寛政十一 《題:腹内養生主論 《割書:一九|  画作三冊|    ■■》》 飲食(いんしい)は身命(しんめう)をつなぐ至宝(しいほう)にして。礼義の本 原(げん) なり。予年 頃(ごろ)。いかもの喰(ぐひ)を好(この)みて。紅葉(もみち)牡丹(ぼたん)はいふに およばず。蟒(うはばみ)【蠎】のかばやき。狼(おほかみ)の酒亀煮(すつぽんに)【泥亀煑】。蛇(じや)の鮨(すし)【鮓】に天狗(てんぐ) のしぎやき。鉄砲玉(てつぽうだま)の座禅豆(ざぜんまめ)。四文銭のはり〳〵。 といふも更(さら)なり。身体(しんたい)鉄石(てつせき)にあらざれは。遂(つい)に 脾胃(ひゐ)を破(やぶ)り。病症(やまひ)をいだし。後悔(こうくはい)先(さき)にたゝずの 業(ごう)さうしを。此(こゝ)に模写(もしや)して。養生(ようじやう)の道をひらく といふ。于時寛政十一未の春              十偏舎【十返舎】誌 【右丁上】 慎言語以養其徳節飲食以(つつしんでげんきよをもつてそのとくをやしないいんしいをせつにしてもつて) 養其体(そのたいをやしなふ)といへりとくにはせ川丁 へんに一九といふなまけものあり生とく のいやしぼうにてとかくなんでも見るもの をくいたかりはぢもぐはいぶんもかまわず くいたいがやまひ也 このせつはあ まりくい すごして ひゐはそこ なひげん きはお とろへ ものにたい くつしてくさ ざうしのさくさへ できずなんぞ しゆかうをかんがへ よふとするとつへ ねいつてしまいにし むらよりはたび〳〵の さいそくあんじつかれて とろ〳〵とまどろみし うちにふしぎのゆめを 見るまことにゆめは五ぞうの 【左丁上へ】 【右丁右下】    〽このおとこのくい    たいやまいはいくら    いつてもきかぬから   くすりをのんでも   じきにまたくう  からこのうへははら のうちへいしやを かかへておくより  ほかはしかたが    ないといふもんだ   さて〳〵こまつた      おとこだ 【右丁左下】  〽これはごくろうでござり  ますこれへおいでくだ  さりませのどのあいだの ろじがせもふこさります いぬのふんをおふみなされ ますなこのおとこのことで ござりますからいぬのふん  でもたべかねはいたし     ませぬから 【左丁上】 わづらひといふにちがい なし一人のいしや一九がま くらもくにてわれはかい原 とくしんといふもの也その ほうのげびぞうより はらのうちの五ぞう こと〴〵くわづらひと なりわれにりやうぢ をたのみ きたれり これによつて いまそのほうがくちの うちへはいるなりこと わりなしにとび こまばたちまち がり〳〵とかみくだ かれんことをおそれて ちよつとわたり をつけてとび こむ也といふ うちに一九が くちのうち よりゆめが むかいにいでかの かいばらを  どう〳〵して   口中へとびこむそ    ふしぎなり 【右丁上】 一九ゆめ心にも ふし ぎにおもいわが 目の玉をうしろむき にひつくりかへして はらのうちをのぞき 見れば心は一身の主也と 古語にいふごとく しんのぞうをたい せうとしてひのぞう はいのぞうかんのぞう じんのぞうたいしよく にあてられいづれも いろあをさめてろみ いりばつざへくちを よびいだしてしんの ぞういゝわたし けるはひつ きゆうその ほうけび ぞう より はらの うちの わづらひ となる ことわさにもやまひは くちよりいるといへば みなそのほうがとが也 【左丁上へ】 【右丁左下】 〽とかく  そのもとは   くちがわるいから    このくちきつと     たしなんだが       よふござる 【左丁上】 このゝちよくつゝし みてどくなるもの やたらむせふに とりこむこと むよう也と いゝわたしける この心(しん)といふは むねのあいだに ありてその おくかたを 魂(こん)といふ也 さればしん こんとつゞ きてふうふ也 脾(ひ)の蔵腎のぞう は五ぞうのうちでも よつぽどねめつく 見へけるがちかごろ だん〴〵いたみて 大きにおとろへ けるみなくちの しはざなりされば 脾腎(ひじん)の■【後ヵ】をたの んでゐんしいを ほしいまゝにせず        とは この事也 【左丁右下】 〽いさいかしこまり ましたともちまへの  くちさきにて   いゝよふに    あわしている 【左丁左中】 口がいふ 〽とかくわたくしは  たべませぬ  よふにいたし   ましても    目でみたり     はなでかい      だりいた        して 【左丁左下】 