広告郵便 家屋調査(かをくしらべ)に就(つい)て 明年度(らいねんど)から施行(おこな)する(はれる)家屋税(かをくぜい)改正(かいせい)に就(つい)ては目下(いま)区役所(くやくしよ)の方(ほう)で準備調査(したしらべ) に着手(かヽ)し(つ)て居(お)りますが新家屋税(しんかをくぜい)規程(きそく)は従来(いままで)の不公平(ふかふへい)の税則(きそく)を改正(あらた)し(め)て 家主(いへぬし)の取得(とる)する家賃(やちん)を標準(めやす)として家屋(いへ)所有者(ぬし)に賦課(かけ)する(る)のでありまし て我国(わがくに)では最(いちばん)も新(あたら)しいそして理論(りくつ)に適合(あ)し(い)実際(じつさい)に応(あ)じた(つた)課税法(かぜいほう)であら うと思(おも)ひます此(こ)の改正(かいせい)に伴(ともな)ふ調査(しらべ)が正確(たしか)に行(おこな)はれるかどうかは全国(ぜんこく)の 税制(ぜいせい)の改善(かいぜん)上(に)相当(さうたう)大(おほ)きい関係(かんけい)を有(もつ)するのであります。で居住者(すまいにん)の各位(かた) には此の調査(しらべ)に十分(じゆうぶん)の便宜(べんぎ)を与(あた)へられ調査員(ちようさいん)のお尋(たづ)ねする事柄(ことがら)につい ては真実(まこと)の事(こと)をお答(こた)へして欲(ほ)しいし又(また)家屋(いへ)所有者(ぬし)の方(かた)には追(お)つてお願(ねがひ) する家賃(やちん)其(その)他(た)の申告(とゞけ)を正確(たしか)にして欲(ほ)しいのであります此(こ)のお答(こたへ)なり申(おとゞ) 告(け)なりに就(つ)いては特(とく)に左(さ)の点(てん)を御了解(ごりようかい)願(ねが)いたいと思(おも)ひます。  一、 今度(こんど)の家屋税(かをくぜい)は家賃(やちん)を標準(めやす)としますから高(たか)い家賃(やちん)の処(ところ)は家主(いへぬし)が高(たか)  い 税(ぜい)を払(はら)ふ事(こと)になり安(やす)い家賃(やちん)の処(ところ)では税(ぜい)は安(やす)い事になりますから   税(ぜい)が高(たか)くなつた事(こと)を理由(りゆふ)として家賃(やちん)を上(あ)げられると云(い)ふ   心配(しんぱい)はなからうと思(おも)ひます。  一、 国税(こくぜい)営業(えいぎやう)税法(ぜいほう)は改正(あらため)さ(ら)れて特殊(とくしゆ)の営業(えいぎやう)を除(のぞ)き一般(いつぱん)の営業(えいぎやう)について  は建物(たてもの)賃貸(ちんたい)価格(かかく)は賦課(わりつけの)標準(めやす)から除(のぞ)かれる事(こと)になりましたからそれ  らの営業(えいぎやう)については家屋税(かをくぜい)と営業税(えいぎやうぜい)とは全然(まつたく)関係(かんけい)なく家賃(やちん)の高(たか)  い低(ひく)いは営業税(えいぎやうぜい)には少(すこ)しも影響(ひゞきは)しないのであります。  一、 家主(いゑぬし)が仮(かり)に借家(すまい)人(にん)に頼(たの)んで偽(いつは)つた申出(まうしいで)をして貰(もら)つた処(ところ)でこれによ  つて受(う)ける税(ぜい)の利益(まうけ)は極(きは)めて僅少(すこし)で其(そ)の為(た)めに将来(のちに)家主(いゑぬし)が家賃(やちん)の   値上(ねあげ)をする時(とき)又(また)は借家人(ふまいにん)から値下(ねさげ)の要求(もとめ)を受(う)けた場合(とき)に家主(いゑぬし)の   受(う)ける不利益(ふりゑき)は非常(ひじやう)に大(おほ)きい事(こと)と思(おも)はれますから家主(いゑぬし)と  してはそう云(い)ふ事(こと)のないようにされた方(ほう)が得策(とくさく)と思ひます。  一、 今度(こんど)の家屋税(かをくぜい)の改正(かいせい)は増税(ぜいを)する(ます)趣旨(つもり)ではないので専ら(たゞ)負(ぜ)   担(い)の公平(こうへい)を期(き)する為(ため)に行(おこ)つたのでありますからその為(ため)に市民(しみん)全体(ぜんたい)  が納(おさ)める家屋税(かをくぜい)の総額(そうがく)には変(かは)りはないのであります。  一、 家主(いゑぬし)が虚偽(うそ)の申告(とゞけ)をした場合(とき)には相当(さふたう)の罰則(ばつ)を設(まう)けるつもりです。                   東   京   府                   東   京   市                   区   役   所