【表紙】 全五冊 合二本  貞巻  別巻  蝦夷拾遺  下 【見返し】 【見返し遊び紙】 【見返し遊び紙】 【扉】 蝦夷拾遺     貞             月■【日ヵ】 【朱印】■■文庫 【朱印】  BIBLIOTHÉQUE・NATIONALE・SSW・ R.E 【扉裏】 【遊び紙】 【遊び紙】 【遊び紙】 【遊び紙】 蝦夷拾遺貞之巻      為譏君美遂穿鑿盡松前氏【朱】   雑説 系譜孔子曰索隠行怪後世有述焉【朱】      吾弗為之矣【朱】 荒(アラ)井(ヰ)君(キミ)美(ヨシ)蝦(カ)夷(イ)志(シ) ̄ニ嘉(カ)吉(キチ)三(サン) 年(ネン)若(ワカ)狭(サ) ̄ノ守(カミ)源(ミナモト) ̄ノ信(ノブ)広(ヒロ)越(コヘ)_レ海(ウミ) ̄ヲ入(イツテ)_二 于 夷(イ)中(チウ) ̄ニ_一遂(ツヰニ) ̄ニ取(トツテ)_二南(ナン)界(カイ) ̄ヲ_一以(モツテ) ̄テ定(サタム)_二北(ホク) 【印】D.P.Monriet  YOKO-HAMA 地(チ) ̄ヲ_一従(ヨリ)_レ夫(ソレ)以(イ)来(ライ)子(シ)孫(ソン)世(セイ)々 其(ソノ) 地(チ) ̄ヲ拠(シヨ)守(シユ) ̄ス信(ノブ)広(ヒロ)若(ワカ)狭(サ)国(ノクニ) ̄ノ人(ヒト)初(ハジ) ̄メ 武(タケ)田(タ)太(タ)郎(ラウ) ̄ト称(シヤウ) ̄シ後(ノチ)蠣(カキ)𫶓(サキ) ̄ト称(シヤウ) ̄シ又(マタ) 改(アラタメ) ̄テ松(マツ)《振り仮名:歬|マ《見せ消ち:ヘ|イ》》 ̄ト称(シヤウ) ̄スト云(イ) ̄ヘトモ此(コノ)義(ギ)不(ズ)_二分(フン)明(ミヤウナラ)_一 《振り仮名:松|マ《振り仮名:イ|[ツ]》》前(マイ)家(ケ) ̄ニテハ寛(クハン)永(エイ)十(ジウ)四(ヨ)年(ネン)丁(ヒノトノ)丑(ウシ) 春(ハル)三(サン)月(グハツ)記(キ)録(ロク)焼(セウ)滅(メツ) ̄シテ不(ズ)_レ詳(ツマビラカナラ)《割書:ト》云 南(ナン)部(ブ)及(ヲヨ) ̄ヒ松(マツ)前(マイ) ̄ノ俗(ゾク)伝(ツタヘ) ̄テ語(カタ) ̄ルニハ昔(ムカシ)南(ナン) 部(ブ)家(ケ) ̄ノ余(ヨ)士(シ)奥(ヲウ)州(シウ)北(キタ) ̄ノ郡(コヲリ)蠣(カキ)𫶓(サキ) 村(ムラ) ̄ニ住(ジウセ) ̄シ人(ヒト)島(シマ) ̄ニ渡(ワタツ) ̄テ衆(シウ)夷(イ) ̄ヲ徇(シタガ) ̄ヘ上(カミ) ̄ノ国(クニ) ̄ト 云(イフ)所(トコロ) ̄ニ居(キヨ) ̄ス此(コノ)人(ヒト)新(シン)羅(ラ)三(サブ)郎(ラウ) ̄ノ末(バツ) 葉(エウ) ̄タルニ ヨリ武(タケ)田(タ) ̄ヲ称(シヤウ) ̄シ後(ノチニ)改(アラタメ) ̄テ古(コ)郷(キヤウ) ̄ノ 地(チ)名(メイ)蠣(カキ)𫶓(サキ) ̄ヲ名(ナ)乗(ノ) ̄ル其(ソノ)後(ノチ)若(ワ)狭(サ) ̄ノ 国(クニ) ̄ノ人(ヒト)島(シマ) ̄ニ来(キタ) ̄リ彼(カノ)蠣(カキ)𫶓(サキ)家 ̄ニ羇(キ)食(シヨク) ̄シ 家(イエ) ̄ノ娘(ムスメ) ̄ト通(ツー) ̄シ遂(ツイ) ̄ニ聟(ムコ) ̄ト成(ナツ) ̄テ別(ベツ)居(キヨ) ̄シ子(シ)孫(ソン) ̄ニ 至(イタツ) ̄テ松前(マツマイ) ̄ニ徙(ウツ) ̄リ蝦(カ)夷(イ) ̄ヲ従(シタカ) ̄ヘ酋帥(ツカサ) ̄ト成(ナル) ̄ル 《割書:今(イマ) ̄ニ此(コノ)旧(キウ)例(レイ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ年(ネン)々 元(グハン)旦(タン) ̄ニハ村(ムラ) ̄ノ小(コ)使(ツカヒ) ̄ニ濁(ニコリ)酒(サケ) ̄ヲ為(セ)_レ《振り仮名:造|ツク《見せ消ち:ラ|リ》》置(ヲカ)【注】志(シ)摩(マノ)守(カミ)|《振り仮名:菅菰|ヱソムシロ・スケノムシロ》 ̄ニ坐(ザ) ̄シテ蝦(カ)夷(イ)椀(ワン) ̄ヲ杯(サカツキ) ̄ト シ彼(カノ)小(コ)使(ツカヒ) ̄ニ酌(シヤク) ̄ヲ取(ト) ̄ラセ濁(ニコリ)酒(サケ) ̄ヲ汲(クミ) ̄テ蝦(カ)夷(イ) ̄ノ饗(キヤウ)宴(エン) ̄ノ》 《割書:如(コト) ̄クシテ寿(ジユ)式(シキ) ̄ヲ調(トヽナ) ̄フ今(イマ)其(ソノ)席(セキ) ̄ニ|出(イツ) ̄ル小(コ)使(ツカヒ)三(サン)人(ニン)有(ア)リ》其(ソノ)後(ノチ)本(ホン)家(ケ)蠣(カキ)𫶓(サキ) ̄ト 不(フ)和(ワ) ̄ニ成(ナツ) ̄テ挑(イト) ̄ミ戦(タヽカ) ̄ヒ遂(ツイ) ̄ニ本(ホン)家(ケ)亡(ホロヒヌ)《割書:本(ホン)家(ケ)|蠣(カキ)𫶓(サキ) ̄カ》 《割書:《振り仮名:後|ノチ《見せ消ち:■|》》 ̄ナル者(モノ)皆(ミナ)松(マツ)前(マイ) ̄ニ降(コウ)参(サン) ̄シテ仕(ツカ) ̄ヘ タリ ̄ト見(ミ) ̄ヘ テ今(イマ)松(マツ)前(マイ)貢(ミツキ) ̄ト云(イヘ) ̄ル家(カ)臣(シン)|則(スナハチ)本(ホン)家(ケ) ̄ノ末(マツ)葉(ヱフ) ̄ニテ先(セン)祖(ソ) ̄ヲ祭(マツ) ̄ルニ新(シン)羅(ラ)三(サフ)郎(ラフ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ神(カミ) ̄ト崇(アカ) ̄メ昔(ムカシ) ̄ノ記(キ)録(ロク)》 《割書:等(ラ)此(コノ)者(モノ) ̄ノ|方(ホウ) ̄ニ有(ア) ̄ルト云》独(ヒトリ)夷(イ)地(チ) ̄ノ利(リ) ̄ヲ擅(ホシヒマヽ) ̄ニシテ益(マス〳〵)福(サイワイ) ̄ヲ得(エ) ̄テ 【注 「為_レ造置(つくらせおき)」は「為_二造置_一(つくりおかせ)」ヵ】 蠣(カキ)𫶓(サキ)慶 広(ヒロ) ̄ト云(イフ)者(モノ)初(ハシメ) ̄テ出(シユツ)_二-仕(シ) ̄ス豊(トヨ) 臣(トミ)家(ケ) ̄ニ_一次(ツイ) ̄テ慶(ケイ)《振り仮名:長|《振り仮名:シ|[チ]》ヤウ》四(ヨ)年(ネン) ̄ノ冬(フユ)奉(タテマツル)_レ見(マミ) ̄ヘ【注】 神(シン)祖(ソ) ̄ニ_一従(ヨリ)_レ夫(ソレ)従(ジウ)五(ゴ)位(イ) ̄ノ下(ゲ) ̄ヲ賜(タマハ) ̄リ改(アラタメ) ̄テ 松(マツ)前(マイ)志(シ)摩(マノ)守(カミ) ̄ト号(コウ) ̄サシメ世(ヨ)々 松(マツ)歬(マイ) ̄ニ 封(ホウ) ̄シ置(ヲカ) ̄ルト云(イフ)是(コレ)正(セウ)説(セツ)ナルヘシ 【注 二点脱ヵ】 又(マタ)荒(アラ)井(ヰ)君(キミ)美(ヨシ)蝦(カ)夷(イ)志(シ) ̄ニ曰(イハク)夷(ヱゾ) 人(ヒト)没(ホツスル)則(トキ)多(タ)群(グン)集(アツマツ) ̄テ抽(ヌキ)_レ刀(カタナ) ̄ヲ互(タカヘ) ̄ニ額(ヒタヒ) ̄ヲ ウチ血(チ) ̄ヲ流(ナガ) ̄シ《振り仮名:相|ア《見せ消ち:ノ|ヒ》》責(セム) ̄ルニ不孝不弟 ̄ノ 罪(ツミ) ̄ヲ以(モツ) ̄テス是(コレ) ̄ヲ メツカウチ ̄ト云 ̄ト是(コレ) 亦(マタ)齟(ソ)齬(ゴ) ̄セリ メツカウチ ̄ハ人(ヒト)死(シセ) ̄ルヲ 吊(トムラ) ̄フニ非(アラ) ̄ス災(サイ)難(ナン) ̄ニ会(ア) ̄フ者(モノ) ̄ヲ問(ト) ̄フニ親(シン)族(ゾク)集(アツマ) ̄リ 抽(ヌキ)_レ刀(カタナ) ̄ヲ頭(カシラ) ̄ヲ ウチ再(フタタ) ̄ヒ災(サイ)難(ナン) ̄ニ可(ベ) ̄キヲ_レ会(アフ) 贖(アガナ) ̄ヒ除(ノソ) ̄クト云《割書:是(コレ) ̄ハ日(ニ)本(ホン) ̄ノ俗(ゾク) ̄モ一(イチ)度(ド)災(サイ)難(ナン) ̄ニ会(ア) ̄ヘハ必(カナラス)再(フタヽ) ̄ヒ|災(サイ)難(ナン)在(ア) ̄ルト云(イフ)予(アラカシ) ̄メ是(コレ) ̄ヲ除(ノソ) ̄クニ自(ヲノツカ) ̄ラ身(ミ) ̄ヲ責(セ) ̄メ或(アルヒ) ̄ハ》 《割書:衣(イ)服(フク)重(チヤウ)宝(ホウ) ̄ノ類(ルイ) ̄ヲ人(ヒト)不(ズ)_レ知(シラ)路(ミチ) ̄ニ|捨(ス) ̄テ或(アルヒ) ̄ハ寺(ジ)社(シヤ) ̄ニ納(イ) ̄ル可(ヘシ)_二此(コノ)意(イ) ̄ナル_一》又(マタ)《振り仮名: |△是 ̄ヨリ可》蝦(カ)夷(イ)志(シ) ̄ニ 曰(イハク)金(キン)玉(ギヨク) ̄ヲ以(モツ) ̄テ不(ズ)_レ為(ナサ)_レ宝(タカラ) ̄ト宝(タカラ) ̄ト スル 物(モノ) ̄ハ古(イニシ) ̄ヘノ器(キ)物(ブツ)刀(タウ)剣(ケン) ̄ノ類(ルイ) ̄ニテ盟(メイ)約(ヤク)結(ケツ) 信(シン)皆(ミナ)其(ソノ)宝(タカラ) ̄ヲ用(モチ) ̄ヒ贖(アカ) ̄ナフニモ_レ罪(ツミ) ̄ヲ又(マタ)如(コトシ) ̄トハ【注】_レ斯(カクノ) 《振り仮名:誠|マコト・ㇶ》 ̄ニ《振り仮名:然|シカ・ㇶ》 ̄リ又(マタ)曰(イハク)其(ソノ)宝(タカラ) ̄ノ中(ウチ) ̄ニ最(モツト) ̄モ尊( タツトミ)重(ヲモン) ̄スル 物(モノ) ̄ハ状(カタ) ̄チ燕(ツバメ)尾(ヲ) ̄ニ似(ニ) ̄テ両(レウ)岐(キ) ̄ニ鈴(レイ) ̄ヲ掛(カ) ̄ケ各(ヲノ〳〵) 一(ヒト)口(クチ)是(コレ) ̄ヲ地(チ)室(シツ) ̄ニ蔵(ヲサ) ̄メ祈(キ)祷(タウ) ̄スル時(トキ) ̄ハ祭(マツ) ̄ル 【注 「トハ」を長円で囲む】 是(コレ) ̄ヲ クワサキ ̄ト云(イフ) ̄ト此(コノ)義(ギ) ̄モ《振り仮名:無|ナキ【注①】》 ̄キニハ非(アラ) ̄ネト クワサキ ̄ト云物 ̄ニ不_レ限(カキラ)惣(スベ) ̄テ日本(ヤマト) ̄ノ武(ブ)器(キ) ̄ヲ甚(ハナハ) ̄タ尊(タツトミ)重(ヲモン) ̄シ神(カミ) ̄ヲ祭(マツ) ̄ルニ専(モツハ) ̄ラ 供(ソナ) ̄フル而(ノ)已(ミ)クワサキ ̄ヲ見(ミル) ̄ルニ其(ソノ)製(セイ) 《振り仮名:莫|《振り仮名:不|フ》》_レ《振り仮名:定 ̄ルコト|《振り仮名:同|ドウ》》【注②】《振り仮名:思 ̄フニ|《振り仮名:按|アン》 ̄スルニ・ヒ》_レ《振り仮名:之| ・ヒ》 ̄ヲ【注③】昔(ムカシ) ̄ノ商(シヤウ)人(ニン)《振り仮名:甲|《振り仮名:冑|カブト》・兜》 ̄ノ鍬(クハ)形(カタ) ̄ヲ 【注① 「無」の振り仮名の「き」を丸で囲む】 【注② 「莫定」の上と右を線で囲む】 【注③ 「思之」の上下と右を線で囲む】 【後2行修正後の文】 クワサキ ̄ヲ見(ミル) ̄ルニ其(ソノ)製(セイ)不(フ)同(ドウ)按(アン) ̄スルニ昔(ムカシ) ̄ノ商(シヤウ)人(ニン)冑(カブト) ̄ノ鍬(クハ)形(カタ) ̄ヲ 《振り仮名:武|ブ・ヒ》《振り仮名:士|シ《見せ消ち:■|》》 ̄ノ頭(カシラ) ̄ニ頂(イ) ̄タク貴(タツトキ)宝(タカラ) ̄ナリト教(ヲシ) ̄ヘ売(ウツ) ̄テ高(コウ)料(レウ) ̄ヲ 取(ト) ̄リ名(ナ) ̄モ鍬(クワ)先(サキ) ̄ト伝(ツタ) ̄ヘタル モノナルヘ シ蝦(カ)夷(イ) ̄ノ語(カタ) ̄ルヲ聞(キク) ̄ニ古代(イニシヘ) ̄ヨリ夷(イ)地(チ) ̄ニ伝(ツタ) ̄ハル 《振り仮名:正真|《見せ消ち:■■|》マコトノ》 ̄ノ クハサキ ̄ハ シコツ ̄ト云(イフ) 所(トコロ) ̄ノ酋帥 ̄ノ家(イヘ) ̄ニ有(アツ) ̄テ黄(ヲウ)金(ゴン)也(ナリ)其(ソノ)余(ヨ) ̄ハ 【上部の朱文】 クワサキ以下 ノ説ハ可載 カ 皆(ミナ)後(コウ)代(ダイ) ̄ニ至(イタ) ̄テ求(モトム) ̄ル物(モノ)也(ナリ) ̄ト是(コレ)全(マツタ) ̄ク蝦(カ) 夷(イ) ̄ノ好(コノミ) ̄ニ随(シタカ) ̄ヒ商(シヤウ)賈(カ) ̄ノ【注】輩(トモカラ)数(シ) ̄ハ《割書:〳〵|》造(ツク) ̄リ渡(ワタ) ̄セシ ナ ルヘシ其(ソノ)器(キ)各(ヲノ〳〵)不(フ)同(トウ)頗(スコム) ̄ル鍬(クワ) 形(カタ) ̄ニ似(ニ) ̄テ新(アタシ) ̄キハ木(キ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ作(ツク) ̄リ銀(キン) ̄ヲ以(モツ) ̄テ文(ブン) ̄ヲ置(ヲケ) ̄ル 物(モ)多(ヲヽ) ̄シ蝦(カ)夷(イ) ̄ニ暦(コヨミ)ナク《振り仮名:◦|◦《振り仮名:歳|セイ》》旦(タン)歳(セイ)暮(ボ) ̄ノ 【注 「商賈」の振り仮名は「しょうこ」】 規(キ)式(シキ) ̄モ不(ズ) ̄ト_レ知(シラ)世(セ)俗(ゾク)賎(イヤシ) ̄ミ笑(ワラヒ) ̄ヘトモ委(クハシ) ̄ク窺(ウカガフ) ̄ニ 暑(シヨ)寒(カン) ̄ヲ以(モツヽ) ̄テ年(トシ) ̄ヲ算(カソ) ̄ヘ月(ツキ) ̄ノ晦(ミソカ)朔(ツイタチ) ̄ヲ量(ハカヽ) ̄リ及(ヲヨ) ̄ヒ 気(キ)候(コウ) ̄ヲ窺(ウカヽツ) ̄テ四(シ)時(ジ)八(ハツ)節(セツ) ̄ヲ知(シ) ̄リ家(イヘ)々 ̄ニ 月(ツキ)祭(マツリ)有(ア) ̄リ《割書:月(ツキ)祭(マツリ) ̄ニハ名(ナ)越(コシ) ̄ノ祓(ハラヒ) ̄ニ用(モチユ) ̄ル如(コトク) ̄ク芽(チ) ̄ノ【注①】輪(ワ) ̄ヲ作(ツク) ̄リ カムイ|シカナツケ ̄ト号(ゴウ) ̄シ幣(ヘイ) ̄ヲ添(ソ) ̄ヘテ海(カイ)辺(ヘン) ̄ニ建(タテ) ̄テ祓(ハライ)》 《割書:言(コト)有(ア) ̄リ祓(ハラヒ) ̄ヲ|祷(イノリ) ̄ノ曰(イタク)【注②】ト云(イフ)》歳(トシ) ̄ノ大(ヲウ)祭(マツリ) ̄ハ大(タイ)槩(カヒ)冬(トウ)至(ジ) ̄ノ時(コロ) 【注 「芽」は「茅」の誤】 【注② 「曰」の振り仮名「イタク」は「イワク」ヵ】 一(ヒト)邑(ムラ) ̄ノ酋帥(ツカサ) ̄タル者(モノ)天(テン)地(チ)火(クハ)風(フウ)水(スイ) ̄ノ 