どふもすゝ     めて  なりませぬ   からめはな    へもそのだん     おゝせつけられ      下さりませ 【右丁上】 人の元気のや しないとするいん しよくを かろくして すきゞれば 生れつい たる元 気をやし ないいのち なが〳〵てん ねんをたもつ なりとゆう じやうしゆ ろんにに見へたり 元気はひのぞう にぞくして則 ひのぞうの むすこなり ひのぞうおと ろへげんき もうすく ぶら〳〵と なまけ たし まだわかいげんきゆへさかんな■【るヵ】 はづなるにいつか■【うヵ】よはくなり ければこのうへげんきがなくならぬ やうにとあるひけらいの下部(げぶ)を つれてぶら〴〵でかけてせい気を見  そめる 【左丁上へ】 【右丁下】 〽かはゆらしい   とのごじや 【左丁上】 精気(せいき)は腎(じん)のぞうのむすめ にてこれもじんのぞうおとろへ せいぶんよはくなりけるゆへ きばらしにとてでかけ けるがふつとげんきを 見そめてたがいに おもいやいし 事なれば そうだん さつそく できて げんきも よく也 せい きも つよ く也 やまひ はさつぱり とわす れて しまつた よふになる 【左丁右下】 じんのぞうのむすめと見へて   みづだくさんにみづ〳〵と            している 【左丁中央】 けらい下部(げぶ)   ともする 【左丁左下】 〽おいらもおうば    どのゝちゝなり     ともひねくり      まはして       やりてへ        もんだ 【左丁上】 医書曰臍下(いしよにいはくほそした) 三寸 丹田(たんでん)といふ 腎間(じんかん)の動(どう) 気(き)此(こゝ)に有 是(これ)十二 経(けい) の根(こん)本也 じんの ぞうのや かたはたんでん といふところ也 元気はせいきと いゝかはしてより よな〳〵しのび てたんでんの やしきへかよい けるにせいきも うれしくち ぎりけるにたび かさなりてせいき つかれ元気も又 よはりはてけれ共 なをもかよいける にしんのぞうのおく がたたましいはせいきの 【左丁上へ】 【右丁右中】 〽いやはや むすめが みづづかいの あらい にはこ まり ます 【右丁左下】 このとふり  ではなんぼじん  のぞうにほりぬき   をいたしてもたまりませぬ    むせうにふるまいみづでも      いたすと見へます 【左丁上】 おばさまなり ゆへわざ〳〵 たんでんへ きたり たましゐ へその下 におち つきて せいきへ だん〴〵 いけん をくわへ   ける 【左丁左上】 〽元気は しのび きたり よふ すを うか  がふ 【右丁上】 このふたりは めとはなの あいだがら にていたつて こゝろやすく ことに目と はなはいろ〳〵の ものを見たり かいだりして もうねんもふ ぞうをおこす わるものなかま也 こんどくちがかぶりの よふすをきゝ つね〴〵くちから さきへでもうま れたよふにひとりで しやべりちらす つらのにくさ なんでもこのうへ いじはにむせふ に見たりかい だりして くはして   やらんと    そうだん      する 【右丁右中】    〽耳目鼻口舌     といつておなじ     六こんのなか     まなるに     へいぜい口が     わるくなん     でもかほ   ぢうにくち  があるよふ いつはいに  しやべりやぁ      が■【るヵ】 【右丁左下】 あさね をして  めがあ  かぬと   いつて   つばきをつけたり    おいらがころんだ    ときもきたねへ    あいつがつばき     を又しても     つきやぁがる      にはあや         まる 【左丁上】 くちはわざはひのかど舌は わざはひのねなりへいぜい くちがわるいゆへ人ににくまれ 目やはなが見たりかいだりして むしやうにすゝめるゆへもと よりいぢきたねへもちまへ なればついくふきになりてひゐ をやぶる事もうちわすれ やたらにとりこむおにの 女ぼうにきじんとやら女 ぼうの舌もとかくわるい くちにそつていれば べちやくちやと舌を うごかしおり〳〵は したを二まいつかつて うそをつきそのくせに 人のことはしたをだして わらひそしりける ゆへとかくしたなが なおんなだと にくまれもの也 【左丁左上】 〽わつちもした   であぢわつて    見やせう     ちつとばかり       すわせなせへ 【左丁中央】 〽すつぽんには   ばくろ丁の    ひしやの     ことだろ   そばはまた  にんぎやう丁の  