【表紙】 【ラベル】 JAPONAIS 177 【文字無し】 【文字無し】 Japonais No 177 【括り括弧】 頼光勲功図会 壱 【逆さラベル】 7 Vols cat 【catalogueの省略ヵ】 2118/4 中村定保編 玉蘭斎貞秀 【縦仕切り線】 頼光勲功図会 【縦仕切り線】 浪花  岡田群玉堂           合梓 東都  稲田金幸堂 題_二頼光朝臣紀事_一 蓋 ̄シ 神国風俗 ̄ノ之美。在_下郷党子弟。 不_レ待 ̄タ_二教導 ̄ヲ_一。而自 ̄カラ重 ̄シ_レ恥 ̄ヲ軽 ̄シ_レ死 ̄ヲ。慈 ̄ムコト_二不義 ̄ヲ_一 如 ̄ク_二仇讐 ̄ノ_一然 ̄ルニ_上矣。三歳 ̄ノ孫児。或 ̄ハ躓 ̄イテ_レ石 ̄ニ而 倒 ̄レ。傷 ̄テ_レ足 ̄ヲ而泣 ̄クヤ也。有 ̄リ_レ 人為 ̄メニ罵 ̄レバ_レ石 ̄ヲ。則孫 児呑 ̄ミ_レ声 ̄ヲ自 ̄カラ起 ̄チ。挙 ̄テ_二其所 ̄ノ_レ傷 ̄ツク之足 ̄ヲ_一。蹴 ̄ルコト_二其 ̄ノ 石 ̄ヲ_一 三 ̄タヒ。以為(オモヘラク)報 ̄スト_レ仇 ̄ヲ。其気習類 ̄シテ如 ̄シ_レ是 ̄ノ。而 ̄シテ 其所 ̄ハ_二欽慕 ̄スル_一。則保昌。季武。綱。金時。義 経。弁慶。鬼将軍之武勇也。開 ̄ケハ_レ口 ̄ヲ則 ̄チ 曰 ̄ク吾 ̄ハ是 ̄レ為 ̄リ_三神孫。唯 ̄ニ知 ̄リ_二挫(ヒシ) ̄キ_レ鬼 ̄ヲ斬 ̄ルコトヲ_一レ蛇 ̄ヲ。不 _レ知_二他事 ̄ヲ_一。吾 ̄ハ為【二点脱ヵ】 神国之人_一。何 ̄ヲ敢 ̄テ受 ̄ケンヤ_二 胯下 ̄ノ辱 ̄シメヲ_一哉。何 ̄ノ敢 ̄テ学 ̄ハンヤ_二唐人 ̄ノ為 ̄スルコトヲ_一哉。為 ̄メニハ_一【二点ヵ】忠 孝 ̄ノ_一不_レ避 ̄ケ_二水火 ̄ヲ_一。若有 ̄ラハ_レ所_レ過 ̄マツ。則 ̄チ自 ̄カラ伏 ̄ス_二白 刃 ̄ニ_一耳(ノミ) ̄ト。豈 ̄ニ不 ̄スヤ_二愉快 ̄ナラ【一点脱ヵ】哉。豈 ̄ニ不 ̄ヤ_二愉快 ̄ナラ_一哉【句点脱ヵ】書 肆菊幸新 ̄ニ刻 ̄シ_二頼光朝臣紀事 ̄ヲ_一。求 ̄ム_二題 言於余 ̄ニ_一。々《割書:カ》曰。使 ̄ンテ_下二重 ̄ン_レ恥 ̄ヲ軽 ̄スルノ【レ点脱ヵ】死 ̄ヲ之子弟 ̄ヲ_一。 読 ̄マ_中重 ̄ンシ_レ恥軽 ̄ンスル_レ死 ̄ヲ之書 ̄ヲ_上。不_二亦 ̄タ善 ̄カラ_一乎。然 ̄カリ而 ̄カレトモ 余無 ̄シ_下勇 ̄ノ之可 ̄キ_二以 ̄テ語 ̄ル_一レ 人 ̄ニ者_上。漫 ̄リニ書 ̄セハ_二此 ̄ノ事 ̄ヲ_一。 聞 ̄ク者皆笑 ̄ヒ。必 ̄ス為 ̄メニ_二郷党子弟 ̄ノ_一所 ̄レン_レ咲 ̄ハ焉。【注】 幸大笑 ̄シテ曰 ̄ク。善哉。題言既 ̄ニ成 ̄レリト矣。余亦 笑 ̄テ而遂 ̄ニ把 ̄ル_レ筆 ̄ヲ。 嘉永辛亥初冬    海西漁夫識           半嶺樵者書 【注:訓点に違和感有り】 【右丁絵のみ】 【左丁】 源頼光(みなもとのよりみつ)参(さん) 内(だい)の図(づ)は為一(ゐいつ) 老人(らうじん)九十 有余歳(いうよさい)の筆(ふで)なる を秘(ひめ)て蠹虫(しみ)に喰(はま)せんより はとこゝの口画(くちゑ)に出(いだ)したり 【右丁上部】 碓氷(うすひの)  貞光(さだみつ) 卜部(うらべの)  季武(すゑたけ) 【下部】 快童丸(くわいどうまる) 後(のち)に    酒田公時(さかたきんとき) 綱(つな)とりあへず拍子(へうし)を取(とつ)て  〽美玉(びぎょく) 斯(こゝ)に在(あ)り匵(はこ)に    韞(おさめ)て蔵(かく)したり善賈(よきあたひ)を    求(もと)めて沽(うらめや)【レ】諸【[これを]】 