【タイトル】 万(まん)歳(ざい)楽(らく)鯰(なまづ)の後悔(こうくわい) 【本文】 「さあ【さあ:小書き】みんなこい〳〵これ【これ:小書き】おやかたおいらたちが大ぜいでそろてきたのは ほかでもねへさんぬる十月二日の夜かねはうえのかあさくさか 四つをあひづのおめへのはたらきこれよくきけよおいらたちが あんのんにひげをのばしてぢのそこにすまひをするもにんげん さまが三どのしよくをめしあがつたそのつゆしるのしたゝりに はらをこやしてゐればこそへをひるさへももしひよつとせかいへ ひゞくこともあらうかとすかしてしまふがなかまのぎぢやうそれ ほどまでにごおんのある人げんさまへおなげきやいくそばくその ごなんきをうけたむくひはをぐるまのまわりまはつてこちらがみのうへ 人げんさまのおはらだちにつたひしかたのとぶなまづひとつのこらずいけどつて でばばうてうのつるぎのはやしあを竹ぐしのはりのやますみ火のうへのしやうねつや ねぎといつしよにつゝぎりのかまどでならぬなべのなかぢごくのうきめをみせ やらんとおほせもいたくかむりならずほりぬま川は生(しやう)こくなれば 十七ひきのかわうをなかま人げんさまからかくしめつけあるひはじゆんさい ふるごうほねはすのねにまで身をやつし水あるところはせんぎ さいちうたずかれゆゑならばそのけいせいのよめごゆへやあちん〳〵【やあちん〳〵:小書き】 「ちかあ【あ:小書き】ごを【を:小書き】ろぐちなことこくながら「これ〳〵【これ〳〵:小書き】まごゑむどん きさまのいひぶんがすんだらおれもうらみをちと いふぎり「やい【やい:小書き】おやぶんわれがゆうなよくばり なまづをまんざいらくなまづといふぞよこく【こく:小書き】 まんざいらくなまづのいんえんしらずか 「よくわかにまんざいらくとはまじないをばて ぞうらいけるそうらいもければおれもけるけて〳〵〳〵〳〵けちうかすといふところ だがなにをいふにもかんじんのあしがないには ちとたうわく「なに【なに:小書き】あしがないとあしがなけ ればそのさきのせりふをおれがうけとつて いや【いや:小書き】ちんつゝつんいや【いや:小書き】ちんつゝつんあしがないがこの わかゑびすはんじゆりまします そのとくにおんたのいねにはほに ほをさかへたしみにねへまんごく ぶねまことにめでたうさふらひ けるも一つ【も一つ:小書き】けるいや【いや:小書き】どんとけりやにやんと なくどゝのどんとけりや にや〳〵のにやんとなくさあ【さあ:小書き】 これでおれのやくはすんだろうはやくあとから でゝこいでゝこいこくさ【こくさ:小書き】でたぞ〳〵でることいでたけれど まうじやうなりでもなからうからこんどはいちばん とゞいつのどゝどのつらでこれこゝなおやかたみぶりも ねんねんだ「なまづ〳〵にやかへさにやならぬいものこやしが おそくなるとうたつてとほるうまかたにもおとつたこんどの このしうちなまづくはずにいかとてもさんまはもらい きすにはなれぬどぜうもくらもみなこあじいへをつぶして ひらめとなしせじやうおほくのひこさんにうごひをみせ うなんぎうけまたかぢからが身にさ人もむじつの たいなんぎするといはらがたこやみとやひゞやらそのたみいせにぶん まくらうとかためてきたるにぶしのせつかんうけて見よ やとみな〳〵がいきほひするどくたちかゝりふみとんばすやう つめるりするてをおさへておほなまづくるしきいきをつき あんず「いひわけにはにたれども四日のじしんの一ととほり まうしひらかんきいてたべやぜんやごらうどのにわかれて かへるくみまぎれ「ゑゝ【ゑゝ:小書き】このちくしやうめいけしやあ〳〵と しやれどころかそんなことをぬかすならいつその くされたゝんでしまへと又々一どにたちかゝれば 大なまづはあたまをおさへ「わこれ〳〵あやまつた こんどはまぢめにいひわけするなるほど みんなにいわれて見ればいまさらめんぼくなく ばかりどうしてあんなとんまをやつたかわがみ ながらもわけがわからぬそれについてもめてへらまで ゐどたちどをうしないせはらもたとうがれうけんして くれそのかはりこんどのことのうめくさに人げんさまへは こくどあんおんこごくをみのらせ第一金がまうかり 一かないわがうし 一いのちながく 一むびやうそくさい そのほかをとこには女がほれ女にはをとこがほれるおんまじないをいたし さしあぐればどうぞれうけんしてくれとあやまりへいかうしたりけり