【表紙】 【題箋】 浪華薬種問屋能書張交帳 二 【右丁】 【文なし】 【左丁】           家伝            金応丸   【赤印 亀田文庫】 一傳 ̄ニ云凡 ̄ソ人 ̄ノ百病皆周 ̄ル_三飢-飽酒-食生-冷-過度 ̄ニ傷_二其 ̄ノ脾胃 ̄ヲ_一心-腹脹満嘔_二-吐 ̄シ酸水 ̄ヲ_一面-黄肌-痩(ヤセ)飲食  減少生 ̄ス_二諸-病 ̄ヲ初未 ̄タ_レ覚日-久則成 ̄フ_二大患 ̄ヲ_一此 ̄ノ-薬能治 ̄ス_二万病 ̄ヲ_一百-発百-中之奇-方 ̄ノ也 一男女つねに用て大に元気を補(おきな)ひ五 臓(そう)六 府(フ)養(ヤシナイ)せいすいをそへ腎(じん)をまし筋骨(すしほね)を壮(さかん)にし精気(せいき)を  強(つよ)くし目を明(あきらか)あ【にヵ】し耳(みみ)をさとくし腰(こし)膝(ひざ)を温(あたゝ)めはだへを潤(うるほ)し行歩(きやうぶ)を健(すこやか)にし諸虚(しよきよ)百損(ひやくそん)を治(ちす) 一 虚労(きよらう)鬱症(うつしやう)ねつ出て自汗 盗汗(ねあせ)痰(たん)咳(せき)久敷 止(やまず)痰血出るに効(しるし)あり 一吐-血 痰(タン)-血 衂血(はなち)下血 一虚症の喘息(せんそく)いき切 ̄ㇾ 一つかへ疝(せん)気 腰(こし)ひざ腹(ハラ)いたみ不食づつう気むつかしきに用て効(シルシ)あり 一 痢病(りびやう)泄瀉(くたりはら)おこり久敷いゑず気力よはくおとろふるに用大によし産後(さんこ)の痢病に妙也 一老人小児夜常に小便しげきによし又 遺精(いせい)遺溺(いにやう)に用妙也度々効アリ 一男女気血ふそく脾腎(ひぢん)よはくむねつかへ腹はり痩(ヤセ)おとろへ気色あしきに用てよし 一 肥(こゑ)じゝにて痰 多(おほ)く手足なへ麻(シヒレ)気あしきは中風のもよほしなり此薬常に用てよし 一婦人血の道経水とゞのほらす赤白 帯下(たいげ)痩(ヤセ)頭痛目まひ気ぶんあしきに用妙なり 一 乳(ちゝ)汁すくなき人用れはよくちゝを出す 一大病後 肥(ひ)立かねいき切するに吉也 一中風◦中気 一手足しひれ痛或は手足なゆるに腰(こし)ぬけ不_レ立に吉也 一脾腎の虚下部力なきに 一水腫脹満に用 一心腹の痛みによし 一男子陽物不_レ興(ヲコラ)陰ひゆるに酒ニテ用 ̄レハ_レ之 ̄ヲ精をつよくし陽物 強(つよし)大ニシテ日々に御 ̄シテ_二 十女 ̄ヲ【一点脱ヵ】  過(クロ)-倍(ベイ) ̄ス 一女子不_レ産(さん) ̄セス月水不_レ調(トヽノフ) ̄ワス小産するに用て子アリ 一 房事(ボウシ)すぎ五心煩熱スルニ用て効アリ 一婦人長血白血 崩涌(ボウロウ) ̄ニ用て妙也 一黄 疸(タン)に用 一 反胃(ホンイ)がく症に用 一大人小児トモニ生-付よわく諸病をこるに久敷用無病にシテ寿(いのち)永(なか)し 一小児の五 疳(かん)腹中下り腹はるに度々用効アリ 一 雀目(トリメ)にもよし 【上部赤印】  【帝国図書館蔵】 【下部赤印】  【帝図 昭和十八・ 三・一二・購入】 【右丁】  一虚症の疱瘡(ホウソウ)腹下り死せんとするに人参湯にて二三粒用立所に効アリ  一一切の腫物下痢痔(ぢ)久していゑざるに用て効アリ  右此薬一切諸薬何にても指(さし)あひなし産婦には可 ̄シ_レ忌(イハ)此 ̄ノ薬常養生薬には毎月三日  一丸五日に一丸虚人は毎日一粒二粒塩湯酒にて用病人には毎日二粒三粒五粒見合  用一切諸病を治す神効かぎりなし ○此竒方は大医令道三之元祖一渓先生三国伝-来の妙方也 難(ナン)病を治して度々  効アリ天下無双の名方也世上に知 ̄ル人なし有_レ故傳 ̄フ_二我 ̄カ家誠 ̄ニ世上 ̄ノ珍-方也 然(シカリ)トイヘトモ  秘シテ不_レ出時は世上の病人と不_レ救(スクハ)又此の方有 ̄ル事を知 ̄ル人ナシ故に為_二衆人_一令 ̄ル_二調合_一  もの也                大医令玄淵道三                門下 小野道秀     □□□【金応丸】 【左丁】 【本文】   古(こ)-人(じん)云(いふ)。至(いたつ)て虧(かけ)やすきものは陰気(いんき)なりと。世(よ)の人(ひと)多(おほ)く房(ばう)-室(じ)を慎(つゝし)まず飲食(のみものくいもの)を莭(???)せす。其上(そのうへ)思(いろ)-慮(〳〵と)   百(こころ)-端(つかひし)。妄労(みたりにつかれ)妄動(みたりにうごき)して。五臓(ごさう)の火(ひ)。忽(たちま)ちに動(うこ)き。所(いは)_レ謂(ゆる)一(いつ)-水(すゐ)五(ご)-火(くわ)に勝(かた)ず。終(つひ)に天一(てんいち)の水(みつ)を煎(せんじ)   熬(いりつけ)て諸(いろ〳〵の)-症(やまひ)一時(いちじ)に発(おこ)る。是(これ)を火(くわ)-動(とう)の症(しやう)と名づく。初(し)-老(じふ)の後(のち)。尤(もつと)も此(この)-病(やまひ)多(おほ)し。此(この)症(しやう)発(おこ)りては。   扁鵲(へんじやく)の術(じゆつ)といへども決(けつ)して救(すく)ふべからず。恐(おそ)るべきの甚(はなはた)しきならずや。然(しか)れは豫(まへかたに)これを防(ふせ)   ぐ術(じゆつ)なからんや。余(よ)が家(いへ)に一(ひとつの)-竒(めい)-方(はう)あり。天(てん)-一(いち)玄(げん)-々(〳〵)子(し)と称(しよう)ず。薩(さつ)-州(しう)絖胡麻(ぬめごま)といへる上(しやう)-品(ひん)を以(もつ)て   君(おも)-薬(くすり)とす。其(その)-外(ほか)隊(くみあは)する薬(くすり)。皆(みな)滋(うる)-補(ほし)益栄(ちをます)の良(よき)-品(しな)なり。故(かるかゆゑ)に常(つね)に用(もち)ゐて。腎(じん)-精(せい)を益(ま)し。元(げん)-陽(やう)を   壮(さかん)にする事(こと)。此(この)-薬(くすり)に及(およ)ぶものなし。総(すべ)て偏勝(かたよりたる)の病(やまひ)を治(ち)するは。必(かなら)ず偏(かたよりたる)-味(あちはひ)の薬(くすり)を用(もち)う。是(これ)已(やむ)を   得(え)ずして用(もち)う。用(もち)ゐて的(てき)-中(ちう)せざれば。却(かへつ)て其(その)害(がい)を遺(のこ)す。此(この)玄(げん)-々(〳〵)-子(し)のごときは。元(けん)-陽(やう)を保(たもつ)   を主(おも)として。偏寒(かんにかたより)偏(ねつに)-熱(かたよる)の薬(やく)-品(しゆ)を用(もち)ゐず。  其(その)-効(こう)當(たう)-前(せん)に著(いちじる)しからすといへども。久(ひさし)く服(ふく)して。   其(その)-効(こう)顕然(あらはるゝ)事(こと)。疑(うたが)ふべからず。されは世(よ)の孝(かう)-子(し)孝(かう)-孫(そん)。父祖(ふそ)の寿(ことぶき)を祈(いの)る人(ひと)。一(いち)-日(にち)も此(この)薬(くすり)なか   るべからず。仰(あふい)て君父(くんふ)に事(つか)へ。俯(ふ)して妻(さい)孥(し)を育(やしな)ふ人(ひと)。亦(また)一(いち)-日(にち)も此(この)薬(くすり)を欠(かく)べからず。其(その)効(かう)-   能(のう)略(ほゞ)如(さの)_レ左(ごとし) 《題:天一玄々子(てんいちげん〳〵し )《割書:主治(しゆぢ)》》    第(だい)-一(いち)腎(しん)-精(せい)を益(まし) 肌(はだへ)を潤(うるほ)し 胸(む)-中(ね)をすかし 脾胃(ひゐ)を調(とゝの)へ 飲食(のみものくひもの)を和(こな)し 痰欬(たんせき)を治(をさ)め   声(こゑ)を能出(よくいだ)す 眼目(め)を明(あきら)かにし 遺(ゐ)-精(せい)白(ひやく)-濁(たく)を止(とめ) 大小便(だいせうべん)を快(こころよく)-利(つう)し 根(こん)-気(き)をつよくし 【以下、次コマの文字の振り仮名に付、次コマに翻刻】 【右丁】   物(もの)に退屈(たいくつ)せず 記臆(ものおぼえつよく)する事(こと)神(しん)のことし 若(わかき)-人(ひと)の白(しら)-髪(か)を黒(くろく)し婦(をん)-人(なの)腰足(こしあし)寒(ひえ)便(ひ)-秘(けつ)するによし   小(こ)-児(ども)の乳(ち)-離(ばな)れに。食(たべ)-事(もの)に交(まぜ)用(もち)ゐて。脾胃(ひい)を傷(やぶ)らず 小(こ)-児(ども)多(とし)-年(ひさしく)用(もち)うれば。五(ご)-疳(かん)癖(かた)-塊(かひ)の患(うれ)ひなく。   食(しよく)にあてられず。成長(せいちやう)の後(のち)。必(かなら)ず壮(すこ)-実(やか)なり 此(この)-薬(くすり)常(つね)に用(もち)ゐて流行病(はやりやまひ)に感(かん)ずる事(こと)なし   凡(およそ)此(この)-薬(くすり)一(ひと)-月(つき)用(もち)ゐて。惣(そう)-身(み)潤(うるほひ)を出(いだ)し。胸(む)-膈(ね)をすかし。痰(た)-飲(ん)を治(をさめ)。飲食(のみものくひもの)を和(こな)し。心(こゝろ)爽(さはや)かになる事(こと)を   試(こゝろ)むべし 一(いつ)-切(さい)食(しよく)-物(もつ)さし合(あひ)なし。其(その)-人(ひと)の好(このみ)に応(おう)じ。湯茶(ゆちや)にかきたて。或(あるひ)は水(みづ)。又は食(たへ)-事(もの)に振(ふり)   かけ用(もち)ゐてよし 常(つね)に袖(そで)にして。餒(うゑ)たるを充(みた)しめ。渇(かはき)を潤(うるほ)し。過(くわ)-食(しよく)を消(せう)-化(くわ)する事(こと)妙(めう)なり。   此(この)玄(けん)-々(〴〵)-子(し)煉(ねり)-丹(やく)の製(せい)あれども。蜜(みつ)過(くわ)-半(はん)に及(およ)ぶを以(もつ)て。其(その)-効(かう)薄(うす)からん事を恐(おそ)れ専(もつは)ら治(ち)-験(けん)の   神(そん)-速(そく)ならん事(こと)を尚(たつと)び。修(をさめ)て散(さんやく)とす。且(かつ)は懐(ふところ)にしやすく。而(しか)も服(ふく)して泥(なつ)まざる事(こと)を    御薬料定(おんやくれうのさだめ)《割書:薬-目百-目|同五拾目》 《割書:代-銀三-文-目|同壱-匁五-分》         《割書: |大阪高麗橋三丁目》 本家調合所 玉兎園  岡吉右衛門精製        京都出店 四条富小路西ェ入北側        売弘所 紀刕若山寄合町 岡崎屋吉左衛門 【左丁】 【上段枠外】 御薬弘 ̄メのため毎月廿一日大坂本家にて五十人へほどこし申候 【上段枠内】 《割書:家|伝》脚気即妙散(かつけのめうやく)《割書:一服|》代四十八銅 一右御薬之儀は《割書:予》が先祖(せんぞ)阿州丸岡 家(け)の秘方(ひほう)なり  数(す)百年之 昔(むかし)異人(ゐじん)一人 来(きた)り曰(のたまはく)此邊 難所(なんじよ) ̄ニて脚気(かつけ)差(さし)  おこり難渋(なんじう)する者(もの)無数(すくな)からず爰(ここ) ̄ニ脚気(かつけ)治する奇(き)々  妙々の薬方(やくほう)あり永(なが)く諸(しよ)人の病苦(びやうく)を助(たす)くべしと秘書(ひしよ)を  残して去(さる)所を知(し)らず夫ゟ今 ̄ニ至(いた)り施薬(せやく)同様(どうやう) ̄ニ弘 ̄メ来(きた)り候所  四国 巡拝(じゆんれい)のかた〴〵知(し)り給ふごとく脚気一通 ̄リニおゐては五年  十年の悩(なやみ) ̄ニていか程(ほど)六ヶ敷脚気 ̄ニても此御薬にて治せずと  いふ事なし然 ̄ルに今脚気の病症 ̄ニ悩(なやめ)る人の多(おゝ)ければ一家(いつけ)に  秘置(ひしおか)んよりは広(ひろ)く諸人(しよにん)の病苦(びやうく)をすくひ給へと人々の  すゝめをもださず價(あたへ)を定(さだめ)て普(あまね)く世上(せじやう)に弘(ひろ)むるもの也        功能 一手足うきあるひはしびれ筋(すぢ)ひきつりいたむによし 一 脊(せ)すじ胴(どう)へかけ引付又は心下(むなもと)へさしとり痛 ̄ニ吉一つちふまずより小ぶしひざぶしがくつき痛 ̄ニ吉 一くにかつけひざがつけによし 一かつけしゆまんのせう ̄ニ用てよし 一うちみくじきによし 一せんきによし  其外 病根(びやうこん)かつけの症(せう) ̄ニ候へばいづれの所 ̄ニていたむともかろきは  二三ぶくおもきは十ぶくにいたるまでこと〴〵く治する事 如神(しんのごとし)  道中(だうちう) ̄ニてふみ出し候かつけには其夜一ふく用ひて即功ある  事 奇(き)々 妙(めう)々の良薬(りやうやく)なり御用ひの上ためし知(し)るべし 【下段枠外】 十二月朔日より十日の間 減 ̄シ直段左の通 ̄ニて差上申候  六味丸百目 ̄ニ付代銀三匁  八味丸百目 ̄ニ付代銀三匁八分 【下段枠内】 《割書:六味|八味》地黄丸《割書:定直段|六味百目 ̄ニ付| 代銀四匁三分|八味百目 ̄ニ付| 代銀五匁五分》 右 回春(くわいしゆん)補益門(ほゑきもん) ̄ニ出て《割書:予(わが)》家(いえ)の傳方(でんほう)といふ ̄ニはあらず 然共(しかれども)薬種(やくしゆ)上品(じやうひん)を撰(ゑらみ)製法(せいほう) ̄ニおゐては家(いへ) ̄ニ傳(つたへ)て委(くはしき)事 有(あり) 予(よ)が祖(そ)製(せい)し初(はじめ)てより已来(このかた)功(こう)得る事(こと)年(とし)有 腎虚(じんきよ)三年 腰(こし)立(たゝ)ざる ̄ニ用(もちひ)て歩行(ほこう)健(すこやか) ̄ニ髪(かみ)の落(おち)たるも 更(さら) ̄ニ生(しやう)ずる類(たぐひ)疑(うたがふ)べからず累年(としをかさね)是を試(こころ)み今(いま)以(もつて) 證(しやう)とする事 数(かず)有(あり)常 ̄ニ養生(やうじやう)のため用(もちゆ)る時(とき)は専(もつは)ら 腎精(じんせい)を益(まし)陽道(やうどう)を壮(さかん)になす事 余薬(よやく)の及ぶ事なし 別而(べつして)寒暑(かんしよ)の砌(みぎり)御 用(もち)ひ被成候へば候 功能(こうのふ)はやく暑寒(しよかん)を しのぎ大人小人をきらわず万人万 応(おう)の神劑(しんざい)也 【上段】 【右枠内 前コマ上段から続き】       用ひやう 一 夜(や)ぶん寝(ね)るとき一ふく一 度(ど)に酒にて用ゆ   一近年紛敷類薬相見へ候に付今度名字薬銘    能書相改申候間よく〳〵御吟味之上御求め可被成候 【左枠内】    《割書:阿州海部郡八浜八坂之内》 元祖    丸岡庭松堂    《割書:大坂農人橋東二丁目》 本家調合所 山田屋善三郎 【黒印 山善】 大阪取次所【上段横書】  天神橋南づめ角       ふでや福崎  天満天神橋筋寺町北へ入   津国屋清次郎  松屋町筋二ッ井戸南へ入   岩井善兵衛  日本橋筋八まんすじ角    伊丹屋三郎兵衛  嶋ノ内さのや橋周防町角   袴屋佐輔  長ほり四ッばし北東詰    布屋次郎兵衛  心斎橋筋本町南へ入     和泉屋利兵衛  北御堂あかずか門すじ    柴屋又兵衛出店  うつぼ新天満町       神崎屋弥兵衛  大川町御霊すじ西へ入    海部屋宗兵衛  しん町西口井戸ノ辻     目がねや五兵衛  長ほり高橋二本松町     なだや重左衛門  北ほり江にしばた      明石屋作次郎  同かめばし北詰一すし西角  丸屋籐兵衛  下ばくろわたし場      平野屋半兵衛  日吉ばし南詰西へ入     あわや仁兵衛  りうへい橋南詰一筋東角   大和屋宇兵衛  長ほり宇和嶋橋一筋南角   和泉屋作兵衛  玉造上清水町        河内屋長兵衛  同□【二ヵ】けん茶や少し西    小にし半兵衛  上塩町生玉鳥居筋北へ入   秋田屋仁右衛門  長ほりばし北詰東へ入    播磨屋清右衛門  天満天神前         小山屋義兵衛  斉とう町西の町角      播磨屋善兵衛 【枠欄外】 京江戸西国筋其外諸国所々取次有之 【左枠外】 けちゑん 【枠内】  便毒(よこね)之(の)奇療治(りやうじ) 一《割書:予(よ)》が家(いへ)の療治(りやうぢ)は黴毒(ひへ)のありたけを便毒(よこね)より 残(のこ)らず抜(ぬき)さる療治(りやうじ)なりなをりのはやき事は療(りやう) 治(ぢ)をうけて知るべし是迠 数多(あまた)人を治療するに内攻(ひきこみ) 或は骨痛(ほねうつき)になりたる人壱人もなし又 幾年(いくとし)過(すぎ)ても重(かさね)て ひへの発(おこ)りたる人壱人もなし此度 為結縁(けちえんとして)三月四日より 同廿九日迠 服薬(くすり)并 療治料(りやうぢだい)壱銭も受不申無料に而 りやうじいたし進候間御遠慮なく御出可被□□【成候ヵ】  乳癬(ちくさ)の妙薬 いかほどおもき乳癬(ちくさ)にても弐 廻(まわ)りにてさつはり治(なを)るなり かるきは一廻りにてよし是も此度けちゑんに出し申候 【下段】 【枠内  前コマ下段から続き】 然共製術 ̄ニ委からざれば何ぞ補益の功あらんや【注】 予(よ)が家(いへ)今以 薬種(やくしゆ)極品(ごくひん)を撰(ゑらみ)謹(つゝしん)而(で)其製(そのせい)厳(げん) ̄ニす依之(これによつて) 功能(こうのふ)他(た) ̄ニ百倍(ひやくばい)せり御 用(もち)ひの後(のち)自(おのづから)知(し)るべし 【注 振り仮名が有るが、切口の為に不読】    《割書: |大坂道修町心齊橋筋東江二軒目》 本家調合所 小西宗七郎   【黒印 製】 【左枠】 《割書:S|O|D|N|A|L|L|O|H》 《割書:・|E|I|D|E|M|E|R》 《割書:和蘭(おらんだ)|霊方(れいほう)》 蒸法(むしふろ) 《割書: 一度入  三 分|一日入  壱匁七分|一巡 ̄リ入 拾 匁》 主治(かうのう) 冷疾(ひへしつ)一切(いつさい) 疳瘡(かんさう) 便毒(よこね) 骨痛(ほねうづき) 頭痛(づつう) 楊梅瘡(やうばいさう) 膿潰(うみついへ)多(おゝく) 腐者(くさるもの) 膁瘡(がんかさ) 嚢癬(ゐんきん) 乾疥(こせかさ) 痤疿(こまかきできもの) 癬(たむし) 痳病(りんびやう) 痔疾(じしつ) 脱肛(だつかう) 鼠乳(いぼぢ) 尾閭痛(しりのあないたみ) 肛門濕爛(かうもんしめりたゞれ) 帯下(こしけ) 腰痛(こしいたみ) 陰門濕爛痛(ゐんもんしめりたゞれいたみ) 手足不自由(てあしふじゆう) 冷症(ひへしやう) 打身(うちみ) 頭瘡(づそう) 小児胎毒(せうにたいどく)発出(ふきだし) 酒之二日酔(さけのふつかゑひ)能発散(よくはつさんす) 和蘭(おらんだ)にて蒸法(むしふろ)を「ストヲヒンゲ」といふ年(とし)久敷(ひさしく)節筋(ふしすじ)皮(ひ) 肉(にく)の間(あいだ)に染込(しみこみ)たる病(やまひ)は此法(このほう)ならでは悉(こと〳〵)く脱(ぬけ)がたし此法(このほう) にて能(よく)蒸(むす)と節筋(ふしすじ)和(やわ)らぎ諸(もろ〳〵)の病(やまひ)を浮(うか)し毒気(どくき)汗(あせ)に発(はつ)し 又(また)諸(もろ〳〵)の腐爛(くさりたゞれ)たる所(ところ)は其(その)疵口(きずぐち)より内(うち)の毒(どく)悉(こと〴〵)く発出(はつしゆつ)して新肉(あたらしきにく) を生(しやう)じ聊(いさゝか)も内(うちへ)陥(おひこむ)の患(うれひ)なく一生(いつしやう)病(やまひ)の根(ね)を脱(ぬく)事(こと)誠(まこと)に奇々(きゝ) 妙々(めう〳〵)の法(ほう)なり療治(りやうじ)せずんば有(ある)べからず軽(かろ)き病(やまひ)は一廻(ひとまは) ̄リ重(おも)き病(やまひ) は三廻(みまは) ̄リ程(ほど)も入(いる)ときつと全快(ぜんくはい)すはやく蒸法(むしふろ)に入(いり)て能々(よく〳〵)試(こゝろみ)給へ 《割書:和蘭(おらんだ)|療法(りやうほう)》 御くすり湯 《割書:一度入  十六銅|一日入  壱匁|一巡 ̄リ入 五匁》 主治(かうのう) 疝積(せんしやく) 腹脹痛(はらはりいたみ) 痞満(むねつかへ) 腰脚攣痛(こしあしつりいたみ) 睪攣腫痛(きんつりはれいたみ) 久痛(なづはらいたみ) 吐痢(はきくだし) 脹痛(はりいたみ) 心下堅満(むなさきかたくふくれ) 腹堅(はらかたく) 手足冷痺(てあしひへしびれ) 飲食不化(のみものくひものこなれず) 痰(たん) 手足(てあし) 生核(ぐり〳〵でき) 肩臂痠疼(かたひじつまりやめ) 脚気(かつけ) 痳痺(しびれ) 冷痛(ひへいたみ) 行動不自由(ぎやうぶふじゆう) 小児腹痛或堅(こどもはらいたみあるひはかたく) 夜啼(よなき) 客忤(おびへ) 遺尿(ねせうべん) 不嗜飲食(のみものくひものをきらひ) 便秘或下痢(たいべんかたくあるひはくだり) 寒症(ひへしやう) 男女気血(おとこおんなのちの) 不順冷痹(めぐりあしくひへしびれ) 婦人経閉(おんなのめぐりなきもの) 打撲(うちみ) 蹉跌(くじき) 痿躄(あしなへ) 乳堅腫(ちゝのはれいたみ) 此(この)御薬湯(おんくすりゆ)は和蘭(おらんだ)にて是(これ)を「バト」といふ此法(このほう)は気血(きけつ)を能(よく) 順流(めぐら)し筋骨(すじほね)を緩(ゆるめ)温(あたゝか)にする第一(だいいち)の薬湯(くすりゆ)にて無病(むひやう)の人(ひと) といへども毎々(おり〳〵)澡浴(ゆあみ)すればいよ〳〵長寿(ちやうじゆ)に至(いた)らしむ 【左枠】 《割書:予(わ)》が師(し)濃州(のうしう)大垣(おゝがき)春齢庵(しゆんれいあん)江馬(ゑま)先生(せんせい)は従来(じうらい)和蘭(おらんだ)の医典(いしよ)を 読(よみ)其(その)病論(びやうろん)手術(しゆじゆつ)の的実(てきじつ)なることをしり此(この)法(ほう)を蘭書(らんしよ)中(ちう)より其(その)薬(くすり)を訳(やく)し 施(ほどこ)し十(ぢつ)ケ(か)年(ねん)以前(いぜん)より近辺(きんへん)にて始(はじめ)試(こころみ)給ふに其(その)病根(ひやうこん)を脱(ぬく)事(こと)中々(なか〳〵)薬力(やくりき)の 及(およ)ぶ所にあらず誠(まこと)に古今(ここん)無双(ぶさう)の法(ほう)にて十人(ぢうにん)は十人(ぢうにん)百人(ひやくにん)が百人(ひやくにん) 皆(みな)夫々(それ〳〵)に効験(かうげん)あるによつて此度(このたび)御当所(ごとうしよ)にて相弘(あひひろめ)申候間 右(みぎ)能書(のうしよ)の御病人(ごびやうにん)様方(さまがた)被仰合(おゝせあはされ)御来臨(ごらいりん)被下 御試(おんこゝろみ)可被下候様 奉希上(こひねがひあげたてまつり)候以上 【次枠】           《割書: |難波新地新川筋》 【絵】 蘭方薬湯 《割書:滝湯跡》 丁子湯 【国立国会図書館  浪華薬種問屋能書張交帖 特1003-5】 【上段】 【枠内 前コマ上段の続き】 大阪玉造□十二丁□    大今里村  岡嶋 【刻印】岡島 【次枠】 【枠外上部 横向き縦書き】 近辺に類薬御座候間名所得と御改之上御求可被下候此段御断申上候売人一切出シ不申候 【枠内】 【上部横書き】 文政二己卯歳 【下部右 大小暦の判じ絵 大の月】 【下部中】 《割書:家|伝》ゆび一切療治《割書:并》いたみとめの油薬 右御薬の儀はゆび一切は申に及ばずはれものと痛所(いたみところ)の妙薬 なり其外 うちきず つききず きりきず かんさう よこね 女中いんもんのきず ちゝのはれもの よう てう やけど ひゞ しもはれ あかぎれ ひぜん がんがさ くさ ほうさうの より又は五痔 だつかう ひゑしつ一さいのはれもの 右何れもわたにのばし御付可被成候尤いたみ所を湯水へ 度々つけてはやく治する奇妙のあぶらくすりなり 右 病症(びやうせう)見わけの上 療治(りやうぢ)をいたし即座にいたみを治し可進候 【下部左 大小暦の判じ絵 小の月】 【次枠】 本家《割書:大坂なにはばし筋|備後町北へ入西がは》中井弥兵衛【黒印】活養 出療治薬弘所 堺大寺北門前西へ入    河内屋与助 京 元弘所  車屋町戎かは上る     菱屋忠兵衛 京 同    東六条あかず七條上る   升屋忠兵衛 江戸同    日本橋室町三丁目     鈴木八左衛門 【上部横書き】 諸方取次略 【下部上段枠】 大坂日本橋一丁目     沢田勇蔵 願教寺北ノ濱       福島屋利三郎 長堀しらが橋南詰     堺屋三郎兵衛 北ほりへ三丁目      平野屋正右衛門 南ほりへ松本町      八百文 天王寺石鳥居筋      なんばや伊兵衛 大黒橋北詰        山口屋定八 なんば東の町       しくらや伊介 勝間村戎の町       はしの藤兵衛 寺嶋しやくきゆうの町   はりまや宗吉 南安治川四丁目      はりまや新兵衛 ざこば北のたな      なにはや金蔵 永代はた南浜       松原屋小兵衛 江戸堀三丁目阿波橋東   大鹿屋佐兵衛 のう人橋松屋町東へ入   淡路屋利八 天満天神前        小山屋儀兵衛 同南森町         塩屋善兵衛 同四丁目市ノ側      はりまや儀兵衛 同北木はた町       小西佐兵衛 堂嶋北町         炭屋平右衛門 野田町          紙屋弥七 沢上江村         八百屋徳兵衛 ながら村         藤右衛門 赤川村          宗兵衛 森口本陣前        升屋清兵衛 【下部下段枠】 ひら方みつや       尼屋四郎兵衛 伏見すみ渡ゆりや町    備前屋伊介 河刕門真二番村      庄治郎 同四番村         香具屋甚兵衛 同八■【荷ヵ】打越村       小右衛門 同国松村         平兵衛 同国分若町        茶わん屋卯右衛門 大今里村         台屋弥右衛門 中はま村         