神(カミ) ̄ヲ祭(マツ) ̄ル《割書:天(アメ) ̄ハ カントウカムイ|火(ヒ) ̄ハ アベカムイ》《割書:地(ツチ) ̄ハ カンナシリカムイ|風(カゼ) ̄ハ レラカムイ》 《割書:水(ミツ) ̄ハ ワーツカ|カムイト唱 ̄フ》是(コレ) ̄ヲ ヤウマンデ ̄ト云行 ̄フニハ _レ之 ̄ヲ檀(タン) ̄ヲ設(モウ) ̄ケ四(シ)方(ホウ) ̄ニ《振り仮名:幣|イナホ・ヌサ》 ̄ヲ建(タテ) ̄テ《割書:柳木(ヤナキノキ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ削(ケツ) ̄リ|花(ハナ) ̄ノ如(コト) ̄ク ニ造(ツク) ̄ル》 所(トコロ) ̄ノ_レ在(アル)財(サイ)宝(ホウ) ̄ヲ飾(カサ) ̄リ《割書:日(ニ)本(ホン) ̄ノ武(ブ)器(キ)及(オヨビ) ̄ヒ クハサキ|シトキ ̄ノ《振り仮名:類|ル《見せ消ち:■|》イ》《割書:《見せ消ち:■|》》ナリ》 造(ツクリ)酒(サケ)《割書:此(コノ)為(タメ) ̄ニ凡(ヲヨソ)一(イチ)年(ネン) ̄ノ出(シユツ)産(サン) ̄ヲ以(モツ) ̄テ米(コメ)麹(コウジ) ̄ヲ求(モト) ̄メ造(ツク) ̄ル所(トコロ) ̄ノ濁(ニコリ)酒(サケ)|冨(トメ) ̄ルハ十(ヂツ)石(コク)余(ヨ)又(マタ)邑(ムラノ)中(ウチ) ̄ノ者(モノ) ̄モ分(フン)限(ゲン) ̄ニ随(シタカ) ̄ヒ造(ツクル)_レ之(コレヲ)携(タツサヒ)来(キタツ) ̄テ》 《割書:酋帥(ツカサ) ̄ニ与(アタ) ̄ヘテ|以(モツ) ̄テ偕(トモ) ̄ニ備(ソナフ)》畜(チク)熊(ユウ) ̄ヲ備(ソナフ)《割書:兼(カネ) ̄テ此(コノ)為(タメ) ̄ニ|熊(クマ) ̄ヲ飼(カヒ)置(ヲク)》一(ヒト)邑(ムラ) ̄ノ衆(シウ) 夷(イ)及(ヲヨ) ̄ヒ親(シン)戚(セキ) ̄ハ遠(ヱン)近(キン) ̄ヲ云(イハ)《割書:《見せ消ち:■|》|》 ̄ズ呼(ヨヒ)集(アツメ) ̄テ客(カク) ̄ト ナシ席(セキ)【注】 ̄ヲ正(タヽ) ̄シ各(ヲノ〳〵)拝(ハイ)礼(レイ) ̄シ終(ヲワツ) ̄テ造(ツクリ)酒(サケ) ̄ヲ 呑 ̄ミ二(ニ)循(シユン) ̄ニシテ主(シユ)人(シン)弓(ユミ)矢(ヤ) ̄ヲ携(タツサヒ)出(イデ) ̄テ客(カク) 【注 「席」の字形は「席+冖」。上部の「席」は修正字ヵ】 毎(ゴ) ̄トニ与(アタ) ̄ヘ壇(ダン) ̄ニ供(ソナ) ̄ヘシ畜(チク)熊(ユウ) ̄ヲ請(カフ)_レ射(イ) ̄ンコトヲ客(カク)亦(マタ) 先(サキ) ̄ニ射(イ) ̄ンコトヲ辞(ヂ) ̄シメ主(シユ)人(ジン) ̄ニ譲(ユツ)ル而(シカウシ) ̄テ主(シユ)人(ジン)弓(ユミ) 矢(ヤ) ̄ヲ執(トツ) ̄テ天(テン)地(チ)四(シ)方(ハフ) ̄ニ向(ムカ) ̄ヒ射(シヤ)礼(レイ)有(ア) ̄リ 次(ツイ) ̄テ客(カク)皆(ミナ)立(タツ) ̄テ熊(クマ) ̄ヲ射(イ) ̄ル又(マタ)射(イ)殺(コロ) ̄シタル熊(クマ) ̄ニ 供(ソナヘ)物(モノ)在(ア) ̄リ畢(ヲハ) ̄テ熊(クマ) ̄ヲ割(サ) ̄キ肉(ニク) ̄ヲ煑(ヤ) ̄キ夫(ソレ) ̄ヨリ饗(キヤウ) 宴(エン)日(ニチ)夜(ヤ)無(ナシ)_レ究(キハマリ)酒(サケ) ̄ノ盡(ツク) ̄ルヲ以(モツ) ̄テ限(カキ) ̄リト ス 蝦(カ)夷(イ) ̄ノ言葉(コト)之 部(クル)   乾(カツオシ・ケン) 坤(トイレ・コン) 時(トビ・ジ) 候(ウヱベ・コウ) 《振り仮名:天|《振り仮名:カントウ|────────》・アメ》《割書:ニシヨロ|》 《振り仮名:日|チ-ツブ・ヒ》《割書:トウ|》 《振り仮名:月|ツ-ヱツプ・ツキ》 《振り仮名:圓月|シカアリ ツ-ヱツプ・マロカナル ツキ》 上弦月(アシ ツヱツプ・ウヘ◦ユミハリツキ) 《振り仮名:下弦月|ニン ツ-ヱツプ・シタ◦ユミハリツキ》 星(ケタ・ホシ)《割書:ノチウ|》 《振り仮名:空|ミシ-ヨラ・ソラ》 雲(ニシ・クモ) 《振り仮名:霧|ウ《見せ消ち:■|》ラリ・キリ》 霞(カバルウラリ・カスミ) 虹(ラヨチ・ニシ) 雷(カンナカムイ・イカツチ) 雨(アブ・アメ)《割書:ベニ|》 露(ニイベラ・ツユ) 雪(ウバシ・ユキ) 霜(カム〳〵・シモ) 風(レラ・カセ) 嵐(タシクロ・アラシ) 地(カンナシリ・ツチ) 山(キミタ・ヤマ) 峯(キタイ・ミネ) 谷(ヲリ・タニ) 《振り仮名:陸|ヤ《見せ消ち:■|》ベカ・ク《見せ消ち:■|》ガ》(   クガ) 野(マクタ・ノ) 岡(マサリカタ・ヲカ) 道(ルウ・ミチ) 澤(ナイ・サワ) 池(トウ・イケ) 川(ベツ・カワ) 海(アツイ・ウミ) 沖(レブタ・ヲキ) 汀(ヤアタ・ミキハ) 濱(ピシタ・ハマ) 《振り仮名:磯|イシ-ヨ・イソ》 嶋(ムシリ・シマ) 《振り仮名:崎|ヱ-ツツウ・サキ》《割書:メサキ|》  洲(シレトコ・ス) 邦(コタン・クニ) 県(クルン・アカタ) 村(タア・ムラ) 木蔭(ニ クリ・コ カケ) 《振り仮名:仮屋|ク-ツ チ-ヤ・カリ ヤ》 土(トイ・ツチ) 石(シユマ・イシ) 砂(ヲタ・スナ) 水(ワツカ・ミツ) 《振り仮名:潮|チ-ウ・シホ》 氷(ルブシ・コヲリ)《割書:コンル|》 震(ブヤラ・フルフ ウゴク) 東(メナシ・ヒカシ) 西(ホレフニ・ニシ) 南(ヒカタ・ミナミ) 北(ベシカンベ・キタ) 艮(チカイネ) 巽(イカメナシ) 乾(タバ・アメ) 坤(ヲタベカ・ツチ) 春(バイカル・ハル) 夏(シヤク・ナツ) 秋(ツク・アキ) 冬(マタ・フユ) 寒(メアン・サムサ) 暖(シルボツケ・アタヽカ) 晝(トウノシケ・ヒル) 夜(クンネ・ヨル) 朝(クンネハ・アサ) 夕(ヲノマ・ユウ) 今日(タントウ・コン ニチ) 昨日(ヌマニ・サク シツ) 一昨日(ホシケアヌマ・イツ サク ジツ) 《振り仮名:明日|ニシ-ヤツタ・ミヤウ ニチ》 明後日(ヲヤシム・ミヤウ ゴ ニチ)  今年(タンバ・コ トシ) 去年(サキネ・ コゾ トシ) 明年(ヲヤバ・アクル トシ) 毎年(ケシバ・マイネン) 毎日(ケシトウ・マイ ニチ) 家(チセイ・イヘ) 戸(アバ・ト) 窓(ブヤラ・マト)   人(シヤム・ジン) 倫(シカナツケ・リン) 人(シヤム・ヒト) 蝦(カ)夷(イ)【注】 神(カミ)貴(タツトキ)人(ヒト)高(タカキ)位(クラヒ) ̄ヲ都(スベテ) ̄テ カムイトノ ̄ト称(トナフ) ̄ス 老(ヘカイ・ヲヒ) 《振り仮名:壮|シ-ユクブクル・サカリ》 若男(ヘカナ・ワカ ヲノコ) 女(メノコ・ヲミナ) 若女(マテカチ・ワカキ ヲミナ) 幼(ワラシ・ワランベ)《割書:童子也|》 高祖父(ヘンケ) 《振り仮名:曾祖父|シ-ユイヱカシ》 祖父(ヱカシ) 父(ハンベ・チヽ) 子(ボウ・コ) 孫(ミチボ・マゴ) 曾孫(サン ミチホ) 《振り仮名:玄孫|シ-ユイ ミチボ》 《振り仮名:高祖母|シ-ユイ シユナ》 《振り仮名:曾祖母|シ-ユチ》 祖母(フチ) 母(ハボ・ハヽ) 娘(マフネカチ・ムスメ) 夫(ホク・ヲツト) 【「蝦夷」を矩形で囲む】 妻(マチ・ツマ) 妾(ウツシマチ・メカケ) 《振り仮名:伯父|アチ-ヤ・ヲヂ》 叔父(上同・ヲヂ) 伯母(ウナルベ・ヲバ) 叔母(上同・ヲバ) 兄(ユビ・アニ) 《振り仮名:姉|シ-ヤ・アネ》 弟(アキ・ヲトヽ) 娣(ツレシ・イモト) 甥(カルコ・ヲヒ) 姪(マテカルコ・メイ) 聟(ココ・ムコ) 娌(コシマチ) 舅(ムンジリベ・シウト) 姑(マチムンジリベ・コシウト) 親族(アバ・ヤカラ) 侍(ニシバ・コシモト) 重酋帥(バシ ヲトナ) 酋帥(ヲトナ・ツカサ) 弟酋師(アキ ヲトナ) 小使(コツカヒ)《割書:酋帥(ヲトナ)弟酋師(アキヲトナ)|小使(コツカヒ) ̄ハ村(ムラ)毎(ゴ) ̄トニ在(ア) ̄リ》 盲人(シキナ・メクラ) 聾人(アシハ・ヲシ) 朋友(チウタレ・トモトチ) 家臣(ウシウタレ・イヘノコ) 客人(マラフト・マロード) 賊(イツカ・ゾク)   肢(カ) 體(ツウ) 《振り仮名:頭|シ-ヤバ・カシラ》 顔(ナヌ・カンハセ) 《振り仮名:頂𩕳|ハキタイ・イタヽキ》【注①】 《振り仮名:額|キツト・ヒタイ》【注②】 《振り仮名:腮|ノ-ツケウ・アコ》 頬(ノタカム・ハフ) 眼(シキ・マナコ) 《振り仮名:耳|キシ-ヤラ・ミヽ》 《振り仮名:鼻ヱ-ツツウ・ハナ|》 口(バル・クチ) 《振り仮名:唇|チ-ヤル・クチヒル》 舌(アウ・シタ) 歯(イマキ・ハ) 咽(セウレ・ノド) 頸(レクチ・クビ) 【注① 「𩕳」の「心」が「必」】 【注② 「額」の「客」が「容」】 肩(ダブカ・カタ) 背(セツル・セナカ) 胸(テラル・ムネ) 胳(ヤリキボ・ワキノシタ) 腹(ホニ・ハラ) 乳(トウ・チヽ) 臍(ハンガフイ・ホソ) 《振り仮名:腰|イ-ツケウ・コシ》 尻(ヲトベ・シリ) 陰嚢(ヌキ・インノウ) 陰茎(タケリ・インケウ) 陰門(ボツキ・インモン) 《振り仮名:𡰪|シ-ユブイ・シリノアナ》 股(チキリ・モヽ) 《振り仮名:𬛜|コ-ツカシ-ヤハ・ヒザホネ》 脚(ゴツカ・アシハキ) 足(ケマ・アシ) 《振り仮名:臂|シト-ツケウ・ヒシ》 腕(アムニニ・ワキ) 手(テキ・テ) 指(アシケベチ・ユビ) 爪(アム・ツメ) 髪(ヲトツフ・カミ) 眉(ランヌマ・マユ) 髭(リキ・ヒケ) 毛(ヌマ・ケ) 《振り仮名:欠|マウシ-ユ・アクビ》 咳(ヲムケ・ノト)【注①】 《振り仮名:嚏|ヱ-ツシナ・サクリ》【注②】 唾(ノニ・ツハ) 泪(ヌイベ・ナミタ) 屎(シ・クソ)《割書:ヲシヨマ|》 尿(ヲゴヱマ・ユバリ) 孕(ヲンコル・ハラム) 煩(イコニ・ハツラフ) 腫(フツプ・ハレモノ) 瘡(ヤマイケ・カサ) 骨痛(ポネアラカ・ホネイタミ) 骨(ポネ・ホネ) 筋(シユムヂ・スヂ) 膽(シヤンベ・キモ) 胞(エハ・ユハリクフロ)【注③】   衣(チメフ・コロモ) 食(ヱベ ・クヒモノ) 【注① 「ノト」は「セキ」の誤】 【注② 「嚏」の「田+疋」が「足」】 【注③ 「ユハリクフロ」は「ユハリフクロ(膀胱)」ヵ。「エナ(胞衣)」のことヵ】 衣(チメフ・コロモ) 服(ミイ・フク) 襟(ヌイシヤン・ヱリマキ) 《振り仮名:袖|ツ゚シ-ヤ・ソテ》 裾(ヲリキ・スソ) 《割書:ニシキ|》《振り仮名:錦|シ-ヤランベ》 木綿(センガキ) 染綿(シリキセンカキ・ソメワタ) 《振り仮名:𦄋|ヲリロ》 蝦夷布(アツシ・カイヌノ) 《割書:《振り仮名:ヲヒヤウ|一名アツトモ云》〽《見せ消ち:■■■|ニベシ》〽ニイカツプ三 種(イロ)ノ木皮(キノカワ)◦|《見せ消ち:アツト云木ノ皮|》◦ヲ割(ワリ)糸(イト)ヲ取(トリ)テ|夷女(メノコ)織出(ヲリイタ)ス》 同(ヱタルベ)《割書:カラフト島(シマ)ノ産(サン)ニテ苧(ア)【注】|麻(サ)ノ《振り仮名:◦|◦《振り仮名:如|コト》キ》糸(イト)ヲ以(モツ)テ織(ヲ)レル物(モノ)也》 裘(カツフチメフ・カワコロモ) 《割書:熊(クマ)鹿(シカ)犳(メトラ)狐(キツネ)|水 豹(ヘウ)等(トウ)ノ皮(カワ)也(ナリ)》 《振り仮名:𥿻衣|コシ-ヨント・キネノコロモ》 帯(クチ・ヲヒ) 褌(シヨツケ・ハカマ)《割書:チヨツケ|》 食(イベ・ハム) 飲(イク・ノム) 喰(マクラフ・クラフ) 飯(アママ・イヽ) 酒(チケンベイ・サケ) 濁酒(ヤヽサケ・ニゴリサケ) 【注 「苧」は「荢」】 油(ケイ・アブラ) 米(ママ・ヨネ) 麴(カミタチ・コウジ) 粟(ムンジロ・アハ) 稗(ビヤバ・ヒエ) 《振り仮名:湯|セヽ-ツカ・ユ》   魚(チヱツフ・ウヲ) 鳥(チリ・トリ) 獸(チロノフ・ケモノ) 魚(チヱツフヒ・イヲ) 鯨(フンベ・和名クジラ) 《振り仮名:䱐𩶉|カムイチヱツフ・イルカ》 鰤(ヲシロツケ・ブリ)《割書:チハシ-ヤン|》 鮭(シベ・サケ) 鱒(イジヤニ・マス) 鯛(ホウツ゚イ・タイ) 鱸(アイロ・スヾキ)【注】 鱈(ヱルクシ・タラ) 鰊(ベロケ・カドニシン) 【注 「鱸」の「皿」が「心」】 【「和名クジラ」「イルカ」「ブリ」「サケ」「マス」「タイ」「スヾキ」「タラ」「カドニシン」は朱】 鯇(シヤマンベ・ヒラメ)《割書:ニナ|》 鰈(カバリウ・カレイ) 鯎(シユブン・ウグヒ) ■(アシ・カヂカ)【注①】 《振り仮名:藻魚|シ-ヨイ・モウホ》 鰯(ノ・ イワシ) 《振り仮名:蕐臍魚|ヘライセ-ヽク・アンコウ》《割書:俗作|鮟鱇》 河豚(ユルシカチヱツプ・フグ) 《振り仮名:鯖|シ-ヤバ・サバ》 海鷂魚(カスベ・エイ) 鯣(チケ・スルメ) 蛸(アツコイマ・タコ) 海鼠(ウタ・ナマコ) 石䖼(ウヤカ・ホヤ)【注②】《割書:須(ス) ̄ノ和名(ワメウ)|抄(シヤ[ウ]・ヒ) ̄ニ作_二老》 《割書:海|鼠 ̄ニ_一》 貝(セイ・カイ) 石决明(アイビ・アワビ) 車渠(アシケテキセイ・ホタテガイ)《割書:俗(ゾクニ)帆立(ホタテ)|貝(カイ) ̄ト云(イフ)》 蜊(チルツプ・ハマクリ) 蜆(トヒバ・シヂミ) 蠣(ビバ・カキ) 海膽(ノナ・ウニ) 淡菜(パシクトウ・シユリカイ)《割書:一名(イチメイ)東海(トウカイ)|夫人(フジン) ̄ト云(イフ)》 【注① ■は「魚+臣」。「䱌」ヵ。