【右丁】   中納言朝忠(ちうなごんあさたゞ) 逢(あ)ふことの  たえてし なくは  なか〳〵    に 人をも    身(み)をも うらみ  ざらまし 【左丁】 右の歌の心は世の中にこひし き人にあふといふ事のなくは中〳〵 によろしからんと也但しあふことを きらふにはあらずあへば又わかるゝ かなしみあり又は中たゆることのあ れば思ひもうらみもできるがうたて ければ也なか〳〵といふ字に心をつ け((ママ)) べし此歌はあふてあはざるこひの こゝろをよめり日ごろ心を つくし来たりての事なり 【画面右下】 香蝶楼【樓】  豊国【國】画 【画面左上短冊】 四十四ばん心