【表表紙】 色男其所此処《割書:万象亭作|清長画》 合三冊 【検索用国会図書館登録タイトル:色男其処此処】 【旧字体をまじえたタイトル表記:色男其所此處】 【右丁】 【見出し?】【表紙を切り抜き保存したものと思います】 天明七 《割書:新|版》色男(いろおとこ)其所(そこでも)此処(ここでも) 上 【左丁】 こゝにとしとく【歳徳】あきの方【明きの方】によろ づや与四郞といふものありはかり めをせゝる うばいもなくしやくせんも なく女ぼうもなくまだひとりみの わかいんきよじぶんではあつはれ いろおとこの心なれど うぬにほれるほど人か ほれてはくれねばとり しめたいろ事もなく ぶら〳〵ものにてくらしける とうざい〳〵 此所におき まして作者万ぞうちよつ と口上を申 上ます をの〳〵様方御きげんよくあら たまのはるを御むかへあそはされ 大悦しごくにぞんじ 上まするしたがいまして此 くさぞうしのしゆこうは きよ【さよ?】はる芝のけんぶんのい たされましたるもんもう づゐの後へんのやうなものゝ こうへんでもないやうなへんてこなそうしでござりますれば あやのきれぬ所をばちやにあそばして万【?】が作はむだていゝ たわいのない所が 日本だとあい かはらず御ひやうばんねがい上奉りますその ために口上さやうに思しめされませう 【イ】 みればみるほどおれは いゝおとこだわへび なんめうなる かな〳〵 【右丁】 ころしもやよ いの花ざかり あすか山の さくらかり さだめて われに心ある ひめきみか 又ははこ 入のむ すめ なんぞ さくらのゑだ へこい歌のたん ざくをつけてお いたもしれぬと とみの出ばんを見る ごとくこゝかしこのたん ざくをよんで みれどきれ 字のないほ つくやてには をしらぬこ しをれきやう歌ばつ かりたくさんにてけが にこい歌はなかり ける 【イ】 お□【し?】さん見 ねへなりは いきだが ふけい きな おとこ だの 【ロ】 はい〳〵 やくしやだ さうだ 【ハ】 小ぞう べんさい 【ニ】 わうじの杉の木に うつてあるくぎは みんなをれ をのろう のだと見へ るがなぜ 恋歌が ないかしらぬ 【右丁】 ある人おしへていわく とかくいろ事をかせ ぐきならば女を はるにしくは なしといゝ ければさう〳〵 あさくさくはん をんへさんけいし 女おそしとまつところへやし き女中四五人つれ にて御だいさんに まいりたるなかにす ぐれてうつくしき 女中をむにむざんにひきたをしたまのやうなるよこすつほうを したゝかにはりのめしけるぞにが〳〵しき 【イ】 わたくしがひたいと ほうのひくゝなり まして其かはり にはなのたかく なりますやう におまもりくた さりましなむお びんづる様〳〵 【ロ】 おらがせうねに ならふかなるまいか ならふと おしやれ 【ハ】 アヽ これび らふな 人じや ぞ 【右丁】 かゝるところへともの ものおくればせにかけつけ 与四郞をとつてひつふせしたゝかに ふみのめす 【左丁】 与四郞はそんじも よらぬてうちやくに あひみふしもかな わずうちふし ける出入のゐしや げんちやうらう 見まひにきたり やうすをきいて 大きにあきれ いろ事という ものはさうきう にはゆかぬもの  よりさわりに そてつまをひき なさいとはこほう か【古方家】のおゐしやさま とて御こうしや 〳〵 【イ】 やしき女中を はるとつて とものや らうにはら れまし た 【ロ】 それはきついご さいなんでござり ました地口でもなん でもないやつさ 【ハ】 ちから はまけて も口には まけま いかない やんせん 土足(どそく) さいゑん めいは とうした 【ニ】 しかもに ぎりこぶしで あめやはら れのふるご とくはられ ました 【右丁】 げんちやう らうのことはおもし ろしとかゝへのと びのものにしやち 大つななんとを もたせ人どをりしげきは とかくあさくさ 【左丁】 なりとて廿 けんのちや やをかり きりめにつ いた女のそでつまを ひきにでる 【イ】 七尺のふりそてもひかば などかきれざらん いたしめの たもともひ かばなどか こけざらん 【ロ】 よどの川せのさやつとこ水 ぐるまたれをまつのかさく るりやくうるりと