又「鮖」の誤ヵ】 【注②「石䖼」は「石蜐」の誤ヵ】 【左ルビ(和名)は朱】 魁蛤(ホクセイ) 螺(ニシユ・ニシ) 蟹(タカバイ・カニ) 玉蟹(タピシツ゚ンベコルベ)《割書:松前(マツマイ) ̄ノ俗シ-ヤリ蟹(カニ) ̄ト云(イフ)紅(コウ)|毛人(モウジン)《振り仮名:侍來 ̄ル|モチキタル》ヲクリカンキリ也》 鰕【矩形で囲む】 鳥(チリ・トリ) 鶴(サルヽ・ツル) 雁(クイト・ガン) 鵠(レタラチリ・ハクテウ) 鷹(イヌイチリ・タカ)《割書:タカ|》 鵰(カバチリ・ワシ)《割書:鵰羽(ラツフ)|真鳥羽(シラツフ)》 鴇(ウタカラ・ノガン) 鳬(カツカリ・カモ)《割書:コベチヤ|》 鷗(カビウ・カモメ ミヤコトリ)《割書:マツシ|》 鸊鷉(アブシケ・カイツムリ) 鷺(ベツチヱイバ・サギ) 鵜(ウリヽ・ウ) 《振り仮名:鳶|ヤ-ツト-ツタ・トビ》 鵲(パシクロ・カラス) 鴞(カムイチカツプ・フクロウ) 《振り仮名:鶯|ホヽキテ-ウ・ウクヒス》 雀(アマヽチリ・スヾメ) 鳲鳩(ツ゚ウヅツ゚・ツヽトリ カツカウトリ) 獸(チロノフ) 熊(ホクユク・クマ) 羆(ホクユク・シクマ) 鹿(ユク・シカ) 麞(トラカイ・ヲヽシカ)《割書:カラフト|島 ̄ニ在 ̄リ》 狗(セタ・イヌ) 狐(シユマリ・キツネ) 狢(モユ・タヌキ) 《振り仮名:兔|イシ-ヨボ・ウサギ》 木狗(ホイン・キイヌ) 鼠(ヱリモ・ネズミ) 栗鼠(ロセイ・リス) 狼(ヲホセカムイ・ヲホカミ) 犣虎(ラツコ)【注】《割書:《振り仮名:男--|シンビン》|《振り仮名:女--|マスネ》|《振り仮名:子--|アツトル》》 膃肭(ウニウ・ヲツト) 大膃肭(ヲヽネツフ) 水豹(ツ゚カラ・アサラシ) 小水豹(フツキリ) 海驢(イタシベ・アシカ) 【注 「犣」は「獵」の誤ヵ。】 艸(キナ・クサ)《割書:ムニ|》 蓬(ノヤ・和名ヨモギ) 苧麻(モセ・カラムシ) 菅(ヤリ・スケ) 《振り仮名:蘆|シ-ヤツ・アシ》 《振り仮名:蒲|シ-ユラ・カマ》 木賊(シブシブ・トクサ) 薊(アンザミ・アザミ) 歓冬(コロコニ・フキ)《割書:大(ヲヽヒ) ̄ナル物(モノ)ハ巠(クキ)【注①】長(ナカサ)六七尺(ロクシチシヤク) ̄ヨリ|丈 余(ヨ)|周(・マワリ) ̄リ七八寸 葉(ハ)ノ周(マワ) ̄リ丈余(シヤウヨ)》 車前草(ヱルム・ヲバコ) 白蒿(セタノヤ・シロヨモギ) 當帰(ウベウ) 獨活(チマキナ ・ウド) 防風(ヲタシウキナ・ボウフウ) 牛蒡(セタコロコニ・ゴボウ)《割書:自(ヲノツカラ) ̄ラ山野(サンヤ) ̄ニ生(セウ) ̄シ|味(アシワイ)甚(ハナハタ)美(ウマシ)也》《振り仮名:虎杖|ク-ツタラ・イタトリ》《割書:大(ヲヽヒ) ̄ナル者(モノ)長(タケ)丈余(ジヤウヨ)|周(マワ) ̄リ尺余(シャクヨ)》 韮(ニンビル・ニラ) 山韮(ウヱンビル・ノビル) キトウ《割書:此物(コノモノ)未(イマタ・ズ)_レ詳(ツマヒラカナラ)状(・カタチ) ̄チ如(コトシ)_二白及草(シラン) ̄ノ_一香味(コウミ)|似(ニテ)_レ韮(ニラ) ̄ニ夷人(イジン)好(コノン) ̄テ喰(クロフ)》 䓏(フウ・アサザ)【注②】 【注① 「巠」は「莖(茎)」の誤】 【注② 「䓏」は「莕」の誤】 【左ルビ(和名)は朱】 葡萄(ハツ・ブドウ) 菌(カルシ・クサビラ)【注①】 楢茸(ペロニカルシ・ナラタケ)《割書:松歬(マツマイ) ̄ニテ椎茸(シイタケ) ̄ト称(シヤウ) ̄スル モノ皆(ミナ)是(コレ)也(ナリ)|島中(シマノウチ) ̄ニ椎(シイ)ナシ》 《振り仮名:艸烏頭|シ-ユルク・クサウズ》 薇(・ハラビ)《割書:早薇(ワラビ)五月(ゴグハツ) ̄ニ萌(モヘイツ) ̄ル太(フト) ̄ク|柔(ヤワラ) ̄カ ナリ》 覆盆子(・イチゴ) 茈葫(・ヤマセリ) 野蜀葵(・ノセリ) 芹(・セリ) 薺(・ナヅナ) 芽(・カヤ)【注②】 萩(・ハギ) 荻(・ヲギ)  杜若(・カキツバタ) 茵蔯蒿(・カハラヨモギ) 鳳尾草(・ウラシロ) 桔梗(・キケウ) 瞿麥(・ナデシコ) 麥門冬(・リウガヒゲ) 黄精(・アマトコロ) 萎蕤(・ヱヒクサ)【注③】 石韋(・ヒトツバ) 【注① 「菌」は「禾」が「木」】 【注② 「芽」は「茅」の誤】 【注③ 「蕤」は「㒸+生」】 【左ルビ(和名)は朱】 香附子(・ミクサ) 百合艸(・ユリ) 《振り仮名:薯■|・ヤマイモ》【注】 大黄(・ヲヽシイ) 海苔(・ノリ) 若布(・ワカメ) 海松(・ミル) 鶏冠菜(・トサカノリ) 海蘊(ナノリソ シンバソウ)《割書: ┌日本紀 ̄ニ神馬藻 ̄ニ|ヒ└作 ̄リ延喜式鳴菜 ̄ニ》 《割書: ┌作 ̄リ萬葉集 ̄ニ|ヒ└莫告藻 ̄ニ作 ̄ル》 以上夷名未_レ詳 木(ニ・キ) 《振り仮名:松|シ-ユング・マツ》 五葉松(チカツフシユング) 新羅松(ヱビタツフ・カラマツ)《割書: ┌夷人(イジン)此実(コノミ) ̄ヲ好(コノン) ̄テ|ヒ└喰(クロ) ̄フ時珍(ジチン)本草(ホンザフ) ̄ニ》 《割書:海松子(カイセウシ)新羅(シンラ) ̄ヨリ来(キタ) ̄ル|夷菓(イクハ) ̄ト有(アル)則(スナワチ)是(コレ)也(ナリ)》 大葉櫟(コムニ・カシハ) 橎(ケネ・ハン) 楢(ヘロニ・ナラ) 【注 ■は「艹+豫」・「蕷」の誤ヵ】 【左ルビ(和名)は朱】 桂(ランフ・カツラ) 厚朴(フンニ・ホウ) 橡(トチニ・トチ) 梓(タルマニ コンゲニ・アヅサ)《割書:夷人(イジン) ̄ノ弓(ユミ) ̄ニ作(ツクル) ̄ルモ|則(スナハチ)此(コレ)也(ナリ)》 枝保持(アヨシニ・シホヂ)《割書:松歬(マツマイ) ̄ノ俗(ゾク)|セン ̄ト云(イフ)》 《振り仮名:桺|シ-ユ〳〵・ヤナギ》《割書:カラフト島(シマ) ̄ニ大木(タイボク)多(ヲヽシ) ̄シ一本(イツボン) ̄ヲ|曲穿(クリ) ̄テ舟(フネ) ̄ニ造(ツク) ̄ル》 樺(タツ・サクラ)《割書:此木(コノキ) ̄ノ皮(カワ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ杓(ヒシヤク)桶(ヲケ) ̄ノ|類(ルイ) ̄ノ器(キ) ̄ヲ作(ツク) ̄ル又(マタ)燭(シヨク) ̄ト ス》 朱櫻(カンハ・カバサクラ)《割書:此木(コノキ) ̄ノ皮(カハ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ舟(フネ) ̄ヲ トヂ諸(モロ〳〵) ̄ノ器(キ) ̄ヲ|作(ツク) ̄ルニ用(モチ) ̄ユ楽管(ガククハン) ̄ヲ作(ツク) ̄ルニ用(モチ) ̄ユ唐(カラ)カバ ̄ニ等(ヒトシ) ̄キ者(モノ)也(ナリ)》 《振り仮名:臣木|フーツプ》《割書:島中(シマノウチ) ̄ニ多(ヲヽ) ̄シ松前(マツマイ) ̄ノ俗(ゾク)トド ̄ノ木(キ) ̄ト云(イフ)《振り仮名:[|・ヒ》万葉集(マンヤウシウ) ̄ニ|トミ ̄ノ木(キ) ̄ト詠(ヨメ) ̄ル モノナルヘシ樅類也]》 黄柏(シケリベニ・アフバク) 胡桃(ニシコ・クルミ) 栗(ヤム・クリ)《割書:以上(イシヤウ)二種(ニシユ)夷人(イジン) ̄モ|實(ミ) ̄ヲ好(コノン) ̄テ喰(クロ) ̄フ》 楊櫨(・ウツキ) 《振り仮名:槐|・ヱンジ-ユ》《割書:以上(イジヤウ)二種(ニシユ) ̄ハ|夷名(イメウ)未(イマダ・ズ)_レ詳(ツマヒラカ) ̄ナラ》 【左ルビ(和名)は朱】 アツ ガンヒ シナ《割書:以上(イジヤウ)三種(サンシユ) ̄ハ和名(ワメウ)未(イマダ・ズ)_レ詳(ツマヒラカナラ)皮(・カワ) ̄ヲ割(サキ) ̄キ徴|索 ̄ニ作(ツク) ̄ルヲ見(ミ) ̄ルニ皆(ミナ)穀(ゴク)楮 ̄ノ種類(シユルイ)也(ナリ)》 根(シンジツ・ネ) 小枝(ノカン・コヱタ) 葉(ハム・ハ) 花(ヱフイ・ハナ) 實(カム・タネ) イケマ【図】《割書:此物(コノモノ)未(イマタ・ズ)_レ詳(ツマヒラカナラ)《振り仮名:◦|◦松前(マツマイ) ̄ノ俗(ゾク)薬(クスリ) ̄トス》夷人(イシン)常(ツネ) ̄ニ|喰(クロフ) ̄フ松前(マツマイ) ̄ノ俗(ゾク)薬(クスリ) ̄トス馬(ムマ) ̄ノ煩(ワツラ) ̄ヒニ|用(モチヒ) ̄テ最(モツト) ̄モ功能(コウノウ)有(ア) ̄リ》 【図】  ヱフリコ  《割書:此物(コノモノ)未(イマタ・ズ)_レ詳(ツマビラカ) ̄ナラ松前(マツマイ) ̄ノ俗(ゾク)薬(クスリ) ̄トス|状(カタ) ̄チハ桑(クハ) ̄ノ耳(ミヽ) ̄ノ性(セイ) ̄ノ如(ゴト) ̄シ気味(キミ) ̄ハ紅(コウ)》        《割書:毛人(モウジン) ̄ノ持来(モチキタ)《送り仮名:ル》テレメン ̄ト云|物(モノ) ̄ニ等(ヒト) ̄シ》   前(マイ) ̄ニ出(イタ) ̄スノ外(ホカ)雑艸(サツサウ)雑木(ザツボク)多(ヲヲ) ̄シト云(イ) ̄ヘトモ諸(シヨ) 国(コク) ̄ノ物(モノ) ̄ニ不(ズ) ̄シテ_レ異(コトナラ)夷名(イメイ) ̄モ不(サ) ̄レハ_レ詳(ツマヒラカナラ)略(・リヤクス)_レ之(コレヲ)   《振り仮名:器 物|・ウツハモノ》 太刀(ヱムシ・ヲヽタチ) 小太刀(ヱムシボ・コダチ)《割書:惣(スベ) ̄テ刀 ̄ヲ|ヱムシ ̄ト云》 柄(イムシニ・ツカ) ■(フウチ・フチ)【注①】 《振り仮名:頭|シ-ヤバ・カシラ》 ■(シキ・アホリ)【注②】 鍔(セツハ・ツバ) 鎺(ハマキ・ハヽキ) 鞘(シリカ・サ[ヤ]) 接(セツハボ) 鉘(シンコ) 下緒(イトワ・シタヒモ)《割書:太刀(タチ) ̄ハ皆(ミナ)本朝(ホンチヤウ) ̄ノ衛府(ヱフ) ̄ノ|太刀(タチ)鞘巻(サヤマキ)或(アルヒ) ̄ハ山刀(ヤマタチ)等(トウ) ̄ノ》 《割書:古物(コブツ) ̄ニテ凡銵《送り仮名:ハ》ナシ金具(カナグ) ̄ハ古代(イニシヘ) ̄ノ江州(ゴウシウ)彦根(ヒコネ)栁(ヤナキ)|川(カハ) ̄ノ製(セイ) ̄ト見(ミ) ̄ユ皆(ミナ)昔(ムカシ) ̄ノ商人(アキヒト)売渡(ウリワタシ)《送り仮名:タル》モノ成(ナ)《送り仮名:ル》ヘシ亦(マタ)》 【注① ■は「亶+瓦」ヵ】 【注② ■は「革+?」・「䩫」ヵ・「䪜(あおり)」の事ヵ】 《割書:当世(タウセイ) ̄ノ商人(アキヒト)此(コノ)金具(カナグ) ̄ヲ稀(マレ) ̄ニ買取(カヘトリ) ̄テ蝦夷後藤(カイゴトウ) ̄ト称(シヤウ) ̄シ|世間(セケン) ̄ヘ出(イタ) ̄スコト有(ア) ̄リ今(イマ)ヱムシ ̄トテ新(アラタ) ̄ニ作(ツク) ̄リ蝦夷(カイ) ̄ニ遣(ツカハ) ̄スハ松前(マツマイ)|及(ヲヨ) ̄ヒ秋田(アキタ)渟代(ヌシロ)等(トウ) ̄ノ麁鍛冶(ソカヂ) ̄ニ作(ツク)《送り仮名:ラセ》タル鈍(ニフキ)鍛(キタ) ̄ヒ也(ナリ)|蝦夷(カイ)其(ソノ)鈍(ニフ) ̄キコトハ詳(ツマヒラカ) ̄ニ知(シ) ̄レトモ都(スベ) ̄テ夷(イ) ̄ノ風(フウ)武器(ブギ) ̄ヲ重宝(チヤウホウ) ̄トシ是(コレ) ̄ヲ不(サ) ̄ル|_レ持(モタ)者(モノ)一家(イツケ) ̄ノ主(シウ) ̄ト成(ナ) ̄ル事(コト)不(サ) ̄ルニ_レ能(アタハ)ヨリ求(モトム) ̄ト_レ之(コレ)云(イフ)》 《割書:兜(カブト) ̄ノ鉢(ハチ)腹巻(ハラマキ) ̄ノ破(ヤブ)《送り仮名:レ》タルヲ所持(シヨジ)シタル者(モノ)有(ア) ̄リ都(スベテ) ̄テ具足(グソク)《送り仮名:ヲ》アヨ|》 《割書:ツペ ̄ト云(イフ)至(イタツ) ̄テ重宝(チヤウホウ)《送り仮名:ト》ス|》 斧(ムカル・ヲノ) 鉈(ナタ・ナタ) 鎌(ヨツペ・カマ) 釿(テウナ・ノコキリ) 鋸(ノコンギリ・ノコギリ) 鑿(イビヨ・ノミ) 《振り仮名:錐|イキシ-ヤツフ・キリ》 割刀(タシロ・ワリ  ) 削刀(マキリ・ケツル   ) 針(ケミ・ハリ) 釣針(ペロイケミ・ツリハリ) 煙管(セレンボ・キセル) 鍬(マタブ・クワ)《割書:夷人(イジン) ̄ノ鍬(クワ)元(モ) ̄ト木(キ) ̄ノ|枝(ヱタ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ造(ツク) ̄ル故(ユエニ)杈(マタフリ) ̄ト云》 《振り仮名:鍋|シ-ユ・ナベ》 盌(イタギ・ワン) 《振り仮名:和卓|ア-ツシキ》 杯(トキ・サカツキ) 盞台(タカンザラ・サカツキダイ) 銅提(イトニフ) 匙笥(カム〳〵・サジハコ) 桶(シントク・ヲケ) 以上(イジヤウ) ̄ハ凡(ヲヨソ)商人(アキヒト) ̄ヨリ売渡(ウリワタ) ̄ス日本製(ヤマトセイ) 之(ノ)物(モノ)也(ナリ) 鎧(アヨツペ) 【図】海驢(カイロ) ̄ノ皮(カハ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ作(ツク) ̄ル 《振り仮名:笠|カシ-ヤ・カサ》《割書:木(キノ) ̄ノ皮(カハ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ作(ツク) ̄ル|》  鞜(ヲテレキ・クツ) 【図】       【図】 【図】           【図】筩(イカヨ・ヱヒラ) 弓(クウ・ユミ)《割書:長(タケ)三尺七八寸(サンシヤクシチハツスン)梓(アヅサ) ̄ノ丸木弓(マルキユミ)也(ナリ)|樺(・サクラ) ̄ヲ以(・モツ) ̄テ好(・コノミ)《送り仮名:ニ》シタカヒ巻(・マク)》    【図】     矢(アイ・ヤ)《割書:長(タケ)二尺(ニシヤク) ̄ニ足(タ) ̄ラス幹(ミキ) ̄ハ木(キ)鏑(ヤジリ) ̄ハ鹿角(シカノツノ)又(マタ)竹(タケ) ̄ヲ以(モツ) ̄テ|作(ツク) ̄ル四(ヨ)ッ羽(ハ)作(ツク) ̄リ也(ナリ)射(イ) ̄ル時(トキ) ̄ハ鏑(ヤシリ) ̄ニ毒(ドク)《送り仮名:ヲ》ヌル|毒(ドク) ̄ハ附子(ブシ)一味(・イチミ)也(ナリ)以(モツテ)_二津液(・ツハ) ̄ヲ_一石 臼杵(・イシノウス) ̄ニテ製(セイ) ̄ス》  《振り仮名:舟|シ-ユツフ・フネ》《割書:チツプ|》    【図】 《割書:舟(フネ) ̄ハ丸木(マルキ) ̄ヲ曲穿(クリウガ) ̄チ|底(ソコ) ̄トシテ両側板 ̄ハ|棚 ̄ハ樺(・サクラ) ̄ヲ以《送り仮名:テ》トヂ附 ̄ル|   或(・アルヒ) ̄ハ鯨魚(・クシラウヲ) ̄ノ髭(・ヒゲ)》 帆(カヤ・ホ) 《割書:蒲莚(カバノムシロ)也|松前(マツマイ) ̄ノ俗(ソク)|是(コレ) ̄ヲ扇(アヲキ)|帆(ホ) ̄ト名(ナツ) ̄ツク》    楫(ヲカヂ・カチ) 【図】     㮄(ホイウヘ・カヂトリ) 【図】 【図】     【図】ベケフ  碇(カイタ・イカリ)       《割書:舟(フネ)《送り仮名:ノ》アカ ̄ヲ汲(クミ)|捨(・ステ) ̄ル器(・き)なり》 網(ヤア・アミ)     硾(ビチ・イワ[朱])     【図】  泛子(アバ・ウケ[朱]) キチヲツフ 【図】 マリヲツフ 【図】 ツアムヲツフ 【図】 矠(ヲツフ・ヤス[朱]) 夷琴(カア・  コト)《割書:五弦ナリ|》 【図】 【図】 夷鼓(カテウ・   ツヽミ) 【図】《割書:如(コトク)_レ図(ヅ)竹(タケ) ̄ニテ作(ツク) ̄リ口(クチ) ̄ニ衘 ̄ミ糸(イト) ̄ヲ|引(ヒキ)ナガラ息(イキ) ̄ヲ発(ハツ) ̄スルニ糸(イト)竹(タケ) ̄ノ《振り仮名:合|■■・ガツ》|相(シヤウ)シタル幽《送り仮名:カ》ナル音(ヲト) ̄ヲ出 ̄ス》   《割書:モツクニレツテ》  《割書:此(コノ)三器(サンキ)《送り仮名:ハ》ソウヤ《送り仮名:ヨリ》カラフト島(シマ) ̄ノ方(ホウ) ̄ニ有(アル)東方(ヒカシノカタ) ̄ニ不(ス)_レ《振り仮名:見|ミ■》 ̄ヘ》 以上(イジヤウ)図(ヅ) ̄スル物(モノ)皆(みな)蝦夷(カイ) ̄ノ作(サク)也(ナリ)此(コノ) 外(ホカ) 杓(カツクミ) 《振り仮名:杓子|カシ-ユク》 《振り仮名:箸|チヱクベ・シ-ヤツカ》 縄(ハリカ) 徽索(ツシ) 《振り仮名:蒲莚|シ-ユウキナ》 《振り仮名:菅菰|ヤリシ-ヨウ》 之 類(ルイ)各(ヲノ〳〵)自(ヲノツカ) ̄ラ作(ツク) ̄ル  数(ピシ・スウ) 量(ヒシケ・レウ) 言(コ・ゲン) 語(ト・ゴ) 《振り仮名:一|シネ-ツプ・ヒトツ》《割書:シネ-ナン》 二(ツプ・フタツ)《割書:ツ゚ウナン》 三(レツプ・ミツ)《割書:レイナン》 四(イネツプ・ヨツ)《割書:ユウビ》 五(アシキ・イツヽ)《割書:ネクル》 六(イハン・ムツ)《割書:カラトン》 七(アルハン・ナヽツ)《割書:ラアトン》 八(トベシ・ヤツ)《割書:ユクナ》 九(シネベシ・コヽノツ)《割書:カツポ》 十(ワナン・トウ)《割書:アンチキ》 二十(ホツ・ニジウ) 百(アシネホツ・ヒヤク) 二百(シネワノ・ニヒヤク) 千(アシキネシネワノ・セン) 二千(ワンシネワ・ニセン) 万(アシキネワンシネワノ・マン) 二万(シネワノシネワノ・ニマン) 一連(シネテシ・イチレン) 一把(シネムイ・イチハ)《割書:量(ハカ) ̄ルヿ小数(セウスウ) ̄ヨリ始(ハジメ) ̄テ|大数(タイスウ) ̄ニ終(ヲハ) ̄ル》 上(リキタ・カミ) 中(ノシケ・ナカ) 下(シリカタ・シモ)《割書:タヽ》 大(ポロ・ヲヽヒナル) 小(ポン・チイサキ) 高(リキン・タカキ) 低(シリ・ヒクキ) 長(タンネ・ナカキ) 短(タクネ・ミチカキ) 圓(シカナツケ・コロカ)【注】 《振り仮名:四角|ヲシ-ヨツケ・シカク》 三角(ヲツリリ・サンカク) 六角(ヱノヲトバ・ ロツカク) 《振り仮名:八角|チヱケ-ツケ・ハツカク》 善(ピルカ・ヨキ) 悪(ウヱン・アシキ) 《割書:カミヤシ》 賢(モイシノ・カシコキ)《割書:アシカイ》 愚(ラムシヤム・ヲロカ)《割書:アイカツプ》 明(シノト・アキラカ) 《振り仮名:不分明|クイタ-ツチキ・アキラカナラズ》 光(イミル・ヒカリ) 輝(ルバルバ・カヽヤク) 影(ニベ・カケ) 闇(クンネ・クラキ) 美(ヲミナンキン・ウツクシキ) 【注 「コロカ」は「マロカ」ヵ】 不美(イツチヤツケル・ウツクシカラズ) 深(ヲホフ・フカキ) 浅(ヲハク・アサキ)知(ヱラムアン・シル) 《振り仮名:不_レ知|ヱラムシカレ・シラサル》 青(シヱイ・アホキ) 黄(ウコン・キ) 赤(フウレ・アカ) 白(レタラ・シロ) 黒(クンネイ・クロ) 《振り仮名:甘|ケ■・アマキ》 辛(ルイ・カラキ) 《振り仮名:苦|シ-ユシ-ユ・ニカキ》 鹹(シツプルイ・シホハユシ) 酸(シイ・スイ) 行(バイ・ユク)《割書:ヲマ》 歩(アブカシ) 往(ヲマン・ユク) 来(アルキ・キタル) 帰(ホシビ・カヘル) 還(ヘドツフ・カヘル) 遅(モイレ・ヲソシ) 速(ツンナシ・ヲソシ) 急(ホクリ・イソク) 駈(ホイブ・ワシル) 出(アシン・イタス) 入( アフン・イル) 納(ヲマレ・イル) 昇(ヤンケ・ノホル)《割書:リキシ》 降(ランケ・クタル)《割書:アツラ》 呑(イグ・ノム) 食(イベ・クウ)《割書:マクラフ》 見(ヌカル・ミル) 聴(ヌウ・キク) 曰(イタク・イフ) 《振り仮名:不_レ曰|シ-ヨモイタク・イハズ》 《振り仮名:莫_レ曰|イテキイタク・イフコトナキ》 有(アヌ・アル)《割書:アン》 《振り仮名:無|イシ-ヤマ・ナキ》 《振り仮名:不|シ-ヨモ・サル ズ》 揚(ヤンゲ・アケ) 卸(アマ・ヲロス) 立(イタラシ・タツ) 居(ヲカイ・ヲル) 坐(ウルングル・スワル) 跪(キリヤウセリ・ヒサマツク) 進(ラムシマ・スヽム) 退(ホモカノ・シリソク)《割書:ハマカ》 逃(キラ・ニケル) 追(ノシパ・ヲヽ) 心(シヤンベ・コヽロ) 意(ケウトム・コヽロ) 思(ラムウ・ヲモフ) 慮(ヤイヌ・ヲモンハカリ) 請(コンル・コウ) 案(ニシヨマツフ) 《振り仮名:信|シ-ヨン・マコト》 《振り仮名:偽|シ-ユケ・イツワリ》 恋(ヱラノフ・コイ) 待(テイレ・マツ) 怨(ウゴイキ・ウラム) 嫉妬(ノコシケ・ネタム) 叱(イララ) 逆心(ユルシカ・サカコヽロ) 戯(ヲシヨロヽケン・タハムル) 自(チ・ヲノツカラ)《割書:ク》 他(ヲヤクタ・ホカ) 初(アシン・ハシメ) 終(ヲケレ・ヲハリ) 新(アシリ・アラタ) 古(フシコ・フルキ) 今(タネ・イマ) 昔(フシコトイ・ムカシ) 此頃(ヲフナキ・コノコロ) 遠(トイマ・トウキ)《割書:ハンゲコウ|ヲンノ》 近(ハンゲ・チカキ) 《振り仮名:側|シ-ヤマ・ソバ》 慈(イヲホマシ・イツクシム) 愛(カタイロツケ・アハレム シタフ) 悪(イカツチウ・ニクム) 頼(ヤアシヤラ・タノモシ) 執成(イコビキ) 干(サツケ・ヒ) 濡(テイネ・ヌレ) 乾(カハヲシ・カハキ) 湿(トイレ・シメル) 着(シレハ・ツク) 泊(トマリ・トマリ) 止(タハカ・トヽマル) 覚(ヲンネリ・ヲホエル) 忘(ヲイラ・ワスルヽ) 《振り仮名:捨|ヲシ-ヨニ・ステル》 淋(ニイシモ・サムシ) 面白(キロヽアン・ヲモシロキ) 便(ウヱベケレ・タヨリ) 伝言(シヨンゴ・コトヅテ) 変(ウヽサカ・カワル)《割書:ヲヤ》 強( ユウブケ・ツヨキ) 烈(ユウブケ・ハケシキ) 弱(アブル・ヨワキ) 《振り仮名:開|チ-ヤツケ・ヒラキ》 《振り仮名:閉|アシ-ユ・トヂ》 痛(アラカ・イタミ) 掻(キイキ・カユキ) 放(シコラ・ハナツ)《割書:ハイタ》 持(コル・モツ) 捕(コイケ・トラヘル) 取(ヱタイ・トル) 受(ウク・ウク) 望(イツテ・ノソム) 治(ヘマニ・ヲサムル) 語(ウカヽワベル・カタル) 説(ヤイラツフ・トク) 諾(ケヤンナク・ウケカフ) 応(ラムシマ) 賜(ヱンコレ・タマフ) 頼(ヤアシヤラ・タノム) 約(同・ツカヌル) 識(ヱラムアン・シル) 不識(ヱラムシカレ・シラサル) 合(ウカウ・アフ) 交(レウレ・マジワル) 書(ヌヱ・カク) 染(シヌヱ・ソムル) 教(イバカシ・ヲシヘ) 《振り仮名:学|イコイシ-ヤバ・マナブ》 結(ムヱ・ムスブ)【注①】 解(ビタ・トク) 厚(イロネ・アツキ) 薄(カバル・ウスキ) 立(アシイ・タツ) 《振り仮名:竪|イシ-ヨロカ・タテ》 横(ラム・ヨコ) 突(ヲビツヱ・ツク) 敲(タア・タヽク) 撃(シタイキ・ウツ) 衡附(トモツヱ) 《振り仮名:越|カシ-ユイ・コヘル》 渡(レブン・ワタル) 《振り仮名:川越|ベツカシ-ユイ・カワコヘ》 川渡(ベツレフン・カワワタシ) 乗(ヲブニ・ノル) 負(バツカイ・ヲフ) 《振り仮名:重|□シ・ヲモ》【注②】 軽(コシネ・カルキ) 荷(シケ・ニナフ) 《振り仮名:荷物|チ-ヨキ・ニナヒモノ》 《振り仮名:積|クシ-ヤ・ツム》 《振り仮名:過 ̄ル|ヲケレ・スクル》 《振り仮名:秋過 ̄ル|ツクヲケレ》 【注① 「結」は「糸+告」】 【注② □は「バ」「パ」ヵ】 謹(ラツツケ・ツヽシム) 敬(ヤイカタ・ウヤマフ) 忝(ヤイライケレ・カタヂケナシ) 歓(ヤイクルシ・ヨロコブ) 悦(トノト・ヨロコフ) 頂戴(ライネツフ・イタヽク) 珍(イセンラムテイ・メツラシキ) 憚(ヲリバク・ハヾカル) 集(ウヱカリ・アツマル) 引(ニンバ・ヒク) 商(イヨク・アキナヒ) 代(シリニ・カワリ) 価貴(アタイルイ・ネウチアル) 価賤(アタイハウケ・ネウチナキ) 踊(タツフカル・ヲトル) 歌(ユウカリ・ウタフ) 角力(ウボ・スマウ) 勝(キラシノ・カチ) 負(アブカ・マケ) 声(ハウイ・ コヒ) 音(フミアン・ヲト) 匂(フラ・ニホヒ) 香(ウラハ・コウハシ) 香聞(ウラハヌウ) 恐(シトマレ・ヲソル) 驚(キマテク・ヲトロク) 為(カル・ナス) 作(カル・ナス) 成(ナン・ナス)《割書:ナヌ》 荒(ルヤン・アレ) 風荒(レラルヤンベ・カセアレル) 《振り仮名:風和 ̄ク|レラハウケ・カセヤハラク》 長閑(ノトウ・ノトカ) 《振り仮名:貸|ユルシ-ヤ・カシ》 《振り仮名:借|シ-ヤウ・カリ》 諷(フリ・ソシル サトス) 言(コト・コト) 焼(マア・ヤク) 煑(シケ・ニル) 焦(ヲフイ・コスス) 焚(アレ・モヘル) 消(ウシカ・キエル) 能(イカタ・ヨク) 好(パア・ヨク) 好作(ハアカル・ヨクナル) 皆(ヲビツタ・ミナ) 不残(同・ノコラズ) 同(ヲコラチ・ヲナシク) 泣(チイフル・ナク) 笑(ミイナ・ワラフ) 悲(ヨウチカレ・カナシム) 愁(イシランポロリ・ウレウ) 安(イツサイ・ヤスシ)難 (ホカンバ・カタキ) 遣(ヲマンデ) 被遣(ヲマンデコレ) 寝(モコル・イヌル) 起(ホブニ・ヲキル) 左(ハリキ・ヒタリ) 右(シモン・ミキ) 先(ホシケ・サキ) 跡(ヨウシ・アト) 往方(イクシケタ・ユキカタ) 《振り仮名:来 ̄シ方|ヨウシケタ・コシカタ》 此方(コツチヤケタ) 着(シレハ・キル) 着服(チイ・キモノ) 休(シイニ・ヤスミ) 名(シルシ・ナ)《割書:レイ》 諠誮(サカヨ・ケンクハ) 口論(ルルンベ・コウロン) 戦(シヤラカム・タヽカヒ) 品々(ウサイノ〳〵・シナ〳〵) 多(ウヱンカシ・ヲヽキ) 再(カンナ・フタヽヒ) 度々(シユイ〳〵・タヒ〳〵) 縫(ウカウカ・ヌウ) 《振り仮名:扨亦|ツイシ-ヤマ・サテマタ》【サテマタ】 此外(シンナイ・コノホカ) 《振り仮名:又|シ-ユイ・マタ》 《振り仮名:依 ̄テ|クシ-ユ・ヨツテ》 《振り仮名:従_レ之|テハノ・コレヨリ》《割書:ヲロハノ》 故(レンガイ・ユエニ)《割書:イネイカラ》 若干(ヘンバク) 《振り仮名:何|ネ-ツプ・ナニ》 甚(シノ・ハナハタ) 至(シノ・イタル) 沴(ツ゚ワル)《割書: |湯》 根元(シンジツ・モト) 継(ウヱウシマ・ツク) 紋(シリキ・モン) 化(イシネカツフ・バケル ヲモカゲ) 発(ベツク・ヒラク) 送(ルラ・ヲクル) 云聞置(イタクヌヱホツパ・イヽキカシヲク) 《振り仮名:何故如_レ斯|イキヤ-ツカイキ・ナニユヱニカクノコトシ》 用心(ヤイトバレ・ヱウジン) 《振り仮名:位重階|イテ-ウカイ》 爾(ヤニ・ナンヂ) 拙蝦夷(シヨカイ) 愚蝦夷(グカイ) 握(キシマ・ニキル) 丹精(ヲチナカレ・タンセイ) 其通(セコロアン・ソノトウリ) 酔(ヱウシユケ・ヨウ) 《振り仮名:従_レ昔今迠|フシコトイヲロハノタネバク・ムカシヨリイママテ》 《振り仮名:道 ̄ニ順 ̄ヒ行|ルウニモイモイバイ・ミチニシタカヒユク》 表(カシ・ヲモテ) 裏(ヲシケ・ウラ) 【白紙】 【見返し】 【裏表紙】 【表紙】 蝦夷拾遺    別 【見返し】 蝦夷拾遺別巻   赤人之説(アカヒトノセツ) 近来(キンライ)赤人(アカヒト) ̄ト云(イフ)者(モ) ̄ノ《割書:赤人(アカヒト) ̄ノ号(ゴウ)謂(イワ)《送り仮名:レ》ナシ只(タヾ)蝦(カ)|夷(イ)《送り仮名:カ》フウレイシ-ヤム ̄ト》 《割書:唱(トナイ) ̄シヲ国語(コクゴ) ̄ニ転(テン) ̄シテ赤人(アカヒト) ̄ト云(イフ)阿蘭(ヲラン)|陀人(ダジン) ̄ヲ紅毛人(コウモウジン) ̄ト云(イフ) ̄カ如(ゴト)《送り仮名:ク》ナリ》蝦夷地(カイチ) ̄ニ来(キタツ) ̄テ竊(ヒソカ) ̄ニ 交易(カフヱキ)《送り仮名:ヲ》ナス ̄ト《見せ消ち:■【粗ヵ】世俗 ̄ノ語 ̄ルコト有 ̄ルニ依 ̄リ|聞(キク)ニヨリテ【朱】                     》 《見せ消ち:将 ̄ニ|》為(タ) ̄メ_レ糺(タヽサ) ̄ン_二其(ソノ)実否(ジツピ) ̄ヲ_一《見せ消ち:年々彼地 ̄ニ|》 通(ツー) ̄スル商人(アキヒト)船子(フナコ) ̄ノ類(ルイ) ̄ニ問(トフ) ̄ニ_レ之(コレ) ̄ヲ《見せ消ち:明 ̄カニ|》不(ズ)_レ《振り仮名:◦|明(アキラカナラ)》 _レ言(イフコト)再(フタヽ) ̄ヒ《見せ消ち:利 ̄ヲ|》責(セメ) ̄テ問(ト) ̄ヒ《振り仮名:◦|之(コレヲ)》又(マタ)《振り仮名:◦|聞(キク)_二》蝦夷(カイ) ̄ニ尋(タヅ) ̄ネ及(ヲヨ) ̄ヒ 