御誂染長寿小紋 【参照資料:国会図書館デジタルコレクション>日本名著全集 江戸文芸之部>第11巻・黄表紙廿五種>御誂染長寿小紋 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1018497/356】 ●模範解答付きコレクションは、国会図書館が公開する翻刻本を参照資料として、自分で答え合わせをしながら翻刻を進めることができるコレクションです。 ●参照する翻刻本では、かなを漢字にしたり、濁点や句読点を付加するなど、読みやすさのために原書と異なる表記をしている場合があります。入力にあたっては、「みんなで翻刻」ガイドラインの規則に従い、原書の表記を優先し、見たままに翻刻して下さい。 ●参照する翻刻本と原書の間で、版の違いなどにより文章や構成が相違する場合があります。この場合も原書の状況を優先して翻刻して下さい。 【右丁】 御誂染長寿小紋 【左丁】 命(いのち)といふ字(じ)は誰(た)が書(かい)た。素服(しろむく)ぬいで見せさんせ。嗚呼(あゝ)あんまはり けんへきも。百万両(ひやくまんりやう)の分限者(ぶげんしや)も。大切(たいせつ)なは命なり。しんそ命を総(あげ) 角(まき)も。助六(すけろく)がために苦労(くろう)をすれば。命をちゞむることあり命あつ てのものだねなれば。金をのばさんより命をのばさんにしかじ。 命(めい)は食(しよく)にあり。餺飥餅(ぼたもち)は棚(たな)にあり。命(いのち)は養生(ようじやう)にあり。養(よう) 生(じやう)は心(こゝろ)にあり。一心命(いつしんいのち)の花繍(いれぼくろ)。のろくなるのはいらぬもの。長(ながく) てわるいが鼻(はな)の下(した)。ながくてよいが命なりけりさよの中山 餳(あめ) の餅(もち)より甘口(あまくち)な。此(この)草紙(さうし)をみて笑(わら)ふて命をのばし玉へと。 筆(ふで)の命(いのち)毛(げ)なが〴〵しく。かきつけ侍(はべ)り  享 和 二 年 壬 戌 春  山 東 京 伝 戯 記【印】 【右丁】 【上段】 ぜにかねにも かへられぬもの はいのちなり よの中に大 せつなるもの をいのちから 二ばんめといふ さすれば命 ほどのたから はなしその いのちといふ ものどこから でるぞといふ にてんちざう くわの神お ほくのいのち を仕入てと ほり天の一丁 めにみせをい だしていの ちのといや をし玉ふ 【下段上部】 そうくわの神古 今人のいのちのた なおろしをし給ふ 〽神代のじぶんはむ しやうにいのちがながいから かんじやうにてまがとれる 〽ひこほゝでみの みことはさるが六十三万七千 八百九十二さいうがやふきあはせす のみことは八十三万六千四十二さい だこのやうなながいいのちは おきどころにこまるくらしきが たんとでゝはかんじやうが ひきあはぬぞ 【下段下部】 いのちは人 ばかりにあら ずちやう るいちくるい うほむし けらさう もくに いたるまで それ〳〵に 仕入あり つるかめの ながきいの ちぶゆう のいちごの みじかき松 のちとせ あさがほのひ とさかりみな さだまりのい のちなり 【左丁】 【上段】 ○木火土 金水の五 ぎやうはいの ちのばんとう なりこの五 人にていのち をうけもちに してしはいする ゆへにすべて人 のいのちは木火 土金水のばん とうもちなり 一人かけても いのちまつた からず 〽いのちの仕入 ふちやうがついて かたなかけのやう なものにかけてある 【中段】 〽日月の ものさし にて命 のなかみし かをはかる 【下段】 〽はんくわのちは 人のやうじやう がわるうござ ればたふんみ じかい命が うれます とかくな がいいのち はいなか むきで ござり ます 【右丁】 【上段】 いのちといふものふとくじやうぶにみへ てもみじかきありほそくて よわ〳〵したるにもながき ありみかけにはよらぬ ものなり 〽一代のまもりほんぞん わがあづかりの子の うまれるたびにいの ちのとんやへきたり 玉ひそれ〳〵の いんゑんにしたがひて あるいはながくあるい はみじかきいのち をかいとりてさ づけ玉ふすこ しもゑこひ いきはなされ ずとかくなが みしかはさだ まれるいんゑん なり 〽いのちばか りはうりかい にならぬと いふはもつと もなりいの ちをうりかひ 【中段】 〽八まんさまおうま にてかいにき玉ふ 【下段】 〽ふげんぼさつきをつけ玉ふ 小象(こぞう)よそのさげている 命をだいしにもてふと くじやうぶ なやうでも ほつき りと おれ るぞ 〽はやの勘午にさ づけるいのちは三尺 にたるかたらず てよいしなの やのおはんにさ づけるいのち 【左丁】 【上段】 にし玉ふは かみほとけ ばかりなり 〽おとこのいのち は二十五と四十二 女の命は十九 と三十三 これらは やくどしと いゝて人が きらふゆへ にねたんや すし八十八 はよねのまもり とて人がめで たかるゆへねたん 高直なり七十八 十の命もよい〳〵 になりこしがぬ けたりてあしが きかなんたりろう もうしたりすれ ばいきているかひも なきゆへたとへいのち がながくてもこれら はこれらはひけもの にてねだんかくべつ やすし 【中段】 〽ずいふん たけのながひ じやうぶなしま がらのよいいのち がほしひ 〽七十 古来(こらい) まれなり と申せバ七十       こくう よりいしやうの       ぞうぼ いのちはたし          さつ なうごさり ます 〽こくう ぞうさまはこ くうにおねぎりなさるでこまるぞ 【下段】 を一尺四寸  八百屋お七  にさづける     いの     ちを   一尺五寸    もらひ    たいと   ふどうさ   まはん   ゑりか    そで口    をかふ    きど     り     なり 【右丁】 【上段】 とうぼうさくが命は九千丈うらしま太郎は 八千丈三浦大介百六丈みなこれ天より さため玉へる今命にてかみほとけのおさい かくにとものびちゞみのできにくきもの はいのちなりしかしながら善をなせ ばみじかきもながくなり悪を なせばながきもみじかく なるとかく一心のもちやう にてのびちゞみも又 なきに あらず 〽とうぼうさくが 命はやりのごとし うらしま太郎が 命はだいがさの ことし三から のおほすけ が命はた てがたのごとし 此三いろはおもて たちたる大せつ なだうぐなり いのちもまた 人のために 大切なだう ぐなりがてんが     〳〵 【中段】 〽おれがいのちを やりにたとへたは命 をだいじにしろやりばなしにするなと いふことた 【下段】 ほうそか命はくじらざし にて七百丈ばんくわいがい のちはかづさもめん にてじやうなし ながいも あれば みじ かいも あるは八百や のゑんのし たと人の 命なり 【左丁】 【上段】 ばくやがいかぎももちてに よりながいいのちをきづかり て其もちての手をきが わかければちらとでおれ たりさきをちゞめたりする ことありこれみないつ心の もちやうあしくまたはふ やうじやうなるか災なり いのちといふものはたとはゞ いあいぬきのかたなのごとし たいじのいのちをこしに さしてたかいところへあ しだはいてのほり ながい命をぬいて ふりまはすやうな ものなれば命ほど あぶなきものはなし わるくするとふみ はづしていのちを うしなふことあり ようじんせすんば あるべからず 【中段】 〽命をかへす はんぶんくらい 用なら此あいだ そりやそこで もいのちが おしいとおつ しやるあそ こても命が おしいとおつ しやるこりや やつとうか〱 していのちを ぼうにふるな 【下段】 