まはつてたのみ ますひんやア ほんや らや 【ハ】 ちややの女ちや つくしではゝをたつこれちや よしなちやいといふに ちや 【ニ】 とびのものも まけずにぢぐる あれはしやちな これはしやちな 【ホ】 此しごとがちう れんじでやいで いゝこつちやア ない 【ヘ】 あれさ此人はなにを さつしやるこれさよ さつせいよ 【右丁】 いまゝでは女のほうからほれる のをまつていたかららちがあ かずとはつめいし江戸 中のおんなにふみ づかいをやといふみ をつけさせる 【イ】 これ御ようどんこゝ【御用聞きの略で御用と言うそうです】 らにいゝむすめは ないかの 【ロ】 むかふのこぢよく【小職?】と となりのこもりが いゝのさ 【ハ】 付みをひかせてし かふして【而して?】のちこ□【か?】うを しよつてひかり□ 玉ければやけんほ りにな□□き おゑんといふ 【ニ】 おとり子 やらうあた までごかうを しよつたは本田 よしみつ様ならんと おもいてのうちをいれる【?】 をさてはおれにほれたと おもふ 【ホ】 これしんぜ やせう 【ヘ】 お心ざしの女中がたはほれてしんぜ さつ しやい まし 【ト】 ひかアり〳〵 あゝひかりくた ひれた 【チ】 たんなさん いろ事の こんりう 【右丁】 よしんばけいしや たりともいろ事と なるときはとりもち なふてはかなふまじと さほの さきへとりもちをぬり つけおゑ【ま?】んがふどうさまへ まいる ところを ちよいとさいて おつとつた 【イ】 とをりかゝりのよたか とりさしの もんくをきゝ大 きにあつくなる 【ロイ】 此くされ 鳥さしめ おやふしてもいゝ ふりそでを とらめへて おかしなとりでの なんのかのとよく とく づ きやアがつたな はつつけとり さしめ 【ハ】 さすがはげい しやもさるもの にて両手を ひろげちう 〳〵もあり かてへ 【ニ】 おらがなじみを なぜざんそうひろ いだ此をり介はな ばしらにかけてかん にんならないといふ お手まはりだ 【右丁】 ゑさしざほのとりもちだけすつはりいろ事に なり此上はころばせる一だんになりければやね舟【屋根舟】 むかふじま【向島】とでかけ みめぐり【三囲】のとりゐさきにて かのげいしやが さきへたつてゆく 所をねらいすまし てどふとつきこ ろばしけるぞむ ざんなる 【イ】 サア すつはりとこ ろばしたぞ 【ロ】 そのころんだところを ほつてみやれ大かたかねが 出やうそれでさしひきにせうはさ 【ハ】 まわしだまつてゐろ てめへにも一ふんだぞ 【ニ】 ひさがしらが あいた いたさは 鳥居たつ ばかりだ 是はあふない 〳〵〳〵〳〵〳〵 【ホ】 もしたんな御しうぎ三分の外 ころびちんが一ふんでござります げいしやをころばせたもそんしの ほかおもしろくないものさらばきをかへて ふる川のよび出しにおもむかんとな すびづけのかうのものをしたゝか くらいてたんをおこしごほ〳〵と せきこんてかよふ 【船頭の台詞】 だんなきつい せきこみだね アヽのとかいたいどふぞ たんきり【痰切り】かかんせう【甘草】が □【と?】いふところだがそれを のんじやアこれほどせつ こんだかひがねへ女郎に □□□ちされよふと思ふ もなまやさしいくるしみ ではないわへ これをおもへばやつはり やぼでかうほうが らくだつうになる もたいていではない ごほ〳〵ごほ さてなか丁【仲町、吉原の通りの名前】 おばなやに おいてしたたる 女郎をかきの めすその 式【?】すへて せきかき千 まいがきに ならゑり 【左丁】 此ゑは あとで くし どりにい たしてお たち あい様 がたのお てにふ れま □□【破れ】 おいまさん 見ねへとんだ いゝの おことさんがあわ せるやつさべつは ねへ大つゑ【大津絵?】の やうだものを 【右丁下】 だんなはいんきん たむしときて がうてきに【?】 うつしやる【?】 ぜへ けんふつの子どもの うちきにいつたおこと といふ子にかねてよう いしたる足をつけて あそぶせきかきのか みしもにて出づかい の思入は大でけ〳〵 ついぞ ねへ のふ おばなやのむすめ おや〳〵けしからねへ とはおもへどももらつ たおびのおかげがなる ゆへしやう事なしに やんや〳〵 【右丁下】 そのと きたか つな【古かつな?】