みやまがいゝの 【左丁右下】 〽いろけより   くいけだ    とかく     くはずに     いんではこの      むねが      くはぬこゝろ      のなかにも      しば〳〵      くふはや       たらに       すきの        もの 【右丁上】くちはいよ〳〵 ぼうしよく やまずして ひのぞう 大になやみ やせおとろへ ちからうせて むしやうにもの にはらたち むすこのげん きがせいき とのいろごと をきゝだし て大きに いかり けるひの ぞうの 女ぼう胃(い)の気は いろ〳〵わび ことをして とりなし けれ共せう いんなく ついにげんき をかんどうして おいいだしける これをひのぞう 【左丁上へ】 【右丁左下】 〽おのれ  おれが  もふちつ  とわか  ければ  まつ二つ  にする  やつなれ  ども今は  おれが  ひゐのよ  はくなつ   たのが 【左丁右下】  うぬが  しやはせ  といふ   ものだ 【左丁上】 きよして 元気を うしなふとは このこと也 脾胃(ひゐ)は 五蔵の本 にして 飲食(いんしい)を うけて 消化(せうくは)し その 精液(せいえき)を 蔵符へ おくるゆへ 養生の みちは先 ひゐを とゝのふを もとゝす 子どもしゆ つとめたまへ  がてんか〳〵   こんな事より    かくことなし 【左丁左中】 〽げんき   大よはり    にていち    ごんも      なく    かんどう    のみとなり     いでてゆく      げんきが       おちたとは         このこと也 【右丁上】 脾胃の腑に しよくもつ こと〴〵くとゞ こほりてくだら ずあるひは せうくはせず してくだり または ひけつ し ければ 大腸(だいてう)の 十六回(じうろくくわい)も みちすじ とゞこをり ければそのだん しんのぞうへ うつたへわたくし どもひゐのぞう よりしよくもつ をうけてこれを それ〳〵にくだす をもつてかぎゆう といたし候にこの ほどはひゐぶくろ にとゞこをりいつかう 【左丁上へ】 【右丁左中】 さそ〳〵  きの  どく  せん  ばん   な 【左丁上】 くだり申さず かよふにひけつ いたし ては せう ばい ひまに てなんぎ つかまつり候 そのうへ 下かたのこう もんよりは しりがまいり めいわくつかま つり候 膀胱ぼうくはう【振り仮名ヵ】 もおなじねがい 何とぞひゐを とゝのへ 候やう おゝせつけられ 下さるべしと  うつたへける 【左丁左中】 〽ひゐきよして  こんきよは  くなりしこ   とこれも    ねがいに     いづる 【右丁上】 ひのぞう げんきを うしない ければしん のぞうも せいきを たもつ 事なり がたく どうざい なりと てせい きを かん どうし ければ げんきは せんかた なく けらいの げぶを ともに つれて いづく とも なくせい きとみち ゆきとでかけ 【左丁上へ】 【右丁左下】 〽このさきが ふんどしの  むすびめ めいふつの  そばきり    いろ    でも    あ    がり    ませ  まだこれ   から  四(し)り   ござり   ます 【左丁上】 けるがほんかい どうはひとめ おほしとよこ はらよりせす じへいでだん〴〵 おちゆき けるがむね のあたりは ひろければ そのところへ おちつきて うばがざい しよちぶさの かたへと こころざし てたどり   ゆく 【左丁左中】 〽なかほど   このかいだうはなんじよだ    いつそあけてもくれても          ほねばかりだ 【左丁左下】 大よう小よう  みちの   おいわけは    まだかの 【右丁上】 じんのぞうてうあいのむすめ せいきをうしない大きに ちからをおとし わするゝまなく あんじくらし やまいと なり き水 をへらし ければ じんの ぞうの 弟に 心火(しんくは)と いふものひ ごろ水と火 なれば中あしく よりつきも せずいたり けるがこのせつ じんのぞうおと ろへたるところへ つけこみむせふに 火がたかぶり わがまゝばかり いつてじんのぞうを     いじめる 【左丁上へ】 【右丁左中】 〽このはじめの  はんこ【てヵ】うに  くちめが   大ひらのくはの【ゐヵ】   をくらつて  いやあがつたが   大かたそれで    水がへつたで     あろふとしよりの      ぶんざいでほかに       へりよふはねへはづだ 【右丁下】 〽あごではいと【をヵ】  