あなたの おかげて 一チばんのうめへこし〳〵おかねがまうかりすぎ ほねがおれて あしこしがいとふござります いしや 「このごびやうきは じうぐわつ二日のよる四つじぶん から ふるへが まいりましたか しかしこのあんばいでは かはつて おはらのゆふづが つきませう まづ このかしま がんといふ くすりを をあがんなさいまし 大なまづ 「わたくしも このあいだのじこうて からだをだいなし にいたしました それからといふものは あたまがゆさ〳〵して こまります まう せけんを おたやかに づゝうのないよう にいたしたいとは おもひますが ふるへが いまた なをりま せんから よなほしぐすりでももちいて めでたくなほし たいものでこざります 東京大学図書印 0011841772