大 おん上 さあ〳〵 くつと ふん だり 〳〵 【左丁】 ふ□【る】川のあ そびもあま りどつとせ ねばよしはらへ くびだけはまつて かよいけるふろかき のかごのものなか まのあいことはに てだんなもいゝ ごきりやうだと いひければおもた いといわれる事 とはゆめにも しらず大 きによろ こひ一ふんづゝ はづむ せつこんでか よつたよりく びだけはまつ たほうかあたゝ かくつていゝ わへ なまりの しりの 与四郎 なんでも よしはらで 一ばんは りあてん とあたま から女郎に しんでみ せる たいこ もち藤【?】 兵へめり やすにてよび いけるおなじく 五丁さみせんの 手つけみやう 〳〵 メリヤス 旦那様いけ だんなさまだんな さまやれだんなさま うつゝないぞやこれ のふだんな合【左丁上へ続く】 【左丁上】 あいかさの おいらん たゝみても いられ ずかうろに いゝ付 よびい□ さ□ける かふろもよび ようにこまり みゝの はたへ 口をよ せ大きこへてむかふの人□〳〵 ほんにいゝ こゝろいき だね 布代云や内【?】 ほて□【?】 ほてや【?】 ほてし【?】 【右丁下、破れあり】 こゝはし□ひ 三平【?】がいゝ わへチヽ〳〵〳〵 ツヽ〳〵〳〵 ごわ【?】〳〵〳〵 ダア引【?】 よしはらのあそびはなはだ おもしろくこれからしては 女郎をひいてあそぶがお もしろみのさいじやうと 地ぐるまをこしらへあ いかたのけいせいそのほ かまわりしんざう をのせけいしやをてこ まへにして五丁まち 中ひいてあそぶ ゆふべよ□いとが二かいからおちて なべやちやがまなべやちやがまが ちんろうりとなればねこの まねしてふんにやうにや しんぞう地くるまでひかれながら たかをの長うたをうたう 歌 〽人のながめと なるみはほん にせんく万 くのくの せかい四き のもん日は地【ぢと読ませるために地に濁点がついている】 ぐるまや いまの世はこゝろなき しんぞうさへかゝる めいぢぐちをいう やうになりぬまこ とにこうせい おそるべし 女郎を ぶちころ すからば【よらば?】 おれがい のちもな なけ【七ケ】出して いるはなせ 〳〵 【右丁下】 おまへさまもてつ ぼうかいなめつ ほうかいとき こへます か 【左丁】 よいやさ 〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵 よいやさた引【?】【この部分は落書きかもしれない】 どふやらかうやらほてのにきまりて かよふほとに此かへはすつはりとぶち ころす事たと長さ八尺 のてつほうをこしらへ させとこの下へかくしをき おやすみなんしたかへ□ よきの中へはいるところを ひらりとかはしてとつてな げふせてつのぼうにてぶち ころさんとする此ものをとに おどろきわかいものやかて かけつけやう〳〵になた めるさて〳〵ひやい せんばんなること也 〽これはまあおくぜつ【?】でもないからごりやう けんなさいともいわれぬなんにせいおい らんへほうべこ【と?】のようじんをなさりやし かゝるところへていしゆ ほていや市右衛門 まかりいでまことに あそびのこんたん をこと〳〵くをし へければ与四郎 はじめていろ ことのしよわけ をさとりそれ よりしてほて のがしんのき まりとなり にける 市右様が せりふ長 けれはこゝ にりやく す じつの 事でお すがぬしは とんだた のもしい ところが おす とかくくへさぞう しの【草双紙の】しまいぎ わ【仕舞際】はいけんかゆめ【はい、喧嘩夢?】 だがきさ まのいけん はしんの ことだ だ いまゝでのおあ そびはあんま□【り?】 ちやすきまし たがぜんたい もち兵へ【?】の おこゝろ いきが よふござり ますからだん〳〵 ごけいこがあがり ますのさ 【右丁に墨で書き込み】 あま川や□□て ないろは□も こまる 【卍の着物の人物、頭を墨で塗られて女の髪形にされ、墨で】 女   【本文】 そのゝち万や与四郎 はほてのをうけいたし けふぞいくるわのなごり とて見おくりのけいせい うんかのごとくほてのさん あやかりものでお□ うらやましいそよ引 清長画 万象亭作 【墨で何か書き込みがある】