《割書:治る|御代》ひやかし鯰 賑(にきハ)う江戸(ゑど)の花川戸(はなかハど)設(もうか)り宅(たく)の 繁昌(はんじやう)を見物(けんぶつ)せんとぬら くらと格子(かうし)をのぞく大鯰(おほなまづ) かむろが見付(ミつけ)てさゝやけば おいらんハとんで出(いで)無理(むり)に とらえんとすれど抜(ぬけ)つ くゞりつつらまらねば もしへ早(はや)くひやうたんを 持(もつ)て来(き)なましといへバ 気転(きてん)のきゝし若(わか)イ者(もの)これで おさへれば大丈夫(だいじやうぶ)だと徳利(とつくり)を 持来(もちきた)れバ何(なん)の苦(く)もなくおさへしゆへ 是ハふしきと能々(よく〳〵)見れバ鹿嶋(かじま)の 徳利(とつくり)だ 女良 もしへぬしやァあんまり さますよこのぢうもだしぬけに きさつして大さわきを させなました ミせも にかいも 一ときに ひねりばなしじやァ めがまハるよウ ぎりわるや 客 そのひげを はなして くんねへそれを ぬきやァおめへの こゝろいきも よつぽど かたひげた