松歬(マツマイ) ̄ノ家臣(カシン) ̄ノ語(カタ) ̄ルヲ_一《見せ消ち:聞 ̄ニ|》安永七(アンヱイシチ)戊(ツチノヘ) 戌年(イヌトシ)夏(ナツ)新井田大八(アライタダイハチ)キイ タ-ツフ ̄ニ行(ユキ)《見せ消ち:戌 ̄スル|或(アル)》時(トキ)《割書:商人(アキンド) ̄ヲ入置(イレヲキ)地(チ) ̄ヘハ志摩(シマノ)|守(カミノ)家臣(カシン) ̄ヲ遣(ツカハ)《送り仮名:スコト》アリ商(シヤウ)》 《割書:船(セン) ̄ニ乗(ノツ) ̄テ往返(アフヘン)《送り仮名:スルニ》ヨリ是(コレ) ̄ヲ《振り仮名:上|■■》|乗 ̄ト云(イフ)則(スナハ) ̄チ大八(タイハチ) ̄モ其(ソノ)上乗 也(ナリ)》赤人(アカヒト)初(ハジメ) ̄テ来会(ライクハイ) ̄シテ 《振り仮名:◦|而(シカフシテ)請(コウ)_二》交易(カウエキ) ̄ノコトヲ_一《見せ消ち:請 ̄ヒ願 ̄フ|》《割書:此時(コノトキ)赤人(アカヒト) ̄ノ大船(タイセン)《送り仮名:ハ》ウル-ツフ島(シマ) ̄ニ留(トメ)|置(ヲ[キ])キイタ-ツフ ̄ヘハ《振り仮名:小舟|■■■・コフネ》三艘(サンゾウ)《送り仮名:ニ》テ》 《割書:三十余人|来(キタ)《送り仮名:リシ》ヨシ》大八(ダイハチ)対(コタヘ) ̄テ曰(イハク)吾(ワレ)皈(・カヘツ) ̄テ《振り仮名:◦|可(ベシ)【レ点脱】告(ツク)_二》主君(シユクン) ̄ニ_一 《見せ消ち:告而許容 ̄ノ有無 ̄ヲ可_レ答|》汝等(ナンヂラ) ̄モ 朱字 去而又(さってまた) 帰国〆猶明(めう)年(子ん)来(きた)るへし赤人(あかひと)諾(たく)し退き又翌日書簡(しよかん)土(と)産(さん)の品(しな)を携(たつさ)へ来(きたつ)て領主(れうしゆ)へ贈(をくら)ん事を請(か)ふ大八(だいはち)受(うけ)て之(これを)弥(いよいよ)明年(めう子ん)の再開(さいくはい)を約(やく)し即(すなは)ち送皈し大八(たいはち)も同(をなし)秋(あき)帰(き)邑(ゆふ)〆 朱字 告(つく)之(これを)志摩守(しまのかみに)志摩守(しまのかみ)不(ず)許(ゆるさ) 志摩守に告志摩守 明年(めう子)巳(つちのと)亥(い)夏(なつ)家士(かし)に三(さん)輩(はい)を〆書簡(しよかん)土産(とさん)の品(しな)不(さる)受(うけ)由(よし)を述(のべ)再(ふたた)ひ夷(い)地(ち)江 △ 諸臣と議〆之を曰外国の交易は長崎に限れり於他の地に不可成る許容因て茲に明年巳亥其意を以て家臣松井茂兵衛工藤清右衛門浅利幸兵衛等を遣す夏 四月松?を発(ふなたち)せしに被障逆風に海路に日月を移し赤人先に来てあつけし滞居漸く同年八月に及ひ茂兵衛等彼地に行至て赤人に告て曰我国例外国の 交易は長崎に限り其他を禁す故に汝等強て雖も願と許す事不能再ひ此地へ勿来る事前年贈る書簡土産も主君不と受玉は乃ち返し之を船中の狼不るを足ら助け与へて以て送り帰す依て之に従り夫 以来赤人来る事なし然れ?此事不可んはある奏せ也若し上許容有て交易をなさしめば国の福(さいわいとも)可と成る後に云者有り又今更奏すは不可也と云者有て不決せ 故に東都の親戚に告て其是非を問に親戚曰外国の交易は長崎に限り於彼地に不るは許さ可也今更奏るに之を於ては却て事を好むに似たりと依て之に不奏せ △無(」なかれと)渡来(とらい)する事送(をく)り返す皈(かへ)す 蓋(左ルビ けだ)し赤人(あかひと) 朱字 者(あれとも) 文字(にもんじ)雖?有と 朱文 我(われ)不(ず)能(あたは) 和人読(よむ)事 不能我(わが)文字(もんじ)又(また)赤人(あかひと)に不(ず)通(つう)せ赤人(あかひと)通辞(つうじ)たる者(もの) 二行文 名(な)びよどろ 少(すこし)く 朱字 通(つうし) 和(にわ)語(ごに)通す 二行文 びよどろか和語(わご)通(つう)するは昔(むかし)陸奥国(むつのくに)北(きた)の郡(こほり)佐井(さい)の商人(あきひと)徳兵衛(とくべい)と云(いふ)者(もの)自(をのつ)ら十六人(じうろくにん)を師(ひき)ひ一船(いつせん)に乗(のつ)て彼国(かのくに)へ漂着(へうちやく)し今(いま)に存命(ぞんめい)の者(も)陸奥国(むつのくに)佐井(さい)勝左衛門(かつさえもん)奥戸(おくと)の利八郎(りはちらう)大間(をま)村(むら)の長(ちやう)松(まつ)宮(みや)古(こ)浦(うら)の長(ちやう)作(さく)伊兵衛(いへい)以上(いしやう)五人(ごにん)有(あ)り勝左衛門(かつさえもん)はむすくばの城主(じやうしゆ)に仕(つか)へ利八郎(りはちらう)はびよどろか妹(いもと)を以(もつ)て妻(つま) 朱字 とす 之 外(ほか)三人(さんにん)も城主(じやうしゆ)より扶持(ふぢ)し置(をか)る此人(このひと)倚(より)て和語(わご)を習(ならへ)たりと云(左ルビ いい)し由(左ルビ よし) 脇の文 新井田等に 因(よつ)茲(これ) 二行文 南部(なんぶ)の人(ひと)に問(とふ)徳兵衛(とくべえ)等(ら)延享(えんけう)元(がん)甲(きのへ)子(子)の年(とし)佐井(さい)より発(はつし)船(ふねを)再(ふたた)ひ国(くに)へ不(ず)と帰(かへら)云(いふ) 余(よ)は行路(こうろ)の島(しま)の蝦夷(かい)を連(つれ)来(きたつ)て伝(つた)ふるに言(こと)を国(こく)号(ごう)はをろしいや国(くに)の府(ふ)はむすくは其(その)邦(くに)はをほつこいと云(いふ)又(また)蝦夷(かい)か曰(いはく)今(いま)に赤人(あかひと)うるつぷ島(しま)へは常(つ子)に 来(きたつ)て?(れう)虎(こ)を獵(かり)す蝦夷(かい)も又(また)?(れう)虎(こ)を捕(とらへ)んため彼(かの)島(しま)に行(いたつ)到て歳歳(とし)赤人(あかひと)に会(あ)ひ僅(わづか)の品(しな)を交易(こうえき)すと又(また)問(とふ)赤人(あかひと)うるーつふ島(しま)初(はしめ)て来(きた)るは何年(いつころ)なるや蝦夷(かい)答(こたへて)曰(いはく)十(じう)有(ゆう)五(ご)六(ろく)年(子ん) 前(まい)に蝦夷(かい)うるーつぷに到(いたつ)て?(れう)虎(こ)を猟(かり)し居(を)るの時(とき)赤人(あかひと)一船(いつせん)に八(はち)十(じう)余(よ)人(にん)乗(のり)来(きたり)銕(てつ)砲(ぱう)を放(はな)ち蝦夷(かい)を驚(をとろ)か〆猟(れう)地(ち)を横領(をうれう)し所(ところ)の獲(える)る?(れう)虎(こ)迠(まて)も奪(うばは)んとす蝦夷(かい)小(ご)勢(ぜい)にて防(ふせ)ぐ事不(ず)能(あたは)逃(のがれ)帰(かへ)り明年(めう子ん) 此(この)讐(あた)を報(むくひ)んと欲(ほつ)〆くなしり島(しま)ゑとろふ島(しま)の酋師(をとな)等(ら)衆(しう)夷(い)を会(あつめ)蝦夷(かい)船(ふ子)五(ご)十(じう)余(よ)艘(そう)を発(はつ)〆うるーつぷ島(しま)に到(いた)り赤人(あかひと)の来(きた)るを待(ま)つ時(ときに)赤人(あかひと)一(いつ)船(そう)に百(ひやく)余(よ)にん(にん)乗(のり)来(きたつ)て海(かい)濱(ひん) 船(ふ子)を繋(つな)き上(のほ)る陸(くが)に然(しか)るを直(たたち)に圍(かこみ)て討(うつ)之(これ)を即(すなはち)死(し)する者(もの)十(じう)有(ゆう)余(よ)人(にん)余(よ)は皆(みな)逃(にげ)去(さ)り乗(の)る船(ふね)に赤人(あかひと)の銕(てつ)砲(はう)に中(あたつ)て蝦夷(かい)も四(し)五(ご)人(にん)死(しし)たりと云(い)へとも猶(なを)乗(しやう)じ勢(いきほい)追(をひ)討(うつ)船(せん)中に到(いたつ)ても毒(どく)?(や)中(あた)つて死(し)する者(もの)二(に)三(さん)人(にん) 被(かふむ)る疵(きず)を者(もの)数(かず)を不(ず)知(しら)赤人(あかひと)大(ををい)に敗(はい)北(ぼく)〆漸(やうや)く浮(うかべ)船(ふね)を又(また)翌年(よく子ん)蝦夷(かい)?(レう)虎(こ)を猟(から)ん為(た)めうるつふに到(いた)るに赤人(あかひと)再(ふたた)ひ大勢(ををぜい)を催(もよう)し向(むかふ)と云(いへ)る風聞(ふうふん)有(あ)るに依(よ)り島(しま)の側(かたはら)に潜(ひそ)んて猟(れう)業(げげう)す時(とき)に赤人(あかひと)大(をを) 勢(せい)来(きた)る蝦夷(かい)見(み)て之(これを)大(ををい)懼(をそ)れ周章(あはて)て順風(じゅんふう)を不(ず)待(また)船(ふね)を浮(うかべ)て逃(のがれ)帰(かへ)る折節(をりふし)逆風(ぎやくふう)起(をこつ)て十(じう)有(ゆう)余(よ)艘(そう)一時(いちじ)に砕(くた)け溺(をほれ)死(し)する者(もの)百(ひやく)余(よ)人(にん)船(ふね)を出(いた)し後(をく)れて是(ぜ)非(ひ)なくうるつふ島(しま)に止(ととま)る者(もの) ニ(に)十(じう)余(よ)人(にん)存命(ぞんめい)す然(しか)るに赤人(あかひと)讐(あたを)を報(ほうずるに)に非(あらず)す (途中朱字ありふめい) 朱字 誘(いさなひ) 行(左ルビ かう )に 路(ろ)の蝦夷(かい)を連来(きたつ)て 朱字 請(こふ)に わ(左ルビ わ)睦(ぼく)を請ひ聊の 朱字 携(たつさへ) 土(左ルビ と)産(さん)を携来(きた)り 朱字 与(あたふ)に蝦夷(かい)に与ふ 朱字於(をいて) 是(これ)和睦(わぼく)〆年(子ん)々うるーつぷ島(しま)に来(きたる)ると 朱字 又(また)我輩(わかはい) 於て斯に 我往者  天明(てんめう)六(ろく)丙(ひのえ)午(うま)の年(とし) 夏(なつ)五月(ごくはつ)くなしり島(しま)及(およ)ひゑとろふ島(しま)を経(へ)てうるつぷ島(しま)に到(いた)るの時(とき)ゑとろふ島(しま)に赤人(あかひと)三(さん)人(にん)滞(たい)居(きよ)す 赤人の絵 いるくつこい之産(うまれ)姓(せい)はしめんとろへいいじゅ字(あざな)はぞよふ名(な)はいしゅよ当(とう)丙(ひのへ)午(うま)行年(きやう子ん)三十三(さんじゅうさん) をほつこい之(の)産(さん)姓(せい)いわんうえれかういじゅ名はさすのすこい当(とう)丙(ひのへ)午(うま)行年(きやう子ん)二十九(にじうく) 赤人の絵 いしゅよが僕(ほく)也(なり) 赤人の絵 子るちゑんすこい之(の)産(さん)名(な)はにけた当(とう)丙(ひのへ)午(うま)行年(きやう子ん)二十八(にじゅうはち) 呼(よんで)之(これを) しゅじ朱字 問(とふに) 諸(もろもろ)の事(こと)を問に文字(もんじ)言語(げんご)共(とも)に不(ず)通(つう)我(わが) 朱字 輩(はい) 往者及(をよ)ひ赤人(あかひと)は 朱字 僅通(わつかつうず) 蝦夷(かい)の言語(げんご)互に僅か通す故(それ)に 朱字 拠(よつて) 蝦夷(かい)を以て問(とい)云(い)へとも闕(かけ)る事多(をを)〆通(つうず)る事少(すくな)し 朱字 且(かつ) 而も赤人(あかひと)隔(かく)心(しん) 朱字 不(ず) 有て詳(つまびら)かなら 不語故に連れ行所の 朱字 我(われ) 僕(ぼく)を暫く 朱字 一人(いちにん) 朱字 親馴 赤人に副へ 朱字 同(をなじに) 置き飲食(いんしよく) 朱字 起(き) 迠も 朱字 ?(ぐは) 而(して) 略(ほぼ) 俱に 令め 朱字 探(さぐるに) 為(に)さ 彼(かの)国(くに)の風(ふう)及(をよ)ひ此(この)地(ち)に来(きた)るの 朱字 之 所(ところ) 由を探るに彼(かの)国(くに)開闢(かいびやく)不(ず)詳(つまびらかなら)欧邏巴(ゑうろつぱ)諸州(しよしう)暦(れき)元(げん)七(しち)万(まん)ニ(に)百(ひやく)九(く)十(じう)四(よ)年(子ん)と云(い)へともむすくばの天子(てんし)べいて るごろうと 二行文 当(とう)今(こん)ありよぺつとろいじゅーゆの祖父(そふ)となり まらろしーや ぎりゆふのニ(に)国(こく)伐(うつ) 朱字 之(の) 徇へ其(その)余(よは)自(をのづか)ら降(くだ)りて属(ぞく)する之(これ)に国(くに)々を都(すべ)てをろしいやと改(かい)号(ごう)す依(よつ)て之(これ)に今(いま)所(ところ)は用(もちゆ)るむすくばの暦(れき)元(げん)一(いつ) 千(せん)七(しち)百(ひやく)八(はち)十(じう)六(ろく)年(子ん)を以(もつ)てす 二行文 天明(てんめい)六(ろく)丙(ひのへ)午(うま)の年(とし)迠(まて)なり 帝都(ていと)今(いま)もむすくは也(なり) 二行文 むすくばは北極星(ほつきよくせい)出(いつる)地(ち)五十二(ごじうに)度(ど)古(いに)代(しへ)の帝都(てい)統(すべて)詳(つまびらかな)る事を不(ず)知(しら)先帝(せんてい)べああたらありせいじーゆ歳(とし)八(はち)十(じう)六(ろく)に〆崩(ほう)す其(その)后(のち)いかて りいなありきせい即位(そくい)年(とし)老(をひ)て嗣子ばありゅべつとろいじゅに位(くらい)を譲(ゆづ)る是(これ)当(とう)帝(てい)也(なり) 二行文 当(とう)丙(ひのへ)午(うま)の歳(とし)三十二(さんじゅうに)后(きさき)まりやびよとろうなに二男(じなん)一女(いちじょ)有(あ)り嫡男(だん)はありきさんばーろーいじーゆ当(とう)丙(ひのへ)午(うま)十二(じうに)歳(さい)ニ男(じなん)こしぜんじんばーろーいじーゆ当(とう)丙(ひのへ)午(うま)六歳(ろくさい)女子(じょし)ありきさ んばーうろうな当(とう)丙(ひのへ)午(うま)四(し)歳(右ルビ さい 左ルビ ひ)当(とう)帝(てい)は仁(じん)薄(うす)く猛(もう)勇(ゆう)に〆刑(けい)罪(ざい)甚(はなはだ)し既(すで)に近年(きんらい)いるくつこいの国主(こくしゆ)等(ら)朝(ちやう)に召(め)し少(すこし)の過(あやまち)を以(もつ)て斬罪(ざい)す是(これ)を以(もつ)て卑(ひ)官(かん)し下(げ)賎(せん)の輩(はい)厳(げん)刑(けい)なる事推(をし)て可(べし)知(しる)故(それゆへ)に含(ふく)む怨(うらみ)を者(もの)有(あ)りと云(いふ) 先(せん)君(くん)雖も女帝(じよてい)と聖(せい)賢(けん)に〆其(その)徳(とく)に 朱字 あり て帰し又新(あらた)に属(ぞく)する国(くに)夥(をびたた)し当(とう)時(じ)をろしいやと号(ごう)す国(こく)界(かい)北(きた)は海(うみ)を限(かき)り西(にし)は欧(ゑう)邏(ろつ)巴(ぱ)の内(うち) ふらんすや いたりや ぽるとかりや等(とう)の諸国(しょこく)より南(みなみ)は亜(あ)弗(ふ)利(り)加(か)亜(あ)紬(じ)亜(や)に掛(かか)りべりつせ いんてや及(およ)び唐(とう)土(と)長(ちやう)城(じやう)の辺(ほと)りぎやーふたより 二行文 ぎやーふたは長城(ちやうぢやう)第一(だいいち)の関(くはん)道(とう)の外(そと)に有(あつ)て 半(なかは)は大唐(だいとう)に属(ぞく)し半はをろしいやに属(ぞく)し文字(もんじ)も蛮(ばん)字(じ)漢字(かんじ)ともに通(つう)す此地(このち)を経(へ)て北(ほく)京(きん)と交易(かうえき)すをろしいやの内(うち)いるくつこいより北京(ほくきん)へは凡(をよそ)二十日(にじゅうにち)余(よ)に〆至(いた)ると云(いふ) あもる川(かわ)を境(さかい) 二行文 あもる川(かわ)はぎやーふたの国(くに)境(さかひ)より流(なかれ)出(いて)をろしいやの諸国(しよこく)と大唐(たいとう)の境(さかひ)を流(なかれ)てまんぞうりやの東海(とうかい)へ落(をつ)ると云(いふ) あもる川(かわ)を境(さかい) 二行文 あもる川(かわ)はぎやーふたの国(くに)境(さかひ)より流(なかれ)出(いて)をろしいやの諸国(しよこく)と大唐(たいとう)の境(さかひ)を流(なかれ)てまんぞうりやの東海(とうかい)へ落(をつ)ると云(いふ) いるくつこい 二行文 むすくはより東(ひがし)に去(さる)る事二十度(にじうと)余(よ)但(ただし)赤人(あかひと)の一度(いちど)は日本(につぽん)の千(せん)五十(ごぢつ)町(てう)に当(あたる)る国主(こくしゆ)の名(な)はびようどろけれぼいじゆ ゑこつこい 二行文 いるくつこいの東(ひがし)に隣(とな)る ごろー たらはんゑりすこい 二行文 大韃(ごろーとだ) 而靻(るたりや)なるべし大韃而靻の大唐(だいとう)に属(そく)すを赤人(あかひと)まんぞうりやと云(いふ)蝦夷(かい)及(をよ)ひ山丹(さんたん)人(じん)是(これ)をまんぢうと云(いふ)と聞(きく)ゆ をほつこい 二行文 いるくつこいより東(ひがし)に去(さる)事三十度(さんじうど)余(よ)をほつこいよりかむさつけを経(へ)て蝦夷(かい)のうるつふ島(しま)迠(まて)船(せん)路(ろ)順風(じゅんふう)凡(をよそ)十日(とうか)にて到(いた)るへし且(かつ)をほつこいは元来(ぐはんらい)蝦夷(かい)と異(ことなる)と也(なり)人(じん)化(くは)行(をこな)はれし地(ち)にてをろしいやに従(したか)ひ帰(き)する事徳(とく)に最(もっと)も速(すみや)かなれは売(ばい)す国(くに)栄(さか)へ今(いま)は県令郡司の類三十(さんじう)余(よ)人(にん)有(あ)りと云(いふ)是(これ)を以て考ふれは 朱文 愚按朱引之文不可證 をほつこいは所謂(いわゆる)渤海国(ほつかいこく)なるへなるへきや渤海国(ほつかいこく)博物(はくふつ)志(し)に見(み)えたり又(また)続(ぞく)日本紀(にほんき)曰(いわく) 桓武天皇(くはんむてんのう)の御宇(ぎよう)延歴(えんれき)五年(ごねん)九月(くがつ)甲(きのへ)辰(たつ)出羽(でわ)の国(くに)言(いい)す渤海国使(ほつかいこくのし)大使(たいし)李元(りげん)泰(たい)巳(い)下(か)六十五人(ろくじうごにん)乗(のつて)船(ふね)一隻(いつそう)に漂着(へうちやく)部下(ぶか)に被(かうむるもの)蝦夷(かい)略(りやく)十二人(じうににん)巳見(み)存(そんす)るもの四十一人(しじういちにん)同(をなじ)六年(ろくねん)二月(にくはつ)甲(きのへ)戌(いぬ)渤海国(ほつかいこく)の使(し)李(り)元(げん)泰(たい)等(とう)元(げん)泰(たい)等(とう)入朝時(にうちやうのとき)栬(し)師(し)及(をよひ)挟抄(けうさ)等(とう)逢(あふ)賊(ぞく)に之(の)日(ひ)並(ならび)に被(るる)劫(ほつ)殺(さつ)還(かへ)るに国(くに)に無(なし)由(よし)於(をいて)是(ここに)仰(あをく)越後国(えちごのくに)に給(たまう)船一艘(いつそう)栬(し)師(し)挟抄(けうさ)水手(かこ)を 而発遣? かむさつけに 至(いた)る迄(まで) 二行文 をほつこいより南(みなみ)に出(いつ)る事八百(はつひやく)ゑるすたゑるすたは日本(につぽん)の十(じつ)町(ちやう)に当(あた)る八百(はつひやく)ゑるすたは二百二十里(にひやくにじうり)也 朱字 置(をき) 守護(しゆご)を入れ置国(くに)を開(ひら)き 横に朱字あり ? 上 及(をよ)ひ蝦夷(かい)地(ち)の末(すへ)の諸(しょ)島(しま)をも属(ぞく)さしめ海(かい)河(か)陸(りく)行(ぎやう)の路(みち)を開(ひら)き広(ひろ)く交易(かうえき)〆有(ゆう)無(む)を通(つう)ず 二行文 西南(せいなん)は星(せい)宿(しゆく)海(うみ)の流(なが)れ二川(ふたかわ)と成(なつ)て一(ひとつ)川(かわ)は大唐(たいとう)へ流(なかれ)れ黄河(こうか)と成(な)る其(その)一片(いつぺん)をろしいやの内(うち)いるくつこい とろはんすこいを経(へ)て北海(ほくかい)へ落(を)つ 二行文 川(かわ)の名(な)国(くに)々にて変(かわ)れは其(左ルビ その)名(左ルビ な)を略(左ルビ りやく)す 又(また)ぎやーふたより流(なかれ)出(い)てごろーたらはんゑり すこいと大唐(たいとう)の境(さかい)を過(あやまつ)て東海(とうかい)に落(をつ)るをあもる川(かわ)と云(いふ)此(この)二(ふた)大河(ををかわ)より又(また)諸国(しよこく)の枝流(しりう)を通(つう)〆便(べん)す交易(こうえき)故(ゆゑ)に諸品(しよひん)乏(ともし)き無(な)しと云(い)へとも糸(し)綿(めん)の産(さん)する地(ち)稀(まれ)に〆皮革(ひかく)及(をよ)ひ毛(け)織(左ルビ をり)の類(るい)専(もつぱ)らに産(さん)す  をほつこい  かむさつけには?(れう)虎(こ)のる類(るい) 二行文 をほつこいに集(あつま)て本国(ほんこく)へ送(をく)る毎(こ)とに歳(とし)?(れう)虎(こ)の皮(かわ)凡(に)三千(さんせん)?(まい)本国(ほんこく)より北京(ほくきん)へ交易(かうえき)するには?(れう)虎(こ)の皮(かわ)一(いち)?(まい)上(じやう)品(ひん)は木綿(もめん)百五十(ひやくごちつ)反(たん)下品(げひん)は百(ひやく)反(たん)に換(かへ)ると云(いふ) 獣(じう)皮(ひ)を専(もつは)ら産(さん)すかむさつけの東(ひかし) 海(うみ)に有(ある)る島(しま)めつのいをほすとろふよりは黄銅(をうとう)を出(いだ)すと 添え書き 都(すべ)て此国(このくに)の辺(へん) 云(いへ)へとも各無(なし)五(ご)穀(こく)本国(ほんこく)の方(ほう)より送(おく)るは之(これ)を難(かた)し然(しか)るに兼(か子)て日本(につぽん)に 朱字 聞(きく) 米(左ルビ べい)穀(こく)富(ふう)饒(けう)に〆紙(し)綿(めん)木材(もくさい)の類(るい)美(び)なる事を聞く依て之彼(かの)国(くに)に所(ゆる)有(あ)ら産(さん) 物(ぶつ)ごろふくりん 横に朱字 蛮名(ばんめい)かむろうと 羅紗(らしや) 左 朱字 わくのを 麻(ま) 左 朱字 ほろつ子 布(右ルビ ふ 左ルビ 朱字 はらた) 天鵞絨(右ルビ びろうど 左ルビ 朱字 びよをんとろ)?虎(右ルビ れうこ 左ルビ 朱字 ぼうふら)白熊(右ルビ はくゆう 左ルビ 朱字 べつそい) 及(ををよ)び唐(とう)産(さん)の絹(けん)布(ふ)類(るい)と交易(かうえき)〆米穀(べいこく)及(をよ)ひ綿(めん)はをほつこい かむさつけへ渡(わた)し紙(かみ)と木材(もくさい)等(とう)は本国(ほんこく)へ送(をくら)ん事を願(ねか)ふ 若(も)し於て 日本(につぽん)に在るべくは許(きよ)容(よう) 横に朱字 馬奏(そう〆) 彼(かの)国(くに)の王(をう)へ奏〆以て事(こと)を計(はから)ん希(こひ子かは)くは 朱字 観(み) 日本(につぽん)の地(ち)理(り)をも一見せし事を諷諫す於(をい)て斯(ここ)に 我往者の僕(ほく) 語(かたつ)て曰(いはく)我(わか)国(くに)米穀(べいこく)?(けん)布(ふ)紙(し)綿(めん)木材(もくざい)美(びに)に〆 横に朱字 而(しかう)〆 最も冨(ふう)饒(きやう)也(なり)と云へとも亦皮(ひ) ?(かり)毛(け)織(おり)の類(るい)或(あるひ)は唐(とう)産(さん)の諸(しよ)品(ひん)とも 横に朱字 従(より) 長(なか)崎(さき) 朱字で訂正 云(へる) 横に朱字 到(いたりて)而(しかう〆)盈(みつ) 地より歳歳国(こく)中(ちう)に入渡て不れは 横に朱字 不(ざれは) 乏(ともし)から何(なん)ぞ新に 横に朱字 望(のそまん) 他(たの)邦(くに)の交易(かうえき)を 可き望 乎(や)雖(いへと)も然(しかり)と今汝かかた語る所は期して時を以て官 横に朱字 我告主耳 士に告ん 彼(か)の国(くに)政(せせい)国(こく)風(ふう)封建郡県(あかた)等(とう)の義(ぎ)不(ざる)聞(き)か詳(つまひらか)なる事を 横に朱字 也(’なり) 文字(もんじ)は おろしあのあるはべっとの日本語表示 ゑり  へらぼり どぶろ ゑーして なゑけあ ぜうろ ぜみら いーしや い かーこ るーり もしれて なーし をん ぼこい ふるつい ぶろーを てーるた いーか う ゑーるた へーる をーた つい せーりふ ししや しちや えーる えるい ゑー やーきや えや ゆす を や き びせ ひた いーりふ  二行文 器記(きす)る所(ところ)は草字(さうじ)にて外(ほか)に真(しん)行(きやう)有(あ)り二(に)三(さん)字(じ)或(あるひ)四(し)五(ご)字(じ)を横(よこ)に連綿(れんめん)〆音(いん)をなす尤(もつとも)書(しよ)法(ほう)あり 数字 1(右ルビ をりん 左ルビ 一)2(右ルビ つあ 左ルビ ニ)3(右ルビ てりい 左ルビ 三)4(右ルビ ぜてーり 左ルビ 四)5(右ルビ べあ 左ルビ  五)6(右ルビ せーせ 左ルビ 六)7(右ルビ せーむ 左ルビ 七)8(右ルビ をーせむ 左ルビ 八)9(右ルビ ケーヘゑ ひ 左ルビ 九) 10(げゑーせ 左ルビ 十) 百(ひやく)には 〇に十(まる)をニ(ふた)つ千には三(み)つ万(まん)には四(よ)つ億(をく)には五(いつ)つ超兆(てう)には六(む)つ京(けう)には七(なな)つと連綿(つつぐ) 以上(いじやう)五(ご)十(じう)二(に)文字(もじ)を以て通用し所は教る萬民万事に(朱字 を)至る迠唯(たた) 朱字 以(もつて) 天(てん)理(り)を以て道を守らしめ地理(ちり)を知り 横に朱字 専(もつぱらにす) 利用を為(な)す事を第一とす神道仏道皆此意に〆古(いにし)へふらんす国(こく)ばてりい はりいし等(とう)に行(をこな)はれし妖(よう)法(ほう)邪宗(じやしう)の類(るい)皆(みな)改(かい)易(えき)すと云(いふ) 二行文 如(ことしと)斯(かくの)云(い)へとも所持(しよじ)する仏像(ぶつぞう)甚(はなはた)怪(あやし)き故(ゆゑ)に仏心(ぶつしん)の由来(ゆらい)を尋(たつ)子聞(きき)得(う)る所(ところ)並(ならひに)仏像(ぶつそう)を写(しやし)取(とつ)て後(のち)に著(あらは)す 安永(あんえい)七(しち)戊(つちのへ)戌(いぬ)の年(とし) 二行文 をろしいや年(子ん)歴(れき)一千(いつせん)七百(しちひやく)七十四年(しちじうよ子ん) 赤人(あかひと)蝦夷(かい)地(ち)にく来(きた)り 朱字 語(こう)與(と) 日本(にほん)と交(かう) 易(えき)の事(こと)を請ひ及(をよび)ひうるつぷ島(しま)に始(はしめ)て来(きた)る由(よpし)を問(とう)にいしーゆよ答(こたへて)曰(いはく)きいたーつぷ あーつけし迠(まて)来(kきた)る事?(ほほ)聞(き)伝(つたへ)る而(の)巳(み)にて同郷(とうけう)の人(ひと)に非(あら)されは詳(つまひらか)なる事を不(す)知(しら)其(その)時(とき)来(きたきた)る者(も)の  日本(につぽん)の 日本(につぽん)の 米(こめ)拾(じう)五(ご)ヒョウ俵(へう)を携(たつさ)へ帰(きた)り奉(たてまつ)る朝(ちやう)に因(よつ)て茲(ここ)に?れ糺明を遂しむるに商(しやう)売(ばいばい)も せす故(ゆゑ)なく 「朱字 尤(もつとも)受(うけ)」貴(にき)国(こく)の扶(ふ)助(じよ)を受来し事を吐く 「朱字 依(よつて)」其(その)罪(つみ)に「横に朱字 斬(き)」依て伐(ら)らると?