おつているぐら   いの事だ   とてもきさ    まにたて    づくち    からはねへ    ごめん     〳〵 【左丁上】 たましゐは めいのせいき いゑでして ゆきかたしれ ずときゝ 大きにかな しみついに きをとり のぼして こゝろみだ れける たましゐ のきちがい になつたを よく人がたまし ゐを見ちがへたなとゞ いふせりふはこんな 事より出たるなり はなは折ふしこゝへ きやわせかねてたまし ゐに心をかけいたりし ゆへきのちがいたるを さいわいさそひだして わがやへつれかへるこれ よりたましゐは はなのさきにぶらついて いるからどふでむつかしいはらの              うちだ 【左丁左中】 〽すこしみだれ   こゝろはなをあり  がてへきはちがつて  もよもやほかの   ところにちがいは    あるめへ      ■       たましゐは       どふり〳〵        おいらでさへむせふに         はな水がこぼれる 【左丁下】 〽これから  はなが ところへ ちよいと  きなさ    い   これ   かん   ばん    に    いつ    わり    なし    だ 【右丁上】 それより 元気ふうふは やう〳〵とまづ みぞおちむら のどのかたへおちつく こののどぶへといふ おとこはところの とふりものにて なんでもよく のみこむおとこにて このてやいをかく まいおく 千金方曰(せんきんほうにいはく)胸(けう) 中(ちう)に気(き)集(あつまり)滞(とどこほる) は病(やまい)の愁(うれい)を しやうずつ もとゐへと いへりこの ところへ元 気せいきの あつまると いふはその きをふさぐの はなはだしき也 とかくむねにきを こらさぬやふにするがよ          し 【右丁左中】 きづ  けへしな   さるな   こののど    ぶへがぐつと     のみこみ        〳〵 【右丁下】 〽わたしらが   こゝろのうち    かみわけて     下さんせ      のどぶへ        さん 【左丁上】 はらのうち 大そうどうと なり心のぞうも おくがたのたましゐ をうしないうてう てんとなりければ れいのわるくち こゝへつけこみいろ〳〵 あくじをすゝめる くちが曰 〽養生訓に曰 心は人の主君として 天君と云耳 目鼻口形は 五友といつて 天君のつかはしめ也 しかれははらのうち の臓腑よりわれ〳〵 かみにたつべき事也 このゝちはふくちう のこらずそれがし にしはいおほせ つけられ下さる べしとくちに まかしてねがい      ける 【左丁左中】 〽いかさま  その   ほう  申とふり ひとひやうぎ  してみよふ 【左丁左下】 〽近年 補薬(ほやく)が はやつて ことのほか ざうふの きがつよく  なり   まし    た 【右丁上】 とかく ものゝ ひやうぎ をしりの くゝりを よくすると いふこゝろにて こうもんへ みな〳〵 はらの うち の て やい あつ まり ひやう ぎ する この とこ ろを けつ だん  しよともいふ わるくちがいふとふり いらいはらのうちの しはいは五友のもの■【にヵ】 まかすべしとそのひやう ぎにみな〳〵けつだんしるに あつまりけるにこゝにかんの 【左丁上へ】 【右丁左中】 〽うなぎ やさるの きもと ちがつて いきたきもだ きものにへたも しりもしねへで ふてへやからだ 【左丁右中へ】 【右丁下】 しんの  ぞうは  かきつけ  をして  おかねへ ととふか  かべと まちがい  そふ   だ   から 【左丁上】 ぞうにぞくしたる きもといふものあり このおとことんだきの ふときものにてしかも 大きなるきも也こう もんのくはいのよふすを にくきくちめが たくみ也そとに ありてはらの うちをしはい せん だい いち この きもが かつてん せじそれ をまたとり あげるしんの ぞうのふらちを いましめてくれんと こうもんのけつだん所へ きたりしんのぞうを とつてさしあげくちを 大きにいましめ  あやまりせう    もんをかゝせる 【左丁右中】 きもどくながら    いち〳〵に     きもざしだぞ 【左丁左中】 ごうてき  なきもの   やろうだ 【左丁下】  くら  まくゝ  いつて 御しよ おこし  でも さし あげれば   いゝ 【右丁上】 きもだまにあつて さすがのくちも大 へこみにへこんで しまいければ これからまづ はらのうち をつくろふが よいとまづ 大てうの 十六くはい ひゐぶくろ から くだり ゆく しよく もつの道 すじとかく とゞこをらぬ よふにと 大よう小よう の大どいを ふしんし けるにこれ よりして とゞこをり なくりやう べんともにつうじける 【右丁中央】 〽はらのうちの血気といふは   とかくあたまにちのけのおほい    てやいにていつす んもあとへはひかず        げんきの  いゝてやいをけつき              にさかんなといふは                   この事也 【左丁右上】 ふしんちう ちうやばん をつけて 血気(けつき) も よく めぐ り ける ゆへ いよ 〳〵 おだ やかに  なり   ける 【左丁上左】 〽はらの中にても 十四けい十六くはい などゝいふはとふり すじにてこの めいもんなどゝ  大てう小てうの   ぐつとすへの    丁にてしりから   一ばんめのまち也 【左丁下】 〽ぼんのふ  のいぬも    もは     や    ある  けばぼう    にあ    たり     て    にげ   まはる 【右丁上】 ひのぞうにしよく もついまだとゞこをり あるゆへなにとぞしばら くぜつしよくしてはら をほしたくねがいける そのとふりいゝわたされ けれ共とかくまだ くちがくいたがるゆへ こゝろがきつと くちをいましめて いるそれゆへひのぞう もだん〴〵 とゝのいける はらの うちの 大どいの ふしんもでき ちがよくめぐりて とゞこをらず ひゐもだん〴〵 とゝのいければ しんのぞうにも水 たくさんになりけるゆへ たかぶつてあばれ あるきし火をけして しまい又きもだまは 【左丁上へ】 【右丁右中】 〽だん〴〵  ありがたふ   こさり    ます 【右丁左中】 〽こいつも  あやまり  けへつてくち  を むすんで       いるやつさ 【左丁上】 はなをひし いでたましい をうばいかへし けるそれより げんきも せいきも もとの ごとくに たち かへり はらの うち やふ〳〵 おさまり やまいは きつぱり ねきり はきり どこもかも ごうてきに たつしやと   なる丁そ  めでた    けれ 【左丁中央】 〽これがほんの    としよりの     ひや水だ 【左丁左中】 まことにはなが  ひしやげました      フニヤ〳〵〳〵 【右丁上】 一九ははらのうちの ゆめを見てふしぎに めがさめると たちまちはらが ぐはら〳〵となり むねがわるくなり むか〳〵としてげろ 〳〵とこまもの 見せをだしけるに そのうちより けふりのことく なるものたち のぼりかいばら とくしんあらわれ いでゝいふやう そのほうこれまで いかものぐいをこのみ ちゝはゝよりゆづり うけしはつぷ しんたいをあやま たんとする事 ふらちせんばん也 やまいはくちより いるゆへまたくち よりはきいださせ 【左丁上へ】 【右丁左下】 のや〳〵  いしやさま   をはきだした   たけのこ    よりやぶ    いしやは 【左丁右下】    どくだと     見へる 【左丁上】 し事みな 返報のどうり にして善をなせば そのみによくむくい あくをなせはあしく むくふことわりにて くちよりおこりて くちよりはく とかくわざわひは くちからおこる也 つゝしむべし おそるべしくち さへたしなみ ているとき はやまい もいで ずわざ はひもおこらず やうじやうの みちはくち をたしなむに ありとおしへ  さとして    たちさりけるぞ       ふしぎなれ 【左丁中央】 〽とかく  おぬしも   くちがわるいから    にくまれるそして     かならずうそ      をつくめへぞ 【左丁上】 きん〴〵はうへをすく はずといへ共きん〴〵 とぼしくしてうへにお よぶもの又おほし まことにせかいのたから 也そのたからをまた もとめんとするには まづからだのもとで をじやうぶにすべし いちもんもなきとこ ろよりかねもふけ するはからだのたつ しやなるがもとで也 とかくようじやう だい一にしてわづら わぬまにあしこし たつしやにかせぎさへ すればきん〴〵は めのまへゝふつて わくなり 【左丁中央】 ありがたや   〳〵 【左丁下】 〽めでたい  ひより    だ 【左丁上左】  うたに  〽ながいきはたゞはたらくに   しくはなしながるゝ水の   くさらぬを見よ  〽うへを見ずかせぐうちでのこづちより   よろづのたからわきいづるなり   一九作                         自画 【裏表紙】