夫(それ)乾坤(あめつち)の開(ひら)けてより 地(を)動かす擧(あげ)て数(かぞ)へがたし ト年代記で見たばかり 何(なん)にも知(し)らぬ夢助(ゆめすけ)も 今度はほんに目が さめて見廻す 四方(しはう)は火災(くわさい)の中(なか) 命(いのち)あやふく たすかりて 又かゝり見る       ▲△ ▲△世(よ)の中(なか)は 大きな焼(やけ)より公(おほやけ)の 御手當(おてあて)あつき御國恩(ごこくおん) うすき袋(ふく)を持丸長者(もちまるちやうじや)米(よね)の 俵(たはら)のかず〳〵は施行(せきやう)の高(たか)の 八千 余(よ)町 豊(ゆたか)に見ゆる 張出(はりだ)しも黄金(こがね)の花を さかする如く実に ありかたき御代や      見よ〳〵 乁もつと ふれふれ 大黒(だいこく)の つち 動(うご)かして 市中(いちなか)に 寶(たから)の 山を積(つミ)ぞ めでたき    紀の長丸 乁こちら へもたん ト〳〵 乁ぢしんも よつほと いいものだ よの中の うるほひに なるくふ うかしら 乁モウ うごかぬから はなして くだせへ ヤレ 万ざい らく 〳〵 乁これは〳〵 大そうまくぜ こういふあんばい ならことし 一ぱいでも がまんができます 乁これハ ひろう にも ほねが おれ ます