て彼(か)の国(くに)の教(きやう) 「朱字 法(ほう)」諸国(しよこく)諸島(しよしま)に行(ゆい)て 「朱字 知(しり)」其(その)地(ち)理(り)を知り守護(しゆご)なき所(ところ)「朱字 には」徇ゆれは 直(たたち)に其(その)地(ち)の守(しゆ)護(ご)職(しよく)にも任(にん)せられ又(また)守(しゆ)護(ご)有(あ)る国(くに)に入(いつ)て交(かう)易(えき)をなし有(ゆう)無(む)を通(つう)するも功(こう)となり賞(しやう)を受(うけ)るにより近(きん)来(らい)をほつこい かむさつけ及(をよ)ひうるつぷ辺(へん)の諸(しよ)島(しま)に到(いた)る迠(まて) 追々 「朱字 捜 」来(きたつ)て夷狄を撫(なて)従(したか)へ 「朱字 拓(ひらく)」其(左ルビ その)地(ち)を開くいしーゆよ等(とう)は六(ろく)年(子ん)以(い)前(ぜん)庚(かのへ)子(こ)の年(とし)始(はしめ)てうるーつぷ島(しま)に来(きた)ると 二行文 此(この)時(とき)海(かい)浜(ひん)に船(ふね)を繋(つなき)て滞(たい)居(きよ)する内(うち) 二行文 時(じ)日(ちつ)不詳(左ルビ ずつまひわから) 地(ち)気(き)催(もよう)し変(へん)を海(かい)底(てい)鳴(なり)動(うこく)により依(よ)り山(やま)に逃(のか)れ上(のほ)る忽(たちま)ち潮(しほ)溢(あふ)れて一(いち)里(り)余(よ)の山(やま)中(なか)へ船(ふね)をうち上(あ)け再(ふたた)ひ船(ふね)を出(いだ)す事不(ず)能(あた)は国(くに)に帰(かへ)るに便(べん)んなく蝦(か)夷(い)の小(せう)舟(しう)を借(かり)て島(しま)伝(つた)ひにをほつこいに渡(わた)り又(また)翌(よく)年(子ん)うるーつぷ島(しま)に渡(と)来(らい)するの時(とき)彼(かの)船(ふ子)を卸(をろさ)ん為(た)め工(こう)人(にん)の 類(るい)を連(つれつれ)来(きた)ると云(い)へとも其(その)地(ち)嶮(けん)難(なん)に〆不(ず)出(いで) 于(に)今(いま)捨(すて)置(をく)と云(いふ)即(すなはち)ち見(みる)に之(これを)船(ふね)の作(さく)阿(を)蘭(らん)陀(だ)船(ふね)に等(ひとしく)く内(ない)外(くはい)ちーやんにてぬり甚(はなはた)固(かた)き作(つく)りなれは于(に)今(いま)不(ず)損(そんせ)うるーつぷ島(しま)わになうと云(いへ)る所(ところ)の谷(たに)に有(あ)り 又(また)問(とう)戊(つちにへ)戌(いぬ)の年(とし)来(きた)れる赤人(あかひと)の通辞(つうし)びよとろと云(いふ)者(もの)少(すこし)く 「朱字 通(つうす)」我(かか)国(こく)語(ごを)通す「朱字 聞(きくに)」其(その) 「朱字 所(よ)」由(し)を聞に我(わが)   国(くに)南(なん) 部(ぶ)の商(しやう)船(せん)其(その)国(くに)に漂(ひやう)着(ちやく)し存(ぞん)命(めい)する五(ご)人(にん)を扶(ふ)助(じよ)し置(をき)倚て 「横に朱字 従(より)学(まなぶ)」之に我(わか) 国(こく)語(ご)を学ひたりと云如の斯(この)事(こと)有(ありま)哉 「横に朱字 之(これ)」 否(いな)赤(あか)人(ひと)いしーゆよ対(こたへ)て曰(いはく)有(あり)焉(これ)今(いま)に三(さん)人(にん)存(ぞん)命(めい)に〆いるくつこ い住(じう)し各(をのをの)士(し)官(くはん)の中(うち)に加(くは)へられ其(その)二(に)人(にん)は詳(つまひらかな)る事を不(ず)知(しら)一(いち)人(にん)は帝(てい)よりべいたられをんせーゑいちーやと名(な)を賜(たまは)り 二行文 日本(につぽん)にての名(な)は不(ず)知(しら) 凡(をよそ)行(きやう)年(子ん)八(はち)十(じう)に近(ちか)しと云(い)へとも健(すこや)かに〆勤(きん)仕(し)す其(その)子(こ) 二行文 名(な)を不(ず)聞(きか) 「横に朱字 有(あつて)」 才(さい)智(ち)有て 一(いつ)千(せん)七(しち)百(ひやく)八(はち)十(じう)三(さん)年(ねん) 二行文 天(てん)明(めう)三(さん)辰(たつの)年(とし)にあた当(あた)る行(きやう)年(子ん)十(じう)七(しち)にて渡(と)船(せん)の役(やく)を蒙(かうむ)り七(しち)十(じう)人(にん)を師(ひき)ひて一(いつ)「横に朱字 乗(のり)」 船(せん)に乗し同年当 「横に朱字 乏」 海(かい)に趣しに何人の為めにや 「横に朱字 せらる」 不 「横に朱字 人(ひと)」 殺(さつ)害(がい)せられ船(ふ子)はうるーつぷ島(しま)に漂(ひやう)着(ちやく)す猟(れう)業(ぎやう)に来(きた)る蝦夷(かい) 人(じん)見(み)て之(これ)を船(せん)中(ちう)に所(ところ)の有(ある)諸(しよ)品(しな)は分(わか)ち取(とり)虚(きよ)船(せん)は焼(やき)捨(すて)たりと即(すなはち)去(きよ)年(子ん)乙(きのとの)巳(み)の夏(なつ)いしーゆよ等(とう)うるーつぷ島(しま)に来(きたつ)て聞(き)く之(これ)を因(よつ)て茲(ここに)此(この)由(よし)を 「横に朱字 訴(うつたへ)」 本(ほん)国(こく)へ訴へ 「横に朱字 而(しかう〆)返(かへ)す」 穿鑿するに蝦夷(かい)か 「横に朱字 之所(ところを)」 分ち取(とり)し品は各返と 之を云へとも船(せん)中(ちう)に存(そん)命(めい)の者(もの)一(いち)人(にん)も無(なか)りしにより何(いつ)れの地(ち)にて何(なに)人(ひ)の仕(し)業(わさ)なる事今(いま)に不知  二行文 此(この)義(ぎ)を蝦夷(かい)に問(とう)に無(なし)差(たかふ)事甲(きのへ)辰年(たつのとし)くなしりの酋師(つかさ)を始(はしめ)と〆蝦夷(かい)等(ら)うるーつぷ島(しま)に至り猟(れう)業(きやう)する時(とき)漂(ひやう)着(ちやく)の船(ふ子)有(あ)り見(み)るに之(これ)を刀(かたな)疵(きず)をうけたる死体(したい)一(ひと)つ並(ならび)に首(くび)一(いつ)級(きう)有(あつ)て外(ほか)に生(うま)る人(ひと)なし依(よつて)之(これに)船(せん)中(ちう)の品(ひん)を分(わか)ち取(とり)船(ふね)は焼(やき)捨(すて)たり然(しか)るにゑとろふ島(しま)の産(さん)にて近(きん)来(らい)凡(をよそ)うるーつぷ島(しま)に住(すみ)し赤人(あかひと)に従(したか)ふはうしびと云(いふ)蝦夷(かい)此(この)事(こと)を告(つく)るに偽(いつはつ)て赤人(あかひと)を謀(はか)り又(また)くな しり島(しま)あつけしの酋師(つかさ)等(ら)には有(あり)し品(しな)を分(わか)ち取(とり)しを赤人(あかひと)大(ををい)に恨(うら)むと告(つく)此(この)遣 「横に朱字 遺(い)」 恨(こん)を贖(あかなは)んため財宝(ざいはう)を可(べ)しと出(いたす)謀(はかり)て而是(これ)を奪(うばは)んと欲(ほつ)す其(その)私(し)欲(よく)顕(あら)はれたるにより酋師(つかさ)等(ら)今(こん)年(子ん)はうしびを捕(とら)へ土(つち)風(かぜ)の刑(けい)に行(をこなふ)と云(いふ) 又(また)問(とふ)明(めい)和(わ)八(はち)辛(かのと)卯(う) 二行文 をろしいや一(いつ)千(せん)七(しち)百(ひやく)七(しち)十(じう)一(いち)年(子ん) 其(その)国(くに)はんべんごろーと云(いふ)者(も)の日本(につぽん)の南(なん)海(かい)に漂(ひやう)来(らい)し  「横に朱字 蒙(かうむり) 」阿(あ)波(は)の国(こく)主(しゆ)の 助けを蒙て 「横に朱字 経(へて)」大(たい)西(せい)洋(よう)を経て国(くに)に帰(かへ)るの時 「横に朱字 贈(おくり)に在(ある)」 長(なか)崎 「横に朱字 崎(さき)の字の訂正」 在留の阿(を)蘭(らん)陀(た)人(じん)に書(しよ)簡(かん)を送て其事を告以て謝(しや)す恩(をん)を 「横に朱字 汝(なんじ)」知(しる)や之(これ)を否(いな)赤人(またひと)対(こたへ)て曰(いはく)相知(し)れり 「横に朱字 之(これを)」はんべんごろーぽりしーやー と云(いふ)国(くに)の産(さん)にて名(な)はあ うすとと云(いふ)者(もの)也(なあり)勇(ゆう)に傲り害(かい)す国(くに)を故(ゆえ)にむすくばへ捕(とら)はれ後(のち)にほれせら(右に れ 左に ひ)すこいせかあふかと云(いふ)島(しま)へ 二行文 をほつこいとかむさつけの間(あいた)なり ?遷(うつ)せらる時(とき)に辛(かのと)卯(う)の年(とし)をろしやの官(くはん)吏(し)ばせろーふ いつこいす二(に)人(にん)台 「横に朱字 ?(うけ)」命(めい)を?て 「横に朱字 巡見(しゆんけんし)」 諸(しよ)州(しう)海(かい)路(ろ)を分け 「横に朱字 為(ため)知(しらし)」地(ち)理(り)を試ん為め一(いつ)船(せん)にているくつこいより発(はつ)しほれせれすこいせかあふかの島(しま)に到(いた)る時(とき)にはんべんごろー船(ふね)に 乗(のり)移(うつり)て二(に)人(にん)に進(すす)めて曰(いはく)是より 「横に朱字 囘(めくり)」日本(にほん)並大(たい)唐(とう)の南(なん)海(かい)を回り 「横に朱字 経(へて)」 大(たい)西(せい)洋(よう)を経て国(「くに)皈(かへ)らは如(い)何(かん)願(子かは)くははんべんごろー俱(とも)に乗 「横に朱字 伴(ともなひ)教(をしへ)」 行て海(かい)路(ろ)を教ん於て斯にいつこいすは不(ず)諾(だく)せばせろーふ 進んて 「横に朱字 帆(ほ)」船(ふ子)を出し 「横に朱字 到(いたり)」 しむしり島(しま)に至り暫(しはら)く船を留(ととまる) 二行文 しむしり島(しま)はうるつぷ島(しま)の末(すえ)に寓(くう)す 然(しか)るにいつこいす是より 「横に朱字 独(ひとり)」 頻りに 「横に朱字 欲(ほつす)」 帰(かへら)んと云ひばせろーふはんべんごろーか意(い)に不(ざ)れは任(まか)せつこいすをしむしり島(しま)に捨て 船を出し 二行文 いつこいす蝦夷に助られしむしりより同年本国に皈る 南(なん)海(かい)を回り三(さん)年(ねん)をふらんすや内(うち)ばてりいと云(いふ)所(ところ)に帰(き)着(ちやく)すはんべんごろーは元(もと)刑(けい)せられし者(もの)なれは直に 「横に朱字 隠(かくし) 黒字 身(み)を 朱字 海(かい)島(とう)に 」 隠すばせろーふ帰(かへり)朝(ちやう)に行(かう) 「横に朱字 奏(そうす)所(ところ)の」 巡(ししゆん)せし所の地(ち)理(り)を奏す 依て之に賜(たまふ)る賞(しやう)をしむしり島(しま)より先(さき)に皈(かへ)るいつこいすも賜(たまは)り賞(しやう)を又(また) 「横に朱字 聞(きく)」二(に)人(にん)共(とも)に 「横に朱字 為 」船(ふ子)の師(つかさ)の官(くはん)となり 「横に朱字 率 」 大船八艘を率ひて今年  「横に朱字 向 」亜(あ)墨(め)利(り)加(か)に趣くを聞と 彼(か)の国(くに)風 「横に朱字 以(もつて)」 天(てん)学(がく)を以て 「横に朱字 為(なす)」 教(をしへ)と聞く然るに悲哉我往者天学の事を不知此を問に無便ん時に赤(あか)人(ひと)所(しよ)持(じ)したるまちまちせすかやひようをこらひやと云(いふ)書(しよ)物(もつ)の内(うち)に渾(こん)天(てん)儀(ぎ)の 図(つ)有(あ)り「横に朱字 之(これ)」 倚て之に 「横に朱字 因(よつて)問(とう)近(きん)」 眼前の事(じ)を問に象限(けん)をゑくわたら地(ち)球(きう)をぽをるた北(ほつ)極(きよく)をのると天(てん)経(けい)をうほふす地(ち)平(へい)をあふしゆ暦(こよみ)をべちやつな食(しよく)をうつせるぱと 指(ゆひさして)教へ 「横に朱字 云(いふ)」 而(しかう)て語(かたつ)て曰(いはく) 「横に朱字 修(をさめ)」 天(てん)学(がく)修する處三つ有と云へとも要(よう)とする所(ところ)は 「横に朱字 以(もつ)」 推(すい)歩(ほ)の天(てん)文(もん)を以て主(しゆ)とし 「横に朱字 建(たて)」 春(左ルビ しゆん)夏(か)秋(しう)冬(とう)の四(し)正(せい)を建て十(じう)二(に)月(ぐはつ)を以て 「横に朱字 為(なし)」 一年と大(たい)小(せう)閏(じゆん)月(げつ)なし年々歳(とし)々 「横に黒字 十二月(じうにぐはつ)」 三(さん)百(びやく)六(ろく)十(じう)五(ご)日(にち)を以て 「横に朱字 為(なす)」 一(いち)年(ねん)と  「横に朱字 本文(ほんぶん)につつけたし 」 二行文 日本(にほん)の暦は大(だい)小(せう)閏(じゆん)月(げつ)平(へい)均(きん)〆三(さん)百(びやく)六(ろく)十(じう)五(ご)日(にち)に十(しう)四(し)刻(こく)余(よ)也(なり)此(この)差(さかへ)を問(とう)に一日(いちにち)の差(たかへ)となる時(とき)に至(いたつ)て其(その)一日(いちにち)を加(くは)ふ正(せう)月(くはつ)三十一日二月三十日三月三十一日四月三十日五月三十一日六月三十一日七月三十日八月三十一日九月三十日十月三十一日十一月三十一日十二月に十八日と定(さだ)む  日(しつ)月(げつ)の出(しゆつ)没(ぼつ)及(をよ)び晦(まい)朔(さく)の時(じ)日(ちつ)の 「横に朱字 有(あ)」差(たかへ)有る而巳に〆気(き)候(こう)無(なし)違(たかふ)事故(ゆえ)に 「横に朱字 貯(たくはへ)」 多(た)年(ねん)の暦(こよみ)を貯へて 「横に朱字 往(ゆきて)」 遠(えん)境(けう)に往ても 「横に朱字 