河内屋太郎兵衛 八尾寺内村        醤油屋庄右衛門 かい塚          くしや茂七 伝法村          なんぶや喜兵衛 大野村          伝兵衛 大和田村         たばこや半七 ひゑ嶋村         ほうらくや伊兵衛 ふじの野田東ノ町     久四郎 尼崎西町         安田屋甚兵衛 同大物東の町       阿波屋佐兵衛 福村           安右衛門 なには村         忠兵衛 なだ住吉宮ノ前      樽屋安左衛門 鳴尾村          百足屋善兵衛 今津村          土井新右衛門 兵庫ひのうへ       池田屋喜三郎 倉橋庄洲至止村      中井七左衛門 【次枠】   たんせきこゑを     《割書:家|方》神龍丹 《割書:貝 入 十六文|曲物入 一匁|同《割書:半回 ̄り》四匁》 《割書:同   四十八文|同   二匁|同《割書:一回 ̄り》八匁》       いだすねりやく     第一 脾胃(ひゐ)を調(とゝのへ)一切の積気(しやくき)腹(はら)の病(やまひ)胸(むね)の病(やまひ) 又は酒(さけ)の二日 酔(ゑひ)水(みつ)のかはりによし痰血(たんけつ)を 吐(はき)溜飲(りういん)或は小児(こども)の五疳虫(ごかんむし)せき其外(そのほか)功能(かうのう) 多(おゝ)しといへども別紙能書(ほかののうがき)に委(くはしく)御座候 練薬(ねりやく) 之 儀(き)は《割書:予(よ)》が家(いへ)に昔(むかし)より出(いだ)し来(きた)り候得ども 【下段】 《割書:家|伝》御は薬はこべ塩  第一はのいたみ口中一切ゆるぐはをすゑ  虫くいはのいたみをとめ湯水風のしゆみ  はぐきはれいたむに大ひによし 一小児くさたいどくのるい又は大人口ねつつよき  症には茶づけに入用ゆべし甚妙也毎朝  此塩御つかひ被成候時ふくみたる水を手に  うけ目を御あらひ被遊候へばはのねをかため  眼をあきらかにし口中あしき  にほひをさり一生口病のうれひなし  まことにこうのふ神のことし  大坂内平□□松屋町角 調合處  河内屋又市製 【次枠】  太真丸 効能   四十八銅 二十四銅 此丸薬はしやく一切の名方也 むねはらいたみ 或は さしこみ ひやあせいで きとをく 目くらみ ゑづき きみづをはきおくびすく きふさがり づつうし ほがみはり 大小べんしぶり くいものこなれず しよくすゝまず しよくしやうあげくだしすることあたはず 上気しみゝなり ふねかごのゑひ 右之外功能委記 がたし 万さし合なし何れもさゆにて用ゆ 本家 調合所  大坂高麗橋三町目         玉兎園 岡吉右衛門製 【次枠】 痰(たん)を切 胸(むね)をひらき・留飲(りういん)・積気(しやくき)の三 症(しやう)を治(ぢ)す 《割書:蘭|方》 CE?Legega コラゴガ(こらごが) CIIOLAGOGA 《割書:大包四匁|中包貮匁|小包壹匁》【英字は横書き】        雅谷貌伍乙志之秘方 此薬(このくすり)は蘭国(らんこく)第一(だいいち)の奇方(きはう)にして・痰(たん)・留飲(りういん)・積気(しやくき) の症(せう)を快(こゝろよ)く治(じ)する事(こと)誠(まこと)に稀代(きたい)の良薬(りやうやく)なり彼地(かのち)に ても深(ふか)く秘(ひ)して傳(つた)へず是(これ)をしる人(ひと)至(いたつ)て稀(まれ)なり 【上部横書き】 AGOGACHOLA 【下部】 阿蘭陀(おらんだ)と云(いふ)は蘭国(らんこく)七 州(しう)の中(うち)の一 小国(せうこく)にて原(もと)より 名医(めいゐ)なし然(しか)るに今(いま)吾朝(わがてう)に品物(ひんぶつ)を取商(とりあきなふ)ことを赦(ゆる) されて交来(わたりきた)りしより世俗(よのひと)漸(やうや)く阿蘭陀(おらんだ)の一 小国(せうこく) あるを知(し)る而(しかも)大 国(こく)大 医(ゐ)大 法(ほう)あるをしらず ▲此(この)「コラゴガ(こらごが)」は蘭国(らんこく)七 州(しう)第一(だいいち)の医官(ゐくわん)・公寧郭(こをにんぐ) 【上段】 【枠内 前コマ上段の続き】  此度(このたび)看板(かんばん)相(あひ)あらため来(らいげつ)朔日二日《割書:并》寒(かん)  三十日之間 奇功油(きかうゆ)貝(かい)入相 添(そへ)差(さし)上申候 一 油薬(あぶらぐすり)之儀は仙傳(せんでんの)奇方にしてきりきず  ひゞあかぎれ其外(そのほか)用べし諸症(いろ〳〵)包紙(つゝみかみ)に  細(こまか)にかきしるし御座候  神丹取次所当所は申に不及京江戸 遠(ゑん)  国(ごく)近(きん)国に出し置候間御用之節御 吟味(きんみ)之  上御 求(もとめ)被遊可被下候以上    月 日 本舗 大阪順慶町心斉橋西江入       鳳翔館 修合     若狭屋平兵衛 【枠なし】 一一粒金袋丸といふはせき一通り  の妙薬也すべてせきは何ぜきに  てもなをる事請合んばるゆへ用  て其功を得るべし  元来長崎 宇都宮調合  大阪安土町中橋西へ入  北村太兵衛  取次所  駿府伝馬町  日野屋 【枠内】  枇杷葉湯(びはようたう)  主能 一くわくらん   一ねびえ 一しやくつかへ  一はらのいたみ 一しよくしやう  一づつうめまひ 一立くらみ    一りびやう 水毒酒二日酔其外諸毒けしいづれも さゆにて用ゆ  壱服代 二十四銅   大坂過書町筋西横堀東江入 調合所     塩屋平蔵製 【下段】 【枠内 前コマ下段の続き】 【上部横書き】 CHOL 【下部】 数別而郭(すべるぐ)《割書:国》雅谷貌(こやつぷ)《割書:性》伍乙志(うをいつ)《割書:名》先生(せんせい)の一大奇(いちだいき) 方(はう)にして蘭国(おらんだ)最第一(さいだいゝち)の秘方(ひはう)なり 【次枠】 夫(それ)痰(たん)は人(ひと)の身(み)に災(わざはひ)をなす事 甚(はなはだ)しき物(もの)にて諸病(しよびやう) 多(おほ)くは痰(たん)より発(おこ)るものなりた痰(たん)留飲(りういん)の病(やまひ)なる人(ひと)は 必(かなら)ず短命(たんめい)也といふ事(こと)は医書(いしよ)ごとに深(ふか)く論(ろん)ぜり 此(この)薬 能(よく)痰(たん)を化(くは)し胸(むね)をひらき留飲(りういん)積気(しやくき)を治(ぢ)する の主劑(しゆざい)なり《割書:万病(まんびやう)を治する|薬にはあらず》▲痰(たん)・留飲(りういん)・積気(しやくき)・の症(せう) より発(おこ)る所の病症(びやうせう)大綱(あらまし)左(さ)にしるす 【次枠】 ▲喘痰(ぜんたん)▲火痰(くはたん)▲湿痰(しつたん)▲老痰(らうたん)▲寒痰(かんたん)▲痰咳(たんせき)▲喘息(ぜんそく) ▲痰腫(たんしゆ)▲胸痛(むねいたみ)▲咽腫痛(のどはれいたみ)▲声(こへ)かれ▲逆上(のぼせ)強(つよ)く▲耳鳴(み[ゝ]なり)▲ 耳聾(みゝとをく)▲頭痛(づつう)▲首(くび)・肩(かた)・脊中(せなか)へこり痛(いたみ)▲胸先(むなさき)・脇腹(わきばら)へ 差(さし)こみ痛(いたみ)▲胸(むね)いきだはしく▲食物(しよくもつ)落(おち)つかず▲嘔吐(ゑづき)▲黄(き) 水(みづ)を吐(はき)▲時々(とき〳〵)熱出(ねついで)▲何(なに)となく心(こゝろ)悪(わる)く▲根気(こんき)薄(うす)く▲物(もの)忘(わすれ)し ▲心(こころ)細(ほそ)くなる▲物(もの)におそはれ▲癇症(かんしやう)▲鬱症(うつせう)▲気腫(きしゆ)▲瘰(るい) 癧(れき)▲肺癰(はいよう)▲膈(かく)症▲噎(いつ)症▲飜胃(ほんい)▲留飲(りういん)にて腹(はら)こはり 腹(はら)はり或(あるひ)は水腫(すいしゆ)脹満(てうまん)皷脹(こちやう)となり▲大便結(だいべんけつし)▲小便(せうべん)渋(しぶ)る 右(みぎ)の症(せう)はみな痰(たん)と留飲(りういん)積気(しやくき)よりなり来(きた)る病(やまひ)也【この行、白抜き字】 痰(たん)と留飲(りういん)積気(しやくき)の症(せう)なればいかほど年久(としひさ)しき難症(なんせう) といへども快(こゝろよ)く治(ぢ)する事 旭(あさひ)に霜(しも)の解行(とける)がごとし其(その)功(こう)一(いち) 夜(や)の内(うち)に見ゆ▲音声(おんせい)をつかふ人 常(つね)に用(もち)ゆれは痰(たん)を切(きり) 胸(むね)を啓(ひらき)其 声(こえ)潤沢(さはやか)に遠方(えんはう)へ通(とふ)る事 不思議(ふしぎ)の妙(めう)あり ○右に記(しる)す所(ところ)の病症(びやうせう)その軽重(かるきおもき)に随(したが)ひ「コラゴガを用(もちひ) て其(その)功(こう)の神(しん)なる事 今(いま)こゝに述(のべ)がたし▲痰(たん)留飲(りういん)の病(やまひ) ある人は卒中風(そつちうぶう)麻痺(しびれやまひ)頓死(とんし)する事 多(おゝ)し深(ふか)く心得(こゝろえ)べし 【次枠】 【上部 二重枠内】 本家 正誠堂製 淡州 【下部枠内】 京都元弘所《割書:麩屋町通|仏光寺下ル》伊勢屋伊助 江戸元弘所《割書:南伝馬町|三丁目》越前屋利兵衛 大阪元弘所《割書:蜆橋北長池通|諸国取引所》沖田理兵衛 【次枠】 【上部 横書き】 大阪取次所 【中部】 新町橋東詰北かは      平野屋新兵へ 南久ほうじ町三休ばし西へ入 河内屋利右衛門 八まん筋みどうすじ角    姫路屋源兵へ 上本町壱丁目        近江屋源七 堂嶋たみのばし筋      平野屋伝兵へ 御霊筋道修町角       道具屋彦兵へ 堀江かめばし北づめ     紀伊国屋弥兵へ 堂嶋さくらばし南詰     伊賀屋吉右衛門 さこば筋道空町       福嶋屋伊兵へ かいや町筋阿わ殿ばし西へ入 淡路屋平兵へ 北安治川上壱丁目      淡路屋平七 天満いせ町うら門筋     大和屋嘉七 上町内新町一丁目      銭屋嘉兵へ 壱丁目筋じゆんけい町北   大和屋伝兵へ 【下部】 嶋之内清水町堺すし東へ入  中川屋正助 南久ほうじ町心斎はし少南  みの嶋屋藤兵へ なんば新地相生町角     大ゑん 天満町はご板橋筋東へ入   岩田屋善兵へ 天神橋すしうら門北     松屋久左衛門 新町道者よこ町角      和泉屋嘉助 御堂筋米屋町南へ入     播磨屋嘉介 新町あはばし筋へうたん町角 金屋弥兵へ 嶋之内大ほうじ町中橋角   大坂屋源右衛門 平野町御霊筋西へ入     大坂屋嘉助 中之嶋越中橋北詰      池田屋新兵へ 淀屋橋南づめ        ならや治兵へ 心斎橋すし高簾橋東へ入   肥前屋藤兵へ 【最終行は次コマに翻刻】 【枠内 前コマと合せ】 《題:《割書:仙伝|秘法》十全丸(しうせんぐわん)《割書:  《割書:小|売》一包●三りう入 百銅|薬価 半剤金      弐朱|   壱剤金      百疋》》 【次枠】 此十全丸は仙伝秘方(せんてんひはう)にして補瀉(ほしや)□【温ヵ】涼(りやう)を兼(かね)而十を全(まつとふ)するの妙有よつて名(な)づく也●是程の小丸にして至て高直なる薬なれ共△ 一切の滞(とゞこうり)はすみやかに解(け)しねつをさましひへ症(せう)をあたゝめ精気(せいき)清血(せいけつ)をめぐらし五臓(ござう)を調和(てふくは)し百病を治する所の妙劑(めうざい)也第一 気付(きつけ)によし 【次枠】 【上部横書き】 第壱 【下部】   男女しやくつかへ腹中(ふくちう)のなん病によし 気(き)しやく一(あるひ)は血(けつ)しやく一は食しやく□【一ヵ】はたんしやく一はかんしやく又はむねむしにてむねはらを切さくがごとく一はきりにてもむ がごとく一はむしざうふをかむかごとく一はさしこみつよく一はいかりはらたち又は気みじかく一はわきばらせなか引つりいたみ 一ははら大にすじばりむねくるしく一ははらのやまひむねへせりつめたへがたくはらにかたまりと成一はたんにて肚(え)【吐ヵ】逆(つき)し 食物(しよくもつ)をつきかへし一はにかきくすりせん薬をのめはいよ〳〵つよくいたみ一は時々むねへつかへ食すゝます一はどうきつよくすへて むねはらいかやうのむつかしく年久しく持病等ありて百薬をつくし又ははりきうも功なく共此薬を用ひて立 どころにいたみをさり元気をまし二三日五七日用ひて持病の根をさること甚すみやかなり 【次枠】 第弐 大食しやうふく鳥けだもの木のみ等其外へんなるものをたへ大毒(たいとく)にあたり一は胸(むね)さきにこだはりのめどもくたらすはけども 出す一ははら大にはりいたみ一は大ねつきやうらんし又惣身ひへあかり誠にあやうき病人に用て其きゝめ手のかうをかへす ごとし〇五七年まえの食たひを治すること至て奇妙又かつをまくろ一切の魚どく酒とく水あたり等のかるき食しやうねひへ等は一二りう 用ひて立ところに治す 【次枠】 【上部横書き】 第三 【下部】 痢病(りびやう)くたりはら一はしふり腹いたみいきみ立一は白(しら)なめ赤(あか)なめをくだしはなはたむつかしき等にても此薬 大人小人ともに用ひて治すること至て奇妙なり 【次枠】 【上部横書き】 第四 【下部】   婦人のなん病血のみち持病等によし 帯下(こしけ)一はせうかち一はしら血一はなかち一は血(けつ)くわい一はぼうろう一は魚のわた鳥のきものやうなるもの等をくたすによし右しる す所の病しやういかやうにむつかしく年久しき持病にて百薬しるしなく共かるきは一ニつゝみをもきは五七日用て 速(すみやか)に治し気血をめくらしとゝのへ無病さかんになること至て奇妙なり婦人は常に心つかひ多く気けつ滞りて一は 月水不順にして口はなより血を出し一はづゝう目まひ立くらみ一ははら大にはり一は惣身手足なと腫気(はれ)一は 身ふし〴〵しひれ又はこしひへいたみ一はかんねつおこりのどく一は血らうとなり一はニ三年もはらくたり惣して むつかしくもつれりやうしの手をつくすといへともしるしなきなんひやうなりともかるきは一ニ度用ひて先つ其 きゝめ大きに心よく重きは半ざい一劑用て久しき持病の根をたち至て無病すこやかになること妙なり 【次枠】 【上部横書き】 第五 【下部】 男女 下血(げけつ)はしり痔(ぢ)久しき持病百薬しるしなきに用て速(すみやか)に治す○はなぢとけつ一日にニ三度づゝはき候共五七りう用て 立所に治す〇たんけつだ血へんち等にはニ三度用て速に治す〇惣身 腫気(はれ)むねくるしく小へんつうぜす甚あやうきに用てしるし有 【次枠】 【上部横書き】 第六 【下部】 男女気のかたろうせう日々におとろへ百薬しるしなく共此薬を一ニ斉用て食すゝみまめやかなり五七斉用て速(すみやか)に治す又 常に気をふさきむねつかへ不食し一はたんせきぜんそく一は手足よだるく夜は心よくねられす一は腎虚(しんきよ)気虚(ききよ)血虚(けつきよ)に至て妙也 【次枠】 【上部横書き】 第七 【下部】 大くわくらんあげくたし腹やく病等を治すること至てはやし〇はやり疫病(えきびやう)おこりねつ病の類は四五りうたてがけて 用て妙なり〇薬どくのあたり又 灸(きう)あたりいかやうのむつかしく共立所に治す 【次枠】 【上部横書き】 第八 【下部】   小児(せうに)驚風(きやうふう)五疳(ごかん)諸病(しよびやう)に用てよし 此病は気みじかく物おどろきびくつき大便(たいへん)けつし小便(せうへん)つまり一は手をにぎりそりかへりそら目つかい目をみつめはを くひつめ一はせき入なき入息(いき)たゆるといへとも此薬を用て立所によみかへり無病(むびやう)長生(てうせい)すること妙なり 【次枠】 【上部横書き】 第九 【下部】 此病はかほいろきばみくびすじ手足ほそくやせ腹(はら)大きにはり又は青すじいで一は目しはつきはなの下あかくつめをむしり 一はすみかわらけ等をかみ一は虫(むし)はらしきりにいたみ目をすへてなきやまざるに此薬を用て治せづといふことなし 【次枠】 【上部横書き】 第十 【下部】 ほうそうはしかのまへに用てたいどくむしけをしりそくゆへに至ておもくすへきはかるく又かるくすへきはしるしはかりにてすむ又 はつやみのきざしあらばいよ〳〵たてかけ用て甚かるくじゆんにして誠に安全たること奇妙也又かせて後余どくつよく肥(び) 立(たち)かねたる二三日五七日用て大に肥立元気さかん成ことはやし 【次枠】 【上部横書き】 諸病 【下部】 生れて七夜の内用てたいどくむしけの根をたつ〇生れ付よはくむしけひゐきよにてやせおとろへつねにわづらひ多き小児に 用て無病さかんに成一は薬ちかいにて薬どくあたり又は灸のあたりに至て奇妙也〇時々持薬に用ゆれはきうぢに及はつして 無病さかんに成  一ちをあまし    一しよくをもどし  一むしねつさし引 一ぢれて気みじかく 一大へんに色々あしき色をくたすによし  一やかましくせはり 一夜心よくねかたく 一夜なき     一たんせきせんそく 一大へんけつしだつかういつるによし  一虫をはきくたし  一はやりやまひ   一しよかんあたり 一ねびへくわくらん 一小へんしぶり惣身うそはるゝによし 一百日せき      一しやくり     一とき〳〵引つけ 一はらのいたみ   一虫けにてすし引つりちんばに成かりたるによし 一やぶいも      一どくけし     一こしあしかゝみきん玉大きく成たるによし小へんつまり立所につうす 【次枠】 右十全丸は急病は立所に治し当座の病は一二日用て速に治し又生れつきよはく一は大病にて久しくやみつかれりやうじ手を つくすといへとも百薬効なき病人にても一二日もちひてまつ心よく元気をまし食をすゝめ五七日用て全く治すへし たゞし此薬の至て妙剤なることいまた御そんしなき御方は先一トつゝみ御用なされ万一能書の通きゝめなくは此薬 御用に及はすいかにも誠に其きゝめたゝしき所はろんより御こゝろみあつて知り給ふへし〇諸薬しよくもつさし合なし 【次枠】 東都本家     喬翁庵製     《割書:島之内周防町佐野屋橋筋西江入》 大阪弘所      高月氏 【最終行は次コマに翻刻】 【上段 前コマと合せ】 《割書:仙伝|秘方》十全丸(しうせんくわん) 一 第一気(き)つけによし 一 腎虚(じんきよ)気虚(ききよ)血虚(けつきよ)其外 諸(もろ〳〵)   の癆症(ろうせう)に用妙なり 一 男女 積(しやく)つかへ腹中(ふくちう)難病(なんべう)に吉 一 大食傷(だいしよくしやう)鳥(とり)獣(けもの)の毒(どく)あたりに吉 一 痢病(りべう)白(しら)赤(あか)なめくたるによし 一 婦人 難病(なんべう)血(ち)の道(みち)一切によし 一 男女 下血(げゝつ)はしり痔(ぢ)等によし 一 大くわくらんはやり疫(やまひ)おこりに吉 一 小児 驚風(けうふう)五疳(ごかん)諸病によし 一 ほうそうはしかまへに用置は   かろくすること妙也 右何れも酒(さけ)か又は塩湯(しをゆ)にて用 癆症(ろうせう)気虚(ききよ)血虚(けつきよ)じんきよの 類ひに治薬に用る時は一日に 一粒か又二粒か三りう程用へし 三粒用る時は三度に用てよし 小児の気付には半粒用之 可(か)也 すへて小児の病に用て奇なり 婦人は産前(さんせん)さんご斗にいむへし  世上同銘の薬多しといへとも  此薬は仙家の秘方にして外に  類なし病難の輩のために  弘むるもの也 東都 本家 喬翁庵製 大阪弘所《割書:嶋の内周防町|佐のや橋すじ西へ入》高月氏 【赤印】 【下段】 調合所 《割書: いみもの|ゑびかに鳥玉子|あふらつよきうを》  《割書:播州大坂道頓堀太左衛門橋八まん筋角ゟ北へ五軒目|                    東かわ》 【一文字三星紋】本家 丹波屋藤兵衛  第一男女ひゑしつ一切の病を治すりんびやう  せうかちせんき五じ五しやくは早速いたみを  やめ大小へんひけつをよく通し婦人こしけ  しらちながち月水をよく調へしつねつの病  そうどくよこねほねいたみによし一切  のぼしづつうかゆかりわきがによしりびやう  たんせき大人小児よばりむしたいどくねつに  よし此薬いか程久しくいゑかねる病にても  一廻りの内其功ある事如神 《割書:秘|方》桑清丸《割書:大人は一日に一ふく|づゝさゆにて用ゆべし|小児は見合》      吉田氏製   【刻印】吟大印    【赤刻印】■■傳 【枠内】 《割書:西洋|竒方》醒心飲    《割書:清容堂精製》 【最終行は次コマに翻刻】 【右枠内】 【上部横書き】 浪速 【下部】 清容堂揀 選薬舗記 【上段枠内】 蘭製  醒心飲(せいしんいん)    治方 第一 気(き)つけ  目(め)まい 立(たち)ぐらみ  上症(のぼせ)  りういん 頭痛(づつう)  ふさぎ  癲癇(てんかん) 卒中風(そつちうぶ)  霍乱(くわくらん)によし 小児(せうに)驚風(きやうふう)によし 歯痛(はのいたみ)には水(みづ)にてときふくみて よし 目(め)のかすむには水(みづ)に点(てん)じてまぶちに ぬりてよし 田葉粉(たばこ)舟(ふね)かごにゑひたるによし 毒虫(どくむし)のさしたるにすりつけてよし よく酒毒(しゆどく)を解(げ)するゆゑに二日酔(ふつかゑひ) よし 此(この)御薬(おんくすり)は。もと西洋(せいやう)蘭人(らんじん)の傳方(でんほう) にして。功能(こうのう)ことに多(おほ)し。最(もつとも)諸薬(しよやく) さし合(あひ)なし つねに用(もち)ゆるには。耳(みゝ)かきに一(いつ)はいほど。 病(やまひ)に応(わう)じて。急症(きうしやう)なとの時(とき)には。三五 厘(りん) も飲(のむ)べし 【下段枠内】  粒甲丹(りうかうたん)一銘 睡眠薬(ねふりくすり)《割書:壱錠金壱歩|半錠金弐朱》 夫(それ)粒甲丹(りうかうたん)は文禄(ぶんろく)年中(ねんぢう)朝鮮(てうせん)攻代(こうはつ)【伐】の時(とき)肥前(ひせん)の国(くに)人氏(ぢうにん)細野(ほその) 右進(うしん)朝鮮(てうせん)に趣(おもむ)く然(しかる)に忠州(ちうしう)の城(しろ)敗軍(はいぐん)に及(および)し時(とき)国妃華(こくひくわ) 陽君(やうくん)を扶助(ふじよ)して送(おくり)ぬ其(その)喜(よろこび)に堪(たへ)ず官女(くわんぢよ)に命(めい)して嚢(のう) 中(ちう)より此粒甲丹《割書:并》方書(ほうがき)の一巻を授(さづけ)給ふ右進 帰朝(きてう) の後(のち)彼薬(かのくすり)を試(こゝろみる)に其(その)功(かう)如神(しんのことし)後(のち)浪華(なに[わ])に移(うつ)り医(い)を業(ぎやう) とす其(その)子(こ)道伯(どうはく)も亦(また)父(ちゝ)の業(ぎやう)を継(つぎ)吾(わが)洞津(どうしん)に来住(らいぢう)す余(よ) 其(その)隣家(りんか)に住(ぢう)し数(しば〳〵)此 薬(くすり)を求(もとめ)奇功(きかう)を得(う)る事(こと)久(ひさ)し一日(あるとき) 道伯(どうはく)曰(いはく)汝(なんじ)多年(たねん)此薬を信(しんず)る事 甚(はなはた)篤(あつ)し因(よつ)て今 汝(なんじ)に 傳(つたへ)ん広(ひろく)世(よ)を済(すくへ)とて彼方書(かのほうかき)を授(さづく)拝授(はいじゆ)して此薬を調(てう) 劑(ざいし)諸症(しよしやう)に与(あた)ふに其(その)効験(かうけん)速(すみやか)也 依(よつ)て広(ひろく)海内(かいたい)に弘(ひろめ)病(びやう)者 の一助(いちぢよ)となすべしと勧(すゝめ)に応(わう)じ今般(こんはん)売與(ばいよ)せしむる ものなり 一此薬 百病(ひやくびやう)危急(ききう)を救(すく)ひ一切 気付(きつけ)によし諸病(しよびやう)に用ひて  大内を補(おぎな)ひ精神(せいしん)を安んじ熟睡(じゆくすい)せしむるに依(よつ)て世(よ)に  ねふり薬といふ諸薬 食物(しよくもつ)さし合なし 一 傷寒(しやうかん)疫痢(ゑきり)疱瘡(ほうそう)瘧疾(おこり)其外諸病さしこみ強く  或は嘔吐(ゑづき)止(やま)ず食(しよく)薬(くすり)一向うけざるに用てよく通す少し  にても咽喉(のんど)通(とを)れは忽(たちまち)病勢(やまい)をゆるめ熟睡(じゆくすい)しさめて  後(のち)精神(こゝろ)正しく食をすゝめ気力(きりよく)を益(ま)す 一 食傷(しよくしやう)いたみ強(つよ)く手足(てあし)冷(ひへ)脈(みやく)たへ針(はり)灸(きう)応(わう)ぜざるに  用て即功(そくこう)あり 一 魚(うを)菌(くさびら)等其外 諸毒(しよどく)にあたり死(し)にいたるものに用てたちまち   蘇(よみかへる)すべて大毒(だいどく)を解(け)する事 至(いたつ)て妙(めう)なり 一 難(なん)さんにのぞんて用ゆればたちまち安産(あんさん)する事 甚(はなはだ)妙(めう)也 一さん後(ご)血暈(めまひ)に用て即功(そくこう)あり胞衣(ゑな)くだらざるによし  男女(なんによ)とも金瘡(きんさう)腫物(しゆもつ)其外 諸病(しよびやう)より痓症(ししやう)となる  苦痛(くつう)つよく反張(そりかへり)死(し)せんとするに用てそくかうあり 一 小児(せうに)五 痛(かん)にて顔色(かほいろ)あしくやせおとろへ色々(いろいろ)の症(やまひ)と  なるによし 一 急慢(きうまん)驚風(きやうふう)にて搤搦(ひきつけ)死(し)に至(いた)る者(もの)に用て妙也 一 肝積(かんしやく)にて筋(すじ)はり痛(いたみ)正気(しやうき)を失(うしな)ひ針(はり)薬(くすり)応(わう)せざるによし 一 疱瘡(ほうさう)山あげざるによし又 痘毒(ほうそうのどく)を解(げ)す 【最終行は次コマに翻刻】 【上段】 【枠内 前コマ上段の続き】   一包代銀壱文目      清容堂精製    《割書:大坂今橋二丁目中橋筋》 調合所     播磨屋武兵衛【印】 【枠なし】 一 大人(たいじん)小児(せうに)一切(いつさい)ののぼせを引さげ 一ちめ又はかすみめ  一めまひ立ぐらみ 一ふねかご酒のゑひ  一 顔(かほ)はれ歯(は)うきいたみ 一 婦人(ふじん)ちのみち    一 落馬(らくば)くじき 一 大人(たいじん)小児(せうに)の頭瘡(づさう)  一づつうふらつき 一 耳(みゝ)のなり同いたみ  一 鼻血(はなち)鼻の塞(ふさがり)を通し 一うちみきりきず   一 道中(どうちう)一切の病(やまひ)によし 一さんぜんさんご   一 髪(かみ)のふけさり 一のんどはれいたみ 一 秘詰(ひけつ)并 痢疾(りしつ) 【下枠内】 用ひ様ゆを能にゑたゝせふり 出し二三度用ひあとはつねの ごとくせんずべししやうが無用     万さし合なし 【枠なし】   浪花養寿軒永井伊織製【印】   日本無類 ふり出し 【屋号 地紙に永】のぼせ引さげ薬萬全湯   正 真本家     京都釜坐通二条上る二丁目西側   調合所 越後屋太郎右衛門 【印 寿】 【枠内】 取次所京江戸大坂諸国数多有之候へども書記し不申候間本家調合 所名印并【屋号 地紙に永】かくのごとくの目印を御吟味御求可被下候尤薬次第に 相広まりいづ方にも功能よく御存知故此度判形相改申候 功能書御望の方は御取寄御覧可被下候 一服代廿四文 【次枠】   《割書:阿蘭陀|伝 来》御歯薬 第一はのいたみはの根(ね)はれいたむによし口ねつはくき 歯(は)うきうごくによし口中ふき出ものによし   右 何(いづ)れもふくみてよし常々(つね〴〵)夜々ふくみて日   久しき時はうごく歯をすへかたくなる事   妙なり腹中(はら)に入てもくるしからず 右ふくみやうは此 薬(くすり)をはぐきとほうとの間(あひだ)に はさみおくなりしばらくして口中よりうみ 【下段】 【枠内 前コマ下段より続き】 一 痰(たん)にて胸膈(むね)せまり喘気(ぜんき)つよく心神(しん〳〵)くるしきに用て  忽(たちまち)功(こう)をあらはすすべてたんよりなす諸症(しよしやう)によし 一 或(あるひ)は驚(おどろき)あるひは憂(うれ)ひ心神(しん〳〵)くるしく何(なに)となく欝滞(うつたい)し  食(しよく)すゝまず咳嗽(せき)ありて夜(よ)ねられざるによし 一 卒(にはか)に乱心(らんしん)したるに用て本心(ほんしん)と成又 異病(いびやう)に用てよし 一 疫病(やくびやう)の家(いへ)に行時(ゆくとき)少しつゝ服(ふく)し又 鼻(はな)にぬりて疫(ゑ)  気(き)をうけざる妙なり 一 旅行(たびゆき)に用ひて水(みず)土(つち)の気(き)にあたらず山野(さんや)の気をうけず  ゆゑに旅行にたくわへてよし都(すべ)て針(はり)薬(くすり)自由(じゆう)ならざる  時(とき)急難(きうなん)をすくふの良薬(くすり)なり  或は極老(ごくらう)久病(きうびやう)の人たとへ難治(なんじ)の症(しやう)たりとも是を服(ふく)  する時は精神(せいしん)を正しくし苦痛(くつう)ゆるめること妙(めう)也  難治の症は用ひてしるべし 右の外 諸症(しよしやう)に用て内を補(おぎな)ひ諸薬(しよやく)を導(みちびき)危症(きせう)を 救(すく)ふ平生(つね〴〵)服(ふく)して暑寒(しよかん)をよく凌(しの)ぎ諸邪(しよじや)をうけざる 無病(むびやう)長寿(てうじゆ)を保(たもつ)良薬(くすり)也猶 委(くはし)くは本能書(ほんのうしよ)にしるす故爰に略す 一於 当店(とうみせ)取次(とりつぎ)来(きたり)候粒甲丹之儀は長良(ながら)氏の秘蔵(ひほう)  なれども諸君子(ひ と 〳〵)之 求(もとめ)に応(わう)じ近年(きんねん)売薬(ばいやく)とす近来(きんらい)  同銘(どうめい)紛敷(まぎらはしき)薬 世間(せけん)に多(をゝく)有之候間 能々(よく〳〵)御 吟味(ぎんみ)之上  御 求(もとめ)可被下候已上 勢州洞津  停車斎長良氏製【刻印 停車斎】       大坂瓦町筋百貫町 取次所         鎰屋直太郎 【枠外手書】 代壱匁 【飾り枠内】 第一たんをきりせきを とめこゑを出し 速効丹(そくこうたん)   堺新在家町大道西側 本家 住吉屋八郎兵衛製 【次枠】    解酲龍脳丸 一此薬は家祖味岡三伯組置れ候七宝の内の  一方にして誠に功能有こと神のごとし  ○酒のゑひ○たんせき○づつう○のぼせ  ○立くらみ○気のつき○くわくらん○毒けし  或は客と行大酒又は魚鳥を過たるに四五粒つゝ折々  用ゆれはせん〳〵ゑひをさますゆへ二日ゑひのうれひなし  或は歯いたみ口中ねばりくさく又はあれたるに度々  用ひて病の根をきる或は貌手足なとに瘉出又毒むし  のさしたるに能かみくだきつはとゝもに度々付てよし 【上段】 【枠内 前コマ上段の続き】 或(あるい)は血(ち)或は虫(むし)など出ること妙なり   大阪道修町一丁目 紀伊国屋卯兵衛製 【刻印 尚栄】 【次枠】 大難病中風一代おこらざる秘法 同かく御符  先年の通差出すもの也 右 大難病(だいなんびやう)おこらざる秘法(ひはう)の儀(ぎ)日本 無双(ふさう)の秘法にて予が家代々六百年 余(よ)秘蔵(ひぞう)すといへども年輩(ねんはい)七十九才にならでは始(はじめ)不被申 故(ゆへ)太閤秀吉公(たいこうひてよしこう)御 存命(そんめい)の節(せつ)迄三 度(と)これあり其後(そのゝち)八代是まで絶切(たへきり)候処去る子年我七十 九才に相成候へは先祖(せんぞ)の遺言(いひげん)に従(したが)ひ子年より貴賎(きせん)是(これ)を施(ほどこ)すもの也 右 難病(なんびやう)中風は不及申に各(おの〳〵)我身(わがみ)の上に何(いつ)発(おこる)といふことをしらず依(よつ)て 一代おこらざる秘法(ひはう)を施(ほどこ)すもの也 然(しか)るに銘々(めい〳〵)家業(かげう)に付 旅(たび)他国(たこく) する人 野山(のやま)舩中(せんちう)は不_レ及_レ申 我家(わがいへ)遠近(ゑんきん)を不嫌(きらはず)発(おこ)る難病(なんびやう)なればかく 申内 今(いま)立所(たちところ)にて発(おこ)るもしれず殊(こと)に卒中風(そつちうぶう)は即死(そくし)する也此難病 発(おこ)ると忽(たちま)ち惣身(そうみ)手足(てあし)なへしびれ詞(ことば)もわからず大小便(たいせうべん)出るもしらず 死人(しにん)同前(とうせん)の身(み)となり苦(くるしむ)事年月限なし然は我(われ)一代夫切今 四方(よも)に 此 難病(なんびやう)流行(りうかう)して男女 煩(わづら)ふ人多し各々今 達者(たつしや)当にならす依て 秘方(ひはう)施(ほどこ)す者也 昔(いにしへ)太閤秀吉此 秘方(ひはう)御請被遊御 称美(しやうび)の御詞に此 秘方(ひはう) 中風においては誠(まこと)に惣身(そうしん)命(めい)之 宝蔵(ほうぞう)也と御 褒美(ほうび)の御 声(せい)にあづかり然者 貴賎(きせん)各是に随(したが)ひ此 秘法(ひはう)を請(うけ)長寿(ちやうじゆ)延命(ゑんめい)宝蔵(ほうぞう)建置(たておく)べきこと也 前段(ぜんだん)申通八代 中絶(ちうぜつ)有之候 稀(まれ)之秘法此度此 難病(なんびやう)のがるゝ幸(さいわ)ひ 来りしと思はゝ片時(へんし)もはやく受置(うけをく)べきこと肝要(かんやう)也              【屋号 曲に吉】此印有 《割書:御符出日 三日 十三日 廿三日|     八日 十八日 廿八日|  京西洞院五条下ル上より|          施主 了海》 【次枠】 大人(おとな)小児(ことも)ともに薬(くすり)きらひの症(しやう)あり。しひて薬(くすり)を用(もちひ)れは。かへつて害(かい)を なすものなり。此(この)御薬(おんくすり)黒焼(くろやき)なれば。すこしもかぎ。又あぢはひなし。殊(こと)に うなぎにて用(もちふ)れば。薬(くすり)をのむやうになし。但(たゞ)しうなぎきらひはさゆにて 用(もち)ひてもよし又(また)別(べつ)に丸薬(ぐはんやく)に製(せい)したるあり 【次枠】 幼少(ゑうせう)より眼(め)をいろ〳〵わづらひ。目(め)のうちあかくなり。あるひはとりめ。又(また)は 目(め)にほし出(いで)。かゝりものかゝり。日月(じつけつ)の光(ひかり)をうしなふといふとも。此(この)御薬(おんくすり) をうなぎにて用(もちふ)れば。たちまち両眼(りやうがん)あきらかなる事(こと)神(しん)のごとし 但(たゞ)しうなぎきらひには。さゆにて用(もち)ひてもよし○ほうさうはしかの おもきと。驚風(きやうふう)にて目(め)をみつめ。又(また)は物(もの)におどろきたるは。さゆにて 用(もち)ふ。右(みぎ)そくかうある事(こと)。数人(すにん)試(こゝろみ)たるを以(もつ)て。追(おつ)てこゝにしるす 【次枠】 小児(せうに)十歳(ぢつさい)よりうちに。手足(てあし)をびくめかし。そらめづかひするは。つゐに そりかへり。目(め)をみつめ。あやうきにいたる。又(また)鼻筋(はなすぢ)に青(あを)き筋(すぢ)横(よこ)に 出(いで)て。あたまのすぢ張(はり)。おどりの所(ところ)高(たか)くやはらかにはれ。たび〳〵乳(ち) をあますは。驚風(きやうふう)の下地(したぢ)なり。兎角(とかく)乳(ち)をあまし。そらめづかひ するは。油断(ゆだん)すべからず。早(はや)く此薬(このくすり)を用(もちひ)て。おこらざるうちに治(ぢ)すべし 右(みぎ)国土散(こく[ど]さん)は男女(なんによ)とも当歳(たうさい)子にても大人(たいじん)にても御薬(おんくすり)同製(どうせい)也(なり) 【下段】 【枠内 前コマ下段より続き】 一神仏又は貴人の前に出るとき四五粒つゝ用れは手水  うがひのかはりに成り身を清浄ならしむ   価《割書:大包 代 壱匁|小包 代 五分》 用ひ様口中にて能かみくだきのむ  調合所《割書:大坂過書町せんだんの木西へ入》味岡閑笑軒【刻印 寿】 【次枠】 大人小児せき一通り請合の妙薬   一粒金丸  料 銀 一匁 一たんせき   一むしせき   一ひえせき 一かぜせき   一らうがいせき 一さんぜんさんごのせき 一ぜんそくせき 一しやくせき  一よはみのせき 一諸病ともせきにてよこにねがたきに用て其かう 如神其外何ほと年久しきせきにても此丸薬用 ゆれはたち所にて治する事きめう也おもきせき には一日に二りうづゝ用ゆかるきせきには一日に 一りうづゝ用ゆべし大人小児とも諸薬さし合なし 用ひやうはさたうゆにて用てよし委敷(くはしき)は本能書(のうしよ)に記す 本家    丹州     芦田製    大阪長堀三休橋塩町角 弘所           芦田豊治 取次所     京都堺町通三条下る西側   鱗形屋孫兵衛 同       大坂瓦町難波橋南へ入    丹波屋安兵衛 同       同伏見町淀屋橋西へ入    平野屋長兵衛 同       同本町橋東詰北へ入     岡嶋氏 同       同 ざこば町        阿波屋徳兵衛 同       同天満橋北詰一丁西へ入角  播磨屋儀兵衛 同       同北野天神前        ながた源兵衛 同       同新町西大門西へ入     米子屋儀兵衛 近頃(ちかごろ)一粒丸といろ〳〵名付てまぎらはしきによりの 薬うり弘(ひろめ)て仁(じん)■する名所(なところ)御 吟味(ぎんみ)之上御 求(もとめ)可被成候以上 【上段】 【枠内】    稀痘神方 此神方は男女に限(かぎ)らす当歳(とうざい)より三 歳(さい)までの 小児(せうに)には実入(みいり)よき唐(から)の川練子(せんれんし)七 粒(つぶ)をゑらみ 臼(うす)にて搗砕(つきくだ)き土鍋(どなべ)にて水三 杯(はい)を入 濃(こく)煎(せん)じ 布(ぬの)きれに浸(ひた)し頭(かしら)より惣身(そうみ)のこりなく摺(すり)あらひ 其 布(ぬの)にてぬぐひ風(かぜ)のあたらぬ所にて乾(かはか)すべし 川練子(せんれんし)を砕(くだく)には鉄器(てつき)を忌(いむ)べし四五 歳(さい)の小児(せうに)は 九 粒(りう)に水五 盃(はい)を入六七歳は十五 粒(りう)に水七盃八 歳(さい) より十 歳(さい)までは二十 粒(りう)に九 盃(はい)十一歳より十五歳 迠(まで) は三十 粒(りう)に十五 盃(はい)を用ゆ洗(あらひ)やうは暦(こよみ)の中段(ちうだん) 除(のぞく)といふ日をゑらみ七 度(たび)洗(あら)ふ若(もし)五月 初(はじめ)より 八月 初(はじめ)までの内にてこれを行(おこな)へば功能(こうのう)ことさらに 妙(めう)なり其 余(よ)の月にても除(のぞく)の日を用(もち)ひて都合(つがう)に 七日 摺(すり)洗(あら)ふことにて毎歳(まいさひ)かくのごとくするにはあら ざるなり此方(このほう)を用れば疱痘(ほうさう)を免(まぬがる)のみならず 諸(もろ〳〵)毒瘡(どくそう)にも染(そま)ざるなりたとひ疱痘(ほうさう)するとも必(かなら)ず 軽(かろ)きなるもしこれを信用(しんよう)なくば試(こゝろみ)に手足(てあし)の内 一所(ひとゝころ)あらひ残(のこ)し置(おく)べし若(もし)疱痘(ほうさう)いではかならず 其(その)所(ところ)に多(おふ)く聚(あつま)りよるべし 此方は唐土(もろこし)新安(しんあん)の呉春山(ごしゆんさん)といふ人三人の子いづれも疱(ほう) 瘡(さう)に仕屓(しまけ)たるゆへ城隍(とちかみ)の廟(やしろ)に祈(いのり)て霊夢(れいむ)に授(さづか)り 其後(そのこ)二人の子 此(この)神方(しんほう)によりて恙(つゝが)なかりし故(ゆへ)神効(しんかう)を 感(かん)じて世(よ)に此方を弘(ひろ)めらる其後(そのゝち)清朝(しんてう)乾隆(かんりう)二十四 年に呉義豊(ごぎほう)といふ人 楚国(そこく)在勤(ざいきん)の時(とき)疱痘(ほうさう)多(おふ)く 行(おこなは)れしゆへ此方を弘(ひろ)めて数万(すまん)の小児(しやうに)を救(すく)へりまた 蘇州(そしう)の桂香集(けいかうしう)といふ人 孫(まご)五人ありて此方(このほう)を用し に両隣(りやうどなり)の小児(しやうに)まで病付(やみつき)たれども桂氏(けいし)の小児は免(まぬがれ) しとなり是(これ)皆(みな)此(この)神効(しんこう)によるとぞ    長崎林魁梅卿譯并誌  此 除痘(ぢよさう)の法(ほう)は即(すなは)ち林氏(りんし)が施印(せいん)の写(うつし)也  猶(なを)此 法(ほう)の広(ひる)く世に流布(るふ)し林氏(りんし)の意(こころばせ)の  早(はや)く家々(いへ〳〵)に及びて又々 速(すみや)かに其(その)幸(さいわ)ひ  に与らんことをおもふものなり   安永乙未冬 【下段】 【枠なし】   軽痘奇方《割書:未疱瘡せぬ間は折々|此薬を用ゆべし》 ○一二 歳(さい)の小児(こども)は南燭(なんてん)の実(み)十 粒(つぶ)甘草(かんぞう)一 分(ふん)水  八九 勺(しやく)三歳より九歳迠は南燭の実二十粒甘草  二分水一合五勺十歳以上は南燭の実三十粒甘草  三分水二合 右(みき)の分量(ぶんりやう)にて少は増減(ぞふげん)有べし何れ  水 三分(さんぶん)一減(いちげん)ずる程(ほと)に煎(せん)し服(のま)さしむべし痘(ほうさう)を  稀(かるく)にする事(こと)妙(めう)也《割書:僕(われ)》世人(よのひと)の難(おもき)痘(ほうさう)有を患(うれひ)て或(ある)  名家(めいか)に此方(このほう)を得(え)て試(こゝろみ)るに神功(しんかう)あり尤(もつとも)得(え)易(やす)き  薬品(くすり)なれば普(あまね)く世(よ)の人の為(ため)に記(しる)して施(ほどこす)而已(のみ) ○本草に南燭痘毒を解事不_レ見甘草小児の胎毒を  解の主治あり小児胎毒解する時は自ら痘は稀なる  理なるべし猶博覧の君子の考を待 ○未疱瘡せぬ小児(ことも)には油(あぶら)多(おほ)き肉類(にくるい)椎茸(しいたけ)蒟蒻(こんにやく)  乾柿(くしがき)を忌(い)む小児 甘(あま)き物(もの)を常(つね)に多(おほ)く喰(くら)へば腹(はら)  中に虫(むし)を生(せう)じ疱瘡(ほうさう)の時(とき)害(がい)多(おほ)し○既(すて)に痘(ほうさう)を病(やむ)  時(とき)は悪臭(あしきにほひ)鯹(なまぐさ)き臭(にほ)ひ都(すべ)て穢(けがれ)を忌(いむ)可慎(つゝしむべし)  文化戊寅年春三月 泉州岸城宮東郊              【赤印 二個】 【枠内】 《割書:潤(じゆん)|身(しん)》貴妃花容香(きひくはようかう) 《割書:紅絹嚢入(もみのふくろい◻)|  一包價百銅》 此(この)花容香(くわようかう)は寔(まこと)に霊妙(れいめう)不測(ふしぎ)の神済(しんざい)なりゆゑに男女(なんによ)とも 寒暑(さむさあつさ)をいとはず浴湯(ゆあみ)の後(のち)是(これ)を身(み)に打(うち)ぬりて能(よく)すり つくるときは第一(だいいち)不浄(ふじやう)穢(けがれ)を去(さ)り身体(からだ)を清(きよ)くし 女(をんな)は経行(つきのめぐり)のみぎりにても是(これ)を肌(はだ)にぬりて神仏(しんぶつ)の 御前(みまへ)にいづれば不浄(ふじやう)のとがめなし先(まづ)男女とも周(そう) 身(み)のあしき臭(か)をさり能(よく)肌(はだへ)に艶(つや)をいだし諸(もろ〳〵)の病(やまひ)をさり 暑中(しよちう)は中暑(あつけ)霍乱(くわくらん)風邪(ふうじや)等(とう)のうれいなし又 大人(たいじん)小(せう) 児(に)ともあせぼの出(いで)たるに是(これ)をぬりて速(すみやか)に是(これ)をいや すこと妙(めう)なり此薬(このくすり)はよく精気(せいき)をめぐらすゆゑ暑気(しよき)を 去(さ)り汗(あせ)をおさめおのづから身(み)を涼(すず)しくせしめ又 湿(しつ) 気(き)をさる故(ゆゑ)かゆがりのうれひを忘(わす)るべし別(べつ)して脇臭(わきが)の 輩(ともがら)是(これ)を用ひておのづから療(りやう)ぜずしていゆる事 寔(まこと)に 神(しん)の如(ごと)し其(その)外(ほか)功能(こうのう)著明(ちよめい)なる事(こと)は用いて知(し)り給ふべし 《割書:本家|御免》製薬所《割書:大阪淡路町|心斎橋東へ入》 井上元亀堂 【刻印 元亀堂】 摂津の国浪花の□□何某の先祖は黄檗の独立禅師に随ひて書を学び しに中年よりふとせんそくの病に苦めらる禅師憐み此薬を給ひて病忽に 平愈し筆道執行成就せり禅師の名方かす〳〵あれ共此薬は玉子を以て 製する故に黄檗山に残されすと也某七ケ年以前よりせんその病をうく初 四ヶ年程は秋の末五六日の間煩ひしに五ケ年めより持病となり気候不順の 時はいつとなくおこりかたつかへたんせき強くよこにいねられずいきゝれして 歩行なりかたく食味は常よりすゝめ共次第にやせおとろへ苦めり煎薬はもち ろん妙薬名灸薬くひましなひ其外いろ〳〵手を尽せとも其功更になし 然るに去秋八月此薬をのみてより痰せき日々に治しいきゝれやみおゐ〳〵肥立 つゐに本復せり諸人の助にも成事故たつて薬法を乞請望みの人に施し あたへしに全快の人々謝礼に心配多きにより何とそ薬の價をきめしん しやくなしに服用したきよし好にまかせ聊薬移の料を極め此度施薬 同様にしんし候功能はしるすに及はすのみて知給ふへし此外たんにてからた いたみせき入候時はたへものをはきこへかれたんきれすりういんにて腹なりむねいたみ 黄水をはきからたおもくさむさをおそれ食物すゝめ共むねにつかへすへてりういんた ん一切によし〇右何れもすきはらにさゆにてのむへし病かるきはニ包三包半劑持病と なり三年五年の長病にても二剤或三剤にて根を切候〇禁物酒むねにもたれ候もの 其外たんの禁物は人のしる事故略す麦湯わり飯は薬力を助る故つね〳〵用て吉    一剤  弐朱    半剤  小弐朱    小包  百文   江戸永田馬場   安部家中   水原氏鑑製 □□□□【此度施薬ヵ】同様にしんし候所沢山に所望し一服を二服に致し売候ものも相聞欺ケ 敷事に候此後御望の人は拙宅へ直に取に可被遣候一剤懸目四両也病強くおこ り候時は一日に二匁ほとかるきは一匁ツヽ順血剤にて中を補ひ候□□□□ 朝五分つゝ用ひ候へは年来のりういんたんいん共自然と治し候 在番中薬所望被致候処 御城内通路不相成候故是迄左之 處にてしんし候所出立間も無之候へ共聞伝へ追々諸方ゟ取ニ被参 候に付薬残し置候尤是迄之通書付かんはん等は無之候  大坂平野橋東詰 米屋吉右衛門 同上本町一丁目わらや八兵衛 枠内 文政二己卯年 大はすむ  小はにごる ばんじ かぎよう がなを だいじ 丸内 ひゑ しつ薬 一切 丸下 男女 ひゑ一切請合薬 減毒散 煎薬 価二百六十銅               減毒丸 丸薬 扇印に白丸 りん病しやうかち請合薬 代百六十四銅          為弘毎月二日三日八十銅にて差出し申候       わきが一生根をきる薬 一包価六十四銅 本家 大坂伏見町中橋西へ入  伏見屋和助製 刻印篤?? 上枠内 伝来秘方 三吉香(みつよしかう)大貝  百銅                 中貝  三十二穴                 小貝  十六穴 一 木竹(きたけ)そけ立(たち)たるあと湯(ゆ)みづに入ていたむとき塗(ぬり)て忽(たちまち)に止(やむ) 一わきがには毎日(まいにち)三度(さんど)づゝ塗(ぬり)て百日(ひやくにち)のうち治(ぢ)する事 請合(うけあい)なり 一はのいたみにはもぐさと合(あは)し火(ひ)にてあたゝめいたむ所(ところ)にかみしめて  たち所(どころ)にいたみをとむる事(こと)妙(めう)なり 一婦人いんもんのわづらひ一切(いつさい)に付(つけ)てよし 速(すみやか)にきずをいやしいたみを  やはらげあしき匂(にほ)ひをさる事(こと)妙(めう)なり 一火(ひ)にても湯(ゆ)にてもやけどにてたゞれいたむに妙なり 一ようてうる一切(いつさい)のしゆもつうみをすいはれをちらしいたみ  をやはらげいへじをあげ治(ぢ)する事(こと)神(しん)のごとし 一はうさうはしかのよりまぶちたゞれみゝだれ銭(せに)かさ夏虫(なつむし)  うら虫(むし)うるしまけかぶれひやうそはりとがめつまばらみ  ゆびのふしのいたみもゝずれけぎれはなをずれそこ豆(まめ)たゝみだこ  魚(うを)の目(め)ひぜんがさたむしがんがさはゞきがさねふと汗(あせ)ぼはたけの類(るい)  ひゞしもやけあかぎれ大人(だいにん)小児(せうに)しらくぼなまづにきびそばかす  はなの中(なか)のしゆもつさかむけ手(て)あしのあれあしのくたびれ一さい  のとくむしにさゝれたる犬(いぬ)鼠(ねずみ)にかまれたるときすみやかに用(もち)ゆべし 右その所へぬり付てたちまち治(ぢ)ざる事即効(そくかう)神(しん)のごとし 抑(そもそも)此油薬(このあぶらくすり)の儀(ぎ)はおらんだ名方(めいほう)にて予(よ)が家(いへ)ゆへ有て相伝(あいつたは)る也 他家(たけ)無(む)類(るい)にして実(しつ)に奇妙(きめう)の良薬(りやうやく)なり年頃(としころ)用(もち)ひ試(こゝろむ)るに其(その)功(こう) 実(じつ)に神(しん)のごとく一として験(しるし)あらざることなし其内(そのうち)ことさらに効(こう) 能(のう)甚(はなはだ)しきもの三ツあり第(だい)一 面(おもて)にぬりてしばらく有(あり)てよくのごひ とりけしやうすればつやを出(いだ)し自然(しぜん)に白(しろ)き光(ひか)りを出(いだ)すきめを こまかにし一さいの面(めん)瘡(そう)を治(ぢ)してふたゝび生(しやう)ぜず第二しゆもつ一 切(さい)のうち五痔(ごじ)だつこうに用(もち)ひていたみをやはらげ根(ね)を切(きる)事 請合(うけあい)也 第三うち身(み)切(きり)癈(きず)用(もちゆ)るに随(したがつ)て立所(たちところ)に功能(こうのう)をあらわす事 至’(いたつ)て 妙あるがゆへに此(この)三ツによきを以(もつて)三吉香と号(ごう)し当店(とうみせ)にて御披(ごひ) 露(らう)仕候御 用(もちひ)被成 功能(こうのう)とくと御 試(こゝろみ)の上(うへ)御用(ごよう)被仰付可被下候  本家売弘所     金橘楼  刻印金橘楼        大阪島之内布袋町 岡島屋芳三郎  京都其外諸国取次所は別紙に有之候  御もとめ可被候 枠外 此以切手御薬相渡し可申候 丸の内  ひゑ しつ薬 一切 請合御薬煎薬丸薬価二百六十銅百丗銅にてさし上申候 扇子内白丸  りん病せうかち大妙薬価百六十四銅 八十銅にてさし上申候  わきか一生根をきる御薬価六十四銅 国々取次所為弘当卯年中半施に而差出し置候に付此度当地此切手差上 可申候売弘所諸国城下津々浦々在町に御座候御手寄ニ而御求可被下候以上 本家調合所大坂ふしみ町中橋西伏見屋和助  刻印??? 