今(いま)善賈(よきあたひ)     を求(もと)めたり公(きみ)に 【左丁―右丁〽の続き】  事(つかふまつ)るに時(とき)を得たり と祝(しゆく)し    けり 渡辺綱(わたなべのつな) 【右丁】 藤原(ふぢはらの)  仲光(なかみつ) 語曰殺其身 為仁矣幸寿   夫庶哉 【右下部】 一子(いつし)幸寿丸(かうじゆまる) 【左丁】 弘徽殿(こきでん)の  麗女御(れいにようご) 頼光(よりみつ)朝臣(あそん)勲功(くんこう)図絵(づゑ)目録(もくろく)     ○巻之壱 第 一 満仲(みつなか)朝臣(あそん)住吉(すみよし)参籠(さんろう)  《割書:附》多田(たゞ)の城(しろ)を築(きづ)く 第 二 渡辺(わたなべの)綱(つな)が由来(ゆらい)   《割書: 附》満仲(みつなか)退隠(たいいん)頼光(よりみつ)家督(かとく) 第 三 美丈丸(びじやうまる)中山寺(なかやまでら)に趣(おもむ)く 《割書:附》美丈丸(びじやうまる)縦逸(じういつ)无頼(ぶらい) 第 四 美丈丸(びじやうまる)横川(よかは)に趣(おもむ)く  《割書:附》幸寿(かうじゆ)若君(わかぎみ)の命(いのち)に換(かは)る 第 五 法華(ほつけ)三昧院(さんまいゐん)建立(こんりう)   《割書:附》主上(しゆじやう)御元服(ごげんぶく) 第 六 佐州(さしうの)脚力(ぎやくりき)到着(たうちやく)   《割書: 附》千晴(ちはる)以下(いか)誅(ちゆう)に伏(ふく)す     ○巻之二 第 七 頼光(よりみつ)上総介(かづさのすけ)に任(にん)ず  《割書:附》卜部(うらべ)季武(すゑたけ)が来由(らいゆ) 第 八 諸国(しよこくに)群盗(ぐんとう)蜂起(はうき)  《割書:附》群賊(ぐんぞく)満仲(みつなか)が館(たち)に入(い)る 第 九 出羽介(ではのすけ)満成(みつなり)卒去(そくきよ) 《割書:附》源賢(げんけん)阿闍梨(あじやり)父子(ふし)対面(たいめん) 第 十 頼光(よりみつ)瑞夢(ずいむ)を蒙(こうむ)る 《割書:附》太守(たいしゆ)の弁(べん) 第十一 碓氷(うすひの)荒太郞(あらたらうの)来由(らいゆ) 《割書:附》頼光(よりみつ)と君臣(くんしん)契約(けいやく) 第十二 頼光(よりみつ)上洛(しやうらく)    《割書:附》金時(きんとき)出(いで)て頼光(よりみつ)に任(つか)ふ     ○巻之三 第十三 洛中(らくちう)夭(えう)■(くわい)【女+圣】    《割書:附》渡辺(わたなべの)綱(つな)鬼(おに)の腕(うで)を斬(き)る 第十四 大内(おほうち)炎上(えんしやう)《割書:并》地震(ぢしん) 《割書:附》四天王(してんわう)等(ら)土蜘蛛(つちぐも)退治(たいぢ) 第十五 右京亮(うきやうのすけ)保輔(やすすけ)凶悪(きようあく) 《割書:附》右衛門尉(ゑもんのぜう)斎明(ときあきら)誅(ちゆう)に伏(ふく)す 第十六 貞光(さだみつ)袴垂(はかまだれ)を生捕(いけど)る《割書:附》弘徽殿(こうきでん)の女御(にょうご)早世(さうせい)     ○巻之四 第十七 花山帝(くわざんてい)御落飾(ごらくしよく)      《割書: 附》多田(たゞの)満仲(みつなか)剃髪(ていはつ) 第十八 保輔(やすすけ)堀川院(ほりかはのゐん)へ乱入(らんにふ)    《割書:附》綱(つな)季武(すゑたけ)袴垂(はかまだれ)を誅(ちゆう)す 第十九 頼光(よりみつ)摂政(せつしやう)へ駿馬(しゆんめ)を献(けん)ず 《割書: 附》廉平(かどひら)が神異(しんい)水破(すゐは)兵破(ひやうは) 第二十 