【上の資料】 【タイトル】しんはんわらひまり唄 【横書】一つとや 【縦書内容】人のはなしにきくも いやひとりもの となりのぢしんで きがもめる〳〵 【仕切り線・以下同様】 【横書】二つ 【縦書】ふしんが出来(でき)あが つて此 間(あいだ)のぢしんさわき なむさん万ざいらく みなそんじや〳〵 【横書】三つ 【縦書】みし〳〵ゆられて小娘(こむすめ) がたいじなところを われないやうにと 手をあてる〳〵 【横書】四つ 【縦書】しばゐのぢしんは まわり仕かけにいみない まわりとさゝやぶの だんまりば 〳〵 【横書】五つ 【縦書】今戸(いまど)のかわらしと 左官(さくわん)と屋根(やね)やさん あとはぜにもふけで わらひがほ〳〵 【横書】六つ 【縦書】むかしからたとへに 人がいふこわいものは ぢしんにかみなり くわじおやぢ〳〵 【横書】七つ 【縦書】中(なか)よい夫婦(ふうふ)が夜(よ)なべの ぢしんはないきあらく 女房(にようほ)はないたり もちやけたり 〳〵 【横書】八つ 【縦書】八百八町(はつひやくやちう)の大江戸は 大じやうぶ 自身(ぢしん)ばんかほう〴〵 にごさります〳〵 【横書】九つ 【縦書】こわいと女にだきつかれ かぢりつかれ むねはどき〳〵下では によき〳〵 【横書】十をとや 【縦書】どうらくむすこにや いたぶられぢしんで やられ親父(おやし)も おそれます〳〵 【横書】十一 【縦書】いやがるせと物やのき 娘(むすめ)にむこをとり ぢしんでわられて しかたなし〳〵 【横書】十二 【縦書】ふきくるかしまの 神かぜはありがたや 御代はゆるがぬ かなめいし〳〵 【下の資料】 【タイトル】おどけはなし 【横書】地震 【縦書内容】〽若(わか)い者(もの)二三人あつまりなんとこれから浅草(あさくさ)の方(ほう)を  見物(けんぶつ)してきようと出(で)かけ観世音(くわんぜおん)のけいだいにいたり 〽コウ此(この)雷(かみな)り様(さま)を見(み)ねへどこへかゐなくなつて しまつたセ 〽ナニ手(て)めへむりなことをいへ雷様(かみなりさま)を見ろと いふ口(くち)のしたからゐなくなつたとは 〽ホイこれはしたりアレあの 五十の塔(とう)をみねへ先(さき)のはうが大そう曲(まが)つた 〽イヤ〳〵すこしだ 〽ナゼ 〽九輪(くりん)だものを 【仕切り線・以下同様】 【横書】雷 【縦書内容】夕(ゆうべ)アの雨(あめ)はつよいあめでそのうへかみなりさまの おそろしさそしてアノ音(おと)はなんだろう 〽あれか アリヤアしんどうといふものだ 〽ヲヤあれがしんどう かへそんならアノ向(むかふ)の蔵(くら)のはちまきがおちた 音(おと)はかむろだろう 〽そうサこのあひだの二日の ばんのおとは 〽ナンだへ 〽アリヤアおいらんだろう 〽なるほど 【横書】火事 【縦書内容】店火(たなび)けしの人々は町内へひきとり 〽サア〳〵 ごくらう〳〵弁当(べんとう)をやんなせヱ 〽モウはらが げつそりへりやした 〽ソウサやらう〳〵ト大せいゐな らび弁当つかふうちに極(ごく)おく病(びやう)と見へてすみのはうで がた〳〵ふるへながらこはい〳〵これはこはいトいふゆへ (ほかの者)〽ヲヤなんにも こわへ事はねへやアな 〽さつさとくいなせへ 〽イヘ〳〵めしがこわいのサ 【横書】親父 【縦書内容】地震(ぢしん)のあとのどさくさまぎれ息子(むすこ)は 廓(てう)をかけぬけてこつそり内(うち)へまぎれ入 親父(おやじ)のこ事(ごと)をきかぬつもり 〽(おやじ)コレせがれおのれはなぜ けへつてきた爰(ここ)はうぬが内ではねへたつた今(いま)すぐに出ていけサア〳〵 〽(母)モシ〳〵あなたマアけがもしないでかへつたのに 〽(おやし)イヤサはりの下(した)にでもなつて潰(つぶ)れて 仕(し)まへばいゝに 〽(むすこ)つぶれました 〽(母)ヱヽつぶれたヱ 〽親父様(おやじさま)のこ事(ごと)で肝(きも)がつぶれました