下段   洗眼方 右通政袁密山景星広西平楽 ̄ノ人甞 ̄テ傳 ̄フ【二】 一-洗眼-方 ̄ヲ_一云 ̄フ宋 ̄ノ元-豊 ̄ノ年間其 ̄ノ太-守 年七十雙-目不 ̄ス_レ明 ̄ラ遇 ̄テ仙人 ̄ニ_一傳 ̄フ_二此 ̄ノ方 ̄ヲ_一 洗 ̄コト一-年目力如 ̄シ_二童子 ̄ノ_一録 ̄ルコト_レ之如 ̄シ_レ左 ̄ノ  《割書:まいとしりつとうの日くわのは百二十まいをとりてかげ》  毎年立冬の日採_二桑葉_一 一百二十片懸_二  《割書:ぼしにしてまいつき十まいづゝ水一はい入八分に》  風處_一令_二自乾_一毎月用_二 十片水一椀_一  《割書:どびんにてせんじかすをすてあたゝめあらふ目をあらふ》  於_二砂罐_一内煎至_レ 八分去_レ渣温洗毎_レ  《割書:日はすいぶん身をきよくつゝしみねぎわけぎのるい酒にをいむべし》  洗_レ眼日清浄斎戒忌_一【二ヵ】葷酒_一  正月初五日 二月一日  三月五日  四月八日  五月五日  六月七日  七月七日  八月八日  九月卅日 月小則 廿九日  十月十日  十一月十日 十二月朔日      右 右洗眼之日限必不可為忽之也 人参保寿圓暑寒御用ひ候へは 格別功能あり功能弘メのため 右用中そへもの進上いたし候   一劑之求之方へは       八寸十人前   半劑の方へは       丼鉢壱   試之方へは       ふろしき壱     おはつて神前        保寿圓店 枠内 テリヤアカは和蘭人(おらんだじむ)懸命(けむめい)の寄品(きひん)我邦(わがくに)の人 専(もつはら)是(これ)迠 用ゆされは此(この)良劑(りようさい)は下 無双(ぶそう)と云へし予か家(いゑ)年(ねん) 来(らい)此 秘決(ひけつ)を傳(つたへ)へ其(その)製法(せいほう)を究(きわ)む故(かるかゆへ)より〳〵こゝろ見る に其 功(こう)また如神(しんのことし)仍之(これによつて)人のすゝめに応(おう)し其 薬品(やくいん)を精(せい) 選(せん)し是(これ)を練製(れんせい)して普(あまねく)世上(せしよう)に弘(ひろ)む誠(まこと)に長生(ちようせい)の 功能(こうのう)ある事 掌(たなこゝろ)を見るにひとしよく用てしるしを見たまへ 枠上段 耑治一切中毒(もつはらちすいつさいのどく) 五労七傷(ごろうしちしやう) 男女諸般労咳(なんによいろ〳〵のろうがい) 感冒(はやりかぜ) 傷寒(せうかん) 中風(ちうふう) 自汗(あせ) 盗汗(ねあせ) 瘧疾(きやく) 中暑(しよあたり) 霍乱(くわくらん) 痢病(りひやう) 山嵐瘒気(さんらんのせうき) 積聚(しやく) 怔忡(むなさわぎ) 頭眩(めまい) 衂血(はなぢ) 吐血(とけつ) 下血(げけつ) 心痛(しんつう) 腹痛(はらいたみ) 傷食(しよくあたり) 泄瀉(くだりはら) 胸鬱(むねつかへ) 痰飲(たんせき) 癲癇(てんかん) 大小便閉(たいせうべんつうぜす) 水腫(うき) 婦人径閉(おんなのけいへい) 産前産後諸疾(さんぜんさんごしよひよう) 諸悪獣虫螫毒(いろ〳〵のけものむしのさしたる) 毒箭傷(どくやのきす) 小児諸疾(せうにのしよひよう) 急慢驚風(きうまんきやうふう) 癖疾(かんかたかい) 痘瘡(はうさう)欲_レ出不_レ出 煩悶(もだへ)狂躁(くるい)者 ̄ノ及 ̄ヒ能 ̄ク令_二レ痘 ̄ヲ超-張_一 自_二発-熱_一至_二結□_一応用-_二之_一大勝 ̄ル_レ服 ̄ルニ_二諸湯薬 ̄ヲ_一 下段枠内 毎服二三分甚者一二銭 白湯(さゆ)送下 小児 ̄ハ一厘強至 ̄レ_二壱-分弱 ̄ニ_一 外治(くわいじには)焼酎(しうちう)或 麻油(こまのあぶら)溶化 ̄ノ敷_レ之 流行(はやり)病 煩(わすら)ふ家にゆくときはおの下にぬるべしうつる事なし   掛目  一両   價五文目 高麗橋三丁目       亀齢堂松生正民製  刻印 上段次枠 効能 第一打身 ■疵によし■虫の類■■■■■□□□□□□□□■■ ■■■■■■■■■■によし ■■■■■の□□□□□□□□□ しもやけ つはり■■■し■病人■■■■物の類■■■□□□□ 薬付やうおもての方をあつきゆにてあたゝめ■■■■■■■■■にてよくぬらし 張付る血出るに■■■■■■■■■■にはす■■■■■よし 世間■■■御■■能■御■■■御求メ可被下候御ひろう■■■ 本家 《割書:懐中■■|消■■痛》即効紙(そくこうし) 実製此■ハ国へ弘■■■■■家■きめうの良薬也 次枠 家秘 懐中即功紙 《割書:此薬用ひやうは疵相応に引さき|口中へ入とくとやわらけ付てよし》 唐人伝 きりきす ちとめたむし ひゝあかきれ しもやけ わらしこひ はなをすれ けがきすりむきけつへき たんのかたまり むしくひ はのいたみ 金石竹木のそけうちみ ほねいたみ かつけうるしまけ やいとのいへかねる づつう 一切名のしれぬとくむし いぬねこねずみ もろ〳〵のけたものかみたるによし手足すり むき其外一切はれをちらし功能多し略之▲右何れも けかしたる時そのまま用ゆへし即功あ事妙也此薬つけて そのうへかみもめんにてくゝるに及はす物にすれてもはるる事なし 本家 京都 永毛利道正庵  刻印 松 下段 《割書:口中薬|歯磨粉》 玉露散(きよくろさん) 一此玉露さん常に御用被成候へば  口ねつをさましあしきにほひをきり 一歯(は)の根(ね)をかため一生口中の病 忘(わす)るゝ  事妙也男女ともはをみがきそくざに  ゆきのごとく白くする事奇妙なり 一御つかひやう木のやうじに水を付此  粉(こ)を少し付て歯(は)をみかき水にて  よくすゝぎつねの通かね御つけ被  遊候へはうつくしき事玉のごとし  かねはげぬ事三十日請合申候 弘所    佐々木玉水堂 上段 《割書:家伝|秘方》記能丸(きのうぐわん)  洛西向日明神北寺戸村南条住 本家調合所 長谷川源八即製  刻印 長谷川 せんき妙薬     泉州岸和田  立効湯 代百文     円成寺製 一せんきせんしやくにて△かしらいたみ  △目いたみ△むねつかへ△はらはりくだり  いたみ△こしいたみ△きんはれつりいたみ  あしすぢつりいたむ等の証に一ふく  にて治する事妙なり男女共用てよし   売弘所  京御幸町四条  藤屋喜右衛門  江戸本町三丁目 近江屋兵助  大坂堺筋備後町 高三久兵衛  堺宿屋町大道  酢屋清兵衛 行者菅相小児虫一切一子相伝之 名灸家伯陽米府在皆生      樋口彦助殿 此度伊勢参詣之往来に付万人み たすけとして私宅に当月中留置 申候間小児虫煩之御方は御出可被成候已上   大川町御霊筋入口 卯四月 木屋卯右衛門  又閏十五日迄 下段 《割書:家伝|秘方》記能丸 一廻り代三匁五分 一第一 労咳(らうがい)労(らう)せき白痰(はくたん)又は痰(たん)に血(ち)ましり虚熱(きよねつ)  ねあせ右(みき)の症(せう)に用ひて大妙なり 一気積(きしやく)疝積(せんしやく)或(あるひ)は気もつれむねつかへ動悸(とうき)つよく  一切気より発(おこ)る病症(ひやうしやう)に用ひて神のことし 一婦人(ふしん)血の道ふめぐり目まひ立くらみ産前(さんせん)産後(さんご) 一小児 腗(ひ)かん疳積(かんしやく)其外 虫(むし)一通りに用ひて妙也  此御薬用ゆる時(とき)はいかていの病にてもすみやかに全  快(くわい)する事奇々妙々也又毎月月かしらに用ひ  置(をけ)は一切の病(やまひ)うけず 一予か先祖(せんぞ)諸人為助(しよにんたすけのため)とて多年(たねん)此道(このみち)にこゝろさし有て  其(その)病症(ひやうしやう)の名灸薬(めいきうやく)子孫(しそん)に伝来(てんらい)いたし置者(おくもの)也     用ひやう 朝すきはらに十五粒又八ツ時に同しよるふすまへに 同し以上一日に三度合て四十五粒さゆにて用ゆべし  諸薬食もつさし合なし    洛西向日明神より北寺戸村南条住  本家調合所 長谷川源八郎製  刻印長谷川 枠内 《割書:日本|無類》御ふくみ薬   《割書:もみの|ふくろに入》 此薬何によらす御口中一切の御いたみに用ひて即効をあら はし治る事きめう也もちひやうはそのいたむところへ 此くすりをあてゝふくみ候へば白きうみのやうなる物 ふくろに付出る是則口ねつなりそれをいく度も 取すてふくんでよし尤つばきははき出してよし しろきもの出やみ候へばいたみを治る事きめうなり又 ゆにて口をすゝぎふくむもよし▲のんどのいたみには つをのみこんでよし▲歯性あしき御方はつねに御ふく みなされ候へばゆるぐはをすへはのぬける事なし 食物一切さし合なし尤ひへたる食物をいむなり     大坂道修町三丁目       薬種問屋 本家調合所 紀伊国屋伊兵衛  刻印 山? 諸方取次所有之候能々御吟味御用可被下候 【上段枠内】 《割書:御|免》紋章《割書:家|傳》人参(にんしん)百奇圓(ひやくきゑん) 價 壱劑百目入   銀八匁 半廻分  銀弐匁   壱廻分三十目入 銀四匁 小半廻分 銀壱分    効能(かうのう) 〇 第一元陽(だいいちげんやう)を益(ます)心気(しんき)を養(やしな)ひ脾(ひ)胃(ゐ)を補(おきな)ふ 都而(すべて)虚分(きよふん)によし〇痰咳りういん別(べつ)して功(こう)あり腹(ふく) 痛(つう)によし○腹力(ふくりき)根気(こんき)眼力(がんりき)をつよくにし小便(せうべん)近(ちか)き によし〇のぼせを引下(ひきさげ)胸(むね)をすかし喰事(しよくこと)進(すゝみ)ざるによし 〇せんき積気(しやくき)にて腹合(ふくあひ)さし込(こみ)或(あるひ)は手足(てあし)腰(こし)の痛(いたむ) によし〇髪(かみ)のつやをいだし薄(うす)きは濃(こ)くなり〇 御婦人(ごふじん)血(ち)のみち月水(げつすい)滞(とゞこふり)によし〇御小児(おんせうに)五疳(ごかん) にてやせたるによし〇都而(すべて)虫症(むししやう)によろし〇 男女(なんによ)ともねあせによし又(また)は御(おん)身内(みうち)御手足(てあし)あれるに よし〇りんしつせうかちおこる事なし〇虚弱(きよしやく) なる御性分(ごしやうふん)御不断(ごふだん)被召上(めしあげられ)候はゝ時気(じき)の病(やまひ)を 受(うけ)ず長寿延命(ちやうじゆえんめい)神(しん)のごとし別而(べつして)暑中(しよちう)寒中(かんちう)に 御用ひ被遊候はゝ一入(ひとしほ)大功(たいこう)御座候 右之類(みぎのるい)御用ひありて其(その)功(こう)顕 然(せん)疑(うたが)ひなし 被■(??)上■■(???)可被下候 其外(そのほか)功能(こうのう)多(おほく)候得共 略之(これをりやくす) 右御用ひやう白湯(さゆ)にて昼夜(ちうや)に三四 度(たび)目方弐匁 程(ほと)つゝ御用ひ諸薬(しよやく)食物(しよくもつ)差合(さしあひ)■■■【無御座ヵ】候 鶴声散(くわくせいさん)《割書:ひゐをやしなひこゑいだしたんせき|りういんしやくつかへねびえによし|■〳〵御用ひ候はゞ気力をまし酒どく|■どくをけし二日ゑひによし》 龍玉丸(りうきよくぐわん)《割書:はらのいたみ一切の妙(めう)やく|しやくつかへむねのむかつき|其外 万病(まんびやう)によろしく候》 功徳丸(こうとくくわん)《割書:小児(せうに)虫(むし)はら五かんきやうふう|ふしよくきのふさぎさんぜんさんご|のぼせしやうかんしやうらうしやうひへ|しやう小児ちをあますによし》 《割書:四季|加減》風薬(かぜくすり)《割書:づつうたんせきさむけ|ねびへくわくらん二日ゑひによし》 【下段】 京都御宦医何某大先生伝来 俗に三日ころり ゑきれい除(よけ)御 薬法(やくほう) 《割書:青葉| 》藿香(くわかう)五分    益智(やくち)五分  丁子(てうじ)二分    麦芽(ばくげ)一匁五分 せんじやう      水三合入 二合半            二番三合入一合半 右御薬病ひおこらぬ内に毎日一服づゝ四五日も もちひ置ば腹中の邪気を払ひおこる事なし    施印 かじや町三ッ寺筋西南角  加茂川 【枠内】 《割書:りんひやう|せうかつ》 深井(ふかい)薬(くすり) 世(よ)に淋病(りんびやう)痟(せう)𤸎(かつ)を治(じ)する諸百家(しよひやくか)の売薬(はいやく)数多(あまた)有(あり)といへ共 実(じつ)に其(その)功(こう) 験(げん)の的中(てきちう)する事を聞ず茲(こゝに)予(よ)が製(せい)する所(ところ)の深井薬は往昔(むかし)唐医(とうゐ)王城武(わうしやうふ)と いへる人 直伝(じきでん)にして然(しか)も価(あたい)を論(ろん)ぜず薬品(やくひん)の至善(しぜん)を撰(えらみ)調合(てうごう)せしめ 年来(ねんらい)此病(このやまひ)に用ひ試(こゝろみる)に誠(まこと)に百 発(ほつ)百中 寄々(きゝ)妙々(みやう〳〵)の功(こう)験(げん)老若(らうにやく)を わかたず軽(かろ)きは二三廻にて治し重(おも)きも五七廻用るにいかやうの根深(ねふかき)病症 たりとも治せすといふ事なしたとへ二年三年此 病症(やまひ)にて諸薬 験(しるし)なきにも 五廻 程(ほど)用るにおゐては病の根(ね)をたち再(ふたゝび)発(おこる)事なく実に神仙(しんせん)の寄法(きほう)也 依而(よつて)今世上に流布(るふ)せしむ悩(なや)める人々用て試(こゝろみ)給へかしと云々 唐王城武像 【人物絵】 から人の むかしをしのふ 手向して つたはるのりを 猶ひろくせん 【絵の下枠内】 此御薬御用イ被成ニ おいては病治する事 必うたがふべからず万一 病イなをらぬせつは 代【金】御返進 可申候ゆへ御 ゑんりよなく 御出可被下候 【次枠】 気淋(きりん)《割書:小便(せうべん)不 通(つう)じにしてほと〳〵としたゝる也|尤 気(き)ゟ出ル病(やまひ)故(ゆへ)捨置(すておけ)バ六ヶ敷成ルべし》 石(せき)淋《割書:陰茎(さを)中 痛(いたみ)強(つよく)して小便出にくゝいかにも石 等(など)中に有やふに| 》 【上段枠内】 御薬(おくすり)求肥糖(きうひたう) 《割書:一斤代六匁|半斤代三匁| 其外御望次第》 加賀御所落雁(かがごしよらくがん) 《割書:御進物みな〴〵|御望次第指上申候》 右両品(みぎりようしな)暑寒(しよかん)御見舞(おんみまひ)用(よう)下直(げちき)ニ調進(てうしん)可仕候      大阪太左衛門橋八幡筋北西角 本家調合所 芝翫堂 加賀屋橋之助【印】 売弘所   □□□□□□□□ ■【雁ヵ】金堂    口上 一例年正月二日ゟ十日迠為御年玉  聊成添物仕候銀壱匁ゟ弐匁迠扇子  壱本同弐匁壱分ゟ四匁迠扇子弐本  其外金百疋迠者銀高に応し扇子  臺附にても差上申候多少にかぎらす  御用被仰付被下度奉希上候以上  但し歳旦画讃之扇子差上申候   月日   芝翫堂 《割書:大人|小児》 安腹 《割書:料定一匁|此度施減》 《割書:大人五分|幼人三分》 小児虫一切 つんほ   疳かたかい ほうそう ろうかい  はれやまい かつけ   ひへいたみ せんき   すんはく  しよふかん むね痛 かん病   ちんは   中風    はら一切 親三次事かいや丁筋からし町に住居療治披露致候罷跡之私 先祖五十年亡父十三回忌為相営之百日之間減料  当時住所我聟  のうにん橋弐丁目  中島や五郎兵衛と申質店に隠宅仕候   九月十一日より 中村ふし江 【下段】 石(せき)淋《割書:覚ゆる也右小石のようふなるもの小便ニまぜり出るなり》 膿(のう)淋《割書:此(これ)は淋の常(つね)ニして小便まぜり或は小便の後うみ出る也| 又はいたみつよくして余瀝(よれき)膿(うみ)ばかりいづるなり》 血(けつ)淋《割書:此(これ)は小便より血(ち)したゝる也もつともいたむなり| 後(のち)にはとりもちよう成ルうみに血まぜり出る也》 労(らう)淋《割書:此(これ)は労より出る也 或(あるひ)は房隠(ぼういん)を過(すごし)或はいたくニ働(はたらき)などいたし又は| 心配(しんぱい)などいたして後出る也此は膿も少シなれども何となく労(つかれ)強(つよし)》 右五名内第一 病(いたみ)薄(うす)く膿汁(のうじう)少々出候を労淋と申至而(いたつて)根深(ねぶか)き病底(やまひ) にて是其人の地病なる也右は淋病の労淋(らうりん)と御心へ可被成候 故(かるがゆへ)此 深井薬御用被成候共 急(きう)には治しがたし右は兼而御断申上置候其外 病底(やまい)は男女共 痛(いたみ)つよく難儀(なんぎ)なされ候御方には軽(かる)きはニ三廻り 重(おも)きは五七廻り御用ひ被成候ニおゐては其 功験(こうげん)矢(や)のことし誠(まこと)に壱人にても 病底治せずといふ事無之 故(ゆへ)呉々(くれ〴〵)も御うたがひなく御用可被成候 一廻り代三百文  半廻り代百五拾文 本家調合所 《割書:長崎浦|五嶋町◇元(げん)》深井源右衛門 《割書:従長崎|諸国江》 売弘所 《割書:大坂瓦町二丁目|八百屋町筋》《割書:淀屋|深井》源兵衛 【刻印 長崎深井浦住人】 【錦花丹】 【次枠】 功能 一第一きつけ    一胸膈を快くし 一のほせを下け   一たんせき一切 一頭つうはのいたみ 一口中を清くし 一さんせんさんこ  一しやくのつかえ 一酒のゑひさまし  一食しやう霍乱 一一切のゑつき   一一切はらのいたみ 常に用ゆる時は気根をまし 心身すこやかならしむ此外諸病に 用ひて其功をしるべし  天神橋南詰 森川快活堂 やねかんばんにからすある所 ひへしつ一切       ひらの町松や町角 【烏絵】 ひへ薬所      かわ又 のぼせ引さけ 右かうのうはみな〳〵御存之通やわらかな 御薬ゆへ御こゝろみ可被下候うけ合(あひ)申候 なを又十七日は六十文にてさし上 申候ゆへ御ためし可被下候  御薬 代百廿四文 毎月十七日半直だん 【上段枠内】 《割書:六味|八味》 地黄丸 主治 一腎径(じんけい)の虚損(きよそん)にて体(たい)痩(やせ)目(め)かすみ頭痛(づつう)衂血(はなぢ)出口(いでくち)かはき  舌痛(したいたみ)歯(は)いたみ耳(みみ)鳴(なり)とをく声(こへ)しはがれ咳(せき)平生(つね)にいで  立居(たちい)力(ちから)なく腰股(こしもゝ)のしびれ盗汗(ねあせ)やまず気閉(きふさがり)痰(たん)おほく  虚症(きよしやう)の■(?つ)や小便(せうべん)淋病(りんびやう)のごとく夜(よる)小便しけく或(あるひ)は肝気(かんき)  たかぶり常(つね)に動気(どうき)つよく筋(すじ)骨(ほね)引(ひき)つり痛(いたみ)あるひは常に  食物(しよくもつ)中(あたり)やすき症(しやう)其外(そのほか)婦人(ふじん)冷(ひへ)の諸病(しよびやう)に用ひてよし 一 此薬(このくすり)常に養生(やうじやう)に用(もちゆ)れば専(もつはら)腎精(じんせい)を益(ま)し陽道(やうだう)を壮(さかん)に  なす事(こと)余薬(よやく)の及(およぶ)所(ところ)にあらずよつて大人(たいじん)小児(せうに)一切の  虚症を補(おぎな)ひ諸(もろ〳〵)の病(やまひ)を生(せう)ずる事なし実(まこと)に万人  万応(まんおう)の妙劑(みようざい)なり用ひて後(のち)自(おのづから)知(し)るべし                味岡閑笑軒 【上段枠なし】 《割書:六味|八味》 地黄丸 服方(のみやう)《割書:さゆ塩ゆあたゝめ酒たんある人はせ□【うヵ】がゆ■|一日に三度二三匁ほとづゝまきはらニ■|大こんねぶか一時すぐればくるしからず》                   拙家(せつか)儀は味岡(みおか)三伯(さんはく)末孫(ばつそん)にて宝永(ほうえい)年中に 御当所へ薬種(くすり)店(みせ)開(ひらき)始(はじめ)候より恙(つつが)なく相続(さうぞく)仕大慶 不過之候依之 冥加(みようが)の為(ため)此度地黄丸薬種 元(もと)直段 製法(せいはふ)料(りやう)少々相くはえ相弘申候功能は各々方(いつれも) よく承知(ごぞんじ)の事に候然とも薬種(やくしゆ)悪(あし)く製法 麁(あら)く しては功能うすく候拙者今薬種は和漢の上品 を撰(ゑら)び製法は古人(こじん)の教方(おしへ)をいさゝかもたがへず謹(つつしんで) 精制(せい〳〵)調合(ちやうがふ)すること左のごとし 一地黄 《割書:大和大極上品を水に入しずみたるをゑらび柳のせいろうに|土のかまにて上酒にひたし九度むし用》 一茯苓 《割書:極上丸手皮をさりよく|しまりたるをゑらひ用》一山薬 《割書:極上くろみをさり白く|やはらかなるを用》 一山茱萸 《割書:唐大極品たねをさり|酒にひたし用》一沢瀉 《割書:上品あら皮をさりくろ|きをさり白きを用》 一牡丹皮 《割書:極上あらかはをさり|むして用》一みつ 《割書:くま野極上品を用》  右に附子肉桂を加て八味丸といふ 地黄丸功能 他薬(たやく)に勝(すぐ)るゝといへ共時節(じせつ)により 大 根(こん)ねぶかさし合ありて用ひがたき人は地黄 代(かわり)薬に黄精(わうせい)を用る家傳秘方ありて別段(べつだん)に 調合す功能地黄丸に異(かは)らざる妙劑(みようざい)なり 価  六味丸  百目代 四文目   六味黄精丸    八味丸  百目代 五匁五分  百目代四匁五分   大坂過書町せんだんの木西へ入 調合所 美玉屋太七 【下段枠外】 又取次さくらばし北つめ近■■ 【枠内】 髪はへ油 《割書:一貝 百文|半貝 四十八文》  功能 第一婦人つりはげいかやうにはげ候とも隔(かく)日に指(ゆび) にてよくすり付候へはかゆみを生ずこれかみのはへる しるしなり凢五十日斗りも付候へは地一面にはえる 事請合なをたへず付候へば次第にのびあつ くなる事ためししるべし 一生れ付かみうすき人又額はへさかり薄くして かつかうあしきかたは毎日〳〵つけ候へば日を立に したがひ生毛あつく也我おもふまゝにはへる事 請合しかし三十日位にては格別の功なし 凡百日にしておもひのまゝなるべし 一常々かみぬける人は毎朝〳〵くしのはにつけ すき候へはぬけるをとめ赤髪をくろくすちゞみ髪 のはし色つやをいだす事めうなり  右あらわす功能ためししるべししかし四十已上の  人はいかやうに付てもしるしなし世に売々するかみはへ  薬とは一かひにおもふ遍べからず 肥州 青山 紅桜花雲斎製 【刻印】 長崎 弘所 《割書:南新町弐丁目ぜん|なん筋西へ入》 中村屋弥助 取次所  どうとん堀ひの上橋東つめ 但馬や 久兵衛  かはら町なには橋南へ入  いつみや 喜兵衛  じゆんけい町心斎橋西へ入 松しまや 仙助  同さかいすじ西へ入    角倉 弥三郎   【李養生堂】 【枠内】 本堂今在姑蘇閶門外南濠 中水衖西口上岸閒張舗面 不惜工本處心修合以図久 遠毎張只取工費銀四分朔 望減価以期広行幸勿価廉廉 而軽忽之有負予之誠心矣 取者須認李養生堂庶不錯 悞特此謹白 【朔望減価】 【次枠】 本堂膏薬揀選道地葯品照方 修合発兌近有無耻之軰仮冐 本堂名色以仮膏薬招牌混予 発売不惟無効返悞清芬一片 婆心実為痛恨凡 士商賜顧 者須認明住處招牌印記庶不 有悞告白 【李清芬■製】 本家調合所    摂州今宮    山田文輔 枠内 鳳凰丸 一むねはらのつかへかたせなかのこり  気のふさくによし 一のぼせをさげづつうによし 一しやくせんきたんりういんむし一切  はらのいたみによし 一しよくしやう一切酒の二日ゑひによし 一くわくらんはきくだし又ははかずくだらず  大腹痛によし 一しぼりはらくだりはらによし 一小児驚風と吐(はき)病ひには生が湯にて用てよし 一急病気附によし   諸薬食物さしあひなし □六十四銅 《割書:摂|州|今|宮》鳳凰丸 【次枠】 【紋】鳳凰丸(ほうわうがん) 主治(こうのう) 価《割書:小包 三十二銅|大包 六十四銅》 【枠内】 癪痞(しやくつかへ) 気鬱(きうつ)  しやく○せんき○たん○りういん○しよくむねに  ありてくだらずいずれにてもむねはらにつかへ  かたせなかにこり気(き)分ふさぐにさゆにて用ゆ  べしつかへをさげ気分(きぶん)ひらく事 神(しん)のごとし 食傷(しよくしよう)   いかほどおもきしよくしやうにても治(じ)せざる事  なし〇酒のわるゑひ二日ゑひ魚(うを)鳥(とり)茸(たけ)るいのゑひ  さゆにて用ゆ其(その)功(こう)誠(まこと)に海内(かいだい)無双(ぶさう)の良方(りやうはう)なり 腹痛(はらいたみ) 霍乱(くはくらん)  むしはら〇食(しよく)もたれ〇りういんしやくいたみ或(あるひ)はせんき  むねはらのいたみ一切にさゆにて用ひ即功(そくこう)あり霍乱(くはくらん)  吐下(はきくだし)又ははかず下(くだら)ず大(だい)腹痛(ふくつう)心煩(しんはん)するものに妙なり 疳疾(かんしつ) 驚風(きやうふう)  小児(せうに)五かん〇きやうふうには生(せう)がゆにて用ゆべし  或(あるひ)は平日(つねに)乳(ちち)につけ又はさゆにて用ひよく五かんを  治(じ)したいどくを下(くだ)し成長(せいちやう)の後(のち)無病(むびやう)壮健(そうけん)なり 気附(きつけ) 旅行(たびゆき)必要(ちやうほう)  めまひ〇立ぐらみ一切の気(き)つけに用ひ奇々妙々(きゝめう〳〵)なり  たびゆきの時(とき)かならずたくわへ朝夕(あさゆう)一りうつゝ用い  て雨湿(うしつ)をはらひ水のかはりのうれひなくもろ〳〵  のどくをけす事 実(じつ)に重宝(ちやうほう)の良薬(りやうやく)なり 此薬(このくすり)は腸胃(ちやうい)を順和(じゆんくは)し飲食(いんしよく)を進(すゝ)むる良剤(りやうざい)也 食(しよく)よく百 骸(かい)をやし なふ時は精力(せいりき)をます事うたがひなしくわしくは能書にしるす   諸薬さし合なし 《割書:御|免》調合所 摂州今宮 山田文輔【刻印】 紋 鳳凰丸(ほうわうぐわん) 主治 価 《割書:小包 三十二銅|大包 六十四銅》                       癪痞(しやくつかへ) 腹痛(はらのいたみ)  五積(ごしやく)一 切(さい)〇痰咳(たんせき)〇留飲(りういん)〇宿食(しよくつかへ)〇疝気(せんき)〇蚘虫(くわいちう)其外(そのほか)   何(なに)によらずはらのいたみ一 切(さい)むねにつかへ肩(かた)脊中(せなか)へこり  気(き)をふさぎ物毎(ものごと)に退屈(たいくつ)しやすき症(せう)用ひて即座(そくさ)に  気鬱(きうつ)をひらき精神(せいしん)ほがらかになる事 神(しん)のごとし 食傷(しやくしやう)  食(しよく)にやぶらるれは腹痛(はらいたみ)吐瀉(はきくだし)或は一身(そうみ)に斑(わん)を発(はつ)しおもきに  至(いた)りては吐血(ちをはき)絶脈(みやくたへる)の症(せう)に至(いた)る速(すみやか)に此薬を用(もち)ひ食毒(しよくどく)をけすべし  愈(いへ)て後(のち)も五六日も必々(かならず〳〵)用ゆべし毒(どく)のこり害(がい)をなす事(こと)なし或(あるひ)は  酒(さけ)のわるゑひ二日ゑひ魚(うを)鳥(とり)茸(たけ)るいのゑひ其外(そのほか)諸毒(しよどく)にあたりたるに  速功(そくこう)ある事 誠(まこと)に海内(かいだい)無双(ふさう)の神方(しんはう)なり其(その)功(こう)用ひてしるべし 霍乱(くはくらん)  くわくらんは暑邪(しよしや)内(うち)にふくし飲食(いんしよく)の和(くわ)せざるよりおこる  腹痛(ふくつう)吐瀉(としや)するは湿(しつ)霍乱(くわくらん)也 吐(はか)ず下(くだら)ず大(だい)腹痛(ふくつう)煩悶(はんもん)」するものは  干(かん)霍乱(くわくらん)也右二 症(せう)とも病(やまひ)の軽(かろき)重(おもき)によりニ三粒(りう)より五六粒(りう)用ひて神功(しんこう)あり 疳疾(かんしつ) 驚風(きやうふう)  小児(せうに)五かん驚風(きやうふう)は胎毒(たいどく)さらさるに乳食(にうしよく)を過(すご)し順(じゆん)和(くわ)せざるより  おこる慢(まん)驚風(きやうふう)に至(いたつ)ては諸薬(しよやく)の功(こう)なし平日(つねに)此薬を用(もち)ひ置時(おきとき)は  胎毒(たいどく)をさり胃中(いちう)を消化(こな)し成長(せいちやう)の後(のち)無病(むひゃう)長寿(てうじゆ)なり 旅行(りよこう)必要(ひつよう)  旅行(たびゆき)には必(かならず)たくわへ持(もつ)べしめまひ立(たち)ぐらみ第一(だいゝち)気付(きつけ)の功(こう)をあら  わす事 奇々妙(きゝめう〳〵)也 殊(こと)に旅行(たび)すれば何(なに)となく腹痛(はらいたみ)瀉下(くだし)する  事(こと)あり朝夕(あさゆう)用(もち)ゆべし水のかわり患(うれ)ひなく船(ふね)駕(かご)に酔(ゑわ)ざる事 妙(めう)なり 夫(それ)元気(げんき)旺衰(わうすい)すれは風寒(ふうかん)暑濕(しよしつ)におかされやすく気(き)みぢかくものにあき 手足(てあし)冷(ひへ)のぼせつよく皮(かわ)膚(はだへ)にうるほひなく耳(みゝ)眼(め)とも力(ちから)うすし此症(このせう)は 元気(げんき)のおとろへ也 是(これ)皆(みな)腸(ちやう)胃(い)順環(じゆんくわん)せず飲食(いんしよく)百骸(ひやくがい)をめぐらざるゆへなり 此薬は胃中(いちう)をよく調化(ちやうくわ)し能(よく)食(しよく)をすゝむる神方(しんはう)なりよつて一身(いつしん)の精力(せいりき) をまし気血(きけつ)をおぎなひ根気(こんき)をつよくし百病(ひやくびやう)発(はつ)せざる良劑(りやうざい)なり 御免調合所  摂州今宮 山田文輔製 【刻印】 【上段枠外】 味岡氏相伝 たんのめうやくもろ〳〵のせきに用ひてそくさにきく事大妙也 【枠内】 【紋】《割書:仙|方》たん一切(いつさい)の妙(めう)薬 《割書:小包 二十四文|中包 四十八文|大包 百文》 一百 病(びやう)はもとたんより生(せう)ずるものなり〇たんにせん湯(とう)  ねりやくを用ひて治(ぢ)する事まれなる此薬はたとへ五年  十年いかほど年久しく治せざるたんニ而も病の年数(ねんすう)に  応(をう)じ用ひて治(ぢ)する事 請合(うけあひ)なり其外用ひて一(いつ) 切(さい)のたん病を治するの要薬(ようやく)なり 一たん膈(かく)に用ひて立処(たちところ)に効(かう)をあらはす事請合なり 一たんあつまりて頭(かしら)面(かほ)首(くび)ほうなどかたまりてるいれきの  ごとくになるに用ひてよし 一たんのんどにあつまりてこへいでずむねわき痛(いたむ)によし 一たんにて頭痛(づつう)目(め)まひするに常(つね)に用てよし 一いかほとつよきぜんそくにても此薬用る時はたち処におさ  まることきめうなり 一いかほどちゝほそき女中(じよちう)にても用ひてちゝ出ることめう也  但しさんぜんさんごにても用てよし 一三四年もたんせきかうじてむねいたむにあまたの薬  用ひてしるしなきに此薬一廻にて功をあらはさずと  いふことなし 一小児たんにてのんどせりつき又はせきいづるに白ざたう  少しくはへ用ひてよしす   但し此くすり小づゝみを二 度(ど)にあたゝめ酒(さけ)又はさゆにて   御用ひ可被成候右御薬一 廻(まわり)分一日中包一ふくつゝ七日御用   可被成候食物何にてもさし合なし      大坂道修町五丁目 本家調合所 泉屋弥右衛門【刻印泉弥】 京都売弘所 四條長刀鉾町 いづゝや弥兵衛 【枠外】 所々宿々出し置申候間御用之節は紋を 目印に御求可被下候 【次枠】 《割書:秘|伝》打身(うちみ)骨違(ほねちがひ)薬(くすり)《割書:一包| 》二十四銅  一うち身    一くじき  一骨をれ候ても 一すじちがひ  一つきゆび   一つきうで  一そらで    一かつけ 此御くすりこうのうの義はたとへ骨おれ くだけ候共又はいかやうのけがにてもたちまち いたみをやわらげ治する事うけ合なり 但し此御くすりはもみ引直しなしほね ちがひのりやうぢいらず治する事妙なる也 こうのう無之候はゝ包紙御そへ御もどし可 被成候尤此御薬にて治してのち暑■■ても ふたたびおこる事はなし   一付やうは此御薬を酢にてよくねりいたみ所へぬり付    其上よりむし紙をふたして置べしすなくは水でもくくるしからす   但此御くすり仏神にけがれなし      大坂北久宝寺町壱丁目濱 本家調合所 塩屋与三兵衛製 【下段枠内】 《割書:一流|家伝》口中薬《割書:一劑八匁六分|半劑四匁三分|一貼六十四文|半貼三十二文》 胃熱(いねつ)気熱(きねつ)歯熱(はねつ)にて口中に虫歯(むしば)のいたみを なすときはこのくすり白湯(さゆ)にてふくみのみ下し 又いたみ甚(はなはだ)しきには肉(はにく)につけて治す事妙なり 口癰(こうよう)口瘡(こうさう)舌瘡(せつさう)にてはくきうみいて腫(はれ)いたむには右のくすりさゆにて用ひてよし のんど腫物(しゆもつ)にていたみ口中にあしき匂(にほ)ひを 生し気熱(きねつ)にてのんどふさがりいたむには いづれも右のくすり白湯(さゆ)にてふくみて 治する事 神(しん)のごとし さんぜんさんご口中(くち)のいたみに用ひてよし   禁物(いみもの)  酢 黒砂糖(くろさとう) あめ  ほうれん草(さう) つるしがき 御免 口中一切療治所 【紋】  《割書:男|女》入ば細工所   大坂道頓堀大西芝居少西南側 調合 藤井平治製 【次枠】 《割書:南蛮(なんばん)|秘方(ひはう)》打身(うちみ)骨違(ほねちがい)呑薬(のみくすり) 一せんじよう一ふくを三どにせんじ  度々に文銭一文つゝ取かへ御入御せんじ  可被成候一ばん中ちやわんに水三ばい  入ニはいにせんじ二ばん二はい入一はい  半三ばん一はい半入一はいにせんじ  御用ひ可被成候   大坂東堀北久ほうじ町壱丁目はま 調合所 塩屋与三兵衛製 【上段枠内】 【紋 扇に日の丸】如神丸 《割書:一ふく| 》二十五銭 第一りびやう あかはら  しらはら   さはら  しぶりはら はらの痛(いたみ)   惣じてはら一さひによし 抑(そも〳〵)此御薬は往昔(むかし)元禄(げんろく)年中(ねんちう)より於当所 うり弘来候 妙劑(めうざい)にて効能(こうのう)世の人のしる所なり 就中(なかんづく)いかほど六ツかしき痢(り)びやうにて度(と)かす 重(おも)り候とも此御薬御用ひなされ候へば忽(たち)まち いたみしぶりをとめ度数(どかず)をへらし全快(ぜんくわい)致 こと神のごとし尤(もつとも)世けんにりひやう薬も 有之候へどもたゞ下痢(くだり)をとめるを主治(こうのう)といたし 候ゆへかへつて大なる害(かひ)をなし候此御薬は 決してさやうのるいにてはこれなくいさゝかも さわりにならずして早(はや)く治するの妙法(めうはう)なり 近年(きんねん)近所に紛敷(まぎらはしき)るい薬(やく)数多(あまた)有之 其上 扇屋(あふぎや)薬ととなへ売出し候方も有之候元来 扇屋薬と唱(とな)へ売弘来候は昔より此方 一家(いつか)に かぎり候別して此度 薬味(やくみ)相改 極品(ごくひん)をゑらみ 製法(せいはふ)いたし売弘申候間 名所(なところ)きんみの上 御もとめ可被下候已上何れもさゆにて用ゆべし 但し さん前さんごかまひなし    諸薬さしあひなし 本家扇屋薬 《割書:大阪道修町五丁目|淀屋橋筋北へ入東がわ》  如神丸調合所 宗也製 如神丸大人は《割書:壱服を一度用ゆる|小児七才迄は弐度用ゆる|但しさゆニて用ゆる》 あかはらしらはらさはらいづれの はらにも用てたちまちによし第一 いたみをとむる事妙なり大びやうの りびやうにさま〳〵せんやく用てもはらの いたみとまらずしぶりつよく候に此薬い たみしぶりをとめ度数をへらし申ゆへ くたびれずはやくほんぷくいたし候 いづれのせんやくにも少もかまひ申 さず候惣じてりびやうはむりにとめ候へば あしきものにかへども此薬は少もあし きと申事なく其のうきめうふし きなる薬也つねのさはらくだりには 半粒用てとまり申なり 大坂道修町五丁目淀屋橋筋北横町 さんぜんさんごにかまひなし 宗也【印】 ■■し薬の外ニあ■ひ薬 ■し■り薬有之候而も此方は 取次所ニて御求可被下候此■ ■り人一切出し可申候 南都ゑん■ゆ坊【印】 王明■目薬 南都■振 伊せやゑしゆん 御歯薬 代廿四文 《割書:阿弥陀|伝来》御歯薬 第一はのいたみはの根(ね)はれいたむニよし口ねつはくさ 歯うきうごくによし口中ふき出ものによし  右 何(いづ)れもふくみてよし常々(つね〴〵)夜々ふくみて日  久しき時はうごく歯をすへかたくなる事  妙なり腹中(はら)に入てもくるしからず 右ふくみやうは此 薬(くすり)をはぐきとほうとの間(あいだ)に はさみおくなりしばらくして口中よりうみ 或(あるい)は血(ち)或は虫(むし)など出ること妙なり   大阪道修町一丁目 紀伊国屋卯兵衛製【印】 【枠内】 一むねのいたみ 腰(こし)のいたみ せなかのいたみ  惣(そう)じてとゞこふりいたむ所(ところ)へはりてよし 一 積気(しやくき)にてつかへいたみ或(あるひ)はふさがるには其所(そのところ)  にはりてよし 一 歯(は)のいたみには痛(いた)む所(ところ)の外(そと)にはりてよし 右(みぎ)一切(いつさい)火(ひ)にあぶり紙(かみ)にのばし用(もち)ゆいたみ止(とど)まり 滞(とゞこふり)散(さん)ずれば自然(しぜん)とはなるゝなり或(あるひ)はかゆみ出(いで) かきやぶり水など出(いず)れば尚更(なおさら)に其(その)功(こう)すみやかなり   但(たゞ)し腫物(しゆもつ)切疵(きりきず)にはいむべし 【枠下】  一貝二十四銅 大坂梶木町  天川屋長右衛門製【刻印?川】  通神膏 【刻印 劑工??】 一粒金丹  奥州津軽医官    手塚春亮 【刻印??之印】【印】 此薬 本藩の秘方にして世間名を同しくするものゝ 類にあらされは 本藩の医といへとも許しなき 者は私に製することを得ず然に近来猥に■偽して 秘方を犯すものあり故に此度能書を改め印章を 以て世間同名異方のものに別つ能書の印章と 此名前なきは 本藩秘方の製にあらす  文化十一年甲戌夏四月 【下段氏名】 矢嶌玄碩 中丸昌貞 古郡道作 小野道瑛 松山玄三 湯浅養仙 廣瀬養甫 伊東春昌 菊池玄屯 石黒玄和 手塚春亮 伊嵜敬菴 和田友輔 渋江道純 平治養敬 《割書:家|方》和気丸(うちみのくすり) 一包代百文 一打身(うちみ)一切(いつさい)に妙(めう)なり五年十年 乃至(ないし)年立(としたち)候打身にても用ひてねをきらずといふことなし小児(ことも)又は身しはき人は五りうを二 度(ど)に御用いなさるべ候■■  ほねくだけをれ候とも早速(さつそく)用ひ候へば治(ぢ)せずといふことなし手負(てをい)の者(もの)胴(どう)に血(ち)をは候とも此薬を用ひ候へばりうぢにかゝり申候     用ひやう 一 早朝(さうてう)すきはらに茶(ちや)の出(で)ばなにて五りうをかみくだかず丸(まる)のみに一 度(ど)に用ゆべし半時(はんとき)ばかりすぎ候へば腹痛(はらいたみ)いだし色(いろ)付(つき)たる大べん打身の多少(たせう)ほど くだり候へばねを切(きる)こと妙(めう)なりつよき打身の人は大べんけつして通(つう)じがたきものなり一ふく用ひて大べんつうずることなくはニ三ぶくも用ゆべし大べんのつうじざる うちは薬の功(こう)なしたとひかるき打身にても年数(ねんすう)たち候うちみは三四ふくも用ゆるがよし打身くじきともに用ひて即功(そつこう)あることあげてかぞへがたし打身にて なきいたみのある人は何(なに)ほど用ひ候ても腹(はら)くだらず尤(もつとも)外(ほか)の病(やまひ)にさし合なし持病(ぢびやう)にしやくつかへせんきなとある人は用ひてすこし動(どう)ずることもあるべしすこしも くるしからず動(どう)ずるほど薬のめぐりよきと心(こころ)へべし食事(しよくじ)は小 一時(ひととき)も過(すぎ)てたべてよし薬の気(き)つよきゆへにむしはやき人はときやくする人にある ゆへに丸薬とくとおさまりて後(のち)食事するがよし出(で)ばなの茶をさますかすこしぬるくして五りうを一 度(ど)にのむべし薬のみにて後(のち)身(み)もだへをせず 身をやすらかにして腹(はら)のいたむを待(まつ)べしくだるたびにいたみうすへなるなり但(ただ)しはらみ女にはかたくいむべし  毒忌(どくいみ) 青葉(あをは)のるい あぶらけのるい 些 色(いろ)薬用ひ候一日はかたくいむべし 此薬用ひ候日より七日のうちは外の薬かうやく御用ひ候事かたく御無用(こむやう)たるべし打身の人薬用ゆるときは何時(なんとき)にかぎらず茶にて もちゆべしもちろんかうやくはりてあらばとりてのむべし 一 婦人(をんな)の月水不順(つきのものふじゆん)あるひは毎度(まいと)腹(はら)いたみ腹(はら)にかたまり生(せう)ずるのるいに用ゆ此症(このしやう)はいたつてしつこきものにて心(こころ)長(なが)く一ふくづゝ二日ももちひ 毎度(まいど)用ゆれば自然(しせん)とかたまりとけて月水(つきのもの)も順(じゆん)よくなるなり此薬を用ひて此 功(かう)をおぼへし人 傳(つた)へしゆへこれらの功能(かうのう)をしかぬ猟(りやう)は 鳥(とり)がをしゆるとはかゝる事をいふにやこゝろながく数(す)ふくをもちひざれば功能(こうのう)しれがたし 一 男女(なんによ)のりんびやうせうかつによしあるひは頭(かしら)瘡(くさ)年々(とし〳〵)毎(ごと)に出(いで)てうみつよく髪(かみ)の毛(け)とぢ付(つき)てなんぎの人に用(もち)ゆれば自然(しぜん)とうみすくなくつう〳〵と かはきかさふたとれて治(じ)するなり皆(みな)これ胎毒(たいどく)のわさにてかくのごとく年々に悩(なやむ)むことなり二三日づゝ休(やすみ)て七八ふくも用ゆべし数(す)ふく用ゆれば自然(しせん)と 胎(たい)どくをさりその功(かう)すみやかなり 一湿毒(しつどく)に用ひてよし打身に用ゆる通(とをり)茶(ちや)の出(で)ばなにて用ゆ二日つゞけて用ひ又(また)二日も休(やすみ)て用ゆる事(こと)十六七ふくも用ひざればしるし見へが□□■■■ すふく用ひされば毒気(どくき)さりがたし心ながく用ひて根(ね)を切(き)ること妙(めう)なり勿論(もちろん)此薬うちみ一トとをりに用ひ来(きた)りしに近来(ちかころ)しきりにしつ■くにもち ゆる人多(をゝ)くこうをなす事速(すみやか)なるゆへに能書(のうがき)をかきたして功能(こうのう)をしらしむ血(けつ)どくのるいは一トみちのことなれば世(よ)の人の用ゆることも■■なる事(こと)なり 一ある人のいひしは此丸薬を癩病(らいびやう)に用ひて甚(はなはだ)功験(こうげん)あり用ひやうは毎日(まいにち)一ふくづゝ二日用ひて一日 休(やす)み又(また)一ふくづゝ二日用ひ如此して凡二三十ふく ばかり用ゆれば次第(しだい)に顔色(がんしよく)よくなりて眉毛(まゆげ)などもうす〳〵と毛(け)はへ出(いで)てしだいに快(こころ)よきゆへ月(つき)毎(こと)に一ふくづゝ二三年も用ひしよしと 或(ある)出家(しゆけ)のはなしたまふよしを予(よ)につげぬしかし此事(このこと)は家伝来(かでんらい)にかつて見へずさりながら悪血(あくけつ)のなすことなれば用ゆること無理(むり)とはいひがた し先(まづ)癩病(らいびやう)は治しかたきものといへりしかしかくのごとく心(こころ)ながくすふくを用ひはきはめて功能(こうのう)もあらんか此(この)功能(こうのう)は伝来(でんらい)なきことゆへ此方(このほう)■■は しゐてすゝめがたしさりながら難病(なんひやう)の人間(にんげん)一人すたるをすくう事なれば人為なる功験(かうけん)なり用ひてはみたきものなり用ゆかたは 其(その)人の心まかせにしたまへと云爾(しかいふ) 宝暦四甲戌春弘之同六丙子秋能書改天明七丁未秋功能増補而改之  本家調合所  京都四條通室町東エ入ル町              山中氏  刻印????   売弘所      江戸鍛冶橋御門之外              大坂屋庄左衛門 京都はもちろん他国とも売リ子一人も出し不申候朱印御吟味候はば?求可被下候 【枠内】 しらがの薬功能 壱貝代 四十八文 世にしらがそめぐすりととなへて売(うり)ひろむるもの多(おゝ)し その功能(かうのふ)書(かき)にいはくひとたびつけてのちふたゝびしらがになる ことなしと夫(そ)はしるしなきそらごとにぞありけるわか ひろむるところのしらが薬(くすり)はこれらのものにあらずひと たびつけ用(もち)ひぬればたちまちしらがをしてくろかみと するのみか日(ひ)を経(へ)てのちまたもとのしらがになさんとて お六のこまかなるくしにてすきとりたまふとても中(なか)々 しらがになるといふことなしこの薬 秘(ひ)してひろめずとい へともこう人 門前(もんぜん)に市(いち)をなすにいたればいまは世にひろめ よと人々のすゝむるにぞこたひあたいをきはめて売(うり) ひろむることになりぬつけ用(もち)ひやうはすぢたてにて 髪(かみ)をすこしあげゐてはだのよごれぬやうにはけにてつけ たまへかし多(おゝ)くつけたまへばみぐるし又(また)髪(かみ)あつき御方(おんかた)は 多(おゝ)くつけてよくすきたまひたるもよし十日めあるひは 廿日めに一度(いちど)つゝかくのごとくして月日(つきひ)へぬれはのち はしらがこと〳〵くへんじあるひはぬけ□てくろかみになる ことふしぎともいふへし此(この)薬 月(つき)にまし年(とし)にさかゑて世に ひろまらば日(ひ)の本(もと)ひろしといへどのちは海内(かいたい)地(ち)をはらふてし らがつむりといふことなくなりなんことしるへし まことに人をしてわかやかしむるの仙方南判 本家 《割書:京富小路|松原上町》 井筒屋八兵衛製 取次所 大坂天満鳥井西角 和泉屋久兵衛  つけてはげぬしらがの薬 【次枠】 家伝順気散 一 産前(さんぜん)産後(さんご)血(ち)の道(みち)によし産(さん)の時(とき)善悪(ぜんあく)をとはずニ三 度(ど)用(もち)  ひて母子(ぼし)ともに安体(あんたい)也(なり)産屋(さんや)の中(うち)居(ゐ)なをり帯(おび)をしかへ  るにその前(まへ)に此薬(このくすり)を用て血(ち)の道(みち)発(おこ)らざる也 一 難産(なんざん)色々(いろ〳〵)悪症(あくしやう)有之(これあり)二三日 産(さん)する事あたはず難儀(なんぎ)に  及ぶとも此薬(このくすり)用(もちひ)て奇妙(きみやう)平産(へいさん)也 一 気鬱(きのつき) 上気(じやうき) 目眩(めまひ) 眩暈(たちくらみ) 頭痛(づつう) 土用(どよう)八専(はつせん)にあたり煩(わづらひ)  老若(らうにやく)男女(なんによ)ともに用てよし 一手負(ておい)血留(ちどめ)に妙(みやう)也 血(ち)を納(おさ)め気(き)正(ただ)しく成(なる)居(ゐ)なをり帯(おび)を  しかへるにその前方用て血(ち)はしらず 一 物(もの)にうたれ高(たか)き所(ところ)より落(おち)又(また)落馬(らくば)などにて身(み)を打(うち)て  難儀(なんぎ)に及(およ)ぶ時(とき)早速(さつそく)此薬(このくすり)用ゆべし以来(いらい)痛(いたみ)発(おこ)らざる也 右之 薬(くすり)何(いづれ)も薄茶(うすちや)一貼(いつふく)ほどづゝ熱湯(にへゆ)にかきたてゝ用ゆべし 不熱湯(ぬるゆ)は験気(げんき)なし故(このゆへ)に此薬(このくすり)を號(なづけ)てあつゆ薬と云(いふ) 第(たい)一 血(ち)を補(おぎな)ひめぐらし気をくだす事を功能(こうのう)とす婦人(をんな)の わづらひ色々(いろ〳〵)ありといへ共 気血(きけつ)よりは発(おこ)る事 多(おほ)し是(これ)に よりて女人(をんな)諸病(しよびやう)に用てよし委細(くはしく)記(しるす)にいとまあらず 神妙(しんめう)有功(うかう)の薬(くすり)也(なり)懐胎(くわいたい)の女人(をんな)ある家(いへ)には此薬 貯(たくは)へ 常(つね)に用べし   江戸本町一丁目常盤橋前 人参類品々小売仕候      日野屋孫八 外に痳病せうかちの妙薬御坐候 【大人咳之妙方】 きこうゑん  【四十八銅】   いちどに十四五つぶつゝ   あさ一どひる一どよる   一どさゆにてもちゆさゆ   なければちやにてもよし 下段枠内 〇一切たんの根をきり  ○せきをやめることめう也 〇むねをひらきこへをまし〇のどをうるほしいきをゆるめ 〇ひへせきにめう也   〇久しく■ほ■■せきによし 〇持病のたんせきによし 〇こへのかれたるを出す 〇小児のむしぜきニめう也〇ぜんそくにめう也 〇せきてよこねならずよるねることならぬによし 〇せきのぼせのといたみたんごろ〳〵いふにめう也 〇其外いづれの病にてもたんせきあるに用てよし 大坂《割書:かわら町ごりやうすじ|北へ半丁入西がは門のきは》きし岡 【次枠】 いかほどつよくいづるせきにても一ふくにてそつこうあり  〇此ぐはんやくはせきひさしくやまず半年も一年もひきしらいていろ〳〵薬(くすり)を もちひてもなをらざるにめう也  咳妙薬(せきのめうやく)《割書:半ぶく 四十八文|一ふく 百文》 風をひき又はひへの入にてせきつよくいでよこになるとのどこそばくなりよるひるともによこねならず せくたびにわきばらむねへひつぱりいたみたんきれかねせき入てゑつきたんをはきのぼせむねくるしきにめう也 【下枠の上】 ねりやくを のんでとま らぬせきに もちひて そつこう あり 【下枠の下】 こどものむしせきは なをりにくき もの也べつだんに ぐはんやくあり もちゆべし たちまち治(ぢ)す 【枠外】   大坂ごりやうすじかわら町北へ半丁入西がは門のきは きし岡 【枠内】   蘭法(らんほう)手術(しゆじつ)実心流(じつしんりう)導引(どういん) 一疝癇(せんかん)痰(たん)留飲(りういん)癪(しやく)不遂(ちうぶう)癱(てなへ)瘓(あしなへ)躄(いざり)女血症(おんなのちのみち)一 さい小児(せうに)五疳(ごかん)の症(しやう)此外(このほか)名(な)のつけがたき難症(なんびやう) 世(よ)に多(おゝ)くして医師(いし)は勿論(もちろん)奇法(きほう) 妙薬(めうやく)を用(もち)ゆると いへども其(その)功(しるし)なく長(ながく)くるしむ人 挙(あげ)てかぞへがたし依(よつて)予(よ)家(か) 傳(でん)の以手術(どういんをもつて)その病根(びやうこん)をもみやわらげ気血(きけつ)をめぐらし薬(くすり)を 導引(みちびき)日あらずして快気(くわいき)ならしむる事 各(おの〳〵)受(うけ)てしるべし 故(ゆへ)ニ諸人(しよにん)の一助(たすけ)にならんと人のすゝめにしたがひ披露(ひろう)致(いた)す 者なり尤(もつと)も病原(やまひのもと)を診察(みきはめ)服薬(ふくやく)すべき病症(びやうせう)はひろめの 為 薬料(やくりやう)薬店(くすりや)同様(なみ)にて調合(てうごう)いたし可進(しんづべく)候云々 朝卯の刻より八ツ時限り  びんご町東ぼり南へ入はま側 其外はかたく相断申候      盛玄【刻印 正?】 