如蔵尼(によさうに)実(じつ)を以(もつ)て弟(をとゝ)に告(つぐ)る《割書: 附》平太郎(へいたらう)逐電(ちくてん) 第廿一 良門(よしかど)多田(たゞ)の城(しろ)を攻(せむ)る   《割書:附》謀計(ばうけい)齟齬(そご)敗走(はいそう)     ○巻之五 第廿二 良門(よしかど)渡辺(わたなべ)に討(うた)る     《割書: 附》丹波(たんは)の目代(もくだい)早馬(はやうま)を立(たつ)る 第廿三 頼光(よりみつ)千丈(せんぢやう)が岳(たけ)へ趣(おもむ)く  《割書: 附》酒顛童子(しゆてんどうじ)退治(たいぢ) 第廿四 大江山(おほえやま)洛城(らくじやう)       《割書: 附》諸将(しよしやう)帰洛(きらく)恩賞(おんしやう)      総目録《割書:終》 頼光朝臣(よりみつあそん) 勲功図絵(くんこうづゑ)巻之一《割書:起安和二年三月|至天禄三年四月》 凡四年也        東都   松亭中村定保集輯録   第一 満仲朝臣(みつなかあそん) 住吉参籠(すみよしさんろう)    附 多田(たゞ)の城(しろ)を築(きづ)く 農夫(のうふ) 草(くさ)を去(さつ)て嘉穀(かこく)必茂(かならずしげ)り。忠臣(ちうしん)姦(かん)を除(のぞい)て王道(わうだう)以(もつ)て清(きよ)しとかや。奥(こゝ)に承(しやう) 平(へい) 天慶(てんけい)の往昔(むかし)。東西(とうざい)の国々(くに〴〵)擾乱(ちやうらん)せしも。忠良(ちうりやう)の賢臣(けんしん)肝胆(かんたん)を摧(くだ)きて。平定(へいぢやう)に 及(およ)びしより。こゝに二十 有四年(いうよねん)。四海(しかい)泰平(たいへい)にして眼(め)に干戈(かんくわ)を視(み)ず。耳(みゝ)に戦馬(せんば)の音(おと)を 聴(きか)ず。万民(ばんみん)鼓腹(こふく)してその業(げふ)を楽(たの)しめり。然(しか)るに這回(こたび)左大臣(さだいじん)源高明公(みなもとのたかあきらこう)。隠謀(いんばう)の企(くはだて) ありしも。満仲朝臣(みつなかあそん)の計(はか)らひに因(よつ)て。速(すみやか)に落居(らくきよ)なしし。其功(そのこう)莫大(ばくたい)なるにより。摂津守(せつつのかみ) に任(にん)ぜられ。長(なが)く居住(きよぢゆう)して鳳闕(ほうけつ)を護(まも)り。直(すぐ)にその国(くに)を領(れう)すべきよし。詔命(ぜうめい)のあり しかば。満仲(みつなか)面目(めんぼく)を施(ほどこ)し。斜(なゝめ)ならず悦(よろこ)びつゝ。その准備(こゝろがまへ)をなして。日(ひ)ならず封国(ほうこく)摂津(せつつ)へ 下向(げかう)ある。斯(かく)て彼(かの)朝臣(あそん)武道(ぶだう)におゐては。往々(わう〳〵)の書(ふみ)に記(しる)すが如(ごと)く。胸(むね)に孫吾(そんご)の兵略(へいりやく)を 畳(たゝ)み。打物(うちもの)弓馬(きうば)の達人(たつじん)にて。当時(たうじ)武家(ぶけ)の冠(くわん)たるがうへに。和歌(わか)の道(みち)を好(この)み給ひて。 秀逸(しういつ)の名歌(めいか)あり。然(しか)るに摂津国([せつ]つのくに)住吉明神(すみよしみやうじん)は。歌道(かだう)守護(まもり)のおん神(かみ)なり。一回(ひとたび)歩(あゆ) 行(み)を運(はこ)ばんと。予(かね)ても念(ねん)じ給ひけれど。或(ある)ひは伊予守(いよのかみ)に任(にん)じ。或(ある)ひは京師(みやこ)の守護(しゆご) と成(なり)。国(くに)を隔(へだて)て私(わたくし)の物詣(ものまうで)にたち出(いで)んこと。