〽はいやい さやうで こざい 〽いのち のかま には んのお もり あり 〽きどあいらくといふやつがかさ なるといのちをあぶなくする だうぐ なり 【右丁】 【上段】 いのちといふものは ておきがたいしなり 一心のてをきがわるひと いかほどなかき命を さづかりてもわれと わかでにちゞめること ありいかりはらた ちゆくいかはいゝよ ろこびかなしみおし いほしいのたぐひ みないのちをちゞ めるやくしやなり 〽おれが命と 思ふ此かへだのあはせ をまげてかうかつほだ まけさつせへな 【中段】 〽七十五日いきのび やうとおもつてかふに かたみとはきにかゝる 思ひきつて一ぽん かうべい 〽せけをかむやうなかつほだ 一 ̄トきれがやかつて百に つひている百まても いきやうか 【下段】 〽それごらふがつ いきてゐるいほだ 〽となりては はつかつほで いきのびるつもり だがこつちどらは ずのまずはら よしはらでいのち をのはすおれか 命はよくのひる いのちたがとかく 子ともらがな にかにつ けておや のいのちを ちゞめをる 〽かゝアにはなげを のばすとちがつて 命をのはすはてまが とれる 【右丁】 【上段】 〽余をのばさんとて きん〳〵をふんだんに つかいうへなきたのしみ をしてもしりのつまら ぬことあればのはした 命かへつて十そうばいに ちゝまることありくはず ひんらくといふことわさも ありせつちんの湯ごから 梅がゝをしたいこいふねて 月見をし土用まへにほとゝ ぎすをきくほんすきに はつかつをくはひせかき ふねの夕すゞみ日れんき のしばゐけんぶつせつたい ぢやをすゝりなからやき たんこをしてやりこはだの こぶまきでどひろくをひ つかけてもたのしみに二 いろはなしこゝろさへ やすければいのちののび ることあたかも小むめの せたけたぬきのきん玉 当風にあてたりあめ のごとし 【中段】 〽梅がへも かつたわいナア とししていはぬはしち はよつぼどおくましき ものとみへたり 〽けふはよくいのちが のびやしたしたが おまへももふ五十 ぢかいせへか ところ〴〵いのち にしわがより やした ひのしを かけ や しやう 【下段】 〽かつさんおめへの 命は あわの やうだ いうに こんな〳〵 【右丁】 【上段】 よの中に命ほどだい じなものはなけれども そのいのちとつりがへ なものはかねなり かねとつふやつがゑて は命にもおよふものにて かねにいのちをとられた ̄ト ことのむかしからかぞへつく しがたし 〽命はながいほどがよけれ どもとしよりて子なく かゝろふしまもなきみに てつけ〴〵とながいきする も又みじめなものなり これはひつきやう 命にてあしを からめられる だうりなり 〽わしがていしゆは 水くわしうりで こがない〳〵といつ てうりありき とふ〳〵子がなく てわしがこの さまになりました 【下段】 〽命とつりがへにせねは かねもちにはなられ ぬたとへ命にかへて もたゞほしいものは かねだのはがふ くりた 〽金にからみがかつ〳〵ごさ るおやの金をつかふときは かきやうむちうとひゞく なりおのか金をつかふとき はしじう滅亡(めつぼう)と ひゝくなり正 じきりち ぎの帳あい はかくべつき らくとかせく なりきひて おどろく人 もなし 【左丁】 【上段】 女はしうねんのふかきものにて へびとなりじやとなりしたりや しおほくだうじやう外のゑん ぎでもみなさまごそんじのこと なり女の一心のへびめがべにちよく をなめたねこのやうにくれ なひのしたをべろり〴〵と だしかけぬりだんすの びやうのやうなめを ひからせときすてた まるぐけのやうにの たつて男の命を とらんする かるがゆへにう つろゝき女を ほめて命とり めとは申すなり 〽すかぬことをは いわしやんすいかになが れのみじやとてもこゝろ にふたつはないわいなと ふるへごゑになつてほろ〳〵 とひざのうへゝこぼしたる なみだはあたかもへびのたまごのごとしそこでつひには 男の命をとりおはんぬなんぼうかおそろしき物語(ものかたり)にて候 【下段】 けいせいは よいから道 びをつかひて よりつかず きやくはあつ くなりもふ かへる〳〵と いふところを なんだへばか らしいとあ たまからのん でかゝる とかく 女は男 の命 とり なり 【右丁】 【上段】 さけといふやつ は人の命をけづ るこがたななつ ゆへにさけをの むことをけづる といふかつほぶし のやせるもけづ るゆへなりよう じのほそく なるもけづるゆへ なり松いたのうす くなるもけづるゆへ なりかつほぶしもs やうじも松いたもかけ がへあり人の命には かけがへなしけづつただけは うまることなし 〽さけで命をけづるはこがた なでけづるやうなものなれば まだいのちのへるてまがとれ るけれど女といふやつは男の舎 をけべるかんななればだんじの うちに命がへるなりようじんす べし女は命のてきやくなること あたかも金にやきみそなめ くじにしほ水かつはにわちう 【中段】 〽もふのめねへ これだ   〳〵 【下段】 命をけづるとしりながらどふ もさけがやめら れねへどう するもんだ のみやうじん さまへでも ぐわんがけ をしやうか 〽さあいゝえ だもふ一つ のめのわか くさとし 玉へつぎす てられた かんざま しはあ けて しまふ がいゝ はくはね さけのあぢ しらずだ 〽岩田の 〈すやまはよく のめるぞ 【左丁】 【上段】 さんのごとし 〽此女中岩井喜代太郎が ぶたいがほときて うつくしき うへにてが たんとあれ ば男の命 をけづること つけぎや のごことし 〽こんやは又うちでおかみ さんとちわつておそひ のかへたゞしおぢらしかへ おかたじけ などゝいはれる たびに 命がけ づれる 【下段】 〽いたをけづゝたかんなくずはまだ たきつけにでもなるが命を けづりたるかんなくづはたゞ おいしやさまのやくだいと なるのみなり 〽いづれ命(めい) すうはさま 〴〵にある がなかにもわ づかのいのち だまゝの 川〳〵 【右丁】 【上段】 道行(みちゆき)仇(あだ) 寝言(ねごと)夢(ゆめ)の 浮橋(うきはし) あく玉がなにぞと人 のとひしときつうと こたへてきへなまじ ものおもはする秋 のくれむこう とふるは清十か郎 じやないかかさや さんかつ半七と いひかわし たることのは もそりやかわい のじやないにく ふとんいまきり かけたはあにさん かあぶない〳〵の ことなからおなかの やゝもはやみつきは つかあまりに四十両つ かひはだして二分のこる 金より大じな此いのち すてにゆくとはだいたんな とんだちやがまじやないかいな 【左丁】 【上段】 やかわんとみせてほうかふり むかしのことならばとのやうに しやうもやうは たつた川 高尾も びくにも いろの道 ふみまよ うたる こいの道 いんぐわ じやね いと柳 つながる えんや ぬへのを のへびを つかひて これまで もいきの ひたのがと くわかにこ まん才三 におごま さんしま さんこんさ んなるたんほ一寸 さきはまゝの川 つひの命のすて所いさかしこへといそぎゆく 【右丁】 【中段】 〽おまへはよい所へきが つきなすつた命 をすてるさうだんは まあ七八十ねんのば しやしやう 忠臣水滸伝(ちうしんすいこでん)《割書:京伝作|かうへん五さつ》 当ねん出来うり出し申候 【下段】 〽此さくしやはみち ゆきのゆめをみた そうてもんくはあ たかもねごと のごとしだ 〽とてもわしは すてねば ならぬい のち 所を すて ずにこゝ から内へ かへるほど にそなた はあとに とゞまつ てすてる ともとう ともしやれ 【左丁】 【下段】 ○京伝店しんもの御ひろう △定九郎くすべがみた ばこ入品々 〽これはてあたりがはぶたへ でようくんいろなるゆへ にかくなづけ申候 △ゑんしう形(がた) △ふつき形 △立身(りつしん)形 右御多葉粉入 しんもの此外品々 しんがたあり■■■■ にもめづらしき新 がたいろ〳〵あり くわしく占しる しがたし 【右丁】 【上段】 ある人さけにゑい ひよろ〳〵しながら 川ばたをとふりふみはづ して川へはまり命あや うくそへたるところに おりよくとん〳〵とうがら しうつとふりかゝりあ やうき命をひろいあ けるからき命をひらう といふことはこのとき よりぞはじまりける  〽ひりりと  からいがさん  しよのこひよろ  りとながいはた  しかに人のあ  しであんがい  これは七いろ  とうがらし  ではなく  てなまへ  のごうさらしにni   〽あゝあぶ内(なひ)といふやつと   さんさけによつたと   みへるはへ 【下段】 〽からだはしづむ命はむかしばなしの            もゝのやうに            ながれて              ゆく 【左丁】 【上段】 〽命を玉のをそ いひて命のほそ きこといとのごと ぐまた露(ろ)命と いひて命のもろき ことつゆのごとし くものゐにあれた るこまはつなぐと もつなぎかねるは 命なり 〽いのちながげれば はぢおほし四十に してしなんこそめ やすかるべけれとけんこう ほうしのかきのこされしも うべなるかなながいきをして はぢおほきはひつきやう命 のためにくるしめらるゝがご とし 〽一ツべつついのほそきけふりの いとをもつてろめいをつなぐは 千ごくづみのふねをきぬ いとでつなぐよりも なほあやうし 【下段】 〽おれはなか〳〵 のちうにんも のではない ながいきの ごうめんもの      だ 【右丁】 【上段】 命といふやつがとき〴〵 せんたくせぬとよくあかぼん のうにけがれてあぶらやの ぞうきんのごとくよごれ つひには命がねぐたるもの なりしかしいのちのせんたく もあらひすぐせばてのかは をすりむきないしやうが ほころびてしんだいのぢ あいがわるくなる ものなればその ほど〴〵をかんがへ てせんたくすべし かならずあらひ すぐすべからす 〽こゝろにしは みのこらぬやう に命のせんたく をするのだじゆ ばんなら一もんぢ【がヵ】 のりですむが命 のせん くには 小ばん金で なければのり 【左丁】 【上段】 がきかねへ 【右丁】 【中段】 〽おやばか らしいかぜを ひきなんしやう      にへ 〽ゆやでふんどし のせんたくする きどりだぞ 【下段】 〽これがほんの金を ゆみづのやうに つかうといふのだ なんときついか     〳〵 命のせん〱たく とはいふものゝ じつはふられた はぢをすゝぎ だすのさ 【左丁】 【上段】 ねた 〽さても見事や ふりもよしはだ かすがたのかはゆう しさまのしめ たるふんどしは なにと申スふん どしぞ 【下段】 〽ちりから   〳〵   すた   〳〵   ぼう    す 【右丁】 【上段】 命のせんたくもしす ぐせばおほみそかに かけとりがやろうの とうがんぶねか五百 らかんのげんぞくし たやうにつめかけせつ かくひきのばした 命をいつときにちゞ める 〽命のちゞむにも いろ〳〵あり女ゆへに 命のちゞむをなり ひらちゞみといひ金 もちのいのちのちゞ むをふくらちゞみ といひくいもので いのちのちゞむを したきりちゞみと いひちやじんのいのち のちゞむをすきやちゞ みといひかすりばかり とりたがる人のいのち のちゞむをゑちごちゞみ といふきぬちゞみもめん ちゞみにもそれ〳〵にいわ れあるべし 【下段】 〽まへのしう つまんでこ みじかく りくつを いわつせへ だん〴〵あと にりくつが