黴毒(ひへしつ)一切(いつさい)《割書:なにほど年(とし)へし難症(なんせう)にても治(なをる)不治(なをらぬ)を|見察(みわけ)うけ合(あい)の上(うへ)にて療治矣(りやうじす)》 白紙文字なし 【上段】 根源(こんげん)《割書:朝鮮(てうせん) 干牛丸(ひぎうぐはん)  《割書:壱貼 八十銅|半貼 四十銅》|秘伝(ひでん) 同練薬(おなじくねりやく) 《割書:百目 八匁|五十目 四匁》》  《割書:朝鮮|名方》人参奇応丸(にんじんきわうぐはん) 《割書:一服 百銅|半服 四十八銅》     《割書:かうのう包紙ニしるす| 》 此薬者(このくすりは)朝鮮国(てうせんこく)名医之家蔵而(めいいのかざうにして)世於優焉(よにすぐれたる) 神剤也(しんざいなり)常服之則(つねにふくすれば)使老為童(おひたるをわかやがし)身体壮健(しんたいすこやかに)行(ぎやう) 歩(ぶ)《振り仮名:如()_レ馳|たつしやに》潤骨髄(みをうるほし)黒毛髪(かみをくろくし)固歯牙(はをかたくし)於莫夭死(わかじにするの) 之憂矣(がいなし)寔可(まことに)云人家之至宝焉若在虚損(にんげんのいへのたからとするといふべし) 之人以欲補之則緩久於可(もしきよそんのひとおぎなひにのまんとおもはゞ)多服其効積(ゆる〳〵とおほくのみてよし) 日重月著也矣(そのしるしにち〳〵げんみへるなり) 一此くすり男女(なんによ)にかぎらず用(もち)ゆれば第一 脾胃(ひゐ)をとゝ  なふる事(こと)はなはだめうなり 一 脾胃(ひゐ)とゝなふゆへに気血(きけつ)をめぐらし中風(ちうふう)おこる事なし 一脾胃とゝなふゆへに腎水(じんすい)をまし膚(はだへ)をうるほし痩(やせ)たる人  に肉(にく)をつけ筋骨(すじほね)をさかんにする事(こと)めうなり 一脾胃とゝなふゆへに寒気(かんき)と暑気(しよき)にあたる事なし 一脾胃とゝなへば眼(め)かすまずみゝならず頭(づ)つうけんうんのぼせ  を引(ひき)さげこゝろはれやかになる事めうなり 一脾胃とゝなふゆへに食(しよく)をすゝめ一切(いつさい)ものあたりせず 一脾胃とゝなふゆへに全体(ぜんたい)すこやかなるによつてはやりやまひ  疫びやうをうけることなし 一脾胃とゝなひ下部(げぶ)あたゝまるゆへにべんしけきをやめ  寐(ね)にべんをとめる事はなはだめうなり 一脾胃とゝなふ故(ゆへ)腹下(はらくだ)るに用てしるし有事 神(しん)のごとし 一脾胃とゝなふゆへ持(し)びやうおこる事なし 一婦人 血(ち)の道 一切(いつさい)によし又は腰冷(こしひへ)月水不順(けいすいふじゆん)にて気(き)おもく  痩(やせ)おとろへぶら〳〵わづらふに用ひて大にめうなり 一 子(こ)なき女(おんな)に此くすりを用れば下部(げぶ)をあたゝめるゆへさつ  そくはらむ事うたがひなし 一 産前(さんぜん)に用ひて下部(げぶ)をあたゝむるゆへさんやすし産後(さんご)  に用ひて脾胃(ひゐ)をおぎなひ血(ち)をおさめ乳(ち)汁をおほく  出(いだ)す事めうなり 一 小児(せうに)に用ひて胎毒(だいどく)をくだし疱瘡(ほうさう)はしかをかろくし  むしを下し五疳(ごかん)を治すよつて心身(しん〳〵)すこやかなるゆへ  夜(よ)なきせず物(もの)ニ驚(おどろか)す流行病(はやりやまひ)をうえkず疫病(やくひやう)うくる事なし ○右(みぎ)之 外(ほか)かうのう書(かき)つくしがたしこゝに書処(かくところ)はわづかに九牛(きう〴〵)が  一毛(いちもう)をあらはすものなり能書(のうしよ)をもつてかんがへ満万びやう  に用ゆべし老若男女(らうにやくなんによ)一切(いつさい)病後(びやうご)に用ゆるときは元気(げんき)をまし  体をすこやかにするの妙剤(めうざい)なり   ○もちひやう ○朝昼夜(あさひるよる)と三 度(ど)すきはらにさゆ又はあたゝめさけにて一度  に三十りうほどづゝ用ゆべし ○小児(せうに)は其(その)としの数(かず)ほどづゝさゆにて用ゆべし ○ねりやくは【○】ほどにして一日に三度用てよし         食物(しよくもつ)よろづさし合(あひ)なし 大阪天満なには橋北詰一丁目西 対馬浜屋敷門口弘所【印】 根元弘所は当浜屋敷門口一家にかぎり候処きんらい やしき近辺に類薬おほく出来候間本弘所とくと ぎんみのうへ其真偽をたゞし求めらるべし 【下段】 《割書:朝|鮮》秘伝干牛丸   此丸薬第一 脾胃(ひゐ)を調え気を増(まし)   食を進メ筋骨(すぢほね)を強(つよ)くし行歩(ぎやうふ)を   健(すこやか)に諸虚(しよきよ)百 損(そん)を治ス良法也 一男女 脾胃(ひゐ)虚弱(きよじやく)にして常に腹中■  あかく或は渋(しぶ)り又は痛によし 一男女手足 冷腰(ひえこし)膝痿癖(ひざしびれなへ)或はいたみ  又は老人寒気に堪(たへ)ず通夜(よもすがら)小便  茂(しげ)く摎(しぶり)疼(いたみ)下ルによし 一 虚労(きよろう)虚熱(きよねつ)自汗(ひやあせ)盗汗(ねあせ)によし 一 婦人(ふじん)月水調らず腰膝(こしひざ)疼(いたみ)白血長  血或は下性(げしやう)冷衰(ひえおとろへ)て久敷 孕(はらむ)事  なき症によし 一小児一切 疳症(かんしやう)によし 一中風一切によし  右服法は酒又は素湯(さゆ)にて一度に  三十粒ツヽ一日ニ三度服すべし小児は  其年数 応(おう)すべし食物万差合なし  尤神前仏前けかれなし 夫朝鮮牛は無病(むひやう)壮健(そうけん)の黄牛を撰(ゑら)み 数月黒胡麻にて蓄養(かいやしなひ)肥膚(ひふ)潤(じゆん) 沢(たく)なるを待て此を屠(ほふる)則他牛に倍(ばい)せる 凡高位高官の外諸人供する事能はず 依_レ之 濫(みだり)に殺(ころ)す事を禁(きん)す故に値(あたい)も貴(たか)し 外にも牛肉有といへども精味異法の功能 同しからず世上此薬の名目所々に多し といへ共本 製(せい)の証跡を告(つぐ)る事しかり   大阪天満十一町目対馬屋鋪 調合所  舟越新七【印】 【看板】     朝鮮白鹿書 《割書:朝鮮|秘伝》 干牛丸   本家対馬屋敷舟越新七 【其下】 所はなにはばし北づめ三すじ西 対馬(つしま)はまやしき横町東(よこまちひかし)がは むかしより如此(かくのごとく)かんばん出(いだ)し有之(これあり)候 尤(もつとも)薬(くすり)上包(うはつゝみ)ニ 此(この)朱印(しゆいん)おし有之(これあり)候 間(あいだ)御 改(あらため)御もとめ可被下候 【朱印】 抑(そも〳〵)対馬屋敷(つしまやしき)より出(いで)候 干牛丸(ひぎうぐはん)の儀はゆへ有(あつ)て此方(このほう)一人にかぎり忝(かたじけなく)も看板(かんばん)被差免(さしゆるされ)根元(こんげん)売(うり) 弘(ひろ)め候 処(ところ)近年(きんねん)類名(るいめい)の薬(くすり)あまた出来(でき)甚(はなはだ)紛敷(まぎらしく)わけて御断(をんことはり)申候 予(よ)が家(いへ)に伝(つたは)る薬方(やくほう)は朝鮮人(てうせんじん)より 伝来(でんらい)一子相伝(いつしさうでん)にて他(た)のしる方(ほう)ニあらずも尤(もつとも)舟越新七の四字は対州公(たいしうこう)より拝領(はいれう)致候 名(な)なれば 猥(みだ)りニこれを類(るい)する事(こと)あるまじく候よつて当所(とうしよ)はもちろん諸国(しよこく)に出(いだ)し置(をき)候取次かんばんに至(いたる) まで右(みぎ)拝領(はいれう)の名字(なじ)しかと相(あひ)しるしこれあり候 間(あいだ)名印(ないん)等(とう)御改(をんあらた)め可被下候かつまた此方(このほう) 屋敷辺(やしきへん)にてひぎう丸(ぐはん)とばかり御尋(をんたづね)被成候てはきんべんよりおしへ人など出(で)本家(ほんけ)おしへ しんずべく抔(など)と外々(ほか〳〵)へつれ行(ゆき)候 事(こと)毎度(まいど)見きたり甚(はなはだ)紛敷(まぎらしく)御座候御 入用之節(いりようのせつ)は対馬屋敷(つしまやしき) 船越新七(ふなこししんしち)と名(な)を御たづね可被下候已上 一包八住八拾銅 半包四拾銅 ○此(この)丸薬(ぐわんやく)第一(だいいち)脾腎(ひじん)を調(とゝの)へ元気(げんき)をまし食(しよう)を進(すゝ)め筋骨(すぢほね)を強(つよ)くし行歩(ぎやうぶ)健(すこやか)ニ諸虚百損(しよきよひやくそん)を治(ぢする)良法(りやうほう)也 ○男女(なんによ)脾胃(ひい)虚弱(きよじやく)にして毎度(まいど)食(しよく)あたり不食(ふしよく)し腹(はら)くだり腹(はら)なり腹(はら)はる等(とう)ニよし○男女(なんによ)手足冷(てあしひへ)腰膝(こしひざ)  よはく又(また)は老人(らうじん)寒気(かんき)に不堪(たへず)終夜(よもすがら)小便(せうべん)しげく陰頭(いんとう)挙(あげ)らざる等ニよし○婦人(ふじん)月水(ぐはつすい)不調(とゝのはず)腰(こし)ひざ  痛(いたみ)白血(しらち)長血(ながち)或(あるひ)は下焦(げせう)冷衰(ひへをとろ)へて久敷(ひさしく)孕(はら)む事(こと)なき症(しやう)によし○産前産後(さんぜんさんご)産労(さんらう)によし ○虚労(きよらう)虚熱(きよねつ)自汗(ひやあせ)盗汗(ねあせ)抔(など)有(ある)ニよし○中風(ちうぶう)腫気(はれけ)痢病(りびやう)諸(もろ〳〵)の難症(なんしやう)他薬(たやく)を久敷(ひさしく)用(もち)ひて功(こう)なきよし ○小児(せうに)万病(まんびやう)ニよし凡(をよそ)小児(せうに)の病(やまひ)一切(いつさい)虚実(きよじつ)を不問(とはず)用(もち)ゆべし○大人(たいじん)小児(せうに)雀目(とりめ)一切(いつさい)虚眼(きよがん)によし ○諸病後(しよびやうご)元気(げんき)いまだ不服(ふくせず)痩(やせ)おとろへたるによし尤(もつとも)無病(むびやう)の人たり共(とも)常(つね)に服(ふく)すれば肌肉(きにく)を  生(しやう)じ血(ち)をまし気(き)をさかんにす是(これ)大に脾胃(ひい)を補養(ほよう)するがゆへなり  右(みぎ)服法(ふくほう)は酒(さけ)またはさゆにて一度(いちど)に三拾 粒(りう)ヅヽ服(ふく)すべし小児(せうに)は年(とし)の数(かず)に応(おう)ずべし  服薬(ふくやく)食物(しよくもつ)万(よろづ)差合(さしあひ)なし尤(もつとも)神前仏前(しんぜんぶつぜん)けがれなし 夫(それ)牛(ぎう)は諸薬(しよやく)ニ勝(すぐ)れ霊能(れいのう)有事(あること)本草(ほんざう)にも見(みへ)たり別而(べつして)朝鮮牛(てうせんぎう)は無病壮健(むびやうさうけん)の 黄牛(わうぎう)をゑらび数月(すげつ)黒胡麻(くろごま)にて畜養(かひやしな)ひ肌膚(きふ)潤沢(じゆんたく)なるを待(まち)て寒中(かんちう)に 屠渡(ほふりわた)し候(そろ)ニ付(つき)精味(せいみ)功能(こうのう)他牛(たぎう)の及(をよ)ぶ処(ところ)ニあらず依(よつ)て証跡(しやうせき)を告(つぐ)る事(こと)しかり 対州御免調合所 大坂天満拾壱丁目対馬屋敷 舟越新七製 【印】 《割書:朝鮮|秘伝》 加牛地黄丸    《割書:舟越新七製| 》 一剤箱入 代八匁 半剤   同四匁 小半剤  同弐匁 ○朝鮮(てうせん)の牛肉(ぎうにく)小うり仕候 【其下】 地黄丸(ぢわうぐはん)の儀(ぎ)は人々(ひと〴〵)知(し)る所(ところ)にして誠(まこと)ニ世(よ)の宝薬(たからくすり)也 然共(しかれども)日(ひ)をかさね 多服(たふく)せざれば其(その)功能(こうのう)遅(をそ)きもの也 予(よ)が家(いへ)の加牛地黄丸(かぎうぢわうぐはん)は朝鮮国(ていせんごく)の秘(ひ) 方(ほう)にて速功(そつこう)を取事(とること)妙(めう)也 尤(もつとも)加牛(かぎう)の外(ほか)ニ家(いへ)の秘薬(ひやく)等(とう)入(いれ)製方(せいほう)に甚(はなはだ)子細(しさい)有(あり)て 大根(だいこん)ねぶかの類(るい)さしかまひなく誠(まこと)ニ無二(むに)の妙剤(めうざい)也 尤(もつとも)地黄丸(ぢわうぐはん)は白髪(しらが)を生(しやう) ずといふ俗説(ぞくせつ)有(あり)誤(あやまり)也 此(この)ねり薬(やく)血(ち)を補(をぎな)ふ事(こと)専(もつはら)ならば白髪(しらが)を黒(くろ)く する事(こと)其理(そのり)明白(めいはく)なるもの也 大人(たいじん)小児(せうに)とも常々(つね〴〵)持薬(ぢやく)に用(もち)ひてよし別而(べつして) 暑寒(しよかん)の節(せつ)は其効(そのこう)神(しん)のごとし用(もち)ひやう并(ならび)ニ委敷(くわしく)功能(こうのう)別紙(べつし)ニ有之(これあり)候 第一さんせんさんこニ用てよし 半廻り分薬目正味壱匁五分入料百文 《割書:家|伝》 しらちなか血の御薬  摂州大坂江の小嶋西町 【(次コマ)】 【本家長門屋吉兵衛制】   御薬服法(おんくすりもちひやう) 一 此(この)くすり一廻分(ひとまはりぶん)もろはくのさけをあたゝめ一日(いちにち)に三 度(ど)ツヽ用ゆ おもきは右(みぎ)七日分を二日ニ用ひてよし尤(もつとも)半廻分(はんまはりぶん)は是(これ)に順(じゆん)ず 但(たゞし)さけにてたべがたきかたはさゆにさけを少(すこし)くわへて用ゆべしかくの 如(ごと)くさけにて用ゆといへどものみ汁(しる)の外(ほか)はさけをたべ申 事(こと)無用(むやう) 其外(そのほか)食物(しよくもつ)さし合(あい)なししかしちをりのする人(ひと)は左之通(さのとをり)をいむべし 一ゑび一たこ一いか一はつ一いわし一ちぬたい一しいたけ 【(次コマ)】 【一此くすりさんやくにて候 間(あいだ)かいをあけ申ときこほれ申】 【 さぬやうに御とりなやみしかるべく候】 【上部】 朱印 《割書:朝|鮮》 秘伝干牛丸 ○予が家に伝る加牛地黄丸は朝鮮国の  秘方にて速攻取事妙也尤加牛の外に 秘薬等入製方に子細有て大こんねぶか の類差かまひなく誠ニ無二の妙剤也 御望之方はくわしき能書可進候御 もとめ可被成候 ○突目■目の名方小児大人たりと□  あやまつて目をつく事有此薬管□  すくひて吹込べし忽治する事妙□  施薬(ほどこし)出し候何時にても可進候 【前コマ続き】 本家長門屋吉兵衛制 一此くすりさんやくにて候 間(あいだ)かいをあけ申ときこほれ申  さぬやうに御とりなやみしかるべく候 【上段】  太平丸主能一名人参掌露錠子 一中風ニよし中風は一度おこれは多くな治しかたきもの也  此丸薬常にのめは一生中風のおこる事なし 一時々に手足しびれ立居なやめるニよし 一せんき腰いたみ腹なりいたみひゆるニよし 一きよぶんの症又かんしかんしやうニよし 一かつけいたみ浮腫あるものニよし 一湿毒をよく解す骨いたみニよしとげてのむべし 一くわくらんニよし又一切のめまいたちくらみニよし 一食傷酒の酔のもちこし船かごにのりて胸あしき  すべてものにあたりたるニよし 一途中などに病症もわからず俄に気をうしない  打たをれ或は切疵矢疵鉄炮疵にてなやめる  たぐひすべて気つけニよし 一しやく一とふりつかれ気うつニよし 一腹のいたみ下りはらしぶりはらニよし 一婦人の諸病さん前さん後ニよし又月の  めぐりあしき女ニよし 一小児の急病驚風むしおさへニよし 一ほうそう山あげかねるニよしよけいにのますべし  ほうそうはしかの前にのませ置は軽かるべし 一毎朝此丸薬をのめば暑をさけ寒をふせく  邪気疫れいを受ず海にわたり山に入るものは猶更也 右何れも一度に廿粒ほどツヽさゆにてのむべし 病の軽重により日を重ね月を重ねてものむべし 小児はほうそうの外は五粒十粒にかぎるされど やまひの軽重をはかりのますべし      諸薬さしあふ事なし    其外毒虫のさしたるにしがみてつけ牛馬の病に    五十粒百粒計りくだきてのますべし奇妙ニよし 此薬第一体をすこやかにし気血をめぐらし五臓の不 足をとゝのへ万病にきくといへども是迄用て速に なをりし病のみをあげて主能とす薬をよく吟味し 製法に念を入我も信じてのみ人にものますべし   けい長とらの五月しるす 此(この)能書(のうがき)は往昔(むかし)より予(よ)が家(いへ)に書伝しまゝを 【下段】 【傘吉】《割書:家|伝》しらちなが血の御薬《割書:功|能》 ○凡(およそ)経水(けいすい)は月毎(つきごと)六日七日めぐるを常(つね)とするなり 爾有(しかる)を不止事(やまざること)十日も過(すぎ)半月(はんげつ)にも及(およ)び又(また)は月中(つきぢう)も 下(くだ)りて臭(にほひ)悪敷(あしき)もあり或(あるひは)経水(けいすい)久(ひさ)しく下(くだ)りて 後(のち)白水(しろみづ)のやうなるもの絶(たへ)ず下(おつ)るを治(じ)す ○経水(けいすい)めぐる度毎(たびごと)に腹痛(はらいたみ)或(あるひは)経水(けいすい)の色(いろ)紫黒(むらさきくろ)く 又(また)は淡白(うすしろ)く或(あるひは)五日十日づゝ前(まへ)より次第(しだい)に後(おくれ)月頭(つきかしら)になり 月末(つきずへ)になり或(あるひは)二三ヶ月(げつ)に一 度(ど)めぐりなどする症(しやう)あり初(はじめ)は何(なに) の悩(なやみ)も覚(おぼ)へねども是(これ)不順(ふじゆん)の兆也(もとひなり)早(はや)く此(この)薬(くすり)を服(のみ)てよし ○経水(けいすい)不順(ふじゆん)にして腫気(しゆき)を発(はつ)し或(あるひは)発熱(ねついで)頭痛(づつう)し 不進食(しよくすゝまず)又(また)は痩(やせ)衰(おとろ)へ或(あるひは)逆上(のぼせ)面浮(かほはれ)耳鳴(みゝなり)耳聾(みゝとをく)又(また)は 眼(め)あしく気鬱(きむつかしく)時々(とき〴〵)胸(むな)さき腰脊(こしせな)へさし込(こみ)四肢(てあし)拘(ひき) 攣(つり)痺(しびれ)又(また)は大便(だいべん)秘結(ひけつ)し或(あるひは)口舌咽喉(くちしたのんど)あれ歯痛(はいたみ) 悪臭出(あしきにほひいで)又(また)は手足頭面(てあしかしらかほ)等(とう)にふきで物(もの)或(あるひは)瘡(くさ)を生(しやう)じ 痒(かゆ)く又(また)は痛(いたみ)膿血(うみち)など流出(ながれいで)或(あるひは)玉門(ゐんもん)痒(かゆ)く又(また)腫痛(はれいたむ)によし ○血崩脱血(よぶんちをり)して眩暈(めまひたちぐらみ)顔色(かほいろ)あしく気空(きぬけ)し気(き)むらに なり又(また)久敷(ひさしく)しては髪落(かみぬけ)痿癖足(あしこしなへ)歩行不能(あるくことかなわざる)によし ○経水(けいすい)めぐりを違口(たがへくち)より出事(いづること)あり尤(もつとも)大事(だいじ) なり此(この)薬(くすり)一廻(ひとまわ)り分(ぶん)三日づゝに服(のみ)てよし ○年(とし)四十八九 歳(さい)に及(なり)ては大概(おゝかた)経水(けいすい)断(とまる)べきに五十 歳(さい) 過(すぎ)ても不止(とまらず)又(また)は一たんおさまりて三五 年(ねん)或(あるひは)十 年(ねん)も立(たち)て復(また)めぐりなどするによし ○経水(けいすい)久敷(ひさしく)滞(とゞこほり)腹(はら)硬(かたく)こばみ後(のち)には塊(かたまり)をなし世(よ)に言(いふ)亀(かめ) 腹(はら)の如(ごと)くなりては容易(たやすく)治(じ)がたし此(この)薬(くすり)一 回分(まわりぶん)を二日 づゝに用(もち)ひ日数(ひかず)久敷(ひさしく)服(ふく)せば其(その)功(こう)を得(ゑ)といふ事(こと)なし ○懐妊(くわいにん)の内(うち)胸(むね)つかへきみづを吐(はき)噫気(おくび)など出(いで)いろ〳〵 悩(なやみ)あるに用(もちひ)て胎(たい)を泰(やすん)じ安産(あんさん)する事(こと)うたがひなし ○産後(さんご)血(ち)のみち暈(めまひ)あとはらの痛(いたみ)胞衣(あとざん)のひかへを よく下(くだ)すなり其外(そのほか)産後(さんご)の諸病(しよびやう)によし ○産後(さんご)其(その)性分(しやうぶん)不相応(ふさうおう)に悪露(おりもの)すくなければいろ〳〵 病(やまひ)をなす此(この)薬(くすり)を服(のめ)ば後(のち)に至(いた)りて瘀血(おけつ)よりおこる病(やまひ)なし ○男女(なんによ)湿骨(しつほね)うづきに用(もちひ)て悪物(あしきもの)下(くだ)る人(ひと)もあり治(しす) る事(こと)妙(めう)なり或(あるひは)下疳(げかん)にも服(のみ)てよし ○男女(なんによ)下血(げけつ)五痔(ごじ)脱肛(だつこう)別而(べつして)はしり痔には即効(そくこう)有(あり) 【上段】 【(前コマ)】 【此(この)能書(のうがき)は往昔(むかし)より予(よ)が家(いへ)に書伝しまゝを】 記(しる)す世(よ)の売薬(ばいやく)と違(ちが)ひ能書(のうがき)に文(ぶん)を かざらず唯(たゞ)薬品(やくひん)をえ撰(えら)み製法(せいほう)正(たゞ)しくして 十(しう)■(〳〵)珍蔵(ちんざう)の良剤(りやうざい)なれば効能(かうのう)疑(うたが)ひなく 信(しん)じて用(もち)ひ給(たま)はゞ則(すなは)ち病家(びやうか)の幸(さいわ)ひ ならんと普(あまね)く世(よ)に弘(ひろむ)るもの也 《割書:慶長年中由緒ニ付 河内国河内郡豊浦村》 御免売弘所 中村四郎右衛門源正孝製 【印】      《割書:阿波座太郎助橋南詰西エ入》 大阪売弘所   阿波屋太郎助店 壱剤七匁 半剤三匁五分 壱服壱匁 【下段 前コマ続き】 ○淋病(りんびやう)しやうかち或(あるひは)夜(よる)小便(しやうべん)しげく又(また)は遺溺(よばり)に奇(き) 妙(めう)なり総(そう)じて男女(なんによ)ともひへよりおこりたる諸病(しよびやう)に用(もちひ)てよし ○此(この)薬(くすり)用(もちゆ)れば小瘡(こまかき)ものふき出(いで)又(また)は腹痛(はらいたみ)などする 人(ひと)もあり是(これ)則(すなわち)薬(くすり)的中(さうおう)のしるしなり ○右(みぎ)の類(るい)に是(これ)まで此(この)薬(くすり)用(もちひ)来(きた)れる所(ところ)いづれもぜ全快(ぜんくわい)せ ずといふことなし都(すべて)婦人(ふじん)の諸病(しよびやう)十 人(にん)に八 人(にん)迄(まで)は経水(けいすい)不(ふ) 順(じゆん)より発(おこ)るものnなればいかやうに変(へん)じたりとも此(この)薬(くすり)を服(ふく) する則(とき)は奇妙(きめう)に治(じ)する事(こと)神(しん)の如(ごと)し猶(なを)用(もちひ)て其(その)功(こう)を考(かんがへ)知(しる)べし ○服法(のみやう)禁物(いみもの)等(とう)袋(ふくろ)の裏(うら)にくわしくしるしあり 《割書:内包封|如此ニ候》 《割書:一廻り分|半廻り分》 《割書:薬目正味三匁入料|薬目正味壱匁五分入料》 《割書:弐百文|百文》      《割書:摂州大坂江の小嶋西町》 本家調合所 長門屋吉兵衛 【印】 《割書:日本ニ一法|小児薬王》肝涼円《割書:小児十五才迄之内|諸病一代根切治ス》《割書:京富小路通竹屋町東南角|本家 堀勝蔵》 此 虫丸薬(むしだんやく)小児(せうに)当歳(たうさい)より十五才迄之内むし一切万病 軽(かろ)きは年(とし)の数(かず)二三 度(ど) 用ひ立(たち)所に治(なを)る事 妙(めう)也◦いかほどむつかしき病(やまひ)にても年の数(かず)一日に一度ヅヽ 一ト廻(まは)り七日用れば極(きはめ)て本快(ほんぶく)する事 奇妙(きめう)を得る御薬なり 急驚風(きうきやうふう)かたかいはやくさの類之 急病(きうびやう)目を見つめはをかみしめ命(いのち)あやふく見ゆる 時此 丸薬(ぐはんやく)五 粒(りう)さゆにてとき用ゆのんどへ通候へは忽(たちまち)生(しやう)を得る事 神妙(しんめう)なり ◦ 疳病(かんひやう)は五 疳(かん)ともに甚(はなはた)妙也◦虫熱(むしねつ)虫(むし)せきとむる事妙なり夜(よ)なきによし せむしはとむねに妙(めう)なり◦顔色(がんしよく)青(あを)く精気(せいき)よはくかたちおとろへ物おどろき するニよし◦息気(いき)づかい喘(あらく)啼声(なきこゑ)出ず◦腹いため啼(なき)止(やま)ざるニ妙也◦はらかたく すじはり青筋(あをすじ)出いたみ乳(ち)をあますによし◦はらのくだりをとめ結(けつ)するを ゆるめりびやう腹中(ふくちう)一切(いつさい)に奇妙(きめう)によし◦小児はしかに妙なり ◦世上の丸薬(ぐはんやく)煎薬(せんやく)用ひても治(なを)りかねたる◦大病(たいひやう)又は難病(なんひやう)にても年(とし)の数(かず)一日 に三 度(ど)ツヽ一ト廻(まは)り用れば極(きはめ)て本快(ほんぶく)する事妙なり二 廻(まは)り用れば一代 病(やまひ)の根(ね)を 切ル事 神(しん)のごとし◦小児の病 諸症(しよしやう)多(おゝ)しといへとも病根(びやうこん)は肝脾(かんひ)の二臓(にざう)にきは まれり此 薬(くすり)肝(かん)の臓(ざう)を涼(すゞ)しめ脾(ひ)の臓(ぞう)を養(やしな)ふゆへに肝涼円(かんりやうゑん)と号(なづく)小児 当歳(たうさい) より十五才迄ならばむし一切万病 治(なを)る事此虫丸薬の妙なるゆへ功能(こうのう)こと〳〵く 書(かく)に不及あらまししるし申候 此肝涼円の妙には無病(むひやう)の小児にても出生(しゆつしやう)より五才迄之内ニ年の数一日三度ヅヽ 一ト廻り七日分 一度(ひとたび)用ておけば◦はやくさ急驚風(きうきやうふう)の急病(きうびやう)おこる事なし疳(かん)の虫(むし)を しりぞけ脾(ひ)をつよくし気精をまし顔色(がんしよく)をよくし十五才になるまで虫(むし)け出ると いふ事なし◦大人(おとな)になり疳積(かんしやく)労咳(らうがい)てんかん右之病出るといふ事極てなし ▲ほうそうニはほとおりよりやまあげまて年(とし)の数(かす)一日ニ一二度ツヽ用◦かせ三日は一日に 一 度(と)ツヽ用 極(きはめ)てかろくすむ或(あるひは)精気(せいき)よはく出(いで)かね色(いろ)あしきニは五りうさゆニてよくとき 用れは忽(たちまち)色(いろ)よくなり心よく出る事妙也◦外の煎薬(せんやく)用るに不及此薬ニて極(きはめ)て本快(ほんぶく)する也 ○大人の治(なを)りかねたる◦癲癇(てんかん)男女(なんによ)の労咳(らうがい)癇積(かんしやく)気積(きしやく)痰積(たんしやく)疝積(せんしやく)いかほどこうじ たる病(やまひ)にても年(とし)の数(かす)一日ニ一度ヅヽ一 廻(まは)り七日用れは極て本快(ほんふく)する事甚妙なり 一粒八銭小包十粒入代八十銭 《割書:中包二十粒入代百六十四銭|大包四十粒入代三百三十二銭》 《割書:伏|見|中|取|次|店》《割書:両替町四丁目|両替町六丁目いせ屋|両替町九丁目|紺屋町|堀詰小豆屋町|木挽町|呉服町|新七町|久米町|風呂屋町|菊屋町》《割書:伊丹屋権兵衛|いせ屋吉兵衛|吉野屋伊八|高道儀兵衛|近江屋安兵衛|柴屋吉兵衛|輪屋六右衛門|駿河屋宗兵衛|河内屋勘兵衛|いせ屋半兵衛|仁和寺屋店》 《割書:問屋町|南部町|両替町丹波橋下ル|尼崎町|毛利橋東詰|京町四丁目|板橋二丁目|毛利橋竹中町東へ入|京町四丁目|箱屋町板橋上ル|尼崎町丹波橋上》《割書:■屋四郎右衛門|坪屋善六|大喜屋利兵衛|近江屋太兵衛|近江屋宗兵衛|大坂屋平四郎|灰屋仁右衛門|油屋源七|大坂屋弥介|富山辰蔵|■■こや吉兵へ》 右之外京都江戸大坂諸国取次所数多故別紙ニ有 