頃わ安政三年辰八月廿五日夜六ツ時ころより南 大嵐吹出し其はけしき事筆に余り家をつぶし 家根を吹立川筋波を打上ケ舟わこと如くこわれし 事めも当らぬ次第也此時雷鳴渡り地震出火も有之 めずら式次第のあらましを書しるしぬ 日本橋南は通丁筋かく別の事なし【?】中橋京はし同芝口辺 少々のいたみ芝山内わ大木を根より引ぬけ又は打おれし も有御堂も少々ツヽいたみ有之芝片門せん より出火いたし半丁斗やけ大門通り少々 神明御社残り 門前丁神明丁 裏通り不残 三嶋丁両かは 浜松丁壱丁目 片かは宇田川丁 少々にてやけ とまり金杉 本芝海片大方 こわれ御屋鋪 株【?】海岸通り 別して多 し芝田丁 七丁目半丁斗    此近へん 山道崩れ往来 留所有高 輪辺品川 海岸遊女 屋不残こはれ 山の手麻布 白銀へんはらく【?】 【右下 9行目下】 ○海岸汐打上け 津波如し 【左下】 築【筑】地御門跡御堂事 こわれ汐留はし半谷落 鉄炮す汐留大材木吹上