つかへている 〽せつかくのば した命が ろくろくびの よあけがた しぼりばなしの まげゆわひ さむいばん のき玉の ごとく ちゞまつて しまつた かなしや  〳〵 【左丁】 【上段】 なめくじはかいるをおそれ かいるはへびをおそれへびは はなめくじをおそれきつね はかりうどをおそれかりう どはしやうやをおそれ しやうやはきつねをおそ るのみしらみのおやゆ びをおそれるもみなこ れ命がおしきゆへ也 さればむやくのせつしやうし ものゝ命をとるべからず 〽はなしがめはなしうな きはなしどりなど命 のおやにおんをかへし たるためしおほし 〽そばからかめがこれ すゞめ此いはゐにちつ とおごりやれといへば すゞめがおふさてがつ てんじやありやせこりやせ やつとせよい〳〵といつてうれ しがるこれをなづけてすゞめ おごりといふ 【下段】 〽あなたは命の おやでごさり ますとうれ しなきに めそつこう なぎは めそ〳〵と なく 【右丁】 【上段】 くるまの命はくさびなり あふぎの命はかなめ からかさの命はろくろ なりふうりんの命 はたんざくなりおや船 に命づなありたび びとに命がねあり いづれ命はたいせつ なるものなりしかるに こいはくせものにて そのたいせつなる命 もこいゆへにはうしなひ やすし思ふ男を命 にかけてきよみづの ぶたひからとびおりる もみなこいといふ くせものゝしわざ なりおそるべし 【中段】 〽まんいちぐはんのかなはぬときは かはゝやぶれほねはみぢんになる からかさにはふるぼねかひもあるが命の古(ふる)ぼねは何(なん)にもならぬ 【左丁】 【上段】 〽さむらいの命はたとへば べんとうもちのべんとう やりもちのやりのごとし なぜといふにべんとう もちのべんとうは わがもつながら わがものにあらす やりもちのやりも まさかのときは だんなのもの なりさむらい の命はかねてきみへ さしあげておく 命なればわが命にて わがものにあらず ことあるときは 命をまとにかけ てはたらかねば ちうぎの 人といわ れ ざる なり 【下段】 〽ちうぎにならでは すてぬ命とは加 右門がきんげんだ 〽命はだいじのもの だがちうぎのた めにはかるひ よの中にちう ぎほどおもひ ものはないぞ 【右丁】 よの中にいしやほど大じの わざはなしいしやは人の命を あづかるものなればすこしも ゆだんのならぬわざなり 〽おいしやさまみやくのこう しやくをし玉ふ 〽りやうぢはだい一 にみやくの見やう がかんじんでござる しんつうのやまひで をり〳〵むなさきで ざつwa くりwaばつたり とどうきのうつ みやくをなつけて ひやうしみやくといふ かみがたでははやみ やくともいゝますこ れはりやうぢのき つかけがむつかしう ござる又女中など つよいみやくでおり〳〵 つかへるしやうのみやく をなづけてみやくづかへ といひますひやめしが きつひどくでござる又 しやうによつてすこし のうちにいろ〳〵かわる 【左丁】 【上段】 みやくがこさるこれをなづけてはやがはりのみやくと いゝますかぜひきにひつかへしのみやくといふがあるこれは はりをつなぎにうつていねばならぬ又ねつがつよくてこのばは 此まゝたちわかれんかた〴〵さらばなどとういことをいふをつらみやくともかたしやぎりの みやくともいふにしづんでうつをくろみやくともだんまりのみやくともいひきびしくうつを ちよん〳〵みやくといひます 〽おい しや のあづ かつたる 命 名まへの ふたが ついてかべに かけてある 〽此ごろは びやうにん がおほくて あづかつ た命 のおき所に こまりますて 【下段】 〽きん〴〵を 人にあづけ るにはきつ としたし やうにんを たてしやう もんをとら ねばあづ けぬに金 より大じ な命を いしやにあづ けるにはたゞ さじ一ぽんが