一肝涼円之儀は往古(むかし)より此方本家ニて売来候処  世上一 統(とう)御存可有之候得共近年 紛敷(まきらはしき)  似(に)より候同名之 類薬(るいやく)所々に多(おゝ)く出候まゝ  御求之節本家私方名所書印形るい  御改メ可被下候尤出店諸国取次店所書  能書之奥に国々方角相分ケ相しるし置  御座候間御求メ之節名所印形共呉々  御改之上御求メ可被下候此段御しらせ  申上度如此候以上 本家京都富小路通竹屋町東南角   調丸所  堀 勝蔵 之薬(のくすり)大坂追手筋錦町一丁目住 脹(ちやう)主剤(しゆざい) 林(はやし)一 烏(う)調合(てうかふ) もニ二分 入(いれ)て・水(みづ)は大(たい)ていの茶碗(ちやわん)ニ二はい せんじばかり・用(もちゆ)べし もニ・あらためてよし・常(つね)〴〵川水(かわみづ)を用(もちゆる) よし・常(つね)〴〵井(い)の水(みづ)を用(もちゆる)ところは・よき もよろし・しかしながら・雨中(あめふり)と濁水(にごりみづ)の ・但(たゞ)し水(みづ)澄(すみ)たりとも・其(その)川水(かわみづ)の の湿水(しつみづ)流入(ながれいり)てよろしかるまじ用(もちゆ)べからず がつて・薬(くすり)煎(せんじ)ニ種々(しゆ〳〵)の水(みづ)を選(ゑらび)て用(もちゆ)・ 症(しやう)もあれば・水(みづ)の吟味(ぎんみ)第一(だいいち)なり はれやまひにだい一のしよくじは小豆(あづき)たい■には麦(むき)と御こゝろへ御用(もちひ)ニてよく候○小豆(あづき)は小粒(こつぶ)ニてすこし 【菊紋】人参三臓円(にんじんさんざうゑん)《割書:此薬(このくすり)をふくして五(いつツ)|の妙(めう)を顕(あらは)す并ニ用(もち)ひ|やう共(とも)ニ包紙(つゝみがみ)に記(しる)す》 ▲此(この)人参三臓円(にんじんさんざうゑん)去(さんぬる)享保(きやうほ)十二 年(ねん)丁未(ひつじ)閏(うるふ)正月 於崎陽(ながさきにをいて)清人(いまのからひと)  岐来氏(きらいし)周南(しうなん)名医(めいゐ)より主剤(しゆざい)修治(しゆぢ)製法(せいほふ)精(くはしく)秘授(ひじゆ)す  抑(そも〳〵)此三臓円周南先生 医奥妙術(ゐおうのめうじゆつ)の口授(くじゆ)有(あつ)て近世(きんせい)  の人(ひと)の諸虚百損(しよきよひやくそん)を補養(ほやう)し大(おほい)に腎精(じんせい)を益事(ますこと)諸薬(しよやく)に  勝(すぐ)れて玄妙(げんめう)無双(ぶさう)の仙円(せんゑん)なり予(よ)謹(つゝしんで)《振り仮名:製_レ之|これをせいし》諸病(しよびやう)に試(こゝろみ)るに  一人(いちにん)として治(ち)せずといふことなし仍(よつ)て病者(びやうじや)の幸(さいはゐ)ならんことを  欲(ほつし)広(ひろく)世(よ)に弘(ひろ)むさんぞ三蔵円(さんざうゑん)由来(ゆらい)夫(それ)心脾腎(しんひじん)の三蔵は遣(つか)ひ安(やす)ふして  補(おぎな)ひがたく虚(きよ)し安(やす)ふして治(ぢ)しがたし諸虚(しよきよ)諸病(しよびやう)の其(その)根本(こんほん)皆(みな)右(みぎ)  心脾腎(しんひじん)三蔵(さんざう)の労減(らうげん)より発(をこる)其(その)始(はじめ)大(おほい)に心気(しんき)を労(らう)し或(あるひ)は大酒飲食(たいしゆいんしゐ)  節(せつ)なく又は色欲(しきよく)のか過度(くはど)よりして三蔵(さんざう)虚損(きよそん)し気分(きぶん)あしく  ぶら〳〵と煩(わづら)ひて平生(へいぜい)気力(きりよく)なく五臓六腑(ござうろくふ)共 減耗(げんがう)し惣身(そうみ)虚弱(きよじやく)に  なり病(やまひ)色々(いろ〳〵)と諸症(しよしやう)ニ変(へん)じ百薬(ひやくやく)を用(もち)ひ効(しるし)なき人(ひと)なり共(とも)此(この)  仙円(せんゑん)は其(その)諸病(しよびやう)の根本(こんほん)たる心脾腎(しんひじん)三蔵(さんざう)を速(すみやか)に調補(とゝのへをきな)ふこと此(この)薬(くすり)の  第一(だいいち)の神妙(しんめう)にして気血(きけつ)をよくめぐらし大(おほひ)に腎勢(じんせい)をまし惣身(そうみ)五臓(ござう)  六腑(ろくふ)共 堅(かた)くし諸虚百損(しよきよひやくそん)の諸症(しよしやう)を治(ぢ)し無病(むびやう)壮健(そうけん)ならしむ ▲心(しん)の臓虚(ざうきよ)して心気(しんき)うすく乳下(ちのした)に動気(どうき)あつて常(つね)に  胸膈(むね)いたみ腋(わき)の下(した)より汗出(あせいて)て時々(とき〳〵)怔忡(むなさはぎ)し物(もの)に  驚(をどろ)き少(すこし)のことをも案(あん)じものごとに早(はや)く退屈(たいくつ)しよく  健忘(ものわすれ)し中風(ちうぶ)身痺(みしび)れ頭痛(づつう)目(め)まひ立(たち)ぐらみし痰血交(たんちまじり)夜不寐(よねられず)  寐時(ねるとき)は夢(ゆめ)多(をゝ)く遺精(いせい)夢遺(むい)自汗(じかん)盗汗(とうかん)是等(これら)の病(やまひ)ニ用(もち)ひて《振り仮名:如_レ神|しんのごとし》 ▲脾(ひ)の臓(さう)虚(きよ)して食(しよく)すゝまず少(すこし)の物(もの)も中(あたり)さい〳〵腹(はら)くだり又(また)は  よく食(しよく)すれ共痩気(やせき)みじかくものに腹立(はらたて)腹力(はらちから)或(あるひ)は腹(はら)  いたみ又 腹(はら)はりいきだはしく胸(むね)のつかへ痰積(たんしやく)脾肺(ひはい)おとろへ  痰咳(たんせき)久(ひさ)しく止(やまず)虚(きよ)労咳(らうがい)夜中(やちう)暁(あかつき)がた泄瀉(はらくだり)または五三 日(にち)も  うら遠(とを)く下血(げけつ)痔(ぢ)また脱肛(だつこう)出(いつ)るに此等(これら)の諸病(しよびやう)に用(もちひ)て《振り仮名:如_レ神|しんのことし》 ▲腎(じん)の臓(さう)虚(きよ)して陽事(やうじ)の威(いきほひ)弱(よは)く顔色(がんしよく)つやなく肌(はだへ)やせ陰(ゐん) 《割書:神|方》国土散(こくどさん) 小児(せうに)五疳(ごかん)根(ね)を抜(ぬく)良方(くすり) 此(この)国土散(こくどさん)は.日向国(ひふがのくに)の住人(ちうにん)某(なにかし)が家(いへ)の伝来(でんらい)にて.小児(せうに)五疳(ごかん)の 諸難症(しよなんしやう)を治(ぢ)し.永(なが)く其(その)病根(ひやうこん)を抜(ぬく)秘方(ひはう)たる事(こと).世(よ)に類(たぐ)ひなき 所(ところ)にして.彼地(かのち)にてこれを製(せい)し年来(ねんらい)施薬(せやく)となせり.右(みぎ)伝来(てんらい) の某(なにかし)は予(よ)が年久(としひさ)しき知音(ちいん)なり.二十 余年(よねん)已然(いぜん).彼(かの)某(なにがし)上坂(じやうはん) の砌(みぎり).予(よ)が男(せかれ)おもき疳疾(かんしつ)を患(わづら)ひ.医療(いれう)手(て)を尽(つく)せども寸効(すんかう)なき に.此(この)神方(しんはう)を投(あたへ)られ.必死(ひつし)を救(すく)ふの即効(そくかう)比類(ひるゐ)なかりしより予(よ) 篤(あつ)く信(しん)じて懇意(こんい)の家(かた)に疳疾(かん)を患(わづら)ふ小児(せうに)あれば.遠(とほ)き海路(かいろ)を 毎度(まいど)乞求(こひもとめ)て.此(この)神方(おんくすり)をあたへて.起死回生(きしくわいせい)の妙(めう)をあらはす事(こと)数(たび) 回(〳〵)なり.これ全(まつた)く予(よ)が済物(さいぶつ)の志(こゝろざし)を存(そん)するによれりと深(ふか)く感(かん)じ て.遂(つい)に其(その)方剤(はうざい)修製(しゆせい)の秘(ひ)を尽(こと〴〵)く伝授(でんじゆ)せらる.それより已来(このかた).予(よ) 此方(このはう)を施薬(せやく)する事(こと).今已(いますで)に二十 年(ねん)に垂(なん〳〵)たり.しかるに此(この)御薬(おんくすり) の方製(はうせい)薬味(やくみ)に高料(かうれう)なる物(もの)あり.且(そのうへ)霜(くろやき)となすが故(ゆゑ)に薬目(やくめ)も 十 分(ぶ)一に減(げん)するにより.微力(ひりよく)にては普(あまね)く施薬(せやく)しがたきを以(もつ)て. 聊(いさゝか)も利徳(りとく)に拘(かゝは)らず施薬(せやく)同前(どうぜん)の志(こゝろざし)にて去(さんぬ)る天明(てんみやう)八 年(ねん)戊申(つちのえさる)六月 より始(はじめ)て売薬(ばいやく)とし.同(おなじく)九月 能書(のうがき)を改(あらた)む《割書:本(ほん)能書(のうがき)半紙(はんし)五 枚(まい)とぢ御薬(おんくすり)に|そへ出す.これ其(その)ぬき書(がき)なり》 一 彼某(かのなにがし)曰(いはく).凡(およそ)今時(いまどき)の小児(せうに)は稟賦(うまれつき)さかしく.飲食(いんしい)ほしいまゝに.美食(ひしよく) をこのみ父母(おや〳〵)も亦(また)愛(あい)におほれて.撫育(ぶいく)を慎(つゝし)まず.厚味(かうみ)をあたへ終(つひ)に 脾胃(ひゐ)損(そん)じ心肝(しんかん)亢(たかぶ)り.或(あるひ)は喜(よろこ)び笑(わら)ふにまかせ.みだりに揺動(ゆぶり)あるき.虫(むし)上(のぼ)り驚風(きやうふ)と なり.又は臝痩(やせおとろへ)青筋(あをすぢ)たち.肌肉(きにく)枯燥(かれかはき)気短(きみじか)く.ニ三 歳(さい)より 疳疾(かん)となり.いろ〳〵に変(へん)じ煩(わづら)ひ。折々(をり〳〵)熱出(ねついで)気弱(きよわ)くなり.小隅(こすみ)へかゞみ.泣(なく) 事(こと)しげく.むさぼり食(くらへ)ども痩労(やせつか)れ.色(いろ)あしく.首筋(くびすぢ)手足(てあし)とも細(ほそ)く.肚(はら)大(おほい)に 脹(はり).年(とし)よりは小(ちひさ)く。或(あるひ)は小便(せうべん)渋(しぶ)り.大便(だいべん)度々(たび〳〵)下(くだ)り.又は遠(とほき)もあり.気重(きおも)くなり 欬嗽(せき)出(いで)て疳労(かんらう)となる等(とう)の症(しやう)は.幼少(えうせう)の内(うち)に療治(れいぢ)せされは.たとひ成長(せいちやう)す とも.癆症(らうしやう)等(とう)の諸難病(しよなんひやう)を患(うれへ)て寿命(じゆみやう)を保(たもつ)事(こと)あたはず.都(すべ)て長病(ちやうびやう)にし て幾年(いくねん)も煩(わづら)ふ人(ひと)多(おほ)し.其等(それら)に此(この)薬(くすり)を用(もち)ひ試(こゝろみ)るに.軽(かろ)きは三日.重(おも)くとも七日にして必(かなら)ず効験(かうけん)あり.たとひ無病(むびやう)の小児(せうに)たりとも.かねて此(この)薬(くすり)を用(もち)ひおく ときは胎毒(たいどく)を解(げ)して.疱瘡(はうさう)軽(かろ)く.脾胃(ひゐ)を調(とゝの)へ.元気(げんき)を益(ます)の効(かう).速(すみやか)に気(き)を順(めぐら) し.食(しよく)を化(こな)すの能(のう)あるを以(もつ)て.諸病(しよびやう)生(しやう)する事(こと)なし.是(これ)年来(ねんらい)試(こゝろみ)る所(ところ)なり 但し□疳疾□□□五臓へ□□□あらはるゝ所の病症.大略(あらかた)左(さ)のことし 『肺之疳(はいのかん)』 くろまなこまじりにて上(うへ)へかへり.しろめがちになる○しはぶきする○はなのいろ かはり.又はせゝり.あるひははなおほくいづる○かんねつし○ちゝをあます ○むしかみへのぼり.おほあたまになる○つめをかむ.又ぬくる○身ふざけいろになる○は らはる○ねることをこのむ○だつこういづる○だいせうべんともしろし 『脾之疳(ひのかん)』 かほのいろきにして.のちは身もきいろになる○みゝとほくなる.又しるい づる○はら大きにしてはり○かはらけ.かべつちなどをくひ○つちのう へをすく○さかなをこのむ○あるひはふしよくし○しゞこにあなあき.又はゆが む○せうべんきいろにだいべんすくなし 『心之疳(しんのかん)』 めのにくになみだあり○はなのしたゞれ○ひたひあかし.頬(ほゝ)あかし○こうち うかさあり○のんどかはき.あるひははるゝ○きおそくなる○つねにはら 【(前コマ)】 【はれやまひにだい一のしよくじは 小豆たい■には麦と御こゝろへ御用ニてよく候○ 小豆は小粒ニてすこし】 くろみある.新小豆(しんあづき)よく候《割書:■■小豆なつ小豆|ごみかつきともいふ》○小豆(あづき)と麦(むぎ)とひとつに.めしにたきたるはねばりてあ しく候.○麦(むき)めし《割書:米(こめ)入ては|あしく候》しやうゆすましにかつほふし入おろし大こんとうからし入御用よく候○小豆(あづい)は ざつとすりつぶしてなりとも.《割書:かわをさりては|あしく候》丸(まる)ながらも.しほ.さとうを入てなりともなくさみにも 御 用(もちひ)よく候○たとへば.一日に麦(むぎ)一合(いちがう)御用候はゞ.小豆(あづき)は.二 合(がう)のわりに.小豆のかた.多(おほく)御用候へば.大へん よく通(つう)じ.小べん通しのためよく候はれやまひの小べんは.いろあかきうちは.通(つう)じ少(すくなき)ものニて候. 大べんよく通(つう)じ.それより.しつねつ.だん〳〵さり.小べんのいろ.しだひに.うすくなり.とくとすみて 本通(ほんつう)じになるものにて候.さて又(また)小べんに色(いろ)あるうちは.大べん通(つう)じ多(おほき)ときは.水気(すいき)まじりて 通(つう)ずるゆへか.小べんはけくして少(すくなき)ことも.あるものなり○麦(むぎ)ニてもだんごなどにしたるは.あしく候. 一 米(こめ)は.一 粒(りう)ニても御 無用(むよう)ニて候.大べん通じのためあしく候.はれやまひは.とかく.大べん通(つう)じ第(たい)一ニて候 一 薬(くすり)の加味(かみ)。いきたはしく.食(しよく)つかへば.一ぶくに.《振り仮名:縮-砂-仁|しゆくしやにん》を.一 分(ふん)入御せんじ○婦人(ふじん)には香附子(かつぶし)も御入よく候 ○大べんしぶり.なめあらば.《振り仮名:縮-砂-仁|しゆくしやにん》.木香(もつかう).《振り仮名:檳-榔-子|びんらうじ》.《振り仮名:羌-活|きやうくわつ》.《振り仮名:防-風|ぼうふう》.一分ほどヅヽ入御せんじ 此 一ふくニ 唐(から)の 《割書:しゆくしや|かうぶし》《割書:壱分五り|壱分五り》入     せんじ御用 脾胃敦阜(ひいとんふ)腫病(はれやまひ)【之薬 大坂追手筋錦町一丁目住】  脚気(かつけ)腫満(しゆまん)鼓【脹主剤  林一烏調合】 右一ふくしやうが皮(かわ)と【もニ二分入て・水は大ていの茶碗ニ二はい】 半(はん)入・一はい半(はん)・ニかし■【せんじばかり・用べし】 一 食(しよく)じ薬(くすり)せんじ水(みづ)と【もニ・あらためてよし・常〴〵川水を用】 ところは・よき井(いど)の水(みづ)ニて【よし・常〴〵井の水を用ところは・よき】 《振り仮名:長-流水|ながれかわのみづ》を用(もちひ)てもつと【もよろし・しかしながら・雨中と濁水の】 せつは・井(い)の水(みづ)を用(もちゆ)べし【・ 但し水澄たりとも・其川水の】 かさたかきうちは・山谷(やまたに)【の湿水流入てよろしかるまじ用べからず】 一 古(いにしへ)の《振り仮名:名-医|めいい》は・病(やまひ)ニした【がつて・ 薬-煎ニ 種々の水を選て用.】 《振り仮名:腫-病|はれやまひ》はことに・《振り仮名:不_レ伏_二水土_一|みつあたりの》【症もあれば・水の吟-味第一なり】 一-昼夜に二ふくヅヽ 御 用(もちひ)かはきあらば 三ふくニてもよく候 新(しん)の《振り仮名:夏-小豆|なつあづき》を 煮(に)て《振り仮名:煮-汁|にしる》にて さつとすり塩(しほ)を 入 《振り仮名:砂-糖|さたう》もよく候 いかほども御用 水のぎんみ第一ニて候 【『 心之疳 』】 【めのにくになみだあり○はなのしたゞれ○ひたひあかし. 頬あかし○こうち】 【うかさあり○のんどかはき.あるひははるゝ○きおそくなる○つねにはら】 はる.又ねつけあり○ものにおどろく○あつきものをこのむ○だいせうべんあかし 『肝之疳(かんのかん)』 めのしろみにすぢおほし○めしぼめく○とりめとなり.又つぶる□□あり ○五さいごろまで.あるくことたしかならず○七さいごろまで.ものいふことすく なく○おとがひかたぶき.又むねにつくもあり○てあてあしのすぢひつぱり○身ゆがむ○ ちんばになり○こしひきつり.又ぬくるもあり○身やせうつぶせにねる○いんのう しめり○いんきやうをいぢる○小べんしげく大べんあをし 『腎之疳(じんのかん)』 たんをはき○こゑかはる○くちはなめのふちにかさいて.又身にもいづる○ かんねつあり○やせる○はくろくなる○けしずみをこのみくひ又はかみ をしがみ.しほたうがらしなどをくふもあり○せぼねそり○あたまねつし.あしひゆる ○ゆみづをこのみ○せうべんつまりてしげし○だいべんくろし 右(みぎ)病症(ひやうしやう).五疳(ごかん)のわかちありといへども.其(その)病(やまひ)を生(しやう)ずる所(ところ)は.脾胃(ひゐ)虚損(きよそん)し. 臓腑(ざうふ)調和(てうくわ)せず.中焦(ちうせう)に食物(しよくもつ)鬱滞(うつたい)して■れがたく.元気(げんき)つかれ.肌肉(きにく)痩(やせ)て. 竟(つひ)に疳病(かんびやう)となり.諸症(しよしやう)に変(へん)じ.療治(れうぢ)ひまどる間(あひだ)に.病(やまひ)つのり.難治(なんぢ)に 至(いた)るもの.甚(はなは)だ多(おほ)し.依(よつ)て今(いま).病家(びやうか)の心得(こゝろえ)にもと.疳病(かんびやう)の見所(みところ)あらまし. 口伝(くでん)の中(うち)より略(りやく)してこゝにしるせり.此(この)薬(くすり)よく脾胃(ひゐ)を補(おぎな)ひ.臓腑(ざうふ)を 調(とゝの)へ.鬱滞(うつたい)を開(ひら)くの効(かう).尤(もつと)も速(すみやか)なる事(こと)は.用(もちひ)て二三日の内(うち)に.気(き)軽(かろ)くなり. 或(あるひ)は黒(くろ)き大便(だいべん)を一二 度(ど)通(つう)ずるもあり.至(いたつ)て重(おも)きも.七日(なぬか)の内(うち)に.験(しるし)を見 せずといふ事(こと)なし.誠(まこと)に神方(じんはう)不可思議(ふかしぎ)の霊薬(れいあく)なり.其(その)効(かう)尽(こと〴〵)く述(のべ)がたし 大人(だいにん)男女(なんによ)共(とも)其(その)生質(うまれつき)により.虚弱(きよじやく)にて.幼少のうち.養生(やうしやう)調(とゝの)はず.年(とし)経(へ)て後(のち). 何(なに)となくぶら〳〵とわづらひ.気(き)倦(うみ)体(たい)労(つか)れ.かんしやくつよくたんきにて腹力(はらちから) なく.気(き)の方(かた)癆症(らうしやう)等(など)に似(に)たる病(やまひ)にて.難儀(なんぎ)の人(ひと)多(おほ)し.是等(これら)に用(もちひ)て甚(じん) 妙(めう)なり.但(たゞし)成長(せいちやう)の後(のち).此(この)病患(びやうくわん)あるべきや否(いなや)は.前(まへ)にしるす五疳(ごかん)の見やうの 所(ところ)にて.小児(せうに)の内(うち)に考合(かんがへあは)せ.其(その)症候(きみあひ)あるには.早(はや)く此(この)薬(くすり)を服(ふく)して.後(のち)の害(かい)を除(のぞ) くべし.是(これ)所謂(いはゆる)未病(みびやう)を治(ぢ)するの上策(しやうさく)なり 此(この)御薬(おんくすり).いづれもうなぎにて用(もち)ふ.くはしくは包紙(つゝみかみ)にしるせり.右(みき)鰻鱺(うなぎ)を 小児(せうに)にあたへて.効能(かうのう)ある事(こと)は.医書(いしよ)にも出(いで).人々(ひと〴〵)も知(し)る所なり.されば鰻(うな) 鱺(ぎ)能(よく)脾胃(ひゐ)を補(おぎな)ひ.虫(むし)を殺(ころす)といへども虫(むし)脾胃(ひゐ)より生(しやう)する所(ところ)の.諸難症(しよなんしやう)を 治(ぢ)する効(かう)あるにあらず.但(たゞ)佐薬(たすけくすり)として.君薬(おもぐすり)を順回(ひきまはす)の効(かう)は他(ほか)に及(およ)ぶ物(もの)なし. 此(この)国土散(こくどさん)の君薬(おもぐすり)に.うなぎを佐薬(たすけぐすり)とする事(こと)は.其(その)治効(ぢかう)を速(すみやか)にするのみ ならず.深(ふか)き医案(いあん)ある事(こと)なれども.事長(ことなが)ければ此(こゝ)に略(りやく)せり○うなぎ不自(ふじ) 由(いう)なる地(ところ).又は嫌(きら)ひの方(かた)には.別(べつ)に丸薬(くわんやく)に製(せい)したるあり.効能(かうのう)異(かはる)事(こと)なし 御薬料定 小包 《割書:当歳子には日 数(かず)見合に用|二三歳は両日に用る□》代銀七分五厘○二三歳の一廻り七日分代銀二匁五分 中包 《割書:四歳より七歳迄の一廻り分代銀五匁|八歳より十一歳迄の一廻り分代銀七匁五分》 《割書:同半廻り分代銀弐匁五分|同半廻り分代銀三匁八分》 大包 《割書:十二歳より十五歳迄の一廻り分代銀拾匁|大人に用る一廻り分代銀拾五匁》 《割書:同半廻り分代銀五匁|同半廻り分代銀七匁五分》   《割書:大坂嶋之内中津町なには橋西へ入北側》 本家調合所 綿屋善兵衛 諸方追々取次かんばん出し候間名所印御改之上御求可被下候此方ゟ一切売人出し不申候 【▲腎の臓虚して陽事の威弱く顔色つやなく肌やせ陰】  虚火(きよくは)動手(どうて)の裏(うら)足(あし)のうらに熱(ねつ)有(あつ)て腰膝(こしひざ)ひへ痛(いたみ)肝腎(かんじん)  たかぶり潮熱(てうねつ)有(あつ)て午時(ひるどき)より気分(きぶん)あしく小便(せうべん)赤(あか)く又(また)は  白(しろ)く濁(にご)り疝気(せんき)寸白(すんばく)気短(きみじか)く歯痛(はいたみ)耳鳴(みゝなり)目かすみ婦人(ふじん)  は帯下(こしけ)血道(ちのみち)月水(けいすい)調(とゝのふ)らず血(ち)かれ髪髭(かみひげ)白(しろ)くぬける此類(このるい)に用(もちひ)て《振り仮名:如_レ神|しんのごとし》 右(みぎ)は何(いづ)れも皆(みな)心脾腎(しんひじん)三臓(さんざう)の不足(ふそく)より発(おこ)る病(やまひ)なれば此(この)薬(くすり)を 用(もち)ゆると其(その)諸病(しよびやう)の根本(こんほん)たる三臓(さんざう)をよく調(とゝの)へつよくするによつて 諸病(しよびやう)自(をのづから)治(ぢ)す都(すべ)て虚症(きよしやう)の人(ひと)又は中年(ちうねん)以後(いご)の男女(なんによ)共此(この)薬(くすり)を常(つね)に 用(もち)ゆれば気血(きけつ)をめぐらしよく食(しよく)をすゝめ大(おほい)に腎水(じんすい)を壮(さかん)にし陰陽(いんやう)を 起(をこ)し寒暑(かんしよ)を防(ふせ)ぎ積聚(しやくじゆ)を退(しりぞ)け腸胃(ちやうゐ)を厚(あつく)し筋骨(すぢほね)をつよくし 耳(みゝ)をよく通(つう)じ目(め)を明(あきらか)にす風(かぜ)を除(のぞ)き冷(ひへ)をさり手足(てあし)を温(あたゝ)め音声(をんせい)を 出し肌(はだへ)を潤(うるほ)し体(たい)を健(すこやか)ニし■■(おもて)麗(うるはしく)玉(たま)のごとくし寿命(じゆみやう)を延(のぶる)大仙円(だいせんゑん)也(なり) 御煉薬曲物入代壱匁五分・半剤入代四匁《割書:但壱廻りに|用ゆべし》・一剤 入代八匁    《割書:大坂うなぎ谷三休橋筋西へ入町》 御免調合所 法橋 吉野(よしの)五運(ごうん)    紫雪 此薬 諸(もろ〳〵)の大 熱(ねつ)を解(げ)し毒気(どくき)を消し心気(しんき)を 【   紫雪】 【此薬諸の大熱を解し毒気を消し心気を】 鎮(しずま)る事甚 捷(すみやか)なり傷寒(しようかん)時疫(じゑき)天行(はやり)之病 瘧疾(ぎやくしつ)黄疸(わうだん)狂乱(きやうらん)■(てん)【癲ヵ】癇(かん)消渇(せうかつ)脚気(かつけ)小児之 驚風(きやうふう)胎毒(たいどく)内攻(ないこう)等一切大熱大毒の証(しよう)ニよし 或は胸腹(むねはら)痛(いたみ)劇(はげ)しく或は大小 便(べん)通利(つうり)せす或は 口舌 腫(はれ)或は眼(がん)中 赤(あか)く或は煩躁(はんさう)悶乱(もんらん)し或は 譫言(たはこと)夢(む)中の如きものみなこれによろし其 外 狐(きつね)狸(たぬき)妖怪(ようくわい)一切の邪(じや)物ニ犯(おか)され薬剤(やくざい)食物 一切の大毒ニあたりて病者(やむもの)大凡(おほよそ)久(ひさしき)病 卒(にわか)病 諸薬しるしなきもの并ニ択(ゑら)み用ふへし   服用(ふくよう)之分量(ぶんりやう)は一 度(ど)ニ一分より一匁迄を法として   大人小児病の軽重(けいぢゆう)ニ従て増減(ぞうげん)さし引あるへし   食後(しよくご)冷(れい)水にて服するをよしとす  経験紫雪(けいげんしせつ)功能(こうのう) 第一(だいいち)脚気(かつけ)の毒(どく)を解(げ)すること他薬(たやく)のおよぶ所(ところ)に あらず凡(およそ)脚気(かつけ)の毒(どく)内外(ないぐはい)に遍満(へんまん)しあるひは腫(はれ) 腹(はら)し或(あるひ)は乾痩(からやせ)し煩熱(はんねつ)躁悶(そうもん)し嘔吐(ゑづき)し薬食(やくしよく) 下(くだ)らず二便(にべん)閉渋(とゞこうり)し或は熱気(ねつき)上逆(のぼせ)し口中(こうちう)瘡(かさ) を生(せう)じ痛(いた)み苦(くるし)み或は毒気(どくき)まさに心(しん)を衝(つか)ん とて心下(しんか)胸膈(けうかく)へ支撞(さしつめ)し狂躁(くるひ)号呼(わめき)する等の 悪症(あくせう)に多(おほ)く用(もちゆ)れば其功(そのしるし)あること誠(まこと)に神(しん)のごとし 一 麻疹(はしか)出(で)かね熱(ねつ)つよく咽(のんど)いたみあるひは頭痛(づつう)  つよく咳(せき)はなはだしきによし 一 小児(せうに)胎熱(たいねつ)鵞口瘡(したしと)并に重舌(にまいした)に絹(きぬ)に包(つゝ)み含(ふく)ませ  てよし又は熱毒(ねつどく)舌瘡(ぜつさう)につけてよし 一 総(そう)じて諸(もろ〳〵)の熱薬(ねつやく)の毒(どく)にあたりたるによし 一 酒毒(しゆどく)にあたるによし一切 熱物(ねつぶつ)の毒(どく)を解(げ)す 一 河豚(ふぐ)の毒にあたるに多く用てよし 一 狐狸(きつねたぬき)の類(るい)其外(そのほか)祟(つきもの)に用てよし 一 諸(もろ〳〵)の毒虫(どくむし)毒獣(どくじう)にさゝれかまれたるとき生薄(なまはく) 傷寒(しやうかん)温疫(うんゑき)大熱(だいねつ)裏(うら)に伏(ふ)し諸(もろ〳〵)の寒涼(かんりやう)の薬(くすり)を用 て熱(ねつ)去(さ)らず或は眼中(めのうち)赤脈(あかすぢ)あらはれ口燥(くちかは)き舌焦(したこが) れ咽痛(のんどいた)み息(いき)あらく譫語(うたこと)狂躁(くるひもだへ)昼夜(ちうや)煩悶(いきれもだへ)熱(ねつ) 解(げ)しかぬるによし 温瘧(うんきやく)とて寒(さむ)け少く熱渇(ねつかはき)甚き瘧(おこり)によし 盛夏暑毒(まなつのしよどく)にあたり身悶(みもだへ)苦(くる)しみ咽燥(のどかは)き息(いき)あ らく二便(にべん)通(つう)ぜず大熱(だいねつ)火(ひ)のごとく頻(しきり)に湯(ゆ) 水(みづ)を好(この)む等(とう)によし 一切(いつさい)積熱(つもるねつ)月日をかさねて久しく醒(さめ)かぬるによし 雲霧山嵐(さんらん)の瘴気(むせたるき)湿鬱(しつうつ)の気(き)にあたり発熱(はつねつ) 燥躁(?