□□月夜鍋 完 【間違月鍋】 天明元年 間違月夜鍋《割書:通笑作|清長画》全二冊 郭清(くわつきよ)はかたい【?】といふ所の人也まづしうして はゝおやをやしないけり いつしをうみて三才に也 くわつきよ□いうほ かのまごをいつくしみ わがしよくしをわけて あたへけりあるとき くわつきよつまにかたるやうは まづしければはゝの しよくしさへこゝろに ふそくとおもひしに そのうちをわけてまごにたまわれはとぼしかるべし 是ひとへにわがこのありしゆへなりしよせん なんじとふうふたらは子はふたゝひあるへし はゝはふたゝひあるへからずとかくこの子を うづみてちゝをやしないたくおもふなりと いゝければつまもさすがかなしくおもへとも おつとのめいにたがわづして三才の子を ひきつれてうづみにゆきけり すなわちくわつきよなみだを こぼしてほりたれば おふこんのかまをほりいだせり そのかまをゑて子を うづまつしてつれかへりけり くわつ きよ おふ こんの かまを ほりいたし たる事 そう もん しけれは そのかま ゑいらん ありしに ふしぎの もんじ すわり【?】 あり 其文 ̄ニ曰 天賜孝子郭 _一巨不得 大集民不得取_二 ̄ニ このぎはてんとうよりくわつきよに たまふほとによしんはとる へからずとなりきみも かふしんなる事ぎよがん まし〳〵かづのたからを くだされかまを たいせつにいたす べしとなり 二十 四 かふ【二十四孝】 と ゑ ら まれ し その 壱人 なり いや □そうも ないしたが【?】 おふがまなら どふで あろふ くわつきよてんのめくみにより おもふまゝにはゝにかふしんを つくしゆたかにくらしけり 二十四かふのうちにも おやをとらにくわれじと 身かわりに いで とらかとふりものゆへあやうき なんをのがれおやのかわりに かにくわれいまではふかうな ものかにくわれるかんのうち たけの子をくおふといふむりな おやがあれどもたけのこがでる 今でゝもいつ□ふんははづ まね は ならずなまうをがくいたいと いへはこほりのうへに はだかてねてこほりを こわすちゑもなし のめくりこんたらとう したものいづれてんとうの おんめくみおちいてもおはあても かふしんのみちさへあれはありかたき ものなりそのなかにもこかねのかまほど ねうちのよいてんのおんめぐみ これはづかりはかうぢうのこらす かうやみけり【?】 しまつたらどう じきやうを【童子教を】 よみやれ くわつきよあまたのさかしらを くだされけれともあへてまた 金をのはすこゝろもなく まこのじぶんまてはあんらくに くらしけれともまこ もとのほうらくと なりかまはあれども つぶしにもならす せんぞがでんしても かつておかしやれは【?】 よけれども是では すまぬとおもひ あきないをはしめ うり〳〵なが さきへにもつを つみてわたり うつたりかつたり なんぞほりたし ものでもしたいと とかくかまの くせかやまつ これより あきないに ほりだしものと いふ事はじめ けり くわつきよにはよだいの まごとし〳〵 おかさきへ あきないに来りしが まるやまのゆふくんに はまりこのころまてはからも にほんもでいりを かまわぬじぶん なれはこくせんや のやうに やろふとなり とうしんの とうの じを とり なを とう 兵へと あら ため もはや からへは かへらぬ きに也【て?】 これと いふも おやの なきゆへ なり おやかあれば またかう〳〵を つくし かまを ほりだそふと いふ たの しみも あり とかく まるやまの事が きにかゝり につほんの 人となり けり ひけも けんぶく しま しやふ けんぶく した所はきついものた □に□て見た もんの介のやうた とう兵へとなをかへいよ〳〵 ふかくなじみかぢわら けんたくらいてあげたいに こまるまてかよいむけんの かねより一のとみでも とりたくおもふ なかさきまるやまは からよりあきないに 来るとうじん こゝにて にもつを さばき とうから のうち まるやまへ くらべこみ かんりともにへかいすて もふけをだいなしに するゆへはあ〳〵と いふはこの事なり とう兵へ まるやまへ はまり もとでも さつはり なくし いけんの してもなけれとひとりてにおとなしくなり これをおもへはあるうちのいけんは やくにたゝぬものなりもつとも なくなると かりても かたつても つかへども さすが くわつきよが たねほど ありてつかう ほと つかつてしまひ これからはひと かせきとひとり しあんにとろ〳〵と ねむりうたゝねのうち ゆめを見る とう兵へは なかさきの てつほう丁の しんみちに たなをかり かすかにくらしけるが ものはいわいからと なかやのうちで こゝろやすきものを よびさけいつきんおごり ゑてものゝかんふらを こしらへふるまいけり みな〳〵きけんよく はなしなかにもしやうざに わたり給ふおふやさま これはなにのおいわいと たつね けれは おこゝろやすいから おはなしもふします 此あいたよいゆめを 見ましたすこし わたくしものぞみが ござれはほんの こゝろいわいで ござりますと かち〳〵と よつをうつをも かまわず とう兵へかくにの はなしまてきく 【台詞】 ねごとは おとなも いゝますかな なんと □とは □とや は どふで ござり ます たばこやは うれ ましやう の なんにもかわる事も ござりませぬが かみそりが ござり ませぬ とう兵へはよのふくるまで きんぢよのしうを はなさせ とろ〳〵と ねむりしに がつたりと ものおとに おどろき おき あかりて たい所を 見れば うらくちの とをあけ はなしに してあり ひるのやうなる つきよにて かまといふ 事は いくらも れいの ある事 なれ ともなべを とられし事 がてん ゆかず とう兵へが かまはくわつ きよより ゆつられし こかねのかま まづし けれとも うりも せず これをとられ ては おふ事と どろぼうにあつても よろこひけり とう兵へとうぞくに あいし事を いゑぬしに はなしわたくしが しよじのかまは おやぢよりゆづり にてこかねのかま このうへはひとり ものにて おいてあるくも こゝろ もとなし さいわい あきないの もとでに 金五十両 かり いへぬしの かはん【加判?】 にて 五十両は しやふぶな かしもの そのかねを なんぞ かいます までおまへに おあつけ まふし ますと いへぬしに あつけ かまを かりて おふやへ あつけると 今のよに いたるまて しらぬ ものは なかりけり 【台詞】 五十目よく おあらため きれはある まい あり かたふ ぞんじ ます これと いふ も せん ぞの おかげ しや とう兵へは 五十両の もとて にて いろ〳〵の にもつを ひき うけ 事に もとが くにもの ゆへ せんとうの【?】 ほまちもの【?】【本マジ物?】 とうもんの【唐物の?】 へつかうのと【鼈甲のと】 もちこみ むしやふに こなし なからかい こむゆへ さんじのまに あめを のばす ごとし につほんの ふうは のみこみ ふるぞめ つけと 見ゆる とんぶりの ちうもん さらさのこきれをたのみ くいあまるほど さとうはもらい てりやかても【?】 さふらんでも【サフランでも?】 きんじよへ せつたいにする ゆへせけんの もちいは よし うまいものゝ おやたま なり 【下段】 あきないとうじんと いへとも まつり のとは きつい ちがい きよ ねん たのまつ した ふるい物は わしも ほし見せ までせん ぎしたか おもしろい ものは こさ らぬ かいた【かつた?】 ものは もち ろん 月夜になべをぬすまれしゆへ かまへ五十両かりそれより しやわせなをりしをとくと かんがへければゆめに見たるを たかのこゝろでいわいしに とんびなりそれをよろこび かまとなべとのまちがいたかと とんびのまちがいこれよ□【り?】 ゆめちがいといふよきゆめは よしあしきゆめもいわい からはんじの事この とふりなりこよみの てんしや日にもあくを なせばあしくくろびにも ぜんをなせはよし なすびのかわりに しろうりのゆめも いわいからにて たいきちじ ならん なかき よの とふの ねむりの みな めさめ 浪 の り 舟 の お と の よき かな 通笑作 清長画