【この右は切れている】 平常に浴し給ふとなん 伊香保名所図絵の記者 篠田仙果 【円内】 明治十三年 御届 五月 上野北大門丁十一番地 画工 橋本直義 浅草茅野丁六十五番地 出板人 山村金三郎 楊洲周延筆 【タイトル】 上州伊香保温泉之略図 【地名は図中に記す】 温泉記 内務省衛生局分析表 左の成分は一リートル中に含有するもの也 硫酸曹達 〇、六一二…… 【この左は切れている】 【図内左上枠内】 温泉記  内務省衛生局分析表   左の成分は一リートル中に含有するもの也 硫酸曹達 〇、六七七五ガラム 硫酸加里 痕跡 硫酸广屈涅矢亜【マグネシア】 痕跡 硫酸加爾基【カルキ】 〇、一一二〇ガラム 格魯児【クロル】ナトリユーム 〇、三一五八ガラム 格魯児カリユーム 痕跡 重炭酸加爾基 〇、一九八〇ガラム 重炭酸广屈涅矢亜 〇、一一九〇ガラム 重炭酸亜酸化鉄 〇、〇〇七一ガラム 珪酸 〇、〇三五ガラム 此 鉱泉(ゆ)の主成分(しゆせいぶん)は硫酸曹達(りうさんそうだ)塩化(えんくわ)ナトリユームにして解凝(こりをとき)下泄(つうじをつける)能力(ちから)あるを以(もつ)て 左(さ)の諸病(しよびやう)に効(こう)あり 〇 胃弱(いのよわさ)〇 白帯下(しろこしけ)  右の病者内服効(びやうにんのみてこう)を得(う)べし  〇 経久悪性僂广質私(ひさしきあくしやうれいまちつ)〇 僂广質私(れいまちつ) 性関節病腰痛(にてふしのいたみこしのいたみ)〇 神経病(しんけいびやう)〇 鉱毒(くわうどく)より 発(はつ)せし病(やまひ)〇 皮膚病麻疹痘瘡(ひふびやうはしかはうさう)より 発する頑癬(わるきかさ)  右の病者外用して効を得へし 〇 貧血症(ちのすくなきせう)〇 子宮官能変(こつぼのびやうき)常 月経不順(つきのめぐりふじゆん)  右の病者内外共に服用して効を 得べし 【絵の左下署名】 豊原周春曙射筆     御届  下谷金杉八十三バンチ      月     はせ川升次郎         神田ハタコ丁二十二バンチ            榎本藤兵衛