んさう)する等(など)によし 山野(やまの)墓墳(はかはら)或は人なき空屋(あきいゑ)等(など)に入りて其所(そのところ) の悪気(あくき)にあてられ気絶(きぜつ)するに管(くだ)にて鼻(はな)の孔(あな)へ 吹(ふき)入れ又は水(みづ)にてとき呑(のま)せてよし 風毒(ふうどく)纏喉風(てんこうふう)にて咽喉(のんど)腫(は)れ塞(ふさが)り舌(した)いたみ湯(ゆ) 水(みづ)薬(くすり)食(しよく)少しも通(つう)ぜざるに水(みづ)にてとき用れば 必(かなら)ずと通(つう)じ開(ひら)くこと妙(めう)なり 心腹(むねはら)俄(にはか)に刺痛(さしいた)み煩渇(はんかつ)熱悶(ねつもん)するによし 黄疸(こうだん)小便(せうべん)血(ち)のごとく熱(ねつ)■(ふか)く大便(だいべん)秘結(ひけつ)するによし 発斑(はつぱん)身熱(みのねつ)つよきによし 小児(せうに)胎毒(たいどく)驚風(きやうふう)癇攣(ひきつけ)の症熱(せうねつ)ふかきによし 小児 丹毒(はやくさ)急症(きうせう)によし大人(たいじん)早(はや)けんべきに多く用てよし 疱瘡(はうさう)実熱(じつねつ)毒壅(どくやう)とて序病(ぞやみ)より熱(ねつ)格別(かくべつ)強(つよ)く 唇舌(くちびるした)焦紫色(こげくろいろ)になり二 便(べん)通(つう)ぜず痘 粒(でもの)焦紫色(こげくろく)にて 煩悶狂(もだへくるひ)呼(さけび)し出(で)かね苦(くるし)みまさに内攻(ないこう)せんとするによし 【一 諸の毒虫毒獣にさゝれかまれたるとき 生薄】  苛(か)のしぼり汁(しる)にてねりつけてよし生薄苛(なまはくか)  なくは乾(かは)きたるを湯(ゆ)にてもみ出しねりつけてよし 一 名(な)もなき腫物(しゆもつ)年(とし)を経(へ)て癒(いゑ)かぬるにあんどの  あぶらにてねりつけてよし 一 上気(のぼせ)目(め)たゞれ目には水(みづ)にたであらひてよし  たゞれ目久しくなるに乳(ちゝ)汁にてときつけてよし  右(みぎ)いづれも実験(じつけん)の功能(こうのう)なるもの也  用様(もちゐよう)目(め)かた二分三分五分七分一匁二匁 病(やまひ)  の勢(いきほひ)により考(かんがへ)てもちゆべし  但し牛馬(ぎうば)にはたらされば功(こう)鮮(すくな)し  因(ちなみ)にいふ右(みぎ)紫雪(しせつ)の功能(こうのう)の世(よ)に無上(むしやう)の霊薬(れいやく)  たる事(こと)は知(し)る人(ひと)少(すく)なからずといへどもたゞ此薬(このくすり)  製法(せいはふ)甚(はなは)だむつしく并(ならび)に薬種(やくしゆ)もいづれも高(かう)  料(れう)なる物(もの)多(おほ)ければ世(よ)にたやすく用ゆる事 難(かた)し  今般(このたび)或(ある)医家(ゐか)の勧(すゝ)めにまかせ其方法(そのほうはふ)を授(さづ)かり  薬種(やくしゆ)製法(せいはふ)を深(ふか)く慎(つゝし)みこれを弘(ひろ)むる事全(まつた)く  利潤(りじゆん)のためにあらず只(たゞ)世(よ)にあまねく弘(ひろめ)て  人々(ひと〳〵)の急難(きうなん)を救(すく)はゞ少しは陰隲(ゐんしつ)の一助(いちじよ)とも  ならんかと其価(そのあたひ)を低(ひく)くし寸仁(すんじん)をあらはす  のみ人々 怪(あやし)み疑(うたが)ふことなく幸(さいはひ)ならんと云尓(しかいう) 文化五年戊申初夏    京両替町御池上ル第一軒目        下村瑞芳軒主人謹誌   神霊一粒丸(しんれいいちりうぐはん) 産-前産-後悪-血留-滞而腹腰刺-痛 ̄ミ面-色赤-白或 ̄ハ臍-下刺-痛 ̄ミ無_二 分-娩_一而不_レ省_二 人-事 ̄ヲ_一難-産-之-危-症服 ̄シ_二 一-丸 ̄ヲ_一得 ̄ルコト_二効-験 ̄ヲ_一如_レ左 ̄ノ 既(すて)に産気(さんけ)付て三四日 或(あるひ)は五七日も分娩(みふたつに)ならず難産(なんざん)あやうしと言時一丸を 用ひ効(こう)を得る事 速(すみやか)なり又 腹痛(ふくつう)する共未 腰(こし)のとをしなく胞水(みつはり)もくだら ざるに産気(さんけ)付とて早(はや)まり用ひ一両日も産(さん)延引すれは薬(くすり)は大 便(べん)より下て 効なしよつてさんぜんに用ゆる的(めあて)あり下腹(しもばら)刺痛(さしいた)み腰(こし)に引 乍(たちまち)痛み乍チやみ 破水(みつはり)下り小便 頻(しきり)にはやくなるなり此時男子 新(あらた)に水を汲(くみ)少し温(あたゝ)め丸薬 を含(ふく)ませ此 湯(ゆ)にて丸 呑(のみ)に服用(もちひ)さすべし丸薬 取り扱(とりあつか)ひ湯を与(あたへ)る迄(まで)女の手を 触(ふる)るべからず男(をとこ)の手(て)にて致(いた)すべし▲第一 孕婦(はらみをんな)の常(つね)に心得(こゝろへ)あるべきは時の 変(へん)により異形(いぎやう)の子をうみ或はいろ〳〵の難産(なんざん)ありといへども此丸薬を用 咽(のんど)さへ通(とふ)したる者ならば身二ツにならすといふ事なし胎内(はらのうち)にて死(しゝ)たる 子は子胎腐化(このたいくされとか)し下るといふとも母(はゝ)の命(いのち)にさはる事なししかしかほどの難産(なんざん) なれば万に一 死(し)はなしといふにあらず若此丸薬服用して出 産(さん)ふきもの 決(けつし)て治せず▲此丸薬の玄妙(めう)なる事はさんけ付て五七日十四五日も身二ツにならず 諸医(もろ〳〵のい)の療治(りやうじ)手を尽(つく)すといへども験(しるし)なくいかんとも仕方(しかた)なき時此一丸を用ひ て安産(あんさん)する事《振り仮名:■の生る|ひつじのこをうむ》がごとし▲双子(さうし)とて一 腹(はら)に二人はらむ事あり始(はじめ)の 一 粒(りう)を用ひ壱人安産あらば跡(あと)より又い一粒を用ゆべし若三人あらば亦 一粒を用ひて平産すべし▲小さんにも用ひてよしさんぜんニ用ひて十十分の効 あり産後に用ひて六七分の効あり産前に丸薬 失念(しつねん)して不 ̄ル_レ用 婦(をんな)は産後(さんご) 用ゆべし諸症(しよしやう)ありといへども保養(ほやう)をさへ慎(つゝし)めば萬に一をも失(うしな)わず 右之丸薬予代々用ひ来り其効(しるし)を得(え)る事 皆(みな)人知(ひとし)れる所なり○婦人(ふじん)用ゆる 丸薬なるに女の手を触(ふれ)ざる事(こと)是(これ)秘事(ひじ)なり製薬(くすりこしらへ)の時だにもかならず先(まづ) 斎戒(ものいみ)沐浴(ゆあみ)して虔(うや〳〵しく)心(こゝろ)に発願普済(あまねくすくふことをねがひ)然後(そのゝち)一静室(ひとつのしづかなるいへ)を択(ゑら)み曳注連如法(しめをひきほうのごとく)調合(てうがう) し産婦あれば与(あた)へ連年(とし〳〵)応験(しるし)ある事 数(かず)へがたし一日(あるひ)近郷(きんがう)の医師(いし)来(きた)るニ さとして曰かくのごとくの秘方(ひほう)たりといへども願(ねが)はくは他国(たこく)に流布(るふ)せば 難産(なんざん)の婦命を助る事誠に仁術なるべしといさめに随ひ世人をすくわん がため世に広め諸人の望を叶べきもの也  紫陽長崎之郷椛島   調合所 《割書:古町|》久田道節 【印】  天明六丙午二月穀旦 此丸薬 予(よ)が父 道節(どうせつ)年久(としひさ)しく施薬(せやく)同前(どうぜん)ニ して与(あた)へ来(きた)り諸国(しよこく)におひても難産(なんざん)の婦(をんな)をすく ひたる事かぞへがたし此事(このこと)を聞伝(きゝつた)へ則 椛嶋(かばしま) 古町医(ふるまちのゐ)道節(どうせつ)の《振り仮名:伝■|でんじゆ》なりと偽(いつわ)り売買(ばい〳〵)いたす 風聞(ふうぶん)もあり又 類家(るいけ)の調合(てうがう)も有之(これある)ゆへ此度(このたび)価(ね)を 極(きは)め売弘(うりひろ)め候ニ付 本家(ほんけ)調合所(てうがうどころ)の名印(なゐん)所書(ところかき)能々(よく〳〵) 御 改(あらた)めの上御 求(もと)めなさるべし        椛嶋古町医           久田道節 本家 嗣子相伝 《割書:手水をつかひ|取扱ひなさるべし》 【印】 《割書:産前|産後》神霊一粒丸 経験捷方 《割書:女の手に触る事|御無用》   《割書:大坂|一家》乳のたる薬《割書:一服百丗銅|半服六十四銅》 一 産後(さんご)乳(ちゝ)すくなき御方に早々用て乳たる事 奇丹(きめう)【妙ヵ】也万さし合なし 一 常(つね)に気をつかひ又は病後にても乳少キに用て甚妙也能つかへを  消(しやう)し気鬱(きうつ)をはらし元気(げんき)を補(おぎな)ひ外の諸病ある人にも用ひ  さし合なし此薬さゆにても味噌汁(みそしる)にても用ひよし 一右 呑(のみ)薬の外に産後七夜の内に乳房ニぬり乳たる薬  出し候へ共此ぬり薬は産後七夜を限り出し不申候以上        《割書: |大坂瓦町御堂筋西へ入》   御薬調合所  大黒屋清兵衛 諸方取次所 記 【上段】 大坂上町泉町ほねや町すじ 住吉屋清兵衛 同追手おはらいすじか角  よし屋仁兵衛 同嶋之内八まんすじ中橋  平野屋卯之松 同北安治川やぐらの下   奈良屋善兵衛 同新町橋西詰北へ入    銭屋喜右衛門 同平の町八百屋町すじ   川崎屋喜兵衛 同新靭新天満町      神崎屋弥兵衛 同尼崎西丁塩屋町     かたや儀兵衛 同天満津の国町      本屋源兵衛 同戎嶋大渡シ上り場    あはじ屋与兵衛 同堂嶋たみのはし北詰東  津の国屋忠兵衛 同江戸堀あはどのはし北詰 帯屋宇兵衛 摂州兵庫川崎町      本屋源兵衛 同吹田六地蔵       布屋伊兵衛 同西宮よこ町       かき屋弥太郎 同池田西光寺門前     はむろ屋甚兵衛 同川辺郡塚口むら     木綿屋宇兵衛 播州志方東町       綿屋九郎右衛門店 同龍野上川原町      堂本屋繁蔵 河州丹北郡川なべ村    糀屋八十八 摂州嶋下郡鮎川村     井上氏 大坂天満老松町      平野屋茂兵衛 同北堀江五丁目かめはし西へ入綿屋長兵衛 同長堀高はし北詰     宇和島屋和三郎 同京ばし東野田町     布屋善助 同今ばし東詰       天満屋作右衛門 同堂島中三丁目      柏屋喜右衛門 【下段】 《割書:播州いつとう郡|いかるが西馬場村》       室井与兵衛 同ひめぢ福中町      古手屋喜七 同明石東樽や町御門前   くみ屋新兵衛 京五条西洞院西へ入    升屋嘉右衛門 同四条通油かうじ下ル   まつ屋市兵衛 南都城戸町        まつ屋小兵衛 伊予松山三津浜大工町   川崎屋兵蔵 勢州一志郡久居萬町    わた屋弥七 泉州堺山ノ口町中ノ町   油屋儀兵衛 紀州若山西田中町     和田屋甚助 同若山鈴丸町       玉屋仁兵衛 薩州鹿児嶋下今町     深江彦八 土州すさきうら      徳田屋吉右衛門 和州高田新町       大坂屋治兵衛 同宇田中新町       四郷屋宗七 伯州倉吉         淀屋幸治郎 讃州高松丸亀町      近江屋伊太郎 阿州徳嶋めんたい町    わた屋和介 摂州茨木北清水丁     鍋屋伊兵衛 同苗田久保町       紺屋角右衛門 同高槻紺屋町       平野屋利兵衛 同平野わたや町      菓子屋六兵衛 河州うえ松村       毛綿屋左兵衛 和州郡山やた町      鍵屋六兵衛 泉屋堺南御坊前      大和屋安兵衛 同車之m町浜       苫屋平助 備後福山下橋南詰     鉄屋治郎右衛門   一粒金翁丸(いちりうきんおうくわん) 一服四十八銅 一第一きつけ毒(とく)けししよくしやうはらのいたみくわくらん  目(め)まひ立(たち)ぐらみきのつきつつうしやくつかへむねの痛(いた)み  中風(ちうぶう)たんのんどにふさがり小児(せうに)きやうふうむしいつさい  歯(は)のいたみにつけて痛(いたみ)を止(と)む大人(たいじん)小児(せうに)たんせき船(ふね)の  ゑひ水(みづ)のかわりゑづき酒(さけ)のゑひどくむしにさゝれたるニ  付(つく)べし牛馬犬猫(ぎうばいぬねこ)の煩(わづら)ひ等(とう)ニよし其外(そのほか)功能(こうのう)多(をゝ)し急病(きうびやう)  に即効(そくこう)ありくわしき事(こと)は包紙(つゝみかみ)にあらわす   大酒(たいしゆ)止(やむ)る御薬(をんくすり) 一服代三匁 一 此(この)御薬(をんくすり)は酒(さけ)をとんとやむるにはあらずたとへば病気(びやうき)  になるをもかまわず大酒(たいしゆ)をこのみあるひは酔狂(すいきやう)して  いろ〳〵なんぎする人(ひと)に此薬(このくすり)を用(もち)ひ候へばをのづから  酒(さけ)をこのみ候事すくなくなる事 此薬(このくすり)の妙なりくわ  しくは功能(こうのう)用(もち)ひやうとも包紙(つゝみがみ)にしるす   かくの御薬 《割書:一服代拾五匁|但シ七日ニ用ゆ》 一かく症(しやう)にてのみもの食物(くひもの)のどにつまり腹中(ふくちう)におさまり  がたくおさまりてもしばらくして吐出(はきいだ)し食事(しよくじ)ニ向(むか)ひ  て口中(こうちう)にたんたまりむせびのんどに通(とを)らずむなさき  に動気(どうき)つよく臍(へそ)より上(うへ)にかたまりいで大べんひけつ  し不通(ふつう)じなど五かくとていろ〳〵なやみあり候へ共  すべて此薬(このくすり)にて食物(しよくもつ)を収(をさむ)る事(こと)奇妙(きめう)なり五かく何(いづ)れも  此薬(このくすり)にて治(ぢ)する功能(こうのう)用(もち)ひやう包紙(つゝみがみ)ニ詳(つまひらか)なり   ひぜん内攻(ないこう)の御薬 一服代三匁 一ひぜんは人のきらふ病(やまい)にてはやく湯(ゆ)に入 又(また)はをしくすり  など或(あるひ)は風ひき又(また)は冷(ひへ)ておひこむあり療治(りやうぢ)種々(いろ〳〵)  手(て)をつくしても次第にはれ小便(せうべん)通(つう)ぜず死(し)する計(ばかり)ニ  候とも此薬(このくすり)壱ふく用(もち)ひ候へは小(せう)べんニ通(つう)じ治(ぢ)する  事(こと)妙(めう)なり委敷(くわしき)功能(こうのう)用(もち)ひやう包紙(つゝみかみ)に記(しる)す   ひへしつの御薬 《割書:一廻り代拾六匁| 但シ八日ニ用ゆ》 一 疳瘡(かんさう)いたみつよくだん〳〵くさりこみておちかゝ  り候ともにくをあげくさりをとめすみやかにい  やす事(こと)神(しん)のごとし便毒(よこね)ちらすべきはちうし  又(また)は口(くち)あき黄(き)しるいで三 年(ねん)も五年も治(なを)りかね  候ともきめうに治(ぢ)す骨(ほね)うづき惣身(そうみ)いたみ五七 年(ねん)  立居(たちい)なりがたきを治(ぢ)すしつのぼせにてづつう  目(め)あしく耳(みゝ)きこへずはなにかゝる等(とう)を治す男女(なんによ)  古(こ)しつ十 年(ねん)二十年いろ〳〵となやみなんぎなるも  快気(くわいき)する事(こと)神妙(しんめう)なり其外(そのほか)年久(としひさ)しきいかやうの ○此丸薬(このぐわんやく)生(うま)れ子(こ)ニは一 度(ど)ニ二 粒(りう)用ゆくだりすくなくば三粒も四粒も用べし生(うま)れて百日 半年(はんねん)も立(たち)候子ニは一度ニ三粒用ゆくたりすくなくば四五粒用ゆべし二才の子ニは一度 四粒用ゆくたりすくなくば六粒用ゆべし三才子ニは一度ニ六粒用ゆくだりすくなく 八粒又は十一粒用ゆべし 五才の子は一度ニ十一粒用ゆべし但し病症(びやうせう)ニより二三ぶく四五ふくも用ゆべし   丸薬のみやう 此くすり夜(よる)ねるまへニ一度かみわらずさゆニてのむべし薬(くすり)をのみ候日あさよりあたゝか なものをのみ食(くひ)着(き)るいをあつぎいたし惣身(そうみ)をつねよりあたゝかにしてのむべしまくらをつねよりも たかくしてねるべしよくくだる也四五度 下(くだ)りてのちは手足(てあし)水(みづ)ニてひやせば即(すなはち)とまるなり   食いみもの 青(あを)なほしな其外一切(いつさい)青葉(あをは)のるい 酒 す あぶらけ もち類 こんにやく 一切の 魚鳥(うをとり)るい 木(こ)のみのるい しいたけ 松たけ 一切のたけるい何(なに)によらずひゑたるもの を此薬のみ候日のあさめしひるめしゆうめしあくる日のあさめしと四 度(たび)いむべし  右之外ニ小児の急症虫おさへ  摂州(せつしう)豊島郡(てしまこほり)小曽根渡(をそねわたし)より  によろしき丸薬出し申候    八丁北 南郷 今西氏製   《割書:家|秘》小児口中薬 一包 三十二銅 一したしときニて口外はれたゞれいたみなんぎなるも此薬  舌の上ニのせおけばたちまちいたみ引とめ口中さはやかに  なり乳のむ事きめう也又は虫くひ■のいたみニよし  其外小児口中一切に妙なり■■薬用ひやう一時の  間に三四度かんざしの耳かきにてすくひ舌上ニのせ  おくべし薬口中にさへ入ばいゆる事神のごとし     《割書:天満七丁目魚棚筋》  調合所   生々斎宝田製 【太子山町】 ■【奇ヵ】応丸  古湿(こしつ)にても此薬を用(もち)ひきめうに治し申候どくいみ  用(もち)ひやう煎法(せんじやう)其余(そのよ)委(くわし)く別紙(べつし)能書(のうしよ)にしるす   病犬(やまひいぬ)にかまれたる御薬 一服代弐匁五分 一 此薬(このくすり)はいかやう病犬(やまひいぬ)にかまれ候とも即座(そくざ)に一服(いつふく)御用(をんもち)ひ  候へば立所(たちどころ)にいたみをとめど毒気(とくき)をくだし治(ぢ)する事(こと)  妙(めう)なり尤(もつとも)常(つね)の犬(いぬ)のかみたるにもよし右(みぎ)かまれたる犬(いぬ)  の毒気(どくき)のぼりていきづかひはやくなり候へば薬(くすり)用(もち)ひ  てもきゝめなし又(また)甚(はなはだ)しき病犬(やまひいぬ)にかまれたるには其(その)  人(ひと)薬(くすり)用(もち)ひ候へば大ねつ出(いで)てくるひ候ものなり其時(そのとき)病(びやう)  人(にん)の手足(てあし)をおさへ又(また)くゝりをくもよし小便(せうべん)ニ毒気(どつき)下(くだ)る也  常(つね)の犬(いぬ)なればねつも狂(くる)ひもなし其外(そのほか)包紙(つゝみがみ)に委(くは)しく 右(みぎ)何(いづ)れの薬(くすり)も方剤(ほうざい)不浄(ふじやう)の薬(やく)品寒薬(ほんかんやく)の類(たくひ)一切(いつせつ)用(もち)ひ不申(まうさず)候以上    《割書:大坂北久太郎町二丁目北側》 調合所  日和佐屋宇兵衛製 【菊紋】神仙不老円(しんせんふらうをん)《割書:壱剤|代銀八匁》 ○心気(しんき)を焦燥(いらつ)人(ひと)常(つね)にのぼせつよく首筋肩(くびすぢかた)の廻(まは)り凝(こり)てやまひ 立(たち)ぐらみし又は心気(しんき)をつかふ事(こと)過度(ほどをすこ)して心痛(むねいたみ)物事(ものごと)気(き)にかゝり又 纔(わづか)の 事(こと)にもおどろき易(やす)く夜(よ)は寝(ね)ぐるしくて少(すこ)しね入たるとおもへばいまはしき 夢(ゆめ)を見(み)自汗(ひやあせ)盗汗(ねあせ)出(いで)動気(どうき)強(つよ)く根気(こんき)薄(うす)くして物事(ものごと)退屈(たいくつ)する症(しやう)ニ用(もちひ)てよし ○肝気(かんき)亢(たかぶ)りてさしてもなき事(こと)に腹(はら)たち安(やす)く或(あるひ)は物(もの)かなしくなり左(ひだり)の わき腹(はら)つかへいたみ症(しやう)に用(もち)ひてよし○脾胃(ひゐ)弱(よわ)き人(ひと)食物(しよくもつ)あたり安(やす)く 或(あるひ)は不食(ふしよく)し又は食物(しよくもつ)すゝみ過(すぎ)て腹(はら)くだり又は腹(はら)はりあるひは秘結(ひけつ)し 脱肛(だつこう)出(いで)て痩(やせ)おとろへる症(しやう)に用(もち)ひてよし○肺気(はいき)不足(ふそく)し常(つね)に咳(せき)いで ねばき痰(たん)を吐(はき)は或(あるひ)は痰(たん)に血(ち)まじり熱(ねつ)のさし引(ひき)ありて労咳(らうがい)の症(しやう)になり たるに用(もち)ひてよし○腎気(じんき)おとろへて陽物(やうぶつ)の勢(いきほ)ひよわく精(せい)もれ安(やす)く 腰膝(こしひざ)いたみ或(あるひ)はひえ又ちからなく陰虚火動(いんきよくわどう)して頭(かしら)ふらつき逆(のぼ) 上(せ)つよく昼(ひる)より後(のち)は気分(きふん)あしく耳(みゝ)なり眼(め)あしく歯症(はしやう)よろし からぬ症(しやう)に用(もち)ひてよし○其外(そのほか)老若(らうにやく)ともに持薬(じやく)として平生(へいぜい)これを 用(もち)ゆるときは無病長寿(むひやうちやうじゆ)の楽(たのし)みを得(え)ん事(こと)疑(うたが)なし誠(まこと)に神仙(しんせん)の 霊薬(れいやく)なりくはしくは能本別(のうほんべつ)に有之候       《割書:大坂高麗橋八百屋町角》 地黄丸製法所 本家 大黒屋製 印 例年之通土用の入より十日の間  六味地黄丸 三匁七分  八味地黄丸 五匁五分  神仙不老円 六匁五分   右之直段ニ而差上申候但し切手ニ而も差出し申候 《割書:大|天|地》《割書:  陽|心 日 風|  火》《割書:あつからでみみちびくきうはちとのまぞ|天真中導灸|やみてなやめるかぎりしられず》 一昼夜ニ天ノ気吸吐キ一万三千 五百息地ヨリ出ル脈数八万四 千二百余合九万七千七百余 息通中人ノ形小天地 是ヲ十万遍ト云常ニ神儒仏諸 経トス命ハ本天ノ気来リ又天ニ帰ル 是命をつなぐともつなの灸也 一 恐多(おそれおほく)も天利(てんり)の陽道(やうだう)を以(もつて)難症(なんしやう)悉(こと〴〵)く療(れう)す諸病(しよびやう)の根本(こんほん)は皆(みな)  気(き)より生(しやう)じ腹中(ふくちう)に衆熱気催(もろ〳〵のねつきもやうし)色々(いろ〳〵)諸症(しよしやう)に変(へん)じ難症(なんしやう)と成(なり) 《割書:家伝|薬王》奇応丸《割書:京油小路通仏光寺下ル太子山町|西側北ヨリ三軒目松屋与兵衛》 ・■気付ニ吉とんしニ用よみかえ■ ・しよくしやうニ吉腹つよくいたむニ吉 ・むししやくたんニよし ・くだりはら白はら■はら共ニ吉  但シきうにとむるニ不有 ・くはくらんいか程つよきニもよし ・むね虫ニ吉気のつきつかへたるニよし ・なんさん子生りぬるニ用テ生る  ゑなおりざるニ用テ下ル ・惣シテ血道ニ吉さんぜんさんごたとい  血おこり気ちがひたるニもよし ・小児きやう風何程つよきニも三粒  ツヽ四五度用てよし ・ほうさう出かぬるニ用て心よく  出る同色あしきニ妙也 ・何病共しれずいろ〳〵りやうしシテ  きかざる煩ニよし ・食物さし合なし ・諸の毒をけす ・小児むし一切ニよし ・おこりニ吉いか程久しくふかひお  ちかねたるニよし五粒ツヽ用ゆ ・中風ニ吉けんうんによし ・金瘡血とめニは五粒かみくだき  水ニテとき付候へは忽血とまるなり ・目まひたちくらみニよし ・づつうシテ心あしきニ用吉 ・酒舟かごのゑひニ用てよし ・打疵はれたるニは四五粒水ニテ  とき鳥の羽ニテひくべし ・一切どく虫ニくわれたるニ水ニテ  ときつけてよし ・牛馬のわづらひニ用て妙まり ・但シくわいにん六ヶ月まへは  いむべし 右大人小児とも諸病ニ用テよし何さゆニテ用テよし 処々ニ類かんばん多ク出申候間御吟味被遊御もとめ可被下候                 手前ゟ外出店出不申候 龍虎円(りうこゑん) 一第一気付水にて用ル 一きやうふう  同 一めまひ立くらみ 同 一しよくしやうさゆにて用ル 一こ■■はら  同 一つかへ    同 一むねのいたみ 同 一くわくらん  同 一くだりはらニは■の■ゆ 其(その)苦(くるしみ)を?(のかれ)んがため終(つい)に百薬(ひゃくやく)を