考(かんかへ)」 時(じ)候(こう)を考へ尚を 「横に朱字 量(はかつて)」天(てん)度(ど)を量るに 「横に朱字 為(なす)」 便(べん)利也(なり)と云(いふ) 「横に朱字 問(とうに)量(はかるを)」 天(てん)度(ど)を量るを問に 「横に朱字 対」 暦(こよみに 「横に朱字 之所」 記(しる)す日(じつ)月(げつ)星(せい)辰(しん)の出(しゆつ)没(ぼつ)と其(その)地(ち)にて 「横に朱字 之所」 見(み)る所の出(しゆつ)没(ぼつ)と考(かんが)へて幾(いく)度(ど)違(たかふ)と知(し)る地(ち)の一(いち)度(ど)は一(いつ)百(ひやく)五(ご)十(じう)ゑる すた也(なり)ゑるすた五(ご)百(ひやく)させん也(なり)させんは三(さん)あるしん也(なり)あるしんは四(し)せせれて也(なり)せせれては四(し)ゑるしよをか也(なり)ゑるしよをかは 一(いつ)寸(すん)也(なり)と云(いふ) 二行文 用(もち)ゆる所(ところ)の 「横に黒地 あるしんと云 」 指(さし)尺(か子)を我(わか)国(くに)の曲(負かり)尺(か子)当て見るに二(に)尺(しやく)四(し)寸(すん) 「横に朱字 也(なり)」有て呉(ご)服(ふく)尺(しやく)に同(をな)しゑるしーよをかは一(いつ)寸(すん)五(ご)分(ぶ)せせれては六(ろく)寸(すん)あるしんは二(に)尺(しやく)四(し)寸(すん)させんは七(しち)尺(しやく)二(に)寸(すん)ゑるすたは三(さん)百(びやく)六(ろく)十(じう)丈(じやう)に当(あた)り即(すなは)ち十(じつ)町(てう)也(なり)是(これ)を一(いつ)百(ひやひやく)五(ご)積(つもり)て一(いち)度(ど)とすれは一(いち)度(ど)は 我(わか)国(くに)の二(に)十(じう)九(く)里(り)六(ろく)町(てうてう)也(なり) 赤人(あかひと)の所(しよ)持(ぢ)したる 仏(ぶつ)像(ざう) 絵 唐(とう)銅(どう)の鋳(い)仏(ぶつ) 四(し)枚(まい)屏(びやう)風(ぶ)の如(ごと)くに𬼀【シテの合字: U+2CF00】 仏(ぶつ)像(ざう)は硝(しやう)子(し)を焼(やき)付(つけ) 其(その)彩(さい)色(しき)最(もつとも)細(さい)微(び)にて詳(つまひらかに)写(うつし)取(とり)がたし 絵  是(これ)も唐(とう)銅(どう)の鋳(い)仏(ぶつ)にて    朝(てう)暮(ぼ)拝(ははい)す 絵  木(き)にて作(つく)り所(しよ)々に文(もん)字(じ)を彫(ほり)付(つけ)たる 物(もの)也(なり)家(か)外(ぐはい)に建(たて)置(をく)是(これ)をも朝(てう)暮(ぼ)拝(はい)す 如(ことく)図(ず)の俗(ぞく)に十(じう)文(もん)字(じ)ともこんたつとも云(いふ) 「朱字 似(にたり)」 国(こく)禁(きん)邪(じゃ)宗(しう)に 「横に朱字 所(ところ)の 」 用(もち)ひし仏(ふつ)像(ざう)に等しき物を信し甚怪しきにより 「横に朱字 因(よつて)聞(きく)に」 其(その)仏説(せつ)を探るに赤人(あかひと)話(はなし)て曰(いはく)今(いま)をろしいや仏(ふつ)㳒(はう) 「横に朱字 之」 極意 「横に朱字 致」 於て別儀なし  唯(ゆい) 「横に朱字 祭(まつり)」 天(てん)帝(てい)を祭り 「横に朱字 合(かなへ)」 天(てん)理(り)に合(左ルビ しゆ)を為(なし)本と 「横に朱字 極(きよく)致(ちを) 而(しかう)〆愚(ぐ) 「横に朱字 為(なす)教(けう)化(くはを) 」眜(まい)の者(もの)に教化せん為品々 「横に朱字 種(しゆ)」方(はう)便(べん)の 「横に朱字 現(あらはす)」 仏(ふつ)像(ざう)を現(あらはす)十(しう)の字(じ)の形(かたち)なるは磔木(はりつけ)也(なり)仏(ぶつ)祖(そ)ぼぼまてりと称(しや)する者(もの)元(くはん)来(らい)生(しやう)涯(かい)独(どく)身(しん)賢(けん)女(しよ)なるに 「横に朱字 受(うけて)」天(てん)帝(てい)の精(せい)気(き)を受て 腹に妊(やどし)月を 「横に朱字 身(み)に産(うむ)」重子に一(いち)男(なん)子(し)を産然るに此(この)一子(こ)生(うま)れなからに〆 「横に朱字 欲 」衆(しゆ)生(しやう)を済(さい)度(と)せんと欲し法(ほう)を興(をこ)〆教(きやう)化(くは)す時(とき)に 「横に朱字  為(ために)」讒(ざん)者(しや)の為めに刑(けい)せらるる事有と云へとも不(ず)憂(うれへ)之(これ)を唯(ただ) 「横に朱字 任(まかせ)」天(て)理(り)に任せて終(つい)に 「横に朱字 弘(ひろめ) 」仏(ぶつ)法(ほう)を弘む則 「横に朱字 写繋(かかる)」 其磔木(はりつけ)懸る處の姿 「横に朱字 状(しやう)」 及(をよ)ひ成(せう) 仏(ぶつ)せし處の 「横に朱字 形(かたち)」 姿を現は〆諸行(かう) 「横に朱字 暁(きやう)」 無(む)常(せう)の天(てん)性(せい)を暁(さとし) 「横に朱字 不(ず)厭(いとは)」喪(そう)身(しん)の失(しつ)命(めい)不厭 「横に朱字 守(まもり)」 五(ご)行(ぎやう)五(ご)常(じやう)の道に薦(すすみ) 「横に朱字 合(かなへ)」 天理に合に於ては 「横に朱字 示(しめ)す」 諸(しよ)法(はう)実(しつ)相(しやう)成(しやう)仏(ぶつ)無(なき)事を疑(うたかひ)示す依(よつ)之(これに)彼(かの)国(くに)は僧(さう)と云(い)へとも有(あり)髪(はつ)妻(つま)を帯(をふる)也(なり)と天(てん)学(がく)にも「横に朱字 主(しゆとし)」 推(すい) 歩(ほ)の天(てん)文(もん)を主と〆 「横に朱字 不(ず)用(もちひ)」 名(めい)利(り)の天(てん)文(もん)を 「横に朱字 云(いふ)」 不と用云を以て考れは蓋し妖法邪宗の類には不る可有乎(か) 山(さん)丹(たん)之(の)説(せつ) 山(さん)丹(たん)は朝(ちやう)鮮(せん)と與(と)の韃(だつ)靼(たん)間(あいだ)に寓(ぐう)す今(いま)按(あん)するに高(こう)麗(らい)に在 「横に朱字 有(あり)」 夷(い)丹(たん)其(その)地(ち)開(ひらけ)て夷(い)丹(たん)退(しりそ)き山(やま)に隠(かく)る詩(し)泰風に曰(いはく)顔(がん)は如(ことく)渥丹の又(また)赤族を夷(い)丹(たん)と唐葦 后か伝(でん)に曰(いはく)契丹は本(ほん)東(とう)胡(こ)の種(しゆ)居(をり)鮮(せん)卑(ひ)山(さん)に其(その)後(のち)国(こく)号(こう)は為(なす)と遼と既に日(に)本(ほん)東(とう)夷(い)開(ひらけ)て為(なす)陸(む)奥(つ)と未(右ルビ いま 左ルビ さる)〆其開(ひら)け者(は)所謂(いわゆる)蝦夷(かい)地(ち)也(なり)是に比すれは 「朱字 以(もつて)」 夷(い)丹(たん)の如き者山(やま)に隠(かく)れるを潜むを以て 「横に朱字 称(せうする)」 山(さん)丹(たん)と 「「朱字 歟(か)」 謂なるへしと時に天(てん)明(めう)六(ろく)丙(ひのへ)午(うま)の年(とし)五(ご)月(くはつ)我(わか) 「横に朱字 輩(はい)」 往者からふと島(しま)をほとまりに到(いた)るに蝦夷(かい)告(つげ)て曰(いはく)山(さん)丹(たん)人(じん)二(に)十(じう)一(いち)人(にん)此(この)地(ち)に来(らい)居(きよ)すと則(すなはち) 「横に朱字 遣(つかはし)」蝦(左ルビ か )夷(い)の酋師(つかさ)を遣し迎(むか)へ 「横に朱字 之(これを)」呼ぶにびや んこ 二行文 ひやんこ者(は)きんちばく之(の)産(さん)にて山(さん)丹(たん)中(ちう)の惣(そう)長(をさ)なり則(すなはち)長(をさ)をちんけと唱(のな)ふまんぢうに随(したか)ひ扶(ふ)持(ぢ)せらる由(よし)  こばく 二行文 きんちばく之産(さん)也(なり)是(これ)も県主に類(るい)する者(もの)にて役(やく)名(めい)をかんたと云(いふ) きんたか 二行文 つわんと云(いふ)所(ところ)のかしんた也(なり) ぎやく 二行文 びやんこか僕(ぼく)にて蝦(か)夷(い)地(ち)の産(さん)なる由(よし) 以(い)上(じやう)四(うお)人(にん)使?に随(したか)ひ来(きた)り合(かう)掌(しやう)〆?(ひざまづ)き 「横に朱字 跪(ひさまつき)見(みて)我(わか)輩(はい)を 」我往者に相見(みゆ) 二行文 人物は朝鮮人に稍も相似て携る所の弓箭も又蝦夷と異なれは図〆あとに後に著はす  於て斯に 「横に朱字 欲(ほつす)問(とはん)」 地(ち)理(り)風(ふう)土(と)の事(こと)を欲れとも問んと蝦夷と同〆文(もん)字(じ)不(ず)〆通(つう)言(げん)語(ご)も不(ず)相(あい)分(わから)故(ゆえ)に 「横に朱字 拠(よつて)」 蝦(か)夷(い)に以て租尋問(とは)するに則ち 「横に朱字 之(これを)」 びやんこ山(さん)丹(たん)の長(をさ)に〆外(ほか) 「横に朱字 む(なく)」 其地の守(しゆ)護(ご)人(にん)なく 最もまんちうに属(そく)すと云(い)へともまんぢう人稀(まれ)に来(きたつ)てびやんこか家(いへ)に泊(はく)し交(かう)易(ゑき)をなす而己丹(たん)人(しん)まんぢうへ到んと欲(ほつ)するに 「横に朱字 往(ゆかんと)」 やーうき関(くはん)よりうち(うち)へ不(ず)許(ゆる)入(い)る事を且つ(かつ)地(ち)理(り)第(たい)槩(かい)は 「横に朱字 与 」 蝦(か)夷(い)の酋(つか) 師(さ)等(ら)か語(かた)るに斉(ひとし)くからふと島(しま)なつかうより海(うみ)を渡(わた)る事一(いち)日(にち)に〆彼(かの)地(ち)の岸(きし)に到(いた)り海(かい)浜(ひん)三(みつ)日(か)山(さん)路(ろ)八(やう)日(か)行(ゆい)て 「朱字 順(したかへ)」 潤(た)に河(かわ)に出其流(なか)れに随ひ 「横に朱字 下(くた)る事」 一(いち)日(にち)下にほうはと云(いへ)る湖(こ)水(すい)有り 「横に朱字 あり」 其(その)辺(ほと)りを行(ゆく)事五(いつ) 日(か)に〆きんちばくに到(いた)るへし 二行文 きんちばくは山(さん)間(かん)の広(こう)地(ち)にて屋(おく)舎(しや)六(ろく)十(しう)余(よ)戸(こ)有(あ)り山(さん)丹(たん)第(だい)一(いち)の大(たい)郷(こう)也(なり) 従夫 「横に朱字 きんちばくより」 まんぢうへは到んと欲するに 「横に朱字 渡(わたる)事」 湖(こ)上(すい)を渡る事二(ふつ)日(か)に〆 「横に朱字 到(いたる)」 まんごうと云(いへ)る大(をう)河(かわ)に至り 二行文 まんがうの源(げん)不(ず)と知(しら)詳(つまひらかなる)事を云(い)へとも今(この)度(たひ)赤(あか)人(ひと)の話(はなす)を推(をし)て考(かんがひ)れはぎやあふたより流(なかれ)出(い)てころーたらはんと大(たい)唐(とう)の界(かい)を過(すぎ)て東(とう)海(かい)に落(をつ)るあもると云大(たい)河(か)有(あ)り其(その)枝(えた)流(なかれ)なるへし此(この)流(なか)れを界(かい)と〆 二行文 向(むかふ)岸(きし)まんぢうの地(ち)也(なり)雖(いへとも)然(しかり)とやうき関(くはん)迠(まて)は岩(がん)石(せき)突兀と〆人(しん)跡(せき)絶へ不(ず)能力(あたは)挙(よつる)事 是(これ)を  三(さん)十(じう)日(にち)升(のほり)てまんぢうのやーうき関(くはん)に到(いた)る山(さん)丹(たん)人(じん)交(かう)易(えき)の為(た)めにやーうき関(くはん)に到(いた)る時(とき)は 「横に朱字 入(いう)れて」 室(しつ)内(ない)に入て不(ず)許(ゆる)他(た)行(ぎやう)を故(ゆえ)にまんぢうの地(ち)理(り)更(さら)に不(ず)と 能(あたは)知(し)る事云(いふ)又(また)山(さん)丹(たん)地(ち)広(こう)狭(きやう)を尋(たつぬる)るに東(とう)南(なん)には海(うみ)を帯(を)ひ西(せい)北(ほく)は大(たい)山(さん)峨(が)峨累(るい)々と〆其果を不識今(こん)人(じん)跡 「横に朱字 之(の)」 通(つう)する地(ち)はからふと島(しま)の半(なか)ばに不(ず)過(すき)人(じん)物(ふつ)所(ところ)産(さんす)俱(とも)に乏(ともし)く鳥(とり)獣(けもの)猟(かり)〆喰(くら)ひ其(その)皮(かは)を 集(あつ)めて以(もつ)てまんぢうに送(をく)り僅(わつか)まんぢうの穀(こく)及(およ)ひ? 「横に朱字 絹(けん)」 布(ふ)青(せい)玉(きよく)真(しん)羽(う)の類(るい)を求(もとめ)て又(また)是(これ)をからふと島(しま)に携(たつさ)へ渡(わた)りて蝦(か)夷(い)と売(うり)買(かい)するを以(もつ)て業と 「横に朱字 生活(せいくはつ)」すと云(いふ) 山(さん)丹(たん)人(じん) 絵 弓(右ルビ ふんじ) 左ルビ (ゆみ)  長(たけ)四(し)尺(しやく)五(ご)寸(すん)位(くらい)外(左ルビ そとは)木(き)にて鯨(くしら)弓(ゆみ)也(なり) 絵 弦(つる)獣(けもの)の皮(かは)細(ほそ)く割(さ)き鯨(くしら)筋(すち)と合(あは)す  矢(右ルビ ちやつぽ 左ルビ や)  糟尾 三(さん)羽(は)糸(いと)剥(はき)也(なり)  鎗(右ルビ きだ 左ルビ  やり)  絵  鏃(右ルビ ちぬう 左ルビ  やじり)  此(この)所(ところ)象(さう)眼(まなこ)の如く唐(から)草(くさ)の模(も)様(よう)あり 丸朱印 RE  BIBLIOTBEOUE  NATIONALE SSW 下遺拾蝦夷