めあてなり さりとはあぶ なきあづけ ものなり 【右丁】 【上段】 りやうけんが わるいとわづかの ことにはやまつて 命をうしなふ ことありは きやうふた たびてらさ ずらつくは ふたゝびこんだ にのぼらず いちどすて たるいのち ふたゝ びもどる ことなし 〽わしが此さでゞ 命をすくつて しんぜやうさで〴〵 あぶなひことじやと きやうなときはぢ口 までがこじつけなり 〽しちのながれるはりあげも できるが命のながれるしかたがない 【左丁】 いらざることをくにやんで 命をちゞむべからず命あつて のものだねなりしんで はなみのさくことなし 金のつるにありつゝも 金のなる木をもと めるもなのたかく なるもしそんの はびこるもみな 命がながくなけ ればだいじを なしがたし 〽うれしや〳〵 おれもことし 八十八になるが 金のつるもだい ぶんのびがみへる なもことのほか たかくなつててん じやうへつきぬけそふだ しそんもだいぶんはびこつたはへ なるほどいのちがものだねだぞ 【右丁】 【下段】 みづゝ ぱなの ながれ るは すてる がよし 命の ながれ るは すく ふが いゝ 【右丁】 くは命がものだねなれば とかく命がながくなけ ればだいじはなしがたし その命をながくする にはよくいのちをやし なふにしかじ命を やしなふはさうもく をやしなふ がごとく すべしつねにせいけん のしよもつのしろみづ ほとけのきやうもんの せんじしるをかけて りよくのあぶらむし みやうもんのけむしを さり心をもちひてやし なへば命よくそだちのび〴〵 としてさいわひのはなさき ふうきのみのりしそんの ゑだはしげり千ざいの 老松のごとく ときわの 大木となり 名木のほまれを のこすことうたがひ 【左丁】 【上段】 なしゑだもさかへて はもしげるちよのこ おめでたやとは此こと なり 〽せんどしよくわい のみたてのとき客 の金をせしめんと こたつのかげに より玉ふこの きやくにわかに だいぞくと なりへどをつき てをならししん ぞかふろとふざ けしより客を きやほと申 すとかや 〽それは老松 のもぢりこつ ちは命といふ じの松の木 がねづよくなつ てどんなかせがふい てもをれるきづかひは           ない〳〵つふりだ 【中段】 〽松はつらひとみな おしやんすけれ どな命のなが いは松のこと      だ 【下段】 〽命といふ木はたがうへた しろみづかけてみせ さんせあゝあん まりなと 此ぢい さま 江戸ぶし をもちつと はうなつた 人なり 【右丁】 【上段】 命のくすりといふはわらつて くらすほどのくすりはなし 此ゑぞうしをごらふじてわらひ 玉ふこどもしゆは命がのびて ながくなり命のおきどころ にこまり玉ひたこのやうに 命のしつぼをいとまき にまいておくほどのこと なりさればはつはるの御しん もつおんとし玉にもこの うへのめでたきさうしは なしまことにゑんめい 長寿のけさくなり こひやうばん〳〵 【中段】          清覚世          道人伝方        読書丸(とくしよくわん)《割書:一包代|一匁五分》【読書丸は四角囲み線】      きこんをつよくしものおぼへを     よくしがんりきをつよくしものに    たいくつしたるによし又うつきを   はらいきぶんをさわやかにすきにしやう  うつしやうの人用てよし又旅行にたくわへて ゑきおほしくはしくはのうがきにあり                  売弘所京伝店 【下段】 京伝戯作【京伝戯作は四角囲み線】  哥麿画   なかほど此本   は命ののびる    ほんだ     おかしい〳〵      あはゝ〳〵〳〵        〳〵      とわらふ      たびに      命が       のびる       やつさ