その憚(はゞかり)なきにあらずと。今(いま)まで黙止(もだし)給ひ しが。這回(こたび)僥倖(さいはひ)に当国(たうごく)の。守(かみ)となること多年(たねん)の蟄懐(ちつくわい)。一時(いちじ)に散(さん)ずるとき至(いた)りぬと。 深(ふか)く歓(よろこ)び給ひつゝ。まづ住吉四所(すみよしししよ)の明神(みやうじん)へ。参詣(さんけい)なし給ひつゝ。第一(だいゝち)には武運長久(ぶうんちやうきう)。 子孫繁栄(しそんはんえい)を祈(いの)り給ひ。第二(だいに)には和歌(わか)の道(みち)に数年(すねん)心(こゝろ)を倚(よ)せ候へど。短才(たんさい)にして 名句(めいく)を得(え)ず。願(ねがは)くは末代(まつだい)に遺(のこ)る。秀歌(しうか)を詠(よま)せ給へ。第三(だいさん)には。臣(しん)この国(くに)を賜(たま)はり。即(すなはち) 下向(げかう)なすといへども。未(いまだ)然(しか)るべき住所(ぢゆうしよ)を得(え)ず。願(ねがは)くは永住(えいぢゆう)の地(ち)を。示現(じげん)なし給はれと 一心不乱(いつしんふらん)に丹誠(たんせい)を凝(こら)し。神馬(じんめ)三匹(さんびき)宝剣(はうけん)一振(ひとふり)を奉納(はうなう)ありて。七日(なぬか)参籠(さんろう)し給ひければ。 神(かみ)も納受(なうじゆ)や在(まし)ましけん。第(だい)七日(なぬか)に満(みつ)る夜(よ)。吾(われ)にもあらで間睡(まどろみ)給ふに。宝殿(はうでん)の扉(と)を おしひらき。いと妙(たへ)なる御声(みこゑ)にて。汝(なんぢ)優(やさ)しくも我(われ)を祈(いの)る。その丹心(たんしん)悉(こと〴〵)く納受(なうじゆ)あり。また住(すみ) 所(ところ)を索(もと)めんとす。そも〳〵この国(くに)に勝地(しやうち)あり。空(くう)に向(むか)ひて矢(や)を発(はな)ち。その矢(や)の落(おち)たらん 所(ところ)をもて。住所(すみどころ)となすならば。子孫長久(しそんちやうきう)疑(うたが)ひなし。と示(しめ)し給ひて宝殿(はうでん)の。扉(とぼそ)閉(とづ)るよと 見(み)たりしは。将(まさ)に華胥国(くわしよこく)の一夢(いちむ)なれど。全(まつた)く明神(みやうじん)の託宣(たくせん)なりと。頓(やが)て法施(ほせ)を奉(たてまつり)。 さて神教(しんけう)に任(まか)せつゝ。上差(うはざし)の鏑矢(かぶらや)ぬきとり。空(くう)に向(むか)つて放(はなち)しに。その矢(や)虚空(こくう)になり わたり。北(きた)を斥(さし)てぞ飛去(とびさ)りける。抑(そも〳〵)住吉(すみよし)のおん神(かみ)と申すは。かけまくも畏(かしこ)き神代(じんだい)のその 上古(いにしへ)。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)日向(ひうが)の小戸(をど)の。橘(たちばな)の 檍原(あはきがはら)に至(いた)り給ひ。祓除(みそぎはらひ)し給ふときに。顕(あらは)れ給ふ おん神(がみ)にて。九神(こゝのはしら)のその中(うち)に。底筒男命(そこつゝをのみこと)。中筒男命(なかつゝをのみこと)。表筒男命(うはつゝをのみこと)。これなりとかや。 それより後(のち)。神功皇后(じんこうくわうごう)。三韓(さんかん)を伐(うち)給ふ前(さき)に。神託(しんたく)の事(こと)ありて。この征伐(せいばつ)を企(くはだて)たまふ。 既(すで)に三韓(さんかん)より還行(くわんかう)のとき。摂州(せつしう)この地(ち)に移(うつ)り住(すみ)。給ふべきの宣言(せんげん)あり。因(よつ)てその